2011年03月10日

お金の流れが変わった! (PHP新書)お金の流れが変わった! (PHP新書)
大前 研一

PHP研究所 2010-12-16
売り上げランキング : 50

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自分的満足度 ★★★★☆、 赤ペンチェック数:8

■ 書評 ■
現在、世界経済を動かしているお金はホームレス・マネーだと言う。ホームレス・マネーとは著者の造語で、
投資先を探して世界をさまよっている、不要不急で無責任きわまりないお金
のことだ。

高齢化の進む成熟社会となった先進国の経済は縮小していく一方、新興国の躍進は甚だしい。当然このホームレス・マネーもそこへ流れていってしまう。

そうは言っても、日本経済を再成長させるための構想も熱く語っていて、日本もまだまだ頑張れる余地があるという気にさせられた。ただし政府がちゃんとした将来ビジョンを持って政策を実行できればの話。

本書では現在の経済に対する解説がわかりやすく、面白い。サブプライム問題やギリシャ危機を初めて理解した気になれた。また、経済のボーダレス化によって、マクロ政策の効果が逆になるというのも正しい指摘に思える。

▼ 赤ペンチェック (特に印象に残った言葉など) ▼
・成熟経済では金利を下げて資金供給しても、経済自体が資金を必要としていないから、それを吸収しない
・親日国家インドネシア
・日本列島の均衡ある発展という田中角栄の呪縛と明確に決別しないといけない

dedicatedperson at 23:35コメント(0)トラックバック(0)ビジネス書投資関係 

2011年02月21日

生命保険はだれのものか―消費者が知るべきこと、業界が正すべきこと生命保険はだれのものか―消費者が知るべきこと、業界が正すべきこと
出口 治明

ダイヤモンド社 2008-11-29
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自分的満足度 ★★★★☆、 赤ペンチェック数:4

■ 書評 ■
著者はライフネット生命の社長。さすがに”中の人”が書いているだけあって秀逸。一般書でこれほど保険を体系的に、しかもわかりやすく説明している書籍は他にないだろう。保険料の決定方法に始まり、手数料率のカラクリ、生命保険の種類、はては保険会社の運用方法(資産配分の内訳)まで紹介している。とはいえ、多くの人の関心事はどういう保険に入るのが最も得かということだ。この問いに対する答えも本書を読んで自分の頭で考えれば導ける。下手にフィナンシャルプランナーが書いた書籍を読むよりも深い理解を得られるのは確実だ。

今回私が初めて理解できたことがある。それは保険会社にとって、養老保険のような生存保険よりも掛け捨て定期保険の方が手数料稼ぎをしやすいということ。これは最近の風潮である「保険料の安い定期保険がベスト」といった考え方が必ずしも正しくないことを示唆する。そういえば会社の団体生命保険は定期保険しかないので安いのかもしれない。どういうことかというと、生存保険の付加保険料を定期保険加入者が払うような構図が存在しないということだ。こういったことまで理解した上で、資産運用のツールとして保険商品を使うかどうかを考えなくてはいけない。最近私は終身生命保険はそれほど悪い金融商品ではないと思っている。特に自分で資産運用(投資)できない人は保険会社に運用してもらった方が良い。

さて、著者は日本の生命保険業界の抱える問題点を指摘している。その中でもことさら強調しているのは、各社の商品比較が難しいこと。これは否定しようのない事実だ。さらに資産運用を考える上では、保険商品以外の金融商品すべてを比較しなければいけないだろう。そのためには高い金融リテラシーが必要で、結局賢い消費者になるしかない。

▼ 赤ペンチェック (特に印象に残った言葉など) ▼
・手数料の決め方には”保険金額比例”と”保険料比例”があり、前者は若年層が損をする
・新規に販売する生命保険の予定利率は1.5〜2.0%程度に規制されている

■ アクションリスト ■
□ 共済は社会の高齢化が進むと現システムの維持は難しそうで、それに備える必要がある。
□ 生存保険への加入を検討する

dedicatedperson at 21:33コメント(0)トラックバック(0)投資関係ビジネス書 

2011年02月11日

生命保険のウラ側 (朝日新書)生命保険のウラ側 (朝日新書)
後田 亨

朝日新聞出版 2010-02-12
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自分的満足度 ★★☆☆☆、 赤ペンチェック数:0

■ 書評 ■
いい加減はまりすぎだろ!と自分に言い聞かせたくなるほど保険関連書籍を読んできた。先日の記事でほぼ結論は得られたのだが、『内藤忍 お金の話をしませんか』で薦められていたので一応チェック。

本書では保障と貯蓄を分けて考え、生命保険は保険料の安い定期保険がベストと説く。最近主流の考え方だ。しかし、浮いたお金で投資をしないと機会損失により相対的に損することまでは踏み込んで触れていない。ここまで書いてあるのは『いかさま生保マンがあなたの資産を食い潰す』くらいで、こちらは金融&保険リテラシー両方が身につく。私は『いかさま生保マン〜』の方を強く薦める。

本来、保障と貯蓄は一緒に考えないといけない。それを保険会社で一緒に管理してもらうのか、自分で両方を管理するかだけの話。前者の場合だと手数料が高くつく。

さて、生命保険料をサイトで比較してみた。30歳男性が、向こう10年間保険に入る場合、保険料が安い順に以下になった。
 収入保障保険 < 会社の団体保険 < 共済 < ライフネット生命 < 大手生命保険
ただし、年齢が高い場合は、年齢によらず保険料一律の共済が圧倒的に有利になる。

ここで、収入保障保険は加入後すぐに死亡した場合に受け取る総額をほかの保険金と同額にして比較している。ちなみに、定期保険の保障額を年々下げるように毎年更新することも考えたが、長期の収入保障型の方が圧倒的に安い。

収入保障保険が安い理由は、保険会社が従来の保険なら一括で支払うはずの保険金の大部分を長期で運用できるからと考えることができる。したがって保険金受け取り人が自力で資産運用できる場合は収入保障保険のお得度は下がることになる。私の場合妻が上手に資産運用できるとは思えないので、収入保障保険に加入することにした。

収入保障保険に入る際、ちょっとした裏ワザがある。保障期間が短くなってきたら、その時点の保障金額合計と同額の定期保険に乗り換えることで保険料が安くなる。そのからくりは、上で書いた保険会社側のメリットがなくなるから。具体的なやりかたは、例えば20年の収入保障保険に入った場合、最後の5年は共済に乗り換えた方が保険料支払総額が少なくなる。保障総額は同等かそれ以上のままでだ。損保ジャパンひまわり生命の”家族のお守り”はこの裏ワザをやられてしまわないように、保険料がだんだん安くなっていき最後の5年間は当初の半額になるよう設計されている。その分スタート時点の支払額は若干高い。本来なら保障額の多いスタート時点の保険料が高くて、だんだん減るというのが自然な商品設計だろう。しかし、これをやると若い人が入ってくれないので、多くの保険会社は保険料定額としている。
結論として、保険料定額の収入保障保険に入って、途中で共済に乗り換えるのがベストな選択になる。

dedicatedperson at 14:23コメント(0)トラックバック(0)投資関係 

2011年02月09日

一番トクする住宅ローンがわかる本―はじめての人でもこれで安心!一番トクする住宅ローンがわかる本―はじめての人でもこれで安心!
エフピーウーマン

成美堂出版 2010-06
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自分的満足度 ★★★☆☆、 赤ペンチェック数:11

■ 書評 ■
「はじめての人でもこれで安心!」と表紙に書いてある通り、オーソドックスな感じの住宅ローン入門書。今まで断片的な知識しかなかったのが、これ1冊できれいに整理できた。ただし通り一辺倒な説明に終始しているので、”上手に”住宅ローンを活用するためにはもっと勉強しないといけない。

dedicatedperson at 00:32コメント(0)トラックバック(0)投資関係 

2011年02月05日

半値になっても儲かる「つみたて投資」 (講談社プラスアルファ新書)半値になっても儲かる「つみたて投資」 (講談社プラスアルファ新書)
星野 泰平

講談社 2010-12-20
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自分的満足度 ★☆☆☆☆、 赤ペンチェック数:4

■ 書評 ■
本書の副題を考えた。『倍になっても損するつみたて投資!』

ずいぶんと積立投資によるドルコスト平均法を過信ししているようだ。実際には一括投資と比べてつみたて投資が有利ということはない。この辺は”ファンドの海”で解説されている通り。他に山崎元氏の著作を読んでもらえればわかると思う。

著者は一括投資と積立投資は別物であると考え、積立投資によるリスク軽減効果を説明している。ただ理論的な裏付けはまったくなされておらず、おそらくエクセルかなんかで都合のよい期間のデータを切り出して検証しているだけ。たぶん金融理論を学んだことのない人なんだろうなぁと思ってしまう(私もちゃんとは勉強したことないですが・・・)。データの検証方法は突っ込みどころが満載すぎる。そしてものすごい熱意で、「つみたて投資なら損をしない」的な印象を与えられ、ちまたに氾濫する安直な投資助長本と変わらない。

ただ、一括投資と積立投資ではアセットアロケーションやリバランスの最適なやり方が違うかもしれない、とは私も最近感じている。このあたりを解説した書籍がないものかと探してみたが見当たらない。投資理論はプロが比較的短期で儲けを出すために開発された学問だからかと思う。実は本書がこのあたりを解説しているのではないかと期待して購入したのだが見当外れだった。

最近私の頭を悩ましているのは特に積立投資におけるリバランスの仕方。よく「数年に1回の頻度でリバランスすると、リターンが増えてリスクは減る」と言われる。これは過去のデータを検証して結論付けられた経験則である。しかしどうもこれは一括投資している場合のシミュレーション結果のようだ。一括投資のリバランスはトレンドの反転を期待しての行動と言える。一方、積立投資のリバランスはトレンドがしばらく続くことを期待した行動のような気がするのだ。

一括投資のリバランス方法と同じ効果を得られる、積立投資のリバランス方法はどういうものかという課題をここ数日悩んできて、最近ようやく解を得られたつもり。まだ自信が持てないので、もう少し悩んでみる予定。この問題が解ければ、ポートフォリオを構築していく途中でマーケットに大きな変動があった場合の対処方法がわかるはずだと考えている。もっとも、これがわかったところで一般的なリバランス方法と比べて有利でもないし不利でもないとは思う。リスクを少しでも減らせればいい。

▼ 赤ペンチェック (特に印象に残った言葉など) ▼
・つみたて投資の場合、金融商品の成績と、投資の成果が一致しない
・「つみたて投資」は、預金などの「今あるお金」ではなく、お給料や不動産収入などの、これから生まれる「未来のお金」の投資方法

■ アクションリスト ■
□ つみたて投資における最適なリバランス方法を考察する

dedicatedperson at 00:19コメント(0)トラックバック(0)投資関係 
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