映画:は行

2011年01月30日

パリより愛をこめて−映画:2011-3−

パリ1パリ2

監督:ピエール・モレル
出演:ジョン・トラヴォルタ、ジョナサン・リース・マイヤーズ、カシア・アナ・スムートニアック

評価:85点

細かいことはゴチャゴチャ言わず、とにかくスカッと爽快にさせてくれる最高にカッコよく面白い映画だった。
なんといってもトラボルタ。
スキンヘッドでひげ面でいかにも怪しげ。
でも凄いんです。銃をガンガンぶっ放して容赦なく敵を倒していく。
ここまで躊躇せず突き抜けて暴れてくれるとなんの心配もなくアクションに心酔できます。ほんと最高。
56歳の体は少し重そうだったけど、目いっぱいのアクションは説得力も十分。堪能しました。
もうひとつは脚本の面白さ。
ストーリー自体はかなり適当で、敵の組織や狙いもよくわからないし、あれだけ暴れてどうやって後始末してるのかも不明だけど、そんなところのつじつま合わせよりは細かい演出で笑わせ楽しませてくれる。
覚せい剤のぎっしり入ったでっかい花瓶を持ってジョナサン・リース・マイヤーズがアタフタウロウロする前半はそれだけで笑えた。

製作はリュックベンソン。
スピード感にもなるほど納得です。


あらすじ (途中まで・・・)- goo映画より

ジェームズ・リース(ジョナサン・リース・マイヤーズ)はパリのアメリカ大使館に勤めながら、CIA捜査官見習いという裏の顔を持っていた。それは、上司のベニントン大使(リチャード・ダーデン)や、フランス人の婚約者キャロリン(カシア・スムトゥニアク)にも秘密だった。ジェームズは、待望の上級レベルの任務を命じられる。しかし、相棒としてアメリカから送り込まれたチャーリー・ワックス(ジョン・トラヴォルタ)は、スキンヘッドでバイカーファッションに身を包み、自ら銃を抜いて犯罪者を倒すことを信条とする規格外の男だった。ワックスの予測不可能な行動と毒舌に、リースは不安を覚える。到着早々、空港でひと悶着起こしたワックスは、ドラッグ密売組織のアジトである中華料理店に乗り込み、銃撃戦を繰り広げる・・・。



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2009年10月18日

ヘルボーイ ゴールデン・アーミー−(映画:2009年鑑賞)−

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監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:ロン・パールマン、セルマ・ブレア、ダグ・ジョーンズ、ジェフリー・タンバー、ルーク・ゴス、アンナ・ウォルトン、ジョン・ハート、ジョン・アレクサンダー、ブライアン・スティール

評価:77点

前作を見たのかどうか思い出せず、とりあえずヘルボーイ第2作目となるこれを借りてきましたが、やはり第一作目は見ていなかったようだ。
で、主人公のツノが何で折れているのか等、物語の前提はまったくわからなかった。子供時代に何かあったのか?
そもそもヘルボーイって何者?
ただ、前作を見ていなかったとしても恐らくほとんど問題なくストーリーに入っていけるし、途中も困ることはほとんどない。原作がそもそもそんな感じなのかもしれないが。

アメコミ映画化なので、カラットしたアクション重視路線か徹底的にダーク路線なのかどちらかだろうと思って見始めたのだが、予想外にアーティスティック+コメディタッチ。それが結構楽しめた。
敵だか味方だかわからない、ややこしい生物が次々と出てくるのだが、それがどれもこれも非常に凝った作りをしていて見ていて楽しい。
本当にチラリとしか出てこない生物も結構いたと思うのだが、そんなところにも手を抜いていないというのは、それだけで好感が持てて映画への印象がいい方向にググっとシフトするというものだ。

ストーリーはたいしたことがないのだけれど、ヒーロー達の恋愛がふんだんに織り込んであったり、コントチックな場面もあって退屈しなかった。
それより実は私はセルマ・ブレアが結構好きなので、彼女を見ているだけでも十分OK。
セルマになら火をつけられてもかまわないかも。

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2009年09月07日

バンコック・デンジャラス−(映画:2009年)−

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監督:オキサイド・パン、ダニー・パン(ザ・パン・ブラザーズ)
出演:ニコラス・ケイジ、シャクリット・ヤムナーム、チャーリー・ヤン

評価:68点

会社に、顔が長くてハゲ始めた先輩がいる。
「ひょっとしてニコラス・ケイジを目指しているんですか?」などと失礼な問いかけを先日してしまったが、そんな私はニコラスを遥か昔に通り越して、ブルース・ウィリス段階である。
いえ、あんなふうにかっこよくハゲられれば言うことないけどね。

ニコラス主演の映画をたいてい見てしまうのはなぜだろう。マツゲバシバシのかわいらしい目とアンバランスなハゲがアップになるたびに微笑ましい気持ちになって明日もまた頑張れるからだろうか。
ちょっと鈍いキレの悪いアクションにどこか懐かしい雰囲気を感じるからだろうか。

ニコラス主演ということを除いてしまうと、なかなか突っ込みどころの多い楽しい映画だった。
クールな殺し屋なはずなのに、情に流されまくり。トラブルに巻き込まれたのは全くの自業自得でしかない。
女性関係だってちょっとしたアクセント程度かと思いきや、この映画ではどっぷり純な恋愛にはまってしまい、見ていて苦笑するしかないのだ。
日本人の場合、クールで孤独な凄腕殺し屋という設定だとどうしてもゴルゴ13を思い出す。だから違和感が強いのかも。
私も映画を見ながら、いやいやゴルゴならそんなことはしないよ、と何度も思ってしまった。

タイで請け負った4件の暗殺。
弟子入りを受けた時点で、弟子が捕らえられて助けに行く展開は想定内。さらに4人目のターゲットが例の人物になることもすぐにわかってしまう。そこで引き金を引かないことも・・・。
ラストは少々予想外だったが、ゴルゴなら逃げ切れたんじゃないのか。あ、ゴルゴではなかったか。でも弟子のコンは助けられたのではないのか。
そんなことを考えながら見終えてしまい。なんだか消化不良だった。
もう少し脚本を練りこんでもらいたいもんだ。アクションも平凡だったしなあ。

それでもニコラス・ケイジを応援してます。
ハゲオヤジ仲間として。

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2009年09月05日

ハンサム★スーツ−(映画:2009年)−

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監督:英学

出演:谷原章介、塚地武雅、北川景子、佐田真由美、大島美幸、池内博之、ブラザートム、伊武雅刀

評価:80点

笑えて、少し考えさせられて、最後まで楽しめた。
塚地武雅がハンサムスーツを着ると谷原章介になるという設定がもうわけわからんのだけれども、それを違和感なく成功させているのはなんといっても谷原章介の演技。結構よかったんではないでしょうか。
谷原章介のことはよく知らない。日曜日の朝から昼にかけての番組でたまに見るけれど、決して気の利いたコメントを連発しているわけでもなく目に留まらない。そんなことを言ったらファンにしばかれるか。
でも、これからは少し見る目が変わりそうだ。嫌味のないハンサムが物語に良く合っていたと思う。
塚地の演技がそこそこうまいのはわかっていたけれど、さらによかったのは大島美幸。素晴らしい。できれば大島美幸のままで幸せになって欲しかったけど、ん、あれ、同一人物だから別にいいのか。いや、そうではなくて「人は容姿ではない」という設定を貫くのであれば・・・。あ、だから容姿はどっちでもいいということであのエンディングでよいのか。
ん、たぶんいいのだろう。

佐田真由美のオーラは凄かった。
さすがに「幼少の頃からモデル(サイトのプロフィールから)」だ。

80年代ミュージック、多彩な登場人物と、適度な小ネタをうまく混ぜ合わせ、中だるみを見せないまま一気にラストまで走りぬく。そんな演出もうまかった。

さて、ハンサムな世界とは無縁の私だけれど、小さい幸せを見つけて明日からも頑張って生きていきます!
でもハンサムスーツがあれば1ヶ月くらいは着てみたいかも。
ジローラモでも我慢します。

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2009年02月14日

フェイクシティ ある男のルール−(映画:2009年8本目)−

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監督:デヴィッド・エアー
出演:キアヌ・リーヴス、フォレスト・ウィッテカー、ヒュー・ローリー、クリス・エヴァンス、コモンコーツ、ザ・ゲーム、マルタ・イガレータ、ナオミ・ハリス

評価:79点

相変わらずかっこいいキアヌだけど、アップになると少し老けたなと感じてしまう。
うまく歳をとっていい俳優になれるかここ数年が正念場だな、などとついついストーリーと関係ないことを思ってしまったのは、物語の最初からあまりにも黒幕やストーリーがわかりやすい展開になったからだ。
警察を題材とした映画や小説は世の中に溢れかえっているのだから、多少のことでは見るほうも驚かない。派手なカーチェイスや銃撃戦はもちろん、汚職警官、マフィアとのつながり、事件の隠蔽、黒幕が上層部などというのもよくある話。さらには、「酒びたりだが正義感の欠片は心の奥底に残っており、過激な行動は過去に妻が殺された事件が理由」などという典型的な不良警官ラドローをキアヌが演じたりするものだから、全てのシーンが、いつかどこかで見たことがあるように見えてしまう。

ただ、だからといってダメ映画になっていないのはキアヌの存在感なのか、微妙に脚本が巧いのか、その両方なのか。
途中からキアヌを手伝ったディスコ(クリス・エヴァンス)の笑顔を見せないクールな演技はよかったなあ。最初から死亡フラグ立ちまくりで実際にそうなってしまったのが残念だけれど。ミルコ・クロコップのような雰囲気だった。

ラストは若干の想定外。
ラドローが黒幕を内部調査部に突き出すものだと思っていたが、内部調査部も彼を利用して警察内部の粛清を計画していたとは、なるほど。
結局、組織のコマとして動かされてしまったラズローにわずかながらもサラリーマンの悲哀の欠片を重ねてしまった。

誰か、想定外のテーマで警察映画を撮って驚かせてくれないだろうか。
あ、宇宙人っていうのはなしで。

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2009年02月12日

ベンジャミン・バトン 数奇な人生−(映画:2009年7本目)−

バトン1バトン2

監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、エル・ファニング、 ティルダ・スウィントン、ジュリア・オーモンド、タラジ・P・ヘンソン、ジェイソン・フレミング

評価:88点

人生を逆に生きる。
老人のように生まれたベンジャミンバトン(ブラッド・ピット)は、80年の人生を普通の人と逆に若返りながら生きていく。
確かにありえないことだが、発想としては実に単純。でもそれを実際の人生に当てはめると様々なドラマがそこにうまれる。
普通に生まれて老いていくデイジー(ケイト・ブランシェット)と愛し合う設定になっているから、余計にその運命が際立つのだ。

ベンジャミンの人生に起こったことは、彼が普通の順序で人生を生きたとしても同じように体験したことと、そうでないことをはっきりと示してくれる。
赤ん坊になって全てを忘れて息絶えていく最期は、アルツハイマーになってオムツをあてられて人生を終えていく老人とどこが違うだろうか。
車椅子から立ち上がり歩き始めるところは、ハイハイしていた赤ん坊が立ち上がるのと同じだ。
どんな順序で生きても人生は人生だぞと言っているようだ。
一方でベンジャミンにとっての人との関わりは全てが一瞬だ。
愛するデイジーとは人生の数年しか同じ年齢としての時間を過ごせない。
娘の成長を見ることもできない。
生まれたときに知り合った老人仲間は次々に死を迎えていく。

ブラピが若返っていく映像や、ケイトが徐々に老いていく映像は素晴らしい。全てに見入ってしまう。
若いころのケイト・ブランシェットの映像も綺麗だが、若返っていくブラピはそれ以上にかっこよくなっていく様子が凄まじかった。
20歳ごろのブラピの姿が薄暗い中に浮かび上がるところなんて、ちょっとゾッとするくらい綺麗だったなあ。

いろいろ考えさせられもする。
ひょっとしたら考えさせられている気になっているだけで、そんなに深い映画ではないかもしれない(そんな気になってきた)。
でも、映像を見て楽しむだけでも価値はあるだろうからまあいいのだ。

ティルダ・スウィントンも出ています。
豪華なキャストだなあ。

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2008年12月28日

僕らのミライへ逆回転−(映画:2008年66本目)−

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監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ジャック・ブラック、モス・デフ、ダニー・グローヴァー、ミア・ファロー、シガーニー・ウィーヴァー

評価:88点

前半のテンポの悪くヌルい展開をみて、いったいどうなってしまうんだろうと心配したのが嘘のような、後半の怒涛の展開が素晴らしい。
いつもどおり大げさで無茶苦茶なジャックブラックの演技までもが、涙なしでは見られなくなってしまう。
いいよねえ、こういう映画への愛情がぎっしりと詰まった作品は。

マイク(モス・デフ)が働いているのは街角の古いビデオショップ。
このご時勢であるというのにVHSしか置いておらず、木造で建築基準法違反でもあって、市当局から取り壊しを迫られている。
そんなマイクが、店長のフレッチャーが旅行中に店を任された時に店中のビデオを全部ダメにしてしまう。
それが発電所で強い電気を体に受けて磁気人間になってしまったジェリー(ジャックブラック)のせいなのだった。
テープをレンタルしにきたお客に貸し出すために、ジェリーとマイクは自分たちで映画のリメイクを撮影してそれをレンタルする。

ここまでがヌルい。
中途半端なギャグ映画のようで、いくらジャックブラックでもこの展開で最後までいくとキツイなあと思ったところで、リメイク映画が予想外の大人気になって話は急展開。
ゴーストバスターズとラッシュアワーから始まったリメイクは、ロボコップ、キングコング、メンインブラック、ドライビングミスデイジーへとどんどん展開していく。
リメイクといったって、大学生の文化祭自主映画以下のレベルなのだが、その工夫の仕方やレトロで無茶な映像がなんとも楽しい。
確かにマニアには受けるかもしれない。
でもまあ、行列ができるほど一般受けはしないと思うけど、ここは大作に傾注するハリウッド映画を笑い飛ばしている部分もあるのだろう。

お決まりの障害が発生した後は、街の人たちが過去の思い出を詰め込んで総出で作り上げた伝説のジャズピアニスト、ファッツ・ウォーラ−の映画でそれを乗り越えていく。彼の生家は、そのDVDショップと同じ場所だといい伝えられているのだ。
この映画の撮影、そして上映になだれ込んでいくところで観るものの感情は一気に揺さぶられ、高まっていく。
センチメンタルな音楽、レトロな映像、映画を愛しているんだという思いが伝わってくる人々の笑顔。エンディングも最高でした。

ニュー・シネマ・パラダイスへのオマージュ、なのだろうね。よかった。

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2008年11月21日

P.S.アイラブユー−(映画:2008年61本目)−

PS1PS2

監督:リチャード・ラグラヴェネーズ
出演:ヒラリー・スワンク、ジェラルド・バトラー、リサ・クドロー、ハリー・コニック・Jr、ジーナ・ガーション、ジェフリー・ディーン・モーガン、キャシー・ベイツ

評価:77点

公式サイト

死んだ夫から手紙が届く。
そう聞いただけで、感動的だけれどもベタベタなお約束ラブストーリーが予想されるが、思ったよりもライトな感じに仕上げてあって非常に観やすかった。
季節が変わったことを手書き風の文字でさらりとあらわし、音楽は常に明るく軽やかで美しく、映像の切り取り方もひとつひとつがわりと短めでテンポが速く、都会的なお洒落さが満載。
都会的、などという意味のわからない形容詞はあまり使いたくないのだが、見ていてなんとなくそう思ってしまったのだから仕方がない。

登場人物も「これはラブコメか」と思わせるほどキャラが立っているにもかかわらず、見ている人にうまく共感させる演技で素晴らしい。
特にキャシーベイツは最高。
ムッツリした顔のイメージで押し通している彼女が、最後になって豪快に笑うところは爽快で、こちらも思わずニヤついてしまうのだ。

ということで主人公はヒラリー・スワンク、亡くなった夫にジェラルド・バトラー。
バトラーは序盤で死んでしまうものの(あっというまで病室の描写などワンシーンもない)、回想シーンが繰り返しでてくるので、結局ふたりででずっぱりの映画だ。
どう考えてもどこから見ても野獣系のスワンクなので、かわいい女性をどうやって演じるのだろうと思っていたが、やっぱり少々きつかった。
頑張っていたとは思うし、カメラアングルによっては一瞬綺麗に見えるときもあった。
でもなあ・・・。
まあこれ以上言うのはやめておこう。
ミスキャストとまではいかないが、このキャスティングがベストとは到底思えん。
抱き合ったとき力こぶも凄いしね。
やっぱり君は戦う女性なのだと思います。

夫から届く手紙のとおりに動くことで、ヒラリースワンクは夫の愛を確認し、そうしてゆっくりと夫を失った悲しみを癒していく。
この仕掛け自体は非常に感動的だった。
それほどまでの愛情があった夫婦だということの説得力が少々薄かったのが残念。



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2008年10月31日

眉山−(映画:2008年59本目)−

眉山

監督:犬童一心
出演:松嶋菜々子、大沢たかお、円城寺あや、山田辰夫、永島敏行、夏八木勳、宮本信子

評価:77点

母と娘の静かな愛情を描いた美しい作品だった。
正直なところ押し寄せるほどの感動もなく、ひとり自室で涙する機会は私には訪れなかった。
それでも観おわってなんともいいようがないくらいに清清しい気持ちになれる。観るものの心を清めていくような映画だった。

舞台は徳島。
眉山の麓で暮らした母と娘の物語。
東京に出て旅行会社で働く娘・咲子(松嶋菜々子)は、郷里の母・龍子(宮本信子)が入院したと聞き徳島に帰ってくる。
そこで医者から聞かされたのは今年の夏までしか持たないという母の病状。
時にきつい言葉のやり取りをしながらも、深い愛情で結ばれた二人のお互いを思う気持ちがじわじわと伝わってくる。
死を間近に迎えた母と二人で座るベンチで、母に思いを込めて何の衒いもなくかける咲子の言葉がたまらない。
そのお返しはたった1行の言葉になって母から娘にプレゼントされるのだ。

クライマックスの阿波踊りは圧巻で、その場を使っての感動的な家族の再会は見事に絵になっていた。

ただ、全体的には起伏に乏しく若干単調だったように思う。
もう少し、前半の展開をマイナスに振っておけば後半の感動は5割増しくらいになっただろう。さらに感動させるシーンもあまり上品に作らず、これでもかと畳み掛けてほしかったなあ。
それでなくても、「松嶋菜々子、夏八木勳、宮本信子」なんていう家族だと上品さの塊みたいに思えるのだから。

宮本信子は演技もうまく、立ち居振る舞いのかっこよさには惚れ惚れとしてしまう。松嶋菜々子は綺麗なのだが、鼻がひしゃげてないか?
ん、失礼ですいません。でも横顔がちょっと気になりました。
前から見ると完璧な美しさのですが・・・。

そういえば徳島に一度だけ仕事で行ったことがあるのを思い出した。
あの時は3食とも徳島ラーメン食ったような気がするぞ。

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2008年09月07日

ハンコック−(映画:2008年48本目)−

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監督:ピーター・バーグ
出演:ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマン

評価:79点

公式サイト

正義の味方のはずだけれど、アル中で不器用で住民に迷惑を掛けまくる嫌われ者ヒーロー、ハンコック。
あまり類を見ないこの設定と、派手で爽快なアクションに惹かれてこの映画を見ようと思う人は多いはず。
ところがなかなか一筋縄ではいかないのだ。
謎をまったく解明する気もないような設定に加えて、途中の思い切った展開には思わず手を叩きたくなる。
ネタバレになるので書けないが、これは予想できなかった。

だが、見終わった後の爽快感が思ったよりも薄い。
これは、悪役が弱すぎることと、主人公の苦悩がいまひとつ弱いことが原因だろう。
過去の記憶をなくしながら、超人的な体質のまま、きままに悪人退治をつづける(少なくとも記憶をなくしてから80年間)という設定であれば、そこにいたるまではいろいろと葛藤もあったに違いない。
また、セロンと出会ってからはもっと悩んで暴れてもいいくらいだ。
ハンコックが「昨日今日ヒーローになったばかりで、なんだかどうやって暴れていいのかよくわからん」という程度の人物に見えてしまって重みがないのが残念だった。

もう少し強い悪役を作ればシリーズ化もできるんではないか。
そもそもハンコックは何者かということはどこにもかかれていないし。
そうか、「ハンコック・ビギニング」とか作る気でいるのかも?

ウィル・スミスは相変わらず巧いし、シャーリーズ・セロンは綺麗だ。
ついでに言えば、あのハートマーク戦略はどうにもセンスが悪い。月もいい迷惑なのではないか。

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2008年09月02日

ベガスの恋に勝つルール−(映画:2008年46本目)−

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監督:トム・ヴォーン
出演:キャメロン・ディアス、アシュトン・カッチャー、ロブ・コードリー、トリート・ウィリアムズ

評価:80点

公式サイト

1ヶ月ほど前、丸の内でこの映画のプロモにきたキャメロン・ディアスとアシュトン・カッチャーを生で見ているからだろうか、妙に親近感を持って映画を見ることができた。こちらの勝手ですけど。

婚約者のためにサプライズ・バースデー・パーティを企画したのに、みんなのいる前で別れ話を切り出されたキャメロンと、父親の経営する会社に勤めているのに従業員としてダメだしを食らってクビになってしまったアシュトン。
失意のままにベガスに飛んだ二人が偶然に出会い酔っ払い意気投合し、記憶さえないような状況で結婚してしまったことから悲劇(喜劇)は始まる。
翌日、冷静に話し合い、別れを決めたとたん、キャメロンの25セント硬貨を入れてアシュトンが回したルーレットが3百万ドルをあててしまうのだ。

さてどちらの3億円なのか。
それぞれが言い分を主張するままに裁判所に駆け込んだところ、裁判官は6ヶ月間きちんとした夫婦として一緒に暮らしなさい。それができなければ3億円は没収という判決を言い渡す。
3億円のために泣く泣く一緒に暮らし始めた二人は、なんとか賞金を独り占めしようと様々な策略をめぐらしながらドタバタ劇を繰り返す。

最後にふたりがくっつくのはラブコメの王道なのだが、このドタバタがなかなか面白い。キャメロンの大きな動作が魅力的でかわいらしいのはいつものことだが、この映画の中盤のドタバタを成功させたのは、アシュトンをダメダメお下劣キャラにうまくつくりあげているからだろう。
キッチンで小便をしたり、パンツの中にポップコーンをぶちまけたり、あの綺麗な顔で下品な行動をするギャップがいい感じ。
それでいて、もとがいいからビシッとタキシードで決めるとやっぱりかっこいいもんね。
思い返していると、これはキャメロンの映画ではなくアシュトンカッチャーのための映画のような気もしてきた。
周囲の評価はどうだったんだろう(各ブログはこれから読みに参ります)。
個性的なキャラでワキをしっかり固めていたのもいい感じだった。
最後まで安心してみられるのに、それなりにドキドキ感とカタルシスが味わえる。やっぱりラブコメはいいもんです。
ついでに言えば、キャメロンディアスのアップはもうかなりきついんではないかと、密かに思ったりもしたのだった。

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2008年05月10日

ヘアスプレー−(映画:2008年39本目)−

ヘアスプレー1ヘアスプレー2

監督:アダム・シャンクマン
出演:ニッキー・ブロンスキー、アマンダ・バインズ、ザック・エフロン、ジェームズ・マースデン、ブリタニー・スノウ、ミシェル・ファイファー、クイーン・ラティファ、クリストファー・ウォーケン、ジョン・トラヴォルタ

評価:94点

公式サイト

(ネタバレあります)
柳原可奈子、村上知子、渡辺直美。
歌って踊れるデブや、面白くて演技のできるデブが売れている。
日本の芸能界だけかと思っていたら、ハリウッドもこんなことになっているじゃないか。
激痩せモデル体型の時代から、デブがもてる時代になっているのかも知れないぞ。
私もダイエットしている場合ではない。
あ、でも歌も踊りもお笑いもダメだ。
ううむ、私はやはり減量することにしよう。

1960年代のアメリカを舞台にした、デブや黒人というマイノリティ(デブをマイノリティというのはさすがにちょっと違うか)が、アメリカンドリームを実現させていくミュージカル・コメディ。
ブロードウェイのミュージカルを映画化したということで、とにかく画面いっぱいに元気に歌って踊りまくる。
テレビの素人ダンス番組を通じて、少女が夢を叶えていくというストーリーは実に単純で、不必要なフラストレーションを感じることもない。それでいて敵役ははっきりとステレオタイプに書かれているので、彼ら(彼女ら)がきっちりやられて終わるエンディングでのカタルシスもなかなかだ。
なにより、見ていて楽しい。
思わず体がリズムを取ってしまう。明るいデブっていいよなあと心の底から思うのだ。
主人公はそれはもう縦と横が同じくらいのコロコロ体型なのだが、両親に愛されて育った心根の優しいそして偏見を持たない笑顔の素晴らしい女の子。歌声は伸びやかで、踊りのキレは最高。息切れしないだろうかと心配しながらも視線は釘付けだ。
いやあよかった。私は決してデブ専ではないけれど、この主人公ならOKだな。(なにがOKじゃ、ばかもの)
主人公の母親役を演じているジョン・トラボルタがもうひとつの目玉。
これがまた面白い。肝っ玉おっかさん、なのかと思いきや。ガタイはでかいものの極めて女性的な母親を演じていて、見た目とトラボルタとその性格という強引なアンバランスさがまた楽しい。
トラボルタだから、踊りもうまいし。
サタデーナイト・フィーバーのポーズでもしてくれれば受けたのにと思ったが、時代設定がそれ以前だったのだな。

偏見に満ちた高慢な白人女性(ミシェル・ファイファー)を敵役に置き、人種差別や容姿での差別の壁をとっぱらい、踊りまくり歌いまくっての大団円。
Unity in Diversityなのです。

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2008年04月26日

ヒットマン−(映画:2008年36本目)−

hitman1hitman2
監督:ザヴィエ・ジャン
出演:ティモシー・オリファント、ダグレー・スコット、オルガ・キュリレンコ、ロバート・ネッパー、ルリク・トムセン

評価:80点

公式サイト

(ネタバレあります)
そんなに目立つ殺し屋なんていねえよ!と叫びたくなった。
ガタイのいいスキンヘッドで後頭部にバーコードがあって、しかも途中からは美人を連れて逃走。
乗ってる車も派手だし、これで見つからないというのは無理です。

しかし、クールでかっこよくて面白い映画だった。
殺し屋養成機関で名前もつけられず育てられたティモシー・オリファント。ロシア大統領の狙撃というとんでもない依頼も、顔色ひとつ変えずに遂行してしまう。
ところがこの依頼に裏があり、オリファントは警察と彼の所属していた組織の両方から追われる立場になってしまった。
このあたりは組織と国家が入り乱れていて非常にわかりづらい。
わかりづらいが、そんなことはあまり考えずにアクションを楽しんでいると90分弱はあっというまだ。
非情に徹するオリファントもいいし、脱ぎっぷりが気持ちよかったオルガ・キュリレンコも綺麗で最高。
彼女は007最新作のボンドガールに決まっている。
それにしてもオリファント。
女に弱いのは殺し屋にとって致命的だぞ。
ゴルゴ13を見習え。
彼は表情ひとつ変えずに女を抱くというのに。

最後は自分を死んだことにして組織や警察から追われる立場から逃れようとしたということなのか。
その前にロシア大統領に対して「お前は誰なんだ!」とか言っていたところを見ると(顔を見て、整形手術の跡がないか確認もしていた)、本物の大統領はすでに死んでいて、最後に残ってオリファントを罠にはめたりしていたのは殺し屋養成組織のボスだったということか?
んー、よくわからんけどまあいいや。
あの鍵の秘密も結局はっきりと理解できなかったし。

何者にも追われることなく、キュリレンコと二人でぶどう園で幸せな第2の人生を送れればよいのだが、そんなわけにも行かずに続編が作られることになるのだろうか。
マット・デイモンの例のシリーズのように。

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2008年04月13日

フィクサー−(映画:2008年31本目)−

フィクサー1フィクサー2
監督:トニー・ギルロイ
出演:ジョージ・クルーニー、テイルダ・スウィントン、トム・ウィルキンソン

評価:88点

公式サイト

(ネタバレあります)
ジョージ・クルーニーがでると、どんな役をやっていても「俺様映画」になってしまうところが面白い。
脚本も映像も出演者の演技も音楽もかなりのハイレベルで揃えてあり、見ごたえたっぷり。
でも、見終わった映画の印象をひとことで言えば、ジョージ・クルーニーの「俺様映画」なのだ。
画面から溢れてくる見事なまでのナルシズム。
それにタップリ酔いながら2時間楽しませてもらった。
個人的に、ジョージ・クルーニーは結構好きなので大満足。
1961年生まれで、映画デビュー後も10年近く泣かず飛ばずの下積み生活を送りながら、売れた途端にオーラ振りまく姿に大変身っていうのも、なんかいい感じだ。
下積み状態にある自分に姿を重ねているのかもしれないが・・・。

ということで、原題は「マイケル・クレイトン」。
フィクサーという「弁護士事務所の裏家業」のような仕事を追ったものではなく、あくまでもジョージ・クルーニー演じるマイケル・クレイトンを映した映画だ。

冒頭いきなりマイケル・クレイトンの乗った車が爆破される。
そこから話は4日前に戻る。
マイケルの親友だったアーサーが、弁護士事務所の顧客に不利な証拠を握り、真実を告発しようとする行動を起こそうとしていたのだった。アーサーを止めようとするマイケル。
そしてアーサーもマイケルも製薬会社から命を狙われることになる。

与えられる情報量が想像力ギリギリのところなので、見ているほうも結構疲れる。サスペンスの緊張感はラストで最高潮に高まり、かなりの感動的な爽快感を味わえもしたのだった。
ありきたりではあるが、お見事だ。

キャラの作りこみかたもなかなか見ごたえがあった。
マイケル・クレイトンは凄腕の弁護士という風情ではなく、ギャンブルにのめりこんだり、家庭で失敗したり、サイドビジネスの失敗で破産しそうになったりと、私生活はかなり危なっかしくてダメダメ。
そのあたりが親近感を持たせるのだろうか。
アーサーを演じるトム・ウィルキンソンの、精神的に少しだけ病んだ演技も素晴らしかった。
大量のフランスパンを小脇に抱え、ジョージ・クルーニーとやりあう場面。最初は病的な言動をしていたのに、事件への決意の場面では一転して正気に戻ったかのように信念を画面にぶつけてくる。
うまいよなあ。

何故?という箇所もいくつかあったが、まあそれはおいおいわかるだろうということで、映画としては極上です。

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2008年04月12日

ヴェロニカ・ゲリン−(映画:2008年30本目)−

ヴェロニカ1ヴェロニカ2

監督:ジョエル・シュマッカー
出演:ケイト・ブランシェット、ジェラルド・マクソーレイ、シアラン・ハインズ、ブレンダ・フリッカー

評価:90点

こういう映画を見ると背筋が伸びるね。

犯罪組織を相手に戦って殺されたアイルランドのジャーナリスト、ヴェロニカ・ゲリンの実話を映画化した2004年の作品。
ケイト・ブランシェットの凛とした佇まいが、タブーとされていた犯罪組織の中枢に果敢に切り込んでいくジャーナリストの姿と見事にマッチしていて引き込まれる。
命を懸けて伝えるだけの価値があったのか、どこからその使命感が出てきたのか、などとは言うまい。
ジャーナリストとして、真実を報道しようと思うことは多分本能なのだ。

就職活動を始めるころ、新聞記者になりたい、と漠然と考えたことがあった。
結局は青臭い理想主義をわめき散らすガキの夢想で終わったが、本気でその道を進んでいたらどんなことができたか。
ヴェロニカのような気概を持って仕事ができていたか。
仮定の話ではあるけれど、それぐらいの気持ちを今の生活でも持っていたいものだ。
そんなことを考えずにはいられない映画だった。
ヴェロニカが撃たれたのは1996年。世の中、まだまだまだまだ、闇はあるのだ。
中国のチベット弾圧だって当たり前のように行なわれ、他の国はなすべき手段もろくにないのだから。
聖火消して抗議してもなあ・・・。何もしない俺よりかはましなのか。

彼女の死は無駄にならず、アイルランドではその後憲法が改正されて犯罪組織の財産が没収されることになり、ヴェロニカを襲った犯罪組織のメンバーも逮捕された。
どこかで彼女がそれを聞いてくれていると信じたい気持ちだ。

ずっとヴェロニカを追って映画を撮っているため、多少盛り上がりには欠ける。麻薬に絡む組織犯罪の裏側を見たかったような気がしないでもない。
でも、この映画はこれでいいのだろう。

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2008年03月23日

裸足のギボン−(映画:2008年26本目)−

キボン1キボン2
監督:クォン・スギョン
出演:シン・ヒョンジュン、キム・スミ、イム・ハリョン、タク・チェフン、キム・ヒョジン

評価:70点

公式サイト

(ネタバレあります)
実話を元に作られた、至極まっすぐな韓国映画。

タンレイ村のギボン(シン・ヒョンジュン)は、幼いころの熱病がもとで、40歳になった今でも知能は8歳のまま。靴を履かずに裸足で駆け回り、村人の下働きをして二人暮しの母親(キム・スミ)を支えている。ある日、ギボンの足が意外と速いことをしった村長(イム・ハリョン)は、彼を全国ハーフマラソンに出場させようと考える。

ん、知的障害者がマラソン、ってどこかできいたような気がする。
同じ韓国で作られた2005年の映画、「マラソン」だ。
あの映画は、自閉症児がマラソンをするというものだった。あちらは知能が5歳程度という設定。
いくら実話だといはいえ、同じような設定で映画を作ってしまうというのはどうなのだろう。
どうなのだろう、などと言いながら、見ている私もどうなのだろうということか。

ギボンはもともと走ることが好きなのだが、マラソン大会に出ようと考えたモチベーションは、歯がなくて思うように食事ができない母親に「入れ歯」を買って上げたいという気持ちからだった。
世界で何よりも母親が好きなギボン。
世界で何よりもギボンが大切な母親。
少々大げさ過ぎるのではと思わせるギボンの演技も、それを見つめる母親の愛情タップリな視線とのバランスが最高に素晴らしい。二人のやりとりは、これほどの親子の愛情ってみたことがないと思わせる。

設定は「マラソン」と似ているものの、こちらは「母と息子の物語」だ。
そこに、「気が短くて頭もちょっと悪いがいい人である村長」と「少しぐれていながら父親の愛情を求める息子」の「父と息子の物語」がうまく重ねてある。

だが、心臓が悪いと医者に言われながら、結局マラソンを走らせてしまうという展開には違和感が残る。
例え言い訳であったとしても、観客にしてみればギボンがマラソンにでても大丈夫だと言う免罪符が必要だ。そうでなければ「出なければいいのに」「死ぬかもしれないのにでたらダメなのでは」という思いが頭に残り、ラストで素直にギボン応援できなくなる。
そこには気を使った演出をしてもらいたかったものだ。

とはいえ、いい人ばかりがでてくるこんな素直な映画をたまにはみるのもいいかもしれない。
若干盛り上がりには欠けるが・・・。


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2008年03月20日

ブレイブ ワン−(映画:2008年24本目)−

ブレイブワン1ブレイブワン2
監督:ニール・ジョーダン
出演:ジョディ・フォスター、テレンス・ハワード、ナヴィーン・アンドリュース、ニッキー・カット、ジェーン・アダムス

評価:80点

公式サイト

ジョディ・フォスターの演技が凄い。
恋人を失い心に負った傷の深さや、人を殺めてしまったという良心というか倫理観からの呵責・重圧を、無理矢理押さえ込もうとするギリギリの精神状態。
それらが表情ひとつひとつに見事にあらわれていてみるものの心をひきつける。
物語のテーマとしてはそう目新しいものではないものの(ラストはなかなかのインパクトだったが)、ジョディの演技が醸し出す緊張感溢れる雰囲気が、見事に映画を締めていた。

恋人を暴漢に殺され、自らも瀕死の重傷を負う。
警察は犯人逮捕に無力。
「ならば自分が・・・」とは、法治国家では許されないことであっても、一度はみんな思うことだろう。
デス・ノートのキラを思い出したが、この映画の彼女の場合はキラの言うような「理想国家」というような大義名分があるわけではなく、復讐をベースとした処刑行為だ。
だからこそ、みる人間の共感を集めるし、果たしてその是非をどう整理すべきなのか考えさせてくれる。

ただ、日本とアメリカでは随分と温度差がでる映画だったのではないか。
映画の中ではジュディが闇取引で1000ドルだして拳銃を買っている。
拳銃を手に入れるのは至極簡単であり、拳銃を使ってこの映画のような私刑を行なうことは物理的に可能だ。
ハードルは倫理面だけ。
したがって、そこの線引きは非常にセンシティブで議論を巻き起こすだろうし、「共感できる」などと軽々しくは口にできない話だ。
一方、日本では一般人が拳銃を手に入れることはまず不可能。
だからこの映画のような私刑はまずありえず(刃物で刺し殺すという方法はあるが、銃と比べて容易さや確実性が全く違う)、私たち日本人は、比較的第3者的な眼で感想を口にすることができる。
それはデス・ノートのキラの行為について是非を論じているのと同じことだろう。

銃社会の是非を問う映画ではないんだろうけど、私は見ながらそんなことを考えてしまった。

最後に刑事が取った行為についてはいろいろな意見もあるだろう。
刑事自身がこれはいけないことだと認めて行動してるんだから、まあいいんじゃないかと思うけど。
なんていう感想も、銃が身近にないから無責任っぽくなるんだよなあ・・・。

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2008年03月15日

ベクシル 2077日本鎖国−(映画:2008年22本目)−

ベクシル1ベクシル2

監督:曽利文彦
出演:黒木メイサ、谷原章介、松雪泰子

評価:74点

(ネタバレあります)
10年間ハイテク鎖国を続けた2077年の日本に潜入してみると・・・。

昭和20年代−30年代の街並みがいきなり現れたときには、何が起こったのかと一番驚いた。
どれだけハイテクが進んだ未来社会を見せられるのかと期待していただけにそのギャップはなかなか強烈。
さらにこの映画の2次元と3次元の中間っぽい映像が、レトロで怪しげな日本の雰囲気にうまくあっていたようだ。

といっても、物語りは「バラック小屋を舞台にALWAYSの世界が展開される」などと言うわけではなく、あくまでも時代は2077年。精巧なメカによる迫力満点のバトルシーンはロボコップやトランスフォーマーのようでなかなか魅せてくれる。
DAIWAという軍需産業会社の陰謀でハイテク鎖国を行った日本。そこで行われていた恐るべきアンドロイド化世界征服計画という設定は、よくあるSF映画をつなぎ合わせたようで斬新さはなかったものの、まあこんなもんでしょう。
しかし、日本民族滅ぼすなよ・・・。

たぶん映像は好き嫌いがでるだろう。
さらに、マリアやベクシルといった、美しく、かつ生身の雰囲気を排除したキャラは、私はどうも受け付けない。
それこそ生体反応ゼロじゃないか。
妙に遅いマバタキが非常に気になってしまったり、子供が死んだときのわざとらしい絶叫にも少々鼻白んでしまったりした。

こんな日本になりませんように。

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2008年02月03日

ビッグ・ホワイト−(映画:2008年10本目)−

ビッグ1ビッグ2

監督: マーク・マイロッド
出演: ロビン・ウィリアムズ、ウディ・ハレルソン、ジョバンニ・リビシ、ホリー・ハンター、アリソン・ローマン

評価:73点

アラスカの広大な雪景色を背景にした、ちょっとだけブラックな犯罪コメディ映画。
もの凄い雄大な風景と、それにマッチしたいい音楽をバックに、馬鹿馬鹿しいストーリーが繰り広げられていくところは基本的に私好み。
さらにロビン・ウイリアムスの芸達者ぶりと、ジョバンニ・リビシの胡散臭い怪しさ、そしてホリー・ハンターの美しさが際立った映画だった。
ジョバンニ・リビシは保険会社の調査員役で、ロビンの企てた保険金詐欺に疑念を抱き調査するという一番まっとうな登場人物なのだが、存在そのものが怪しそうだからどうしようもない。
ロビンとジョバンニの掛け合いは、ベテラン漫才を聞いているようで居心地がよかった。
うまいものだ。

物語は、会社が傾き妻が精神を病み、八方塞になっているロビン・ウイリアムスが、偶然見つけた他人の死体を失踪した弟ということにして、保険金受け取りを企てるというもの。
コメディだから死体が都合よく手に入るし、それを動物に食べさせると身元も見事にわからなくなる。
「さあ、100万ドルの保険金を」と思ったものの、疑念を抱いた保険調査員はロビンに付きまとい始め、死体を取り戻すことが必要なマフィアがロビンの妻を監禁し、さらには勝手に死亡手続きをした弟が舞い戻ってきて暴れだす。

そんなドタバタコメディなのに、どこか落ち着いた雰囲気が感じられるのはロビン・ウイリアムスだからなんだろうなあ。
病気の妻への無償の愛、というのがなんとも美しく感動的だった。

DVDにはメイキングも入っているが、とにかく撮影は寒そうだった。
こんな映画には頼まれても出たくない。
でれないけど。
ビッグホワイト


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2008年01月17日

ヒルズ・ハブ・アイズ2−(映画:2008年4本目)−

hills2-1hills2-2
監督:マーティン・ワイズ
出演:ジェイコブ・バルガス、マイケル・マクミリアン

評価:76点

公式サイト

前作とはまったく違う別物のホラーアクション映画になってしまった。
アメリカの典型的3世帯家族VS食人一族のモラルなき殺し合いを絶妙のさじ加減でみせてくれた前作と比較すると、やはりインパクトに欠けることは否めない。
それでも結構おもしろかったけど。

今回は軍隊が食人族と戦う。
軍隊と言っても見習いなったばかりで素人に毛が生えたようなもの。
しかも、反戦主義者をその中にいれておいて、一体感のなさを最初からバキバキに示している。
砂漠のエリア16にいる研究者に物資を届けにきた彼らは、食人一族の手にかかってひとりひとりと殺されていく。
ここらあたりはドキドキして怖いのだが、全体を見れば結構ありきたりのスプラッター映画。
場所が洞窟ということで、実際に襲われたりして敵味方暴れまわるシーンは非常にわかりづらい。
暗いし狭いし動きは早いし、もう何がなんだかだ。
怖いのが緩和されて私にはちょうどいいのだが、これって物足りない人もいるんではないのか。

相変わらずモラル欠如の映像はB級の香りをたっぷりと漂わせていて素敵です。
ホラー映画が苦手だった私もこの程度の映画ならなんとか見られるようになってしまった。
まあいいか。



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2008年01月12日

ヒルズ・ハブ・アイズ−(映画:2008年3本目)−

ヒルズ1ヒルズ2
監督:アレクサンドル・アジャ
出演:キャスリーン・クインラン、エミりー・デ・レイヴァン、アーロン・スタンフォード

評価:80点

公式サイト

「カサンドラ」という映画のリメイクらしいが、よく知らない。
そんなことは別にしてもよくできたホラー映画だった。
あんまりお金はかかってないし、B級の匂いがかなり濃く立ち込めているけれど、これがまた結構癖になりそうないい匂いだったりする。

ニューメキシコ州を走るトレーラー。
警察を退職して警備員をやっている父親と母親と3人の子供。長女の夫と二人の間にできた赤ちゃん、合計7人が家族で砂漠を横断する旅行をしていた。
この設定に行き着くまでのオープニング・シーンには、放射能に汚染されて生まれた(であろう)様々な奇形児の写真などがショッキングに挟みこまれ、さらに始まってすぐに放射能汚染の調査チームが惨殺されてどこかに運ばれていく。
いきなり緊張感を高められたところにこの家族が登場するので、すぐにでも襲われるんじゃないかと思い気を休める暇がない。
ガソリンスタンドの店主もいかにも怪しげで、ドキドキハラハラ。
結局そうやって随分と時間だけをかけた序盤は、誰も襲われることがない。
いい加減に疲れてきたので肩の力を抜いて観ようかと思ったあたりで、トレーラーは砂漠の真ん中で立ち往生。もちろんこれは敵の狙い通りだ。

敵、そう、敵は放射能汚染によってミュータントとなってしまい人間を食べて生きている一族だったのだ。

中盤から後半まではミュータントの怒涛の攻撃。
主人公達やられっぱなし。
3人やられてもうダメだろうとなった終盤からは主人公たちの大反撃が始まる。

よく考えてみれば敵だってもとは人間であり、政府の放射能実験の犠牲者達なのだが、戦い始めるとモラルもなにもない。相手は人間食ってしまうし、焼き殺しもするし、ツルハシと斧とかも振り回す。
やられっぱなしだった主人公達が吹っ切れたように反撃するところはスカっとしたのだが、これって喜んでいのかどうかよくわからない気にもなってしまった。
まあいいか。
深くかんがえる映画じゃないのだろう。

そういえば、一番貢献度が高かったのは犬だった。

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2007年12月02日

フリーダム・ライターズ−(映画:2007年136本目)−

FR1FR2
監督:リチャード・ラグラベネーズ
出演:ヒラリー・スワンク、スコット・グレン、パトリック・デンプシー、イメルダ・スタウントン、マリオ、エイプリル・ヘルナンデス

評価:95点

(ネタバレあります)
DVDパッケージの「感動」という言葉にはいい加減辟易としたところもあり、この映画もほとんど期待せずに借りてきた。
近くのレンタルビデオ屋では、新作は3本借りれば1泊2日の料金で2泊3日になる。ということで、これはその本数合わせのDVD。見るのをやめようかと思いながら、とりあえず再生し始めたのだった。

様々な人種が集まるロスのスラム街の落ちこぼれ高校に、熱意に溢れた新米国語教師エリンが赴任してくる。
なんだそのありきたりの展開は、と思って、気持ちの半分は萎えて朽ち果てた。
先生が綺麗どころならまだみようかと思うのだがヒラリースワンクだ。
だれがどうみてもぶっさいくな顔でたまらない。
しかし、演技はさすがだ。
熱い新任教師という役柄があまりにはまりすぎるほど。
入り組んだ人種差別によってお互いへの怒りと不信感が複雑に絡み合った教室の中で、一人空気の読めない発言を繰り返しながら必死でクラスの気持ちをまとめようと奮闘する。

これでスポーツや文化祭でみんな分かり合おうなんて展開になったらたまらんなと思っていたら、教師のアプローチが結構面白い。
父親が公民権運動のリーダーだったということもあり、自由な発想で生徒達の心に切り込んでいき、「差別」「争い」がいかに意味なく愚かなことかを教えていく。

学校から金銭的援助が受けられなければ、勤務時間外にバイトをして生徒達に読むべき本を教科書として買い与える。
アンネの日記を読ませ、ホロコースト資料館に連れて行って過去の事実に目を向けさせ、アンネをかくまった人を学校に招いて講演会までやってしまう。

特に印象に残ったのは、教室の中央に引いたラインに、教師の質問に回答がイエスだった人が集まるというゲームだった。
人種同士、グループ同士で集まって、他人をわかろうとしなかった生徒達が、エリンの質問を受けて真ん中に集まるたびに相手を理解していく。
親や兄弟が刑務所に入っているのは俺だけじゃなかった。
少年院に入った経験があるのは俺だけじゃなかった。
家族を殺されたことがあるのは私だけじゃなかった。
仲間を殺されたことがあるのも私だけじゃなかった。

簡単には理解できない他人の心の痛みが、こうやって伝わっていく。
素晴らしい授業だった。

確執を乗り越え、クラスが団結していく様子は感動的だ。
エリンもどんどんと教師らしくなっていく。
エリンが彼らに渡した日記帳には、彼らの思いが詰まってる。
どれだけ突っ張っていても、このままでは嫌だ、なんとかしたいという彼らの思いは強烈に響いてきた。

この映画、実話を元にしているという。
凄いよなあ、あのロス暴動のすぐ後に、こんな情熱を持って生徒を教えることのできる先生って。
ほんまもんの教育って、こういうことをいうのだろう、きっと。

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2007年11月11日

ボーン・アルティメイタム−(映画:2007年127本目)−

ボーン1ボーン2
監督:ポール・グリーングラス
出演:マット・デイモン、ジュリア・スタイルズ、デヴィッド・ストラザーン、スコット・グレン、パディ・コンシダイン、エドガー・ラミレス、ジョーイ・アンサー、コリン・スティントン、アルバート・フィニー、ジョーン・アレン

評価:92点

公式サイト

(ネタバレあります)
最高です。
クールで神がかり的に強いマット・デイモンの活躍も凄いし、これでもかと繰り返されるハイレベルのアクションにも圧倒されてしまう。
それでいてただのアクション・スパイ映画ではなく、CIAの暗部のような部分をきちんと描いている。
2時間ノン・ストップでの強烈な緊張感。たっぷり満足させてもらった。

この映画の公開とあわせて、前作(ボーン・スプレマシー)、前々作(ボーン・アイデンティティ)がテレビで放送されていた。ついつい見てしまったではないか。
もともとこのシリーズは結構好きなのだ。オーシャンズシリーズでは3枚目のマット・デイモンが、この映画では超凄腕の暗殺者を違和感なく演じており、これがなんともカッコイイ。何があっても死なないし。

前作を終えてなお、自分の秘密がわからないボーン(マット・デイモン)と、ボーンの存在を脅威と考えているCIA。
「トレッドストーン計画」からレベルの上がった「ブラックブライヤー計画」の存在がイギリスの新聞記者にすっぱ抜かれ、彼に接触しようとしたボーンとCIAがまた絡み合うことになる。
前半の山場は、ボーンがその新聞記者に携帯電話を渡し、それを使って指示をしながら大きなターミナル駅で繰り広げられる追跡戦。町中に置かれている監視カメラ・数々のハイテク機器・人海戦術に加えて暗殺者。圧倒的に有利なCIA軍団に対してひとり立ち向かうボーン。
知力と体力の限りを尽くして相手の先を読んでの戦いがもうたまらない。

後半になるとお決まりのカーチェイスが登場するが、これもなかなか。
モロッコではバイクを使った追跡戦の後は、狭い路地やアパートを飛び移りながらのアクション。
NYでのカーチェイスは、ダイ・ハードに決して負けていない凄さ。
楽しめました。

今作でボーンは自分の過去を全て思い出し、CIAの首謀者たちも揃って捕まってしまう。
さすがにこれではすぐに続編はできないのかも。
でもいつかまた作ってほしいものです。

ラストに見せたジュリアの笑顔は最高でした。
「ボーンが死ぬわけないじゃない」とでも言いたげで。

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2007年11月10日

バイオハザード III−(映画:2007年126本目)−

バイオ1バイオ2
監督:ラッセル・マルケイ
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、オデッド・フェール、アリ・ラーター、スペンサー・ロック、マイク・エップス、ジェイソン・オマラ、イアン・グレン

評価:70点

公式サイト

(ネタバレあります)
随所に凝った映像はみられるものの、どこかいろいろな映画の寄せ集めっぽくて訴えかけるものが少ない映画だった。
まあ、ミラ・ジョヴォヴィッチがかっこよかったんでいいのだが。

それにしてもミラ(役名はアリス)、超能力が使えるようになったのだ。
だが、使った後にぐったりしてしまうようではまだまだ実戦向きではないな。精進してください。
ラストを見た瞬間には「なんだ続きあるのか」と思ったのだが、あのまま続きを作るとしたら、大アリス軍団対大ゾンビ軍団、そこにアンブレラが絡んでくることになるのだろう。
どう考えても大アリス軍団の撮影は大変そう。
ほとんどCGになるだろうし、お金もかかるに違いない。
そう考えるとこれで終わりなのかという気もしてきた。どうなんだ。
数十人、数百人のアリスがうじゃうじゃと動いて、チームとして機能していくようすは見てみたい気もするけど。

今回のメインはマッド・サイエンティストと主人公(アリス)の対決。
これはよくあるパターンで目新しさはない。
もうひとつはゾンビと生き残った人類達の対決。これもまたゾンビ映画でよく見られるシーンの連続だった。
ヒッチコックの映画のようなカラスの襲撃シーンは面白かったなあ。

さて、アラスカに安住の地はあるのか。
東京の地下深くにあるアンブレラ本部はどう動くのか。
人類はアンデッドから地球を取り戻せるのか。
アリス軍団は結成されるのか。
乞うご期待!しておこう、一応。

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2007年10月20日

バタフライ・エフェクト2−(映画:2007年118本目)−

バタフラ2-1バタフラ2-2
監督:ジョン・R・レオニッティ
出演:エリック・ライブリ、エリカ・デュランス、ダスティン・ミリガン、ジーナ・ホールデン

評価:70点

公式サイト

(ネタバレあります)
衝撃的に面白かった前作とは比べるべくもない普通のタイムトラベル物語。
偶然タイムトラベルできる自分の性質に気づき、過去を修正して現在の不幸を防ごうとするのは前回と同じ。
前回は日記を読んでいるとそのときに戻れたが、今回は写真をみているとそのときに戻れるという設定だ。

最初のタイムトラベルはまあいいだろう。
交通事故で恋人と友人を失った出来事を防ぐため過去に戻る。
事故を防いだ主人公は、恋人と再会し狂喜乱舞する。
ところが今度は仕事がうまく行ってない。
彼女はNYに渡る夢を諦め失望の日々を送っている。
仕事でも成功したくなる。
ということで2度目のタイムトラベルだ。
人のビジネスアイデアを盗んでおいて、その結果、夜景の見える高級マンションと高級車を手に入れた自分に喜ぶところなどしらけてしまう。
そして何度もトラベルは繰り返され、主人公はズブズブと泥沼に嵌っていく。
「彼女を救おう」と再び思ったのは、やり直した世界で彼女が死んでからやっとだ。

「このトラベルでどうなるんだろう」という興味はうまく引いている。
だが結果に意外性がないので感動をあまり呼べないのだろう。
蝶のはばたきが地球の裏側で津波を起こすという、バタフライエフェクト効果を存分に表していた前作と違って、この脚本ではバタフライエフェクトの名前を使う意味がないように思えた。

今回の主人公が極めて人間的であったのは確か。
人間として、過去がやり直せるなら富を望むこともあるだろう。
だが、人間的な主人公を描いたからといって、共感を呼ばないこともあるのだなあ。
俺だって、5年前に戻れるなら株買って、金買って、原油先物に全財産突っ込むけど、そんな主人公の映画ってみたくないのだ。

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2007年10月13日

ホステル2−(映画:2007年116本目)−

ホステル2−1ホステル2-2
監督:イーライ・ロス
製作総指揮:クエンティン・タランティーノ
出演:ローレン・ジャーマン、ロジャー・バート、ヘザー・マタラッツォ、ビジュー・フィリップス、リチャード・バージ

評価:73点

公式サイト

(ネタバレあります)
前作を見てないのでつながりがよくわからないが、どうも前作は拷問殺人クラブに突然捕らわれてしまった男性3人組の悲劇、だったらしい。そのうち生き残って脱出したひとりが悪夢を見るところから今回の作品が始まる。
なるほど。
で、あっさり首が飛んでしまうのだった。

今回はアメリカ人女子大生3人組が対象。
旅行先の列車の中でたまたま知り合った女性に誘われて、ホステルに泊まることになる。
当然、3人が被害者になるわけだが、今回は拷問殺人を行う金持ちたちの視点から、クラブの仕組やルールも描かれていて奇妙に説得力のある展開になっている。
だがそれもよしあしで、「わけのわからない、不条理な恐怖」という部分はほとんどなかった。
もともとホラー映画やグロシーンが苦手な私だが、理屈がわかっていれば半分はサスペンスアクション風味で見られるのそんなに怖くはならない。
これはちょうどいいくらい。
えげつないシーンも多くはなかったし。
ということは、この手の映画が好きな人には物足りなかったのかもしれないなあ。

殺される女性が、オークションで値をつけられていくところ(このシーンの携帯画面はあまりにはめ込みあからさまでチャチ。わざとか?)、生首でサッカーするところなど、そこはかとなく漂うB級テイストはさすがにタランティーノが絡んでいるだけある。

世の中結局は気合と金だ。
ということですよね。違う?

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2007年10月10日

パンズ・ラビリンス−(映画:2007年115本目)−

パンズ1パンズ2
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケロ、セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、ダグ・ジョーンズ、アリアドナ・ヒル、アレックス・アングロ

評価:89点

公式サイト

(ネタバレあります)
第79回アカデミー賞ではアカデミー撮影賞、アカデミー美術賞、アカデミーメイクアップ賞を受賞。アカデミー外国語映画賞は次点。
ちなみにアカデミー外国語映画賞は「善き人のためのソナタ」。
アカデミー賞の外国語映画賞って、素直にいい映画を選ぶんだなあ。

題名の「パン」とはギリシア神話の神の一種である牧羊神のこと。
といってもよくわからないけど、映画ではすぐに羊の角みたいなものを生やした妖怪がでてくるので、すぐにコイツだとわかります。
どこに目があるのかわからない気持ち悪い「牧羊神」だったが、最後に笑っているところはなんとなくかわいく見えたりするから不思議なもんだ。
それよりも、この妖怪に最初に会ったときから物怖じしない主人公のオフェリアが凄い。
逞しいと言えばいいのかよくわからないが・・・。

初めて妖精に会ったときもそうだった。
舞台は1944年のスペイン。妊娠中の母親の再婚相手であるヴィダル大尉に引き取られて森の中にある軍の砦に向う途中、オフェリアは妖精に出会うのだ。
しかし、それはどう見ても妖精じゃなく、カマキリとナナフシを足してわって5倍にでかくしたような気持ち悪い虫。よくぞあんなものを妖精だとかいって微笑みながら見られるもんだ。普通じゃないぞ。

地底の王国の王女様であることを証明するために挑む試練の途中でも、泥の中も虫の中も乗り越えていくオフェリア。
がんばれオフェリア、負けるなオフェリア。こんなにかわいらしく一所懸命な少女が不幸になってはいけない。そう思って応援し続けてしまうのだった。

物語は、オフェリアと地下王国と言うファンタジーに加えて、独裁軍部とレジスタンスという生々しい大人たちの戦いが平行して進んでいく。
冷徹残忍という言葉を体であらわしたようなヴィダル大尉の前で、恐怖におびえてばかりのオフェリア。母親は弟を生むために命を落としてしまう。
自分の居場所がなくなったオフェリアが、ファンタジーの中に引きずり込まれていったのは必然だったのだろう。
地下帝国が幻だったのか、それとも本当にあったのか。
それはわからないまま、余韻を残して映画は終わってしまった。

ダークなファンタージ世界の映像はとても印象的。重苦しい現実世界の映像と綺麗にシンクロしてなんだか暗い。思い出してみると、ずっと茶色や黒が画面を占めていたようなきがしてしまう。気のせいなんだろうけど。
それと対比して、オフェリアの素直さというか精一杯の健気さが、あまりに美しく感じられたのだった。やりきれないけれども・・・。


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2007年10月07日

ポイント45−(映画:2007年112本目)−

ポイント45-1ポイント45−2
監督:ゲイリー・レノン
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、アンガス・マクファーデン、スティーブン・ドーフ、アイーシャ・タイラー、サラ・ストレンジ

評価:59点

公式サイト

(ネタバレあります)
NY、ヘルズキッチンと呼ばれる危険な香り満載の下町で、アルと一緒に盗品を売りさばいて生活しているキャット(ミラ・ジョヴォヴィッチ)。

ミラが主役を張るんだから、カッコイイアクション満載の映画かと思いきや、ミラはDVを受けて殴られまくり、えげつない痣を顔に作る役。なんてこったい。
大して魅力もなく、やっていることも小物のアル(それでも一応ヘルズキッチンを仕切っているという設定だ)の相手に収まって納得していること自体がどうなんだ、というところだし、悪事を働いてかっこつけてるわりには、いつか海辺に別荘を買ってこの生活から抜け出したい、などという普通のチンピラ的な夢を持っているところもさらにはどうなんだろう。
そういった、人間的なところを見せることで新境地を開く、ということなのか。

もうひとつ、今回はミラが脱ぎまくりでエロ満開だというふれこみだった。
実際、同棲しているアルとのベッドシーンに加えて、DVを受けた後にアルを殺そうと決意した後では、アルの親友ライリーと関係を持つだけではなく、レズビアンの友人や、カウンセラーの女性とも絡みのシーンを見せている。
ところがだ。
ところがこれが全く色っぽくない。
パーツのでっかい派手な顔の構成に加え、広い肩幅と、鍛え上げた肩から腕の筋肉が嫌でも目につく。
なんて強そうなんだ。
さらに言えば、その胸は反則だろう。
まるで少年。
よくその体でこの役を引き受けたなあ・・・。いくらなんでもキャラとのギャップが大きすぎるだろうが。
ちょっと綺麗で強そうなオカマ。そんな風にしか見えなかった。
アルにDV受けているところだって、全然かわいそうに見えない。
本気出したらケリ一発で逆転できるのに、なんでやられているふりをしてるんだろう、いつ反撃するんだろうと思ってしまうのだ。
ううむ、どうするんだミラ。これからもこんなミスマッチな役をこなしていくつもりなのか。

ストーリーも最後までB級だった。
ミラが体で誘惑した3人のうち、誰がアルを葬るのか。そこらあたりがちょっとサスペンス風味になっているだけ。
人間最後は自分なんだというドロっとしたダークサイドを描いているように見えるがそれもちょっと中途半端だった気がする。
途中で登場人物の肉親のインタビューを何度も挟んでアクセントをつけているが、ああでもしないと間が持たない。
個人的にはこういうB級テイストは好きなので、決して貶しはしないけど。してるか。
つっこみどころが多くて、見ていて楽しくはありました。 

ただ、DVD、新作で借りなくてもよかったかも。

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2007年09月29日

パーフェクト・ストレンジャー−(映画:2007年109本目)−

パーフェクト1パーフェクト2
監督:ジェームズ・フォーリー
出演:ハル・ベリー、ブルース・ウィリス、ジョヴァンニ・リビシ

評価:77点

公式サイト

(ネタバレあります)
ラスト7分11秒―あなたは《絶対に》騙される。

はい、確かに私も騙されました。
ええ、確かに騙されました。
ううむ、真犯人にたどり着くためのヒントがあるとすれば、地下鉄でロウィーナ(ハル・ベリー)と、彼女の幼馴染で今回の事件の被害者であるグレース(ニッキー・エイコックス)の会話ぐらいだろうか。
確かにこの会話はどこか不自然だったんだよなあ。意味がわからない言葉もあったし。
まあそれもそのうちわかるだろうと思っていたら、最後になってきちんと判明したのだった。

しかし、テレビのCMで騒いでいるほど驚愕の真犯人!と言うほどでもないんじゃないだろうか。
おお!とは思うものの、見終わってみればまあそれもありかと思う範囲内。
そこそこ良質のサスペンス、であって、いくらなんでもテレビは煽りすぎだと思うぞ。
逆に言えば、最初から徹底的に怪しまれていたハリソン・ヒル(ブルース・ウィリス)なんて犯人のはずがないのであって、そう思わせておいて逆にハリソンが犯人だったら驚きも大きかったかも。
ん、ネタバレしすぎか・・・。

いろいろ書くとドンドンとネタバレしてしまうのでここら辺でやめておこう。
ブルース・ウィリスとハル・ベリーの競演はなかなか豪華。
ただ、一番インパクトがあったのは、表情が妙に気持ち悪くてクセがあって変態度の高い、ジョヴァンニ・リビシだった。

ブルース、かわいそうだよなあ。
ハゲ仲間として心から同情させていただきます。

ストーリーはこちら

ニューヨークの新聞記者のロウィーナ(ハル・ベリー)は、迷宮入り寸前の殺人事件の真相を探っていた。被害者は、彼女の幼なじみ。事件の手がかりを追う中で、ひとりの男の存在が浮かび上がる。有力な広告代理店のCEOにして、大富豪のハリソン・ヒル(ブルース・ウィリス)。あらゆる側面から彼を調べ上げるために、ロウィーナは実生活においてもオンライン上においても別人格になりすます。そして、サイバースペースを利用した恐るべき罠によって、正義の裁きを下そうとするのだが…。

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2007年09月28日

パプリカ−(映画:2007年108本目)−

パプリカ1パプリカ2
監督:今敏
声の出演:林原めぐみ、古谷徹、江守徹、堀勝之祐

評価:88点

公式サイト

(ネタバレあります)
筒井康隆原作の映画化。
原作を読んでいなかったので、ここまでぶっ飛んだ話だとは思わなかった。
どっぷりと楽しませてもらいました。

「夢」の映画化といえば黒澤明を思い出すが、実写で夢を再現した黒澤の場合は幻想的な映像でいかにも夢らしい雰囲気を出していた。今回はアニメで夢を演出する。そして出てきたのは溢れんばかりの鮮やかな極彩色の塊と、一度耳にするとなかなか離れてくれないような音楽。
強烈な印象だった。
さらにはヒロインがとても魅力的。
単に派手で奇天烈な映像をつなげるだけではなく、そこで自由自在にコスプレをして飛び回る魅力的な女性「パプリカ」がいるから映画のテンポがぐっとあがり雰囲気がいい意味で軽くなるのだ。
実社会の千葉敦子という存在もそれなりに魅力的ではあったが、パプリカには叶わない。
ううむ、おじさんにはツボだった。
そうか、そもそも私はキューティーハニーも好きだし、ああいうちょっとコケティッシュな女性がコスプレするのがたまらないということなのか。
自分でも気づかなかったぞ。ちょっとやばいか、行動に気をつけなければ。

物語は、時田浩作という巨大なデブが発明した夢を共有する装置DCミニをめぐって騒動が起こるというもの。
千葉敦子は、研究所にあるDCミニを使ってサイコセラピストのようなことをしていたのだが、誰かがそれを盗み出し他人の夢に強制介入して悪夢を見せ、精神を崩壊させるようになったのだった。
事件解決に乗り出したパプリカ(パプリカは千葉敦子の夢の中の姿)についに敵が姿を見せる。
自分の夢と他人の夢が混ざり合い、何が現実で何が夢なのか区別がだんだんつかなくなってくる。
意味不明の言葉を発しながら続く極彩色のパレードはやがて夢と現実の境目さえも越えてしまうのだ。
がんばれパプリカ、戦えパプリカ、いくんだパプリカ!パプリカフラッシュ!
ということで無事に怪獣はやっつけた。

結局どこまでが夢なのかは見ている私にもわからなかったので、実社会にどれだけ影響があったのかもわからないのだった。まあいいか。
わかったことは、あんなデブでも美人と結婚できると言うことだ。
監督は「人は見た目が9割」とかいう本を読んで、キャラ設定を少し変えたほうがいいかもしれない。あのデブさ加減はいくらなんでもひどいよなあ。小型エレベーターに乗れないんだもの。

とにかく面白かった。
刑事がトラウマと対峙し、それを克服していくというサブストーリーもなかなかのものだ。
かっこよくて、ちょっとグッときたなあ。

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2007年09月24日

プラネット・テラー in グラインドハウス−(映画:2007年107本目)−

プラネットテラー1プラネットテラー2
監督・脚本・撮影:ロバート・ロドリゲス
出演:ローズ・マッゴーワン、ブルース・ウィリス、フレディ・ロドリゲス、ジョシュ・ブローリン、マーリー・シェルトン、ジェフ・フェイヒー
ファーギー、クエンティン・タランティーノ

評価:80点

公式サイト

もともとが、グラインドハウス企画の一本としてロバート・ロドリゲスが作ったので、アメリカでは、デスプルーフとの2本立てで上映されていたらしい。
しかし両方2時間近くあるので、日本で新作としてそんなもん一緒に上映できるかい、ということでバラバラに公開。
この映画では、2本の映画の間に紹介されるはずだった、嘘の新作映画紹介が最初に入っている。
これがまたB級の香りをぎゅっと圧縮させたような内容で実に楽しい。
あのミクロキッズで怪しげなスパイグッズを作っているオジサン、マチェーテが主人公の映画で、その題名もマチェーテなのだ。
なんでもありかお前らは、といいたくなるね。

ということでこの映画はゾンビ映画なのだった。
知らずに見たので、ホラー系統にちょっと弱い私は、かなりびびりながら見たのだった。
今回のゾンビはしかし遠慮がない。人を襲ってはグチャグチャに食いまくる。ゾンビを撃つほうもまったく容赦なし。
とにかく血飛沫飛びまくり、顔面ただれまくり。
ゾンビと関係ないところでもキンタマ切りまくったり、注射器振り回したり、ナイフ使って強烈なアクションが登場したり(エル・レイの正体っていったい何?)、なんでもありだ。

極めつけは、右足をゾンビに食われたヒロインが、その足にガッチンと機関銃を装てんして撃ちまくる場面。
回し蹴りを死ながら撃ちまくり、バイクの後ろに座って撃ちまくり、コマのように回転しながら撃ちまくる。いやはや凄い。
しかし、そんなのいいのか。ううむ。
撃たない時は銃が義足になってバタバタと走ってるし・・・。

そもそも今回のゾンビは、米軍がビンラディンをやっつけたときにウイルスに感染してしまったことが原因らしい。
最終的には解決らしい解決もせずにヘリで脱出して終わってしまった。
まあそれでもいいか。
そうそう、ブルース・ウイリスがビンラディンを殺ったという設定になっている。
米国人は決して彼らを探すことを諦めてはいないのだろう。
そんなこともふと思ったりした。

これまた万人受けはしないぞ。でも私は結構好きなのだ、こんなムチャクチャな映画。

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2007年09月08日

パンチドランク・ラブ−(映画:2007年98本目)−

パンチドランク1パンチドランク2
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:アダム・サンドラー、エミリー・ワトソン、フィリップ・シーモア・ホフマン

評価:80点

2002年第55回カンヌ国際映画祭・最優秀監督賞受賞作。
強烈な自動車事故と置き去りにされたピアノ(ハーモニウム)。不思議な雰囲気で映画が始まり、「んー展開がよくわからん」と思っているうちにラストまで突っ走られてしまった。
ポール・トーマス・アンダーソン、あの「マグノリア」の監督だったのか。
わけがわからんというのもそれなりに納得した。
といっても不条理映画というわけでもなく、ちゃんとストーリーはある。

7人の姉に囲まれ、気持ちを表に出さずに我慢して育ったバリー・イーガン(アダム・サンドラー)は、ロサンゼルスで、トイレ掃除の吸盤を販売している、自称青年実業化。
いくつかの映画で見たアダム・サンドラーの雰囲気はなく、ちょっと暗めでマニアックで、でも時折切れて暴れまくる、精神的に未熟なオトナを違和感なく演じている。
そんな「変な」バリーを好きだと言う女性があらわれ、ドラマは一気に展開する。
彼女の助けを経て、ちょっと強くなったバリー。
最後にはテレホンクラブの強請りやとも堂々と対決して勝利を収めたのだった。

ストーリーはシンプル、ちょっと眠気を催すくらい。
「スタイリッシュ」と「退屈」の境目で揺れ動くような映像と、「魅力的」と「ただの変人」のこれまた境目をつたい歩くようなバリーのキャラは、万人向けではないかも。
などと書いているものの、最後にはバリーを応援していたのだからそれなりに魅せられていたんだろうなあ。
映画の雰囲気は、嫌いではありません。

それにしてもプリン買いすぎ。

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2007年09月07日

ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習−(映画:2007年97本目)−

ボラット1ボラット2
監督:ラリー・チャールズ
出演:サシャ・バロン・コーエン、ケン・ダヴィティアン、ルネル

評価:60点

公式サイト

(ネタバレあります)
カザフスタンのテレビ局レポーター「ボラット」が、祖国のためにアメリカ文化を学ぼうとニューヨークに向かう。そしてカリフォリニアまでアメリカを縦断しながらアメリカ人と様々な騒動を引き起こす物語。
という映画の体裁を取っているものの、実はボラットはアメリカ人。カザフスタンという異文化の国から来た男性としてボラットを信じ、彼の行動に翻弄されるアメリカ人たちを笑い飛ばしてしまう映画なのだ。

素人を騙すドッキリカメラを延々と回し続けているといったものだろうか。

フェミニストたちは、「女性の脳味噌はリスの脳味噌くらいしかない」と言い切るボラットに対して一言も言い返せない。
同じ文化という土俵にたっているからこそ「フェミニズム」が成り立つのだということがよくわかり、その思想の狭さを逆に感じさせてくれたりする。
南部のロデオ会場のおっさんたちの偏狭な男根主義みたいなものを暴き出してくれたり、異文化には寛容に接してくれる人たちが、黒人の売春婦に対して強い拒否反応を示したりもする。
このあたりは面白かった。
だが、意味もない悪ふざけがあまりに多かった。
アンティークの皿を意味もなく壊してみたり、熊を連れてドライブしたり、裸でホテルを走り回ったり、ベッドで下品にのた打ち回ったり、ズボンを引きずったストリートファッションで高級ホテルにチェックインしようとしたり。
これは、全く面白くない。
オチのないお下劣なコントを見ているようで、時間とともに次第に疲れが溜まっていったのだった。

さらにいえば、見終わっての爽快感がない。
理由のひとつは、騙しておちょくった相手が、全部素人であり庶民であるということだ。善意もどんどんと踏みにじる。うつくしくない。
もうひとつは、カザフスタンの悪口を言いすぎたということだ。ユダヤ人を馬鹿にしているシーンは、コーエン自身がユダヤ人であることから許せるが、カザフスタンを笑いものにしてどうするんだ。
それともあれはカザフスタンの庶民の立場から困窮した現状を、政治家達に伝える役目があったとでもいうのだろうか。

馬鹿馬鹿しい下品映画は私は嫌いではない。
しかし、これはあまり笑えなかったなあ。切る相手が違うと思うのだ。

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2007年09月01日

ファンタスティック4/銀河の危機−(映画:2007年94本目)−

ファンタスティック4−1ファンタスティック4-2
監督:ティム・ストーリー
出演:ヨアン・グリフィズ、ジェシカ・アルバ、クリス・エヴァンス、マイケル・チクリス、ダグ・ジョーンズ、ジュリアン・マクマホン、ケリー・ワシントン

評価:68点

公式サイト

(ネタバレあります)
銀色のサーファーはかっこいいねえ。
でも、どうみてもターミネーター2にでてくるT1000をパクッってるだろうあれは。
強烈な悪の親玉なのかと思いきや、結構いい人だったりして、そんなのありかと思ってしまった。そして悪者はやっぱりあいつだったりするのだ。

放射線を浴びて超能力を身につけた4人組、ファンタスティック4の活躍を書いたアメコミ映画化の続編。
メンバーのリードとスーが結婚式を間近に控えているところから物語は始まる。しかしそのとき、地球を消滅に追いやる危機が、密かに近づいていた。
地球上を走り回り、駿河湾を凍りつかせ、スフィンクスに雪を降らせた銀色のサーファー。彼がこれまで訪れた星は、全て消滅してしまっていたのだ。このままでは地球も消滅する。彼を捕らえるために米軍は動き出し、ファンタスティック4はそれに協力することになる。
ところが軍にいたのは生き返ったあの宿敵だった。

展開は非常に早く、観ていて飽きることはない。あっというまに終わってしまう印象だ(90分だし)。
しかも、アメコミ・コメディ部門の代表とも言うべき内容で、アメコミ独特のダークさがまったくない。
世界のヒーローは、スパイダーマンといい、仮面ライダーといい、ハリーポッターといい、どんどんとダークさを増して苦悩を感じているというのに、こいつら4人は行き当たりばったりで能天気なのだ。
ラストもなあ。
なんだかCGでごまかしたとしか思えないが・・・。

派手に暴れているように見えながら、やることなすこと斬新さがなくて結構地味。ジェシカ・アルバまでおしとやかに見えてしまう映画だった。たぶん続編はないぞ。たぶんやけど・・・。
あるのか?

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2007年08月25日

バブルへGO!! タイムマシンはドラム式−(映画:2007年91本目)−

バブル1バブル2
監督:馬場康夫
出演:阿部寛、広末涼子、薬師丸ひろ子、吹石一恵、伊藤裕子、劇団ひとり

評価:85点

公式サイト

(ネタバレあります)
2007年財務省。
国の借金は800兆円に膨れ上がり、少子高齢化が進む中で日本経済は破綻までカウントダウン状態になっていた。
この状況を打破するために取られた作戦は、バブル崩壊の引き金を引いた1990年4月に当時の大蔵省が出した通達、総量規制(金融機関に対して無制限だった土地担保融資の拡大を直接抑えるもの)をストップさせるというもの。
財務省大臣官房経済政策課に勤める下川路功(阿部寛)が、タイムマシンを使って1990年に送り込んだのは、大学時代の友人である電気会社の研究者(薬師丸ひろ子)と、その娘の真弓(広末涼子)だった。

最初の設定からしてむちゃくちゃだし、そもそも総量規制の通達をストップさせていなくてもバブルは崩壊していたはず。
他にもつっこみどころは多いものの、そんなものを吹っ飛ばすパワーがバブル時代の映像からは感じられた。
作った人たちはみんなバブル時代にいい思いをして、懐かしさを感じながら作っているんだと思う。でも、あんな破廉恥な時代、という恥ずかしさも感じているはず。
学生ダンパのビンゴ賞金を200万にしたのもそんなところからくるんだろう(いくらなんでも多すぎるだろ)。
懐かしくて笑い、恥ずかしくて笑い、面白くて笑い、楽しい映画だった。
バブル崩壊を食い止め日本を救う。なんていう命題を掲げて始まったわりには、日本経済の行く末なんか欠片も案じられていないホームコメディだったけど。

薬師丸ひろ子は老けたなあ。
3パターンを演じた阿部寛は、演技がうまくなった。3枚目を演じているときが一番楽しそうかも。そして広末は相変わらず。まあ、こんなもんでしょう。

1990年に社会人となった私は、バブル時代に大学生。
といっても東京にいたわけでもないし、そんなに派手な生活はしてなかったぞ(どちらかと言えば貧乏)。私が受けた恩恵って、就職が楽だったくらいか。
それでも、ワンレンボディコンDCブランド太い眉毛ディスコダンパユーロビートって懐かしい。
スキーにユーミンに山下達郎の時代でもあったかも。

まあしかし、バブルは弾けるべくして弾けたのであって、それ自体は悪いことではない。真面目な話をすれば、景気後退期にもっとソフトランディングさせる方法をとれなかった当時の政治家や官僚が悪いのだ。
もっとも、バブルなんてことばも弾けてから出てきたのであって、浮かれてるときは誰もそんなことは思わないのだからいまさらしょうがないか。

あの時代に戻れたら、ありったけの金を集めて借金して、先物で株を売りまくるのだ。
なんて自分のことしか考えないばか者でゴメンナサイ。



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2007年08月03日

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団−(映画:2007年85本目)−

ハリー1ハリー2
監督:デヴィッド・イェーツ
出演:ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリント、エバナ・リンチ、ジェイムズ・オリバー・フェルプス、ケイティー・ラング、ヘレナ・ボナム=カーター

評価:87点

公式サイト

(ネタバレあります)
相変わらず楽しく作られているけど、昔のような感動はもはや得られない。それはまあ仕方がないことなんだろうけど。

随分と大きくなってしまったハリー。
顔立ちもすっかり変わってしまい、どうみても青年だ。しかしあんまりかっこよくない・・・。
ハーマイオニーも、小さいときのほうがかわいかったな。
そう考えると、昔も今も変わらないロンは凄い。
小学校のクラスメートに妙に老けたオッサン顔の奴がいたが、久しぶりに同窓会に行ってみると、そいつの年齢が顔に追いついていたのに驚いた、というところか。

今回の見どころは2つ。
ひとつはホグワーツでのドタバタ。
ヴォルデモートの復活を信じない魔法省は、意地悪で偉そうなアンブリッジとかいうババアをホグワーツに送り込み、学校の自由を奪おうとする。
アンブリッジと生徒達のやり取りは、怖い学年主任と戦おうとする中学生達のようで懐かしい。
隠れて団結し、見つかって正座させられ、また隠れて団結し、親を呼ばれてしかられ、また隠れて悪いことをし、体育教官室でバリカンで丸坊主にさせられ、いいかげんむかついて、夜の校舎窓ガラス壊して回るのであった。
ちょっと違うか。
でも、隠れて魔法の特訓をするところは楽しい。

もうひとつは、ハリーの内面との戦い。
自らの黒い内面に悩むハリーが、仲間達にも妙に突っかかった態度を取っては孤立し、次第にダークサイドに堕ちていく。
でも、このあたり原作を読んでないし、前作もよく覚えてないからなんだかわからないうちにどんどん進んでいってしまうのだよな。
まあいいんだけど。

題名に書いているほど、不死鳥の騎士団は出てこなかった。
いよいよ次はラストかあ。
原作も無事に発売され、ネットではネタバレもでていまずが、なんとかハッピーエンドで終わるみたいでまあよかったよかった。


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2007年07月28日

フィレーネのキライなこと−(映画:2007年83本目)−

フィレーネ1フィレーネ2
監督:ロバート・ヤン・ウェストダイク
出演:キム・ファン・コーテン、ミヒル・ホイスマン、タラ・エルダース、ハデヴィック・ミニス、キーナン・レイヴン、カート・ロジャーズ

評価:70点

公式サイト

(ネタバレあります)
さすがオランダ。
性描写も強烈にオープンだ。
冒頭に出てくる裸の老人達なんて意味がわからないし、フィレーネの母親は若い男達と5Pなんてしてるし、フィレーネの友人達との会話はシモネタオンリーでしかも結構ドキツイ。
極めつけは、フィレーネの彼氏のマックスが演劇の勉強のために訪れたNYでのシェークスピアの演劇。
劇中で主人公達は真っ裸になり、まさに本番が始まろうとする。
おいおいそれでは日本のハプニング・バーじゃないか。
ハッパも暴力も性も、とりあえず合法化してしまう国だからなあ。

物語の本筋は、いつも傍若無人に振るまう主人公のフィレーネが、マックスとの恋愛を通じて成長していく様子を描いている。
「ごめんなさい」
フィレーネは、このたった一言がいえないために、二人の関係を壊してしまうのだ。
フィレーネはゴメンナサイを言って、ハッピーエンドになるのか?
なるのかって、ラブコメなんだからそりゃなるでしょう。

しかし、このフィレーネはやりすぎ。
我侭な女性が主人公の映画でも、普通はちょっと愛らしさを残して観客が感情移入できるようにしておくのだが、この映画のフィレーネは最初から好き放題やり放題で周囲に迷惑をかけるので、次第に呆れてしまい、最後はどうでもよくなってしまう。
もうちょっとなんとかならなかったのか。
たくさん笑えたからいいんだけど。

そうそう、主人公を演じるキム・ファン・コーテンは、にやっと笑ったところがトム・クルーズに似ていたぞ。

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2007年07月21日

パッチギ! LOVE & PEACE−(映画:2007年80本目)−

パッチギ1パッチギ2
監督:井筒和幸
出演:井坂俊哉、中村ゆり、今井悠貴、藤井隆、清水優、でんでん、西島秀俊、手塚理美、風間杜夫

評価:70点

公式サイト

お前らさあ。
いいかげんもうちょっと仲良くしろよ。
暴れりゃいいってもんと違うだろうが、このバカタレっ!

といってもその暴力的なエネルギーが井筒映画の魅力のひとつであることは間違いないのだからまあ仕方ないのか。

前作から6年たったという設定。
1974-75年。
京都から東京に引っ越した、アンソン一家は、息子チャンスの難病(筋ジス)を治そうと苦悩の日々を過ごしているのだった。
お金を稼ぐために、アンソンは海上での純金の密輸に手を染める。そしてアンソンの妹のキョンジャは芸能界入りを決めたのだった。

「チャンスのために」という家族愛。
生きていこうとするたびに目の前に立ちはだかる「在日」への差別。
特攻隊を賛美するような風潮(あの映画だけだろうけど)に対する強烈な皮肉と生きることへの賛美。
アンソンの父親が1944年に経験した戦争の悲惨さ。

このあたりを2時間の中にぎゅうぎゅうに詰め込んである。
ひとつひとつに井筒監督の言いたいことがあるんだろうけど、どうも総花的に並べた感じが強くて焦点がボケてしまい、それがいまひとつ感情移入できない理由になっているように思えた。
ストーリーも読めてしまうんだよなあ。
キョンジャがカミングアウトするところがクライマックスになるだろうことは国生さゆりとの会話あたりで十分に予想できる。
それでも完成披露試写会での彼女のセリフにはグッとくるものがあったけどね。
この映画で一番言いたいことがここならば、筋ジスっていう設定はいらなかったんじゃないかとも思うけど、それではアンソンの闇取引やキョンジャの芸能界入りの説得力がなくなるということか。
いずれにせよ、脚本的には破綻に近い様相だ。

それでも個人的には共感できる部分が多かった。
監督の言いたいことと、私個人の考え方にあまり相違がないからだろう。
喧嘩のシーンにも十分にコミカルな要素を加えて、えげつなさを緩和していたように思うし。
でも、プロレスで流血シーンを見慣れている私だからそう思ったのであって、顔中血だらけになっているとやっぱり普通は引くのかな。
額からの流血は大げさに見えるけどたいしたことないんだよって、なんで俺がそんなことを説明せないかんのじゃ。

1974-75という時代を表す背景はよくできていて感心した。
テレビや電話やゲイラカイト、それにブリタニカ百科事典とか、藤井隆のファッションとか。芸が細かい。
結構お金はかかってるんじゃないかと思うがどうか。

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2007年07月16日

ブラック・ダリア−(映画:2007年79本目)−

ブラックダリア1ブラックダリア2
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:ジョシュ・ハートネット、アーロン・エッカート、スカーレット・ヨハンソン、ヒラリー・スワンク

評価:70点

公式サイト

(ネタバレあります)
映画が始まり数十分。
登場人物たちの関係がよくわからず、また、ブラックダリア事件が起こるもののその概要もよくわからない。

まあ、映像の雰囲気は嫌いじゃないし、スカーレット・ヨハンソンは相変わらず綺麗だし、アーロン・エッカートはあんなもんだからいいか、などと思いながらダラダラと見進める。

次第に事件に対する捜査が進んでいくが、謎ときが進んでいるのか後退しているのかはっきりせず、混迷振りだけがさらに進んでいく。
ポルノフィルムの存在とか、ハリウッドを作ったおっさんとか、材料は増えていくのだがそれぞれがあまりに結びつかず、不透明感はさらに深まるばかり。

開始1時間を過ぎたあたりで、私は考えることをとりあえず放棄する。
出てくる映像からわかることだけでいいや作戦だ。
ひょっとしたらこうなのか、あいつとこいつはつるんでいるんじゃないのか、とか考えるのが面倒になってしまった。
だってあまりにわからない。

そのうち、ヒラリースワンクが絶世の美女という設定で出てくる。
うう、それはちょっと・・・。
まあ、頑張っていたし遠目のショットならなんとかなるか。

ジョシュはすぐ女と寝るし、アーロンは何故だか追い詰められていくようだし、ヨハンソンは家にこもってゴハンばっかり作っているし・・・。
そしてついにラストの謎解きになるのだが、ん、タイル下から都合よく見つかったあの現金はなんだったんだっけ。
ヤク中ババアが犯人と言うことだけはわかったが。それに誰が絡んでいて、忌まわしい過去の影響がどうあったのか、なんだか最後まですっきりしなかった。
まあいいか。

映像の醸し出す雰囲気に50点。
スカーレットヨハンソンに10点。
できる男に見えて実はダメダメのアーロンに10点。

私にはそんな程度の映画だった。
ブラックダリア事件をよく知っている人や、原作を読んでいれば感じ方も理解度も違うのだろうな。

(追記)
いくつかのブログを読んで、ようやく粗筋を理解した。
しかし、本筋と関係ない話が絡みすぎじゃないのか、それじゃあ。

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2007年07月09日

ボルベール<帰郷>−(映画:2007年75本目)−

ボルベール1ボルベール2
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス、ブランカ・ポルティージョ、ヨアンナ・コボ、チュス・ランプレアベ

評価:93点

公式サイト

(ネタバレあります)
いつの時代も男は馬鹿で弱くてもろく、女は逞しく美しい。

情熱的なスペインの女性たちの生きっぷりが素晴らしかった。
強烈なストーリーと強烈なキャラの女性達と、強烈な色使いと音楽。
それらが圧倒的な迫力で押し寄せてきて、「生きてるってこういうことやろ、え、そうやろ!」と問いかけてくるのだ。(大阪弁ではないが)
かといって、映画全体が粗雑と言うわけではない。
細やかな感情表現も見事だし、ときおり真上からのショットが混じるという映像は美しくて色っぽかった。
ペネロペが炊事場で皿を洗うシーンが真上から撮られている。
思わず胸の谷間に目が行く。
しかしそれは決して嫌らしくなく、母性を強くアピールしている。
この映画が女性のために女性を描いた映画だということを観客に思い知らせるようなシーンだ。
ペネロペがトイレで放尿するシーンもしかり。
男性達へのサービスショットなんかではなく、生きる女の逞しさが強調されているのだ。

体を求めて迫ってくる父親を誤って殺してしまった娘。
娘をかばうために、母親であるペネロペは夫の死体を隠すことにした。

激しい展開はこれだけではなく、死んだはずの母親が生きていたり、ペネロペの娘の出生の秘密が最後に明かされたりする。
冷静に考えてみると、お前らなんでもありなのかというくらい重たい内容だが、それを感じさせない演出は凄いものだ。

とにかく画面に釘付けになって、女性達に魅了され圧倒された2時間だった。
それにしてもペネロペは美しい。
もはやこの世のものとは思えない。
点数が甘いんじゃないかって。
ええ、昔からペネロペの大ファンなもので・・・。

あの、スペインのチュチュチュっていう挨拶はいいね。

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