2010年01月26日

将国のアルタイル 31fasil 将国内乱(出撃編)

 最高。

 これまで以上に私好みの内容だ。月刊とはいえ連載で本格的な会戦を正面からやってくれるとは――それだけで涙と脳汁がオケアノスを溢れるいきおいで。

 なんか水門のサルジャ将軍が憐れな結末を迎えていた31話は大トルキエ圏を真っ二つにわけた悲しい争い「将国内乱」が描かれる。てっきりサルジャを(傀儡の)大将軍に据えてやると唆していると思っていたので、バラバンの現実をバラして肉体もバラす処断は意外だった。
 彼もそこまで誇大妄想に取り付かれているわけではないってことか。トルキエからの分離独立でとどめておくならサルジャを抱えておくのは無用な火種になるからなぁ。でも「半分はトルキエの大地に埋める」と言っているから――やっぱり誇大妄想狂か?水門の将軍の所有権を折半するだけか?
 ダメ将軍には、もう本当にご愁傷さまとしか言葉の掛けようがなかった。小型犬のように震え、虎におでこをくっつけられる水門には妖しいものを感じてしまう。変態将王は間違いなく感じていることだろう。ひとつは極めた人間であると認めざるをえない。
 脅える顔を愉しむのが目的で、実際はまだ殺されていないと良いね。

 さて、存亡の危機を眼前にしているクルチュ将国の首都アカイプでは、籠城戦を主張するアブデュル軍人に対してマフムート軍人が真っ向から反対する。彼は兵数で圧倒的に劣っていても出撃によって自らの力で状況を打開するべきと訴えるのだった。
 ポイニキアでの実体験を論拠にされると反論が難しくなるなぁ。あと、キュロスの表情が気になるなぁ。バルトライン帝国が三将国へ援軍をおくる可能性をまともに評価できない私の立場では判断がつきかねた。三将国はトルキエのものになっても、クルチュには間に合うかもしれないというマフくんの口ぶりからみて――山脈横断道路のことをアブデュル軍人たちの耳には入れてないはずだし――帝国は北からウラド王国経由で兵を送ることが可能のようだ。すでに属国状態か?
 前の戦争の雰囲気などから、さすがに大軍を支える補給線を構築するのは困難と考える。しかし、1万も送り込まれて帝国得意の損害を顧みない猛攻で奇岩の町を落とされるとトルキエにとっては非常に厄介なことになる。
 最悪、三将国および帝国の連合軍にムジュヘルまで南下されて、大陸横断道路の終点を抑えられてしまう。それができず、ウラド王国経由の補給線とクルチュ将国の生産力で保持できる兵力(1万5千くらい?)を展開されるだけでも、その抑えにトルキエ軍は相当数を割かねばならずヒサール正面での防衛戦が困難になる。そのときはポイニキア攻略時以上の兵力で攻めてくるだろうから、ちょうどアブデュル軍人のいう3〜5倍を帝国軍に確保される恐れが強い。

 とか、どこまでマフムートが計算しているのかは分からないけれど、ここで出撃して勝ってしまえばルイ大臣の手から主導権を奪えるのは確実!
 本能的に流れを読んで、桶狭間の戦いをするべきタイミングを見つけたと後世では評価されるかもしれない。まぁ、本人はクルチュの人々を守ることが第一という思考だったけれど。
 もっと単純に、いきなりガツンと襲いかかられて守りに入ったら気持ちで勝てん、とヤンキーの喧嘩レベルで分析することもできる。伯父への悪口半分で飛び出したアイシェ将姫の励ましは、その視点だな。まったくもって素敵なお姫様だ。嫁が無理ならマフくんを嫁にしてくれ。
 最終的に負けても攻め手を痛撃できれば、その後の籠城戦も心構えが違ったものになる。一撃と離脱に絶対の成算があるならば、帝国うんぬん抜きでも出撃がベストなのだった。少なくとも前者は用意してある点をみても――後者もバヤジットとイスマイルを捨て駒にすれば確実にできる。しなくても悪くない確率でできる――成長しているぜ、マフくん!!
 コマの送り方からみて「最終決定権」のあるオルハン将王もそれに乗ったっぽい。とても偉いけど、ちょくせつ描写がほしいぞ。今回は主人公に華を譲ったか〜。


 一方、ガツンとやられる前から尻尾を巻いて逃げ出した量産型王子様と叔父様は郊外の洞穴で出撃の準備を整えていた。基本的には篭城戦のほうが東弓の数が少なくて済むと思うので、イスマイルのセリフには首をひねった。
 根本的な城の「縄張り」が東弓の存在を考慮していないせいで、数を揃えないと使いにくいってことかねぇ。いや、本格的な銃の使用を前提に平城を築くと大軍が大量の銃をもって篭らないと機能しない縄張りになるんだけどね――大阪冬の陣みたいに。その後に造られた徳川式城郭は火縄銃弾幕主義の決定版だそうな。
 とりあえず奇岩の町の構造に東弓は適合せず、いっそ柔軟にやれる野戦の方が都合がいいと理解した。つまりまぁ、知識にものを言わせて、行間を読めば、どうとでもできるわけです。
 絶妙のタイミングでスレイマン長官がイスマイルからの伝言を受けたのは、後々の展開にとっても大きく響いていくるはず。別働隊は互いの意図が把握できてこそ有機的な作戦行動が可能になるのだ。

 そして、見開きで堂々と出陣したクルチュ軍と三将国連合軍が対峙。こういう俯瞰の図が病的に好きでしょうがない。若いころのイッソスを思い出すのぅ。血が滾るわい。
 地形をみて、奇岩に邪魔されて両翼(特にクルチュ右翼側)の自由が奪われているのが気になった。正面が狭められるなら数の差をある程度、埋め合わせることができる。そうするまでもなく、バラバンが五千に対して五千をぶつけてくる「余興」じみた真似をしでかしてくれたが――なに?バカバンなの?
 まぁ、あえて彼を弁護をすると前述の戦闘正面の問題がある上に、寄り合い所帯の悲しさで下手に他国の軍と戦列を同じくすると連携に齟齬が生じて思わぬ敗北に繋がるかもしれない。どうせ有利なら自軍だけに絞って戦うのは意外と合理的だ――残りの部隊も逐次投入ではなく好きなタイミングで新手を繰り出せる予備兵力になると積極的に考えることができる。
 でもでもそれでも騎兵は多めに盛っておくべきだった。さらに「理由」を連ねればウズンとファトマへの「抑え」と、親衛隊内の潜在的バヤジットシンパを弾いた結果――騎兵の方が練成に時間が掛かる=将弟と付き合いが長い可能性が高い――となるけれども、そこまで言うならマフムートが思ったようにバラバンの傲慢に真実を求めたほうが説得力があるな。
 これで実は正面で派手に戦っているあいだに密かに別働隊をアカイプ占領に送る作戦だったら、ウチに来てしてもいいぞ。今日ウチ誰もいないの……お留守番よろしくねっ。

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