映画:か行

2010年09月23日

グラン・トリノ-映画:2010-

グラントリノ1グラントリノ2

監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ビー・ヴァン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー

評価:85点

おんとし78歳ながら、監督・主演で頑張る爺さん、クリント・イーストウッド。
街で悪さをする若造たちに凄みを利かせるのはいいのだけれど、どうも足元や呂律に安心できず、いつ逆襲を受けるだろうかと密かにハラハラもしたのだった。

朝鮮戦争の帰還兵で、元自動車工。偏屈な頑固者で、近所の人たちとも子供・孫たちともうまくいっていない。
家においてあるビンテージ・カー、グラン・トリノが宝物のこの爺さんは、冷静に見れば結構な厄介者なのだが、ある出来事がきっかけで、隣に住むモン族の一家と交流が始まる。そこに住む少年タオに様々なことを教えて、彼を少年から男へと育てるのと同時に、自分の心に暖かいものを取り戻していく。
と、ストーリーを書いてみると結構ありきたり。
ダイナミックな展開もなく、静かに物語は進んでいく。
それでも、画面から緊張感がたっぷり伝わってきて退屈しないのは、イーストウッドの渋い演技と存在感のせいなのだろう。

古き良きアメリカの価値観が崩れ、何を信じて進んでいけばよいのかよくわからなくなっている現代。資本主義の効率性を押し進めてみたところで、リーマン・ショックが起こったりもする。
経済にいら立ち、家族にいら立ち、若者にいら立ち、移民にいら立ち、宗教にいら立つ偏屈な爺さんの苦悩は、アメリカのイライラそのものなんだろうかとも感じた。

後は何と言ってもラスト。
最後まで、どちらを選択するのかわからなかったけれど、終わって考えてみればこれしかないよな、確かに。

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2010年09月05日

鴨川ホルモー<映画:2010>

ホルモー1ホルモー3

監督:本木克英
出演:山田孝之、栗山千明、濱田岳、笑福亭鶴光、荒川良々、石橋蓮司他

評価:85点

原作はずいぶん前に読んでいたけれど、そのイメージがほぼ壊されることなく映画化されていて楽しめた。
鶴光の解説はいらないのでは。懐かしくはあったけれど。

京都大学、立命館大学、京都産業大学、龍谷大学によって、京都に千年伝わる競技、“ホルモー”が行われているという、よくわからん設定なのだが、そのサークルに勧誘されてホルモーが始まるまでの胡散臭さと、実際にホルモーに巻き込まれてからのドタバタは理屈抜きに楽しい。ちょっとした青春恋愛物語の味付けもあって、これがおまけのように思えるのだけれど、主人公を動かすエネルギーのほぼ全てがこれなのだから始末が悪い。

鬼のCGは違和感なかったし、鬼語を発しながら奇妙なポーズで走り回る試合もそこそこ盛り上がっていた。

個人的には、荒川良々が1位、京都の風景が2位、栗山千明のツンデレが3位、京大吉田寮が第4位、濱田岳の情けない演技が第5位、というところ。
荒川良々はあまりにインパクトが強くて、何をやっても荒川良々に見えてしまうのだけれど、それでいいんだと思わせる説得力が凄い。
吉田寮には入ったことはないけれど、今はなき吉田西寮に友人が住んでいて、そこにはよく遊びに行った。建物全体から酸っぱい匂いがして、床にも柱にもよく油が沁み込んでいたように思う。まさに映画にでたような感じだった。懐かしい。

ということで、京都に縁やゆかりが少しでもある人はがっつり楽しめると思う。そうでない人も、気合を抜いて、どうでもいい気持ちでダラダラみるときっと笑えます。

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2009年12月29日

カールじいさんの空飛ぶ家−(映画:2009年鑑賞)−

カール1カール2

監督:ピート・ドクター
声の出演:エドワード・アズナー、ジョーダン・ナガイ、ボブ・ピーターソン、ジョン・ラッツェンバーガー、エリー・ドクター、ジェレミー・リアリー、クリストファー・プラマー

評価:80点

評判の高さにつられてついつい鑑賞。
さすがにいい映画だったが、心揺さぶるというところまではいかないかな。
少年時代のカールじいさんが、エリーと出会い、結婚し、二人で老いていく様子が最初の10分あまりに中に凝縮してでてくる。
この映像が素晴らしい。過不足なくヒタヒタと押し寄せる感動。決して押し付けがましくなく、静かにしかし心の奥のほうまで確実に染み入ってくるのがよくわかるような感動。これでもう十分なくらいだった。
もちろん物語りはそこからが始まりで、エリーとの思い出が詰まった家を風船たくさん括りつけて飛ばしてしまい、エリーの夢であった幻の滝のそばまで家を運ぼうとするカールじいさん。
そこにボーイスカウト少年の成長物語を交え、一気にドキハラアドベンチャーに突入していく。
かつての憧れの冒険家があっさりと悪役に転向しているところはどうかと思ったが、まあよくあるパターンだという一言でかたづけてしまおう。
犬が話すという設定や、とぼけた味がかわいらしい怪鳥の存在も楽しかったし、間抜けな少年がしっかりと成長していくところもお約束どおり。お約束すぎて、少々物足りなかったかもしれない。それもこれも序盤が素晴らしすぎたためだろう。いえ、決して悪い出来ではないと思うのだが。

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2009年09月21日

ウルヴァリン:X-MEN ZERO−(映画:2009年)−

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監督:ギャヴィン・フッド
出演:ヒュー・ジャックマン、リン・コリンズ、テイラー・キッチュ、ダニエル・ヘニー、スコット・アドキンス、リーヴ・シュレイバー

評価:80点

ロマンスも少しは出てくるものの、基本的には男臭い映画。こういうのも結構好きだ。
X−MENシリーズのエピソードゼロということで、ローガンがいかにしてウルヴァリンになったかという物語。
スタートが1800年代であったのも驚いたが、ミュータントとして南北戦争や世界大戦で活躍していたとは。
いくら戦うことに背を向けて静かに生きていこうとしても、敵も味方もそれを許してくれないのはこの手の映画の王道。愛する人を殺され、その復讐心に燃えたウルヴァリンは、全身に超金属アダマンチウムを注入されて最強兵士へと生まれ変わる。

豪快なアクションに加え、二転三転していく展開が適度に緊張感を生み出して観るものを飽きさせない。それでも全体を通じて暗い負のエネルギーはずっと渦巻いているので、まあ好き嫌いはでるでしょう。
個人的にはOKです。ヒュージャックマンの全裸疾走シーンとか笑えたし。

エピソードゼロ的物語と言っても、前作も前々作もあまり覚えていないため感動が少なかったのが残念。
復習をしてから見れば、様々なつながりがわかってよかっただろうけど。

それにしてもヒュージャックマンの肉体は凄い。
身長188センチであの肉体なら、プロレスラーになれる。
1968年生まれの40歳。日々節制し鍛えているのだろうなあ。俺も鍛えよう!

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2008年12月29日

紀元前1万年−(映画:2008年67本目)−

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監督:ローランド・エメリッヒ
出演:スティーブン・ストレイト、カミーラ・ベル、クリフ・カーティス

評価:62点

狩猟民族から農耕民族への移り変わりを描いた110分。
やっぱり地道に農作物を作ったほうが生活は安定するのだ。狩猟は闘争本能を満足させるけど、家族を養うのには向いていない。
ええと、そんな話ではありません。
いえ、少しはそんな話でもあるのですが。

紀元前10000年。マンモスを狩って食料としていたある部族が他の部族に襲われる。
馬に乗って現れた彼らは、様々な民族の集落を襲っては人々を捕らえ、奴隷として神殿に連れて行く。そこでは、多くの奴隷とマンモスを使って、支配者のためのピラミッドが作られていた。

ということで、主人公は大切な女性を奪われたために、彼女を追って神殿にまでたどり着く。
そこまでには仲間が捕らえられたり、サーベルタイガーに食われそうになったり、ダチョウのような恐竜に襲われたりと、まあいろいろあるわけだ。
前半で一度、ラストでもう一度、マンモスがメインで走り回るシーンがあるけれど、このCGはど迫力。金がかかっているのをヒシヒシ感じた。ピラミッド作成シーンも、どこまでCGかはわからないがばかばかしいほど壮大でいい雰囲気が出ていた。
だが、見所はこのあたりだけ。
ご都合主義のストーリーが強引に展開されていくのはまあいいが、もう少しは盛り上げられることもできたんじゃないか。ボスキャラが弱すぎてあれではどうにもならん。

主人公たちが英語ペラペラであることについて最も多くの突っ込みが入っているようだが、そのほうが映画は見やすいし、きちんとした時代考証による歴史もの映画というわけでもないだろうからそこはあまり気にはならない。
それよりせっかく金をかけたのなら、もっとスリリングなロマンスアドベンチャー映画として脚本を練って作るべきだろう。

ヒロインのカミーラ・ベルは綺麗です。とても。

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2008年11月25日

彼が二度愛したS−(映画:2008年62本目)−

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監督:マーセル・ランゲネッガー
出演:ヒュー・ジャックマン、ユアン・マクレガー、ミシェル・ウィリアムズ、リサ・ゲイ・ハミルトン、マギー・Q

評価:78点

なんだか昔懐かしいきっちりとしたサスペンス映画という感じだ。
真面目だけがとりえのような会計士が罠に嵌って落ちていく様子や、いかにも裏がありそうな美味しい話の連続。
エロチックな描写や、大金の不正送金、誘拐、殺人、(想定内の)思い切ったどんでん返し。
それぞれを細かく話すと、全部ネタバレに直結してしまいそうで、あらすじなんて書けない。

悪く言えば、いまどき何を狙ってこの映画を作ったのかよくわからない。
小道具に携帯電話の取り違えというネタを使ったところで現代っぽくなっているが、身分詐称というか他人への成りすましがあんなに簡単にできるわけもない。会社へ潜入するにしてもセキュリティが甘すぎる。
偽造パスポートも作りまくりだ。

最近のスパイ映画なら、このあたりはハイテク機器を駆使した映像をくっつけて信憑性を高めるところなのだが、この映画はそんなことはしない。
「機械いじりの場面はいらない。そうなっているのだからいいのだ」というある意味潔ささえ感じるような作りかただ。
一方で、ヒュー・ジャックマンとユアン・マクレガーの演技はさすがにうまい。
ユアンの安定感、ヒューのかっこよさ、それがうまくミックスされて画面を見ているだけで楽しくなってくるのだった。
ミシェル・ウィリアムズも綺麗だったしね。
そういった役者の演技が織り成す緊張感・楽しさを前面に出したかったというのなら、多少の突っ込みどころや展開の陳腐さはまあ許容範囲というところだろうか。
もうひとつ言えば、見終わった後の気分がわりといいのも、こういった昔ながらのサスペンスのいいところなんだろうな。

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2008年09月02日

崖の上のポニョ−(映画:2008年47本目)−

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監督:宮崎駿
声の出演:山口智子、長嶋一茂、天海祐希、奈良柚莉愛、土井洋輝、柊瑠美、矢野顕子、吉行和子、奈良岡朋子

評価:80点

よくできたファンタジーと言い切るには、謎が多すぎる作品。
それでもポニョのかわいさにごまかされている?うちに、結構幸せな気分のまま見終えることができた。
ただ、観客動員が1000万人を超えたというのはどうなんだ。
日本人の13人に1人がこれを劇場に足を運んで鑑賞しているという事実には驚かざるを得ない。本当にそれでいいのか。いいのかといっても現実なんだよな。
んー、時代が癒しを求めているのか、それともポニョポニョという歌が耳について離れない人たちが洗脳されたかのように劇場に向かってしまったのか。

人間であったフジモトという謎の生物とでっかい人魚姫のような女性の間に生まれた魚の子、ポニョ。
フジモトから逃げ出し、5歳の人間の子供、コウスケに拾われる。
コウスケのことを好きになったポニョは、フジモトに連れ戻された後も魔法の力を使って人間の子供に変身し、コウスケのもとに戻ってきたのだった。
ポニョが人間になるための試練に加えて、嵐がコウスケの住んでいる街を襲うシーンが重なりスリリングな展開を見せ、最後は予定調和の大団円を迎える。
と、書いてしまえば極端に単純なストーリーなのだが、随所に現れる説明を省いた強引な展開にいい意味で多少あきれ、そして、温かみがあって美しい手書きアニメに癒されているうちに1時間40分がさらりと過ぎてしまった。

一番の謎は、人間界を滅ぼして海の世界を復活させる!などと悪の権化のようなセリフを吐いていたフジモトがいつ改心したのかということだ。
野望はどこに消えたのだろう。
おかあちゃんに怒られたのかな?

何が起きても驚かないリサとコウスケも不思議だったし、老人ホームの婆ちゃんたちが歩けるようになった意味もわからないし、あの「月」も「トンネルの謎」も「真水がOKのポニョ」もわからなかったけどまあいいのだ。
とりあえずみんな幸せに終わったのだから。

強いメッセージ色は感じなかったが、強いてあげれば「母と息子の愛情」か。それとも「ポニョに対するコウスケの愛情」「古生代の生き物の登場」「老人たちの復活」等から「多様性の大切さ」を読み取れということか。
そのあたりはわからんが、あまり深くは考えないことにしよう。そうしよう。

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2008年05月11日

クローバーフィールド/HAKAISHA−(映画:2008年40本目)−

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監督:マット・リーヴス
出演:マイケル・スタール=デヴィッド、マイク・ヴォーゲル、オデット・ユーストマン、リジー・キャプラン、ジェシカ・ルーカス、T・J・ミラー

評価:80点

公式サイト

(ネタバレあります)
マンハッタンに「何か」がやってきて、突然街を壊し、人々を襲い始めた。
何が起こったのか、どこに逃げていいかもわからない。
不必要に思えるほどに怯えおののき逃げ回る登場人物達。
でも、ほんとにこんな出来事があれば、映画館に映画を見に来ている、我々のような一般市民はこんな目にあうんだよな、たぶん。

登場人物の一人がハンディカメラを回して撮影しているという設定なので、とにかく画面が動き回りブレまくる。ブツブツと途中で何度も途切れ、見苦しいことこの上ない。普通の映画だと思って見始めたら怒りで席をたってしまうのではないかと思うくらい、細かい芸を織り交ぜた演出は徹底している。

カメラで撮影していることの説明と登場人物たちの紹介。それもまたビデオの中で自然に演出。そうすると実際に怪獣に襲われるまでの前フリもこんなに長くなってしまうのだよと、監督が我々に示しているようだ。それくらい長くてうんざりするが、序盤で物語の設定を畳み掛けるように説明する展開なんてハンディカメラではありえないわけだから、これも仕方がないところ。
その説明の中ではカメラマンのおしゃべりすぎるところが少々むかついたのだが。

実際に事件が始まり、わけがわからないうちに逃げまどうことになってからはとにかくノンストップ。
離れ離れになった恋人?を、危険な場所に助けにいくという部分だけは映画っぽかったが、さすがにこれがなければ映画としてはなりたたない。
何が起きているのか、どこに行けば安心なのか、逃げまどう一般市民には何もわからないのだ。
怪獣の姿をはっきりととらえ、作戦を立てて闘えるのは政府や軍隊でしかありえない。
そんな当たり前のことを、一台のハンディカメラだけで雄弁に語り、その恐怖感を新しい視点で示してくれた。
これはなかなか面白かった。
結構フラストレーションはたまるし、カタルシスもまったくないシビアな映画だけど、目のつけどころと細部にこだわった演出とリアリティは一見の価値あり。

なんていいながら、おっさんはちょっとだけ気持ち悪くもなったのでした。

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2008年04月18日

クローズ ZERO−(映画:2008年33本目)−

クローズゼロ1クローズゼロ2
監督:三池崇史
出演:小栗旬、やべきょうすけ、黒木メイサ、高岡蒼甫、高橋努、山田孝之、遠藤憲一、岸谷五朗

評価:65点

公式サイト

おっさんとしては、小栗旬のカッコよさよりは、山田孝之のカッコよさに断然魅せられてしまった。
戦うときに笑える凄みっていいもんだ。
プロレスで格闘技でも、戦うことが嬉しくてたまらなくて、にやりとした笑顔が出るときがある。
その瞬間って見ているほうにもたまらない。
魔娑斗がK1の試合中にときおりそんな表情を見せる。プロレスでは鈴木みのるかな。
そんなある種の風格さえ感じさせる山田孝之の演技だった。

原作は漫画(「クローズ」)だが、この映画は舞台である鈴蘭男子高校に主人公が登場する一年前を描いたオリジナルストーリー。
高校と言いながら授業風景は全くなく、鈴蘭高校のトップを取るための、覇権争いが延々と続く。
最初は、こんな調子で2時間10分も見れないよ、と思ったのだが、意外とストーリー展開が面白くて引き込まれてしまった。
黒木メイサの歌は要らないが。

やくざをうまく絡めたのはよかった。

しかし、若い人の顔の区別がだんだんとつかなくなってきた。
ほんまやばい。

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2007年12月23日

恋空−(映画:2007年142本目)−

恋空1恋空2
監督:今井夏木
出演:新垣結衣、三浦春馬、香里奈、臼田あさ美、中村蒼、波瑠、深田あき、山本龍二、麻生祐未、高橋ジョージ、浅野ゆう子、小出恵介

公式サイト

評価:16点

大変申し訳ない。
私にはまともにこの映画の感想を書くことができない。
1200万人が涙して熱狂した携帯小説を映画化したものだということだ。
ネットをさらりと見ただけでも熱烈なファンがたくさんいるようだ。
ちょっとでも批判的なことを書いてしまえば、こんな場末の馬鹿ブログでも炎上させらるかもしれんのだ。
燃えるようなものは何も置いていないのだが。
でもやはり怖い。
ということで私は褒める部分だけを書いておいて、あとはここにまかせよう。
私の言いたいことは全部ここに書いてくれているから。

褒める部分、ガッキーこと新垣結衣がそこそこかわいい、ということぐらいか。
なんにせよあまりのリアリティのなさと、倫理観のなさにしらけるばかりの映画だった。
彼女を思うからこそ病気を隠して彼女と別れる、という主人公の彼氏の男っぷりはよかったが、それもそこだけだ。
図書館でコトにおよぶときは思わず笑ってつっこんでしまったぞ。
お前いくらなんでもそれはいかんがな。どこぞのAVか。

ああ、ダメだ。
書いていると悪口になってしまう。
しかし、世の中の中高生はこの映画を見てこんな携帯小説を読んで「まぢに感動したよ!」とか言ってるらしいのだ。
それでいいのかのう。
おっさんはやっぱり心配だ。
麻生祐未、高橋ジョージ、浅野ゆう子あたりに聞いてみたいもんだ。
どんな気持ちでこの映画に出ていたのかと。

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2007年12月02日

敬愛なるベートーベン−(映画:2007年134本目)−

ベートーベン1ベートーベン2
監督:アニエスカ・ホランド
出演:エド・ハリス、ダイアン・クルーガー、マシュー・グード、ジョー・アンダーソン

評価:86点

公式サイト

「初演まであと4日なのに楽譜がまだできていない」なんて話から始まるけど、そんなのありなのか?クラシックの世界はよくわからないが、それはいくらなんでもと思いながら映画に引き込まれていった。

ベートーベンが書き殴った楽譜を清書する役目を与えられた23歳の女性、アンナ。
鼠が出るような部屋で、聞こえない耳にラッパのような補助装置をつけ、上半身裸でピアノに向う鬼才ベートーベン。
孤高の天才老人と、才能と将来性に溢れた若い女性のぶつかり合いは前半から見ごたえタップリだった。
才能は才能を認める、というのはありふれたストーリーだし、片方が老人で片方が若い女性というのもいかにも映画的で新鮮さが少ないのが難といえば難。

ベートーベンをアンナが助け、二人がかりで作り上げた交響曲第9番。
当日指揮を振ろうとするベートーベンは、音が聞こえないので指揮できないと、直前になって弱気になる。アンナは自らが演奏者の間に座って指揮をふり、ベートーベンに合図を送ることになった。
こうして演奏される第9。
中盤の山場として12分間続くこの演奏はあまりにも圧倒的で素晴らしかった。
演奏者たちの表情も見事に描かれているし、観客が次第に引き込まれ感動していく様子もリアルだ。
そして第4楽章の合唱。
あの聞きなれたフレーズが満を持して始まった瞬間にはさすがに鳥肌がたった。
音楽ものの映画ってやはりいい、いつもそう感じる瞬間だ。

ただ、この映画は盛り上がりの最高潮のこの場面で終わらないのが渋いところ。
せっかくの名声を、ベートーベンは次の作品「大フーガ」でメタメタにしてしまう。
決して音楽的にどうこう、というのではなく、当時の観客に受け入れられなかったというだけで、後世には高く評価されるのだが・・・。

表現者と観客。
その微妙な温度差を残しながら、物語は徐々にテンポを落とし、テンションを下げて静かにフェードアウトしていく。
まるで人間の人生そのもののようで、こういう伝記の書かれ方もいいものだと感じた。
まあ、個人的には、ガーッと盛り上げて心震えるうちにエンディングに持っていく映画のほうが好きだけど。

そういえばもう年末。第9の季節なのだなあ・・・。

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2007年10月28日

GOAL!2−(映画:2007年122本目)−

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監督:ジャウム・コレット=セラ
出演:クノ・ベッカー、アレッサンドロ・ニヴォラ、アンナ・フリエル、エリザベス・ペーニャ、スティーヴン・ディレイン、ルトガー・ハウアー

評価:65点

公式サイト

(ネタバレあります)
おいおい、ほんまかいな。それやとベッカム様のための映画じゃないか。
と思ってるうちに、to be continued がでて映画は終わり。
余韻もへったくれもありはしない。

前回は喘息を克服してイングランド・プレミアーグのプロサッカー選手になり貧乏生活から抜け出したサンティ。
第2部となるこの映画では、いきなりスペインのレアル・マドリードに引き抜かれるところから始まる。
スーパーサブとして最初から大活躍。
車はランボルギーニになり、大豪邸を手にいれ、試合が終わればパーティー三昧で楽しい時間を過ごす。

ここから最後のカタルシスにつなげていくためには、まずは主人公にはいったん落ちてもらわなければ困る。
イギリスで看護師をしていてなかなか会えない恋人との微妙なすれ違い。
いきなり現れた弟の存在と、自分を捨てていった母親への思い。
足の怪我で試合にでることができなくなり、かといってイギリスに帰ることも許されない。
パパラッチとの騒動、交通事故、浮気現場を撮影され、昔から親しかったエージェントを解雇してしまう。

残念なことにこのあたりの描写が非常に散漫で、主人公の苦悩が伝わらない。
そしてラストに向けての主人公の努力も中途半端なので、問題が解決したように思えないのだ。
ロッキーならココからトレーニング風景が延々と続いて気持ちが盛り上がっていくのだが・・・。
あ、母親との再会だけはよかったなあ。ちょっとウルっときました。

そして最後はUEFAチャンピオンズリーグ優勝決定戦。
相手はアーセナル。
サンティはベンチスタートだったが、後半に入ってピッチにたって大活躍。
2−0から3点とって大逆転優勝となったのだ。
文句は言ったけど、試合のシーンはやっぱり見ていて熱くなった。
実際のスタープレイヤーが多数出ているので、そのプレイを見ているだけでもワクワクする。
サッカーをろくに知らない私でもそうなのだから、サッカーファンにはたまらないのだろうな。
ということで、最後の美味しいところはベッカム。
なんでベッカム。
主人公に渡してやれよ。
あ、そうか次回作は主人公のサンティが決めて終わりだな。ワールドカップ編。

もう少しドラマに厚みを持たせてもらいたかったが、それなりに楽しめる。
ということで続編もDVD待ちにしようっと。
それにしてもみんなドリブルやリフティングがうまい!
試合はもちろん、街角の少年もレアルのロッカールームもだ。感心するばかり。


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2007年10月23日

グッド・シェパード−(映画:2007年120本目)−

グッドシェパード1グッドシェパード2
監督:ロバート・デ・ニーロ
出演:マット・デイモン、アンジェリーナ・ジョリー、アレック・ボールドウィン、タミー・ブランチャード、ビリー・クラダップ、ロバート・デ・ニーロ、ウィリアム・ハート、ジョン・タートゥーロ、ジョー・ペシ、エディ・レッドメイン

評価:80点

公式サイト

167分の長丁場。
とりあえず事前にトイレに行っておいてください。
ほんとに長いので覚悟してみたほうがいい。ほんとに。

長くてもアクション満載であったり、大スペクタクルファンタジーとかだったりすればまだ時間の経過もそんなに感じなくてすむのかもかもしれないが、なんと言ってもこれは歴史ドラマ、社会派映画である。
CIAというアメリカの諜報機関が東西冷戦の中でどのように出来上がっていったか、またその内部のドロドロとした裏切り等が、マット・デイモン演じるエドワード・ウィルソン一家にどんな不幸をもたらしたか、淡々とそれが描かれていく。
いくらサスペンスを織り交ぜてあるとはいえ、これで167分はちょっとつらい。

キューバ上陸作戦の情報が漏れて失敗した原因を探る現在(1961年)と、エドワードがエール大学を卒業して諜報機関の立ち上げに参加する過去(第2次世界大戦末期)が並列している。
マット・デイモンも、その妻役のアンジェリーナ・ジョリーもそれなりに年齢を意識してメイクしてあるので、どっちに映っているときもそんなに違和感はない。
ない、と思ったけど、やっぱり突然二人が大学生の子持ちになったのは驚いた。
アンジェの年寄りメイクはなんかいい感じだった。マットは顔立ちが幼すぎて年寄りメイクは厳しいね。メガネの度なんかで工夫してたけど、やっぱりちょっと違う。
そんなこといったらアンジェの女子大生なんてもっと変だったけど。

物語は複雑。
登場人物が多いし、誰が誰をどんなふうに裏切っているのか、何が問題で誰が正しいのか、だんだんわけがわからなくなる。
わかっているのはエドワードがいつも国家に忠実であるというただそれだけだ。
それからキューバ作戦の情報漏洩者が誰であるかということくらいだ。
ま、そこらあたりのドラマがわかっただかでもいいか。
情報操作合戦は結構面白かったし、秘密結社の描写も興味深かったから。

それにしても寡黙だったマットデイモン。
しゃべりすぎの私はとてもCIAには就職できへんな。
そんなことゆうたら大阪人は誰もCIAなんかできへんで。
そうか、KGBにもMI6なんかにも大阪人はおらんゆうことか。公安もか。
ふん、権力なんか嫌いやからかまへんけどな。


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2007年10月01日

河童のクゥと夏休み−(映画:2007年110本目)−

河童1河童2

監督:原恵一
声の出演:冨沢風斗、横川貴大、田中直樹、西田尚美、松元環季、植松夏希、なぎら健壱、ゴリ

評価:80点

公式サイト

決してかわいいとはいえないクゥのビジュアル。その他の登場人物たちについても、ジブリの絵を見ているときのような感動は覚えない。
だが、絵柄の美しさやCGを使ったリアルさを求めるのではなく、アニメーションの中に言いたいことをきちんと盛り込んで伝えたいのだという、製作者サイドの意思がビシビシ伝わってきて気持ちのいい映画だった。

現代に河童をよみがえらせたらどうなるか。
これがジブリなら、なんとなく人間と河童が共生するような半分お伽話のような展開になるだろう。
だがこの映画は違う。
主人公に拾われ、江戸時代から突然現代に蘇った河童は、当然マスコミの餌食になる。
主人公の家族はマスコミに囲まれ、自宅の周囲は望遠レンズで溢れ、父親は会社にさえいけない。
会社にいくと、取引先との絡みでテレビ出演を強要される。
河童を飼っていることを友だちに内緒にしていた主人公は友だちから仲間はずれにされていじめを受けもする。
なんて生々しい展開なんだ。
でも、そこに作った人の言いたいことはたくさん隠れている。

東京タワーから地上を見渡し、「もう河童が住める場所は無くなってしまった。ここは人間の大きな巣だ」とクゥがつぶやくシーンは印象的だ。
人間は環境を猛スピードで破壊し、地球温暖化を促進しているのだから。

そんなメッセージてきなものを省いてみても、クゥの時代がかったセリフや、妹のスネ具合がかわいいし、映画の中で成長していく主人公に感動もできてなかなか面白い。
ラストもうまくまとまっていて納得できるものだった。
難をいえば130分強はちょっと長くないだろうか。
いろいろ詰め込んだ結果なんだろうけど、中盤少しだれたようなきがするなあ。

まあでも、いい映画でした。
俺も自分の家の猫と話をしてみたいんだけど、なんとか。
いじめないから逃げないで抱っこさせてくれ!


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2007年09月09日

コンフィデンス−(映画:2007年99本目)−

コンフィデンス1コンフィデンス2
監督:ジェームズ・フォーリー
出演:ダスティン・ホフマン、アンディ・ガルシア、レイチェル・ワイズ
、エドワード・バーンズ、ポール・ジアマッティ

評価:92点

(ネタバレあります)
2003年のアメリカ映画。
よく練られた完璧な脚本。
個性が際立ち、役割分担が明確な登場人物。
役者たちの素晴らしい演技。
お洒落な音楽とスピーディーで無駄のない展開。
これにレイチェル・ワイズの色気も加わって、見事なまでに作り上げられた映画だった。

(あらすじはシネマトゥデイから)
天才詐欺師・ジェイク(エドワード・バーンズ)たちが巻き上げた金は、暗黒街の大物・キング(ダスティン・ホフマン)のものだった。キングによって仲間の一人を殺されたジェイクは逃亡をあきらめ、キングと組んで詐欺をすることになる。女スリ・リリー(レイチェル・ワイズ)を加え、危険な賭けに乗り出したジェイクだったが思わぬ邪魔が入り……。

詐欺師の映画っていうのは、いいものだ。
どこまでが本当で、どこからが嘘なのか。見ている観客もいつにまにか引き込まれ、綺麗に騙されてスカっとできる。
私もそうとう疑ってみていたが、アンディ・ガルシアには騙された。
そうか、そうきたか。
敵味方入り乱れ、誰が勝つのか全くわからなくなってしまうクライマックスは緊迫感に溢れ、何度も見直したくなるくらい。

ダスティン・ホフマンの演技はさすがだった。
マフィアのボスの醸し出す危険な香りには見とれてしまう。
オーシャンズ13での、アル・パシーノが同じような役どころだった。
どっちが、と言われても甲乙つけがたいところだ。

ポール・ジアマッティもいいよなあ。
サイドウェイの熱演を思い出した。

役柄で言えば、かわいそうだったのは、銀行の法人融資副部長。
背任罪で懲戒解雇は間違いないな。ま、独身だから何をしてでも食ってはいけるか。

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2007年09月02日

ゲド戦記−(映画:2007年95本目)−

ゲド1ゲド2
監督:宮崎吾朗
声の出演:岡田准一 、手嶌葵 、田中裕子 、菅原文太 、風吹ジュン

評価:58点

公式サイト

(ネタバレあります)
世界3代ファンタジーのひとつ、ゲド戦記を宮崎駿の息子、宮崎吾朗が映画化ということで、昨年話題になった作品。
スタジオジブリ作品は結構好きなので、そこそこ期待して見てみたが、これはちょっとハズレだ。

そもそもゲド戦記の設定がよくわからないのだが、極端に説明が不足しているために、今世界に何が起こっていて、何をどうすればどうなるのかが全くわからない。
口を開けば「均衡が崩れた均衡が崩れた」と騒いでいるが、本当にいくつもの疫病も均衡が崩れたせいなのか。
そもそも誰が均衡を崩して、どうやったら直るのか全くわからん。
大賢人ゲドでさえ、どこに行って何をしたらいいかわからずうろうろしてるじゃないか。クモが先に仕掛けてくれたからいいようなものの。

そんな中でダラダラと話が進むので、前半1時間でほとんど物語は動かない。もっと龍と魔法使いと魔法の剣が大活躍する大スペクタクルファンタジーじゃなかったのか。

父親を殺して国外に逃亡中の王子、アレンが心に大きな闇を持ち、もうひとりの自分に追いかけられるという設定はそれなりに面白く、ところどころにでてくる「生きるとはどういうことか」という問いかけや回答は、多少説教じみてはいるものの、ズキっと沁みてくる部分もある。
だが、それだけで2時間の映画を作るのは無理と言うものだ。

後半はいよいよ大魔法使い対決か!と思わせておいて、ゲドはあっさり能力を奪われて捕まってしまう。
あとはアランの大活躍、と思ってみていたら、覚醒したのはヒロインのテルーのほうでした。
だからっていきなり竜になるってそんなのありなのか?
思わず眼を疑ってしまった。

ストーリーのまとめ方もそうだが、絵がきれいじゃない。
いや、空の絵はきれいで見とれるほどだが、地面の絵は手抜きじゃないのかと思うほどだった。
キャラもどこかでみたような人たちばかり。まあジブリだからしかたないか。
クモの人格が崩壊していくところのクライマックスも、ジブリらしくなくて雑だったなあ。最初のクモと最後のクモでは、あまりに変わりすぎて違和感ありありだ。
そもそもクモがいなくなって世界の均衡はもとに戻ったのか?
クモはそれほど世界に影響を持っていたんだっけ?
わからないまま終わってしまったが、まあそれはそれで仕方がないな。
「紅の豚」でも見て、口直しをするとしよう。

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2007年08月07日

キンキー・ブーツ−(映画:2007年86本目)−

キンキー1キンキー2
監督: ジュリアン・ジャロルド
出演: ジョエル・エドガートン、キウェテル・イジョフォー、サラ=ジェーン・ポッツ、ジェミマ・ルーパー、リンダ・バセット、ニック・フロスト、ユアン・フーパー、ロバート・パフ

評価:89点

(ネタバレあります)
西川口のオカマバーに一度行ったことがある。
そこのオカマたちはみんなタイ人で、見た目は全く女性だった。
手足は長くスラリとしたスタイルで、出るところはきちんと出ていてお尻の位置も高い。
そんな彼女達が「ネエ、社長さん」と体を触ってきたときには寒気がした。
気持ち悪い・・・・こいつらほんとは男なのに男なのに男なのに・・・。
これもありだという理屈はわかっても生理的にどうしても受け入れられなかった。
この映画にもオカマたちが出てくる。
女性然としたタイ人オカマではなく、いわゆる「ドラァグ・クイーン」だ。
「ドラッグじゃないんだよ、ドラァグだよ!」と知人の誰かに諭された覚えがあるので、たぶん「ドラァグ・クイーン」。
私はなぜかこの手の人は大丈夫なんだよなあ・・・。
というかどっちかというと好きなのだ。
不思議だ。
化け物のような化粧が人間を超えたものとしての存在を示してくれるからだろうか。あ、言い方がひどいか。ごめんなさい。

この映画にでてくる「ドラァグ・クイーン」のローラ(キウェテル・イジョフォー)はとても素敵だった。
筋骨隆々とした黒人でありながら、心は女。
ドラァグ・クイーンとしてロンドンの店でショウにでているが、時折心無い人のヤジに心を傷つけられる。
でもこういう人こそが、人の心の痛みも悲しみもわかるというのは本当なんだろうね。

もうひとりの主人公は、イギリスの田舎町で、父親の突然の死により、倒産寸前の靴工場を相続した優柔不断な青年チャーリー(ジョエル・エドガートン)。
フィアンセとロンドンで楽しい生活を送るはずが、突然に経営難の工場を押し付けられ、まずは職人の首切りという嫌な仕事からスタートする。
行き詰ったチャーリーは、ロンドンでたまたま助けられたチャーリーと知り合い、ドラァグ・クイーンのために靴をつくることを思い立つ。
男が履いても壊れないピンヒールを作るのだ。

フィアンセの裏切り、ローラを受け入れない職人達、様々な障害が彼と彼女を襲い、チャーリーは最後にローラに冷たい言葉を浴びせかけてしまう。
起死回生を狙ったミラノでのショー。
モデルのはずのローラはそこにおらず、チャーリーは自らがモデルとなることを決意するが、最後に彼を助けたのはやっぱりローラだった。

ローラがとにかくかっこいい。
職人のベンとの腕相撲勝負の場面なんておっとこまえだし、ショーの場面も最高。
女性らしい繊細な感情も非常にうまかったし、このひとほんとにオカマなんじゃないだろうか。

実話がベースの、元気が出る映画です。



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2007年07月15日

クライング・フィスト−(映画:2007年78本目)−

クライングフィスト1クライングフィスト2
監督:リュ・スンワン
出演:チェ・ミンシク、リュ・スンボム、イム・ウォニ、チョン・ホジン、ピョン・ヒボン、ソ・ヘリン

評価:71点

公式サイト

(ネタバレあります)
アジア大会銀メダリストという過去の栄光にすがりつき、職もなく「殴られ屋」として落ちぶれた日々を過ごすダメダメおっさんと、生きる目的を見出せず自分をコントロールもできず、強盗傷害で少年院に入ってしまったブチギレ少年。
なんて奴らが主人公なんだ。
明日のジョーの時代や、ロッキーが初めて放送されたときなら、まだこんな奴らがボクシングだけを頼りにして這い上がっていく様子も納得できたが、時は21世紀である。
こんな設定に感情移入なんてできないよ、そう思いながら途中まで見ていた。
そう、途中まで。
ボクシング新人戦に出場が決まってからは、熱血ボクシング映画そのもので、ハードな練習風景が繰り返され、一気にクライマックスを迎える。
ブチギレ少年を応援しにくるのは、半身麻痺で入院していた祖母。
おっさんを応援しに来るのは、離れ離れになってしまった小さな息子。
決勝戦で初めて拳を交えた二人は、ヘロヘロになりながらフルラウンドを打ち合ったのだった。
やっぱボクシング映画はいいものだ。
最後にはきっちり感動的なラストを迎えることができるのだから。

社会の底辺を這い蹲るように生きる2人が主人公だけに、前半から中盤までの物語はなんとも重たい。
重たい以上に、主人公に対して「お前らちゃんとしろよ」と怒鳴りたくなるほど。
おっさん(チェ・ミンシク)はプライドばかり高くて他人にすぐに騙されるうえに、妻子に手を上げるバカやろうだし、少年(リュ・スンボム)は犯罪を犯しても全く反省の色を見せない悪そうな顔つきで、「こいつを更生させるのは無理だろう」と思ってしまう。
おっさんが「俺にはボクシングしかないんだ」と思うのはまだわかるが、少年がボクシングに打ち込んでいく動機がちょっと弱かったかも。
一本の映画の中に2つのストーリーをぶち込んでいるので、書ききるのが大変だったんだろう。
少年とライバルのストーリーがもう少し書き込んであればなあ。

クライマックスで、観客の歓声を少なくして静寂のなかのドツキアイにしているところはなかなかよかったし、主人公の二人が、あの試合まで接点を持たないという脚本も悪くはない。
ただ、2人分の人生を書ききるにはやっぱり時間がたりなかったのかもしれない。

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キサラギ−(映画:2007年77本目)−

キサラギ1キサラギ2
監督:佐藤祐市
出演:小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雄、香川照之

評価:92点

公式サイト

ネットでの評価が高いので、それなりに期待して観たが、十分に期待に応えてくれる面白さだった。
非常に濃いキャラ5人を一室に閉じ込めて、少々オーバーリアクション気味に物語を展開させていくのは、なんだか演劇を見ているようだった。
実際に、舞台になってもこれなら十分通用するんじゃないだろうか。
ほとんど回想シーンもなく、5人出ずっぱりだったしな。

途中まで、塚地はいらないよなこれじゃあ、と思わせておいて、突然主役になってくるところの演出はうまかったし、小出恵介も、頭の悪すぎるその役柄に途中までイライラしてたものの、本人が中心になる部分の演技は凄く自然でしっくりくる。

と、ここまで書いて気づいたが、この映画は一種のジャズの演奏のようなものなのだ。
トランペットからピアノへ、ピアノからベースへ、ベースからドラムへと、メロディが引き継がれ、それぞれが見事に主役を演じていく。
観客はそれぞれの演奏のテクニックに酔いしれ、時に意外な展開にドキッとする。
即興性に溢れた、しかし、全体を通してみれば完璧に予定調和された演奏だった。

やっぱり脚本が素晴らしいのかな。
伏線はしっかり張ってあるのだが、そこにたどり着くのがちょっと難しいほど展開が予想できない。
そもそも55キロの減量って反則じゃあないか。

焼身自殺をしたC級アイドル、キサラギミキの一周忌に、ネットで知り合った5人のファンが集まってオフ会で故人を偲ぶことになる。
応援サイトの主催者である「家元」のもとに集まったのは、「オダ・ユージ」「やすおさん」「スネーク」そして「イチゴ娘」。
イチゴ娘(香川照之)がいきなりネカマだったりするのは、あまりに典型的で少々興ざめだったが、そんな気持ちを吹き飛ばすくらい、香川照之の演技はうまかった。

次から次へと判明する驚愕の新事実と、新たに生まれてくる謎。
このスピード感と、5人の巧みなしゃべりはなかなかのもの。
若い二人の演技はさすがに若干見劣りがしたものの、若さと勢いで十分にカバーできてたようだ。

キサラギミキっていったいどんな顔なんだ、って最後まで引っ張り、結局出てこないんだろうと思わせておいてちゃんと振りつき踊りで締めるところはおみごと。

ああ、よく笑った。

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2007年05月12日

グッド・ガール バッド・ガール−(映画:2007年54本目)−

監督:セバスチャン・ビグ
出演:ジュリア・シュタインホフ 、ヘンドリック・デュラン、 グラハム・マクタヴィッシュ、 ニック・ブリンブル

評価:58点

ひとりは派手な犯罪歴を持つ売れっ子ストリッパー。
もうひとりは真面目な修道院の尼僧。

二人は一卵性双生児という設定で、ジュリア某という女優の一人二役。姉妹は違和感なく画面に同時に現れながら映画は展開していきます。

姉(尼)も妹(ストリッパー)も問題を抱えているのだが、ドタバタ劇の中で二人が入れ替わってそれぞれの問題解決に取組み、最後は団結して相手を倒す。しかしこれって結構ありきたり。

ストリッパーの妹が尼に変装して下品な言葉を連発したり、賛美歌をバーで歌うように砕けた感覚で歌ってみたり。一方で尼の姉が、派手な赤いドレスで相手に神の教えを説いたりする。
おそらくそのミスマッチが狙いなんだが、もともとジュリア某という同じ女優が演じているので、単純に彼女のコスプレショーにしか見えないのだった。

あとはあまりにご都合主義的な展開が続いてだんだんと呆れてくる始末。
敵はいつもどこか抜けていて尼さん達に簡単にやられたりもするし、カーチェイスはどうも中途半端で失笑ものだったりするし、警官の裏切りは唐突で説得力のかけらもないし、ダイヤ抜いたらばれるっていったい換金どうすんのっていう、本当にどうでもいい超B級映画。

これってドイツ映画だけど、主人公は同国のアイドルなんだろうか?
日本で言えば、歌も踊りもそこそこできるアイドルが、ひとり二役に挑戦していろんな姿を見せていますよという程度だろうな。
誰だ、「あやや」あたりのかわいいお遊び映画か。

グッド・ガール バッド・ガール


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2007年04月18日

クイーン−(映画:2007年48本目)−

Queen1Queen2
脚本:ピーター・モーガン
出演:ヘレン・ミレン、マイケル・シーン、ジェームズ・クロムウェル、シルヴィア・シムズ、アレックス・ジェニングス、ヘレン・マックロリー、ロジャー・アラム、ティム・マクマラン

評価:89点

公式サイト

(ネタバレあります)
ダイアナ妃が自動車事故にあい、パリで命を落としたのは1997年8月31日。それから1週間。
対応が冷淡だと国民から非難され、苦悩の日を送ったエリザベス女王の姿を追ったドキュタンリー風作品。

アカデミー賞主演女優賞を獲得したヘレン・ミレンはさすがにうまい。
凛とした表情で常に威厳を保つ女王の表の姿と、国民感情とのギャップの中で苦悩し、時にひとり涙を見せる裏の姿、それぞれを見事に演じていて思わず見入ってしまう。
私が気に入ったのは彼女の歩く後姿。
ちょっと太目の足をガニマタ気味に開きながら、背筋を伸ばして颯爽と歩いていく。
背中で魅せる、迫力ある素晴らしい後姿だった。

トニーブレアの生活がいかにも庶民的に暖かく描かれていたのはともかく、エリザベス女王の私生活?も遠慮なく描かれている。
パジャマ姿でテレビを見る姿や、寝起きの姿。
運動着?のようないでたちで犬と散歩をし、自らジープを運転して川に突っ込んでいく。
どこまでが本当の姿かわからないが、かなり詳細な情報にもとづくものらしい。
よくぞここまで書かせたものだ。日本の皇室なら考えられないことだ。

「ダイアナは皇室を出て行った身分で民間人だ。だから私はコメントもしないし葬儀にもかかわらない」
伝統を重視した女王のこの判断は、しかし国民の猛反発を買う。
国民の4人に一人が王室不要論まで唱える騒ぎに発展し、女王のダイアナに対する言葉がなければ収拾がつかない状況にまでなってしまったのだ。
事態収拾のために走り回るブレア首相と、ついにこれまでのしきたりを捨てて、国民の前に姿を現して言葉を述べる女王。
そこにいたるまでのサスペンスドラマ張りのやり取りは緊張感たっぷりで見ごたえがあった。

ブレアが女王を擁護して叫ぶシーンがある。
彼女はたった一人で、これまでの自分の生き方を捨ててまで、国民の気持ちに応えたのだ、と。
確かにそれぐらいの思いつめた気持ちが女王役のヘレン・ミレンから伝わってきた。
いい映画だった。
それでも私は皇室不要論者だけど。

そうそう、これを日本の皇室に当てはめで映画を作ればいいのだ。
誰が雅子さんをいじめて心の病に追い込んだのかはっきりさせてもらわないとね。

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2007年04月07日

カポーティ−(映画:2007年43本目)−

カポーティ1カポーティ2
監督:ベネット・ミラー
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・キーナー、クリフトン・コリンズ・Jr、クリス・クーパー

評価:78点

公式サイト

(ネタバレあります)
作家トルーマン・カポーティが、『冷血』を完成させるまでを描いた作品。
カポーティも知らないし、「冷血」も知らない。
知っているのはこの映画で、フィリップ・シーモア・ホフマンが前回のアカデミー賞主演男優賞を受賞したということ。
彼の演技が、実際のカポーティにどれだけ似ているかわからずその点ではコメントもできないが、押さえた渋めの演技と、淡々とした言動の中に見え隠れする苦悩の表し方は素晴らしい。
でも、今年アカデミー賞主演男優賞を取ったフォレスト・ウィッテカーにくらべるととっても地味。
地味なのは彼の演技だけではない。
物語の進行も地味、彼の周囲の人物達も地味、殺されたの一家4人も田舎の普通の家族で地味、そして犯人の二人組みまでも地味。
いくら「一家惨殺事件のドキュメンタリーを小説にした傑作」の「作成過程を描いた実話」とか言っても、地味なものは地味。

ただ、地味がなんでもかんでも悪いかというとそうでもなく、じっくりと登場人物の心理描写と演技を楽しむには、この程度の地味さでちょうどよかった。
シーモアの演技が鼻についてしまったり、殺人事件のドキュメンタリーという小説の設定そのものに興味が持てなかったりしたら、たぶん眠いだけの映画に違いないが。

実際、シーモアの変な話し方に最初は私もなじめなかった。
物語が進行し、カポーティが事件にかかわっていく過程は面白かったが、このまま何も起こらないことが予想された後は次第に緊張感が薄れていく。
自分の本のために殺人犯のスミスを利用してるのか、それとも彼との間にあるのは本当の友情なのか。苦悩する演技はうまいものの、そのまま最後まで淡々と終わられてしまうのは少々肩透かしだった。
彼を助けて脱獄させるとか、嘘を書きつくした本を死刑前に発行して世論喚起をするとか、逆に利用するだけ利用して冷たく切り捨てる非常さを見せた後で、墓に本を供えに行くとか、そんなのはどうだ。
どうだと言われてもこれは実話なのだから、あのエンディング以外はありえないのだった。
やはりこれはシーモアの演技を見るための映画。そうとしか言いようがない。

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2007年03月17日

ゴーストライダー−(映画:2007年33本目)−

GR1GR2
監督:マーク・スティーヴン・ジョンソン
出演:ニコラス・ケイジ、エヴァ・メンデス、ウェス・ベントリー、サム・エリオット、ドナル・ローグ、ピーター・フォンダ

評価:80点

公式サイト

(ネタバレあります)
俺も契約するから早く来てくれ。今すぐだ。

前髪が眉に届きそうなニコラスケイジって、もの凄い違和感があるなあ。
しかも見事にダイエットして、素晴らしい筋肉質の体に生まれ変わってしまった。
魂の価値はやっぱり高いのだ。

アメコミの映画化なので、ストーリーがどうとかこうとか書いても仕方がない。それぞれのシーンのカッコよさや馬鹿馬鹿しさを楽しんで見れば十分な映画だろう。
なにしろ、演じているニコラスケイジが一番楽しそうだ。
時代劇専門で真面目にやってきた俳優が、バラエティのコントにでて芸人にいじられながら生き生きと演じている、そんな風に見えてならないぞ。

どういうタイミングで変身するのかわからないが、父親の命を救うために自らの魂を悪魔に売り渡す契約をしたニコラスケイジは、燃え上がるガイコツライダーになってしまう。
バイクもかっこいいが、走るだけで街をぶっ壊してしまうというのはやりすぎではないのか。アナザーヒーローとか言ってる場合ではないような・・・。

ゴーストホースもかっこいいし、VFXもそこそこ楽しめます。
ニコラスケイジをお気軽にお楽しみくださいませ。

ところでバイクスタントショーは凄い集客力だった。
米国人は暇なのだろうか?ワンジャンプ見るためにあんなに集まるか、普通。


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2007年03月02日

グッバイ、レーニン!−(映画:2007年27本目)−

レーニン1レーニン2

監督:ヴォルフガング・ベッカー
出演:ダニエル・ブリュール、カトリーン・ザース、マリア・シモン、チュルパン・ハマートヴァ

評価:90点

公式サイト

(ネタバレあります)
少々古い映画だけれど、ずっと気になっていたものを、ようやく借りてきて見ることができた。
いい映画だった。

東西ドイツ統一直前に心筋梗塞で倒れて意識を失った母親。
彼女は夫が西側に亡命してからは、社会主義と結婚したかのように、祖国、東ドイツのために生きてきた女性だった。
彼女が意識を取り戻したとき、医者は「強い刺激を与えないように」と息子のアレックスに言い渡す。
アレックスは、統一前の東ドイツを母親の前に作り出すことで、寝たきりの彼女の病状を和らげようと考えたのだった。

部屋を統一前に戻し、古い空き瓶に西側の食品を詰め替えて、東ドイツの食事を再現する。テレビが見たいと母親が言えば、別の部屋にビデオを設置して昔のテープを流す。
いよいよばれそうになると、映像オタクの友人の力を借り、西側の難民が流れ込んできたという嘘の映像を作り出す。
そして、いつに間にか、失われた祖国を作り上げることが、アレックスの生きがいになっていた。
母親のために作り始めた姿のない祖国。
しかし、最後のニュースの場面では、確かに祖国は存在した。
閉鎖的な全体主義から、解放された社会主義へと姿を変えた祖国。
人々がよりよく生きるために存在する祖国。
テレビを満足そうに見つめるアレックスと、そんなアレックスを慈愛に満ちた眼差しで見つめる母親。
このとき、アレックスの恋人のララから、母親は真実を聞かされてしっていたのだが、何も言わずにアレックスの愛情を受け止めたのだった。

母親への愛情が美しい映画だが、男はやっぱりマザコンなんだよなって感じる映画でもあった。
そして「国家」なんて絶対的なものじゃないんだということを、改めて教えてくれた映画でもあった。
信じるものは国家ではなく、家族であり友人であり恋人であり、そして自分の理想なのだ。

左に少し傾いている私にって、ヘリコプターがレーニン像を運んでいくシーンは強烈だった。
「サンクトペテルブルグ」、だなんて呼ばずに「レニングラード」でよかったのに・・・。

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2007年01月27日

グエムル -漢江の怪物-−(映画:2007年11本目)−

グエムル1グエムル2
監督:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ、ピョン・ヒボン、パク・ヘイル、ペ・ドゥナ、コ・アソン

評価:79点

公式サイト

(ネタバレあります)
なんでだよう。
どうして死んじゃうんだよう。
うう、ヒョンソー!ヒョンソー!

最後の最後まで、生き返ってくれるんじゃないかと思っていたのに。
「ヒョンソが生きている、怪物からヒョンソを取り戻すんだ、ヒョンソを助けたい」その気持ちで家族は固く結集したというのに。
爺ちゃん、無駄死にになってしまったじゃないかよう。

それぐらい容赦なく人が死ぬのが韓国映画なのでしかたないんだろうけど、やっぱり子供が死んで親が生き残るという結末は悲しい。
ヒョンソが助けた男の子が、命を引き継いだということなのだろう。

テレビの宣伝などを見たときは、絶対に面白くないだろうと感じたのだが、意外と世間の評判もいいようなので見てみた。

怪物の造形は微妙なところ。
確かに気持ち悪いし、妙に素早い動きや、中途半端な残忍性も動物っぽくてよくできている。
ただ、川に化学物質流して突然変異で怪獣、って短絡的とかいうレベルを超越しているし、元の生物が想像もできない。魚に足でも生えたのか、イモリヤモリの類なんだろうか。
「あれはいったいなんなんだ」という質問は一切受け付けないという潔い雰囲気に溢れているのは凄いところだ。

マスコミも韓国軍も米軍も、未知のウイルスの検出や人々の隔離にばかり賢明になって、「役に立たないぶり」が際立っている。
社会風刺というよりは、お前らどうせこの程度だろ、という監督のおちょくり姿勢がよかった。

ペ・ドゥナはかわいくてかっこいい。
そうそう、リンダリンダリンダにでてました。
あの映画のラストで、リンダリンダを歌うシーンは最高だったなあ。
そして愛すべきダメ親父を熱演していたのがソン・ガンホ。
だらしないジャージ姿はリアル過ぎ、笑を飛び越えて注意したくなるほどだった。

いずれにせよ、ヒョンソを殺してしまったことでちょっと減点。
グエムルの大きさがバラバラだったことでもうちょっと減点。
ソンガンホ兄弟に銃で攻撃されたグエムルが川に逃げるシーンがあったが、あのときのグエムルは妙に小さくないか。てっきり子供グエムルだと思ってしまった。
繁殖してたら恐ろしいことだけど。

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2006年12月25日

007 カジノ・ロワイヤル−(映画:2006年152本目)−

カジノロワイアル1カジノロワイヤル2







監督:マーチン・キャンベル
出演:ダニエル・クレイグ、エバ・グリーン、マッツ・ミケルセン、カテリーナ・ムリーノ、ジュディ・デンチ

評価:92点

公式サイト

(ネタバレあります)
あの拷問は強烈すぎる。
なぜ椅子の底をくり抜くんだろうと不思議に思ってみていたらそんなえげつない拷問の方法があるだなんて・・・。
ボンドの下腹部の痛みが私にも伝わってくるようでした。
思い出すだけで、脂汗をかいて吐き気までもよおしそうだ。
右も左もご勘弁。

ジェームズ・ボンドが007になるまでの物語。
007シリーズとしては21作目だが、ストーリーは一番最初。
つまりは、スターウォーズのエピソード1みたいなものだ。
ただし、若干辻褄は合わないようにできていて、時代設定などを考えるとボンドは随分と若返ってしまっている。
なんでも1968年生まれという設定らしい。
これまでの007とは、別のストーリーが走り始めたと思ったほうがいいのかも知れない。
ま、次を見ないとなんとも言えませんが・・・。

緻密に計算されたクールな仕事っぷりと、エッチでセクシーな私生活、というボンドのイメージからは少々外れて、荒削りで傲慢で、女性を落とすどころか女性にのめりこんでしまうボンド。
成長前のボンドということなのだろうが、キャラ作りはうまくいっているようで、なんとも微笑ましく見てしまう。
ボンドを演じるダニエル・クレイグは、微妙に悪役顔なので、いまひとつ感情移入できなくて困ったが、体は強烈に鍛え上げられていて、アクションも実に素晴らしい。
特に最初の工事現場でのテロ実行犯との追いかけあいや、タンクローリー争奪戦なんかは見ごたえありまくりで、随分と肩に力が入ってしまった。タイ映画の「マッハ」並みのアクションだったんじゃないだろうか。

ストーリーも二転三転、いったい誰が味方で誰が敵なのか、めまぐるしいテンポで進んでいくために、目を離す間もない。
ボンドガール役のエヴァ・グリーンも頑張っていた。
個人的には「あり」の顔立ちとスタイルなのだが、ボンドガールとしては少々華に欠けるな。
まあ、第一作という設定を考えればこんなもんか。
これからボンドは女たらし道を究めていくのだろうし。

今思い出してみても見どころは多い。
カジノシーンもドキドキハラハラでした。
カジノはバハマにあるホテル内という設定。10年前にバハマに行ったことを思い出した。青い空、蒼い海、刺すような日差しと突然のスコール。カクテルにホテルのプールに豪華な食事。そしてカジノ。
シーズンオフだったので、閑散としていましたな。




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2006年12月19日

氷の微笑2−(映画:2006年151本目)−

氷の微笑1氷の微笑2-2







監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ
出演:シャロン・ストーン、デヴィッド・モリッシー、シャーロット・ランプリング、デヴィッド・シューリス、ヒュー・ダンシー、フローラ・モントゴメリー

評価:70点

公式サイト

(ネタバレあります)
むかしむかしそのむかし、深夜のテレビで流れていたダイヤモンド会社のCMで、ひとりの飛び切り美しい女性が飛び跳ねていました。
金髪でスタイル抜群で笑顔の愛らしい女性。
当時大学生だったおぼっちゃまの私は、一発で彼女の虜になったのでした。

ああ、シャロンお姉さま。
相変わらず美しく、色っぽい。
世間をにぎわせた前作から、もう14年もたったというのに・・・。
14年?
そう14年。シャロンお姉さまはなんと48歳です。
48歳とは絶対に思えぬ容姿に驚いていたら、顔のしわは全てデジタル処理で取っていたのですね。そりゃまあしゃあないか。

シャロンお姉さまが演じるのは女流作家のキャサリン。
危険な行為に喜びを感じる異常者で、周囲で次々に人が死んでいく。
それでも告訴されない彼女の精神分析をするために、担当となったのが精神科医のマイケル。
いかにもバリバリのエリート面して登場したマイケルだったが、あっというまにキャサリンの手中に落ち、見るも哀れなほどに泥沼に落ちていく。
かわいそうに。そんなにいじめなくてもいいのに。
強がっているわりにはあまりに弱いマイケルに同情しているうちに、物語はキャサリンの圧勝で終わってしまったのでした。
ラグビーで言えば140対0くらい。
野球で言えば、5回コールド36-0くらいでしょうか。
プロと高校野球くらいのレベルの違いがありました。

サスペンスとしてもそこそこ。
絶対にキャサリンが犯人だと思って見ていながら、途中で一瞬自分が信じられなくなりました。
私もシャロンお姉さまの掌の上でコロコロと転がされていたのでしょう。

まあでも、「もういいや」という感じですかね。


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2006年11月24日

県庁の星−(映画:2006年142本目)−

県庁の星1県庁の星2







監督:西谷弘
出演:織田裕二、柴咲コウ、井川比佐志、益岡徹、酒井和歌子、石坂浩二

評価:70点

公式サイト

(ネタバレあります)
県庁の職員にあれだけのエリート意識があるのかと疑問に思ったが、最近の不祥事をいろいろと見ていると、映画の描写もまんざら嘘ではなかったのかもしれない。

「なぜにそこまで」と、見ているものを唖然とさせるほど自信に満ち溢れた織田裕二の演技。いつもこいつは変わらんな、と呆れて見ているうちに、いつのまにかそれに魅了されているのが不思議だ。
前半で見せるいやみったらしい官僚主義丸出しのエリート県庁職員、後半で見せる県民の皆様の視点に立った熱血職員。その変わりようもなかなか見事。
彼に対する柴咲コウが一歩も引かない熱演を見せている。
もともと目に力がある女優だが、今回の映画でも、表情の変化だけで場を持たせ観客にしっかり意思を伝えていた。決して美人じゃないんだけどね(個人的意見です)。

県庁から民間交流の一環として三流スーパーに派遣された野村(織田裕二)は、完了意識の抜けない中で店員達とぶつかり合う。野村をリーダーとしたチームで作った弁当は全く売れず、スーパーで野村の教育役となったパートの二宮(柴咲コウ)とも言い争いばかり。
そして、早く半年の研修を終えて介護センターの一大プロジェクトに戻ろうと思っていた矢先に野村はそのメンバーから外れてしまったのだ。
戻るところをなくし、誰からも求められなくなった野村を必要としたのは二宮でありスーパーであったが、野村も二宮を必要としていたのだった。

ストーリーとしては、薄めのラブコメと中途半端なお役所批判を混ぜ合わせて、前向きに生きる素晴らしさを歌っている。
でもちょっと弱い。あの程度のメッセージ性でラブコメ度も落としてしまうと、見終わって本当に何も残らないのじゃないか。
それでもいいのか。織田裕二のための映画のようだから。そこそこ楽しかったし。

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2006年11月18日

嫌われ松子の一生−(映画:2006年140本目)−

松子1松子2







監督:中島哲也
出演:中谷美紀、瑛太、伊勢谷友介、香川照之、市川実日子、黒沢あすか、柄本明、木村カエラ、柴崎コウ、片平なぎさ、ゴリ、竹山隆範、谷原章介、宮藤官九郎、劇団ひとり、谷中敦、 BONNIE PINK、武田真治、荒川良々、土屋アンナ、AI、山田花子

評価:90点

公式サイト

(ネタバレあります)
おもろすぎる。
いやいや、これだけ悲惨で救いのない物語を「おもろい」という言葉で片付けたらバチがあたるか。
しかしおもろいのだから仕方がない。2時間10分、まったく退屈しないという凄い映画だ。

教え子の窃盗事件の罪を被り、教師の職を追われてからひたすらに不幸の道を突き進んでいく松子。
といっても、松子のバカさにもおおいに原因があるので、思ったよりも悲壮感はない。
病弱の妹に両親の愛を奪われ、ひたすらに自分を認めてもらいたい、愛されたいという少女時代を過ごしてきた松子は、次々とひどい男に騙され、ソープ嬢に身を落とし、ヒモを殺して服役し、ヤクザの女になり・・・そしてゴミで溢れた部屋の中で生活してボロボロになって最後は殺される。

え、そんな酷い話が映画になるのか、と思っていたが、中谷美紀の迫真の演技とハイテンションなミュージカルシーンが絶妙にMIXされ、そこにアニメを散りばめた漫画のようなシーンも加わって完璧な映像が繰り広げられる。
エロもあり、グロもあり、笑いもあり、涙もあり、音楽もあり、アニメもあり、そして哲学もあり、宗教まである。なんでもありに加えて量で勝負なのかと思わせるほどの怒涛の出演者たち。
あー、満腹じゃ。
ゴリはほんとうに気持ち悪かったし、荒川良々は相変わらず出てきただけで笑ってしまったし、劇団ひとりも頑張っていたし、BONNIE PINKはかっこよかったし、よくぞまあこれだけ集めたなあ。
ミュージカルも刑務所のシーンなんてかなりの完成度だと思うぞ。
最後に妹とあの世で再会するシーンには、思わずジンワリときてしまった。

正統派ではない。
料理で言えば、京料理でもステーキでもなく、いわゆるゲテモノだ。
もの凄くうまくてびっくりするんだが、それでもやっぱりゲテモノ。
日本の映画が全部これになったら、それはそれで困るんだよな。

監督の中島哲也はあの「下妻物語」の監督。
なるほど、この映画も面白いはずだ。
次回作にも期待しています。

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2006年10月15日

かもめ食堂−(映画:2006年127本目)−

かもめ食堂1かもめ食堂2







監督:荻上直子
原作:群ようこ
出演:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、ヤルッコ・ニエミ、タリア・マルクス、マルック・ペルトラ

評価:95点

公式サイト

(ネタバレあります)
ああ、たまらない、なんて素晴らしい映画なんだ。
幻のコーヒーが飲みたい。
トンカツが食べたい、しょうが焼きが食べたい、塩鮭をおかずにでっかいおにぎりが食べたい。シナモンロールも卵焼きも肉じゃがも食べたいよう!

何故か、フィンランド、ヘルシンキで日本食をだす『食堂』を開いている日本人女性サチエ(小林聡美)。そして、この女性とヘルシンキの街で出会う、ミドリ(片桐はいり)とマサコ(もたいまさこ)の二人。

サチエが店をオープンして一ヶ月が過ぎたが、やってきたのは日本アニメオタクの青年ひとりだけだった。
彼が知りたがったガッチャマンの歌詞がきっかけで、サチエはミドリと出会い、ミドリはサチエの家に居候しながら店を手伝うようになる。
二人が作ったシナモンロールがきっかけでフィンランドのオバサンたちが店に来るようになり、次第にお客が増えていく。
前半戦は小林聡美と片桐ハイリががっぷり4つに組み合って最高の演技を見せてくれる。
片桐ハイリは見ているだけで笑えてくるのである意味ずるいんだけどね。
二人の会話は、聞いているだけでニコニコしてしまうくらい癒されるのが不思議だ。
後半戦には、ここにもたいまさこが加わってさらにパワーアップ。
もうこれ以上ない「癒しのトライアングルパワー」は、ほんとに凄い。
こんな食堂があったら誰もが毎日通いたいと思うだろう。

決して派手な事件が起きて、スリルとサスペンスでドキドキになるわけではない。
どちらかと言うと淡々と日々がすぎる。
買い物をして店に行き、店を開けて働き、プールで泳ぎ、家で合気道のエクササイズをして寝る毎日。
それを続けるだけでこんな素晴らしい映画を作ることができるのだよなあ。派手な演出ばかりを見せたり、金をかければいいってものではないのだ、映画は。

サチエとミドリがフィンランドに来た理由は結局明らかにされない。
サチエの過去でわかることは、唯一おにぎりのエピソードだけだ。これがまた泣けるのだ。
マサコは両親の介護から解き放たれての一人旅。でもマサコの場合はなぜフィンランドを選んだのか明らかにされない。
3人は穏やかにそしてお互いを信頼してチームを組んでいる。
決して他人の秘密を探ろうともしない。
そしてかもめ食堂は、ついに満席になった。

気負わず、平常心で、やりたいことに真面目に取組む。
「まじめにやっていればお客さんは来てくれる」
サチエのセリフを私は噛み締めたのだった。俺も頑張らねば。

ミドリはきっとあのオタク青年と結婚してフィンランドに永住するぞ。

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2006年10月07日

恋に落ちる確率−(映画:2006年123本目)−

恋に落ちる確率1恋に落ちる確率2







監督:クリストファー・ボー
出演:ニコライ・リー・カース、マリア・ボネヴィー、マヌエル・アルベルト・クラロ、モーゲンス・ルーコフ、クリスター・ヘンリクソン

評価:86点

(ネタバレあります)
フランス映画かと思って見ていたけど、デンマーク映画だったのか。
デンマークってどこだったか。国の土地が海面より低い国じゃなかったっけ。それはオランダか。あ、陶器と家具で有名な北欧の国か。ううむ、よくわからん。

2003年カンヌ国際映画祭で、カメラ・ドールと批評家週間の最優秀作品賞をダブル受賞。なるほど確かに面白くて見事なカメラワーク。
なぜそこでハンドカメラ?、なぜそんなに粒子の粗い映像を使う?、なぜ白黒とカラーを混在させるの?、画面が明るすぎるし暗すぎない?、静止画のつなぎ合わせが多すぎないか?、といろいろ思ってしまうところがいかにも「映画好き」のため映画を感じさせてくれて(私には)楽しかった。映画を見ながら、そして見終わったあとに、ああでもないこうでもないと議論できるポイント満載だ。
登場人物の位置を指し示す航空写真のアイデアも面白いし、光と影と煙で演出された映像はため息が出るくらい美しい。

ストーリーは難解。
難解と言うよりは不可思議かな。

恋人のシモーヌとデートの途中に、人妻のアイメに一目ぼれしたアレックス。アイメを追いかけたアレックスはアイメと一夜を共にする。
ところが翌日自分の家に帰ると、家はなくなっていて、大家も恋人も友人も誰も自分を覚えていなかったのだ。
どこまでが現実でどこからが幻想なのか、誰が実在して誰が幻なのか、見ていてまったくわからない。
アイメを選択するということは、全てを捨てるということなのかと思っていたら、最後にはアイメも消えてしまう。
アレックスがアイメと再会した世界では、アイメもまた自分のことを知らない人になっていた。

この映画の解釈に正解はない、とDVD付属映像のインタビューの中でマリア・ボネヴィーが話していた。彼女は一人二役。決して絶世の美女ではないが、妙に印象に残るいい女優だ。
さらに監督がインタビューで、「映画の題名が内容の全てをあらわす」と話していた。
原題は「リコンストラクション」、再構築という意味だ。
アレックスは運命の人を選んで一度全てを失い、運命の人を信じられなくなってまた全てを失ったということか。
彼はまた人生の再構築を始めていく、ということになるのか。
でもやはりよくはわからない。

物語のカギを握っているのはアイメの夫で小説家のオーガスト。
アレックスは彼の小説に紛れ込み、そこからまた放り出されただけなんじゃないかと私は思ったのだが、それもひとつの解釈にしか過ぎないだろう。

ま、たまにはこういう癖のある映画を見るのも映画ファンにはたまらない楽しみだったりするわけでしょう。
私も楽しませていただきました。

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2006年09月18日

キス★キス★バン★バン−(映画:2006年115本目)−

キスキスバンバン1キスキスバンバン2







監督:スチュワート・サッグ
出演:ステラン・スカルスガルド、クリス・ペン、ポール・ベタニー、ピーター・ヴォーン

評価:92点

(ネタバレあります)
今年の4月に公開された「キスキスバンバン−LA的殺人事件」とは違いまっせ。こちらは2000年のイギリス映画。
いろいろネットで調べてもよくわからないのだが、ストーリーも関係はないようだ。LA的〜のほうも9月8日にレンタル開始になっているので、間違ってお借りになりませぬように。新しいのはこちら

今年公開のキスキスバンバンは評判も散々で日本での公開もとっとと打ち切りになってしまったらしい。
ところが2000年製作の「キス★キス★バン★バン」のほうは最高に面白い。

殺し屋の組織を抜けた中年のおっさんフィリックス(ステラン・スカルスゲート)が主人公。生きるために彼が選んだ仕事は、33歳になるまで外出したことのない引きこもりのババ(クリス・ペン)の「子守り」だった。フィリックスの勝手な行動に怒った組織はフィリックスの命を狙い、ドタバタハードボイルドが展開されていく。

外界を知らないために純粋無垢な子どもの精神を持ち合わせているババと冷酷な元殺し屋のフィリックス。
この二人の行動はコメディであってファンタジーであり、見ているものの顔を思わずほころばせる魅力がある。
ババはもちろん、フィリックスも大人になりきれないガキである。
いい年をして、死の床にある父親と正面から向き合うことができず、恋人から子供ができたと伝えられても父親になるための一歩が踏み出せない。ババに「怖がらなくていいよ」なんて言われる始末。
ババの父親ももちろんガキ。
まともな男は、フィリップの命を狙う組織からフィリップを影で守り続けるポール・ベタニーくらいか。
そうそう、ポール・ベタニーはかっこよかったなあ。
フィリックスはババとの生活を通じて大人になっていく。そして、引きこもりから外界へと飛び出したババにも恋人ができて、すべてが丸く収まろうとしたときに悲劇は起きたのだった。

フィリックスが酒やタバコや音楽をババに教え込んでいく姿は思わずニヤリとしてしまう。
無邪気なババが、オカネを切り刻んだり、フィリックスの全身にニコチンパッチを貼ってしまうところも楽しい。
女優陣もみな魅力的だった。
かっこいい音楽、お洒落な映像、そしてハードボイルドタッチで盛り上げておいてセンチメンタルに締めるラストシーン。
うーん、よくできた映画だ。文句をつけるところがないじゃないか。
キス★キス★バン★バン


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2006年08月04日

玩具修理者−(映画:2006年101本目)−

玩具修理者1玩具修理者2






監督: はくぶん
出演: 田中麗奈、忍成修吾、麿赤児、姿月あさと、美輪明宏

評価:55点

題名のインパクト。設定の面白さ。それ以外にはなにもない。
でも47分だから、洗濯機が回っている間や、炊飯器でゴハンが出来上がるまでの待ち時間にはちょうどいいのかも。
私は深夜のスポーツニュースが始まるまでの時間つぶしに見てみました。

原作は、小林泰三のデビュー作であって、第2回日本ホラー小説大賞の短編部門の受賞作。なるほど、たぶんこれは小説で読んだほうがイメージが膨らむだろうしきっと怖くて面白い。
玩具修理者の持つ、独特のおどろおどろしい雰囲気も、文章から感じるほうがリアルなはずだ。
そして、命あるものとないものの間にはいったい何があるのかという問いも、久しぶりにちゃんと考えてみたくなるに違いない。

映画はダメダメである。
斬新でスタイリッシュな映像を狙ったに違いない玩具修理者の姿は、なんだかわけがわからず眠くなるばかり。
回想シーンに中途半端なモヤをかけるなんて、いったいいつの映画なんだ、工夫もなにもありはしない。
骨董品のおもちゃ屋から始まって、回想シーンに入るという展開もあまりにも普通。
たった47分なんだから、もっとインパクトを残せるような思いきったことはできなかったのか?
オチもまるわかりの馬鹿馬鹿しいストーリーに加えて、出演者もなんだか魅力がない。美輪明宏の声だけが奇妙に耳に残ってしまった。
つまらなさは、デビルマン並みだが、短い時間で終わってくれて、見る人に迷惑をあまりかけなかったのでこれくらいの点数かな。
あ、小説を読みたいとは思わせてくれたので、それには感謝しよう。

しかしなんで「ようぐそうとほうとふ」?

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2006年07月10日

カーズ−(映画:2006年92本目)−

カーズ1カーズ2







公式サイト

監督:ジョン・ラセター

評価:90点

(ネタバレあります)
トイ・ストーリーをはじめてみたときに、そのCGのリアルな質感に驚いたものだ。
あれは画期的な映画だった。
それからPIXERはいくつものCGアニメ映画を作ってきたが、今回の完成度の高さにはまたも驚愕させられた。
車たちが疾走するアメリカの大自然は、もはや現実の風景よりもはるかに現実らしく、そして美しい。
何度映像に見とれてしまったことだろう。
車のメタリックな質感も文句のつけようがない。
磨かれた美しい車体の時には、走る車に見事に周囲の風景が写りこむ。
砂埃にまみれてくると、その車体の輝きが次第に鈍くなってきたりする。
どこまで丁寧に作りこんでいるのだろう。
いやはや、恐れ入りまする。

こんな完璧な映像に、直球ど真ん中のストーリーを組み合わせ、それでいて適度なユーモアも交えてくるのだから面白くないわけはないのだ。
直球ど真ん中が物足りない、という人はいるかもしれないが、私にはこのぐらい素直な展開がちょうど心地よかった。映像と物語をバランスよく楽しめるつくりになっていると思うのだ。

主人公のマックイーンは新人レーサー。
新「人」といっても、カーズの世界は車しか出てこないのでちょっと違うかもしれないが。
ピストン・カップというレースの最終戦、マックイーンは他の2車と同着になり、1週間後にカリフォルニアで再決戦のレースが行われることになった。
そこに移動する途中でアクシデントから道に迷い、マックイーンが迷い込んだのが、今は寂れてしまったラジエーター・スプリングスという街。

すぐにでもこの街をでてカリフォルニアに行きたかったマックイーンだが、いろいろと足止めを食っているうちに街の車たちとのふれあいの中で、成長していくという物語だ。

若く自信に満ちた傲慢な若者が人間として成長していくという王道的なストーリーに、もうひとつ、寂れてしまった郊外の街の生活という、ゴーストタウンが生まれているアメリカの現状への警鐘なのか、スローライフの薦めなのか、そういったものが加わってなんとなく深みを増している。
もちろん、なんとなく、であって、決して強烈なメッセージを感じるつくりではないから、説教くさいものが苦手であっても大丈夫でしょう。

そんな「ちょっといい話」的なストーリも魅力ではあるが、やっぱり見どころはCG。
そして細かな遊び心。
いや、よかった。

ディズニーは、PIXERの手を借りずに作ってこけた「チキンリトル」に懲りたのか、今回はPIXERを買収してしまい共同でまたこの映画を作ったのだった。
やることも強引だわ、アメリカの会社は。

ああ、俺の車もしゃべらないかなあ。

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2006年05月28日

GOAL!−(映画:今年69本目)−

goal1goal2







監督:ダニー・キャノン 
出演:クノ・ベッカー、スティーヴン・ディレイン、アンナ・フリエル、アレッサンドロ・ニヴォラ、マーセル・ユーレス、デヴィッド・ベッカム、ジネディーヌ・ジダン、アラン・シアラー

評価:91点

公式サイト

(ネタバレあります)
おっさんは、泣いてしまいました。
最後の最後、祖母からのあの電話は反則じゃ。

ワールドカップに時期をあわせた単なる便乗映画ではない
単純なスポ根サクセスストーリーでもない。

様々な要素を実にバランスよく盛り込んだ、感動的な青春物語とでもいうべきものだろう。

メキシコで貧困にあえいでいたサンティエゴの家族は、国境を違法に越えてロスでの生活を始める。
夢を持ってやってきたアメリカでの生活も決して楽なものはなく、日々の肉体労働の合間に草サッカーをするサンティエゴ。
だが、1人の元スカウトが彼の才能に眼をつけ、イギリスプレミアリーグへのトライアウトに誘ってくれたのだった。

成功と挫折を繰り返しながらサッカーの世界で成功していく様子はどこにでもあるスポ根物語。
一度目のトライアウトの失敗を乗り越え、練習生からリザーブチーム入り、そしてついにプレミアリーグでの試合出場。
最後の試合では見事なアシストとフリーキックの直接ゴールでエンディングとあまりにもベタな展開だ。
しかし、彼を取り巻く脇役とサブストーリーが素晴らしいために内容に飽きが来ないのだ。

一番の感動は親父との確執とその和解だろう。
よかれ、と思って自分の人生観を押し付ける父親と、それに反発して家を飛び出す息子なんていう設定はどこにでもあるが、この親父役のおっさんが実に頑固そうではまり役。
二人は和解しあえぬままに、父親が突然他界する。
わかりあえぬままに終わってしまったように見えた二人の関係は、最後の最後に見事な結末を迎える。
これは泣く。
おっさんにはとくにたまらん。

サンティエゴを誘ったスカウトのグレン、チームの監督、ガールフレンドとその母親、わがままで女にだらしないチームの花形選手。
それぞれなんともいい味を出していて、みんな完璧だった。
とくに素晴らしかったのは、サンティエゴの祖母と、弟。
かわいらしい祖母はサンティエゴのイギリス行きをお膳立てし、遠くから彼の活躍を応援する。
耳の大きな弟は、ニューシネマパラダイスの主人公の少年時代を髣髴させてくれた。
二人があらわしていた「家族愛」にもグッときます。

ベッカムとジダンとラウールが一瞬登場している。
サッカーにはほとんど興味のない私でもこのあたりの顔ならなんとかわかるが、ぎこちない演技はなかなか笑えました。

懸念されるのはこれが3部作になってしまうということ。
これ以上主人公が調子よく成功してくと、見ていても冷めてしまいそうだが大丈夫だろうか。


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2006年04月10日

亀は意外と速く泳ぐ−(映画:今年49本目)−

亀1亀2








監督:三木聡
出演:上野樹里、蒼井優、岩松了、ふせえり、松重豊、村松利史、緋田康人、要 潤、森下能幸、松岡俊介、水橋研二、温水洋一、岡本信人、嶋田久作、伊武雅刀

評価:90点

公式サイト

(ネタバレあり)
いやあ、笑った笑った。そして楽しくなった。
上野樹里ちゃんみたいな新妻。俺なら絶対に日本においたままで海外へ単身赴任なんてしないぞ。
どこまでも一緒にいるぞ。
そうだ、単身赴任で彼女を放り出すから、スパイになんてなってしまうのだ。

ゆるゆるの展開のわりには締めるところはきっちり締めている。
スパイなんて口だけで、半分幻想のような設定かと思いきや、ちゃんと500万円が活動資金としてすぐに出てくるし、スナイパーの豆腐屋は、銃をぎっちり揃えていて、バシバシうちまくる。
しかし、その締め加減がまた、なんだか笑いにつながってくるからたまらない。
なんともレトロな商店街にレトロな商店街内放送。
そんなところに暗号が隠れているなんて・・・。

スパイを追いかけるほうも伊武雅刀だからなあ。それはもうメチャクチャだ。公安体操の馬鹿馬鹿しさは笑ったし。

肩の力を抜いて、にっこり笑って最後まで見ることができます。
ドタバタゆるゆるコメディでありながら、画面からはどんな過不足も感じられない。脚本、演出はもはや完璧。
邦画のレベルって高くなってると思うのは私だけでしょうか。

タイトルの意味は、「陸では遅い亀も水中では意外に速いのと同様に、普通の生活をしている人も水面下では意外なことをしてる」ということらしい。なるほど納得。潜伏スパイは大変なのです。

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2006年03月13日

五線譜のラブレター−(映画:今年37本目)−

五線譜のラブレター1五線譜のラブレター2







監督:アーウィン・ウィンクラー
出演:ケビン・クライン、アシュレイ・ジャッド、ジョナサン・プライス

評価:90点(100点満点)

公式サイト

ううむ、ミュージカルが好きなので、ミュージカル映画にはついつい甘い点数をつけてしまう。
しかし、実際によかった。
アメリカでは有名な作曲家、コール・ポーターの自伝のようなかたちでストーリーは展開されますが、中身は彼の妻、リンダとの愛の物語ということになるのでしょう。

ポーターがバイ・セクシャルであることをひっくるめて、彼を愛したリンダは、ポーターの才能を活かし、彼を成功に導きます。
しかし、決して単に寛容な神の慈悲のような愛ではなく、ところどころで強い嫉妬の炎も湧き上がる。
男性の恋人ができるたびに、パリからニューヨーク、そしてハリウッドに移り住んでいったのも、ポーターの成功を願っていたからだけではないでしょう。

脚本も単純なミュージカルではなく、映画の中の舞台と映画の中の映画が混ざり合って、これこそエンタメというものを見せてくれる。
昔のヒットナンバーをそんなに知っているわけではないけど、雰囲気たっぷりのダンスや歌はたまらなくいい。
セットも衣装も豪華で、見ているだけで楽しくなるし。
なんでも有名な歌手が何人も出ているらしいが、そのへんに疎い私には、よくわかりませぬ。(エルヴィス・コステロ、シェリル・クロウ、ナタリー・コール等)

リンダを演じたのはアシュレイ・ジャッド。
「ツイスター」に出ていたけど、あれはわけがわからん映画だったし、アシュレイもあまり印象に残らなかった。
「ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密」にもちょっと出ていたか。
しかし、この映画のアシュレイは素晴らしかった。
ポーターとであった頃から、老婆になるまでを見事に演じている。
そんでもってかわいいのだからたまりません。

あと20分短くまとめてくれればもっと点数が上がったのだが、若干冗長になりすぎたのが残念。

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2006年02月19日

コントロール−(映画:今年26本目)−

コントロールコントロール2








監督:ティム・ハンター
出演:レイ・リオッタ、ウィレム・デフォー、ミシェル・ロドリゲス

評価:84点(100点満点)


凶悪殺人犯を薬の力で善人にする。それは悪人正機説をこの世で実践してしまうということ。本当に人間の性格を薬で変えることができるのか。

ということで、レイ・リオッタとウィレム・デフォーという濃い濃い濃い二人が最初から最後まで絡みどおしの映画です。
「おなかいっぱいになったわりには、味付けが結構地味だったね」
「あら、でもこれが本場の味なのよ」
「そっか、安心して食べられるからこれはこれでいいのか」
「値段もそこそこだしね」

お金はかかっていないでしょう。
CGやワイヤーを使った派手なアクションなんてひとつもありません。
清く正しく真面目な演出です。
それだけに、主役二人の演技にかかる比重が非常に大きいと思うが、なかなか見事なものでした。
レイ・リオッタは最初はどうしようもない凶悪犯の顔付で暴れまわっていながら、途中からは瞳ウルウルの好青年になってしまいます。
いやはや同じ人とは思えなかったぞ。
そしてデフォーは終始強烈。
レイ・リオッタに逆切れして殴りかかるシーンなんて、「お前が薬を飲めよ」と思ってしまったほど。

地味なストーリー(多少無理はあったが)も、凶悪殺人犯であったはずのレイに、いつの間にか肩入れして応援してしまうよう、うまく作られている。

ラストはあれでしかたないだろうなあ。
プ●●●●っていうのは予想してなかったけど、いくら善人になっても彼の過去は消えないのだから、ストーリー上、死ぬしかなかったのだろう。

イケズな上司にあの薬を飲ませたい。

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2006年02月18日

クラッシュ−(映画:今年24本目)−

クラッシュ1クラッシュ2







監督:ポール・ハギス
出演:サンドラ・ブロック、ドン・チードル、マット・ディロン、ジェニファー・エスポジト、ウィリアム・フィットナー

評価:90点(100点満点)

公式サイト

「それでも私たちは生きていくのだ」

(以下ネタバレあり)

 『ミリオンダラー・ベイビー』の製作・脚本でアカデミー賞にノミネートされたポール・ハギスの監督デビュー作。
ロサンゼルスのハイウェイで起こったひとつの交通事故から物語は始まる。
次の場面はその前日の出来事、そして多くの登場人物のそれぞれのエピソードが流れるように展開されていき、次第に収束していく様は見ごたえがある。
ただ、ラストになっても決してすべてが解決されるわけではない。
いくつかの救いと同じ数だけ絶望も生まれ、物事はさらに複雑に絡み合いどこに進んでいくのかも見えない。
でも、それこそが人生であって、それでも人間は生きていこうとするのだろう。

前半は少々かったるい。
あからさまな人種差別がクローズアップされるために、一種の息苦しさを感じるのと同時に「もういいよ」という辟易とした気持ちになってしまう。始まってから40分くらいの評価は50点程度だった。
ところが後半からの展開が素晴らしい。
善も悪もなにもかもをごった煮にしたリアリティ溢れる人物描写に引き込まれてしまう。
情緒不安定な自分を抑えきれないサンドラブロックに感情移入する人もいるだろうし、差別主義者でありながら事故現場では体を張るマット・ディロンに納得する人もいるだろう。
見えないマフラーのエピソードは、子供を持つ親にとっては心揺さぶられる話だし、正義感に溢れていながら、自分が射殺した黒人少年を置き去りにする若い警官の弱さもよくわかる。

それぞれの怒りと哀しさと絶望と希望。(喜びは描かれてなかったかな)
それらを十分に堪能し、人間社会の抱えるすべてを感じる映画なのでしょう。

難を言えば、わかりにい。
群像劇であることに加えて、時間軸も微妙にいじってるものだから、ついていくのがつらいぞ。
グラハムの弟が死んでお母さんが泣いているところっていうのはどこに入るのかよくわからん。
不法入国者を黒人少年が解放してるところとか、事故から救出されたTVプロデューサーの妻が電話してるところとか、どれとどれが並列なのか難しいな。
ま、いいや。
なんとなくわかれば。
(ほんとか?)

そうそう、音楽と、そしてロスの夜景も素晴らしい。

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2006年01月08日

キング・コング−映画を見たで(今年2本目)−

キングコング1キングコング2







監督:ピーター・ジャクソン
出演:ナオミ・ワッツ、エイドリアン・ブロディ、ジャック・ブラック、
トーマス・クレッチマン、ジェイミー・ベル、コリン・ハンクス、アンディ・サーキス

評価:90点(100点満点)

公式サイト

怒涛の3時間。
息をつかせぬ凄まじい展開と、信じられないほどの完成度を持ったCGを組み合わせて作られた大スペクタクル。

(ネタバレあります)
1933年の同名映画のリメイク版。
2回ほどリメイクされているが、1930年代という設定でリメイクしたのは今回が初めてらしい。
でもそれでよかったんだろうな。
2005年の設定になったりしたら、コングはもっと簡単に捕獲されていただろうし、マンハッタンの劇場で公開されるなんてありえない。
万が一逃げ出してもミサイル1発で終わりであって、エンパイア・ステート・ビルディングに登ってる暇なんてなかっただろう。

3時間は長いようで思ったよりは短かったが、やっぱり長いかも(どっちやねん)。
コングが出てくるまで1時間かかるからなあ。
これは我慢のしどころです。
もちろん、コング出現までの展開もドキドキハラハラなので飽きはしませんが、ときおりハッとわれに返り、「あれ、まだ出てこない」と思わずつぶやいてしまうのです。

前半の山場は、なんといっても白目の妖怪たちでしょう。
こいつらほんとに怖い。
中盤の山場は、2つ。
コングとナオミワッツの絡み(コングに握られて振り回されているナオミワッツは、脳味噌が揺れすぎて死んでしまうのではないかと心配したほど)。
そして、恐竜とのパニックかけっこシーン。
あ、戦慄のコックローチ軍団もありました。
終盤の山場は言わずもがなですな。
エンパイア・ステート・ビルから見る、マンハッタンの朝焼けのなんと美しいことか。

どう考えてもここで死ぬしかないキング・コングの理不尽な境遇とあいまって、見ている人の心をグッと掴みます。

ただ、私としてはもうひとつなんか欲しかった。
コングとアン(ナオミ・ワッツ)の間に流れる愛情がいまひとつ伝わってこなくて感動が少なかったのだ。
確かに、仕草と表情と泣き声だけで、見事に感情を表現したコングは凄かったし、ナオミ・ワッツは綺麗だった。
でも、どう考えてもこの二人に愛が育つのは無理に思えてしまう。
素直に感動できないのは私の心が汚れているからだろうか。
そうだと言われれば謝るしかないのだが。

そうそう、ナオミ・ワッツが欽ちゃん走りをしていた。
あれは世界レベルの芸だったのかー。
ナオミワッツ

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