2013年11月08日

アルスラーン戦記 第五章「君主の度量」

 まずは五年前のナルサスが見事な計略で三国同盟を瓦解させたお話。登場人物の顔が比較的に分かっているのに、わざわざ黒く塗られている理由が分からない。描くのが楽回想だから?
 まぁでも、アンドラゴラス王の顔を忘れはじめたよ。むしろ黒塗りの方でイメージが定着してコナンの犯人みたいな人で固まったら、どうしてくれよう、アルスラーンの中で。

 三カ国をバラバラにする計略は、もともと三カ国軍が離れて行動していたおかげもあって上手く行った気がする。毎晩盛んに交流しているレベルだったら通用しなかったはず。
 しょせんはパルスが怖くての呉越同舟に過ぎず、お互いの信頼関係を醸成しての同盟ではなかったのだろう。彼らは恐怖に二度踊ったことになる。

 名振り付け師のナルサスさんが読むところによれば、ルシタニア軍はイアルダボート教の力を使って内部から攻めてくる。キリスト教よりもイスラム教を連想させる戦法だ。
 奴隷制度の廃止をしておけばと、へなちょこ画家は簡単に言うが、すさまじい社会変革になるわけで、小心者のアンドラゴラス王に出来るわけがないよ……。
 まぁ、何の長所もないよりは戦が出来ただけマシなんじゃないか?最終的にはその戦で大コケをしたわけだが――成功してきたのではなく、これまでは失敗しなかっただけの口だな。
 実質的には軍司令官だったスパルタの王――政治権力は議会が強い――ならばアンドラゴラスに向いていたかもしれない。指揮なんてものは敵より多くの兵を戦場に連れて行ってヤシャスィーンって叫んどけば十分だって、ばっちゃが言ってた。前半が何気に至難の技だし。

 さて、ダリューンの小技やカーラーンの藪蛇もあって、宮廷画家に誘われたナルサスはアルスラーンの翼になることを選んだ。
 なるほど彼の絵をパルス中に飾れば国民が食欲を失って効率的に飢餓を乗り越えられるって算段か。さっすが、将来の名君だぜ。既得権益を破壊し、ついでに文化も破壊する。
 パルス再生の希望が、最大のクラッシャーである現実に、皮肉な笑いを禁じ得ない。

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