2007年11月10日

エコノミカル・パレス<角田光代>−(本:2007年133冊目)−

エコノミカル・パレス

出版社: 講談社 (2002/10)
ISBN-10: 4062114194

評価:69点

同棲している34歳男女。男は失業保険で食いつなごうとし、まともに仕事を探すどころかバイトさえもやろうとしない。
女は雑文を書き散らかすことと、バイトでなんとか家賃を稼いでいる。

日々のお金に困るフリーターたちが、落ちてしまいそうで落ちなくて、でも静かに腐っていく物語。

2002年の発売当時は「フリーター文学」としてインパクトもあったようだが、2007年の今読んでみると少々古臭い。
古臭い、と感じるのは、この小説が当時の世相をあまりに完璧に切り取って時代を感じさせてくれるからだろう。
日経平均1万円割れ。就職超氷河期。銀行も証券会社も保険会社もバタバタとつぶれ、信じるものがなくなり、デフレで給与は上がらない。
そんな時代に生きる34歳無職の二人の日常が明るいはずがない。
もがきながら、それなりに必死に考えていながら、徐々に落ちていく様子は読んでいると苦しい。
その落ち方も、開き直れない中途半端な落ち方なのだ。
一言でいえば、「情けない生き方」とでもいおうか。
女は徐々に夜の世界に身を落としていくのだが、中途半端なホステスしかできない。
バイト先で手にいれた若い男の子の電話番号に電話をかけて、仲良くなってしまったりするが、飲み続けていないと緊張して話もできない。

消費者ローンでお金を借りるが、1回目は5万円、2回目は3万円。
なんだそのしけた引き出し方は・・・。

どんな行動もいっさい読者の見本とならず、その惨めな肉体的・精神的生き方にイライラしながら読み進めてしまう。
それが「リアル」といえばそうなんだろうが、個人的にはあまり好きではない。
もっと地に足をつけて男と別れろっちゅうんじゃ!

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3. 角田光代【エコノミカル・パレス】  [ ぱんどらの本箱 ]   2007年11月12日 11:57
角田光代の小説は、読んだ人みんなが必ずしも好意的に受け止められるものではないと思う。本書については、私も好き嫌いで言えば「嫌い」のほうに近い。 だけど読まされてしまう。本をひらいたが最後、ぐいぐいと穴の中に倦
2. 角田光代【エコノミカル・パレス】  [ ぱんどらの本箱 ]   2007年11月12日 11:57
角田光代の小説は、読んだ人みんなが必ずしも好意的に受け止められるものではないと思う。本書については、私も好き嫌いで言えば「嫌い」のほうに近い。 だけど読まされてしまう。本をひらいたが最後、ぐいぐいと穴の中に倀
1. エコノミカル・パレス 角田光代  [ かみさまの贈りもの??読書日記?? ]   2007年11月10日 19:36
34歳フリーター、同居中の彼は、もっか失業中という男女の安定しない同棲生活をリアルに描く。 生活感の滲み出た細かい物の金額や、支払に追われる日々、そして、ヒモ的彼の存在や、いたずら電話から始まった小さな恋愛など、全てがみみっちくて、しみったれていて、夢も...

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