国立社会保障・人口問題研究所によると、わが国の総人口は、2010年の12,806万人から2040年には10,728万人まで減少し(全ての都道府県で減少)、かつ、65歳以上人口の割合も、2010年の23.0%から2040年には36.1%へと上昇する。今更ながら、わが国の高齢化のスピードには凄まじいものがあるが、推計の内容を子細に見てみると、問題点がよく分かる。
人口の減少・65歳以上人口の割合、何れもトップ10の内、7県が東北・四国
わが国の今後30年の総人口の減少を地域別に見ると、秋田・青森両県が30%以上減少し、トップ10の内、過疎地域の東北・四国が実に7県を占める。これを市区町村別に見ると、約半数近い785自治体(全自治体の46.6%)で人口が2~4割以上減少する。因みに、4割以上の減少が385(同22.9%)、0~2割の減少が433(同25.7%)、これに対して増加に転じるのはわずか80(同4.8%)でしかない。
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人口が減少すれば、高齢化が進むのは理の当然であり、2040年の65歳以上人口の割合(高齢化率)を見ると、ここでも秋田・青森両県が1、2位を占めている。そして、同様にトップ10の内、東北・四国が7県を占めている。これを市区町村別に見ると、高齢化率が40%以上を占める自治体は、2010年の87(全自治体の5.2%)から、2040年には836(同49.7%)まで増加する。実に自治体の約半数が、65歳以上人口を大幅に(40%以上)抱え込むことになる。
 
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次に、全国の総人口に占める各地域ブロックの総人口の割合を見ると、南関東を除いて、全てのブロックで占率が低下している。特に、東北、四国、北海道の減少幅が大きい。
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これを見ると、首都圏である南関東(埼玉、千葉、東京、神奈川)への人口移動が止まらず、過疎地域との格差はさらに拡がっていくように見える。しかし、では、首都圏は相対的に安泰かと言えば、実は決してそうではないのだ。

65歳以上の増加人口(実数)は、首都圏が全国の4割を超す
ここで、65歳以上人口の増加率を見てみよう。そうすると、全く別の姿が浮かび上がってくる。トップ5の内、首都圏が2、3、4位を占めている。加えて、愛知、福岡、大阪等の大都市部がもれなくランクインしている。今後30年に増加する高齢者919万人の内、実に388万人が首都圏に在住することになるのだ。2040年の首都圏には、わが国の30%の人口が住んでいるが、今後30年間の間に増える高齢者は、首都圏に住む人が42%を超える計算になる。
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こうした大量の高齢者を首都圏等の大都市部は、本当にスムーズに吸収できるのだろうか。例えば、ケアマネージャーの数は足りているだろうか。介護施設の整備は滞りなく進んでいるのだろうか。後期高齢者である75歳以上人口を見ると、全国で2040年までに、804万人増加するが、内、首都圏が284万人を占める。その割合は35%を超える。65歳以上人口の急増振りに比べれば、少し低いように見えるが、首都圏の総人口のウェイトが30%であることを忘れてはならない。 
即ち、今後30年を展望すれば、首都圏をはじめとするわが国の大都市部で高齢化が加速するのである。しかも、例えば東京都は1人暮らし世帯が多いことでも知られており、このような急速な高齢化を念頭に置いた効率の良い医療・介護体制を首都圏で構築していくことは、極めて難度の高い営為であることが、容易に想像される。我々は、これからの高齢化は、むしろ地方ではなく、首都圏等大都市部を直撃するということを片時も忘れてはいけないだろう。そうであれば、コンパクトシティの発想も地方ではなく、首都圏等大都市部でこそ活かされなければならない。コレクティブハウスのような社会実験は、先ず首都圏等から始めるべきであろう。

究極の高齢化対策は出生率の向上
急速な高齢化に対応するためには、結局のところ、社会保障と税の一体改革を成し遂げるしか方法はない。即ち、マクロレベルで給付と負担のリバランスを行うしかないが、根本から考えれば、負担人口を増やすことが、グローバルに考えても、やはり王道であろう。即ち、当面は、女性(特に専業主婦)と、高齢者(例えば70歳くらいまで)に、もっと働いてもらうしかないが、長い目で考えれば、出生率を向上させる必要があろう。わが国の長期的・本質的な成長戦略の根本は、必死で人口を増やすことに尽きるのだ。人口政策は、効果が表れるまでに一定の時間を要するので、直ちに着手すべきものであることは多言を要すまい。
わが国は、「キャッチアップの時期はとうに過ぎた」「既に課題先進国となっており、真似をする国はどこにもない」と言われて久しいが、本当にそうだろうか。シラク3原則に象徴されるフランス等欧州の先進国の少子化対策は、個人の自由な意思が前提となっており、今でもなお、十分真似をする価値があるのではないだろうか。いつも言っていることだが、人類5000年の歴史の中で、人口が減って栄えた国も地域も社会も、どこにも存在しなかったという事実は、とてつもなく重い。