2013年03月11日

将国のアルタイル12巻 大都市のカリル墜つ!

 天上の都を巡るバルトライン帝国と反帝国同盟の戦いで、マフムート将軍の育ての親であったカリル将軍がついに戦死した。タウロの双子市長と次会う時の約束をしていたのに……していたせいか。きっとヴァルハラで再会するな、この人たちは。

 後出しジャンケンが許されるならカリル将軍は作戦を微修正するだけで勝てたと訳知り顔で語ることができる。第8州軍と第11州軍を後ろに回り込ませた後、突撃をさせず谷の中に帝国軍を閉じ込めてしまえば良いのだ。
 基本的に守りの陣形であるバルトライン大方陣が自ら動いて騎兵部隊を撃破することは難しい。ちょっとした戦列の綻びでも集中攻撃されれば崩壊のきっかけになるし、ひたすら距離を取られれば追いつけるものではない。
 さすれば兵糧に問題のある帝国軍が先に根をあげる。おそらくバリスタの支援下に移動して、すごすごと陣営に戻ることになったはず。トルキエ側に第13軍団みたいな工兵部隊があれば、騎兵で足止めしている間に、川を堰き止めて谷に水を流し込んでやっても良かったな。

 まぁ、速戦で綺麗に勝とうと思えば、状況確認不十分なまま突っ込んでしまうのも仕方ないか。大方陣が後ろに向き直れば厄介ではある。
 帝国軍は迂回時に上から見えない位置にバリスタを配置していたんだろうな……ココシュカは等高線から地図を立体化して、視界を読みとる能力まで備えているっぽい。いろっぽい。城を水攻めするときに必要な堤の距離と土砂の量も一瞬で弾き出しそうだ。
 彼女は一人で第13軍団に匹敵する能力を持っているよ。組み合わせれば、更に凶悪。

 天上の都も結果論をいえば一つの門に2万3千の大部分を集中して、一つの軍団(5千)を集中攻撃するべきだったかも……あんなにデカい石の扉を降ろした後では思うように出入りはできないか。小さな出撃用の門がある様子もないし、歴史的に城外の味方と連携して戦う思想になっていない隙を衝かれている。
 急造連合の悪さが出ている。

 それにしても、ベルツ様やユルゲンと一緒に見せ場なく燃え尽きた第4軍団が可哀想だったカリル将軍カッコいい。騎兵に波状攻撃を命じる時の迫力に痺れる。
 案外ザガノス将軍が言いたかったことは、カリル将軍ほどの人が本気で軍事に打み続けていれば戦術を発展させて今回の戦いにも勝てた、と言ったあたりにあったのかもしれない。
 でも、遊牧国家が世界征服に成功して、全ての土地を草原に変えさせて牧畜生活を営むよりも農耕民から軍事力か通商力で利益を得て暮らした方が豊かな生活を送れるのよね……その辺りが土地を基礎とする農耕国家バルトラインとの大きな差である。
 ザガノス将軍は帝国を叩きつぶした先に、どのような戦後世界を描いているのか。豊かなビジョンを示すこともカリル将軍に遺された若者たちの仕事なのだ。
 私ならバラバンやサルジャやコンスタンティノスのような人物が殺されず芸人として愛されて生きていける世界を目指します!!

将国のアルタイル1巻感想
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12巻収録各話感想
将国のアルタイル 60fasil 天上の都
将国のアルタイル 61fasil 大都市の将軍
将国のアルタイル 62fasil 楽園の檻
将国のアルタイル 63fasil 獣を操る者
将国のアルタイル 64fasil 槍の奔流
将国のアルタイル 65fasil 弔鐘遥かなり

将国のアルタイル(12) (シリウスKC)
将国のアルタイル(12) (シリウスKC)
通して読むとカルバハル院長の秘書の人がすごく良い。将国のアルタイルヒロインには珍しく清楚な魅力を打ち出している。

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この記事へのコメント

1. Posted by 7743   2013年03月12日 02:43
南ルメリアナにおいてはバルトラインは総兵力(12万人)の数割程度(2万2千)に対し トルキエは遠征軍の全力でもあります
トルキエ側としては各個撃破という衝動に駆られても仕方のない話と思います
極論 長引けば包囲側が一部を割いてカリルさんコンニチワとも成りましょうし

ザガノスさんは謎ですね
「帝国に攻め入る」といっても すると、帝国側が団結してしまう訳で
旧王国による分割統治あたりでしょうか

ふと思ったのは バルトラインがバリスタ+爆弾を持っている以上、封鎖艦隊も装備している可能性はあるのでは と
島の都人は嫌がりそうですが
2. Posted by こいん   2013年03月16日 10:03
 機会は逃さず帝国軍を叩いて減らしておきたい誘惑があるのは分かります。
 案外、マフムートの近くでいいところを見せたいと思ってしまった可能性もあったりして?

 帝国の分割統治は戦乱の起こる場所が変わるだけの結果になりそうです。まぁ、トルキエが平和ならそれでいいと考えるのは、将国の政治家としては正しいですが……。

 バリスタと爆弾の組み合わせはハマると、あっという間に勝負がつきますね。ヴェネディック艦隊には十分に警戒してほしいところです。
 個人的な趣味ですが、ギリシア火が見たいです。
3. Posted by ビゼア   2013年03月17日 12:01
軍団長が中将なのが気になる。

近代軍では軍団長は中将だけど、近代軍における軍団って5万人くらい。
バルトラインの軍団って5000人くらいで、近代の軍団とはかなり規模が違うわけで。

軍自体の規模が小さい場合、将官の階級自体が少ない。
南北戦争前のアメリカ軍には准将と少将しかいなかったように。
4. Posted by こいん   2013年03月26日 20:14
 コメントありがとうございます。

 バトルライン帝国の軍は、人数的に考えても古代ローマ軍団(この世界では古代ポイニキア軍団)のルネサンス的再興としての軍なのでしょうね。確かローマ軍団は歩兵4200、騎兵300で合わせて4500ですから。
 階級については、後世に中将扱いになる用語で呼ばれていると解釈してみては、どうでしょうか。
 アメリカ軍の話はマニアックですねぇ。
5. Posted by 名無し   2014年02月27日 00:30
筏の奇襲で追い付かれていたとはいえ、あんなとこで戦ったのはまずかったですね。まぁ崖で弱点を封じたとみせかけて、きちんと工兵で対策とっていたピノーが上をいったんでしょうね。

戦後については、わかりませんが、
トルキエは確かに遊牧民的性質を残していますが、作中で(老子の回だったかな?)触れられていますが、商業国家ですので、トルキエの土地が交通の要所であり、商品と市場があれば土地や他国はあまり関係ないのではないのでしょうか。
6. Posted by こいん   2014年03月02日 20:22
将国のピンチはチャンスと見せかけて、帝国のピンチがチャンスの戦いでした。成功体験は足元をすくってくるので怖いです。

 んー、商品は土地と文化から生まれてくるものなので、関係あると思います。交通の要衝であり続けるためにも国境を長期間封鎖されない外交力(軍事恫喝力ふくむ)が必要ですね。

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