最上義光に鮭は欠かせない!この漫画でも彼の好物として鮭が出てきていた。もちろん、シスコンであるから妹の義姫も出番が多い。
 息子の伊達政宗と兄の最上義光が睨み合う真ん中に入って80日間も粘ることで戦闘を諦めさせた義姫のエピソードが最も印象に残った。伊達政宗は自分の父親を銃撃の巻き添えにした前科があるので、実母といえども安心はできなかったのではないか。
 関ヶ原の戦いにおいても母親がいる山形城を救援しないわけには……と言いつつ実際には救援軍を停止させている。控えめに言ってもややこしい人物である。
 それに比べて最上義光は素直に駒姫を羽柴秀次に差し出してしまったり、家康に気を遣って嫡男の義康を廃嫡してしまったり、天下人に振り回されている。駒姫の非業の死は正室の死にも繋がっている可能性があって、秀吉が秀頼に遺した負の遺産の一つである。          

 中島健志先生によるキャラクターデザインが相変わらず尖っていて、今回は最上義光の眉毛が尖っていた――表紙では兜に隠れて分からない。
 そして、前田慶次郎の髪型が鉄拳の平八状態だった。
 そういえば上杉景勝は頷くだけで発言がなかったなぁ。やっぱり無口キャラとして描かれている。

 長谷堂城の兵力が本編では1500、解説では5000、豆知識では1000となっていて同じ本の中でまったく安定していない。特に解説の5000は当時24万石の最上家にとって多すぎると思うのだが追撃戦時の人数でも拾ったのかなぁ。ただし文章では城兵となっている。
 ちなみにウィキペディアでは長谷堂城に立てこもったのは1000人になっていた。
 解説の注釈で難しい文章表現の説明が入るのもできるだけ避けてほしいよ。確実に注釈の必要な人物や当時の用語の注釈に読者を集中させてほしい。