2004年05月29日

不安な童話

fuannadouwa祥伝社 ; ISBN: 4396326777 ; (1999/04)

評価:87点(100点満点)

内容(「BOOK」データベースより)
「あなたは母の生まれ変わりです」大学教授秘書の古橋万由子は、二十五年前に変死した天才画家高槻倫子の遺子にそう告げられた。発端は彼女の遺作展会場で、万由子が強烈な既視感に襲われ、「鋏が…」と叫んで失神したことだった。実は、倫子は鋏で首を刺されて殺されたのだ。万由子は本当に倫子の記憶を持つのか?真相を探る彼女に、奇怪な事件が襲いかかる。

かなり初期の頃の恩田作品。
面白い。そしていつもの恩田作品どおり、緻密に計算されていて素晴らしい。
いきなり主人公の万由子が、25年前の画家の生まれ変わりというところから話が始まる。オカルト小説ではないので実際はそうではないのだが、冒頭でそれを証明するような事件がおきるから、読者は頭にそれを摺込まれたうえで小説の世界に入っていく。だからだろうか、恐怖感も増すし、頭に浮かぶシーンもめちゃくちゃ鮮明なのだ。

作品のテンポは独特の間合いでじつにゆったり(でも決してあきない)。
さらに、高槻倫子の書いた絵が謎解きの鍵となっているので絵の説明が随所に出てくる。
それによって、読者のあたまに浮かぶのが動きのある映像ではなく「ひとつの絵画」になっていくのだ。これは不思議だ。
キャラもじつによく練られて作られている。凄いねこの人は。

ただ、犯人は途中でわかってしまった。だって消去法でその人しか残らなくなってしまうんだもの・・・。それだけが残念かな。

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