午前中は自宅で朝食と野暮用の後、大学に発つ。昼前に到着し、生協コンビニで、かなり小さめの弁当を買って研究室にてやや早めの昼食。

13時から14時30分まで、3回生「複素解析学II」の講義。今日は正則関数の零点が孤立点であることの直接的証明、および「一致の定理」を使った証明。俺サマはこの数年間この講座を教えているが、そういえば「一致の定理」については一度も話していなかったが、今年は初めて証明を示した。それから孤立特異点の話に入り、極の定義をしたところで時間切れ。次回はその続きから。

引き続き、14時40分から16時10分まで、2回生「代数学序論II」の講義。今日は準同型写像の像が正規になる例やならない例を示した後、準同型定理の話に入る。今日は準同型の核で剰余群を作って、そこからの誘導写像が準同型になるところまで示した。次回はこれが単射になることの証明から。

その後、研究室に戻って一息。16時30分に昨日約束しておいた学生が質問にやってきた。話は10分程度で終わった。本人が言うには、数学はあまり好きではなく、勉強してない。先生の前期の授業も1つは全然勉強してなくて単位を落としたし、もう一つの方は受講すらしてない、と。

しかしその割には、自分で適当な数学書を見つけて自習して、質問などをしてくる。俺サマが教えてやった証明を見て、「こういう議論がすっと出てこないんですよね。どうやったら出来るようになるんですか?」と聞いてくる。”数学はあまり好きではない”どころではなく、十分好きな学生のようである。

その後、大学の保健センターらメールが来て、台風の影響で23日の健診は延期になるかも知れない。その判断は22日日曜の16時に行う、と。

俺サマは、23日午後1番の健診に予約するため、Web予約が開始される当日は朝からスタンバイして、最初の30秒間の勝負!とばかりに、苦労して予約を取ったのである。毎年城崎出張の直後に健診があって、そのため城崎ではロクに美味い物も美味い酒も飲み食いできず節制してきて、今年やっと出張前に健診が受けられると小躍りしてたのに、、、その予約がチャラになるとは、ふざけるな!!!!!!と誰に言う?台風に言ってもしょうがないし。お天道様か?

と、いうことで、どーんと暗い気分で17時過ぎに大学を発る。幸い雨は降ってないので、水曜日に持ってきたスーツも持ち帰った。

帰宅して夕食の後、しばし数学。

22時からは、例の竹野内豊が結び目理論専攻の数学者穂波孝を演じるNHKドラマを見る。ストーリー自体はかなり怪しい世界にハマってきたって感じだが、例によって端々の数学業界的なところが気になる。

主人公が研究室の学生達に「『ゆあーん、ゆよーん、ゆやゆおん』にトポロジーを感じる!」と語るのは、まあ、ご愛嬌だと思っておこう。

同期の軟派教授が、「結び目の新しい不変量を発見したっていう、お前の修士論文、あれは凄かったな。でも俺たち、もうどう頑張ったってフィールズ賞は取れないし(年齢制限があるから)、あとは大学の中でどううまくやってくかだけだな」とか言ってたのに対しては、色々な意味で「ちーがうだろー!!ちーがうだろ!?」と声を大にして言っておこう。

しかしそれよりも何よりも、俺サマが違和感を持ったのは穂波研の数名の学生達である。いつも穂波准教授の個人研究室にたむろして勉強している。ああいうのは数学科では珍しい光景ではないか。首都大学東京(このドラマのロケ地の大学らしい)ではそうやってるのか。

さらに不思議なのは、学生に不人気な穂波研に、何で卒研生(らしき)学生が5~6名も居るんだ?Rits数理科学科切っての超絶不人気教授の汚名を欲しいままにしている俺サマに言わせれば、5~6名も学生が入ってくるのに不人気だとは笑わせやがるぜ。不人気なら、普通はゼロか、せいぜい1、2名だろうが。俺サマの研究室はそんな感じだぞ。

あとは、朗読サークル通いで偏屈ぶりが緩和されて、学生との関係も良くなり、初めて学生に誘われて一緒に飲み会に出かけるという設定も、まあ、ドラマとしてはそれでいいんだろうけど、何だかなあ、、、って感じ。

奥さん子供に逃げられて、がらんとした自宅に帰りたくないからと言って、学生と一緒に飲みに行ってニコニコするんかい。数学者穂波孝の偏屈さってのは、所詮その程度のささやかなものだったのね、と。学生に飲みに誘われても絶対に行かない俺サマからすれば、この先生、まあ、普通の人だな、と。

かように、不人気さでも偏屈さでも、俺サマはこの穂波孝には全然負けてないね。と思わず対抗心を燃やして、勝手に勝ち誇れるところが、このドラマの楽しみのひとつである。