2006年01月19日

クラインの壺<岡嶋二人>−本を読んだ(今年7冊目)−

クラインの壺新潮社 ; ISBN: 4101080127 ; (1993/01)

評価:90点(100点満点)

「99%の誘拐」について、このブログに投稿したときに薦められた本。
図書館でボロボロになった古い文庫を見つけて借りてきました。
面白く、哀しく、そして怖い小説だった。

文庫は1993年発行だが、この小説が書かれたのは1989年。
バブルの真っ最中にこんな凄い小説が書かれていたのだなあ。
岡嶋二人としては最後の小説。

仮想現実と現実の混在。
「どちらが本当で、何がなんだか、僕にはもうわかりませーん」というのは他の小説や映画でもしょっちゅう出てくる話だ。
トータルリコールから始まって、バニラスカイとか、マトリックスとか、えっと他にもあったっけ。
未来世紀ブラジルもそんなかんじだった。
そう考えると、この小説のアイデアもそう斬新には思えないのだが、でもやっぱり凄い。
16年前に書かれていて、まったく古臭さを感じないのだから。
成功の理由のひとつとして、身近な題材でありながらも、いまだ完全には実現しない「バーチャルリアリティゲーム」という設定が、読者に親近感と臨場感を与えているということがある。
主人公も、どこにでもいそうな青年だしね。

読み終わって、自分ならクラインの壺の内側と外側の区別をなんとかつけられるのではないかと、いろいろ考えてみた。
考えてみたが・・・無理なんだよなあ。
最後に入っているのが壺ならば、どんな辻褄も合わせられるわけだから・・・。
そう、死なない限りなにがほんとうかわからないのだ。

ああ、あんまり考えるのはやめよう。ドツボにはまってしまう。明日も仕事があるのだから。それもひょっとしたら壺の中なのかもしれませんが。





Comments(0)TrackBack(4)

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

4. 『クラインの壺』 SFとミステリーの融合  [ 粗製♪濫読 ]   2006年01月20日 01:42
著者:岡嶋二人  書名:クラインの壺 発行:講談社(文庫) 仮想現実度:★★★★★  徳山諄一+井上泉=岡嶋二人、名義での最後の作品。あとがきによれば、この作品はほとんど井上(夢人:改名)氏一人によるもののようです。1989年新潮社より刊行。 上杉彰彦の書...
3. (書評)クラインの壷  [ たこの感想文 ]   2006年01月20日 01:20
著者:岡嶋二人 触覚、嗅覚、味覚まで実際に体験できるヴァーチャルリアリティ・シス
2. 岡嶋二人「クラインの壷」講談社より再発刊  [ monta’s diary ]   2006年01月19日 16:09
3/15(火)発売 ずっと探し続けていた本の再発刊!! 「クラインの壷」著者「岡嶋二人」最後の作品。 3/23(木)「クラインの壷」。 読み終えた今・・・かなりショックを受けています。 読み始め1/4位はゲームに明るくない事と、難しくて中々進まなかったけれど 中盤から...
1. 書籍「クラインの壺」読了。読後感が何ともモヤモヤ...  [ 空飛ぶさかな文芸部 ]   2006年01月19日 10:11
クラインの壺 「クラインの壺」岡嶋二人・著 講談社・刊 を読了。 岡嶋二人さんというのはもうコンビ解消されているそうなのですが、うちの上司連中に名前を出したら知ってる人が結構いたので有名な方たちだったようです。今は井上夢人さんが独り立ちされているそうで....

コメントする

名前
URL
 
  絵文字