2009年03月02日

コールドゲーム<荻原浩>−(本:2009年32冊目)−

コールドゲーム
コールドゲーム
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# 出版社: 講談社 (2002/09)
# ISBN-10: 4062114569

評価:76点

いじめをテーマに、ミステリとホラー色も加えてうまく纏め上げた作品。
クライマックスの盛り上がりは絶品で、読んでいるこちらも背筋がゾクゾクした。
なのに、この読後感の悪さ、というか物足りなさはなんだろうか。
どこか納得いかない。
いろいろ考えてみたのだが、たぶんこんなところだろう。

今回の小説は「いじめ」と同時に「少年の自分探し」が大きなテーマになっている。
高校球児であった主人公の光也は地区大会であっさり敗退した後、大学受験すべきかどうかなかなか決断できない。自分がこれから何をすべきなのか、何がしたいのか。あまりにステレオタイプな高校生だが、進路なんて誰でも一度は悩むことだからそれをテーマにするのは別にいい。
ただ、物語の起承転結はもうひとつのテーマである「いじめ」をメインに進んでいく。
光也が中学生時代に起きていた陰湿ないじめ。その被害者が過去の同級生達に次々と復讐を始めるのだ。結果としてラストもそれなりに凄惨なものになり、登場人物たちにそして読者に様々なことを考えさせる結末となっている。
その結末が主人公の自分探しとまったく合致していないために違和感を感じてしまうのだ。メインテーマの結末が、サブテーマをほったらかしにしてしまったために極端な消化不良を起こしている状態、とでもいうところだろうか。
イジメとミステリとホラーだけでくっつけておけば、救いのない作品でもよかったけど、少年の自分探し物語となると、ある程度のカタルシスがあってハッピーエンドじゃないとなあ。

文章のうまさや、そこから溢れ出る臨場感はさすがにうまい。
他の長編をまた楽しんでみよう。

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4. 『コールドゲーム』荻原浩  [ ほんだらけ ]   2009年03月09日 23:32
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最後まで読んだ自分に腹が立つ。 読み始めてすぐにヤバイと思ったのにな〜。 私はばかだ。。。。 ★☆☆☆☆ 「高3の夏、復讐は突然始の..

この記事へのコメント

2. Posted by デコデコマン   2009年03月04日 00:05
ゆうさん、こんばんは。

はい、わかりました。
誘拐ラプソディも図書館から借りてありますので次はそれで行きます。
その前に川上美映子ですが・・・。
1. Posted by ゆう   2009年03月03日 09:03
いじめが組み込まれてくると、どうしても苦い読後感が残りますよね。おっしゃるとおりだと思います。

お次は、「誘拐ラプソディ」はどうですか?何度も言ってますが(爆)

後味はかなりいいと思います♪

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