2007年09月17日

善き人のためのソナタ−(映画:2007年104本目)−

善き人1善き人2

監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:ウルリッヒ・ミューエ、マルティナ・ゲデック、セバスチャン・コッホ、ウルリッヒ・トゥクール、トマス・ティーマ、ハンス=ウーヴェ・バウアー、フォルカー・クライネル、マティアス・ブレンナー

評価:98点

久しぶりに自信を持って他人に薦められる映画に出会った。
2006年のドイツ映画。
第79回アカデミー最優秀外国語映画賞を受賞。

1984年の東ドイツが舞台。
徹底的な監視社会にあった当時の東ドイツの様子、そして国家保安省の実態を描きながら、人間が心の奥底に持つ善なる魂のようなものを強く感じさせてくれる映画だった。

国家保安省(シュタージ)の局員、ヴィースラー大尉が、反体制の疑いのある劇作家ドライマンと、その彼女である女優クリスタの監視を命じられる。
ドライマンの部屋には盗聴器がしかけられ、ヴィースラーは彼らを24時間体制で監視することになった。
このヴィースラーが最初はなんとも憎たらしい。
映画の冒頭が、ヴィースラーによる尋問で始まるのだが、その非人間的な取調べはまさに恐怖。それを表情ひとつかえずに進めていくのだ。
よくみるとミルコ・クロコップにちょっと似てる。
ふうむ、実は感情の起伏が激しいのに、それを訓練で抑制しているところなんかも似てるのかもしれない。

淡々と完璧な監視を行っていたヴィースラーだったが、音楽や文学を語り合い、人間的な生き方を求める彼らの考え方に、次第に惹かれていくようになる。はっきりとヴィースラーの行動が変わったのは、ドライマンが「善き人のためのソナタ」という曲をピアノで弾いてからであった。

この曲を本気で聴いた者は悪人になれない・・・

音楽は人を変えるのだ。

ドライマンとクリスタをひとりで監視することで、逆に体制から守ろうとしたヴィースラー。
レポートに残された赤いインクからそれを知ったドライマンによる、彼への感謝が最高のラストシーンにつながっていく。
ここはもうたまらない。
こみ上げるものを抑え切れなかった。
ニューシネマパラダイス以来の秀逸なラストシーンだった。

監督のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクは33歳。
どうやったらその若さでこんな映画が撮れるんだ。凄いなあ。



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JUGEMテーマ:映画 主役のヴィースラー大尉を演じたウルリッヒ・ミューエさん。 今年7月に胃がんのため亡くなられたそうです。 54歳でした。 実生活では奥様に密告され続け、ご自身が監視下にあったと知りました。 素晴らしい演技を遺してくださり、ありがと...
33. 善き人のためのソナタ  [ シュフのきまぐれシネマ ]   2007年10月08日 23:17
? 善き人のためのソナタ  3/2(金)@シネマライズ 監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 出演:ウルリッヒ・ミューエ、マルティナ・ゲデック、セバスチャン・コッホ 他 配給:アルバトロス・フィルム てっきり、タイトルがタイトルだ
32. #34.善き人のためのソナタ  [ レザボアCATs ]   2007年09月29日 02:41
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31. 「善き人のためのソナタ」国民を監視する国  [ 再出発日記 ]   2007年09月25日 00:16
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29. 善き人のためのソナタ  [ future world ]   2007年09月22日 23:48
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26. 善き人のためのソナタ  [ カリスマ映画論 ]   2007年09月20日 23:06
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24. 「善き人のためのソナタ」  [ the borderland  ]   2007年09月19日 20:31
ベルリンの壁崩壊前の東ドイツというと「グッバイ・レーニン!」があります。壁が崩壊してからの変化に戸惑う普通の人たちを、せつなさとユーモアで包み、主人公の親を想う気持ちに熱いものがこみ上げてくる作品でした。 今作は、同じ時代の物語でありながら、また違った...
23. 『善き人のためのソナタ』  [ カエルノセカイ ]   2007年09月19日 19:42
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22. (今日の映画)善き人のためのソナタ  [ Kozmic Blues by TM ]   2007年09月19日 18:13
善き人のためのソナタ (2006/独) Das Leben der Anderen The Lives of Others
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旧東ドイツで反体制的な西側思想の疑いがある劇作家を盗聴・監視する国家保安省の局員を通して描かれる自由と愛を求める人間の姿を丁寧に描いた素晴らしき映画でした。『仕立て屋の恋』と少し似ていて淡々としたすごく地味な作品でしたが、見終わった後には何ともいえない余....
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2006年。ドイツ。  "DAS LEBEN DER ANDEREN". フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク脚本・監督。 ウルリッヒ・ミューエ、マルティナ...
15. 「善き人のためのソナタ」(ドイツ 2006年)  [ 三毛猫《sannkeneko》の飼い主の日常 ]   2007年09月18日 19:14
盗聴器を通して知る自由、愛、音楽、文学。 それは自分自身を変えてしまうこと。 予想もしない人生に目覚めること・・・「善き人のためのソナタ」
14. これは私のためのものだ  [ CINECHANの映画感想 ]   2007年09月18日 18:56
96「善き人のためのソナタ」(ドイツ)  1984年東ベルリン。国家保安省(シュタージ)は膨大な監視システムにより、反体制者を取り締まっていた。局員であり、体制に忠誠を誓っているヴィースラーは、劇作家のドライマンを監視するよう命令を受ける。反体制的な証拠...
13. 「善き人のためのソナタ」みた。  [ たいむのひとりごと ]   2007年09月18日 17:56
ヴィースラーが小田和正に見えた。。。というのはともかくとして、ラス前からラストにかけて恥ずかしげもなく号泣。ぐっと込み上げてきたものに堪え切れなかった。ベルリンの壁の崩壊直前のお話。壁が崩壊してから
12. 『善き人のためのソナタ(Dus Leben der Anderen)』  [ chaos(カオス) ]   2007年09月18日 10:05
『善き人のためのソナタ(Dus Leben der Anderen)』 東西冷戦下の東ベルリン。シュタージ(国家保安省)のヴィースラーは、劇作家のドライマンと舞台女優である恋人のクリスタが反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。 盗聴で知った二人の生活、そしてヴ...
11. 感想/善き人のためのソナタ(試写)  [ APRIL FOOLS ]   2007年09月18日 07:44
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10. 「善き人のためのソナタ」 その昔ベルリン東側で…  [ ハピネス道 ]   2007年09月18日 07:32
今年度のアカデミー賞外国語作品賞にノミネートされている本作。 今日観てきました。 ベルリンの壁が崩壊したあのニュースは、今も記憶しています。 監視員、密告者、表現の自由が奪われる苦しみ… あの壁の崩壊のほんの数年前、東側ではこのようなことが行われて...
9. 善き人のためのソナタ  [ 日っ歩??美味しいもの、映画、子育て...の日々?? ]   2007年09月18日 07:13
1984年、冷戦下の東ベルリン。東ドイツの秘密警察、諜報機関であった国家保安省(シュタージ)のヴィースラーは、反体制派であるとの疑いがかけられていた劇作家ドライマンとその同棲相手である舞台女優のクリスタの監視を命じられます。彼らの住まいに盗聴器を仕掛け、24時...
8. 善き人のためのソナタ/ウルリッヒ・ミューエ  [ カノンな日々 ]   2007年09月18日 07:03
5 アカデミー賞外国語映画賞受賞作です。出来れば受賞が決まる前に観ておきたかった作品なんですけど、受賞したおかげで私のホームシネコンでも上映してくれたわけなのでとっても感謝なのですが、そもそもこんなに素晴らしい作品に大手シネコンが手を挙げないというのはどうい....
7. 善き人のためのソナタ  [ 5125年映画の旅 ]   2007年09月18日 06:48
4 ベルリンの壁によって分断されていたドイツ。東の国家保安省局員ヴィースラーは、劇作家のドライマンが反政府活動に関与していると睨み、彼の部屋を盗聴する。冷徹で任務に忠実だったヴィースラーだったが、ドライマンを盗聴する内に彼の主義主張に共感していく。 第79...
6. 善き人のためのソナタ  [ 映画のメモ帳+α ]   2007年09月18日 01:32
善き人のためのソナタ (2006 ドイツ) 原題   DAS LEBEN DER ANDEREN       (あちら側の人々の生活)      監督   フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク    脚本   フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク     ...
5. 「善き人のためのソナタ」見てきました。  [ よしなしごと ]   2007年09月18日 01:22
 今回もいつもお世話になっているKさんの推薦で、善き人のためのソナタを見てきました。正直言うと眠くなりそうな予感がしたので、前の日はゆっくり眠って備えました。(笑)
4. 『善き人のためのソナタ』  [ かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY ]   2007年09月18日 01:21
芸術は偉大。心にソナタが鳴り響く。 気高さと重厚さと深みを持ち合わせた名品。 1984年、東西冷戦下の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)局員のヴィースラーは、劇作家のドライマンと舞台女優である恋人のクリスタが反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる...
3. *善き人のためのソナタ*  [ Cartouche ]   2007年09月18日 00:56
                              2006年 ドイツ映画 先日、[http://blogs.yahoo.co.jp/cartouche_ak/44847064.html 『あなたになら言える秘密のこと』]を早々今年のベスト10入りさせてしまいましたが この作品は2007年ベストではなく、今ま...
2. 善き人のためのソナタ  [ しぇんて的風来坊ブログ ]   2007年09月18日 00:42
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1. ボビーのソナタ  [ Akira's VOICE ]   2007年09月17日 18:44
「ボビー」 「善き人のためのソナタ」

この記事へのコメント

2. Posted by デコデコマン   2007年09月19日 01:07
sehaさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

この映画は確かに油断すると眠くなると思います。前半は私もピンチがありましたから。

何回でも見たい映画ですね。
1. Posted by seha   2007年09月18日 23:13
トラックバック、ありがとうございました。私の感想文は不出来です。肝心なところで、うとうとしてしまいました。

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