2009年08月31日

終末のフール<伊坂幸太郎>−(本:2009年)−

終末のフール (集英社文庫)
終末のフール (集英社文庫)
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出版社: 集英社 (2009/6/26)
ISBN-10: 4087464431

評価:90点

大阪に向かう新幹線の中で読もうと、東京駅構内の本屋で購入。
伊坂幸太郎という名前と、55万部突破というオビについ釣られてしまったが、55万部売れただけあっていい本だった。
それにしてもゴールデンスランバーは未だ図書館で借りることができずに順番待ち。一気に大ブレイクしたよなあ、伊坂幸太郎。

あらすじについては、「BOOK」データベースがものすごくうまくまとめてくれているので最後に添付。

設定を同じくした連作短編とも言えるこの小説。
最初の「週末のフール」があまり読後感が良ろしくなく、スっと心に入ってこなかったため、2作目以降もそんなに期待せずに読み続けたのだが、読み進むほどにどんどんと良くなっていく感じだった。
小惑星衝突で人類滅亡、などという荒唐無稽な設定も、そのとき人々がどう生きるのかという命題を、少しユーモラスな視点を加えながら様々な角度から書き出していく。
その視点の多様性と、失われない笑いのセンスは素晴らしい。
人類滅亡がテーマの小説なのに、読んでいて時折ニンマリさせられるなんてそうあることではないだろう。

個人的には5作品目の「鋼鉄のウール」が好きだなあ。
不器用で、でもストイックなカッコイイキックボクシング選手が登場するのだが、ひょっとして武田幸三がモデルかと思っていたらやはりそうであることがあとがきに書かれていてうれしくなった。
K1ではあまりいいことがなかった武田だけど、彼はカッコイイ。
そのキックの選手のセリフが最高だった。
「明日、死ぬとしたらどうする?」
「僕にはローキックと左フックしかありませんから」
「明日死ぬのに、そんなことをするわけ?」
「明日、死ぬとしたら生き方が変わるんですか。あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか」

私も死ぬのは怖い。
誰だって怖い、と思う。
でも、今やることをやるしかない。生きるとはそういうことなんだ、きっと。

とりあえず娘にこの本を勧めてみよう。

内容(「BOOK」データベースより)
八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?今日を生きることの意味を知る物語。

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終末のフール 新刊書を手に入れて読むのが遅い私が、今回何故こんなに早く伊坂さんの新作を読んだかというと・・じゃーん!買ってしまったのですー!単行本は経済的&収納の問題でめったに買わないのですが、この頃の伊坂さんには、すっかり参ってしまっているので、これ....
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この記事へのコメント

2. Posted by デコデコマン   2009年08月31日 18:12
みわさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

ほんと、考えさせられる本でした。
考えさせられたのに、今日の私の日常が何一つ変わっていないところが少し残念ですが。

終わりがあることを意識して、みわさんの言うとおり少しづつでも日々を大切にしたいものです。
1. Posted by みわ   2009年08月31日 09:19
TBありがとうございます。
>>明日、死ぬとしたら生き方が変わるんですか。

そうなんですよねぇ。
こればっかりはなってみないとわからないのですが、結局はあまり変わらない気がします。大切な人と、いつもより少し大切に日々を過ごすってくらいしかできない気がします。

とても考えさせられる作品ですよね。

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