これまで、「社会人になったとき」「パートナーができて子供ができたとき」と、人生の大事な局面に沿って、どんな基準で保険を選んだらいいのかを解説してきましたが、今回は「シニア世代」の保険の選び方です。

 次に年をとってきて、残りの人生をパートナーとどう過ごすか、ということを考える時期にさしかかった世代の場合を考えましょう。50歳、60歳になったときのことですね。
 昔は「就業不能保険」などというものはなかったので、多くの人は死亡保険に入っていました。死亡保険には2種類あって、保障のみの定期保険(掛け捨て)と、貯蓄も備えた終身保険があります。

 まず定期保険。若いころは保障が3000万円、4000万円といった高額のものに入っていたかもしれませんが、前に話した通り、「葬式代だけ」と割り切れば、そんなにいりません。100万円、200万円まで減額しても大丈夫なのです。

 ただ、ここでパートナーの話が出てきます。

 統計的には女性の方が長生きします。なので、パートナーが「私のためにお金を残してほしい」といったら、よく相談してパートナーの必要な金額まで保障を減額したらいいと思います。

 わかりやすくするために60歳を例に取って話しましょう。

 実際にライフネット生命保険の定期死亡保険「かぞくへの保険」の保険料表(保障期間10年)でみると、保険金額3000万円だったら月額保険料は3万6604円*です。
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 保険金額を1000万円にしたら、1万2368円*です。比較すると2万円くらい月々の保険料が浮きます。この結果をもとに「俺が死んだらいくら欲しい?」と聞いてみる。

*ライフネット生命の保険には満期保険金や配当、また、解約返戻金はありません。2015年10月時点の保険料となります。
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 「3000万円欲しいなら、今から10年間、毎月約3万6000円払わないといけない。でも1000万円でよかったら毎月約1万2000円で済む。浮いた2万円でその分毎月、ちょっといい生活ができるよ」と。

 定期保険の場合はパートナーと相談して、「死んだらいくら欲しい?」と、ストレートに聞くのが一番です。パートナーはもちろん、多い方がいいと言うに決まっているのですが、そのための「コスト(先のケースでは約2万円)」がトレードオフ(二律背反)となります。そこは話し合いです。これが、定期保険の場合の確認事項です。今多く払って万が一の時にたくさんもらうか、保障は必要なぶんだけにして、その分、今をちょっと豊かに暮らすか。

 次に、終身保険の場合は、まさに相続と葬儀代に意味があります。

 基本は葬儀代です。そうすると、200万円もあれば十分だと僕は思います。

 あるいは、お金持ちの家庭で相続人が奥様と子供が2人いる場合であれば、非課税枠の「500万円×法定相続人の数(計3人)」である1500万円まで終身保険は入っておこうという選択肢もあります。

 これは相続対策なので、新しく入ってもいい。これは生前贈与の考え方に近いものです。

 終身保険については、葬式代と割り切るのだったら、基本は100万円、200万円まで減額していいと思います。相続に使うのなら上記と同じです。

 ただ、「お宝保険」と言って利回りがいい時代(だいたい1996年4月以前に加入したもの)の契約がそのまま続いているものがありますから、それは残しておくべきです。

終活WEBソナエより)