2008年10月22日

この本が、世界に存在することに<角田光代>−(本:2008年139冊目)−

この本が、世界に存在することに (ダ・ヴィンチ・ブックス)
この本が、世界に存在することに (ダ・ヴィンチ・ブックス)


# 出版社: メディアファクトリー (2005/05)
# ISBN-10: 4840112592

評価:80点

「読んだことあるよなあ」
読み始めてすぐにそう思った。
さらに読み進めて思った。
「でも、こんな内容だったけ。ううむ、自信ない」
さらにさらに読み進めて思った。
「あ、やっぱり読んだことあるわ」
そのときには本を読み終えていた。
ということで、もう一度ここに掲載。

本への愛情を込めて書かれた、本にまつわる短編が九つ収められている。
それぞれの小説で体裁が違う。行間が違い、文の置かれた位置が違い、文字の大きさまで微妙に違う。
たぶん、この短編集の中に詰まっている小説が、「それぞれ違う本」だということをイメージしてるのだろう。

学生時代に手放した本と、異国の古本屋でめぐりあう「旅する本」という小説は、1回目に読んだときのインパクトもかなり大きかったが、今回読んでもその印象はやはり強烈だった。
読んでいると本当に旅のにおいがしてくるような小説なのだ。

ひょっとしたら私はもう1回くらいこの本を死ぬまでに読むかもしれない。そんなことを考えながら読み終えたのだった。

ちなみに2年前のブログにはこんなことが書いてあった。
あれ、今より気合入れて書いているような気がするな。
現在の自分の姿勢に反省。

*******************************

本好きの人間にとってはたまらない本だろう。
著者の本に対する想いが、様々な小説の形を取ってぎっしりと詰まっている。
そう、本ってやっぱりいいもんだ。
サラリーマンのおっさんになって、通勤電車の中や風呂のなかでしか本を読む時間がなくなってきた今でもそう思う。

本の素晴らしさは、「ミツザワ書店」の中で亡くなった店主のおばあちゃんが説明している。
「だってあんた、開くだけでどこへでも連れてってくれるものなんか、本しかないだろう」
そして後書きでの著者の言葉。
「本の一番のおもしろさというのは、その作品世界に入る、それに尽きると私は思っている。一回本の世界にひっぱりこまれる興奮を感じてしまった人間は、一生本を読み続けると思う」
当たり前のように思えるけど、本が好きな人はみんな同じように感じているんじゃないかな。

私は、母が家庭で文庫を開いていたこともあり、常に手の届くところに大量の本がある子供時代を過ごしてきた。恵まれていたと今になって思う。
そのわりには好きな作家の本しか読んでこなかった。その偏愛振りは今でも続いているのだけど。

自分が売った本が世界を旅する物語や、持っている本が不幸の種になる物語。幻の本を探したり、彼氏に本を贈ったり、本を万引きしたり、死にゆく祖母のために本を探したり、恋人と本棚を共有したり。どれこれもなんだか懐かしい。

そういえば、子供の頃は、入り込んだ本の世界からよく母親に連れ戻されたものだ。
「ゴハンやで」「ゴハンできたでっ、はよ降りてきなさい」「ゴハンできたゆうてるやろがっ、はよきなさいっ!」

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