2007年04月09日

名もなき毒<宮部みゆき>−(本:2007年34冊目)−

名もなき毒幻冬舎 (2006/08)
ISBN-10: 4344012143

評価:88点

(ネタバレあります)
ううむ、面白い。
最初に原田いずみを登場させてトラブルを連発させたときには、どれほど理不尽な話になるのかと滅入ってしまったが、その後すぐに物語にのめりこんでしまった。
読者が苦痛にならないギリギリのところで話をうまく進めていく。
この緩急というか、アクセルとブレーキの加減というか、なんとも形容のしがたい素晴らしさだ。
終盤に一気に加速してクライマックスまで突っ走る展開も相変わらず見事。
きっちりとした謎解きと余韻が心を満たし、ああ、いい本を読んだと思わせてくれる。いえ、実際に面白くていい本なんだけど。

そんな宮部マジックにかかって一気に読み進めてしまったこの本、青酸カリを使った無差別連続毒殺事件で幕を開ける。
一向に進展しない捜査にいらだった被害者の孫が、ある探偵を訪れた。同じとき、主人公の杉村が雇っていたアルバイトのトラブルでその探偵を訪れる。
偶然でくわした二人が知り合うことになり、杉村は連続殺人事件に巻き込まれていく。
巻き込まれていくといってもお人よしの杉村がおせっかいをやいていくうちに事件の解決に関与するといった程度。
てっきり私は、毒殺の犯人とトラブルアルバイトの原田が関係するんだろうと思ったが、さすがにそんな単純なクロスではなかった。
犯人の特定もなかなかのどんでん返し。さすがじゃ。

名もなき毒、とは我々人間の中に潜んでいる毒。
突然姿を現し、他人を支配してしまう毒の恐ろしさを十分に感じることができる。
原田いずみが兄の結婚式でやった行為は、想像するとゾッとする。
人間は簡単に毒になり、他人の命を奪うことができる。
それはきっと忘れてはいけないことなのだ。

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この記事へのコメント

2. Posted by デコデコマン   2007年04月14日 07:49
ERIさんおはようございます。
コメントありがとうございます。
TBもありがとうございます。

久しぶりに宮部みゆきの現代ミステリを読みましたが、やっぱりうまいですよね。あっという間に引き込まれてしまいます。さすがです。
1. Posted by ERI   2007年04月13日 15:54
TB遅くなりました。申し訳ありません。宮部さんは、やはり、ミステリーの女王ですよね。人間の底知れなさが、ひしひしと伝わってきます・・。

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