2011年02月05日
積立投資と一括投資は別物:『半値になっても儲かる「つみたて投資」』
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■ 書評 ■
本書の副題を考えた。『倍になっても損するつみたて投資!』
ずいぶんと積立投資によるドルコスト平均法を過信ししているようだ。実際には一括投資と比べてつみたて投資が有利ということはない。この辺は”ファンドの海”で解説されている通り。他に山崎元氏の著作を読んでもらえればわかると思う。
著者は一括投資と積立投資は別物であると考え、積立投資によるリスク軽減効果を説明している。ただ理論的な裏付けはまったくなされておらず、おそらくエクセルかなんかで都合のよい期間のデータを切り出して検証しているだけ。たぶん金融理論を学んだことのない人なんだろうなぁと思ってしまう(私もちゃんとは勉強したことないですが・・・)。データの検証方法は突っ込みどころが満載すぎる。そしてものすごい熱意で、「つみたて投資なら損をしない」的な印象を与えられ、ちまたに氾濫する安直な投資助長本と変わらない。
ただ、一括投資と積立投資ではアセットアロケーションやリバランスの最適なやり方が違うかもしれない、とは私も最近感じている。このあたりを解説した書籍がないものかと探してみたが見当たらない。投資理論はプロが比較的短期で儲けを出すために開発された学問だからかと思う。実は本書がこのあたりを解説しているのではないかと期待して購入したのだが見当外れだった。
最近私の頭を悩ましているのは特に積立投資におけるリバランスの仕方。よく「数年に1回の頻度でリバランスすると、リターンが増えてリスクは減る」と言われる。これは過去のデータを検証して結論付けられた経験則である。しかしどうもこれは一括投資している場合のシミュレーション結果のようだ。一括投資のリバランスはトレンドの反転を期待しての行動と言える。一方、積立投資のリバランスはトレンドがしばらく続くことを期待した行動のような気がするのだ。
一括投資のリバランス方法と同じ効果を得られる、積立投資のリバランス方法はどういうものかという課題をここ数日悩んできて、最近ようやく解を得られたつもり。まだ自信が持てないので、もう少し悩んでみる予定。この問題が解ければ、ポートフォリオを構築していく途中でマーケットに大きな変動があった場合の対処方法がわかるはずだと考えている。もっとも、これがわかったところで一般的なリバランス方法と比べて有利でもないし不利でもないとは思う。リスクを少しでも減らせればいい。
▼ 赤ペンチェック (特に印象に残った言葉など) ▼
・つみたて投資の場合、金融商品の成績と、投資の成果が一致しない
・「つみたて投資」は、預金などの「今あるお金」ではなく、お給料や不動産収入などの、これから生まれる「未来のお金」の投資方法
■ アクションリスト ■
□ つみたて投資における最適なリバランス方法を考察する