2015年05月16日

アルスラーン戦記1巻 田中芳樹・荒川弘

 三年前――

 最終回の定番「三年後――」の逆をやって始まるパルス王国王子アルスラーンの物語。やっぱり骨太ファンタジー戦記は会戦描写から始めるのが無難だと思ってしまった(11歳であの立ち回りも味わい深くはあるが)。
 ツカミは大事である。
 アイスバーンを避けたければ、キャラクターの魅力を押し出すか、戦闘以外のカタストロフを持ち出すか……それらも十分にアイスバーンだな。

 前方不注意が原因でアトロパテネの会戦に負けた腐敗のアンドラゴラス王だったが、再読するとカーラーンに重ねて前方の偵察結果を確認していて、仕方がない気もした。彼なりにダリューンの諫言を気にしていたのか。
 やっぱり最後は自分の目で確認しなければダメなんだ。在庫システムがあっても書類上の情報だけを信じて、引き出すと自分の目で確かめろと怒られるんだ。くっ…殺せ!
 まぁ、霧の中を少数で行動するのも王者としてはリスクが高いし、味方といえども盲信はせずに複数のソースに当たるべきってところが答えになるのかな。

 ヴァスリーズ大将軍の判断はとことん裏目に出てしまっていた。裏切りまで読んで引き際を見切らずに、強引に戦い続けていれば、あるいは!?
 王に味方と合流して後日を期すことを勧めた彼のセリフは現場の軍が全滅しても、首都や他の場所に十分な兵力が残るとも判断できる。「野戦軍」としての再編は厳しいかもしれないが……マルヤムまで復興しようとしなければ、なんとかなる。
 まぁ、アルスラーンに助けがくるまで自分の身を護れる剣を教えた功績は間違いなくあったという事で。
 ルシタニア兵をばっさばさと倒していくダリューンは弾薬と燃料が切れないKV-1重戦車だと思いました。いや、152ミリ砲を積んでいたKV-2の方かも。戦場で遭遇したら、そっと目を逸らして見なかったことにしよう。運が良ければ助かる。彼の機嫌が悪ければ助からない。つらい。

アルスラーン戦記2巻感想

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1. Posted by まる   2015年05月18日 16:53
一話から見どころ満載ですよね
個人的にはどちらも優しくて仲間思いなのに「大人しく奴隷になれば食べるには困らぬぞ」とか「神の教えに従わぬ貴様ら異教徒は差別し殺してもいい!」とか生きていた環境によってこういう台詞が出てくるのも面白い
もちろんこれから様々な経験を経て価値観も変わっていくのでしょうが

ヴァフリーフの意味深な発言といい一巻から伏線もところどころ見られますね

アンドラゴラス王は歴戦無敗を誇る強大な王で国を栄えてきたからまさか自分が裏切られるとは思ってもみなかったんでしょうね、気の毒と言えば気の毒
王たる者視野を広げ色んな可能性を考えなければならないんでしょうけど
2. Posted by こいん   2015年05月20日 22:01
 若くて染まりやすい二人だけに、それぞれが育った社会を写しだす鏡に鏡になっていますね。
 そういう意味ではやっぱり重要なプロローグでした。

 アンドラゴラスはそれまでが順調すぎたんでしょうね。いつしか自分の実力と運の区別がつけられなくなってしまったのでしょう。
 素質的には有能そうだったのに、もったいない。

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