2006年07月16日

福音の少年<あさのあつこ>−(本:2006年64冊目)−

福音の少年角川書店 (2005/7/20)
ASIN: 4048736310

評価:45点

なんじゃこれは。
前半で思いきり物語を膨らませておいたくせに、あまりにも急激なブレーキを踏み込んでの中途半端な終わり方。
これが本当にあさのあつこの書きたかったものなのか。
わけがわからない。

3人の高校生が主人公。
頭のできが普通とは次元の違う人物を描いている。そのためか、高校生のときには普通の愚かで未成熟なガキだった私にとって、違和感たっぷりの会話が続いていく。
まあ、40歳になった今であれば、そんな超成熟した高校生もいるのだろうなとわかる気がするし、そういえば同級生だったあいつとかあいつは、こんなことを感じていたのかもしれない、などと思ったりもする。
それでもなんだかしっくりこない。
確かに、ある程度の破壊衝動くらいは、高校時代には少しはみんな感じるものだろう。
いや、ストレス抱えたサラリーマンの破壊衝動もなめてもらっては困るぞ、あさのあつこ。

その3人の心理描写・人格描写が延々と続くのだが、そのうちに男二人のあぶなっかしいやり取りはいつしかパターン化してしまう。
そして、読者の中のイライラとした焦燥感が限界に近づいたところで事件が起こる。
藍子を含めた9人の死、2人の少年に近づく謎の男。
果たしてどんな展開が待っているのだろうか、と思って途中は魅了されながらページをめくったものの、どう考えても残りページ数でまともな収束はできそうにないと、250ページあたりで気づいてしまった。
思わず表紙を見直して、これが「上巻」とか「第1巻」になっていないか確認したくらいだ。

そして悪い予感どおり、どうにもこうにもならない安直で不透明でカタルシスのない馬鹿げた結末を迎えるのだ。
別にテロリストに日本の高校生がスカウトされたっていいんだけど・・・。

「福音」とは柏木陽の声のことだったのか?
心に「サタン」を潜ませる明帆にとって、福音である陽の声は耳障りに聞こえていたのだろう。途中何度かその描写が出てくる。
でも、それだけで「福音の少年」?
わからんけどもういいや。あさのあつこはもう読まないぞ。


内容(「BOOK」データベースより)
十六歳の永見明帆は、同級生の藍子とつきあっていても冷えた感情を自覚するだけ。唯一、彼が心に留める存在は藍子と同じアパートに住む彼女の幼なじみ、柏木陽だった。藍子の様子がおかしい?そう気づいたある日、母親とけんかした陽が突然泊めてくれ、と訪ねてくる。その夜半、陽のアパートが火事で全焼、藍子も焼死体で発見される。だが、それは単なる事故ではなかった。真相を探り始めた彼らに近づく、謎の存在。自分の心の奥底にある負の部分に搦め捕られそうになる、二人の少年。十代という若さにこそ存在する心の闇を昇華した、著者渾身の問題作。


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3. 福音の少年 [あさのあつこ]  [ + ChiekoaLibrary + ]   2006年07月21日 19:01
福音の少年あさの あつこ 角川書店 2005-07-20 同級生の藍子とつきあっている十六歳の永見明帆。そして藍子の幼馴染で同じアパートに住んでいる柏木陽。微妙なバランスの関係の三人。明帆の家に突然陽が泊まりに来たある日、アパートが火事で全焼・九人が犠牲になるという...
2. あさのあつこ『福音の少年』  ★★★  [ book diary ]   2006年07月18日 18:44
福音の少年  ……。ど、どうしよう。私にはこの本が秋帆と陽のラブ(のようなもの)ストーリーに見えてしまうのだけれど……ごめんなさい。あさのさんの書く少年達は危うすぎる。だって、描写、台詞、きっついよ(腐った子には)。Amazonの内容紹介も「二人の少年を結び...
1. ■ 福音の少年 あさのあつこ   [ 本を読んだら・・・by ゆうき ]   2006年07月16日 09:00
福音の少年あさの あつこ 角川書店 2005-07-20by G-Tools 舞台は、田舎の小さな温泉町。十六歳の明帆は、同級生の藍子とつきあっていますが、本当は他人に関心がなく、優等生の仮面をかぶって生活しています。そんな明帆の、唯一気にかかる存在が、藍子の幼馴染・柏木陽。...

この記事へのコメント

3. Posted by デコデコマン   2006年07月16日 19:40
ゆうきさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

「バッテリー」は評判がいいですよね。
そうですね、それは読んでみようかな・・・。それにしてもこの展開はないですよね、この作品。
図書館で借りたので金は払ってませんが、時間は真面目に返して欲しいものですw

ゆうさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

いやいやほんとです。あまりに不完全燃焼。
途中で残りのページ数を見て嫌な予感がしたんですよね。
「弥勒の月」読んでみます。
2. Posted by ゆう   2006年07月16日 14:16
こんにちは。TBありがとうございました。
私も同様に、不完全燃焼のまま結末を迎えてしまいました。
こんな中途半端な作品が一番嫌ですね(笑)
大人向けの作品で、「弥勒の月」はよかったです。
1. Posted by ゆうき   2006年07月16日 09:05
こんにちは。TBありがとうございました。この本の感想に関しては、激しく同感です。なにをしたかったんだか、わけがわからないです。時間と金かえせって感じです(笑)

でも、あさのあつこはもう読まない、と決める前に、未読であれば、ぜひ「バッテリー」を!大人向けのものとは全然違って、ちゃんとわけわかるし、子供だけのものにしておくのはもったいない良作ですから。ではでは。

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