なぜ障害者雇用は魅力がないのか?

1993年11月に、欧州委員会から「欧州社会政策グリーンペーパー EU選択」が公表された。その中で「社会的排除」という問題が提起された。「問題は単に社会の上層と下層の不均等にあるのではなく、社会の中に居場所のある者と社会からのけ者にされてしまった者との間にある」という指摘がある。すなわち、社会政策の目的は、これまでのような所得維持ではなく、人びとに社会の中の居場所を与えることだとしたのである。

次に、1994年7月には「欧州社会政策白書 EUの進路」を発表し、「今までの欧州社会モデルにおいては、資源の移転に偏向していたが、雇用に最優先順位を与えて、すべての人を社会に統合していくことが目標にならなければならない。そして、万人が差別されることなく、機会均等が保障されなければならない。」とした。

以後、EUの労働・社会政策は、所得移転型、資源再分配型の旧型福祉国家から、機会配分型、社会参加・統合型の新型福祉国家に、大きく転換された。そして、もっとも重要な社会参加の権利として雇用が位置づけられ、仕事を通じて、すべての人に、社会のなかに居場所を作ることを目指していくこととなったのである。

日本の障害者雇用も、基本的にはこの流れの中にある。だから、賃金が安いのである。

しかも、日本の雇用システムには、欧米諸国との大きな違いがある。
欧米諸国は、どの国もみんな、同一労働同一賃金の原則が働いているが、日本のみが、そうなっていないからである。日本のみが、どの会社に入社するかによって、生涯賃金に違いが発生するのである。
なおこの日本型雇用をメンバーシップ型雇用と、欧米型雇用をジョブ型雇用という人もいる。ちなみに、メンバーシップ型雇用だから、労働組合が企業別なのであり、専門性を要求されないから、大学生は勉強しないのである。全ての問題はリンクしている。

メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への転換が進まない理由は、その方が給料が高いからである。給料の減額を伴う改革は、当然、労働組合が反対する。しかしながら、勝ち組と言われる一流企業入社組も、いいことばかりではない。日本では、住宅費と教育費が家計の負担となっているからである。この点、欧米諸国では公費負担が原則だ。

ところで、若者世代では非正規雇用に就くものが増加している。彼らは、欧米諸国ではジョブ型雇用に就いているというだけで何ら問題は生じていないが、日本では異なる。日本では、彼らの給料では住宅費と教育費が払えないため、結婚も出来ない確率が高いからだ。
そして、同様のことが障害者雇用にも言えるのである。

解決策としては、一定の収入以下のものに対しては住宅保障及び教育保障を講ずることに尽きるのだが、今の政治状況ではどうにもこうにも期待出来ない。就労をすっぱりと諦め、生活保護を受給して朝からゲームセンターで過ごす車椅子の若者たちを、誰が非難できるだろうか。

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