映画:あ行

2011年01月03日

おとうと-映画:2011-2-

おとうと1おとうと2

監督:山田洋次
出演:吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮、小林稔侍、森本レオ、笹野高史、小日向文世、石田ゆり子、加藤治子

評価:80点

わざとらしい泣きの演出が思っていたよりも少なくてホっとした。
どうしようもない存在であっても、まぎれもなく自分の弟である鉄郎(鶴瓶)に対する愛情を消し去れない姉・吟子(吉永小百合)の美しく澄んだ心根。
全編を通してそれがぶれないので安心して見ることができる。
安心して見れる、という点では結局寅さんシリーズにつながってしまうのかもしれないが。

携帯電話こそ使っているものの、昭和の香りのするストーリーと演技と演出。
気になったのは吉永小百合の棒読みセリフ。「あれっ、これでいいのか?」と映画を見ている間何度も思ってしまった。
大阪のホスピスから鉄郎が危篤状態だという連絡が来たときに台所で吉永小百合が泣き崩れるシーンなぞは、セリフを聴いてこちらが凍りついてしまった。
いえ、綺麗で上品な女優さんであって、個人的には決して嫌いではないのですよ。でもなあ、あれでいいのかなあ。

鶴瓶はどうしようもないダメダメ人間をうまく演じていたなあ。
蒼井優ちゃんは演技もうまいしかわいいし、最高です。
笹野、森本のじじいコンビもいい味出してました。

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2010年10月10日

インビクタス/負けざる者たち-映画:2010-

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監督:クリント・イーストウッド
出演:モーガン・フリーマン、マット・デイモン、トニー・キゴロギ、パトリック・モフォケン、マット・スターン

評価:80点

南アフリカ共和国のネルソン・マンデラ大統領が、アパルトヘイト廃止後の同国を、1995年に同国で開催されるラグビーのワールドカップでの優勝を通じてまとめようと奮闘するというお話し。
実話なので基本的に説得力があるし、スポーツシーンも結構激しくインパクトがあって、最後の盛り上がりもなかなか。
勝つとわかっていても、オールブラックスとの決勝戦は手に汗握ったし、勝利の瞬間は涙ぐんでしまった。
全く関係ないように思える政治とラグビーだけれど、ラグビーが同国にとって白人を象徴するスポーツであったことを考えると、マンデラがそれを逆手にとってラグビーで勝つことで国をまとめようとしたことにも納得する。

ただ、イーストウッドらしく淡々と物語を進めていたのはいいが、葛藤とそれに対する解決という揺れがないとドラマとしては盛り上がらない。
映画なんだからもっと脚色できただろう。
黒人と白人の対立ってあの程度だったのか?

ついでだが、マット・デイモンはラグビー代表チームのキャプテンというには線が細すぎないか?
スタンドオフとかウイングならわかるけど、背番号6ってフランカーだったっけ。スクラムに加わっていたし、それにしては小さすぎるような。
モーガンフリーマンより小さかったもんなあ。大したことではないけれど、ああいうところに引っかかると映画に没頭できなくなってしまったりするので結構大事だと思うのだ。

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オーシャンズ-映画:2010-

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監督:ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾー

評価:50点

4年の歳月を費やして集めた圧倒的な映像は素晴らしい。
どうやってこれを撮ったんだろうと、信じられなくなるほど。
特に小魚の群れにカモメが次々と弾丸のように突っ込み、海底ではイルカやクジラが暴れまくって大混乱になっているシーンは凄かった。
みんなぶつからないんだろうか、怪我してるんじゃないだろうかと、いらぬ心配をしてしまったほどだ。

ただ、展開があまりに単調なためか、しばしば眠りとの戦いになってしまった。
生物多様性がテーマなのだから多くの動物を次々と登場させようとするのはわかるのだけれど、もう少しストーリーがなんとかならなかったものか。
ということで、映像が100点、構成がマイナス10点。
そして、あまりにも一方的で暴力的で作為的なプロパガンダにマイナス40点。

サメのヒレ切りとイルカ捕獲と捕鯨のシーンは不要。
自然賛美の映画と見せかけて、他民族の風習を一方的に非難する姑息なやり方にはへどが出るね。
しかも、これらのシーンはドキュメンタリーではなくCGらしい。ヒレを切られて海底に沈んでいくサメはロボットだし。
それがわかってしまうと、他のシーンもCGが入っているんじゃないかと疑ってしまい、感動もどんどんと薄れてしまうのだった。

作るのは自由だけど、日本の映画界の人間はちゃんと抗弁しているのか?

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2010年09月23日

イングロリアス・バスターズ-映画:2010-

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監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ブラッド・ピット、マイク・マイヤーズ、ダイアン・クルーガー、クリストフ・ヴァルツ、メラニー・ロラン

評価:94点

タランティーノ節爆裂!
最高に楽しい映画だった。

ドイツナチスの時代に、ナチから恐れられた連合国のナチ狩りチーム、「イングロリアス・バスターズ」が存在したというフィクション。

グダグダしたわけのわからんもったいぶった時間あり、無意味に盛り上がるスリリングなシーンもあり、バイオレンスシーンもそこそこ残虐でドキドキさせられ、そして爽快感があるとは言い難いエンディング。
ここに、ブラピの少し歪んだ演技がぴったりはまり(ブラピがこんな変な役をするのは12モンキーズ以来では?)、そしてなんといっても大佐役のクリストフ・ヴァルツが最高。
この憎たらしさと怪しさでカンヌ映画祭最優秀男優賞を受賞。
なるほど納得です。

個人的には、メラニー・ロランがツボでした。
なんてかっこよくて知的で美しいのだろう!

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日本ではまだあまりメジャーではないようだけれど、どんどん映画に出てほしいもんです。

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2010年08月30日

アリス・イン・ワンダーランド−映画感想−

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監督:ティム・バートン
出演:ミア・ミシコウスカ、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アン・ハサウェイ

評価:70点

DMMレンタル第2弾。
レンタルなので2D。
うーん、こんなものか。
もっとエキセントリックできらびやかで夢の中のがっつり異常な世界を想像していたのだが、わりと普通だった。

普通ということはないのだけれどね。
赤の女王の頭のでかさとバカ殿メイクは見るたびにおかしくて笑えてくるし、アン・ハサウェイもどこか不細工でイカレタ身振りを繰り返していて素敵だし、猫もウサギも双子も豚も期待どおり。
そうか、期待通りすぎたのかもね。
ジョニー・デップのマッド・ハッターははまり役だったが、この人のこんな演技は、チョコレート工場やパイレーツシリーズ等で少々見飽きた感じだ。変なメイクも。
ストーリーも意外性がなかったしなあ・・・。
不思議の国のアリスに思い入れがある人ならもっと楽しめるのかも。

といっても面白かったのは事実。
ティム・バートンの独特の世界観はとても魅力的。

それにしても、勧善懲悪でエンディングになってよかったのか?
白の女王にも少しは腹黒いところがあったんじゃないのか。
嫉妬に狂ったバカ正直な赤の女王だけが損な役回りになっている気がしてならない。
それはあのメイクと頭の大きさに対する単なる親近感かもしれないが。

ということで繰り返して言うが、まあこんなものかと軽い失望。

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2009年12月30日

おっぱいバレー−(映画:2009年鑑賞)−

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監督:羽住英一郎
出演:綾瀬はるか、大後寿々花、木村遼希、橘義尋、高橋賢人、田口浩正、市毛良枝、仲村トオル

評価:82点

受け狙いに見せかけて結構ぐっとくる青春もの。
そんなところだろうと思っていたら、予想以上にそんなところだった。
1979年に中学3年生。そのとき私は中学1年生。年代があまりにぴったりで映像も音楽もアラフォーのセンチメンタルどまんなかだったため、たっぷり楽しめた。
転校してきた美人先生がいきなり男子バレー部の顧問になったが、男子バレー部はそれまでバレーの練習をしたこともない超弱小部。周りからは「バカ部」と呼ばれて、女子と試合をして15-0で負ける始末。
そんな彼らが頑張ろうと決意したのは、勝ったらおっぱいを見せてくれると先生が約束してくれたからだ。
出てくる中学生のあまりのアホっぷりには最初かなり辟易としたものの、次第にそれに慣れてくるから怖いものだ。最後には結構真剣に応援してしてまった。

それにしても難しい題材をよく映画にしたなあ。
自分の中学生時代を思い出すとよくわかるが、中学3年生ってもっと生々しい。少年から大人に変わる微妙な時期だから、ひねくれたやつも多いし、頭の中はおっぱいなんてかわいいものではなくて、もっとえげつない妄想で占められているものだ。顔を押せば鼻から精液が出そうな年代でしょう。中学3年生って。もっとにきびでまくりだろうし、自意識過剰にもなるころ。
でもそんなリアルな中学生を画面にだしてしまっては、「おっぱい!」なんてかわいく叫ばしているわけにはいかなくなる。で、この映画のようにまるで小学生のようなかわいらしい軟弱な連中を集めて主人公にすることになったのだろう。この選択肢しかないよなあ。
おかげで、部活動のシーン等は実に軟弱で見せ場もなかったけれど、これは仕方ないでしょう。

綾瀬はるかはそれにしても美しい。非の打ち所のないパーフェクトな美人だ。完全なシンメトリックの顔を正面から見ていると人間に思えず不思議な気持ちになるくらい。
演技もしっかりできていて安心してみていられた。仲村トオルのほうが十分怪しげだったほどだ。

興行的にいまひとつだったのは、イロモノ的な設定だけではなくて、この設定にあわせたリアリティのないキャスティングのせいもあるのじゃないか。小学生の物語にすればよかったのに。
そうそう、11PMのオープニングのあまりの懐かしさに参りました。

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2009年11月29日

ウォッチメン−(映画:2009年鑑賞)−

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監督:ザック・スナイダー
出演:ジャッキー・アール・ヘイリー、パトリック・ウィルソン、ビリー・クラダップ、マリン・アッカーマン、マシュー・グード

評価:79点

アメコミが映画化されたもの。
162分と結構長いが、独特の世界観が見ている人の感覚にマッチすれば、時間は気にならないと思う。そこそこエログロが散りばめてあり、R15指定。SFXはよくできているし、登場人物たちの心理描写も丁寧で好感が持てる。個人的には非常に楽しめる映画だった。

しかし、だ。
かつて世界を守っていた、世界のあらゆる出来事を政府とともにコントロールしていた、そんなスーパーヒーロー達が、その存在を一般市民から疎ましがられて法律で活動を制限されてしまったその後を描く、というのはどうしてもコントの設定に見えてしまう。
いや、そんな笑いをとる場面があるわけではないのだが、周りから邪魔にされたヒーローが、「昔はわしも凄かったのになあ」っていうのはいかにもダウンタウンのコントにでてきそうだ。
なので、映画を観ている自分自身にイマイチ緊張感が欠けてしまったのだった。

もうひとつ。
最後の大団円を支える思想が安易過ぎる。
ドクターマンハッタンを共通の敵として米ソが手を結ぶ、いわゆる外圧に対抗するための大同団結作戦などというのは、自力で解決策を見出せない人たちが安易に考えることではないか。
世界平和を真面目に論じていると様々な壁にぶち当たり、「あー、宇宙人でも攻めてこないかな、そうすれば世界はひとつになるのに」とコンパでつぶやく大学生レベル。コンパでそんな話はしませんかそうですかすいません。
一般企業でいうと、社内の勢力争いで改革が進まない部分を、監督官庁からの指摘を利用して一気に進めてしまうようなものでしょうか。

まあでもアクションにも見ごたえあるし、音楽は最高によかったし、見て損をした気持ちにはならなかった。
原作の評価がずば抜けて高いらしいので、機会があれば読んでみたいなあ・・・。

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2009年11月16日

ウォーロード 男たちの誓い−(映画:2009年鑑賞)−

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監督:ピーター・チャン
出演:ジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武、シュー・ジンレイ、グオ・シャオドン

評価:81点

重厚で男くさく、しかしとんでもなくカッコイイ内容に大満足。
多少脚本が駆け足になろうと、歴史的背景を知らないとわかりづらいところが散見されようと、老獪な大臣達がひたすらに憎くてむかつこうと、ジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武、と3人並んだ迫力があれば文句なし。

時代は清朝末期。大変天国の乱と馬新貽の暗殺事件が題材となっていて、この映画は既に映画化されたもののリメイクらしい。
清朝そのものが大混乱に陥っており、何が正義か悪かわからない混沌とした時代だけに、そこに生きる3人の義兄弟(龐青雲(パン・チンユン):ジェット・リー、趙二虎(ツァオ・アルフ):アンディ・ラウ、姜午陽(チャン・ウーヤン):金城武)も時代に翻弄されていく。
最初は貧しかった自分達が生きるために軍人となり、やがて農民の解放や平和を求めて戦いを続ける彼らの間にも、戦いをめぐる考え方の違いや女性をめぐる嫉妬などから徐々に溝ができていく。

前半は3人の一気怒涛の団結大暴れに惚れ惚れとし、後半は切ない展開をやるせない気持ちで見続けるのだった。

それにしても、金城武は凄い役者になった。
アンディ・ラウやジェット・リーと並んでも、オーラも演技も全く見劣りしないのだ。

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2009年11月03日

アドレナリン:ハイ・ボルテージ−(映画:2009年鑑賞)−

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監督:ネヴェルダイン
出演:ジェイソン・ステイサム、エイミー・スマート、クリフトン・コリンズ・Jr、エフレン・ラミレッツ、バイ・リン

評価:90点

なんでこんな映画にマイケルジャクソンのThis Is Itより高い点数をつけるのだ、お前はどこまでドアホなんじゃ。という天の声がはっきりと聞こえてくるようだがそれは私もよーくわかっておりまする。
とにかくドアホで下品でエロエロで、ムチャクチャな展開を勢いだけで突っ走りきる映画。
いやあ、よく作ったなあこんな映画。というかジェイソン・ステイサムはよくこんな映画にでたもんだ。エネルギッシュマッチョハゲ、として彼はハゲ界の希望だからね。こんな超オバカ問題映画にもガンガンでてくださいまし。ニコラス・ケイジもハゲ界の王子だけれど、彼はちょっとセクシー路線すぎるのじゃ。

もしこの映画を観るのなら前作を見てからのほうが絶対に笑えるはず。
前作では変な薬によって、常にアドレナリンを放出していないと心臓が止まってしまうという展開だったが、そのラストでヘリコプターから落下した殺し屋のチェリオス(ステイサム)が、謎の男達に運び去られるところから物語りは始まる。
チェリオスは死んでおらず、彼の不死身の心臓は中国人組織に狙われ奪われてしまうのだった。チェリオスの体に代わりに入れられたのは安っぽい人工心臓。常に充電しつづけなければ人口心臓が止まってしまう。
チェリオスはあの手この手で自分の体に充電を繰り返しながら、心臓を奪った男達を追うのだった。

ということでムチャクチャです。
電信柱によじ登って高圧電流くらったり、スタンガンで充電したり、ついにはお約束の公衆面前セックスによって充電したりとやりたい放題。
不必要にグロイ映像もふんだんに盛り込まれ、ノンストップでラストまで突っ走る姿は最高。

でもなあ、この映画は人にはなかなか勧められない。
女性にはまず無理でしょう。私の人となりを根本から疑われ、時間をかけて築いた信用を2時間で完璧に失ってしまうこととなるはず。

なのでこっそりと観ました。
DVDになっても、またこっそりと借りてきてこっそりと観る予定です。
誰にも勧めない。
でも面白いよ、絶対に。ウフ。

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2009年09月14日

おくりびと−(映画:2009年)−

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監督:滝田洋二郎
出演:本木雅弘、広末涼子、杉本哲太、吉行和子、余貴美子、笹野高史、山崎努

評価:93点

いまさらながらDVD鑑賞。
泣いた。久しぶりに号泣した。
一人で見ていてほんとによかった。これが高校生の娘と一緒だったらどれほど困っていたか。

これほどまでに、人間の生死を美しく厳粛に書いた映画はこれまでなかったのではないか。
ただ美しいだけでなく、「納棺師」という具体的な職業を通して「死」について描いていくので、見ているほうも実感が持てる。
死を扱う職業として納棺師に対して皆が感じる嫌悪感・偏見は、日頃私たち自身が死をできるだけ自分の思考から遠ざけて考えないようにしていることと同じ。そんな偏見が、実際に納棺師が死者の旅立ちを手伝った後に感謝と遺族の心の平安に変わっていく様子は、何度見ても心を打たれるものだった。

私は、祖父、祖母、叔父のお葬式には参列したことがあるが、実際に納棺師の仕事を目の当たりにしたことはない。
最近はそんな仕事がなくなっているのか、それとも地方独特の風習なのか。どこにでもなんにでも合理化が進んでいく時代だからこそ、この手続きは是非残していって欲しいものだ。
亡くなった人が、納棺師によって丁寧に思いをこめて扱われ、次第にあの世へ旅立つ準備をしていく。遺族が死をきちんと受け入れるためにきっとこれは必要な儀式だ。
火葬場での杉本哲太、笹野高史を交えてのやり取りもまた涙を誘った。
30年前、祖母が亡くなった時に、火葬場で母が棺にすがりついて泣いていたのを思い出す。
ああ、また泣けてきた。

映画の中では、死と対照的に生を象徴する「食べる」シーンが何度も繰り返される。
白子を焼いて食べるときもそうだが、フライドチキンを食べるシーンでも、当たり前のことだが生きるために食わねばならんことを改めて思い知らされた。「困ったことに」飯はいつでもうまいのだ。
もうひとつ、本木と父親の確執が最後までひっぱられ、最後に感動的なオチをつける。
こうなるとしか考えられない結末なのだが、それでも泣いてしまったのだった。

納棺師を演じている山崎努と本木雅弘の所作は本当に美しい。
さらに本木雅弘は元チェロ奏者という設定なので、チェロも弾きまくるがその様子がまた美しい。
美しい人は何をやっても美しいのだよなあ。

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2008年12月07日

WALL・E/ウォーリー−(映画:2008年64本目)−

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監督:アンドリュー・スタントン
出演(声):ベン・バート、エリサ・ナイト、シガニー・ウィーヴァー

評価:95点

素晴らしい。
さすがPIXER。映像もストーリーも演出も、そして登場人物たちのキャラも完璧だ。

大気も土壌も汚染され、廃棄物以外の生物がいなくなった地球で黙々とゴミ処理を行うウォーリー。
彼の友達は唯一生き残った生物であるゴキブリ?だけだ。
地球上のゴミを毎日処理してブロックのように積み上げていく作業に加えて、彼は何か心にひっかかるものを毎日持ち帰り、自分の住処で分類して保存する。
それはルービックキューブであったり、ジッポのライターであったり、先割れスプーンであったりするのだ。
まったくセリフが出てこないこの序盤で、ウォーリーの仕草に心をわしづかみにされた。
ジャンクな感じのこのロボットがなんとも人間っぽくチャーミングに見えてくるからだ。
特に、これも拾ったであろうビデオを再生し、映画の名シーンを見て心をときめかせるシーンなんて最高にうまい。

しかし、人類がいなくなった地球にロボット一人でここからどうやって物語を展開させるのだろうかと心配になったところで、新型ロボット・イブが突然地球に登場。ここからの2人(2体)のやり取りがまた面白い。
セリフがなくても、ここまで感情を伝えることができるのだ。
映像って、やっぱり凄いなあ。PIXERが凄いのかもしれないけど。

その後、宇宙に2人が飛び出し、そこからはノンストップで最後まで走りつづけ、宇宙にいた人類も地球に戻ってきて大団円。
思い出していると全部あらすじをここに書きたくなってしまうのでやめておこう。
お掃除ロボットがやたらにかわいいのと、風刺の効いた未来社会の描写はなかなか楽しめます。

地球上に生命体(芽を出した植物)を発見したので、人類がみな地球に戻る、ということだった。それならあのゴキブリ君が生きている時点で、生物生存可能ということではないのかと思ったりもしたが、まあいいか。

いい映画です。

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2008年10月26日

アイアンマン−(映画:2008年58本目)−

アイアンマン1アイアンマン2

監督:ジョン・ファヴロー
出演:ロバート・ダウニー・JR、テレンス・ハワード、ジェフ・ブリッジス、グウィネス・パルトロウ、ショーン・トーブ、ファラン・タヒール、レスリー・ビブ

評価:85点

アイアン・マンといえば、ブッラク・サバスのアイアン・マン。
そして、その曲に乗って登場してくるのがロード・ウォリアーズ。
プロレスファンにとって彼らの登場は衝撃的だった。
ペイントで覆われた表情と、モヒカンと逆モヒカンの髪型。
圧倒的な肉体とパワーで相手を葬り去る秒殺スタイル。
今考えてみれば、必殺技のダブル・インパクトって、あまり効果のない技だったのだが。

いやいやプロレスの話ではなかった。
期待していたサバスのアイアン・マンがエンディングでしか流れなかったのが少々肩透かしだったが、映画そのものは非常にカッコよく楽しい。
人間がかぶりものをしてヒーローになるというのは常套手段で新鮮味はあまりないが、CGを駆使したメカの描写が物凄くリアルで、本当にあんなパワード・スーツがそのうちできるのではないかと感じてしまうほど。みていてワクワクした。

アメコミの原作と比較すれば時代設定がそもそも違うが、兵器製造会社の若き社長スターク(ロバート・ダウニー・JR)が敵に捕らえられ、パワード・スーツを作ってアイアンマンになり脱出するというところは同じ。
ただ、このスーツを着たアイアンマンが悪を退治して大活躍!という感じではなく、アイアンマン誕生までの経緯にほとんどの時間が費やされている。
敵と戦ったのは2回だけで、しかもそのうち1回は社内の裏切り者との対決だし。
だからといって、兵器製造会社の経営により結果として多くの人命が失われてきたことへの後悔とか贖罪の苦悩が色濃く書かれているわけでもなく、主人公の行動はかなり軽い。
まあ、マンガだし、そんなところに強いメッセージを求めてもしかたないのだろうがこのあたりは少々物足りなかった。

スタークの秘書を演じていたのがグウィネス・パルトロウ。
久しぶりに彼女を見たが、結構綺麗になっていた。気のせいか。昔は嫌いだったのだが、ツンデレ系の演技はなかなかうまかったような気もする。

続編ありますフラグ立ちまくりのラストだったが、いったい誰を敵にして続編を作るというのだろう。
バット・マンのジョーカーのような強烈な個性を持つ悪役が出てくれば、続編も楽しみになるのだが。

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2008年10月13日

アヒルと鴨のコインロッカー−(映画:2008年57本目)−

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監督:中村義洋
出演:濱田岳、瑛太、関めぐみ、松田龍平、大塚寧々

評価:90点

隣の隣は2人いる。

もうDVDになってしばらくたつ作品でもあるので、ネタバレしながら感想を。
「どんでん返し」と言ってしまえば簡単に聞こえるが、それまで映画を見ていた人の錯誤した共通認識をひっくり返すだけでなく、真実の設定がどれだけ感動を呼べるかが勝負。
その意味では、この映画のそれはかなり秀逸だ。
前半のコメディにも見える不思議な雰囲気は、伏線を随所に張り巡らしているからであり、それが後半にきちんと辻褄を合わせて行く。
ただ、その解き明かされる過程は「爽快」ではなく「悲しみ」。
それが見るものの胸を打つ。
椎名の家の本箱から大学の教科書が何故消えていたのか。
あれほどこだわった広辞苑と広辞林を間違えたのはなぜか。
隣のブータン人の挙動もどうしてあんなに不自然なのか。

瑛太が「河崎」になって語っていたシーンが、本当の「河崎」である松田龍平で繰り返される。
瑛太が「ブータン人」になって、真実のシーンが繰り返される。
それだけで、なんでと思うぐらい胸にぐっと映像が迫ってくる。
「河崎」になりきった瑛太が淡々と話していた「ブータン人」の物語が、実は瑛太の心情そのものであったことがわかることで、観客の心にそのつらさが数倍にインパクトを持って伝わってくるのだろう。
瑛太がディランを歌う椎名の背中に声をかける2回目のシーンは最高。

濱田岳の演技はあまり好きではないが、なんとかこの程度なら許せるかな。
それにしても「風に吹かれて」はこれほど耳に残る歌だっただろうか。
久しぶりにボブ・ディランを聞いてみよう。

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2008年10月02日

アクロス・ザ・ユニバース−(映画:2008年56本目)−

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監督:ジュリー・テイモア
出演:エヴァン・レイチェル・ウッド、ジム・スタージェス、ジョー・アンダーソン、ディナ・ヒュークス

評価:90点

ビートルズの曲を33曲使って作り上げた豪勢なミュージカル映画。
時代設定もそのまま60年代。リバプールからNYへやってきたジュードとベトナム反戦運動に次第にのめりこんでいくルーシーの恋物語ということで、そこかしこビートルズだらけの展開。
とにかく楽しめた。
リンゴじゃなくてイチゴのレーベルがでてきたり、お約束どおり屋上で演奏があったり、締めはやっぱりオール・ユー・ニード・イズ・ラブだったり。
中学生から高校生にかけてビートルズにはかなりのめりこんだので、どの曲も極端に懐かしい。
あの頃は歌詞をよくわかっていなかったこともあって、今聞くとまったく違った感想が沸き起こってきます。
薬を使っていたからなのか、サイケな歌詞も結構多かったんだなあ。
アイ・アム・ザ・ウォルラスとか、ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイトとかはかなり強烈。
カム・トゥギャザーはかっこよかったし。

ストーリーはそれなりにあるものの、誰でも考え付く程度。ビートルズの歌ありきでそれをくっつけたようなものです。
それでもファンにとっては満足。
逆にその構成だからこそ久しぶりに彼らの世界観にどっぷり浸ることができました。

それにしても、何度聞いても「オール・マイ・ラビング」は名曲だ。

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2008年09月29日

アイ・アム・レジェンド−(本:2008年55本目)−

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監督:フランシス・ローレンス
出演:ウィル・スミス、アリス・ブラガ、サリー・リチャードソン=ホイットフィールド、ウィロー・スミス、チャーリー・タハン

評価:69点

「あなたは一人きりではない」とウィル・スミス演じるネビルがラジオ放送で呼びかけるたびに、一人きりでいる寂しさに必死で耐えながら自らの使命を果たそうとするウィルの気持ちが伝わってくるのだった。
「一人きりは君や」と突っ込みたくもなったが。

すでに2回も映画化されている作品とはしらなかった。
原作も読んだことはないし、1964年の『地球最後の男』、1971年の『地球最後の男 オメガマン』も見たことはない。
が、ウイルスによって廃墟と化した街並みの映像は今回の映画がもちろん一番できばえがいいのだろう。
最初の方にでてくるフラットアイアンビル、そしてマンハッタンの繁華街の象徴としてでてくるタイムズスクエア。
人の姿がまったくなく、荒れ果てたこれらの街並みはそれだけで十分見ごたえがあった。

無人のマンハッタンから物語が始まり、何が起きてこうなったのかを、回想シーンやビデオで流れるニュースなどで断片的に見せていく。
といっても非常にシンプルなストーリーなので、話においていかれることはない。
ただ、ゾンビ(一度死んだわけではないのでゾンビではなく感染者なのだが)がどのような姿をしていて、果たしてどれほど強いのかが見ているものにはわからないのでその分途中の心臓バクバク感はなかなかのものだ。

点数が少々低めなのは、B級路線ではなくあくまでもSF大作を目指しているにもかかわらず、突っ込みどころが多いからだ。
あの母娘はあれほどに強いゾンビが密集しているところで、よくネビルを助けることができたものだと思うし、ゾンビたちはあんな罠を仕掛ける知能がありながら、ネビルの住んでいる場所を見つけられなかったというのもよくわからん。
どうせならB級に徹すればよかったのに。
それだとウィル・スミスはお金がかかりすぎるからチャーリー・シーンくらいでどうだ。
どうだと言われても・・・。

なんとも惜しい作品。

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2008年09月23日

イースタン・プロミス−(映画:2008年54本目)−

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監督:デヴィット・クローネンバーグ
出演:ヴィゴ・モーテンセン、ナオミ・ワッツ、ヴァンサン・カッセル

評価:86点

ヴァンサン・カッセルにナオミ・ワッツという、私の好きな俳優が主役級で登場してるのだからそれを見ているだけでうれしくなってくる。
今回のヴァンサンはイギリスのロシアンマフィアのボス・・・のお馬鹿な一人息子(キリル)という役。親の七光りでなんとか体面を保っているものの、思考は常に浅薄で行動は衝動的、「パパ〜」と泣き叫んではいつも怒鳴られている。ついでにアル中でホモセクシャル。
そんなにむちゃくちゃな役柄にしなくてもいいじゃないかと、クローネンバーグに少し抗議でもしてみたいくらいだ。
一方、そんなキリルの下で運転手(ニコライ)として働くのがヴィゴ・モーテンセン。
こちらは徹底的にカッコイイ。戦っても強いし、マフィアなのに何故か情もあるし、頭もいい。なんなんだこの書き分けぶりはと思っていたら、ニコライは○○でしたって・・・。ううむ、そうくるか。
ナオミ・ワッツは助産師役。病院でたまたま取り上げた赤ちゃんの母親が身元不明のまま死んでしまう。
手がかりになるのは残された彼女のロシア語の日記だけ。
その日記を訳してもらおうと頼みに行ったロシア料理店のオーナーがロシアンマフィアのボスでキリルの父親だった・・・という展開で後半戦に突入。

若干ハードな殺人シーンもあったりするが、なんといっても驚くのはサウナの全裸モロ見え大アクション。
それはいくらなんでもかっこ悪いだろう、と思ってみていたが、裸とナイフの取り合わせもなかなか悪くないものだ。
しかし衣服を着ていないっていうのは物凄いハンデだよなあ。
主人公あっというまに血まみれだったもの。

ストーリー展開がゆっくりなので、じっくり物語の雰囲気に浸ることができる。しかし最後はよくわからん。ボスはそんな簡単に失脚してくれたんだろうか。ニコライは無事なのか?
まあいいか。

今気づいたが、どの殺人もナイフだ。
銃を使わないのはロシアンマフィアの美学なのか?トカレフはどうしたのだろう。カラシニコフは。

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2008年09月15日

ウォンテッド−(映画:2008年51本目)−

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監督:ティムール・ベクマンベトフ
出演:アンジェリーナ・ジョリー、モーガン・フリーマン、ジェームズ・マカヴォイ

評価:84点

いやあ楽しい。
インモラルで突っ込みどころ満載でテイストは明らかにB級なのだが、CGの素晴らしさ、アクションと音楽の徹底したかっこよさ、そしてアンジーとモーガンフリーマンという豪華な出演(もちろんマカヴォイもよかったが)によって、映画のステイタスはかなり上昇しているように思う。
といっても道徳的見地からは眉をひそめる人も多いだろうから、やっぱりB級なのかな。
個人的にはむちゃくちゃ面白かったのだが。

さえない会計士の主人公(マカヴォイ)が、突然銃撃戦とカーチェイスに巻き込まれたうえ謎の暗殺集団に拉致される。
このとき銃を撃つアンジーの鬼気迫る顔にまずはほれ込んでしまう。
そして強烈なカーチェイス。
どうかんがえても人間業を超越したところのアクションなので、最初からなんでもありだ。
自在に孤を描いて飛ぶ弾丸もいきなりここで登場する。
理屈ではないところがいいね。
精神力で曲げるということなんだろうな。フォースか、やはり。

父親が暗殺集団の殺し屋であったこと、最近命を奪われたこと、自分があとを継ぐのだということ。
立て続けに想定外の事実を告げられたうえ過酷な訓練に引きずり込まれる主人公。逃げ出そうともするが、過去のさえない生活から決別し、父親の敵討ちをすることに決める。

このあたりのプロットは若干弱かったが、次から次へと出てくるアクションがそんなことを感じさせない。
とにかく周囲の迷惑を顧みず、人命の重さとかは遥か遠くにおいておき、スリルと爽快さとかっこよさをひたすらに追求したアクションだ。
ねずみ総攻撃も動物愛護の観点からはどうなんだということになるし、それよりあの電車事故って数千人が犠牲になってるよなあ。
暗殺シーンのアクションも結構無茶だ。人の頭を何人分もぶち抜いてカーブして自分のところに帰ってくる弾丸って・・・。
これまたまあいいか。映画だから。

話がトンデモアクション系だったので油断していたが実はドンデン返しがあってすっかり騙されてしまった。
そこらあたりも少し工夫されています。

奥深いテーマなんぞを求めるのなら見ないほうがいい。
ひたすらに目の前のカッコイイアクションに感動するための映画だと思う。

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2008年09月07日

インクレディブル・ハルク−(映画:2008年49本目)−

hulk1hulk2

監督:ルイ・レテリエ
出演:エドワード・ノートン、リヴ・タイラー、ティム・ロス、ティム・ブレイク・ネルソン、タイ・バーレル、ウィリアム・ハート

評価:81点

公式サイト

この前に見た「ハンコック」も、この「ハルク」も、人間ではない何かが暴れまくるということではあまり変わりはない。
ただ、こちらはストーリーが理路整然。
ガンマ線の実験のために自ら被験者になったエドワード・ノートン。実はその実験は人体兵器を生み出すための軍の秘密事項だった。
ある意味実験は成功し、ノートンはハルクに変身する。
何年にもわたってハルクを追い続ける軍と、逃げ続けるハルク。
このあたりのアクションは理屈抜きに面白い。
変身したハルクの無敵ぶりも見ていて爽快だ。

そして当然出てくるハルクの対戦相手。
これをティム・ロスがやるというのも、なんとも意外性があって面白かった。
そんなことを言えば、ハルクがエドワード・ノートンっていうのもかなり意外性があるのだが。
この人は歳をとらないよなあ。
いつまでもファイト・クラブのイメージのままで若々しいし、裸もスッキリで美しい。
ファイトクラブが1999年だからすでに9年前。
ノートンは39歳か。

物語の進行も極めてオーソドックス。
怪物になっても愛する人を守ろうとするハルクと、ただ強くなりたいために同じような変身を遂げて街を破壊しまくるニセハルク。
対決があり、決着がつき、そして全ては解決・・・せずに終わってしまった。
結局ハルクはそのままだし、血液を浴びたスターンズ先生はどうなったのかも書かれていない。
続編だな、全部まとめて。

そうそう、冒頭にヒクソン・グレイシーが出ている!
あの、PRIDE1で来日したときにどこかに山篭りして見せてくれた独特の呼吸法を映画でも見せていた!
なんと懐かしい。これこそ15年以上前の話だぞ。
このオッサン、ついに無敗のまま引退しそうだなあ。

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2008年06月22日

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国−(映画:2008年44本目)−

インディ1インディ2
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ハリソン・フォード、シャイア・ラブーフ、カレン・アレン、ジョン・ハート、レイ・ウィンストン、ケイト・ブランシェット、ジム・ブロードベント

公式サイト

評価:77点

久しぶりのハリソン・フォードはすっかりおじいさんになっていた。
さすがにショーン・コネリーが醸し出していたような色気を彼に出してくれというのは無理だったようだ。

だが、適度に緊張感のあるアクション・シーンは見所が満載だし、コネタを頻繁に挟み込んで笑いをとりながら飽きさせることなく進めていく展開も非常にうまい。
少なくとも退屈ということばとは無縁の2時間には違いない。
ストーリー的には、主人公に選択肢がまったくないような強引な展開すぎたことが少し残念。
まあでも、あれがインディ・ジョーンズシリーズのいいところでもあるから仕方ないか。
問答無用のジェットコースター的展開が、見るものの爽快感にもつながってるのだから。
昔の女を助けようかどうか、悩んでウジウジしているジョーンズなんて見ても仕方がないもの。
誰かがピンチ、と言われれば、とにかくそこに吹っ飛んでいかねばならぬのだ。
そもそもクリスタル・スカルにもともとそれほど執着なんてしてなかったのでは、なんて突っ込んでも仕方がない。
突っ込みどころでいえば、冷蔵庫に隠れて核実験から生還するなんて悪ふざけとしか思えないが・・・あ、あれは悪ふざけなのか。スピルバーグの。

ケイト・ブランシェットはいつもどおりの眼力で魅せてくれた。
ロシア訛り?の英語も笑えたし、ラストにあっさりと自爆していく様もなんだかよくわからなかったが、ケイト様が出ているだけで、うっとりしてしまうのだった。
こんな上司の下で働いてみたい。
ハイヒールでふまれそうだけど。

年齢のわりにはかなり頑張っているハリソン・フォードを楽しみながら、お気楽に見る映画としてはかなり完成度は高いでしょう。
まあでも、テレビ放送かDVDでもいいかもなあ。

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2008年04月16日

王妃の紋章−(映画:2008年32本目)−

紋章1紋章2
監督:チャン・イーモウ
出演:チョウ・ユンファ、コン・リー、ジェイ・チョウ、リィウ・イエ、チン・ジュンジエ、リー・マン、チェン・ジン、ニー・ターホン

評価:95点

公式サイト

(ネタバレかなりあります)
これは凄い。
いろんな意味で画面に釘付け。
チャン・イーモウ、ここまでやるかと。

ひとつの見どころは圧倒的な豪華絢爛さ。
もともとは有名な現代劇だったというこの作品を、朝廷時代(後唐)に設定しなおしてひたすら金ピカで派手なセットと衣装で見せまくる。
眩しくてクラクラするとか、目が痛くなるとか、そういうレベルではなく、画面全体が光輝いているようで字幕がよく見えないほどなのだ。
それはいくらなんでも黄金使いすぎでしょう、というくらい。
そしてお約束のワイヤーアクションもタップリで、集団演武のような忍者集団戦闘シーンはあまりにも美しい。かと思えば冒頭で見せる王と王子(次男)との戦いは、剣がギャリギャリと音を立ててぶつかり合い、鎧を擦って火花が散るという激しさ。
どれもこれもとことんなのだ。
極めつけは最後のクーデターシーン。
人海戦術というのはこういうものなのだと、見せつけるような凄まじさ。
いやはや凄かった。
圧倒された。
あまりの迫力に笑えてくるくらいだった。
やるときは徹底的に。いいことだ。
戦い終わった死体の後片付けまでも人海戦術。完全に参りました。

もうひとつの見どころは、圧倒的な衣装や人海戦術の戦闘シーンと対照的な物語のストーリー。
朝廷で起こっている出来事は、ドロドロの愛憎劇であり、憂国の欠片もない、極めて狭い、ある家族の物語なのだ。

3人の息子を持ったある家族がありました。
長男は前妻の子供でした。その長男と母がいけない関係になってしまいます。
父は母に毒を飲ませ、緩慢な死に追いやろうとします。
長男が恋仲になっている娘がいます。
彼女の母親は実は長男の母(父の前妻)なのでした。
ああ、許されぬ兄弟の愛。
次男は強烈なマザコン。三男はオバカで切れやすい引きこもり少年。
もうどうしようもありません。そしてどんどん主役級の人間が死んでいく・・・。

こんなドロドロ物語と豪華絢爛な舞台をごちゃ混ぜにし、とことんやりまっせ的に作りこんだ作品。
この潔さ、とも言うべきものはとても私の好み。
チャン・イーモウにしてみれば、何をしてもいかんともしがたい中国共産党政権への抗議のような社会的意味もあったのかもしれないが、もはやそんなことはどうでもいいくらい、気持ちよくなって最後まで見てしまったのだった。

そうそう、過剰なまでに胸元を強調した女性達の衣装も印象的。
これもある意味徹底的。
コン・リーの迫真の演技も徹底的。青筋たてて涎を流さんばかりの表情には鬼気迫るものがあった。
とにもかくにも凄い映画です。

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2008年04月02日

あるスキャンダルの覚え書き−(映画:2008年29本目)−

あるスキャンダル1あるスキャンダル2
監督:リチャード・エアー
出演:ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット、ビル・ナイ、アンドリュー・シンプソン、トム・ジョージソン、マイケル・マロニー

評価:90点

緊張感溢れまくりの大女優の競演。火花散る演技がなんとも素晴らしく、時を忘れて見入ってしまったのだった。

老教師バーバラ(ジュディ・デンチ)と新任の美術教師シーバ(ケイト・ブランシェット) 。
学校のなかでもどこか浮いた存在で、いわゆる鬼ババア教師として生徒からは嫌われ教師仲間からも敬遠されているバーバラ。
一度の結婚もしていない彼女の趣味は、一人で黙々と日記を書き溜めることだった。
そんな彼女の格好の観察対象となるシーバ。
そっけない振りをしながらもなんとかシーバに近づきたいバーバラの姿は、老いてもなおいじましい様子さえ見せる。
一方で、張り切って学校に来たものの、悪がきに手を焼いて次第に自信を喪失していくシーバ。
シーバにとってみれば、近づいてきたベテラン教師のバーバラは救いの神に見えたに違いない。
2人の関係が劇的に変化したのはシーバと15歳の男子生徒とのスキャンダルが原因だった。
スキャンダルといえばスキャンダルだが、性描写が露骨に続くわけでもない。見どころはやはりジュディとケイトのやりとりだ。

シーバの弱みを握ったことで次第に変質度を上げていくジュディの演技は素晴らしい。滑らかで美しいギアチェンジでいつのまにか最高速だ。
一方でケイトもギアをあげる。
弱々しい表情でバーバラにすがり付いていた中盤から、後半になるに従いいつものケイトの力強い視線に戻っていく。
だが、ケイトのほうは少年から離れることができないという女を演じている部分もあり、こちらは硬軟織り交ぜ。
それがまたケイトのかわいらしさをうまく引き出していて、おっさんにはたまらないものもあった。
こういうケイト・ブランシェットをみるのもいいものだ。

サプライズはジュディの入浴シーンか。
よくOKしたなあ。役者魂炸裂だ。

ラストは少しゾッとさせてくれた。
こんな変質婆の物語なんだったっけ。

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2008年02月29日

エリザベス:ゴールデン・エイジ−(映画:2008年20本目)−

エリザベス1エリザベス2
監督:シェカール・カプール
出演:ケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ、クライヴ・オーウェン、アビー・コーニッシュ、サマンサ・モートン

評価:75点

公式サイト

(ネタバレあります)
ケイト・ブランシェットの存在感や演技力ばかりが目に付いた一方で、作品としては起伏が少なく若干単調。
これではなかなか盛り上がれない。
主演がケイトでなければオオコケしていたんではないだろうか。

今年のアカデミー主演女優賞を獲った、マリオン・コティヤールの場合は、彼女の演技がエディット・ピアフそのものを感じさせてくれた。
だが、この映画からはエリザベス女王の生涯が感動的に描かれている、とかいうよりは、ケイト・ブランシェットって凄いなあ、としか思えない。
オスカーの差は、そんなところにもあったのかも知れない。

そうはいっても、ケイト・ブランシェットの迫力はやはり凄い。
あの強力な眼力で見据えられたら、どんな嘘も通用しそうになくて、とにかくゴメンナサイと謝るしかなさそうだ。

映画は、前作で、王女として生まれながら私生児の烙印を押され自らの運命を切り開いていく姿が描かれていたようだが見ていない。
今回の続編では、王女として黄金時代を築き上げ、スペインの侵略を跳ね返す様子が描かれてある。
同時に、ひとりの女性としての繊細な悩みがあったり、陰謀に巻き込まれそうになったりと、いくつかの細かいサイドストーリーも積み重ねられていく。
だが、いかんせんインパクト不足だ。
スペインとの海戦もそんなに盛り上がらないし、エリザベスが颯爽と鎧姿で馬に乗り軍隊を鼓舞するわりには、地上戦も見られない。

結論は最初に言ったとおり。
これがケイトでなければエライことになっていたところだろう。

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2008年02月19日

エディット・ピアフ 〜愛の讃歌〜−(映画:2008年17本目)−

ピアフ1ピアフ2
監督:オリヴィエ・ダアン
出演:マリオン・コティヤール、マノン・シュヴァリエ、ポリーヌ・ビュルレ、シルヴィー・テステュー、エマニュエル・セニエ、ジャン=ピエール・マルタンス、マルク・バルベ、ジェラール・ドパルデュー

評価:73点

公式サイト

「愛の賛歌」なんて若い頃には冗談としか思えない歌だったのに、この歳になってから聞くと「マジにええ歌やないか」と変に感動してしまったりするのだ。
さっそく図書館でCDを借りようと思ったら、しっかり予約が3人も入っていた。映画の影響がまだ続いているようだ。

ということでフランスの国民的歌手、エディット・ピアフの生涯を記録した映画。
「波乱万丈の人生」とはこういうものだと、この映画を見た誰もが納得するのではないか。
貧しい家庭に生まれ、父親の実家である売春宿で育ち、3歳から7歳までは目が見えず、ストリートで歌って日銭を稼ぐ毎日。
それがあるクラブのオーナーに見出され、そこからはトントン拍子にスターへの階段を駆け上っていく。
もの凄い声量で歌い上げる数々の曲は素晴らしい、と思っていたらマリオン・コティヤールは基本的にクチパクだったとか。
なるほど、映画の中で本物を聴いていたのならそれも納得。
ピアフはスターになってからも奔放でワガママな性格が禍し、トラブルにまきこまれどおし、最後は薬物中毒になって体はボロボロになってしまう。
ううむ、なんとかもうちょっとまともな人生は歩めなかったものか。
これだけムチャクチャやってもみんなに愛されたというのは凄いことかもしれないが、映画だけを見てると、個人的にはとてもお付き合いはしたくない人種であることは間違いない。

悲恋に終わったプロボクサーとの恋愛で彼の死が伝えられるシーン、幻と現実が融合していくところは凄みが感じられる演技だった。
事実がわかったときの衝撃が見ているこちらにも伝わってきてゾっとしたほどだ。
ところで、ピアフがなくなるときには小さなお婆さんのようになっていたので、てっきり80歳くらいだと思っていた。
日本で淡谷のり子が歌っているようなものなのかと。
ところがこのときはまだ47歳だったのだな。
人生を余りに濃密にハイスピードで生き抜いてしまったのだろう。

時系列が煩雑に入り組んでいて多少混乱するのが難点。
だけど、その素直な一生にはやはり感銘する。
とりあえず、CDを早く聴きたいのじゃ。

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2008年02月11日

アメリカン・ギャングスター−(映画:2008年13本目)−

アメリカンギャングスター1アメリカンギャングスター2
監督:リドリー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ、キウェテル・イジョフォー

評価:85点

公式サイト

(ネタバレあります)
デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウ。
なんともかっこいいこの組合せが、記憶に残るマフィア映画を作りあげた。
もちろん、監督がリドリー・スコットというだけあって、ひとつひとつの映像が妙に艶っぽいのも素晴らしい。

デンゼル・ワシントン演じるフランク・ルーカスは1960年代から70年代にハーレム・ギャングとして頭角をあらわした伝説の悪党。
東南アジアから直接ヘロインを仕入れ、それをベトナム戦争で戦死した兵士の棺に忍ばせて密輸。中間マージンを一切排除して、これまでの半値でしかも純度100%に近い高級ヘロインを売りさばいて、一気にNYに麻薬マーケットを築き上げた。
やっていることはもちろん悪なのだが、なんか凄腕の経営者を思わせるようなやりかたをみているとホレボレとしてしまう。
私が側近なら、ボ、ボスッ!どこまでもついていきますぜっ!という感じだろうか。

私の好きなゴッドファーザーシリーズとはまた一味違う、ちょっとドライな麻薬ビジネスの王で、なんとも魅力的だった。
こういう役柄が家族思いなのはいつものこと。
母親や兄弟を大切にする。が、紳士に見えて結構逆上型でもあったりして面白い。

デンゼルを追い詰めていく警官を演じているのがラッセル・クロウ。
最初はまったく見当ハズレの捜査を続けているのだが、一度フランクに目をつけると執拗で徹底的なマークでジリジリと追い詰めていく。それもフランクが全く気づかないうちにというのが凄い。
クライマックスの教会前でのにらみ合い。そして終盤になってやっとでてくる二人の丁々発止の取調べ。
ひええ、かっこいいがな。

デンゼルがあっさりと過去の罪を認めて警官の汚職をバシバシと明かしていったのは少々物足りなかったが、それも実話だといわれればまあ仕方がない。
それよりも「自分の信じたやり方を貫く、揺ぎ無いスタンスを持った男」というのはやはり美しいのだと認識した。
私が同じことをすればただのガンコな馬鹿者としてすぐに組織から排除されるだろうから、やる人間の器と言うものはもちろんあるのだろうけど。

ところで、ラッセル・クロウ。あの腹はどうしたんだ。
シンデレラマン兇任盪1討靴謄轡Дぅ廚靴燭曚Δいいんじゃないか、と他人事のように言ってみた。

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2007年11月25日

アポカリプト−(映画:2007年132本目)−

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監督:メル・ギブソン
出演:ルディ・ヤングブラッド、ダリア・ヘルナンデス、ラオウル・トルヒーヨ、ジョナサン・ブリューワー、モリス・バード、カルロス・エミリオ・バエズ、フェルナンド・ヘルナンデス・ペレス

評価:80点

(ネタバレあります)
劇場後悔しているときには気にも留めなかった映画。
しかし、この迫力ならば大画面で見たほうがよかったかもしれない。

それにしてもメル・ギブソン。どMなのか。
パッションといい、このアポカリプトといい、彼が監督する映画は見るものが痛さや恐怖を体感できるものばかりだ。
その圧倒的な生々しさが魅力なのだろう。私はちょっと苦手だが・・・。

舞台はマヤ文明後期の中央アメリカ。
平和な生活を続けていた部族に、マヤ帝国の傭兵が襲いかかり、村を焼き討ちにしてしまう。
部族長の息子であったジャガー・バウは、父を目の前で殺された上に、奴隷としてマヤ帝国に連れて行かれる。
マヤとかアステカとかインカとか、世界史はあまり得意ではなかったこともあり、どの時代にどの場所にどんな文明が栄えていたかは全く知らない。
そのために、奴隷をどんどんと生贄にささげ、その心臓をつかみ出したり、首を切り落として投げ落としたりする残虐さが本当かどうかはわからないところ。
でもまあ、強烈な生々しさだった。
生贄にささげられる直前の奴隷の視点の映像もあり、様々な工夫をしながらえげつなさはテンションをあげていく。
中盤から後半。ジャガーがマヤ帝国を逃げ出してからは命を懸けた鬼ごっこが始まる。
本物のジャガーを使ったというシーン、滝に飛び込むシーン、底なし沼にズブズブとはまっていくシーン。息をつく暇もない。素晴らしい躍動感と迫力だった。

一歩先に何がいるのかわからないジャングルをハイスピードで、しかも裸足にほとんど裸で駆け抜けるって凄く怖いこと。
あんなカッコなら、3メートル進むのも嫌だな。
まずはちゃんと靴を履いて、長袖長ズボンじゃないと草木で怪我するしね。帽子も必携。
あの時代の人々と比べると、我々のなんと柔なことか。

ジャガーは最後には逃げきるものの、海岸に白人達が大挙して船で押し寄せてくるところで映画は終わる。
攻める側であったマヤ文明は、西洋文明に滅ぼされる側にまわるということなのだろう。

140分と長尺だが退屈はしない。
エンタメ度も高い大作だ。点数がそこそこなのは好みの問題なのであしからず。

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2007年11月18日

蒼き狼 地果て海尽きるまで−(映画:2007年130本目)−

蒼き狼1蒼き狼2
監督:澤井信一郎
出演:反町隆史、菊川怜、松山ケンイチ、Ara、袴田吉彦、野村祐人、平山祐介、池松壮亮、保阪尚希、若村麻由美、松方弘樹

評価:50点

壮大なモンゴルの大自然の映像に40点。
CGを使わず、本物の人と馬で撮影したという迫力のある戦闘シーンに20点。
父と子の愛情と葛藤、出自へのコンプレックス、戦いの裏側にある女性達の悲しい運命のドラマチックな(そうでもないけど)の描写に5点。
菊川怜の演技に−10点。
反町某に−5点。
というところか。

Wikiによると、制作費が30億円。興行収入が14億円。
なんとも壮大な赤字だ。
これからDVD関連で少し回収して、テレビ放映でもうちょっと回収して、それでも黒転は無理でしょう・・・。
他人事ながら心配になったりして。

モンゴルの雄大さは十二分に堪能させてもらった。
チンギス・ハンの出自の秘密や、当時のモンゴルでの部族間の争いなど、知らないことも多かったのでそのあたりは興味深く見ることもできた。
味方にも裏切られ、数十人規模にまで縮小したテムジン=チンギス・ハンの一族が、モンゴルを統一し、金も破り、広大な地域を平定するというのはやはり凄いことだったのだと思う。
ただ、映画ではチンギス・ハンのそんな凄さが全く伝わってこなかったことが残念だ。
ドラマの書き方自体が薄っぺらいうえに、展開が安直で盛り上がりもないので時々画面から目を離しても何の問題も起きない。
パオの中で会話しているときなどは、音声を聞きながら雑誌の切り抜き等をしていたが、問題なく最後までついていけたくらいだ。

全く関係ないのかもしれないが、この映画を見ていて「音声拡大器」の重要性がよくわかった。
聞こえないものは伝わらないんじゃないか。
大聴衆を前にした感動的なスピーチ、なんて現実的には当時ありえなかったのだろう。

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2007年10月07日

あならになら言える秘密のこと−(映画:2007年114本目)−

秘密のこと1秘密のこと2

監督:イサベル・コイシェ
出演:サラ・ポーリー、ティム・ロビンス

評価:88点

公式サイト

美しく繊細な心理描写がとにかく素晴らしい。
静かに淡々と過ぎていくように見える物語のなかで、すこしずつ、閉じていたハンナ(サラ・ポーリー)の心が開いていく。
料理係のサイモンの作る料理に、食べものの美味しさを思い出し、海洋学者のマーティンの研究に興味を引かれ、そして、重症を負って目が見えず寝たきりの状態にあっても笑いを忘れないジョゼフの軽口にも反応できるようになる。

友だちを全く作らず、工場で淡々と単純作業に従事していたハンナ。
弁当はいつも、リンゴ半分とチキンと白米。潔癖症なのか、石鹸を大量に買い込み、いつも新しい石鹸で執拗に手を洗う。
耳が不自由で補聴器をつけているが、必要がないときはそのスイッチを切ったままにしている。
そんな彼女が工場長から休暇を進められ、しぶしぶやってきた港町で偶然看護師として臨時で働くことになったのだった。
ただ、働くところは海の上の油田掘削所。ヘリコプターでなければいけないその場所は、完全に孤立したひとつの小さな世界だった。
そこで、事故に会って全身にやけどを負ったジョゼフの看護をするハンナ。
名前さえ教えず、必要最小限の会話しかしなかったハンナが、徐々にジョゼフに心を開き、笑顔を取り戻していく様子は微笑ましい。
だが、「微笑ましい」などという言葉が一瞬で凍り付いてしまうようなハンナの秘密がラスト近くで明らかにされる。
彼女が何故心を閉ざしたのか。
その説得力のすさまじさ。
でもそれは、クロアチアという国で確かに行われていたことなのだろう。

ラストが心温まるものであったことと、重くなりがちな単純なストーリーにうまく笑を取り入れていることで映画のバランスが非常によくなっている。
サイモンの言動やアヒルのリサの映像が、無意味なようでいて効果的だった。

静かで、心に染みる秀作。
「死ぬ前にしたい10のこと」といい、この監督はいい映画をつくるなあ。


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オール・ザ・キングスメン−(映画:2007年113本目)−

キングスメン1キングスメン2

監督:スティーヴン・ザイリアン
出演:ショーン・ペン、ジュード・ロウ、アンソニー・ホプキンス、ケイト・ウィンスレット、マーク・ラファロ、パトリシア・クラークソン

評価:84点

公式サイト

ロバート・ペン・ウォーレンの小説「すべて王の臣」をロバート・ロッセンが1949年に映画化したもののリメイク。
リメイクとは知らなかったが、今日偶然、近くのスーパーマーケットの中の「DVD525円セール!」コーナーにロバート・ロッセンの映画を発見したのだった。
50年以上たって、リメイクしようと思った動機ってなんなんだろうか。
今回の映画からそれはわからなかった。

郡の汚職を告発して相手にされなかった田舎町の役人、ウィリー(ショーン・ペン)が、州知事戦に担ぎ出されるところから映画は始まる。
田舎の票を割るための道具でしかなかったウィリーだったが、一貫して貧困層の立場からの政策を激しく訴え続けて、ついに知事選で勝利を収める。
小さな田舎町での演説が、次第に熱狂的な聴衆を集めていき、知事になるときには大衆の圧倒的な支持を得ていく様子は見ごたえがあった。
ショーン・ペンの演説での演技は多少オーバーだったかもしれないが、政治家の演説そのものが演技なんだからこれくらいは許容範囲だろう。
そういえば、小泉元総理もアクションは結構派手だったよな。

清廉を売り物にして知事になったウィリーは、当たり前のように清濁併せ呑む政治家になり、自ら汚職に手を染める。
彼のことを新聞記事に書き続けてきたジャック(ジュード・ロウ)は、いつしかウィリーの側近となり、ウィリーのために人を動かすようになる。それが小さいころから父親代わりになってくれた判事(アンソニーホプキンス)であったり、親友のアダムであったりするところから様々な思いが交錯する。
物語の語り手であるジャックの心境は、比較的淡々と吐露されていて、いまひとつ感情移入できなかったのが残念。
判事との関係が判明したときも、初恋の彼女(ケイト・ウィンスレット)とのやりとりももっと激しくてもよかったんじゃないのか。
そうか、映画の中ではショーン・ペンを暴れさせているから、その分引き締め役にならなければいけなかったのか。

役者の演技に魅了されて楽しめる2時間だったが、ショーン・ペン演じる知事がいつのまに悪も必要だと言う考えに変わっていったのかがよくわからない。
清廉な政治家、なんていないということか。そういう政治のダークな部分を、もう少し丁寧に書き出してほしかった。
といっても、私だってサラリーマンを20年近くやっていると、仕事において「清濁併せ呑む」という考え方が当たり前のようになってくる。
ちょっと反省しよう。
ダメなものはダメなのだから。といってもなあ・・・。

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2007年09月17日

アーサーとミニモイの不思議な国−(映画:2007年103本目)−

アーサー1アーサー2
監督:リュック・ベッソン
出演:フレディ・ハイモア、ミア・ファロー、ペニー・バルフォー
声の出演:マドンナ、デビッド・ボウイ、ロバート・デ・ニーロ

評価:80点

公式サイト

(ネタバレあります)
リュック・ベッソンの新作がCGアニメというのには驚いた。
ひょっとしたら、アニメといっても「レオン」とか「ニキータ」みたいなハードボイルドアクションをやらかすんじゃないかと思っていたら、これは全くの子供向け冒険ファンタジー。
どこを探しても毒の欠片はなく、純粋に美しく楽しい映画に仕上がっている。
それでいいのかベンソン、という問いかけは別にして、素直に楽しめる映画だった。

アニメと言っても、半分は実写でそれを融合させている。
実写部分で主人公の祖母役を演じているのは、ミア・ファロー。
おお、懐かしい、ミア・ファロー。
「ローズマリーの赤ちゃん」を見に行ったのはいつのことだったか。
「カイロの紫のバラ」に出ていたころは、まだウッディ・アレンの奥さんだったっけ。
それがおばあちゃん役なのだ。
月日は確かに流れていくのだ。

ストーリーは、祖母と二人でコネチカット州の家で暮らしていた10歳の少年アーサーが、冒険家の祖父が残した手がかりを元に、ミニモイ族の国に隠された宝を探しに行くというもの。
ミニモイたちは、体調2ミリの大きさで、庭の地下で生活していた。
アーサー一家は、宝物のルビーを見つけなければ、2日後には借金返済のために立ち退きさせられてしまうのだ。
家が壊されればミニモイの国も壊されてしまう。アーサーはミニモイ族の姫と一緒に、悪の親玉、Mを倒して宝物を取り返すことになった。

よくできたCGには見慣れてしまったが、それでもやっぱり素晴らしい質感。
姫の声はマドンナ、悪役の声はデビッド・ボウイ。なんとも贅沢です。

長さも手ごろ。
実写とアニメの融合も全く違和感がない。
これからこんな映画も増えていくのかもしれないなあ。

そうそう、エンドロールが楽しくて秀逸。これだけで20点分。

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2007年08月30日

インビジブル2−(映画:2007年93本目)−

インビジブル2-1インビジブル2−2
監督:クラウディオ・ファエ
出演:クリスチャン・スレーター、ピーター・ファシネリ、ローラ・レーガン、デヴィッド・マキルレース、ウィリアム・マクドナルド

評価:72点

公式サイト

(ネタバレあります)
前作を観て、この映画も観た人のレビューをいくつか見てみると、結構辛口だった。まったく期待はずれのようだ。
なんでも予算が前作の10分の1になってしまったらしい。
そんな予算になってまで続編を取ろうとするスタッフの気合もよくわからんが、なんとか金のかかるCGを使わずに「透明人間がいる」雰囲気を出そうと知恵を絞っているところは好感が持てた。
なるほど、うむ、よく頑張っている。

しかし、観るほうに「よく頑張っている」などと半分同情されてしまうと、もはや映画としての価値も半減してしまうというもの。
見えない相手にどこから襲われるかわからないハラハラドキドキを味わうどころか、なるほどふうむ、それなら金をかけずに透明人間を表せるよな、なんて感心するほうに気持ちが行ってしまうのだから。

前作をみていないのでよくわからないのだが、確か前作では次第に体が透けていって透明人間になっていく様子が話題を呼んだのではなかったか。
今回も注射を打って透明人間になるシーンがあるが、最初は一瞬で透明になり、2回目は変身シーンそのものが省かれてしまっている。
透明人間が出てくるところは、ほとんどみんなひとり芝居でがんばっているようなものだ。
赤外線?カメラに映るところも、緑の人型だけで結構手抜きだったりした。

さらには、最強兵器として透明人間を開発したものの逃げられてしまい、彼を捕まえて殺そうとして失敗ばかりしているペンタゴンのバカっぷりはどうにかならんか。
そんなことでは世界の警察はつとまらない。

なんの驚きもない、普通の透明人間物語+ちょっとだけホラー、だった。
B級と割り切って楽しむならまあこんなのもありかも。

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2007年08月16日

オーシャンズ13−(映画:2007年87本目)−

オーシャンズ1オーシャンズ2
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、アンディ・ガルシア、ドン・チードル、バーニー・マック、エレン・バーキン、アル・パチーノ、ヴァンサン・カッセル

評価:90点

公式サイト

(ネタバレあります)
カッコええっっっ!
とことんお洒落でかっこよくて面白くて爽快。楽しかった。
いつもながらに豪華なキャスト。ひとコマに、ブラピとジョージ・クルーニーとマット・デイモンが揃ってるなんて贅沢すぎるよね。
それだけでもたまらんのに、アル・パシーノやアンディ・ガルシアといったソッチ系のファンにもたまらん人が十分に楽しめるんだもの。
エレン・バーキンだっていい味出してた。

ストーリーは極めて単純。
これをネタバレなしで書けというのが無理なほどだ。
アル・パチーノ扮するホテル王ウィリー・バンクに出資した、オーシャンズのメンバー、ルーベン・ティシュコフ(エリオット・グールド)が騙されて心臓発作を起こす。
ルーベンのために復讐を誓い、集まった仲間達があの手この手でバンクをやっつける、最後までただそれだけなのだ。
それだけのためにかける用意が半端じゃない。
狙いはホテルのグランドオープニング初日。
イカサマダイスを作るために、メキシコの工場にオーシャンズのメンバー自身が紛れ込んだり、スロットマシーンへの仕込みも、ルーレットへの仕込みも徹底してる。
相手も最新鋭の機器で対抗してくるのでこっちもドンドン話がでかくなってくるのだ。
普通には停電させられないと知って、掘削機でビルの真下にまで穴を掘って地震まで引き起こしてしまう。とにかくリベンジは徹底的にだ。

もうひとつの攻撃は、ファイブスターのホテル評価を得ようとやっきになっているバンクへの仕返し。
偽の調査員を必死で持ち上げるバンクに対し、本物の調査員はオーシャンズたちにひどい目に合わされる。
いやあ笑った笑った。
そのぶん10億円のスロットでお返ししてもらったんだから、あの調査員も結局よかったんだろうけどね。
このシーンもお洒落でかっこよかったなあ。

役者のセリフひとつひとつ、歩き方、音楽、すべてが計算しつくされた上質の豪華キャストコメディ。
実はそんなにド派手な事件は起きてないんだけど(誰も死なないしビルもい壊れない)、画面はいつも派手で、リッチなきもちで映画を見終われます。
もちろん気持ちだけだけどね、リッチになれるのは。

出演料が巨額になるのはわかるけど、続編やってほしいなあ。
ブラピもジョージも、このシリーズだけはボランティア価格で出演してくれないか。

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2007年07月23日

アドレナリン−(映画:2007年82本目)−

アドレナリン1アドレナリン2
監督:ネヴェルダイン 、テイラー
出演:ジェイソン・ステイサム、エイミー・スマート、ホセ・パブロ・カンティージョ、エフレン・ラミレッツ、ドワイト・ヨーカム、レノ・ウィルソン

評価:69点

公式サイト

(ネタバレあります)
これはまた下品なオバカが大爆発ですな。
これを劇場公開しようと決めた配給もとの担当者は、今頃社長からきついお灸をすえられているかも知れんな。
お灸をすえる、なんていつの時代の言葉だ。
「田中君っ!ちょっときたまえっ!」
「はい、社長なんでございましょうか」
「君が薦めた、あのアドレナリン、あれはなんちゅう映画なんじゃ!」
「ええ、ノンストップスタイリッシュアクションムービーで、結構人気なんですよ」
「なにがノンストップだ、主人公にモラルも何もなく、エログロ満載なだけじゃないか。おまけに心臓を止めないためにハイテンションで動き回るってわけがわからんじゃないか」
「いえいえ、動かなければ心臓が止まるという設定だからこそ主人公の無軌道な行動が共感を呼ぶのですよ」
「共感?中華街の真ん中でファックするのが共感を呼ぶのか?」
「社長にはないのですか、青姦願望が」
「あほかっ!青姦と公衆の面前でするのは全然違うわっ」
「青姦願望はあるんだ・・・。いえいえ、テーマは復讐なのです」
「何が復讐だ。だいたい殺し屋なのに最後で気分が変わったとかとかで任務を果たさないからトラブルに巻き込まれるんじゃないか、自業自得。それで毒薬注射されたら暴れまくるだなんてなんなんだそれは」
「だから、モラルへの挑戦がテーマなんですよ」
「嘘をつけ!自分が助かりたいだけのエゴがテーマじゃないのか」
「いえいえ、恋人を助けようとする純愛がテーマなんですよ」
「純愛とエロは違うぞ!」
「えっと、たぶん知り合いの医者との友情がテーマなんだと思うのですが」
「テーマはなんでもいいが、誰が見るんだこの映画。客入り悪すぎるじゃないかっ!」
「えっと、小学生の親子連れとか、初デートのカップルとか・・・」
「見るかっ!ボケっ!」
「えっと、ダイハード4.0と間違えたお客さんとか、ハゲマニアとか、ハゲフェチとか」
「おお、確かにハゲはいっぱい出てくるな」
「敵もハゲですしね。ハゲはやっぱりいいですね」
「うむ、ハゲはいい」
「で、社長。興行大赤字の予感がしているのですが」
「ま、ハゲだからいいよ」
「ありがとうございました」

個人的にはそこそこ面白かった。
周りに迷惑かけまくりのインモラル映画としてはなかなか。

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2007年05月26日

UDON−(映画:2007年61本目)−

UDON1UDON2
監督:本広克行
出演:ユースケ・サンタマリア、小西真奈美、木場勝己、鈴木京香、小日向文代、永野宗典、要潤、トータス松本

評価:75点

公式サイト

(ネタバレあります)
やっぱ「ソバ」より「うどん」だよな。
それも透き通るような汁の関西風うどんじゃないとあかん。
こっちのうどんの汁は真っ黒で醤油臭くて体に悪いだけやから。
え、うどんなら大阪より讃岐のほうがうまいんじゃないかって?
うーん、大阪のうどんと讃岐うどんは別もんとちゃうかなあ。
大阪のうどんは、讃岐風にいうと「あつあつ」が基本。讃岐とちゃうところは、あそこまで「手打ち麺」にこだわってへんとこかな。
讃岐は必ずできたての「手打ち麺」。
ま、普通に考えたらそのほうがうまいわな。
あとはいろんな食い方があるところもちゃうよな。
「かまたま」とか「醤油」とか「ひやあつ」とか「ぶっかけ」とか。
あ、讃岐うどん食べたくなってきた。
んー、たまえらんぞ、ハナマルにいかなきゃ!

映画はそれほど「讃岐うどん」が食べたくなるというものでもなかった。
実家の製麺所をつがずに、世界で通用するコメディアンになりたいと単身NYにわたったユースケが、挫折して香川に戻ったところから物語は始まる。
「頑固な親父とユースケの父子の葛藤」と「讃岐うどんブームを作り上げていくタウン誌の盛り上がり」という2つの物語を交錯させながら、親子の愛情と夢を追う若者たちの想いを同時に描ききろうとしているのがよくわかる。
だけどちょっと欲張りすぎたんじゃないか。
2時間15分という長い映画になったにもかかわらず、残念ながら強い感動にまでは至らなかった。
愛情も夢を追う姿も中途半端。
そもそも「うどん」という題材に限界があったのかもしれない、なんていうと「うどん」に対して失礼か・・・。
でも「うどん」だもんなあ。
うまいし、好きだけど。

登場人物はかなり個性的で演技もうまく、コネタも効いている。
要潤もも笑わせてくれるし、って思っていたら香川県出身だったのか。
鈴木京香は抜群にうまくて、いつの間にか演技に貫禄がでていた。
ユースケや小西真奈美はこんなもんだろうな。

それにしても、何故香川県でここまで「うどん」が定着して県民食になったのだろう。不思議じゃ。

あ、やっぱりうどん食いたくなってきた。

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2007年05月15日

インターメディオ−(映画:2007年56本目)−

インター1インター2
監督:アンドリュー・ロウアー
出演:エドワード・ファーロング、スティーヴ・レイルズバック、セリーナ・ヴィンセント、アンバー・ベンソ

評価:41点

エドワード・ファーロングって、どっかで聞いた名前だ。
そう思いながら映画を見ていたが最後まで思い出せなかった。
思い出せなかったというよりは、途中から映画のあまりの酷さに呆然としてしまい、爪を切ったり、本棚を整理したりしながらの完全な「ながら鑑賞」状態に突入してしまったのだ。
今から思えば「ながら鑑賞」さえ時間が勿体無かった。
腹筋運動しながら本でも読んでいればよかった。
まだ、みのもんたの出るテレビのほうがマシかもしれない。(深夜にみのもんたはでてないけど)

驚きは映画の酷さだけではなかった。
エドワード・ファーロングって、あのターミネーター2に出ていた少年だったのか!
なんなんだ、あの生気のない顔は。
なんなんだ、ブヨブヨとした体と鈍い動きと情けない役柄は。
紅顔の美少年はブサイクでいじけた内気なオッサンになってしまった。
Wikiによるとドラッグとアルコールに溺れていたらしい。
リバーフェニックスみたいに死んでしまわないだけよかったと思うしかないな。
マコーレ・カルキンと違って一応こんな作品でも復活したんだし。

ここまで映画の粗筋を書いていなかったが、そんな必要もないほど酷かった。
父親達が遭難した洞窟で麻薬取引を行うこととなった4人組。
彼らを洞窟で待ち構えていたのは、この世とあの世の境目を彷徨う霊たち(インターメディオ)だった。
逃げまくる4人+2人(ひとりはすぐに死んでしまうが)を襲う暗闇と閉所の恐怖。
だが、その恐怖のもとはなんだかとてもチープなCG。随分と前に「ゴースト」にこんな幽霊ってでてこなかったっけ。
21世紀なんだから、もうちょっとなんとかして欲しいもんだ。
種明かしもろくなものではないし、洞窟もいかにも金がかかってない感じ出し、ヒロインが太めなのはファーロングのデブっぷりが目だたないようにするためだって丸わかりだし。
80分という短さだけがこの作品のとりえだろう。
これが120分なら確実に途中で見るのをやめている。ながら鑑賞も不可能だ。

最初の風景映像はかっこよくて期待できたんだが・・・。

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2007年04月14日

アルゼンチンババア−(映画:2007年45本目)−

アルゼンチンババア1アルゼンチンババア2
監督:長尾直樹
出演:役所広司、鈴木京香、堀北真希、森下愛子、小林裕吉、手塚理美、田中直樹、きたろう、岸部一徳

評価:70点

公式サイト

(ネタバレあります)
何が起こるんだろう、これからいったいどうなるんだろう、と思っているうちに映画が終わってしまった。
ストーリーを振り返ってみれば、何も起こらなかったというわけではないのに、なぜか全て地味で、淡々と過ぎてしまう不思議な映画。
その非日常の不思議感覚がこの映画の見所といえば見所なんだろう。

冒頭でいきなり母親役の手塚理美が死んでしまう。
私が大学一年生(21年前)のとき、サークルの先輩が手塚理美ファンだった。さすがに随分と老けたなあ、などと思うほどの出番もなかったけど。
残されたのは父親の役所広司と娘役の堀北真希。
そして、役所は母親の葬儀も終わらないうちに失踪してしまうのだ。
役所の演技はさすがのうまさ。ひとりだけ違うレベルを歩いているようだった。
とにかく情けない父親の役で、失踪といいながら、アルゼンチンババア(鈴木京香)の家に住み着いて帰ってこない。
俺が娘なら、さっさと親子の縁を切って家も全部売却して他の場所でひとりで生きていこうとするだろう。
でも優しい堀北真希ちゃんは、「きっと帰ってくるから」と、冷蔵庫にビールを入れたまま、父親の帰りを待つのだった。

映像がとても綺麗だ。
とくに、アルゼンチンババアのお屋敷周りでは油絵を見ているような感覚に陥る。
さらに森下愛子がとってもかわいらしい。堀北真希ちゃんもいいが、私は断然森下愛子だ。あんなママがいるスナックなら通い詰めたいくらいだぞ。

それ以外はあんまり見所のない、というか掴みどころのない映画だったなあ。
妻と死別してからすぐに、他の女との間に子供を作っておいて「癒し系映画です」って言われても、ちょっと困惑である。

どうでもいいが、石って重いぞ。
堀北真希。かわいい顔して、自転車さえ漕げないほど草が生い茂った道を、よくもまああんなでかい石をリヤカーで運べたもんだ。
実は怪力だったのだ。
佐々木ファミリー入り決定である。

さらにどうでもいいが、アルゼンチンババアがババアに見えないよ。

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2007年01月19日

硫黄島からの手紙−(映画:2007年7本目)−

硫黄島1硫黄島2







監督:クリント・イーストウッド
出演:渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、加瀬亮、松崎悠希、中村獅童

評価:72点

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(ネタバレあります)
何が凄いって、これだけ日本人がワラワラと出てくる映画が洋画であって、監督がクリント・イーストウッドということだ。
良くぞまあ、役者たちの微妙な台詞回しまできちんと作れたもんだ。
渡辺謙をはじめとする俳優たちがうまかったということもあるだろうけど、イーストウッドの映画にかける熱意というか、この戦争を撮りきりたいという想いみたいなのもが伝わってきた。

恥ずかしながら、私は硫黄島の決戦について詳しいことも知らない。
一度くらいはどこかで聞いたか、何かで読んだかもしれないが、日米にどれくらいの兵力の差があって、日本軍がどれほど抵抗をして、結果としてどんな悲惨な戦闘になったか。
この映画をみて、ようやくきちんと知ったくらいだ。
本当なら日本人が日本人のために作らねばならない映画。
ひたすら悲惨でどうみても勝ち目のない戦いを、天皇陛下万歳と叫びながら戦わねばならなかった。そんな戦争の現実をきちんと伝え、そんな戦争のなかの兵士たちのモチベーションが家族であったことを伝える映画。
それをイーストウッドに作ってもらっているようじゃダメじゃないのかえ。

それは置いておいて、負け戦を必死で戦う日本軍の姿が淡々と映され、物語は進んでいく。
手榴弾を腹に抱えて自爆するような戦場の狂気が描かれると同時に、パン屋の主人として、妻子のもとに生きて帰りたいと思うごく普通の人間としての感覚が二宮によって伝えられ、そのアンバランスさが現場の異常さを際立たせていく。
ここらあたりは非常にうまい。
うまいが、あまりに二宮の役柄が普通の兄ちゃんすぎて、違和感も度を過ぎるというのか、居心地が多少悪かった。
もうひとつ言えば、渡辺謙演じる栗林某と言う偉い兵隊も、伊原剛志演じるバロン西も、加瀬亮演じる憲兵隊崩れも、みんないい人すぎるぞ。
いろんな人がいていいんだろうけど、いい人が多すぎて、軍隊のイメージに合わないのじゃ。
彼らの存在によって二宮のインパクトは随分弱まってしまった。
まあいいのか。あれはあれで。
唯一、中村獅童だけがいつもどおりだった。
私生活も竹内結子をイジメまくって、映画の役柄どおりのズルイ男なのに違いない!(偏見です)

父親たちの星条旗(同じ硫黄島の戦いを米兵サイドから見た映画)は見てないけど、まあいいか。

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2007年01月07日

エラゴン 意思を継ぐ者−(映画:2007年2本目)−

エラゴン1エラゴン2







監督:シュテフェン・ファンマイアー
出演:エド・スペリーアス、レイチェル・ワイズ、ジェレミー・アイアンズ、シエンナ・ギロリー、ギャレット・ヘドランド、ジャイモン・フンスー、ジョン・マルコヴィッチ、ロバート・カーライル

評価:68点

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(ネタバレあります)
「エラゴン 遺志を継ぐ者」(ERAGON)は、1993年に発表されたクリストファー・パオリーニによるファンタジー小説。ドラゴンライダーシリーズの1作目。(by WIKIPEDIA)
えらいこっちゃ、シリーズものなのか。
いったいどのくらい続ける気だろう、と思って調べてみたら三部作のようだな。
そうか、あと2回か。まあいいか。

農村の少年が努力と根性と才覚と運で運命を切り開き、全国区の英雄になるというストーリーは、豊臣秀吉と同じだ(違うだろ)。

この映画の主人公、エラゴンは(凄い名前だ、何故にドラゴンと韻を踏む必要があるのだろう)、ドラゴンを操って空を飛び回るが、豊臣秀吉も織田信長というドラゴンを乗りこなして天下統一への足がかりを作っていった。やっぱり同じだ(違います)。

エラゴンは選ばれた人間として、本能で魔法を使うほど優れているが、豊臣秀吉も「懐草履温め攻撃」という技が使える。ここもよく似ている(違うんじゃボケ)。

ドラゴンの卵を拾ったときは、まだまだお馬鹿な少年だったエラゴンは、敵との戦闘の中で少しづつ成長し、真の英雄にと変わっていく。「功名が辻」で豊臣秀吉を演じていていた柄本明も、最初は頬の赤いサル顔だったのに、後半では見事に太閤殿下へと変わっていった。

ということで、これはファンタジーの名を借りた、戦国立身出世物語だったのに違いない。

生まれたばかりのドラゴンはかわいいし、ドラゴン目線で空を飛び回るシーンや戦闘シーンの迫力はなかなか。
しかし、それ以外にこれといった売りもなく、主人公のモチベーションも何に支えられているのか、いまひとつ伝わってこない。
他のファンタジー映画によく見られるような、あまりに人物の内面を掘り下げて暗くなるのも困るが、「ファンタジー映画という概念」の表面をさらりと撫でたような、こんな映画もどうなんだろう。
決して面白くなかったわけではないけれど。

次回作ではマルコビッチと全面対決になるんだろうな。
原作を読んでいないので知らないが、強烈なサプライズが欲しいところだ。ドラゴンの数がガンガンと増えて、千匹単位のドラゴン全面戦争で、そこに魔法技が飛び交うような豪快な対決とかどうだろう。
どうだろうと言われてもなあ・・・。

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2006年12月16日

王の男−(映画:2006年149本目)−

王の男1王の男2







監督:イ・ジュンイク
出演:カム・ウソン、イ・ジュンギ、ユ・ヘジン、チョン・ジニョン、カン・ソンヨン

評価:90点

公式サイト

(ネタバレあります)
20世紀最大の暴君、とはピーターアーツのことだが、こちらは朝鮮史上最悪の暴君と言われた燕山君(ヨンサングン)時代(16世紀?)の物語。
映画を見るかぎり、言われているほどの暴君でもなかったような気もしたけどなあ。
スカートに頭をつっこんだり、おっぱい吸ったり(といっても胸をはだけるシーンは一度も出てこない)の赤ちゃんプレイに興じるマザコンであって、芸人たちの演劇にはすぐにのめりこみもする。
純粋培養で感情の抑制が効かないおこちゃまなのだが、よく言えば非常に繊細で感受性の強い王だったのだ。
母を幼くして亡くし(毒殺され)たことや、常に先代の王と比べられることで劣等感を味わい、実務面では官僚達に牛耳られてしまい、これでは宴に興じる愚かな王になるしかない。
そんな王に王らしくなってもらうため、そして、宮廷の腐敗した貴族達を一掃するために、王の側近が宮廷に呼び込んだのが芸人一座だった。

芸人たちの演じる芸は見事なものだ。
アクロバティックな演技の数々も見ていて楽しいが、なんといっても風刺に満ちた演劇とコミカルな仕草には素直に笑わされてしまう。
ドギツイ、というかベタなシモネタも楽しいのだ。
いつの時代も、どこの国でもシモネタって共通の笑いなんだなあ。

宮廷で暮らすことになった芸人達は、宮廷内の数々の陰謀や欲望に振り回されていく。
主人公の芸人、チャンセン(カム・ウソン)と女形のコンギル(イ・ジュンギ)の運命も時代に弄ばれるが、最後まで二人の友情(なのか恋愛なのかわからんが)は、揺ぎ無い姿を見せてくれた。
ラストの綱渡りシーンなんて、泣けてくるぞ。
「俺は生まれ変わっても芸人になるぞ」「私も生まれ変わっても芸人になりたい」というシーンでは人間としての誇りが染み出ていたように思う。

イ・ジュンギは美しい。
男でもない女でもない中世的な妖艶さは、あれほどオカマ嫌いの私の眼でさえひきつけてしまう。
うーん、凄いなあ。
それに肉体を感じさせるいやらしいシーンがないのもよかったのかも。
王に最後にはキスされたけど、そんな違和感がなかった。

煌びやかな衣装も見所のひとつだろう。
それにしてはいつまでたっても芸人達が汚いのが気になった。
風呂ってなかったのか。せめてタオルで体を拭くだけでも随分と違うだろう。コンギルだけがいつも美しくて不自然すぎる。
コンギルはどこで風呂に入ってひげを剃っていたんだろうか。

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2006年11月12日

アンジェラ−(映画:2006年138本目)−

アンジェラ1アンジェラ2







監督:リュック・ベッソン
出演:ジャメル・ドゥブーズ、リエ・ラスムッセン、ジルベール・メルキ、セルジュ・リアブキン

評価:75点

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(ネタバレあります)
なんだ、てっきり自分探しの映画で天使は幻だとずっと思っていたのに、ほんとにいたのか・・・。しかもラブ・ストーリーだったとは。
ドタバタのラストはラブコメ映画のオチそのものだったし。

リュック・ベンソンには何の思い入れもない。
ひょっとしたら彼がこの映画に込めた思いというのがあるのかもしれないが私にはよくわからない。
なぜモノクロになっているのかも、ベンソンファンならわかるのかもしれないが私には謎だ。
モノクロは光と煙が美しく映るから、やたらとヒロインがタバコを吸っていたことに関係あるのかも。それに、パリの風景を幻想的に見せることには成功していた。
綺麗な映像だった。
エッフェル塔って、夜はあんなに点滅して揺れるように輝いているのだ。
でも、カラーで撮っても別にいいような気がしたなあ。

さて、ストーリーはかなり単純。
NYからパリに出てきたアンドレは、事業に失敗し借金を抱え、嘘ばかりついて生きている小さな男。
借金のせいで命まで狙われることになり、いよいよ死のうと橋げたに立ったところ、同じ場所に金髪の美人がいた。アンドレより先に川に飛び込んでしまった彼女を助けようとアンドレも飛び込む。
彼女の名はアンジェラ。無我夢中で彼女を助けたことから、アンジェラとアンドレは行動を共にすることになり、アンジェラの不思議な力で、アンドレの生活は徐々に変わり始めた。

アンジェラは最初から天使と言う設定。
だから不思議な力をどんどん使うし、金もどこからか生み出してくる。
アンドレに説教を重ねながら、彼が自分の姿をしっかりと見つめ、正しく生きるように矯正していく。
そしてアンドレが自分の力で生きていくことができるようになったとき、アンジェラは天界に帰ることになったのだった。

うーん、捻りもなにもなく、かなりストレート。
ずっとアンジェラはアンドレの妄想だと思っていたのだが。
アンジェラが消えた後アンドレはアンジェラのことを思い出すこともない。そして、ビジネスで成功して街を歩いているアンドレの頭の上に、なぜか天から羽が一枚落ちてくる・・・、なんていうラストかなと予想してたがまったく違った。
結局、ファンタジー+ラブストーリー+自分探し物語ということだ。
映画全体の雰囲気は嫌いではないけどね。
でも、アンドレが天使から選ばれたのはなぜ?

アンドレ役のジャメル・ドゥブーズ、どこかで見たと思っていたらアメリの果物屋の店員だったのか。
片腕がないのは演技だと思っていたが、実際そうらしい。フランスでは売り出し中のコメディアンだとか。少年隊のかっちゃんってこんな顔でした、確か。
ヒロイン役のリエ・ラスムッセンはもとグッチの専属モデルというだけあって手足が長く抜群のスタイル。そしてでかい。
ユマ・サーマンとタッグを組んで、WWEでデビューしてはどうかいな。

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2006年11月02日

トリスタンとイゾルデ−(映画:2006年134本目)−

トリスタントイゾルデトリスタン2







監督:ケヴィン・レイノルズ
出演:ジェームズ・フランコ、ソフィア・マイルズ、ルーファス・シーウェル、デヴィッド・オハラ、マーク・ストロング、ヘンリー・カヴィル

評価:78点

公式サイト

(ネタバレあります)
ダメダメダメ、許されぬ恋ならもっと周囲をよく見なさいって。

「ロミオとジュリエット」のモトネタにもなったという悲恋物語。
ローマ帝国崩壊後にアイルランドの支配下にあったイングランド。アイルランドの王女、イゾルデはイングランドの王の1人、マーク王に嫁ぐことになるが、そのマーク王に育てられた騎士、トリスタンと愛し合う関係だったのだ。
イギリスにそんな時代があったのだなあ。
世界史を良く知らない私にはそれも驚きだった。
それはともかく、これはどういう関係だ。

1.朝青龍の娘が、白鳳に嫁ぐが、白鳳の付け人が、彼女を寝取ってしまった。怒った朝青龍は・・・。
2.吉野家の社長令嬢が、松屋の若旦那と政略結婚するが、松屋のバイトの兄ちゃんとできてしまった。BSEのせいなのか。
3.カツオはカオリちゃんが好きなのにいつも花沢さんにジャマをされてうっとおしく思っていた。でもそんな花沢さんの男っぷりに惚れた中島が花沢さんとできてしまうと、急に花沢さんのことが気になるカツオであった。

どれか選べと言われても・・・(3は違うな)。

1500年前にケルトの伝説として誕生し、アーサー王伝説の一部として語り継がれてきた物語だけあって、オーソドックスながらも非常に重厚なストーリー。衣装も音楽も戦闘シーンも、きちんと作りこんであって好感がもてる。
でも、なんだか感情移入ができないんだよな。
舞踏会の最中に物置?で乳繰り合うなよ。
マーク王が側にいるのに、こっそり手を握りあったりするなよ。
お前らはバカなのか。リスク管理ができないのか。
せめて遠く離れた森の中とか、まあ、昔だからどうにもできないのだろうけど。
街中で手を握るシーンなんて、手首を切り落とされているマーク王の人格を踏みにじっているようで見るに耐えなかった。
トリスタンは自分の気持ちを制御できないのならとっととイゾルデを連れて逃げるべきだったのだ。
そんなことを言っては悲恋物語にはならないのだけど。

でもまあ伝説の物語だから、これでいいのでしょう。
典型的ないい人だったマーク王は、生き延びて国を守ったようだしね。
だが、残念ながら切なさ度数は非常に低い。
これでは悲恋物語として見る価値があまりないのではないか。

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