王翦軍の幹部たちがまとめて戦死。亜光と田里弥が戦死して、倉央もカン・サロさんが漢・サロさんじゃなければ殺されているところだった。亜光たちに王翦を託されたのに私情優先の行動をやる倉央よ……人としての優先順位がしっかり固まっている様子が良い。秦王政の戦争に魂まで囚われていない。
 王翦が立ち止まっていたのは、ギリギリで逆転する策が動いている最中なのだと思っていたので、ひたすら幹部たちを信じて待っていたのは意外だった。桓騎よりも冴えない負け方に感じる。もっと早くに敗北を見切って撤退に切り替えていたら田里弥もなんとか生き残れなかったかなぁ。待っていれば逆転の目があったならともかくさ……楊端和軍も特別に優位に立っていたわけでもなく。
 まぁ、李牧の作戦勝ち。国から追われる身から演説で青歌の民を味方につけてここまで来た。あの李牧の演説を斉王が聞いたら、どんな反応をするだろうかと思った。まぁ、すでに国中が戦火に晒される戦乱を経験したからこその判断だが。

 大打撃を受けて中華統一が難しくなった秦王国は、昌平君の提言により、戸籍を整備し李信たちの若手を昇格させて、韓を滅ぼす。
 内政のことは韓非子を味方につけられていたら余裕があっただろうなと妄想して李斯の方を見てしまうが、そういう嫌味を言わせないためのああいう死に方だったのかもしれない。メタ読みすると。

 小国の韓は片手間で滅ぼすもの。戦国七雄を滅ぼすことは「秦は統一戦争辞めへんで」宣言にも受け取られそうだが、名のある国が滅ぼされるのは宋や魯や鄭が既に(秦以外の国に)滅ぼされているので今更のようでもある。三晋の残り二国である魏と趙には特別な意味をもつか。
 そういえば東周(東周の東半分の周)はもう滅びているんだっけ?――検索してみると「紀元前249年、秦の呂不韋によって攻め滅ぼされた」とのこと。
 それに比べれば韓滅亡は純粋に軍事上の目的をもった行動かなぁ。

キングダム72巻感想