万事休すで茶を沸かす

ワーク・ライフ・バランス。この響き。
最近、ワークライフ・バランスぐらいの比重で精神の糸を細々とつないでいる私です。一度切れたのを結んだ跡がたくさんある私の精神ですが、新しいレンズを試していないどころか、今年に入ってまだ四日市コンビナートに行っていないということに気づいた瞬間、音を立てて切断されました

というわけで、二週に渡って小刻みに、趣味の世界へ復帰する計画を立てた次第であります。
四日市コンビナートは必須として、廃墟も行かなければなりません。

仕事中に鼻歌を歌いながら想いを馳せていると、スライムのように流動的な計画が完成しました。

小分け旅① 四日市コンビナート+奈良県の廃墟1件(リベンジ)

小分け旅② 兵庫県の廃墟1件+岡山県の廃墟2件(内1件は再訪)

【小分け旅①】

1・四日市コンビナート

四日市コンビナートといえば、目の前で工場の姿を見ることができる塩浜地区や、川の対岸に並ぶ工場をフラットに撮影できる大正橋、夜景ファンが集うドーム裏など、遊園地のように全部が揃っている工業地帯であります。

新しく買ったレンズはシグマの17-70なので、近/中距離を狙います。

・大正橋
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・塩浜
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大満足であります。そのまま走り続けようとした私ですが、吉野家で牛丼をかきこみながらフォーリンスリープしそうになった為、廃墟は翌日に回して素直に帰りました。


2・奈良県の廃墟

ありえない高額の通行料を徴収する、奈良県のスカイライン。その中に、廃墟が建ち並ぶゾーンがあります。
この廃墟群のスリリングなところは、一見廃墟に見える物件でも売物件だったりして、よく見て入らないと思わぬ事態になる可能性があるという点に尽きます。肉肉野菜、野菜肉ぐらいの比率で、ガチ放棄物件と売物件が並びます。

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廃要素を存分に吸い込んだ私は、仕事に備えて早めに帰りました。探索後のワーク・ライフ・バランスは、下記の通りであります。

ワークライフ・バランス → ワークライフ・バランス】


【小分け旅②】

1・兵庫県のガソリンスタンド跡

更地になっていました。

この時点で全てを放棄して、安治川水門のちょっと開いたところに頭を挟んで自害しようかと考えた私ですが、気を取り直して二件目へ急ぎました。

2・岡山県の廃中学校

言わずもがな、この廃墟の見どころは、内部が真っ白に塗られた校舎であります。言葉が出ないぐらいにテンションが上がった私は、いつもの独り言を封じて撮りまくりました。
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興奮状態で次の物件へ向かっていると、興味深い水門を見つけ、私はすかさず写真に収めました。
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そして、車を停めた場所が廃墟であることに気づきました。前にはフォークリフトが停められています。そして、埋もれるように停められた、ふそうのトラック。中には日野レンジャーと丸目のキャンター。見逃すわけにはいきません。

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思わぬ突発廃車に遭遇した私は、最後の物件にルンルンで向かいました。

3・岡山県の運動公園跡

去年お邪魔したときは、時間がなくほとんど探索できなかった物件であります。
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一時間ほど歩き回り、撮れるだけ撮った私は、突き動かされるように家へと飛んで帰りました。

探索後のワーク・ライフ・バランスは、下記の通りであります。

ワークライフ・バランス → ワークライフ・バランス】※仕事の記憶を失いました

朝7時、予定通りに飛びおきた私は、墓から出てきたばかりのゾンビ並にとぼけたテンションで朝飯を食べに降りました。
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食べながら、熊本のホテルも同じような朝食だったなあと懐かしい気持ちになりました。

※後から写真を漁ったところ、2年前はウィンナー4本という強気の朝飯を食べていました。
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大人の嗜み『二度寝』を堪能して、私はA山荘へと向かいました。

1日目
 兵庫県:T園
 岡山県:Yロープウェイ跡山麓駅、Nセンター、T鉱山(再訪)
 広島県:海沿いの廃屋(中止)、大竹コンビナート工場夜景(リベンジ)

2日目
 島根県:A山荘
 山口県:橋のそばの廃屋(リベンジ)
 広島県;S荘
 岡山県:水島コンビナート工場夜景(再訪)
 
ジョニーキャッシュを聴きながらルンルンで走っていると、メインのルートから外れる道をグーグルマップが推してきます。187号線を北へ行き過ぎてから9号線へと合流するのだと思っていたら、間に東西へ抜ける道があるようです。
これは短縮になるぞ~とか独り言を言いながら、その道に入った私は数分で後悔しました。車高ギリギリの轍が残る雪道。Uターンしたいですが、待避所は雪を避けるのに使われているので、真っ直ぐ進むしかありません。

凍るまではいかずとも、橋の上は容赦なく滑ります。トラクションコントロールのランプが忙しなく点滅し、ズゴ、ズゴゴという空回りの音が後ろから聞こえてきます。
やっと抜けた私は、白い息を吐きながら車から降りて深呼吸しました。
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新雪に足跡を残す気まずさを味わいながら坂道を上がると、意外に規模の大きい廃墟が出てきました。

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30分くらいで出る予定でしたが、これはすぐ帰れというほうが無茶な話であります。

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工業系ではない廃墟の中で、ここまで広い物件は始めてであります。
時間をかけすぎて、橋のそばの廃屋は行けそうにありません。私は、S荘へと向かいました。

S荘といえば、崩壊しかけている建物もそうですが、朽ちた廃車もあるというかなりの好物件。

全く雪の気配のない山道を上がると、建物がありました。
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予想以上に崩壊しています。私は外からああでもないこうでもないと独り言を呟きながら撮影して、廃車を探しました。しかし、建物の周りにはありません。食い倒れ人形再びであります。顔をきょろきょろぶん回しながら戻ってきたところ、二股に折れた道があることに気づき、倒れた木をくぐって抜けた先にそれはありました。

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廃車とは噂に聞いていましたが、これはダットサンキャブライトであります。しかも2台。
写真を撮るとき、いつも草を掻き分けたり体勢を変えたり、カメラの設定を変えたりと色々なことをした記憶があるのですが、この時に関しては、記憶を司る機能が停止したようでした。

キャブライトを使っていたということは、廃墟が現役であった年代も自ずと分かってきます。ダットサンキャブライトが生産されていたのは、1958年から1968年の10年間。ということは、半世紀近くここにいたのです。
M鉱山で昭和三十年代のヤクルトの瓶を見たときと同じ、タイムスリップしたような感覚です。

満足かつ汗だくでスカイラインに戻った私は、スーパー銭湯を探しました。そこで見つけたのが、ホットカモであります。
新しいような、どこか懐かしいような、とても居心地のいい施設でありました。階段でじゃんけんをしている親子がおり、確かグーは『グリコ』、チョキが『チヨコレイト』、パーが『パイナツプル』だったなとか思い出して通り過ぎると、女の子がチョキで勝ったらしく、『ちんつうざい~』と叫びながら6段上がっていきました。
その尖ったセンス。将来が楽しみであります。

すっかり温泉で癒えた私は水島へと急ぎました。小分けにしてスポットを潰していくのが恒例になっているのですが、今回も漏れなくひとつに絞って訪問しました。
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何かに突き動かされるように、洗車機でスカイラインの下回りを今一度洗浄して、私は家に帰りました。これにて、2016年の走り納めであります。

走行距離:1274km
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古着屋に女の着物が並んでいる。売った女の心が並んでいる -夢野久作-

グラフィックカードを換えたら、パソコンの蓋が閉まらなくなった私です。

大竹コンビナートの迫力に圧倒されたのが、つい先月。その撮影点数の少なさに首を捻ったまま前転しそうになったのが、つい先日。
雨でやむなく中断したことを思い出したのであります。

現代に生きていながら、天気に行程を左右されるというこの脆弱さ。私は自分の不甲斐なさに怒りを覚え、今の自分にできることを考えました。
できることはひとつ。再訪であります。

500キロ西に向かって、500キロ東に戻るだけの、シンプルな旅。
しかし、旅にはトッピングがつき物であります。

1日目
 兵庫県:T園
 岡山県:Yロープウェイ跡山麓駅、Nセンター、T鉱山(再訪)
 広島県:海沿いの廃屋、大竹コンビナート工場夜景(リベンジ)
2日目
 島根県:A山荘
 山口県:橋のそばの廃屋(リベンジ)
 広島県:S荘
 岡山県:水島コンビナート工場夜景(再訪)

予定走行距離:1300km

一泊で帰ってくる、お手軽な行程であります。
出発直前に冬将軍がやってきて、雪をちらほら降らせたとのニュースが流れてきて、私は一抹の不安を感じました。

一発目は、まあまあ山の中にあるT園。廃レストランであります。朝7時に到着した私は、車から降りるときにこけそうになりました。
水溜りが凍っている。私がスカイラインを停めた場所は綺麗に除雪されているみたいですが、歩道は違ったようです。

持参したサバゲ用のブーツに履き替え、私はT園を探索しました。

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車に乗り込む時にこけないように注意しながら、私は次の物件へと急ぎました。Yロープウェイ跡は、山頂の方は何度も訪問していますが、山麓側は初めてであります。
こちらも雪がすごく、腰をかばいつつシャクシャクいわせながらつづら折りの道を歩くと、駅が姿を現しました。

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山頂駅にあるプーリーの片割れがこちらにもいるはず。そう思った私は階段を小走りで駆け上がり、乗り場まで上がりました。目は血走り、また三脚をどこに置いたか忘れそうになりながら、食い倒れ人形のように目をぎょろぎょろさせます。
足を踏み入れた瞬間崩壊しそうな螺旋階段の下に機械室らしき部屋があるのが見えて、私は駆け下りました。

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中々の好スタートに、胸が躍ります。次は、Nセンター。ここは道路をまたぐ形で廃墟があり、車とのツーショットが狙えます。
倒木や落石を避けながらのヒヤヒヤドライブの末に、たどり着きました。

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続いて、T鉱山へ向かいます。再訪物件であり、3年前は泣く泣く雨で探索を断念したのでありました。こんな道だったっけかと首を捻りながら山道を走ること小一時間。
人間の記憶は曖昧とか言いますが、私の記憶はゼロ、いやNULLでありました。しかし、物件の見た目は覚えています。

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これほど崩壊している廃墟は、中々お目にかかったことがありません。天井が抜け、残った壁は傾き、どこから上るのか分からないような有様でした。

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ここまで興奮状態で撮影を続けていた私ですが、予定よりも時間が1時間ほど押していることに気づきました。廃墟は日の入りまでが探索の期限であり、それには間に合いそうにありません。それに追い討ちをかけるように、道端に廃車があるのを見つけた私は、南無三と言いながら収めました。
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四件目をきっぱり諦めた私は山陽道に乗り、サービスエリアで昼飯を食べることにしました。

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大根おろしだと思って、さっぱりしようと口に放り込んだ塊の正体は、おろしにんにくでありました。
ものの数分の内に歩く化学兵器と化した私は、呼吸をミニマムにしながら土産を物色し、スカイラインに戻りました。

本線に戻ったところ、笠岡から福山東まで通行止の文字が見えます。猛スピードで追い越していくパトカーと機捜バン。NEXCOの車両。事故で通行止めになったようです。
私がおろしにんにくと格闘しているときに起きたのでしょうか。

事故というのは、安全運転していても防げない時は防げない。免許を取ってから数年の間は毎年のように事故を起こしていた私は、福山東から山陽道に合流しました。無茶はいかん。言い聞かせながら、宿へと向かいます。

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赤と緑の文字が毒々しく、一度入ったら生きて出られなさそうな見た目ですが、ここはとても快適なホテルであります。熊本県を訪れたときも、このチェーンでした。
郊外型であり、一度チェックインしたら、館内にレストランから居酒屋まで、全て揃っています。

荷物を放り込んで、私は大竹へと急ぎました。

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まだまだ満足はいきませんが、とりあえずこないだのリベンジは果たしました。融雪剤の上を走りまくってきたので、スカイラインを下回り洗浄のある洗車機に通して、軽く拭き上げます。

宿に戻った後は晩飯なのですが、おろしにんにくが胃の下のほうに、そのまんまの形でまだいます。なので、弁当はひとつにしました。

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朝食の時間が7時であることを何度も確認している内に意識が薄れ、私は白目をむいて寝ました。

2日目に続きます。


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