2007年05月13日

陰日向に咲く<劇団ひとり>−(本:2007年49冊目)−

出版社: 幻冬舎 (2006/01)
ISBN-10: 4344011023

評価:88点

やられた。
思わず涙ぐんでしまった。
いい話を書くじゃないか、劇団ひとり。

5つの作品の主人公は、世間一般的に言えば底辺を這いずり回るような人たち。
ホームレスであったり、多重債務者であったり、貧乏なアキバ系アイドルオタクであったり、ストリップ劇場の踊り子と司会者であったりする。
まずはそんな彼らの生態描写が見事なまでに生々しい。
ホームレスが弁当をコンビニで弁当を調達するシーン。
アキバ系アイドルオタクが売れないアイドルのサイン会でひとり身もだえする様子。
若い男が馬鹿の王道とも言えるような手順で借金を増やしていくシーン。
ありそうでなさそうで、やっぱりありそうな笑えるシーンを続けて読んでいるうちに、読者はすっかりと著者のペースにはめられている。
生々しいけどどこか優しい人物描写が、癒しを求める世の中の風潮にもマッチしているんだろうなあ。

短編の中でのオチに向っては、誰だってそこそこの予想はするはず。
でも、この本のオチは結構鋭い。
思わぬところで短編がつながり、そしてそのつながりを知ったときに新たな感動が一気に高まるように緻密に計算されているのだ。

「拝啓、僕のアイドル様」と「Overrun」がよかったなあ。
「Overrun」の主人公があまりに馬鹿すぎて途中で読むのが嫌になったけど、あそこまで徹底してくれるのと、最後にあんな綺麗なオチを用意してくれるのなら許します。
それから「ピンボケな私」もよかったが、ミキはちょっと反則かも。

いろいろな役柄を演じる本業のための修行が、この本にも生かされているのだろう。
次回作は書いているんだろうか。
楽しみにしてるので、テレビのクイズ番組で才能を浪費するばかりにならないでくださいませ。
たのんまっせ。


陰日向に咲く


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この記事へのコメント

2. Posted by でこでこまん   2007年05月15日 23:40
Aki_1031 さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

おっしゃるとおり、感動している自分にびっくりでした。
多彩な人はなにをやっても凄いもんですね。

TBもありがとうございました。
1. Posted by Aki_1031   2007年05月14日 18:29
こんにちは!
拙ブログにTBありがとうございました。

「Overrun」良かったですよね〜。
まさか劇団ひとりに泣かされるとは思わなかったので
ついホロリときた自分自身に驚いてしまいました(苦笑)。
こちらからもTBさせて頂きますので
どうぞよろしくお願い致します。

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