2005年08月26日

本を読んだ−きよしこ<重松清>−

きよしこ新潮社 ; ISBN: 4101349177 ; (2005/06)

評価:98点(100点満点)

「きよし、この夜」を「きよしこ、の夜」だと思い込み、クリスマスの夜に「きよしこ」が現れることを夢見ていた少年の物語。

「夢があった、
いつか個人的なお話を書いてみたい。ぼくとよく似た少年のお話を、少年によく似た誰かのもとへ届けて、そばに置いてもらいたい」

著者が最後にこう書いているとおり、この小説は著者の私小説のようなものなのだろう。
父親の都合で何度も何度も引越しを経験し、激しい吃音のせいで苦しんだ少年が、どのように周囲と向き合い、生きてきたかが書かれている。
「本当に伝えたいことはきっと伝わる」というセリフになんと重みがあることか。

読んでいて何度も泣きそうになった。
ちょうど私が著者と同世代を生きてきたからかもしれない。
彼の少年時代は、私の少年時代でもあった。
著者の書く、ひとつひとつのエピソードが素直に心にしみてくる。
少年の気持ちが、少年の友人の気持ちが、担任の先生の気持ちが、そして両親の気持ちが痛いほどわかる。
そうそうこんな先生いたよな、とうなずいたり。
あの友達はこんな風に思っていたのか、わからなかったなと反省したり。(ゲルマみたいな友達は確かにいた)
でも、決してセンチなだけの話にはなってないのが凄いね。

いつもいつもまっすぐな少年がなんともかっこいい。
多くの小学生に、そして小学生の子供を持つ親に読んでほしい本です。

などと偉そうなことを書きながら、私は今日も朝から娘と喧嘩して泣かせてしまったりしています。
反省しています。
父親って難しい・・・。

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この記事へのコメント

4. Posted by デコデコマン   2005年09月19日 01:21
はじめまして、ごんすけさん。
コメントありがとうございます。
こちらからもTB打ちたいのですが、現在ライブドアは不具合満載で、TBが打てません。近いうちにさせていただきます。
3. Posted by ごんすけ   2005年09月18日 22:24
はじめまして.
私も最近読みました.
吃音を持った少年の成長が印象的な出来事と共に綴られていて引き込まれる一冊ですね.
2. Posted by デコデコマン   2005年08月27日 00:48
TBありがとうございます>garagoさん

なるほどそうかもしれません。
思いを全部話せない悔しさが少年の文章力を高めたことで作家にまでなれたのかも。
さりげなく、「ずっと金賞の読書感想文」のことが書いてあって、さすがに才能も違うのだろうとは思いましたが・・・。

コメントありがとうございました。
今後もよろしくお願いいたします。
1. Posted by garago   2005年08月26日 23:21
TBありがとうございます。
こちらからもTBさせていただきました。

きよし少年は本当に聡明な子ですよね。
彼は言いたいことがうまく言えなくて
悔しい思い、辛い思いをたくさんしたけれど、
でもうまく言えなかったからこそ、
心の中でなんどもなんども反芻したり、
言いたいことを別の言葉で表現する工夫を
常に自然におこなっていたから
それが結果的には自分の気持ちを理解し、
自分の言葉で自分の思いを表現する力を
つけることにつながったのだと思います。

そして度重なる転校によっても
周囲(他者)と自分との関係を意識せざるを得ず、
客観的の物事を見る目を養えたのかなと。

でもそれができたのも、
デコデコマンさんのおっしゃるように
彼が常にまっすぐ前を向いて生きてきたからですよね。

ごあいさつだけと思ったのですが
ながながと駄文失礼しました。

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