映画:さ行
2007年04月21日
dekodekoman at 22:52 Permalink
サイドウォーク・オブ・ニューヨーク−(映画:2007年49本目)−
監督:エドワード・バーンズ
出演: エドワード・バーンズ、ヘザー・グラハム、ブリタニー・マーフィ、ロザリオ・ドーソン、デニス・ファリナ、スタンリー・トゥッチ
評価:81点
公式サイト
(ネタバレあります)
少々古い映画をDVDで見た。
少々古い、と思っていたら日本公開は2003年、製作されたのは2001年。
結構古いのだ。
冒頭のインタビューでは、バックにワールド・トレード・センターの2つのビルが霞んで映っていて、思わず感慨にふけってしまった。
エドワード・バーンズが、監督・製作・脚本・主演。
ふうむ、日本では知名度が決して高くないけど男前です。
脚本も悪くない。
登場人物へのインタビューを交えながら、マンハッタンを舞台に6人の男女の恋物語が交錯して展開していく。
夫に不倫されて悩む、知的な美しさと危うさをかね合わせた妻役のヘザー・グラハムと、実らぬ恋に疲れるかわいい女の子役のブリタニー・マーフィー。
二人の女性の間で活躍するのがスタンリー・トゥッチって、貴様ハゲのくせになんでそんなにいい役やってるんだ!と思っていたら最後にきちんと捨てられてひとりきりになりました。
観客の溜飲を下げるためのオチですから、これは仕方ないでしょう。
結婚を夢見ながら、結局はシングルマザーの道を選ぶ女性。
カフェのウエイトレスとの恋を、誠実さで成就させるドアマンの男性。
夫に見切りをつけ、新たな人生を手に入れた女性。
いろんな人生があるけれど、みんな恋をして恋をして恋をして生きていくのです。
笑えて共感してちょっとジーンとくる。
結構好きだな、こういう映画。
2007年04月01日
dekodekoman at 01:22 Permalink
幸せのちから−(映画:2007年42本目)−
監督:ガブリエレ・ムッチーノ
出演:ウィル・スミス、ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス、タンディ・ニュートン、ブライアン・ホウ、ジェームズ・カレン
評価:80点
公式サイト
(ネタバレあります)
頑張っても頑張ってもうまくいかないときもあるが、頑張らなければ決してうまくいかない。
息子を支えにアメリカンドリームを実現したクリス・ガードナーの自伝を基にした映画で、ホームレスまがいの生活環境から立ち直っていく様子は感動的。
家賃が払えず家を追い出され、税金滞納で銀行口座を抑えられ、モーテルにさえ泊まれず、全財産が21ドルというどん底からの復活だ。
とにかく息子役のジェイデン・クリストファー・サイア・スミスの演技がいい。どんな境遇に置かれようと、ひたすらに父親を信じてついていく。彼がウィル・スミスの実の息子であることは事前に知っていたが、さすがに息があってるよなあ。
家庭でもあんなに聞き分けがよくて健気な少年なんだろうか。
この超ポジティブ親子を見てると、自分も頑張らねばという気にさせられる。
現状からの脱却のために見せる彼の執念とアイデアとそして努力。
仲良しこよし日本村社会主義が通らなくなってきている日本では、彼が見せたような努力がこれからさらに必要になってくるのだろう。
でもなあ、受話器を置く時間ももったいない、トイレに行く時間がもったいないから水も飲まないと考えてセールスの電話をかけ続ける努力は私にはできないかもしれない。
クリス・ガードナーは成功するべくして成功したのかもしれないが、もし証券会社の研修で生き残れなかったとしたら、その時点でアウトだっただろう。
実際はギリギリのところで踏みとどまれず、堕ちていく人間の方が多いはずだ。そんなことを考えると現実の厳しさを突きつけられる気がして、せっかくのポジティブ気分も吹き飛んでいってしまったりするのだった。
なんにせよ、月曜日から仕事がんばろうっと。
2007年03月24日
dekodekoman at 19:03 Permalink
真珠の耳飾りの少女−(映画:2007年37本目)−
監督:ピーター・ウェーバー
出演:スカーレット・ヨハンソン、コリン・ファース、トム・ウィルキンソン、キリアン・マーフィ
評価:80点
公式サイト
(ネタバレあります)
予備知識なしで見た映画だったけど、やはり「絵」から連想して作り出された物語だったのだ。
17世紀のオランダ。画家のフェルメール(コリン・ファース)の屋敷で使用人として働き始めたグリート(スカーレット・ヨハンソン)。
物語の最初から、グリードが絵のモデルになって揉め事が大きくなっていくのみえみえ。
グリードに惹かれるフェルメールの様子などはあからさまな視線のやりとりでわかりやすぎるほど。それにしては、召使いの分際でアトリエに入り浸れる理由とか、絵の具の調合を任される意味なんかがよくわからない。
当時はチューブ入りの絵の具が売っていたわけではなく、工夫と苦労のうえで色を生み出していいたようだから、絵の具は画家にとって命ではなかったのか。惚れこんだという理由だけで任せていいものなのか。
大きな山場もなく、淡々と物語りは進んでいく。グリードがモデルとなった絵が見つかって唯一の修羅場となる、フェルメール、その妻、妻の母、グリードが集まった場面も、グリードが静かに場を去って終わりを迎える。
ただ、映像は非常に美しい。
スカーレットヨハンソンがモデルとなっている場面だけでなく、全てのシーンがひとつの絵になりそうだ。
鮮やかな絵の具を調合する場面も興味深かった。
個人的にスカーレット・ヨハンソンはいまひとつ好きになれない。
きっとあの唇のせいだろう。ちょっと苦手じゃ。
2007年03月18日
dekodekoman at 01:35 Permalink
すべてはその朝始まった−(映画:2007年34本目)−
監督:ミカエル・ハフストーム
出演:クライヴ・オーウェン、ジェニファー・アニストン、ヴァンサン・カッセル、メリッサ・ジョージ、アディソン・ティムリン
評価:80点
(ネタバレあります)
結構有名どころがでているのに、日本では劇場公開スルーのDVD発売のみ。
確かに荒っぽいつくりで、展開は強引だが、この程度の荒さなら他のハリウッド映画にはいくらでもあることなのに。
それよりも二転三転する展開を全く予想できず、中盤からは一気に引き込まれ驚かされてしまった。
私もまだまだ青いなあ。
通勤電車で偶然知り合った女性と、深い中になってしまうクライブ。相変わらずの濃い顔と異様なオーラがでまくりです。こんな会社員絶対にいない。
相手役はジェニファー・アニストン。
ううむ、結構ストライクです。
こんな人に電車で助けられたら、そりゃお礼はします。
必ずします。
絶対します。
でも、会社にかけた電話はどうして彼女にちゃんと繋がったんだろう?
お礼に食事に誘い、バーで飲んでキスをして盛り上がり、そのまま二人でホテルに入って、さてことに及ぼうとしたところで強盗(ヴァンサン)乱入。
彼女は強姦されたうえに財布は盗まれクライブは大怪我をする。
「警察には言わないで」という彼女の願いを聞き入れそのまま家に帰ったクライブに、ヴァンサンから強請の電話が・・・。
どんどんと泥沼に入っていクライブの様子は見ていていらだたしい限り。
ガタイもいいし、眼力あるのにケンカにとことん弱いし。助っ人を頼めばいきなり殺されるし。
でもこのあたりでヴァンサンが強すぎるというか要領よすぎるって気づけば展開も読めたんだけどなあ。
なぜかクライブのヘタレさにばかり目がいって、ヴァンサンが美人局って気づかなかった。
それに最後、あれはズルい。
「死んでなかった」なんてなしじゃないのか。
あ、でもまたもお約束か。悪役を生き残らせて最後にすっきり解決パターン。
なんにせよ、あれだけ証拠を残しまくってるクライブが捕まらないのは不思議です。
1時間40分という適度な長さで、心地よい緊張感の味わえるサスペンス。でもちょっとドタバタだったかも。
2007年02月12日
dekodekoman at 13:43 Permalink
守護神−(映画:2007年21本目)−
監督:アンドリュー・デイヴィス
出演:ケビン・コスナー、アシュトン・カッチャー、ニール・マクドノー、 メリッサ・サージミラー、クランシー・ブラウン
評価:84点
公式サイト
(ネタバレあります)
映画の王道とも言えるような丁寧な作りこみに好感が持てるものの、意外性はない。
それでも、主役二人の丁々発止のやり取りと、迫力ある救出現場の緊張感や臨場感は見ごたえたっぷりで2時間20分退屈することがなく、「映画を見た!」という密度の濃い満足感は得られるはずだ。
「海猿のリメイク?」と最初は思ったのだがそうでもないようだ。というか「海猿」見てませんが私。
数百人を救助した実績を持つ、米国湾岸警備隊の伝説化されたベテラン救難士を演じるのがケビン・コスナー。救出現場の事故で同僚が死に自分だけが生き残り、その精神的ショックから立ち直れない。私生活でも彼を心配することに耐えられなくなった妻から離婚を言い渡され、深いダメージを負った彼は、退院後のリハビリを兼ねて救難士の学校に臨時講師として就くことになった。
この学校に生徒としてやってきたのがアシュトン・カッチャー。デミ・ムーアの16歳年下の夫だ。
凄いな、サイボーグ・ザ・デミ・ムーアだからな。どんな会話を交わしているか想像もできないぞ。アシュトンは気を使って毎日クタクタじゃないのだろうか。他人の私生活を心配してもしかたがないけど。
そうか、アシュトンって、バタフライエフェクトの主役だったんだ。
クソ生意気な生徒と、ビシバシスパルタの教官のやり取りはどこにでもあるように思えるが、湾岸警備隊の学校の授業はなかなか面白い。実際に水の中で遭難者にしがみつかれたときにどうしたらいいのか、冷たい水のなかでどうやって意識を保つのか、全員を助けられないときの優先順位は、などなど生々しい訓練風景には見入ってしまった。
様々な葛藤を乗り越えて二人が強い師弟の関係を築き上げるのはお約束。
だが、二人が抱える過去や現状のつらさをきちんと書き込んでいるので、十分に説得力があってよかったんじゃないだろうか。アシュトンのロマンスも「あり」かな。
さて、ケビン・コスナー。
今の路線(ナルシズム溢れる二枚目ヒーロー)で主役を張るには少々くたびれてきた感は否めない。
今更、ボディガードもできないし、野球選手ももう無理だろう。ブルース・ウィリス路線の渋めの刑事役なんかに方向転換するのか、コメディでもやってみるのか、いっそ変質者でもやって思いっきりイメチェンしてはどうだろう。
いずれにせよ、これまでどおり主役オンリーではきつそうだ。
フィールド・オブ・ドリームスのコスナーは好きだったので、これからもとにかく頑張ってくだせえ。
そうそう、頭もこのさい潔く丸めるべきです。しぶとく残っているとニコラス・ケイジ同様ヅラ疑惑がでてきますので。(ヅラ疑惑あるのかどうか知りませんすいません)
2007年02月11日
dekodekoman at 20:44 Permalink
Gガール 破壊的な彼女−(映画:2007年20本目)−
監督:アイヴァン・ライトマン
出演:ユマ・サーマン、ルーク・ウィルソン、アンナ・ファリス、レイン・ウィルソン、エディ・イザード、ワンダ・サイクス
評価:86点
公式サイト
(ネタバレあります)
ユマ・サーマン暴れすぎ。
楽しかった。
NYの平和を守るために日々奮闘するGガール(ユマ・サーマン)も、私生活ではちょっと嫉妬深い普通の女性。
だが、この嫉妬深さが尋常ではなかった。
建設会社で働くマットは、彼女と別れて半年、新しい出会いを探していて、悪友にそそのかされ電車の中でジェニー(ユマ・サーマン)に声をかけた。
最初は簡単に無視されたマットだが、運よく?ジェニーのバッグがひったくりにあい、それを追いかけてひと騒動あったのちに、ジェニーとつきあうことになったのだった。
Gガールという秘密を隠してジェニーがマットとつきあうハートフルドタバタコメディか、と思いきや。ジェニーはマットに最初から正体をばらしてしまう。
そして、彼女の強烈な行動にマットが困り始め、同時に同僚の女性(ハンナ)を愛しているという自分の気持ちにマットがきづいてジェニーと別れようとしたことからジェニーの恐ろしい嫉妬と復讐が始まったのだ。
Gガールは高速で空を飛べるのだ。
高層ビルのオフィスで女性と一緒にいるところを、空中に浮いたGガールに外から睨みつけられてはたまらない。
Gガールは目から光線を出せるのだ。
金魚の水槽に光線を当てて、水槽の水を沸騰させられてはたまらない。
Gガールはサメだって仲間なのだ。
いくらんなんでも部屋にでっかいサメを放り込むなんて・・・。
包丁も曲げるし、天井に穴も開けるし、一撃で車の窓ガラスも割ってしまう。
特殊な力をもったスーパーウーマンだって、私生活では正義の味方ではないのだった。
いくら嫉妬がえげつなくても、コメディだから最後はきちんと収まるところに収まってくれるので安心。しかし、激しいSEXでベッドを壊したり壁を突き破ったり、空を飛びながらも行為にふけったりで、これはPG12くらいの指定があってもいいんじゃないのか。
キスへのこだわりも尋常ではないし・・・。
少なくとも娘と一緒には見れないぞ。
ユマ・サーマンは相変わらずスタイルもよく、楽しそうに嫉妬深いGガールを演じていた。
演技の幅が広くて感心する。
残念なことは、顔が私の好みではないことだ。
お前に好かれようとは思っていない、きっとそういわれて殴られるだろうけど。
2007年02月07日
dekodekoman at 22:33 Permalink
世界最速のインディアン−(映画:2007年16本目)−
監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:アンソニー・ホプキンス、ダイアン・ラッド、ポール・ロドリゲス、アーロン・マーフィ
評価:92点
公式サイト
(ネタバレあります)
ああ、いい話だった。
最後の最後までいい人しかでてこなかった。
だからと言って、退屈だとか荒唐無稽だなんてことは全くない。
だって、実話の映画化だから。
インディアン社のバイクで世界最速を目指した男、バート・マンローの話。
ただの最速男ではない。
ニュージーランドから夢を追い求めてアメリカのユタ州ボンヌビルにたどりつき、そこで世界最速を実現したときに彼は62歳だったのだ。
凄いおっさんだ。いや、凄いジジイだ。
俺もこんなジジイになりたいもんだ。
家を抵当に入れて金を借り、船でコックをしながらアメリカにわたり、中古車を買ってバイクを運ぶ。
見ているだけでハラハラもの。
この人のいいトロイ爺さんが、いつ騙されるのだろうか身ぐるみはがれるのだろうかと思うと、見ているのがつらくなったほどだ。
でも、夢を追い続ける爺さんは強い。
素直で飾り気なく、まっすぐな彼の周りには、彼を応援する人が集まってくるのだ。
いろいろ手伝ってくれたドライブインのオカマの兄ちゃん、一晩泊めてくれた未亡人(62歳でそこまで頑張るか)、受付をしていなかったバートを応援して出場させてくれた係員などなど。
見ているだけで心が豊かになり、一所懸命生きることは決して無駄じゃないんだって思わせてくれた。
ずっと思い描いていたボンヌビルの広い大地に立ったときに涙ぐむバートに思わず胸が熱くなった。
思い続けていれば夢は叶うのだ。
まだまだ俺も頑張らねば。
俺はこんなジジイになるぞ、そっちはあんなババアになってくれ。
バートを演じたのはアンソニーホプキンス。
変質者一筋でここまで役者を貫いてきた彼が、今更なんでこんなにいい人の役をやろうと思ったのか不思議だったが、変質者を演じ続けるのにうんざりしていたとのこと。
アンソニーが本質的に変質者だと思っていたのは間違いだったようだ。
仕方ないが、ジャックニコルソンあたりは本質的に変質者でいて欲しいなあ。
ニュージーランドでバートの隣人の息子を演じていた少年の演技が自然でとってもいい。笑顔がかわいいし、今後活躍するんじゃないだろうか。名前も知らないが・・・。
2007年02月04日
dekodekoman at 17:05 Permalink
ザ・センチネル/陰謀の星条旗−(映画:2007年15本目)−
監督:クラーク・ジョンソン
出演:マイケル・ダグラス、キーファー・サザーランド、エヴァ・ロンゴリア、キム・ベイシンガー
評価:74点
公式サイト
(ネタバレあります)
マイケルダグラス62歳。
還暦を過ぎながら、鍛え上げた肉体はまだまだ衰えることを知らず、溢れ出るようなフェロモンが、オヤジの魅力を存分に引き出しています。
そこらへんのチョイ悪オヤジなんぞ、束になってもかなわない、エロエロ爆裂のかっこよさ。
ジャック・バウアーとして不動の人気を誇るキーファー・サザーランドでさえ、このおっさんの前ではかすんで見えてしまうほど。
いや凄いもんです。
映画の中の設定もまた凄い。
シークレットサービスの凄腕ベテランというのはまだしも、大統領夫人(ファーストレディ)の不倫相手。
そして大統領暗殺計画に加担する裏切者として濡れ衣を着せられて逃亡し、自分の力で犯人を見つけ出し、大統領暗殺計画を防ごうとする。
「命に代えても、任務は果たす」って、かっこよすぎるじゃないの。
映画作成のために使えるポイントが100だとしたら(資金とか時間とかを含む映画作成へのエネルギーのようなもの)、そのうち60はマイケルダグラスのために使ってしまっている。
残りの20が、キーファで、10がキム・ベイジンガー(年取ったなあ、この人)。
最後の10が、脚本やら演出やらだろうか。
ということでストーリーはあまりにも単純。
捻りもなにもなく、犯人(シークレットサービス内の裏切者)も簡単に見つかり、ちょっと派手目の銃撃戦があって適当に終わってしまう。
マイケルダグラスは大統領夫人との不倫の後始末も取らずににっこり定年退職だ。
不倫のいきさつも、裏切りの裏側も、なにも明らかにされない。
日本公開が10月。まったくヒットせずあっというまにDVDになってしまったのもわかるような気がする。
せっかく62歳のおっさんに主役をはらせるんだから、もうちょっとなんとかしてもらいたいものだ。
彼にあと何本主役がまわってくるかわからないのだから。
出演:マイケル・ダグラス、キーファー・サザーランド、エヴァ・ロンゴリア、キム・ベイシンガー
評価:74点
公式サイト
(ネタバレあります)
マイケルダグラス62歳。
還暦を過ぎながら、鍛え上げた肉体はまだまだ衰えることを知らず、溢れ出るようなフェロモンが、オヤジの魅力を存分に引き出しています。
そこらへんのチョイ悪オヤジなんぞ、束になってもかなわない、エロエロ爆裂のかっこよさ。
ジャック・バウアーとして不動の人気を誇るキーファー・サザーランドでさえ、このおっさんの前ではかすんで見えてしまうほど。
いや凄いもんです。
映画の中の設定もまた凄い。
シークレットサービスの凄腕ベテランというのはまだしも、大統領夫人(ファーストレディ)の不倫相手。
そして大統領暗殺計画に加担する裏切者として濡れ衣を着せられて逃亡し、自分の力で犯人を見つけ出し、大統領暗殺計画を防ごうとする。
「命に代えても、任務は果たす」って、かっこよすぎるじゃないの。
映画作成のために使えるポイントが100だとしたら(資金とか時間とかを含む映画作成へのエネルギーのようなもの)、そのうち60はマイケルダグラスのために使ってしまっている。
残りの20が、キーファで、10がキム・ベイジンガー(年取ったなあ、この人)。
最後の10が、脚本やら演出やらだろうか。
ということでストーリーはあまりにも単純。
捻りもなにもなく、犯人(シークレットサービス内の裏切者)も簡単に見つかり、ちょっと派手目の銃撃戦があって適当に終わってしまう。
マイケルダグラスは大統領夫人との不倫の後始末も取らずににっこり定年退職だ。
不倫のいきさつも、裏切りの裏側も、なにも明らかにされない。
日本公開が10月。まったくヒットせずあっというまにDVDになってしまったのもわかるような気がする。
せっかく62歳のおっさんに主役をはらせるんだから、もうちょっとなんとかしてもらいたいものだ。
彼にあと何本主役がまわってくるかわからないのだから。
2007年01月11日
dekodekoman at 00:09 Permalink
佐賀のがばいばあちゃん−(映画:2007年4本目)−
監督:倉内均
出演:吉行和子、浅田美代子、鈴木祐真、池田晃信、池田壮磨、岩永明広、緒形拳、三宅裕司、島田紳助、島田洋八、保積ぺぺ、山本太郎、工藤タ貴
評価:89点
公式サイト
(ネタバレあります)
島田洋七が本を書いたと知ったときには驚いたが、それが売れていると聞いたときにはもっと驚いた。
さらにそれが映画になり、ドラマにまでなってしまうとは・・・。
それにしても、俺もほんまもんのおっさんになってしまったのだ。
この映画で泣いてしまうのだから。
多くのおっさんやおばはんが、この映画を見て亡くなった自分達の祖母や祖父を思い出して涙しているのではないだろうか。
そして老いてしまった自分達の両親の姿を重ね合わせてもいるんじゃないだろうか。
さらに言えば、極端に美化された自分の少年少女時代を思い出してノスタルジーに浸っているのではないだろうか。
少なくとも私はそうだった。
映画としての質はそんなに高くないと思う。
なんだかバタバタしたつくりだし、出てくる少年達の演技も決してうまくはない。
セットだって中途半端に安っぽく、三宅裕二が出てくる演出にもちょっと疑問が残る。
そしてストーリーはベタベタで、捻った展開もない。
でも、いつのまにか感情移入して泣いてしまったのだ。
吉行和子が演じるばあちゃんは、いつも前向きで明るくユーモアがあり、そしてかわいらしい。突如預かることになった孫に対する、まっすぐな愛情は眩しすぎて目をそらしてしまうほどだ。
孫もそんなばあちゃんの愛情をしっかりと受け止めて成長しているし、彼らを包む周囲の人間がとても優しい。
豆腐に自ら穴を開けて、「崩れた豆腐」として半額で売ってくれる豆腐やのオヤジ。
運動会でひとりヒノマル弁当を食べるアキヒロに「腹が痛いから弁当を交換してくれ」と言って、豪華な弁当を渡してくれる先生達。
中学最後のマラソン大会に初めて母親が広島から駆けつけてくれたときに、よかったなあと言って泣いてくれる先生。
どのシーンもよかった。
そして最後のばあちゃんとあきひろの別れのシーンでまた涙。
あきひろ、ちゃんと夏休みにはばあちゃんのところに帰ってやれよ!そう思いながらエンドクレジットを観ていたのだった。
「ばあちゃん、腹減った」
「きのせいや」
という会話は最高だ。
私も明日からそう思うことにした。きっとダイエットに成功できるはずだ。
2006年12月17日
dekodekoman at 02:14 Permalink
スキャナー・ダークリー−(映画:2006年150本目)−
監督:リチャード・リンクレイター
出演:キアヌ・リーヴス、ロバート・ダウニー・Jr、ウディ・ハレルソン、ウィノナ・ライダー
評価:81点
公式サイト
(ネタバレあります)
出演、と言っていいのかどうかわからないが、たぶんいいのだろう。
キアヌをはじめ、そこそこ豪華な俳優たちが演じた映像データを基に、アニメーターがデジタル・ペインティングしていく“ロトスコープ”という映像技術で独特の世界観を表現している。
最初は揺れ動くような、そしてムラのある質感や色調にとまどうものの、なれてくるとそこそこおもしろい。
まあ、こんなのもありだな。
特に麻薬中毒患者たちの妄想シーンなどは、この手法だからこその奇妙なリアル感がうまく出ている。
体中をゴキブリが這い回るシーンは、アニメだと物足りないし、SFX使った実写だとグロさばかりが目に付くところ。それをこのロトスコープでやると、まさに妄想、という感じがしてくる。
近未来のアメリカ合衆国、カリフォルニア州オレンジ・カウンティ。
物質40という麻薬が世の中に爆発的に蔓延する中、麻薬潜入捜査官のボブ・アークター(キアヌ・リーブス)は、麻薬の取引ルートを探るため、囮り捜査をする。
このあたり、かなり端折られているので、なぜキアヌが他の男性二人(バリス(ロバート・ダウニーJr.)、ルックマン(ウッディ・ハレルソン))と共同生活をしているのだろうとか、恋人であり売人のドナ(ウィノナ・ライダー)との関係はどうなっていて、捜査はどこまで進んでいるのかとか、よくわからない。
ただ、妄想と現実の入り混じった彼らとの生活は、何が起こるかわからない緊張感と、馬鹿げた行動からくる脱力系の笑いがうまくミックスされているので飽きることはない。
一方、潜入捜査は完全極秘なので、アークターは顔や声も明かされることのない゛スクランブル・スーツ゛を着用し、上司同僚からはフレッドというコードネームで呼ばれいてる。
その結果、麻薬中毒患者として密告されたアークター自身を自分で監視するハメになってしまうのだった。
薬の常用が進み、次第に現実と妄想が入り混じり、自己が崩壊していくアークター。
最後まで派手なアクションシーンなどは起こらず、静かにアークターはおかしくなり、施設に入れられてしまうのだった。
終盤のタネあかしはそこそこ驚くものだったが、なんだかキアヌだけが徹底的に貧乏くじを引いたような展開にはちょっと納得がいかない。
かわいそうでしょう、あれでは。
残った脳細胞が覚醒して、あの農場の不正を証明できればいいんだが。
思い返してみると、よくわからないところが結構多い。
そもそも農場に派遣されなかったらこのプロジェクトは意味がなかったということなのだろうか。
見えないスーツをきていたのに、上司はなぜキアヌのことを知っていたのだろうか。そもそもスーツに意味などないのか。
キアヌが検査を受けていた病院ではキアヌは素顔だったけど、あの場所では顔を隠す必要がないのはなぜだ。
ま、いいか。
それにしても、映像技術と役者の出演料以外では金のかかっていない映画だな。7年後の未来、か。作り手には都合のいいレベルの近未来なんだろう。誰しも想像できる範囲の未来だから、そのちょっと先を映像化すればみんな納得する。それがあのスーツなんだろうけど。
2006年12月15日
dekodekoman at 00:30 Permalink
ソウ3−(映画:2006年148本目)−
監督:ダーレン・リン・バウズマン
出演:ショウニー・スミス、アンガス・マクファーデン、バハー・スーメク、ディナ・メイヤー、J・ラローズ、デブラ・リン・マッケイブ、バリー・フラットマン、エムポー・クワホー
評価:60点
公式サイト
(ネタバレあります)
痛い痛い痛い痛い痛いって。
いくらなんでも痛すぎる。
えげつない仕掛けの数々は、そのアイデアにいくらか気が取られるからか、まだなんとか見ていられる。しかしジグゾウの頭をこじ開けるあの映像はたまらん。
さすがにあの場面だけは思わず目を閉じてしまった。
ああ、思い出しても気持ち悪い・・・。ぐええ。
そういえば豚も気持ち悪い・・・。ぐええ。
明日はトンカツ食って気晴らしじゃ。
見終わって力が抜けた。
感動すら覚えた第一作目の衝撃はどう考えても上回ることができないからか、グロさで勝負にきたとしか思えない。ストーリーはそれなりにどんでん返しを作っているものの、どうにも生温く切れ味も悪い。
まだ二作目は時間差攻撃と言うトリックがあったが、この作品ではそれさえもない。
裏切りと嫉妬が新しいテーマと言えるくらいだろうか。
今回ゲームに参加するのは、子供を飲酒運転の車にひき殺された男・ジェフと、鬱気味で家庭を放り出し不倫に走る女医・リン。
うーん、なぜこの人たちがゲームの参加者に選ばれたのか必然性が薄すぎるんじゃないかと思っていたら、ジグゾウの後継者アマンダがそこに絡んできてなるほどの結末に繋がっていく。
ゲームはジグゾウとアマンダの間で行われていたのだ。
確かに辻褄はうまくあわせてあり、しかも第一作のネタバレなんかも織り込んであってそこそこ楽しめる。しかし、これでは味付けが薄すぎるし、新たな突っ込みどころもいろいろと出てきてしまうじゃないか。
もう、いいんじゃないか。
と思っていたら、トビン・ベル、あと二作分の契約があるという。
やめとけって、これ以上どうエスカレートさせるんだよ。
俺はもう絶対に見ないぞ、これ以上痛い場面は無理じゃ。
そうそう、ルールは守ろう。
2006年12月09日
dekodekoman at 20:19 Permalink
さよなら、僕らの夏−(映画:2006年146本目)−
監督:ヤコブ・アーロン・エステス
出演:ローリー・カルキン、トレヴァー・モーガン、スコット・ミシュロウィック、ライアン・ケリー、カーリー・シュローダー、ジョシュ・ペック
評価:75点
公式サイト
(ネタバレあります)
そうか、ローリー・カルキンはマコーレ・カルキンの弟だったのか。
まったく気がつかなかった。
言われて見れば目元が少し・・・という気がしなくもないな。
お兄さんのように、酒と薬に溺れることなく、しっかりとした俳優生活を続けて欲しいものだ。
低予算で作られた90分あまりの作品。
ヤコブ・アーロン・エステスはこの作品で監督デビュー。
少年少女のひと夏の恐ろしい経験を、美しい風景とあわせて緊迫感たっぷりに表現している。
DVDで本編を見る前に、予告編を見たのだが、予告編でほぼストーリーの全容がわかってしまうといのはどんなもんだろうか。
確かに入り組んだストーリーではなく、ストーリーを通じて少年少女たちの、ピュアな、ピュアだからこその残酷な心理描写にエネルギーのほとんどが注ぎ込まれているのだから別にいいのか。
いじめっ子のジョージ。ジョージのイジメに悩むサム。サムを助けようと復讐を考える兄のロッキー。ロッキーの友人で、ジョージに対する復讐に賛成するクライドとマーティー。サムのガールフレンドのミリー。
サムの誕生日を祝うという口実でジョージを呼び出し、6人は休日に川下りに出かけたのだった。
復讐はゲームを通じてジョージを川へ突き落とし、裸で家まで帰らせるというもの。実行はためらわれたものの、結局アクシデントでジョージは川へ落ちてしまう。
意外と人懐こい一面を見せるジョージに計画実行を中止にしようといいながら、ジョージの言動にカチンと来るたびに不機嫌さを露にするサムやミリー。感情を抑えるということが最初から全くできないジョージ。その他のメンバーもそれぞれ10代特有の繊細さと残酷さを映画の中でうまく表現している。
40歳になった今、「今、あの頃(10代)に戻れば、俺はもっとうまくやっていけるのに」などと妄想するときがたまにあるが、本当にそんなことになれば、友人達からの遠慮ない残酷な言葉や、思慮の浅い不安定な行動に対応できずノイローゼにでもなってしまうかもしれない。
ずるくて汚いけれど、他人と正面からは斬りあわない大人の世界に私は今住んでいるのだ。
純粋で美しいけれど、残酷でえげつない、ノーガードで殴りあうような少年時代にはもう戻れない。
マーティー役のスコット・ミシュロウィックは、ピーター・アーツによく似ている。
ついでに言えば、カーリー・カルキンはマコーレー・カルキン兄弟の末っ子で、ここは7人兄弟(マコーレーは長男)だそうだ。
なんだか怖いなちょっと。
2006年11月26日
dekodekoman at 18:48 Permalink
サッド・ムービー−(映画:2006年143本目)−
監督: クォン・ジョングァン
出演: チョン・ウソン、イム・スジョン、チャ・テヒョン、ヨム・ジョンア、シン・ミナ、ソン・テヨン
評価:61点
公式サイト
(ネタバレあります)
「愛はどうして終わる瞬間に一番輝くんだろう」
愛を得る喜びよりも、愛を失う悲しさのほうが観客の心にストレートに響く。
決して映画を観る人たちが主人公達の不幸ばかりを望んでいるからではなく、別れの悲しさの刹那性のほうが密度が高くインパクトも強いからだ。
では、そんな別れの場面を集めて観客に存分に味わってもらう映画を作ったらどうだろう。
群像劇形式で4つのストーリーを同時に走らせ、2つずつは少し絡めてみせる。
活きのいい、しかし実力もある若手俳優を並べて、映像も音楽もお洒落に仕上げて見せるのだ。
題名は?
小細工はしない、直球勝負を貫こう。
「悲しい映画」
どうだ、できた、あれ、泣けない・・・。
ううむ、そもそも発想のミスなのか。同じような悲しい別れの話を並べたところで感動が増していくわけではなかったということか。しかしそれぞれのストーリーはそこそこ感動的にできていたよなあ。
では、短い時間に強引に感動を詰め込もうとして逆に観客が冷めてしまったということか。確かに火の中での防犯カメラへの笑顔とか、死の間際の笛吹きとか、いくらなんでも演出ミスではないかと思われる部分もいくつかあった。
まあ、そのあたりの理由で感動がどんどんと薄められてしまったようだ。
濃厚な味わいと芳醇な香りのダブルエスプレッソが、いくつものコップに小分けされてお湯を足されて普通のコーヒーになり、さらに牛乳をダボダボいれられカフェオレになり、甘い砂糖で味がさらにごまかされ、いつのまにかビンに入れられて風呂屋に並べられていたというようなものか。ちょっと違う。
風呂屋のコーヒー牛乳はあれはあれで好きだけど。だからちょっと違うって。
もうひとつ思ったのは、あまりに味が違う物語を一緒にしていることに無理があるのではないかということ。特にこのふたつ。
ひとつめ。彼女に別れを切り出されたチャ・テヒョンが、離別代行屋を開業して頑張るものの、結局彼女には新しい恋人ができ、自分へ別れを伝える仕事を彼女から依頼されてしまう。
オマヌケっぽいストーリーで演技も3枚目ながら、結構ジンワリ涙を誘ういいストーリー。
ふたつめ。消防士のチョン・ウソンは彼女にプロポーズをしようと何度も試みるもののなかなかタイミングが合わない。心を決めてスカイラウンジで彼女を待つウソンはまたも緊急の火事で呼び出されてしまった。恋人のイム・スジョンは自らが手話でニュースを放送していて、彼がその火事の現場で亡くなったことを知る。突然の悲劇に号泣するスジョン。
ひとつめが「和食御膳」なら、ふたつ目は「フレンチのフルコース」だ。それくらい風味が違う。だいたいテヒョンとウソンが違いすぎる。
どちらがいい悪いじゃなくて、同じテーブルでこれだけ違う料理がでてると不自然じゃないのかなあ。
むりやり同じテーブルで提供する(同じ映画に入れ込む)必然性がなかったように思えるのだ。
個人的には、聾唖の少女(シン・ミナ)のストーリーが一番切なくてかわいくてキュンときたのだった。
2006年11月03日
dekodekoman at 18:45 Permalink
セーラー服と機関銃−(映画:2006年136本目)−
監督: 相米慎二
出演: 薬師丸ひろ子、渡瀬恒彦、柄本明、三國連太郎
評価:77点
(ネタバレあります)
これまたネタバレもヘッタクレもないな。
ヘッタクレがなんのなかという疑問は残るが。
先月から長澤まさみ主演でテレビドラマ化されているが、見たことがないしこれからも見ないだろうということで、1981年のオリジナルを見てみた。
主演はもちろん薬師丸ひろ子。
当時爆発的な人気があった。
掃除時間にほうきを機関銃に見立てて「バババババ!」とぶっ放し、呆けた表情で「か・い・か・ん」とつぶやく。
マネをしていた中学生は俺だけじゃなかったはずだ。
アイドル映画なのだろうが、実は、撃った刺した殴った死んだ、に加えて生々しいベッドシーンもあり、それなりに生臭いストーリーになっている。
そこに登場するセーラー服姿の薬師丸は映像的に違和感たっぷりであって、そのアンバランスさが妙にそそるのだ。
倒錯の愛に溺れていく変態の気持ち、ってこんな感じだろうか。
一方で、薬師丸ひろ子の演じる高校生、星泉(ほしいずみ)は、ほとんど抵抗感なくやくざの組長としてヘロインをめぐった抗争に入り込んでいく。躊躇なく銃をぶっ放したり、血だらけの部下のところに飛び込んでいくのだ。
よく考えれば無茶なストーリーで説得感のかけらもないのだが、有無を言わせぬ圧力やスピード感は見事なもの。さらに、薬師丸ひろ子が、少女からオトナなの女性へと成長していく様もみどころ。
だが、とにかく荒っぽい。
原作がそうなんだろうが、脚本も荒っぽい。
こみいった中で計算され尽くしたプロットや丁寧な描写が好まれる現代では受け入れられる土壌はなさそうだ。
長澤まさみのドラマもどうも苦戦しているようだぞ。
2006年10月21日
dekodekoman at 01:26 Permalink
16ブロック−(映画:2006年128本目)−
監督:リチャード・ドナー
出演:ブルース・ウィリス、モス・デフ、デヴィッド・モース、ジェナ・スターン、ケイシー・サンダー、シルク・コザート、デヴィッド・ザヤス
評価:75点
公式サイト
(ネタバレあります)
これはまたとんでもなく地味ですなあ。
ブルース・ウィリスが刑事役で銃をぶっ放しながら、ここまで地味に映画を作れるというのもなかなか凄いのかも知れないぞ。
そう思っていたら、監督のリチャード・ドナーは76歳。
なるほど、ワビサビの効いた渋い味わいになるわけだ。
好きか嫌いかといわれればもちろん好きな映画なんだが、ブルース、刑事、NY、アクションと重なっていると、当然もっと違う映画を期待してしまうだろう、普通は。
ブルースはアル中でダメダメのヨボヨボ刑事役。とてもまともに仕事をしているとは思えない。
彼が夜勤明けに突然頼まれた仕事は、2時間以内、つまり朝の10時までに証人を16ブロック(約1.6キロ)先の裁判所まで連れて行くこと。10時が証言のリミットなのだ。
この証人は犯罪で投獄されていたエディ。
演じているモス・デフはラッパーだというらしいが、妙に甲高く訛りのある話し方はきわめて耳障りだ。多少癖のある話し方でも映画が始まればすぐになれるものだが、このモス・デフは随分時間がかかったなあ。いかにも頭が弱そうな雰囲気もわざとらしかったし。
ブルースがモスを裁判所に連れて行く途中で、モスが襲われる。彼を襲ったのは彼の証言で窮地に立たされるNYの汚職警官たちだった。
汚職警官のボスはデヴィッド・モースで、ブルースの元相棒役。
モスを殺そうとするモースから、ブルースはモスを救い出し逃走する。
果たして10時までにモスを裁判所に届けることができるのか?
この逃走劇がモタモタだ。
アル中で足が不自由な警官役だけあって、華麗に塀を飛び越えたり、エレベーターをよじ登ったり、屋上から飛び降りたり、なんてまったくしない。
地味にコソコソと、時には単発的な銃撃戦を繰り返し、二人は逃げ続けるのだった。
だいたいゴールがわかっているんだから、その周辺を張り込まれたらどうしようもないと思うのだが違うのか?
バスに閉じ込められて絶体絶命になったが、ブルースは機転を利かせてモスを裁判所に行かせる。
行かせた、はずなのに戻ってくるか普通。
最後はジンワリと癒し系のハッピーエンディング。
しかし「マッチポイント」での皮肉っぽいエンディングを見たばかりの私の目には、なんだかラストがガキっぽく写ってしまった。いかんいかん、どうも心が汚れているようだ。素直に感涙に咽び泣かなくてはいけないというのに。
主役が3人ともハゲという点では、この映画は賞賛に値する。
これからのハリウッドは、登場人物の5割以上をハゲでしめなければいけない、というルールをつくってはどうだろうか。ケビンコスナーもニコラスケイジもハゲだし、トムハンクスももうダメだしな。
そうだそうしよう、日本映画も同じだ。ソリマチもオダもみんな頭を丸めろよ。
2006年10月09日
dekodekoman at 00:39 Permalink
17歳のカルテ−(映画:2006年124本目)−
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ウィノナ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリー、クレア・デュパル、ブリタニ・マーフィー
評価:93点
公式サイト
(ネタバレあります)
レンタルビデオ屋に行ったが、見たい新作が全部貸出中。
仕方なく、ちょっと古いところを探していて、たまたま借りたのがこの映画。ところがこれがよかった。
アンジーはこの映画で2000年のアカデミー賞助演女優賞を受賞。確かに賞にふさわしい熱演で、その存在感と煌くオーラには圧倒される。
8年間精神病棟に入り続け、脱走を繰り返している問題児の振幅の大きい精神状態を違和感なく見事に演じていて素晴らしい。
ウィノナ・ライダーもよかった。
主役でありながら結構地味な役どころなので、どうしてもアンジーが目立ってしまうが、実は難しい演技を完璧にこなしているのはウィノナのほうなのかもしれない。
病院に向かうときのタクシーの中のウィノナの顔と、病院から出るときのウィノナの顔は明らかに違う。もともと「繊細」というイメージがあるウィノナだが、この役も当たり役だった。
他の患者達の演技もそれぞれ秀逸。
地味なテーマで2時間7分と言う映画だったのに、最後まで全く飽きずに魅せられてしまった。
物語は、スザンナ・ケイセンの小説「思春期病棟の少女たち」を映画化したもので、精神病院に入院していたというスザンナ・ケイセンの体験が元になっている。
物語の根本に流れるものは深くて複雑。
異常と正常の境界、そんなものの定義をいきなり説明しろと言われて答えられない。
みんな「自分は正常だ」と思ってなんとか世の中と向き合っているだけだ。
退院しても世の中と向き合えないことだってある。
クライマックスにデイジーの家で起きた悲劇がそれを表しているのだ。
私には精神病を論じるほどの知識はないけれど、この映画に出てくる患者達のジリジリとした焦燥感は伝わってきた。
でもそれって病院の外の若者達にも共通のことだよな。
そう考えると、この映画は、たまたま舞台を精神病院に置いただけの、優れた青春映画だとも言えるんだろう。
深夜のボウリング大会や、ギターを弾きながら歌うシーンなんてまさにそうだった。
映画では60年代の持つ混沌さも強調されていた。
70年代に入ると彼女達のほとんどは退院したという説明もあったくらいだから、現在ならスザンナ程度の症状なら入院なんてありえないのかもしれない。
ま、その辺りはわからない。
原作に惚れ込んだウィノナ・ライダーは、主演だけでなく製作総指揮も務めている。この映画を作ったときは28歳くらいか。才能と言うのは凄いものだ。
アンジーがその後順調なのに比べて、ウィノナがぱっとしない(というかゴシップばかり)のは気になります。頑張って下さいませ。
2006年08月28日
dekodekoman at 23:36 Permalink
スーパーマン リターンズ−(映画:2006年106本目)−
監督:ブライアン・シンガー
出演:ブランドン・ラウス、ケヴィン・スペイシー、ケイト・ボスワース、ジェームズ・マースデン
評価:84点
公式サイト
(ネタバレあります)
オープニングのテーマ曲だけで、見る人をこれだけひきつける映画もそんなに多くはないだろう。
音楽が聞こえただけで、思わず武者震いが起きてしまったのだった。
少々長めの2時間30分、ほとんど退屈せずに見ることができました。
さすがスーパーマン。われらのスーパーマン。梅干食べてすっぱマン!
(どうしてもこのセリフが頭に浮かぶ、私はアラレちゃん世代です)
今は亡きクリストファー・リーヴの後をブランドン・ラウスが演じる。
レックス・ルーサー役ジーン・ハックマンをケヴィン・スペイシーが演じる。完璧なハゲ頭で。
これだけでも話題性十分。
ストーリーは、スーパーマンが故郷のクリプトン星の消滅を自分の目で確かめる為に、地球を去って5年が過ぎたところから始まります。
といっても前作を見ていないのでそこらあたりはよくわからない。
まあ、わからなくても平気です。平気平気。
派手に日本に帰還した後は、コンビニ強盗からスペースシャトルの誤作動まで、事件の大小を問わず大活躍の解決しまくり。正義は事件を選ばないのです。たぶん。
音速で飛行機を追い抜き、弾丸を目の玉で跳ね返し、無敵という以外にい形容する言葉が思い浮かばないほど。
いそがしすぎる、いったいいつ寝るのだろうか?そんな心配をしてしまいました。
あれだけ事件を解決してくれれば、損害保険会社は儲かってしゃあないですね。事故率激減だもの。
悪役のケビンスペーシーは、スーパーマンの生誕の秘密を探り、凄まじいパワーを秘めたクリスタルを盗み出します。
狙うは大陸の新たな創造とアメリカ合衆国の沈没。
スーパーマンの弱点を握った悪役は、今回結構いいところまで言ったのですが、最後は椰子の実を齧りながら思い出にふけるのでした。
常識を覆す派手な人命救助は見ごたえがあります。
映像もとても綺麗。
飛行機とスペースシャトルが徐々に大気圏に出て行くところ、青空から宇宙への変化がとても美しかった。
ロイスとの三角関係、複雑な大人の恋もなかなかのものです。
息子には驚きましたが・・・。
思い出してみると、いったい何をやってるうちに2時間半もたったのか不思議でなりませんが、面白かったので、まあいいでしょう。
さて、続編はあるか?あるのか?え、言うてみい!
2006年08月10日
dekodekoman at 00:47 Permalink
ザ・フォッグ−(映画:2006年104本目)−
監督:ルパート・ウェインライト
出演:トム・ウェリング、マギー・グレイス、セルマ・ブレア
評価:70点
公式サイト
(ネタバレあります)
「100年前の罪を償え」って、そんな昔のことを言われてもなあ・・・。
霧を使ったこのホラー映画は、1978年ジョンカーペンター監督作品のリメイクということ。オリジナルは見たことはない。
たぶん見ないと思うけど。
それにしても不合理な設定。いくら恨みがあるとはいえ、100年後に突然亡霊がどかどか現れて「罪を償え」なんて言われてもそれは勘弁してもらいたい。
そもそも、ホラー映画なんて不合理なものであって、誰が何故襲われるのかわからないからこそ怖いはずなのだ。だから、不合理であっても文句をいう筋合いはないのだが、この映画に限ってはどうも納得がいかない。
街の創設にかかわる恐ろしい過去の出来事、それが亡霊たちの存在理由であるという設定ならば、亡霊たちには確固たる意思があるのだろう。それなのに、亡霊たちがあまりに無秩序に住民を襲いすぎだ。
ボートにいた若者たちはなぜ襲われたのか?
犬やお手伝いのオバサンはなぜ?
少年はなぜ狙われたの?
わけがわからない。
エリザベスだけはわかるけど、それでもいつのまに生まれ変わりのような存在になっていたのだろう。
そんなことを考えながら見ていたら、ちっとも怖くなくなっていた。
サイレントヒル、ディセントとホラー続きだったので少々慣れてしまったのかも。
それでも、「霧」をうまく使った恐怖の演出はなかなか見事。
街を包んでいく圧倒的な力がよく伝わってきた。
あとはセルマ・ブレアが最高。
知的な色気というのだろうか。DJシーンもたまらなくよかった。
あんなラジオ番組があったら毎日聞くのに。
2006年07月09日
dekodekoman at 02:00 Permalink
サイレントヒル−(映画:2006年91本目)−
監督:クリストフ・ガンズ
出演:ラダ・ミッチェル、ローリー・ホールデン、ショーン・ビーン、キム・コーツ、ジョデル・フェルランド、アリス・クリーグ
評価:78点
公式サイト
(ネタバレあります)
クリスタベラ許すまじ。
と言っても見事に八つ裂きになって死んでしまいました。
ということは、ホラーサスペンスファンタジー映画、というよりはただの復讐劇だったのか?
そんな風に思うと後味が少し悪いような気がしてきた。
娘シャロン(ジョデル・フェルランド)が酷い夢遊病になり、なんども「サイレントヒル」と叫ぶため、娘を連れて今はゴーストタウンとなっているその街にでかける母ローズ(ラダ・ミッチェル)。
途中で婦人警官に追われた上に交通事故にあったローズが意識を取り戻したとき、シャロンはいなくなっていた。
シャロンを探すローズと婦人警官のベネットは、サイレントヒルを彷徨うことになる。
その街はサイレンが鳴ると闇に支配され、悪魔が人間を襲ってくるのだった。
もとネタはゲーム。
いくつかのブログでレビューを読んでみると、このゲームが好きな人にはたまらない映画だったようだ。
謎を解きながら次第に真相に近づいていく過程、独特の姿をしていてかつ気持ち悪い動きをするクリーチャーたち、そして幻想的で神秘的な映像。
自分がプレイしたゲームの世界を、こうやってきちんと映像化してくれればそりゃうれしいのでしょう。
では私のようにゲームを全く知らない人間が楽しめないかというとそうでもない。
子供を決死の表情で探し続けるローズの迫真の演技はなかなかのものだし、なんといっても映像が美しい。グロシーンも、まあ映画だと思えばなんとか耐えられる。
ゲームであることからくる弊害をあげれば、ひとつひとつ謎を解いていこうとするために不自然な展開がいくつか見えてしまうこと。
あのトイレの変死体の口のなかになぜ手を突っ込んで次のステップのカギを取らねばならぬのじゃ。
ローズは、危ないところ暗いところになぜ闇雲に進んでいってしまうのじゃ。
黒画面を挟んでステージクリアを思わせるような展開になんでせねばならぬのじゃ。
それにしても、途中から時間軸が狂っていたとはわからなかった。
ローズが歩くサイレントヒルと、夫のクリフが歩くサイレントヒルが随分と違うのでどうなっているのだろうとしばらく悩んでいたのに。
どっかで説明してくれよう。
大体、ローズはおかしいと思わなかったのだろうか。
それでもって、最後にはローズとシャロンはいったいどの世界に迷い込んだのだろうか。
家やソファがあることを考えると、どうも30年前にそのままいるというわけではないようだ。
ううむ、よくわからん。
異次元なのか。そして、異次元に入ってしまった妻から、携帯電話の電波だけ飛ばすなんていう哀愁たっぷりの演出をしていたのか。
悩んでいくにつれ、後半は恐怖が少し薄れていった。
でもまあ、この程度でも私には十分にホラーです。ああ、ちょっと疲れた。
2006年07月07日
dekodekoman at 23:05 Permalink
セックスと嘘とビデオテープ−(映画:今年90本目)−
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:アンディ・マクダウェル、ジェームズ・スペイダー、ピーター・ギャラガー、ローラ・サン・ジャコモ
評価:88点
(ネタバレあります)
あれ、いい映画じゃないか。
結構好きだぞ、このちょっとだけ病的な感覚。
この映画の存在を知ったのは大学生のときだった。
強烈なインパクトの題名だった。
「25歳の監督が作った斬新な映画らしい」「凄く難しいけどいいらしいよ」「あれを見ないと映画通じゃないぞ」
などという言葉が当時私の周りでは飛び交い、それで逆に嫌になって意地で見に行かなかったという映画だった。
やたらかっこいい後輩がこの映画を褒めていたのも癪にさわったのだった。
昔から心の狭い男なのだなあ、私は。
今、この年齢だから、落ち着いた目でこの映画を見ることができる。
少しづつどこかが病気で歪んだ4人が繰り広げる、静かだけど強烈な愛憎ドラマ。
不倫ぐらいはおきるが、殺人も誘拐もカーチェイスも銃撃戦もなにもない。それでも画面にしっかりと目を釘付けにしてくれる映画だ。
妻に嫌われて、セックスができず、 妻の妹と情事を楽しむ弁護士の夫。
セックスが好きになれず、社会問題に変に関心を持ち、カウンセラーに通う妻。
姉の夫とセックスを楽しむ独身の妹。
夫の旧友で突然帰郷してきたビデオテープが趣味の不能男。
まあ、ひとりひとりはどこかにいそうで、でもこんな4人が物語を織り成す状況はやっぱりないんだろう。
それぞれが嘘をつきながら、それぞれが性に悩みまたは溺れ、そしてビデオテープの前でのみ、真実を語る。
愛情に飢えるがゆえに嘘を重ねて愛情から遠ざかっていく様子が生々しい。
しかし、よくぞまあこんな映画を25歳で撮ったもんだ。
才能の違いにもほどがあるのではないかい。
ラストはあれでいいのだろう。
アンとグラハムはあれから死ぬまで嘘などつかずに過ごしたのだろうか。
2006年06月27日
dekodekoman at 00:12 Permalink
ステイ−(映画:今年85本目)−
監督:マーク・フォースター
出演:ユアン・マクレガー、ナオミ・ワッツ、ライアン・ゴズリング、ケイト・バートン、ボブ・ホスキンス
評価:90点
公式サイト
(ネタバレあります)
●オチ映画をこんなに感動的に仕上げることができるなんて・・・。
冒頭から漂う異様な雰囲気。
見ているものの不安感を増殖させる音楽と、明らかに異常なフィルムのつなげ方がさらに混迷度を増していく。
ユアン・マクレガーではないが、何が現実で何が幻想なのか途中からわからなくなり理解不能だ。
そして、「これ以上は無理だ!早く説明してくれ!」という限界点まで引っ張っておいて、切なく感動的なラストを迎える。
ううむ、うまい。
普通、●オチ映画だと、わかってしまえばがっかりというものが多いが、この映画はオチがわかったあとに美しさが残り感動が増す。
脚本のうまさはもちろんのこと、途中の時間や空間の乱れの演出と、映像の美しさも素晴らしかった。
精神科医のサム(ユアン・マクレガー)が新たに担当することになった患者ヘンリー(ライアン・ゴズリング)は、奇妙な予知能力を持った患者だった。
ヘンリーが三日後の土曜日(21歳の誕生日)に自殺することをほのめかしたことで、サムの日常は急速にあわただしくなる。
ヘンリーを助けるために、サムは行動を開始するが、次第に現実と幻想の区別がつかなくなっていくのだった。
サムの恋人ライラをナオミ・ワッツが演じている。
なんとも幸薄そうな役柄で、見た目に派手さがない彼女にはピッタリだったかもしれない。
でも、こんどはもうちょっとゴージャスな役をあげてください(誰に頼んでいるのやら)。
この前に見たのが「ポセイドン」。
「ポセイドン」はまったく頭を使わず握りこぶしに力を入れて肩が凝った映画だったが。こちらは頭を使って考えすぎて、髪の毛が抜けてしまう映画だった。
まさに両極端の緊張感。
映画って面白いもんだなあ。これほど異なるものを作り出せるのだから。
全体に流れる幻想的な雰囲気と心地よい緊張感は、かなり好みでした。
あの二人はきっとうまくいったに違いない。
2006年06月23日
dekodekoman at 23:00 Permalink
スパングリッシュ−(映画:今年82本目)−
監督:ジェームズ・L・ブルックス
出演:アダム・サンドラー、ティア・レオニー、パズ・ヴェガ、クロリス・リーチマン、シェルビー・ブルース、サラ・スティール、イアン・ハイランド
評価:84点
公式サイト
(ネタバレあります)
劇場公開時には「太陽の国から来たママのこと」という副題がついていたようだが、DVD化のときにはばっさりカットです。
まあ、スパングリッシュで十分かな。
スパングリッシュとは、アメリカ在住のヒスパニック系の人たちが話す英語のことらしい。(英語とスペイン語が混じったものか)
愛娘クリスティーナと共に故郷のメキシコを離れロサンジェルスに移り住んだシングルマザー・フロール(パズ・ヴェガ)は、クラスキー家でハウスキーパーとして働くことになる。
一見幸せそうなクラスキー一家は、夫がアダム・サンドラー、妻がティア・レオーニという組み合わせ。
映画は、クラスキー一家の抱える問題や、言葉が通じず、文化も考え方も違う2つの家族のぶつかり合いと和解、そしてほのかな愛情などを描くドラマだ。
アダム・サンドラーがでているのでもっとコメディチックになるのかと思ったが、意外と深い内容でそれでいてドロドロとした描写もなく、非常に爽やかで落ち着いた知的な大人の雰囲気で最後まで貫かれていた。
「結局だからなんなんだ」という思いもあるのだが、この映画の雰囲気はかなり好きだなあ。
さて、ティア・レオーニ。
ディック&ジェーンでべた褒めしたところなのだが、この映画の演技も凄い。こんなエキセントリックな嫁が家にいたら絶対にやってられないと思うけどなあ。
自分勝手で強引でヒステリックで情緒不安定。周囲の意見に耳を貸さず、愛情を押し付けるばかり。それでいて自分への愛情を過剰に求める。
これはたまらない。
普通はそんななかにも愛らしいところがあったり、最後には救いが見えて終わるのだけれど、この女性はとことん酷い。
アダム・サンドラー、我慢しすぎだってば。
そんな、ティアとぶつかりながら、自分の子供へ愛情をしっかりと注いでいくのがパズ・ヴェガ。
ペネロペを大きくしたようなイメージだが、とても綺麗な女優だった。
娘役のシェルビー・ブルースとの親子は、異国で暮らす二人きりの親子の強い絆を十分に感じさせて心に染みた。
アメリカナイズされることを恐れて学校も退学させてしまうのはどうかとは思ったけどね。もちろん、アメリカで暮らす移民の歴史や現状を知らない私の感想あって、実際の受け入れられ方はよくわからない。
物語は、ティアの不倫発覚をきっかけに怒涛の一夜を迎えて大混乱のうちに幕を閉じる。
決してハッピーエンドではなく、どんな未来をも予想させる終わりかた、これはこれでありだろう。
スパングリッシュ
2006年05月26日
dekodekoman at 00:40 Permalink
ジャケット−(映画:今年68本目)−
監督:ジョン・メイバリー
出演:エイドリアン・ブロディ、キーラ・ナイトレイ、クリス・クリストファーソン、ジェニファー・ジェイソン・リー、ケリー・リンチ
評価:82点(100点満点)
公式サイト
(ネタバレあります)
説明のつかない強引なタイムトリップ手法や、中途半端なメッセージ性には疑問が残るものの、あの甘ったるい感傷的なハッピーエンドのラストはなんとも私好みでいい感じだ。
1992年。湾岸戦争での頭部の負傷が原因で記憶障害になったジャックは、ある殺人事件に巻き込まれ精神病院に送られてしまう。
病院の治療の一環として、拘束衣(ジャケット)を着せられ、死体安置用の引き出しの中に閉じ込められるという実験的療法を受けた彼は、気がつくと15年先の2007年へとタイムスリップしていたのだ。
なんとも強引で一切の説明がないタイムスリップ。
なんでまたそんなところでタイムスリップがおきるのか、どうして2007年なのか。考えても答えなどありもしない。
この映画は「タイムスリップしたという事実」だけを重要視して、そこにいたるプロセスや、SF好きの観客が楽しみにしてる細かな設定、辻褄合わせについては一切考慮していないのだ。
そういう意味ではタイムスリップに関しては、観客放置の映画と言えるかもしれない。
でも、監督も製作者もたぶんそれでよかったのだ。
作りたかったのはSFではなくて恋愛映画であり、伝えたかったのは「信じることの大切さ」みたいなものだっただろうから。
2007年の世界でジャックが出会ったジャッキーというウェイトレスから、自分が4日後に死ぬことを告げられたジャックは、自分の死の真相を探ろうとする。
このジャッキーが子供のころ、ジャックは彼女と出会っていたのだった。
彼が2007年に彼女のいる場所にタイムスリップしたのは、すべて定められた運命だったと言うことか。
ジャックとジャッキーは恋に落ちる。
多少の唐突感は許してあげることとしよう。
真実を探るために、限られた時間のなか必死に動き回る二人。
ジャックは現在と未来を行き来する中で、自らの死を免れ、ジャッキーの生活を立て直し、同じ病院の医者だったロレンソンの治療にアドバイスを送るといった活躍を見せる。
「未来から知った事実で過去に影響を与えれば、未来が変わってしまって過去に影響を及ぼせなくなるのでは」などというタイムパラドックスの屁理屈は不要。
エイドリアン・ブロディの憂いを帯びた瞳にどっぷりと浸かり、そしてキーラナイトレイの肌に見とれてください。
後は斬新で少々暗めの映像を楽しむ。
それで十分なのです。たぶん。
2006年05月11日
dekodekoman at 00:40 Permalink
戦国自衛隊1549−(映画:今年63本目)−
監督:手塚昌明
出演:江口洋介、鈴木京香、鹿賀丈史、北村一輝、綾瀬はるか
評価:59点
公式サイト
(ネタバレあります)
自衛隊全面協力。本物の戦車が繰り広げるド迫力の戦闘・・・?
本物の戦車であろうが作りものの戦車であろうがまったく問題でない私にとっては、なんとも見所の少ない駄作になってしまった。
半村良原作。過去に映画化された作品のリメイクである。
半村良といえば、中学生時代に作品にはまって、古本屋で大量に買い込んでそろえた記憶がある。
伝奇ものとでもいうのでしょうか、「石の血脈」とか「闇の中の哄笑」とか今でもおぼえてるなあ。
それはさておき、「戦国時代に自衛隊がタイムスリップ、日本刀&弓矢VS軍隊」という非常識な組み合わせがこの作品の魅力ではなかったのか。
この映画では、先にタイムスリップした自衛隊と、2年後にそれを追った自衛隊の戦闘がメインになっていて、侍と軍の戦いという構図が失われている。
それはそれで斬新だというのかもしれないが、原作ファンの私にとっては、なんじゃこの映画は、としか思えない。
物語に決定的な破綻はない。
タイムスリップというセンシティブなテーマを扱いながらも、「歴史は自ら修正される」という至極便利なルールを採用したことで、多少の辻褄の乱れは無視することができるのだ。
これは便利だなあ。でも、タイムスリップを扱った他の映画監督や作家が聞いたら怒るのではないか。
バック・トゥ・ザ・フューチャーを見てみろよ。
マイケル・J・フォックスは歴史を変えないために必死になって舞台のソデを走り回っていたじゃないか。
ま、それもそれでよしとしよう。
あとは登場人物のキャラ設定だ。
生瀬君。なんだそれは。すぐに怒鳴るバカリーダー。最後に自分の命を捨てて皆を守るというステレオタイプな設定。
怒鳴り声も空々しく響く。
劇団ソトバコマチが泣いているぞ。
鈴木京香もいまいちだし、江口洋介は自分で質問してすぐに答える間のない演技に終始してるし・・・。
良かったのは、北村一輝と鹿賀丈史だな。
さすがに凄い存在感。そしてギリギリの危うさ。
この二人がいなかったらどうなっていたことか。あ、イブさんがいるか。
石油精製所をちゃんと作っていたのは偉かったね。
「おいおい、燃料もないのにいつまでヘリが飛んでるんだよ」と序盤に思ったから。
でもなあ、弾は作れないだろう、弾は。誘導弾、あのヘリは何発通常装備してるんだろうね。2年間であれが最初の発射だったのか。それとも100発ぐらい装備できるのか。
軍事に疎い私にはよくわからない。
いろいろと文句をいいましたが、出てくる戦車やヘリが本物でもハリボテでもきちんとしてれば問題ない人間にとっては、ちょっとがっかりの映画です。
テレビの地上波放送で、飯食いながら見る程度で十分なのではないでしょうか。
2006年04月30日
dekodekoman at 01:37 Permalink
SHINOBI−(映画:今年59本目)−
監督:下山天
出演:仲間由紀恵、オダギリジョー、黒谷友香、椎名桔平、沢尻エリカ、りりィ
評価:64点(100点満点)
(ネタバレあります)
デビルマン並の映画なのかと思って違う方向で期待して見たのだが、わりとまともなのでがっかりしてしまった。
せめて原作でも読んでおけば、悪口をたくさん書けたのかも知れないが、残念ながら原作さえ読んだことがないので、素直に映画そのものの感想を書くしかないのだ。
徳川家康が天下を治めたばかりの時代、伊賀と甲賀の忍者たちのさらにその奥の里に住む殺人忍び集団。伊賀鍔隠れ(いがつばがくれ)と甲賀卍谷(こうがまんじだに)。彼らが家康の命令による全面対決を強いられるが、それは天下泰平のための共倒れ作戦だった。
ということで全面対決をするのだが、これを5対5の対抗戦で行うのだ。
いいねえ対抗戦。
両方のファンが狂喜乱舞し血沸き肉踊る対抗戦。
新日VSUWFの対抗戦なんてゾクゾクしたぞ。
猪木とやりたい気持ちを抑えきれない前田日明のフラストレーションたまりまくった態度。それをスカす猪木、渋く登場する藤原、前田の蹴りを浴びまくって顔面血まみれの藤波。ああ、懐かしい。
すいません、映画の話でした。
5人並んでの対抗戦というわけではありません。いつの間にか勝負が始まり、そこそこ見ごたえのある攻防もあれば、え?っと思うようなあっけない勝負もあります。あの、顔を奪ったヤツはあっさり負けて驚くほど。沢尻エリカちゃんも、かわいいけど弱かった。
アクション自体は非常に美しく撮られている。そうそう、日本の風景もすべて美しい。ワンシーンワンシーンが、カレンダーになりそうな美しさ。そして登場人物もこれまた美しい。
仲間由紀恵ってあんなに綺麗だったのだなあ。
なんだか顔の半分以上が眼だった・・・。
オダギリも綺麗だが、今回の演技は中途半端でかっこ悪い。もっと魂を込めて叫んでくれ。
大事なことを忘れていました。
そもそも、オダギリと仲間由紀恵が敵同士なのに恋人だという設定だったのだ。
この忍者版ロミオとジュリエットが物語の軸になってしまっているだけに、殺人マシーンと化した忍者たちの悲哀があまり深く語られていないのは残念だった。
もっとチャチで子供だましかとおもったらそうでもなく、かと言って斬新な映像が日本時代劇の新しい扉を開く、というほどのものでもなく、非常に中途半端で中身はないが映像は綺麗。
そんなまとめにしておこう。
あー、原作読みたいなあ。
2006年04月09日
dekodekoman at 18:13 Permalink
SPIRIT スピリット−(映画:今年48本目)−
監督:ロニー・ユー
出演:ジェット・リー、中村獅童、原田眞人、スン・リー、ドン・ヨン、ネイサン・ジョーンズ、コリン・チョウ
評価:84点(100点満点)
公式サイト
(ネタバレあります)
見所は格闘技シーンだけではない。
ジェット・リーのオーラが画面中に溢れていて、すべてのシーンに見入ってしまうのだ。
中村獅童はかなり美味しい役を貰っていたけど、さすがにジェット・リーの前ではちょっとかすんでいたなあ。
中国武術の創始者「フォ・ユァンジア(霍元甲)」の波乱にとんだ人生をもとにした映画だが、実話を随分と脚色してあるらしい。
まあ、そもそも霍元甲のことを知らないのでそれはどうでもよいことなのだが。
しかし、中国武術の創始者という割には、あまり日本人には知られていないのではないのか。私は名前を聞いたのさえ、この映画が初めてだった。
天津に育ち武道家の父を持った霍元甲は、強くなることだけを求めた結果、友人も両親もそして娘さえも失ってしまう。
失意のままに家を離れ、田舎で暮らすようになった彼は、再び武道の道に戻ってくるが、「相手を殺す」戦いは「相手を敬う」武道へと変わっていたのだった。
まあ、ありがちな話であって、ストーリーに目新しいものはない。
田舎暮らしのなかで彼と心を通じ合った女性が、盲目であるというのにも必然性をなかなか感じない。
だが、ジェット・リーがそこにでてくるだけで、画面に目が釘付けになってしまうから凄いものだ。
結構いい年齢のはずなのになあ。目の前に彼がいて、あの童顔で微笑まれたらたまらんだろうな。
いや、私にそちらの気があるということではないのですが。
格闘シーンはさすがです。
何箇所か明らかにワイヤーを使ってはいるが、決して乱発せず、きわめて真面目に格闘シーンに対応していて好感が持てる。
三連ヌンチャクを見事に使いこなすジェット・リーはもちろん、中村獅童の刀捌きもなかなか堂に入ったものだった。
復讐は恨みしか生まないというメッセージは、某アメリカ合衆国に聞かせてやりたいもんだ。
娘まで復讐の犠牲になるという展開がつらかったのと、中村獅童が最後に原田眞人を殴ってくれなかったので、ちょっと減点です。
2006年03月26日
dekodekoman at 17:28 Permalink
サウンド・オブ・サンダー−(映画:今年44本目)−
監督:ピーター・ハイアムズ
出演:エドワード・バーンズ、キャサリン・マコーマック、ベン・キングズレー、ジェミマ・ルーパー
評価:70点(100点満点)
公式サイト
(注意:ネタバレあります思い切り)
2055年、タイムトラベルが実用化された時代の物語。舞台はシカゴ。
SF界の巨匠、レイ・ブラッドリーが1952年に刊行した作品が原作となっている。
見る前は期待に胸を膨らませていた。いやほんま。
2055年というところがちょうどいい感じだ。
現在から49年後、私が生きているかどうかギリギリの未来をどんな風に描いてくれるのだろうか。
そしてお決まりのタイムパラドックスは、どのように料理されて私たちの前に差し出されるのだろうか。
期待しすぎだった。
穴ぼこだらけのB級映画だった。
しまった、そうとわかっていればそれなりの覚悟をして臨んだのに・・・。
未来のシカゴはなんだか現代に毛の生えた程度。
ファッションは現在と全く変わらず高層ビルが立ち並ぶ様子もそのまま。
そこにわけのわからんタクシーやら車が等間隔でビュイビュイ走っている。
こいつらには自動操縦装置でもついているのかなと思ったが、運転手はみんな乗っていたなあ。おまけに突然できた穴ぼこを避けることさえできないしょぼい車。
そして肝心のタイムトラベル。
まあ、こんなもんかと思いましたが、タイムパラドックス的には非常に単純で斬新さは感じられず。もちろん、1952年原作だからある程度は仕方がないだろう。
蝶を踏んだから未来が変わったというのは、ひょっとしたら「バタフライエフェクト」という言葉の元になっているのかよくわからんが、それもなんだか説得力がない。
そして過去を変えたことによって生じた未来の変貌。
過去の影響は、変化の波によって未来を襲う。これはなかなか面白い展開だった。過去を変えた瞬間に未来が変わるのではなく、何回かの進化の波によって次第に未来が変貌していく。
まず異常気象に覆われ、次に巨大植物によってビルが破壊され、生物が変化し、そして最後は人間が・・・。そのまえに未来が変わった原因を突き止め、過去を元に戻さないといけないのだ。
ドキドキハラハラスリルとアドベンチャー。
なのになあ、出てくる植物も昆虫も動物もなんだか中途半端じゃ。
もっと怖くなるはずなのに、一回切り抜けるとゲームのイベントのように終わってしまってもうでてこない。
そもそも、国家機密的発明であるタイムマシンを、恐竜ハンティングツアーから使い始めるなんてありえなくて馬鹿すぎる設定じゃないか。
B級テイストは嫌いじゃないのだが、期待してしまった分、突っ込みどころばかりが目に付いてしまった。
近未来映画って確かに難しいのだろう。
未だ、ブレードランナーを超える近未来映画には出会ったことがないぞ(個人的評価に基づきます)。
2006年03月18日
dekodekoman at 17:00 Permalink
シリアナ−(映画:今年40本目)−
監督:スティーヴン・ギャガン
出演:ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、アマンダ・ピート、クリス・クーパー、ジェフリー・ライト、クリストファー・プラマー、ウィリアム・ハート
評価:80点
公式サイト
(以下ネタバレあり)
アメリカっちゅう国は、ほんまに恐ろしい国じゃ。
自分たちの利益のためならなんでもありじゃ。
タッチアップの判定ならまだしも、ライトポール直撃のホームランが2塁打になってしまう。怖い怖い。
WBCの話ではありません。
石油をめぐって、CIAやら石油会社やらテロやらアメリカ司法省やらアラブの王族やらが絡んでくる陰謀に満ちた実話の映画化。
元CIA工作員ロバート・ベアがこの内容を出版しているが、そのまま本になったり映画化されていることも凄いもんだ。
しかし、これが無事に映画化されているということは、実態はもっと凄まじいのではないかと穿った見方もしてしまう。
ジョージ・クルーニーはこの映画でアカデミー賞の助演男優賞を獲得。
確かに納得の熱演です。いつものワンパターンな演技が見られず、役にはまりきっていたように思う。このために13キロ増量するなんて凄いね、おなかブクブクだったもの。
他にも有名どころの俳優がぎっしり出演していて、気合の入った演技を見せてくれる。それだけでこの映画の価値はあったんじゃないだろうか。
4つのストーリーが同時進行で進んでいくため、中身は非常に煩雑になっている。ただ、終わってみればそうややこしくはないはず。
残念なのは、ひとつひとつの話にきっちりとした結末が書かれていないため、なんとなく尻すぼみに思えてしまうこと(書かれているんだろうけどよくわからん)。
すべてのストーリーが絡み合って大団円ではなく、すべてのストーリーが絡み合ってはいるものの、それぞれのゴールに勝手に飛び込んでいくというイメージだ。
マット・デイモンはこれからどうやって飯を食っていくのか。
息子を自爆テロで失った父親の悲しみはどうなんだ。
王子暗殺にかかわったことをCIAは暴露されてからどうなるんだ。
合併した石油会社はこれからも中東の利権をアラブの父子とわけあっていくのか。
タンカー(だよね)を爆破させたテロリストたちの今後は?
すべてが「続く」なのだ。
今でも世界で続いている事実だから、この結末になるんだろう。
私たちは自分の目で、この映画の続きを確かめていくことになる。
自分が生きているうちに、ハッピーエンディングになることを祈らずにはいられない。
祈っているだけじゃどうしようもないけれど・・・。
「シリアナ」というのは、「ワシントンのシンクタンクで実際に使われている専門用語。イラン・イラク・シリアがひとつの民族国家になることを想定する、アメリカによる中東再建のコンセプト」らしい。
余計なお世話じゃ、チームアメリカワールドポリスめ。
2006年03月12日
dekodekoman at 20:31 Permalink
ジャーヘッド−(映画:今年36本目)−
監督:サム・メンデス
出演:ジェイク・ギレンホール、ピーター・サースガード、ジェイミー・フォックス、ジェームズ・モリソン、スコット・マクドナルド、ブライアン・ケイシー
評価:84点(100点満点)
公式サイト
プラトーンで描かれたようなジャングルの奥地でゲリラと銃撃戦をする戦争もあれば、この映画で描かれている、1人も敵を殺さずに帰ってくる湾岸戦争の元狙撃兵の体験した戦争もひとつの真実だ。
戦争ではひとつのコマにしかすぎないであろう狙撃兵が見た、等身大の戦争が実にリアルに描かれている。
誇張したエンターテイメント性もなければ、特別な社会的メッセージが強調されているわけでもない。
淡々と描かれる事実。だが、それが実に重たい。
淡々とした事実とは言っても、映画の端々にはそれを作った人々の思いが出てくるものだ。
「どんな戦争も同じなのだ」
というセリフ(ちょっと違ったかな?)にすべてが込められていたのではないか。
どんな大義名分があろうと、人と人が殺しあう戦争は同じものだ。
化学兵器を使おうがつかうまいが、ミサイルで標的をうつだけの戦争であろうがあるまいが、宗教的対立があろうがなかろうが、いい戦争も悪い戦争もない。
そして、戦場体験者も同じこと。
ランボーに出てくる心を病んだベトナム帰還兵も、ライフルを撃つ感触が手から離れないこの映画の主人公たちも同じなのだ。
そんなことを感じながら見た。
あんまりまっすぐに捉えすぎかなあ。
でも、ところどころ笑える部分を挿入して、戦争自体をちょっと斜めから見ているような脚本からは、やっぱりそんなふうに感じてしまう。
意外に思ったのは、上官に結構歯向かったりするんだなということ。
もっと完全絶対服従で、一言反論すればボコボコにされるのかと思っていた。
防護服を着てのラグビーなんて途中からみんな言うこと聞いてなかったもんな。
ダースベーダーのギャグも、疑獄の黙示録を見ての戦意高揚もさもありなん。そして音楽がなんともいい。
まあ、この辺でアクセントをつけないと観客が寝てしまっていたでしょう。
賛否両論のある映画だが、私にとっては「あり」の映画です。
砂漠で油田が燃える様は美しかった。
CGかな、やはり。
2006年02月25日
dekodekoman at 01:45 Permalink
サマータイムマシン・ブルース−(映画:今年28本目)−
監督:本広克行
出演:瑛太、上野樹里、与座嘉秋、川岡大次郎、ムロツヨシ、永野宗典、真木よう子
評価:92点
公式サイト
青春って、やっぱりええもんじゃ。
「映画を見ている1時間半だけ、20年前にタイムスリップさせてもらいました」って、誰がそんなベタな感想を言えといったのじゃ。
とある田舎の大学のSF研究会の部室に突如現れたタイムマシン。
SF研といいながらも、SFが何の略かもしれないユルユルおばか男5人組は、とりあえず昨日壊れたエアコンのリモコンを過去に取りに行き、現在の暑さを凌ごうと考える。
「過去を変えると現在が変わる。私たちは消えてしまうかもしれない」
ここからはタイムパラドックス理論を炸裂させながらも、ひたすらオバカに過去と未来を行ったり来たりのドタバタが続く。
これが面白い。
当然、たくさんの伏線が張られていて、過去と現在と未来がかみ合いながら物語は進んでいく。
こういう話はあまりにも荒唐無稽で突っ込みどころが多すぎると馬鹿馬鹿しくて見てられなくなるが、難しすぎても面白くなくなる。
その意味では、ちょうどいい加減だったのではないか。
辻褄もちゃんと合わせてあったしね。
どう考えてもリモコンがなくなると未来につながらないと思っていたら、
最後にちゃんとリモコンが出てきた。
あれを掘り当てるなんて、犬のケチャは偉い。
ほんと、居心地のいい空間に、ゆったりと身を任せて笑っていられる映画だった。
それでいて、少しドキドキもさせられ、大人には青春時代の郷愁も呼び起こさせる。アローン・アゲインなんて、俺たちおっさんの世代にはたまらん。
上野樹里ちゃんは元気でかわいくていいね。
二人がなんとか困難を乗り越えて、未来少年田村君を産んでくれるといいのだが。
私は未来少年が、自己紹介で嘘の苗字を言っただけだと思ってるのだが違うのか。
2006年02月18日
dekodekoman at 20:56 Permalink
情熱の処女〜スペインの宝石〜−(映画:今年25本目)−
監督:ジェラルド・ヴェラ
出演:ペネロペ・クルス、ディエゴ・ボット、テレール・パベス、マリベル・ヴェルドゥ
評価:69点(100点満点)
スペイン版「ロミオとジュリエット」というふれこみだが、この映画の原作のほうが、ロミオとジュリエットより前に書かれているそうだ。
製作が1996年、しかし、日本でDVDが発売されたのが2003年。
ペネロペの名前が売れたので、昔の映画を探し出してきたというところでしょう。
舞台劇を映画にしたようなものですから、この手の時代物が好きでなければ見るのはちょっとつらい。
セットや衣装の豪華さ、そしてルネッサンス期のイタリアの退廃的でかつ隠微な雰囲気はそこそこ見ごたえがあった(どんな時代だったか私はまったく知りませんが)。
さらにペネロペの美しさ。
みどころってそれだけかな。
古典ですから、ひねった展開になるわけもなく。
ペネロペと愛し合った騎士は塀から落ちて悲劇の死をむかえます。
ペネロペも後を追って両親の見ている前で投身自殺。
なんだかよくわからんが、これでいいのか。
ついでに言えばR18指定です。
人が見ているまえでドンドン乳繰り合います。
ペネロペは脱ぎませんのであしからず・・・。
出演:ペネロペ・クルス、ディエゴ・ボット、テレール・パベス、マリベル・ヴェルドゥ
評価:69点(100点満点)
スペイン版「ロミオとジュリエット」というふれこみだが、この映画の原作のほうが、ロミオとジュリエットより前に書かれているそうだ。
製作が1996年、しかし、日本でDVDが発売されたのが2003年。
ペネロペの名前が売れたので、昔の映画を探し出してきたというところでしょう。
舞台劇を映画にしたようなものですから、この手の時代物が好きでなければ見るのはちょっとつらい。
セットや衣装の豪華さ、そしてルネッサンス期のイタリアの退廃的でかつ隠微な雰囲気はそこそこ見ごたえがあった(どんな時代だったか私はまったく知りませんが)。
さらにペネロペの美しさ。
みどころってそれだけかな。
古典ですから、ひねった展開になるわけもなく。
ペネロペと愛し合った騎士は塀から落ちて悲劇の死をむかえます。
ペネロペも後を追って両親の見ている前で投身自殺。
なんだかよくわからんが、これでいいのか。
ついでに言えばR18指定です。
人が見ているまえでドンドン乳繰り合います。
ペネロペは脱ぎませんのであしからず・・・。
2006年02月04日
dekodekoman at 18:49 Permalink
ステップフォード・ワイフ−映画を見たで(今年19本目)−
監督:フランク・オズ
出演:ニコール・キッドマン、マシュー・ブロデリック、ベット・ミドラー、グレン・クローズ
評価:78点(100点満点)
公式サイト
ニコール・キッドマンの美しさと演技力、そして90分という手ごろな長さでなんとか映画にはなっているが、コメディなのかサスペンスなのか、どっちつかずの脚本には大いに不満が残ったのだった。
(以下、ネタバレあり)
バリバリのキャリアウーマン(テレビ局プロデューサー)だったジョアンナ(ニコール)が、番組で少々やりすぎて失脚。夫も仕事をやめてコネチカットの田舎町、ステップフォードに引っ越してくる。
ステップフォードは美しい街だったが、女性はみんな綺麗に着飾って家の片付けと買い物と料理に忙しく、男はなぞめいた倶楽部で遊びほうけている。
何かおかしいと感じたジョアンナにも夫は取り合わず、そのうち不思議な事件が次々と・・・。
誰が見ても、ダンスシーンで女性の1人が踊り狂ってショートしたところでこれはロボットだなって気づくじゃないか。
修理のときに火花散っていたし。
ほんとは火花もおかしいんだけどね。脳にチップ埋め込んだだけで、肉体はそのままのはずなんだから。
さて、どんな風にまとめるのだろうと思っていたら、街を仕切っていたマイクがロボットそのもので、彼を使って街を作り上げていたのが元科学者だという彼の妻クレア(グレン・クローズ)なのだと。
そっか、なるほど。ひとひねり。
でもなんとも古臭い。
なんでも30年前の映画のリメイクだという。
それならまあ仕方ないという気もする。
コンピューター管理が行き届き冷蔵庫がしゃべる住宅や、頭にチップを埋め込んでロボット化するなどという設定は、確かに30年前なら斬新だっただろうが、今の時代に見せられてもなんとも中途半端。
どんな仕組みでそうなっているのかきちんと説明できていないから、リアリティのかけらも得られない。
それではサスペンスにはならないぞ。
そう考えると、これはやはりコメディなのだろうか。
男女の力関係という永遠のテーマをブラックに扱ったコメディ。
それにしては笑える場面もそうはなかった。
なんとかできなかったのだろうか、このどっちつかずの内容。
フリフリお洋服でカートを押しながらショッピングするニコールはむっちゃかわいい。
もちろん、黒い服でボサボサ頭ですっぴんのニコールもかわいい。
テレビ局で不祥事の責任を取って辞職させられるときの表情も最高にうまいし、いい女優になられました。
グレン・クローズは久しぶりに見たが、思ったよりも年を取ってないなあ。
危険な情事の恐ろしい印象がいつまでたっても消えません。
2006年01月29日
dekodekoman at 00:23 Permalink
処刑人−映画を見たで(今年16本目)−
監督:トロイ・ダフィー
出演:ウィレム・デフォー、ショーン・パトリック・フラナリー、ノーマン・リーダス、デヴィッド・デラ・ロッコ
評価:93点(100点満点)
公式サイト
作られたのが1999年。20世紀じゃないか。
先日テレビで少しだけ見て、面白そうだったので全部みることにした。
(ネタバレあり)
かっこいい。
たまらなくかっこいい。
「法が裁けぬ悪は俺たちが裁く」という勝手な論理の暴走映画なのだが、そのあたりは深く考えないほうがいいのだろう。
(実際のセリフは「貧乏も飢えも許す。怠慢も堕落も許す。だが不正は許さん」)
日本だって、必殺仕事人のような時代劇があるのだから、あれをハリウッドで現代にあわせて作り直したと思えばいい。
ただ、この映画で悪に制裁を加える兄弟は、神から啓示を受けたという設定になっている。
キリスト教社会のアメリカであるから、当初上映禁止にもなったりしたらしい。まあ、全編に宗教チックなセリフが散りばめられているから、真面目な人たちには耐えられないのだろう。
どこかしらコメディの雰囲気を漂わせたり、時々は本気で笑いを取りにきたりしているところで(ウィレム・デフォーの設定は絶対にそうだよな。女装なんて狙っているとしか思えない)、深刻な議論に陥ることは避けたいのかもしれない。
というか、法治国家である限り、この映画のような処刑人が認められるわけないのだから、そんなことを議論するほうがおかしいと思うのだが。最後のインタビューなんて不要ではないのか。
さて、そんな深いことは考えず、最後まで笑いながらそして爽快な気分になりながら、ときおり痛い痛いと叫びながら、あっというまに観終えてしまった。
銃撃シーンの美しさは素晴らしい。
ウィレムが推理する形で再現されるが、ひとつひとつがスタイリッシュでカッコイイ。スロー再生の場面なんてたまらない。
キリスト教倫理観の問題は、西洋人に任せておこう。
私たち日本人は、必殺仕事人を観るつもりでこれを見ればいい。
ということで、私の一番好きな場面は、頭の上に便器を落とすところだった。
2006年01月28日
dekodekoman at 02:21 Permalink
親切なクムジャさん−映画を見たで(今年13本目)−
監督:パク・チャヌク
出演:イ・ヨンエ、チェ・ミンシク、キム・シフ、イ・スンシン
評価:91点(100点満点)
公式サイト
(以下、ネタバレあり)
パク・チャヌク監督の『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』に続く“復讐シリーズ”第3弾。
インパクトでは前作のオールド・ボーイには遥かに及ばないものの、この作品はこれなりに強烈な輝きを発しており、観るものを一気にひきつけてしまう。
パク・チャヌクおそるべしである。
主人公のクムジャさんは、清純派女優のイ・ヨンエが演じている。
誘拐殺人という無実の罪を被って13年間も刑務所に閉じ込められた女が、出所後に、自分を陥れた相手に復讐を果たすというもの。
ストーリーとしてはいたって単純で驚きもないのだが、現在と過去を順番につなぎながら少しずつ状況を観客に与えていく形なので、飽きずに見ることができる。
それにしても13年間の間に怨念を溜め込んでおくなんて恐ろしいものだ。
オールド・ボーイの場合もそうだったし(恨みの期間が長かった)、この監督わりと粘着質な性格なのかもしれない。
刑務所では「親切なクムジャさん」として尊敬されていたクムジャさん。(実際は笑顔で人殺しまでしていたのだが)
彼女の周到な殺人準備は、出所後に流れるように実行に移されていく。
刑務所でいろいろと世話をした人たちが、クムジャさんの求めを聞き、助けてくれるのである。
クライマックスは田舎の廃校を使っての私人裁判。
捕まえた犯人に対して、自分の子供たちを誘拐され殺された親たちが、自分たちで復讐し犯人に罪を償わせることを決意する。
俺も同じ場にいれば、間違いなく刺して刺して刺しまくっただろう。
クムジャさんが、罪を着せられることになった理由に、クムジャさんの子供の存在がクローズアップされている。
13年の年月を経て、言葉さえ通じなくなってしまった親子であるが、やはり通じるものはあるのだ。
ラストの白いケーキのシーンはよかった。
あれはさすがにケーキだよな。
豆腐、ということはないよなあ。ほんとか?
2006年01月23日
dekodekoman at 01:11 Permalink
四月の雪−映画を見たで(今年10本目)−
監督:ホ・ジノ
出演:ペ・ヨンジュン、ソン・イェジン
評価:77点(100点満点)
ひええ、この映画で興行成績28億円も稼げるのか。
おばちゃまパワーはごっついもんじゃのう。
だが、ボロクソに感想を書こうと思って見たわりには、結構よかったんじゃないかというのが正直な気持ちだったりする。
期待せずに出張先で飛び込んだラーメン屋が、「お!」っと思うほどうまかったときのようだ。
ただ、店の名前を覚えて人に教えたくなるほどではないけどね。
(以下ネタバレあり)
交通事故で意識不明の重態になった男女が双方不倫中だった。女の夫がペ・ヨンジュン。男の妻がソン・イェジン。
病院で二人が出会ったときから物語りは始まるが、当然この二人はできてしまうわけで、映画の描写は淡々と二人の表情を追っていく。
起こる出来事といえば、ソン・イェジンの夫が死に、ペ・ヨンジュンの妻は意識を取り戻すということだけ。
その間に、ペとソンはお互いに惹かれあっていく・・・。
とにかくぺ・ヨンジュンは寡黙。
映画の中で「どうしてそんなにしゃべらいの」というようなことをソンに聞かれていたが、私も全く同じ気持ちだった。
言葉ではなく、表情と演技だけで惹かれあう気持ちを示しながら、静かに時間が過ぎていく。こう書くととてつもなく退屈な映画に思えたりもするが、どうして眠くならなかった。これは監督のうまさなのだろう。
短いカットが多い。
時間、場面の飛び方も不規則で、しかも説明はほとんど省略。
それによって見ているものは思わず集中していろいろ考えてしまうのだ。
そんなことより、ソン・イェジンはいいなあ。
笑顔はもちろん、泣き顔も苦悩する顔も美しく愛らしい。
「私の頭の中の消しゴム」も最高に良かったし、彼女を見るためにこの映画を見たようなものだ。
清純派の彼女の下着姿や美しい背中にはドキっとさせられた。
まあ、ラブシーンは中途半端でどうしようもなかったけどね。
そうそう、病院や、二人が滞在していたホテルが妙に薄汚れていたのは何か狙っていたのだろうか。
2006年01月11日
dekodekoman at 21:18 Permalink
サスペクト・ゼロ−映画を見たで(今年5本目)−
監督:E・エリアス・マーヒッジ
出演:アーロン・エッカート、ベン・キングスレー、キャリー=アン・モス
評価:68点(100点満点)
公式サイト
なんだか疲れる映画だった。
どんな結末になるのか、結構ドキドキして見ていたのに、落ちとしてこれで成立しているのか。
しかし、一番疲れていたのは、ずっと透視を続けていたベン・キングスレーだろう。
安らかにお眠りください。
見つからず存在も知られない連続誘拐殺人犯。
それを追い正義の鉄槌を食らわせる元FBIの怪人。
それに巻き込まれる主人公。
そこに超能力を絡ませて、適度に気持ち悪くアレンジしてある。
いくら気持ち悪くても、それなりにカタルシスを感じれるとか、余韻を引くようなストーリーであればよいのだが、この映画はなんともいえない気持ち悪さを感じたまま終わってしまうのだ。
主人公のアーロンは、あのラストで救われるのか?
「サスペクト・ゼロなんていないんだ!」ってどういう意味で言ってるのかわからない。
いたじゃないか。
あんなにたくさん誘拐して殺しておいて見つからなかったゼロが。
いくら広大なアメリカでも、あれだけのボコボコした庭だと見つかりそうだけど見つからなかったゼロが。
最後にちょっと出てきて、逃げてやられるよわっちいゼロが。
アーロンの頭痛は治るのだろうか。
私が頭痛になりそうだ。
2006年01月09日
dekodekoman at 15:58 Permalink
SAYURI−映画を見たで(今年3本目)−
監督:ロブ・マーシャル
出演:チャン・ツィイー、渡辺謙、ミシェル・ヨー、役所広司、桃井かおり
評価:85点(100点満点)
公式サイト
ハリウッドが描いた日本としては、十分に許容範囲。
幻想的な映像は、日本よりも日本的で美しく、俳優陣の存在感も素晴らしい。
だけど、まあ、こんなもんかな。
血沸き肉踊る興奮もないし、心に染み入る切なさもない。
芸者たちの激しい女の戦いは見ごたえがあるけど、この程度なら日本のテレビドラマでいくらでも見れそうだ。
実際、「ミシェル・ヨー」を見ていると「真矢みき」を思い出し(顔が似てませんか?)、それが「女王の教室」につながった。
女王の教室のイジメはこんなもんじゃなかったぞ。
芸者の世界なんて、私のような(貧乏な)一般市民には縁遠い話であって、この映画を見たからと言ってつっこみどころなんて何もわからない。
時代も戦中戦後であって、時代考証もできないもの。
さほどひっかかる部分もなく、最後まで見てしまった。
強いて言えば、コーンにカキ氷を入れるな、とか、いくらなんでも舞の海に名横綱はつらいだろう、とかそんなところ。
だから、監督が表現したいであろう芸者世界の独特の雰囲気だとか、映像の美しさは十分に堪能できた。
それだけに、もうちょっと盛り上がりが欲しかったなあ・・・。
派手なドラマ性よりも、幻想的な空気を大事にしたということなのか。
渡辺兼も役所広司もうまい。
桃井かおりのふてぶてしい雰囲気もたまらない。
もちろん、チャンは美しい。
だけど、私的には少女時代のSAYURIを演じた、大後寿々花がイチ押し。
きっと大物になるだろう。
オジさんがお金持ちになったらミズアゲしてあげるからね。ぐふぐふ。
(ゴメンナサイ)
2005年11月28日
dekodekoman at 01:33 Permalink
ソウ2−映画を見たで(今年157本目)−
監督:ダーレン・リン・バウズマン
出演:ドニー・ウォールバーグ、ショウニー・スミス、トビン・ベル、フランキー・G、グレン・プラマー、ディナ・メイヤー
評価:90点(100点満点)
公式サイト
い、痛い・・・。
思わず目を背けたくなるようなえげつないシーンの連続。
これはもうたまらない。
相当気合入れて前を向いてないと目をそらしてしまうので、ガチガチに肩と首が緊張して凝り固まってしまった。
マッサージ代くれっちゅうんじゃ。
前作の衝撃を覚えているだけに期待はしていた。
でも、前作のえげつなさもおぼえているだけに観るのも怖かった。
普通はぶっこける映画の第2作も、今回は大健闘だと思う。
衝撃度では前回には勝てないかもしれないが、今回は時間差を使ったトリックも見せていてそれなりの納得感があった。
8人の男女が密室(室ではないな、部屋は次に次に移動していくから。密空間か)に閉じ込められ、神経ガスに侵される。
ガスの解毒剤を見つけるには8人で協力して金庫を開けなければいけない。
そんなスタートなのだが、すぐに人が死んで8人揃わなくなってしまい、皆勝手に出口を探しはじめる。
いろんなところにゲームが仕掛けられていて、痛い痛い残虐シーンが続いていくわけなのだ。
一方でこのゲームはモニタリングされており、それをゲームの首謀者ジグゾウと彼を捕らえた警察たちが見ているという展開。
8人の中には警官(エリック)の息子も含まれているのだった。
息子の居場所を聞き出そうとするエリックに、ジグゾウはゲームを提案する・・・。
よくもまあ、こんなえげつないことばかり思いつくものだ。
監督も脚本家も悪い夢をみなければよいが。
出口のわからない閉じ込められた空間で、人間同士が徐々に狂気状態に陥り殺しあうというのは「キューブ」の世界に近い。
張り詰めた緊張感と展開の速さ、そして追い詰められた恐怖感の演出は見事なものだった。
しかし、ラストのネタバレを書かなければ、結論は「痛い」ということだけになってしまうぞ。
ま、そういう映画だからしゃあないな。
それにしても伏線もきちんと張られていて良くできている。
ただ、もし注射器の山からすぐに鍵が見つかっていればみんな脱出できたのだろうか?
8人の誰かが早く首の後ろの数字に気づいていたら?
どんな対策をジグゾウが考えていたのか、知りたいような気もする。
2005年11月23日
dekodekoman at 02:23 Permalink
シベリア超特急−映画を見たで(今年151本目)−
監督:水野晴郎
出演:かたせ梨乃、菊池孝典、アガタ・モレシャン、シェリー・スェニー、占野しげる、西田和晃、水野晴郎
評価:10点(100点満点)
デビルマン以来の低得点。
できれば2点くらいにしたかったのだが、なぜか早送りもせずきっちり90分見てしまったのでこのくらいにしておいた。
これが映画として存在して、マニアを生んでいるというのはなぜだ。
これが映画として存在して、シリーズ化されて第5作まで作られているというのはなぜだ(特別作を入れれば6作すでに完成。現在7作品目(名前はシベリア超特急6)を作成中)
これが映画として存在して、「シベリア超特急祭り」まで開催されてしまうのはなぜだ。
わけわからん。
観て褒めるやつは気が狂っているのか、自分がマニアに見られたいという自己満足に浸っているだけとしか思えない。
いやいや、ファンをけなすのはやめよう。そもそもこれを作った水野晴郎が絶対におかしい。
そこらへんの幼稚園児にも負けるであろう水野の棒読みセリフ。
つっこみどころ満載で完全に破綻したストーリー。
誰が見ても不要な英語の字幕。
ありえないカメラワークでつなげられる映像。
開始20分であいた口がふさがらなくなり、40分で猛烈な怒りをおぼえ、60分でそれが郷愁にかわり、90分たったときには映画を見てしまった後悔で押しつぶされそうになってしまう。
そんな映画です。
あるサイトでの水野晴郎へのインタビュー:
―初監督作『シベリア超特急』が、公開後もカルト的人気になっていますね。―
水野 :僕はカルト的を言われるのは、あまり本意ではないんですよ。
エンタテイメントを作ったつもりなんです。映画は楽しくなくてはいけない。
水野晴郎、恐るべし。
山下将軍、マンセイ。
出演:かたせ梨乃、菊池孝典、アガタ・モレシャン、シェリー・スェニー、占野しげる、西田和晃、水野晴郎
評価:10点(100点満点)
デビルマン以来の低得点。
できれば2点くらいにしたかったのだが、なぜか早送りもせずきっちり90分見てしまったのでこのくらいにしておいた。
これが映画として存在して、マニアを生んでいるというのはなぜだ。
これが映画として存在して、シリーズ化されて第5作まで作られているというのはなぜだ(特別作を入れれば6作すでに完成。現在7作品目(名前はシベリア超特急6)を作成中)
これが映画として存在して、「シベリア超特急祭り」まで開催されてしまうのはなぜだ。
わけわからん。
観て褒めるやつは気が狂っているのか、自分がマニアに見られたいという自己満足に浸っているだけとしか思えない。
いやいや、ファンをけなすのはやめよう。そもそもこれを作った水野晴郎が絶対におかしい。
そこらへんの幼稚園児にも負けるであろう水野の棒読みセリフ。
つっこみどころ満載で完全に破綻したストーリー。
誰が見ても不要な英語の字幕。
ありえないカメラワークでつなげられる映像。
開始20分であいた口がふさがらなくなり、40分で猛烈な怒りをおぼえ、60分でそれが郷愁にかわり、90分たったときには映画を見てしまった後悔で押しつぶされそうになってしまう。
そんな映画です。
あるサイトでの水野晴郎へのインタビュー:
―初監督作『シベリア超特急』が、公開後もカルト的人気になっていますね。―
水野 :僕はカルト的を言われるのは、あまり本意ではないんですよ。
エンタテイメントを作ったつもりなんです。映画は楽しくなくてはいけない。
水野晴郎、恐るべし。
山下将軍、マンセイ。
2005年11月13日
dekodekoman at 17:20 Permalink
真説 タイガーマスク−映画を見たで(今年145本目)−
監督:那須博之
出演:哀川翔、船木誠勝、佐山聡、夏生ゆうな、中島宏海、ジョニー大倉、
真樹日佐夫、睦五朗、中山仁
評価:44点(100点満点)
ううむ。
映画としてここに感想を書いていいものかどうか。
そんなことさえ感じさせる内容だった。
そうか、映画館上映なんてされてないからVシネマなんだよな。
ま、どうでもいいか。
真説などと銘打っているが、現実のタイガーマスクとは関係なく、八百長ネタを絡ませた適当なストーリーで適当に作り上げているだけ。
役者のほとんどは、気が遠くなるほど演技が下手糞で、セリフもほとんど棒読み。見ていてあまりにつらい。
哀川翔のセリフや表情もパターンが決まっていて次第に飽きてくる。
そんなことわかっているだろうに、どうして哀川翔をアップにしてしばらく写しっぱなしにする映像ばかり撮るのだろうか。
ついでに、佐山聡のアップまで、と思ったら真樹日佐夫もだ。
内容水増しのために、やたらと役者のアップ画面で引っ張ってようだな。
でも、その画面はほとんど失笑を呼ぶようなものばかり。
よくこんな演出したもんだわい。
タイガーマスクを演じるのは船木誠勝。
パンクラスのエースだったが、ヒクソンに挑戦してあっさり負け、引退後は俳優になっているらしい。
体は鍛え上げてあり素晴らしかった。
プロレスをするには若干ウエイト不足かもしれないが、見ている分には非常に美しい肉体。
あんな風になりたいもんだなあ・・・。
タイガーマスクの動きを船木が再現してたけど、スピードも破壊力も全然追いついていない。とくに「高さ」が足りない。
初代タイガーの偉大さを改めて教えていただきました。
金曜8時のタイガーマスク。あのころ私は中学生。
かっこよかったよなあ、ローリングソバット。
今は、ただの豚ですが。
出演:哀川翔、船木誠勝、佐山聡、夏生ゆうな、中島宏海、ジョニー大倉、
真樹日佐夫、睦五朗、中山仁
評価:44点(100点満点)
ううむ。
映画としてここに感想を書いていいものかどうか。
そんなことさえ感じさせる内容だった。
そうか、映画館上映なんてされてないからVシネマなんだよな。
ま、どうでもいいか。
真説などと銘打っているが、現実のタイガーマスクとは関係なく、八百長ネタを絡ませた適当なストーリーで適当に作り上げているだけ。
役者のほとんどは、気が遠くなるほど演技が下手糞で、セリフもほとんど棒読み。見ていてあまりにつらい。
哀川翔のセリフや表情もパターンが決まっていて次第に飽きてくる。
そんなことわかっているだろうに、どうして哀川翔をアップにしてしばらく写しっぱなしにする映像ばかり撮るのだろうか。
ついでに、佐山聡のアップまで、と思ったら真樹日佐夫もだ。
内容水増しのために、やたらと役者のアップ画面で引っ張ってようだな。
でも、その画面はほとんど失笑を呼ぶようなものばかり。
よくこんな演出したもんだわい。
タイガーマスクを演じるのは船木誠勝。
パンクラスのエースだったが、ヒクソンに挑戦してあっさり負け、引退後は俳優になっているらしい。
体は鍛え上げてあり素晴らしかった。
プロレスをするには若干ウエイト不足かもしれないが、見ている分には非常に美しい肉体。
あんな風になりたいもんだなあ・・・。
タイガーマスクの動きを船木が再現してたけど、スピードも破壊力も全然追いついていない。とくに「高さ」が足りない。
初代タイガーの偉大さを改めて教えていただきました。
金曜8時のタイガーマスク。あのころ私は中学生。
かっこよかったよなあ、ローリングソバット。
今は、ただの豚ですが。