回想。トゥグリル村の悲劇に際して、ピノー大将は暴走した兵士たちを厳罰に処したらしい。マフムートは母の仇を討ったつもりで、仇を討ってくれた人を討ったことになるのかな。
 まぁ、責任者がピノーであった事実に変わりはなく、そこまで皮肉な見方をしなくてもよいか。

 南ルメリアナでの戦いもクライマックス。後方からの攻撃を凌ぎながら、エスパーダの城壁を攻めるバルトライン帝国軍だが、城壁を守る傭兵団の数はココシュカの見積もりに十倍する1万!攻める側より倍多く、攻者三倍で考えれば、バルトライン軍は必要量の6分の1である。
 いくら傭兵が貧弱と言っても短期間に攻略できる兵力差ではない。
 最後まで冷静に見えてココシュカも「希望的観測」をやってしまったんだなぁ。城壁の向こうは見通せないとはいえ、あそこでピノー大将が諦めていれば、一万五千の人命が助かった可能性がある。

 軍団長たちは次々と討ち死にを遂げ、ついに大将と副官もやられてしまった。敵の奥地へ無理矢理突き進んだ結果が、この惨状である。ここまで壊滅的な被害は、長篠の戦いで武田勝頼まで戦死するみたいなものだ。
 囁き盆地で負けた時点でバラバラに逃げていれば一部は帝国に帰れたのではないかな。そうやって帰ってもろくでもない運命が待ち受けている国だから、しようがないか。
 マフムートは高位の人間を容赦なく殺しまくっている。ちょっとは人質に取るとか、情報を得るとか……今回だけだとまるで悪役だった。部下たちもお顔がいかつい。
 山猫団のブリジッタ団長だけ世界の違う形である。偉大なおっぱいは一話にふたつ要らない。ブリジッタが昇れば、ココシュカは沈むということか……うむ。
 ココシュカが胸に詰め物をしていて、そのおかげで助かったら、うれしい。くやしく、うれしい。
 ルイ大臣との回想で、大臣のスタンスが鬼谷子にみえてきた。他にもココシュカみたいな弟子がいるのでは?ちなみにマフムートは信陵君にみえる。

 さて、海でも陸でも負けた帝国は、ココシュカの言うように内政に転換してくれるのだろうか。あまりにも分が悪いので、いったん鉾を納めて仕切り直しにしても良さそうなものだ。
 ただし、天上の都が下手に落ちてしまうと、失った戦争のために、さらない人命と資源を費やす羽目になりかねない。いまさら帝国側に寝返る国もないだろうし、ルイ大臣はどうする?愛弟子を思い出して枕を濡らして不貞寝してくれるタマではないはず。それが見たいものだが。

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