表紙のボダンがイキイキしていて羨ましい。狂信によって何の迷いもなく思い切り行動できている。それが迷いが多い凡人の立場では魅力的に見えてしまう瞬間が確かにある。だが、そんな自己演出も凡人の手段なのであった。
 ボダンを対照にすると平凡そうなアルスラーンの非凡さが見えてくる。

 まぁ、戦略じゃなくて戦術の次元で三つ巴の戦いをやらかす神経は正常じゃなかった(根本的に軍人じゃなかった)。標的をアルスラーンに絞って、あの「突撃」をやりきっていれば奇跡が起きていたかもしれないのに……けっこう良いところまで行ったな。
 ダリューンが本隊の殿をつとめてアルスラーンの近くにいなかった点も大きい。ジムサの戦場でダリューンの得物を調達する仕事は地味でも大きかった。
 トゥラーン人の略奪スキルが役立っている?
 ギーヴはルシタニア語もちょっと分かる多芸がすごい。でも、覚えた動機はルシタニア女性を口説くために違いない!期待を裏切らない男!

 エクバターナではアンドラゴラスとヒルメスが対面。彼がオスロエス王の末子であることが「兄」の口から告げられる。ついでに父オスロエスが兄たちによって謀殺されたことも――いっそ長生きさせて名誉を台無しにさせれば良かったのに。
 そうしたらヒルメスの弟たちがたくさん出来ていたんだろうか……おぞましいわ!

 アルスラーンがタハミーネ王妃から「お前は私の子じゃない」と言われたのも呪われたパルス王家の血から自由でいられる意味では祝福よな。まぁ、あの言い方だとアンドラゴラスの子ではあるけどタハミーネの子ではない可能性もあるが。