万事休すで茶を沸かす

2016年11月

これまでのあゆみ

1日目
 高知県:M中継所跡
 香川県:お○り村、R院、屋島(NEW!)
 愛媛県:四国中央市工場夜景(再訪)

2日目
 愛媛県:廃集落
 山口県:橋のそばの廃屋(中止)
 広島県:N林道の廃車(到達できず)
 島根県:H小学校
 広島県:大竹コンビナート工場夜景

3日目
 鳥取県:W鉱山
 岡山県:Yロープウェイ跡(再訪)、T鉱山(再訪)、B工場

朝7時、私は急いで荷物をまとめ、宿を脱出しました。寝坊であります。
160キロほどを、ノンストップで移動します。

1件目は鳥取県のW鉱山。新規物件であり、予測は当てになりません。車を停めてえっちらおっちら山道を歩くと、建物が開けた景色の中に見えてきました。
でかい。私は確信して、小走りで前まで来ました。

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1899年から1995年まで稼動していた施設であり、クロムの鉱山であります。
その規模、風格、錆、残留物。スケールが違います。あまりに被写体が多すぎて、私は混乱しました。
ステーキ・ローストビーフ・白身フライ・エビフライ・しゃぶしゃぶ・すき焼きが並んでいる食卓に案内されたような気分です。

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途中、どこに三脚を置いたか忘れるほど、私は首を曲げたりしゃがんだりしながら撮りまくりました。
気づくと1時間30分が経過しており、予定探索時間を大幅にオーバーしております。

再訪2物件に寄っている時間はありません。私は、B工場へと急ぎました。

途中、道の駅「にちなん」で昼飯を食べます。
猪のチャーシューを食べたのは初めてですが、癖がなく、葱との相性も抜群でありました。
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B工場は染料で真っ赤に染まった工場でありますが、入ってすぐに、私の廃アンテナは一気に収縮しました。とても綺麗なホンダアクティが停まっています。
廃墟インした際に、重機と新しいトラックを目にしたら、即座に引き返すべきであります。それは、その廃墟が何かに転用されて現役であるということを示します。
私はきびすを返して、車に戻りました。

親父の誕生日祝いに4リットルのウィスキーを2本買い、家へと戻ります。あちこち狂ったように走り回る目的も、結局はただひとつ。
それは、「どこかから家に帰る」というイベントを作るということ、これに尽きます。

走行距離:1630キロ

ある名をば、丁寧に書き、丁寧に抹殺をして、焼き捨てる心 - 夢野久作 -
朝6時、このフレーズを思い出しながら、私は寝坊せずに起きました。

1日目
 高知県:M中継所跡
 香川県:お○り村、R院、屋島(NEW!)
 愛媛県:四国中央市工場夜景(再訪)

2日目
 愛媛県:廃集落
 山口県:橋のそばの廃屋
 島根県:H小学校
 広島県:大竹コンビナート工場夜景
3日目
 鳥取県:W鉱山
 岡山県:Yロープウェイ跡(再訪)、T鉱山(再訪)、B工場

日が昇るにつれて車内の温度が上がり、体のあちこちが起床していきます。早起きしてサービスエリアで食べる朝食は格別であります。
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1件目は、愛媛の林道上に存在する廃集落。素掘りのトンネルなど、ボーナスステージもある魅力的な物件であります。

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ウォーキングデッドを観ている身には、とても親近感の沸く物件でした。

廃屋に興奮しすぎて、少し時間が押しています、橋のそばの廃屋よりも、N林道の廃車を見たほうが移動距離が短いと考えた私は、N林道へと目的地を切り替えました。
しかし万事休すで首を吊るとはまさにこのことで、途中から車両乗り入れ禁止の登山道となっておりました。
物理的には通れますが、変に真面目な私はそこで断念しました。

すぐに切り替え、なんで生きてるんだろ~などと呟きながら、H小学校へと向かいました。

廃校童貞の私ですが、ここにしてクイックにその童貞を捨てたことを告白いたします。

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2日目の物件探索が終了し、後は宿へチェックインして仮眠して大竹コンビナートを回るだけ…なのですが、ひとつ気になることがあります。
それは、雨。
小学校を探索する時も小雨でしたが、夜になるにつれて雨足は強くなると予報されています。
昼の探索なら手持ちでパッパと撮るので問題ないのですが、夜景はそうはいきません。

大竹コンビナートへ先に寄ることにしました。
その距離感に圧倒されます。川崎や四日市のように、目の前で工場を見ることができる素晴らしい工場地帯。
あまりの近さと規模の大きさに、私はどうしていいか一瞬分からなくなり、車の前で三脚を広げたり畳んだりしながらオロオロしました。
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ようやくウォームアップが終わった時です。一滴の水が頭に落ちてきました。通称「雨」
時計を見ます。まだ1時間しか経っていないのに。私は天に向かって言いました。
「大阪から遠路はるばる来たということだけ、ご認識いただけたら幸いです」
普通に二滴目が来たので、私は車に戻りました。「やっと諦めたか」とでも言うように、突然雨足が強くなります。それでも諦めきれず、私は三脚を車の中に立てて、リアハッチを開放して1枚を撮りました。
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宿は岩国市のホテル。部屋はデザイナーズルーム。分不相応なほどにお洒落で、いい部屋でした。
晩飯を買って帰る途中、がらんとしたアーケードに千鳥足のおじさんがひとり、ご機嫌で歩いておりました。
「雨が降るよ~」
おじさんは、通行人に注意喚起をしているようであります。私は傘を持っていないので、声をかけられるのかなと思いつつ、信号待ちで横に並びました。おじさんは無言であります。
やがて、法則があることに気づきました。おじさんは、ある一定年齢より下の女性に対してのみ雨の心配をしているのです。
私はある一定の年齢以上の男である為、注意喚起の対象から漏れたのでありました。

一番驚いたのは、そのおじさんに対する女性たちの反応でした。みんな無視することなく「はーい」とか、スマホから目線を上げて小さくうなずいたりとか、何らかの反応をしてあげているのです。
こんなテレビドラマみたいな町が実在するのか。優しい世界にほっこりしながら、宿に戻った私は容赦なく晩飯を吸い込みました。
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本当に空腹の時、弁当の最良のおかずは、別の弁当であります。

明日も早起きじゃな~とか思っていると、座ったまま意識が飛んでいた為、私は素直に眼鏡を外して寝ました。

3日目に続きます。

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10月から11月にかけて馬車馬のように働き続けた結果、挨拶が「おはようございます」から「ヒヒン」へと転じた私です。

仕事とは緊張と緩和を交互に繰り返すものであり、その緩和の際に別の緊張を差し込んでしまうのが人の常であります。
5月の北海道旅、8月の東京旅からすでに月日は過ぎました。イベント明けと同時に、しなければならないことがある。そう考えた私は、廃墟/工場旅をあれこれ思案し始めました。

まず、旅で走る予定の距離を考えます。次式で求めます。

直前まで実施していたイベントの大きさ(0~300) A × 検討すべき内容の重さ(0~10) B +徹夜などの身体的重さ(0~300) C = 予定走行距離

今回は、150(A)×8(B)+150(C) = 1350kmとなりました。

5月、8月と東に向かったので、今回は西へ伺います。

以前から行きたかった場所、新規案件など含めて検討した結果、旅の計画が数十分でチーンと完成しました。

1日目
 高知県:M中継所跡
 香川県:お○り村、R院
 愛媛県:四国中央市工場夜景(再訪)
2日目
 愛媛県:廃集落
 山口県:橋のそばの廃屋
 島根県:H小学校
 広島県:大竹コンビナート工場夜景
3日目
 鳥取県:W鉱山
 岡山県:Yロープウェイ跡(再訪)、T鉱山(再訪)、B工場

予定走行距離:1560km

新規8物件、再訪2物件、新規工場地帯1件、再訪工場地帯1件となると、なかなかのボリュームであります。

予定に合わず、泣く泣く候補から外したのは

香川県:S温泉センター
山口県;O集落
島根県:A山荘
広島県:N林道の廃車

の4物件となりました。

宿は意外に空きがなく、1泊目は超エコノミーな四国中央のビジネスホテル、2泊目は少しお高めな岩国市のホテルとなりました。デザイナーズルームとか書いてあって、街育ちでありながら心は田舎者の私は、出発前から緊張します。

そこからも仕事でちょくちょく色々とありつつ、万難を排して私は夜中に出発しました。
M中継所跡までは320km。高速道路の巡航であれば休憩を含めて4時間で到着するところですが、高速を降りてからの山道が長い為、そうは行きません。8時間ぐらい見ておかないと危険であります。

道中、発作のようにサンドイッチを食べたり、鳴門から先が通行止だったりと色々ありましたが、出発から7時間後に、私はM中継所跡に到着しました。

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前後の道は切り開かれた山の中を細々と通っており、どこか日本ではないような、荒涼とした景色が続きます。
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1件目でエンジンがかかり、スーパー探索モードに切り替わります。続けざまに約3時間の移動を経て、お○り村へと急ぎます。

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開放的で、光の差込がとても美しい廃墟。山本一洋という方のパンフレットが落ちていました。芸術関係のイベントもやっていたみたいです。その年号を見たとき、私の頭の中はカルキ抜き再沸騰しました。
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平成元年。
1989年、この響き。朝、学校へ行く前に流れていた山本山のCM、当時家の車だった赤いマツダルーチェ、激突やバニシングポイントといった車の映画を食いつくように観ていた子供時代の私自身。全て記憶しております。
同じ時間に、このイベントはこの廃墟で行われていたのであります。

続いては、R院。ここは宗教関係の施設だったようで、ステンドグラスが美しい場所でした。
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早めに行動したので、時間が余っております。スーパー銭湯で骨を癒した私は、近くに屋島があることに気づきました。4年前、えっちらおっちらと一周した私は、穏やかな雰囲気にとりこになりました。ロープウェイ駅は解体されたとの噂を聞いておりましたが、これだけ近いなら行くしかありません。

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絶景を望める場所ですが、施設はほとんどが廃墟であります。

思わぬ形で余った時間を過ごした私は、四国中央市へと急ぎました。途中、仇のように昼飯をかきこみます。
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宿泊施設は、道路沿いのビジネスホテル。バッキバキの昭和感、どっかんと鳴って停まるエレベータ、全てが最高であります。
線香のような香りや、豪華なソファ、初めて来たのに昔どこかで経験したことがあるような雰囲気があり、落ち着いた時間を過ごせました。

2時間ほど休憩した私は、前回訪れた時に時間が足りずに断念した数箇所をめぐりました。

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午後10時、晩飯を購入して宿に戻った私は、リスのようにせわしなく食べて白目をむいて寝ました。
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2日目に続きます。

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