2008年01月12日

晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編><大崎梢>−(本:2008年9冊目)−

晩夏に捧ぐ&lt;成風堂書店事件メモ・出張編&gt; (ミステリ・フロンティア)

出版社: 東京創元社 (2006/9/30)
ISBN-10: 4488017304

評価:70点

「配達あかずきん」という本が「本の雑誌2006年上半期ベストテン第2位」になり一躍有名になった著者。
これは、短編集だった「配達あかずきん」の続編であり長編小説。
私は初めて著者の小説を読んだ。

一言で感想をいえば「面白い」。
書店店員から作家になったというだけあって、「書店」への過剰な思い入れが露骨にあらわれる描写は、いわゆる「オタク」の雰囲気をビンビンに感じさせてくれて楽しいのだ。
本好きにとっては、すくなくともこののめりこみ具合は嫌ではないだろう。

物語りも書店が舞台。
成風堂という東京の駅ビルに入った書店で働く杏子が、今は故里に帰り、地元の老舗書店に勤める元同僚の美保に頼まれてその老舗書店の幽霊騒動の解決に出かける。
解決するのは、杏子と同じ書店でアルバイトをする法学部の大学生、多絵。
幽霊騒動は四半世紀ほど前に弟子の手で殺されたという老大作家の死に纏わる謎が関係しており、杏子と多絵は、二人を呼び寄せた美保とともに、当時の関係者を訪ね歩いて謎の解決に取組んでいく。

「書店の謎は書店人が解く」というスタイルはなかなか斬新で面白いし、書店人にしかわからない書店の仕組みや苦労や思い入れも読んでいて興味深い。
問題解決にあたる成風堂の二人の若い女性のキャラもなかなか魅力的だ。
ただ、長編ミステリとしての完成度はいまひとつ。
ラストの謎解きまでダラダラと聞き込みを続けていき、最後に皆を集めて謎の発表。謎解きが最後にまとめてくるのはまあいいとしても、そこにいたるまでに盛り上がりがなさ過ぎることと、要点を出し惜しみしすぎることで次第にイライラしてきてしまう。
読者にそう感じさせたらダメだよな。
最後に一気に全てが解決するとしても、そこに到達するまでに山場がなさ過ぎるのだ。
まるで「途中で人が死なない名探偵コナンの謎解き」「中ボスのいないRPG」という感じだった。

いえ、決して面白くなくはない。
だけどちょっと残念。
短編は絶賛されているようなので、そちらを期待して読んでみることにしよう。

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晩夏に捧ぐposted with 簡単リンクくん at 2006.11. 5大崎 梢著東京創元社 (2006.9)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る
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この記事へのコメント

2. Posted by デコデコマン   2008年01月13日 00:53
Rutileさん、こんばんは。
こちらもコメントありがとうございます。

Rutileさんも元書店店員さんなんですね。著者の思い入れがよくわかられたのではないでしょうか。
なんだかちょっとうらやましかったりします・・・。
1. Posted by Rutile   2008年01月12日 22:31
こんばんは★
TBありがとうございました。
私もデコデコマンさんと同じ感想です!!
ちょっとやきもきさせすぎかな…と。
中盤〜ラストまでいちばん盛り上がるところで盛り上がれず、
ちょっとシラけてしまいました(>_<")
でもまるう堂はよかったですね!!
理想の本屋さんです。

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