重力子放射線射出装置かよ。完成度高ーなオイ。
 「この兵器に貫通できないものはない!!」と称される新兵器、重力子放射線射出装置が飛び出して幸先がいいはずが、制御関係の問題があまりにデカいので不穏な10巻。重力子放射線射出装置(略称募集中)を搭載した二体目の融合体“かなた”は岐神パパの間違った教育方針もあって、非常に不安定な個体で憐れにも暴走して重力子放射線の一撃を放ってしまう。
 その大威力に慄くどころか喜んだ変人が頼りになる小林艦長。新城直衛の「いいじゃないか」を思い出させる態度で、重力子放射線射出装置(間にひらがなを挟んでくれたら安易に略称が付けられたのに!)の計画続行を命じる。さすがは落合に対抗可能なお方だけのことはある。
 一歩間違えれば破滅確定のブラックボックスだらけの超兵器を保有しつづけようとは……長道の爺さんは人の身に余る兵器として嫌いそうだな。
 まぁ、暴発だったとはいえ、重放射出装置の一撃を示したことは、ガウナに対する牽制になったかもしれない。連中が手を出しかねている間に、佐々木さんひゃくじゅうななさい(推定)が機械式の“じゅうほう!”を完成させてくれれば、アウトレンジから大シュガフ船を叩きまくって大勝利もありえる、理論上は。

 そんなハードな話は半分以下で、悶絶モノのラブコメが話の大半を占めていた。あまりのラブコメ濃度に、くなティーが寝込んじゃったじゃないか……やっ、やめてください!閉鎖環境なんですよ!!
 冬の季節感で船内環境が固定されたことが、人肌恋しさを呼んだのかもしれない。光合成のチャンス。

 長道の家に同居することになった緑川司令補の立ち位置がなんとも悲しい。表情を読んでもらえるようになった“つむぎ”の方が彼女よりはまだ良い感じ……迷走した上にイザナが女の子になっちゃったからな。緑川の現状も仕方がないのか。なぁに、長道が死ねばイザナから生えてくるよっ――縁起でもないな。

 プラモデル屋のおじさんが現状でも営業していることに感動した。あの店構えだと重力制御が切れたときは悲惨なことになりそうなんだが……客のプラモも軒並み壊れるから、案外被害よりも儲けの方が多いのかもしれない。

シドニアの騎士1巻感想
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シドニアの騎士(10) (シドニアの騎士 (10))
シドニアの騎士(10) (シドニアの騎士 (10))
弦打がお笑い枠で助かろうと必死だ。だが、下品枠に落ち着けばかえって死ぬという瀬戸際の攻防。海蘊が一服盛ろうとした時並に、手に汗握る。