2010年11月27日

将国のアルタイル 41fasil ポイニキア沖海戦

 ライアン・ロゥ提督の賢明な判断通りにヴェネディックまでついて行って、藁を外した小麦だけを受け取れば両国のWINWINで解決した問題は、ひとりの「無能な働き者」によって大規模な武力衝突にまで発展してしまう。
 刻々と位置関係の変化する海上での話し合いは、短い時間でベストの判断を下さなければならないから大変だ。

 副市長のおかげでポイニキアを奪い、副市長が乗り移ったかのようなバカのおかげで、ポイニキアを失いはじめているのは皮肉というほかない。
 この辺は多国籍海軍ゆえの制御の難しさもあったのかもしれない。ロゥ提督はあくまでも外様だが、央海ではバルトライン帝国の人間が余所者。複雑な文化のすれ違いは怖いね。

 このポイニキア沖海戦でヴェネディック海軍も護衛用の軍船はガレー船であることが判明した。
 でも、ポイニキア救援艦隊は帆船だったはず……ガレー船だと「風が捕まらなかった」という言い訳がしにくいせいか?海戦で敵を完全撃破するより、補給を入れることを第一に考えての帆船編成(という名目)だったのかもしれない。
 最後のコンスタンティノープル攻防戦でも帆船の補給船団が来ているし。

 ともかく戦いはガレー船同士の激突になったわけだが――ヴェネディック人の熟練した操船術の前に、発作的に殺到した帝国艦隊がコテンパンにされる展開になった。
 海戦の最中に帆をあそこまで使いこなすとは、古代地中海の常識からは外れているが鮮やかだ。帝国海軍は衝角で戦うときのセオリーにならって、横に舳先をならべた横陣になるべきだった。
 そうすれば操船能力の差をある程度殺して、数の優位をもっと活かすことができたはずだ。けっきょくバカの独断専行は自らだけではなく、帝国艦隊そのものを犠牲にしてしまった。ライアン提督を捕虜にされるのは、赤壁で曹操が蔡瑁を失ったようなものだ。
 帝国艦隊の再建以前に、ポイニキアの維持が問題になってくる。サロスから帝国領への食糧輸送さえ、ヴェネディックに妨害されて上手く行かなくなるかもしれない。

 そして、央海のルールを理解してくれない帝国と対立してしまった時点で、ヴェネディックも損をしているのは同じだ。もともとヴェネディックグラスが原因で衝突が起こったのに、水晶を売ってくれなんて言えなくなった……。

 ずいぶん誉められていたマフくんだが、こんなスタートでは海の共和国との同盟関係がなったとしても、疑心暗鬼に満ちたものになりそう。最悪どっちが先に帝国と単独講和するかのチキンレース。
 まぁ、最初から国家の関係はそういうものだと割りきったところから謀略をはじめているのがマフくんか……異次元の方向にも凄い主人公である。

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この記事へのコメント

1. Posted by 水城   2010年11月29日 13:22
こんにちは。

これ見方しだいでは、マフ君がすごい悪役っぽいですね(笑。
成長したと見るべきでしょうか、ヴェネディックと上手く共闘できるといいですけど、どうなることやら。

海皇紀みたいになってきたなーと、少し思ってしまった。トルキエ=ウォルハン。ヴェネディック=海の一族。帝国=ロナルディア。
2. Posted by こいん   2010年11月29日 23:58
 いつもコメントありがとうございます。

 バトルライン帝国がああいう強引な性質の国であることは変わらないから、マフくんが突っつかなくてもいずれは馬脚を表して、ヴェネディックと対立することになっただろうとは思います。
 トルキエと共闘できる現状で、それをハッキリさせたのはもちろん大きいですが。

 海皇紀はウォルハンが、ざっくり言って侵略国家だったところが大きな違いになるかと。
 でも、主人公が猛禽類を使うところなんかも似ていますね。

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