2006年12月06日

パンク侍、斬られて候<町田康>−(本:2006年121冊目)−

パンク侍マガジンハウス (2004/3/18)
ASIN: 4838714904

評価:85点

時代小説かとおもいきや、中身は奇想天外荒唐無稽一罰百戒魑魅魍魎のナンセンスドタバタ小説だ。
誰もが昔の筒井康隆を思い出すだろうな。
しかし、設定や展開がドタバタでも、文章のキレが凄い。
やたらと難しい漢字がさりげなく随所に散りばめてあり、ひとりのセリフも文章もムヤミに長かったりするのだが、これを無理なく読ませるのだ。
会話が多い小説で、これだけページの中の文字密度を高めることができるなんて凄いもんだ。
文庫本130ページ。ここは魂次が隣の藩に「腹ふり党」の調査に行った報告書だが、18行×40字=720文字のスペースのうち、空白は38字だけなのだ(そのうち2字は改行のスペース)。
活字占有率94.7%。
こんな小説なかなかないと思うぞ。
それだけ文字がびっしり詰まっているのに、読み始めると止まらずに走りきってしまうのだ。凄いなあ、町田康。

「腹ふり党」なるいかがわしい宗教が、ある藩の中に広がっていく様子や、出世や保身に汲々とする侍達の様子は、時代を超えた馬鹿馬鹿しさがある。
そこに超能力が加わり、人の言葉をしゃべるサルも加わり、結局何がなんだかわからないうちにみんな殺されていく不条理な展開。
筋はありそうでなさそうであったりするし。
伏線もありそうでなさそうであったりするので、とにかく楽しめます。
この世が条虫の腹の中であったら嫌だけど、と、ここまで書いて、昔「はらぺこ青虫」という絵本を読んだことを思い出した。
青虫が何でもかんでも食べてしまって、ついには世界も食べてしまうが、青虫の腹の中に世界が出来上がっていたという絵本だった。
なんだ、腹ふり党の教義は児童文学から生まれていたんじゃないか。
まあ、それもありだな。

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