2023年05月30日

ワイド版風雲児たち1巻 みなもと太郎

 表紙は坂本龍馬だけど関ケ原の合戦から始まる。幕末を目指す漫画。

 徳川家康が名古屋弁でしゃべっていて三河弁話者には悲しい気持ちになる……さすがにツッコミが入ったのか、後半では家康が方言で喋ること自体をやめていた。秦帝国は一代では終わっていない(二世皇帝がいる)し、執権は天皇が任命していないだろうなどなど、気になってしまった。天皇問題を考えるなら、京都から離れた鎌倉幕府と、京都を拠点にした室町幕府のことを踏まえて、江戸幕府の判断を描いてほしいな。
 1979年に連載開始された作品だから大らかなものだ。巻末のギャグ解説をみると蹄鉄はなかったからU字の足跡はつかないけどあえて描いていることを説明していたりもする。インターネットの普及していない時代に、たくさんの元ネタを整理してまとめているだけでも凄い。
 担当編集者からは知識の出どころが漫画ばっかりとツッコミを受けたりしているけれど。

 「裏切り者」小早川秀秋の扱いは非常に悪かった(根拠のない吃音でのキャラ付けは現代ではアウトだろう)。関ケ原で勝ち組になっても近代まで子孫を残せなければ、こんなもの。明智光秀と同じく江戸時代的忠義心の価値観を透過したことで評価に致命傷を受けているなぁ。
 逆に主家に尽くす吉川広家は徳川家康からこれからの時代に必要だと評価されている。それを言うと鍋島が龍造寺を下剋上しちゃったのは良いのか?吉川にも鍋島になるチャンスがあったんだなぁ。
 徳川家康が次の時代に求めた価値観の一番の持ち主が石田三成というのも歴史の皮肉かもしれない。

 ギャグが主体ながらも合戦描写には時として迫力があった。フキダシから矢印が出て人物に刺さる表現は完全にメジャー化しているな。


Edit こいん │Comments(0)漫画 

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
イチ押し

華を補うために本当に花を書くやつー

Recent Comments
スポンサードリンク

profile
永遠に覚醒しない楚の荘王

漫画を愛する心に卒業なんてないんだ…

趣味
 読書、作文、漫画、写真、天体観測、石集め、歴史(古代欧州、三国志、日本戦国時代)、ネットサーフ、その他たしなむ程度にいろいろ。
そして、このブログ

このブログへのトラックバック、リンクはご自由に。
トラックバックは可能な限りお返しします。どんなに古い記事でもトラックバック・コメントをいただければ喜びます。

更新の目安…かも
月:ジャンプ感想
火:月刊漫画誌感想
水:サンデー感想
木:チャンピオン個別感想
金:チャンピオン感想
土:漫画単行本・マガジン感想
日:漫画考察・Web漫画紹介