映画:ま行

2011年05月01日

マイレージ、マイライフ

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3マイレージ


監督:ジェイソン・ライトマン
出演:ジョージ・クルーニー、ジェイソン・ベイトマン、ヴェラ・ファーミガ、アナ・ケンドリック、ダニー・R・マクブライド

久しぶりに映画を見た。

軽快なテンポでコミカルな雰囲気さえ漂わせながら進んでいく一方で、とても深くて悩ましいメッセージを奥底に潜ませている映画。
淡々と揺らぎない自信を持って自分のライフスタイルを貫くエリートビジネスマンでありながら、ふとした時に弱さを見せる主人公を演じるジョージ・クルーニーはさすがにうまい。
細かいカットをつないでスピード感をだす演出のうまさもあるのだろうけれど、彼の演技には魅せられてしまった。

いい映画だった。

立ちどまっていろいろ考えるには、自分自身もほぼ年齢上限かな。
いや、上限を自分で作る時点で何か間違っているのかも。

ストーリー:仕事で年間322日も出張するライアン(ジョージ・クルーニー)の目標は、航空会社のマイレージを1000万マイル貯めること。彼の人生哲学は、バックパックに入らない荷物はいっさい背負わないこと。ある日、ライアンは自分と同じように出張で各地を飛び回っているアレックス(ヴェラ・ファーミガ)と出会い、意気投合するが……。

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2009年11月01日

マイケル・ジャクソン THIS IS IT−(映画:2009年鑑賞)−

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監督:ケニー・オルテガ
振り付け:トラビス・ペイン
音楽監督:マイケル・ビアーデン
プロデューサー:ランディ・フィリップス

評価:85点

数々のブログで絶賛されているのを読んでから見に出かけたせいか、期待があまりに高くなってしまい、思っていたよりも感動は若干薄め。
といっても素晴らしい映像であることは間違いない。

ロンドン公演のリハーサル映像や、実際にコンサートで使うはずだった映像等、100時間以上を1時間50分にまとめあげたドキュメンタリー映画。
濃縮された映像は観ているものをまったく飽きさせず、2時間弱があっというまだった。
できるだけ時間がゆっくりすぎて欲しい、いつまでもマイケルの歌とダンスを見ていたいと、途中何度も思ったくらいだ。

私自身はそれほど熱烈なマイケルファンではないが、ちょうどスリラーが高校生時代。あのミュージックビデオの印象は強烈だった。みんな真似して踊ったものだ。
「みんなが聴きたい歌を歌う」とマイケル自身が言ったように、コンサートの曲目は昔の懐かしい曲もふんだんに取り入れられている(ジャクソン5時代の歌まである)。どれもこれもリハーサル段階であって、マイケルも力を抜いて歌ったり踊ったりしているのに、それでも動きのキレのよさと説得力ある歌声は抜群。あれで50歳だなんてどう考えても信じられない。

リハの映像を観て、コンサート会場にいるような気分になれる一方で、マイケルの音楽に対する真摯な姿勢もぎっしり感じ取れる。
音のひとつひとつ、動きのひとつひとつに実に真剣に注文をだし、内容を決めていくところでは、マイケルの才能の凄さに加えて、スタッフやバックミュージシャンやバックダンサーのレベルの高さにも驚かされる。
このままコンサートが実現していれば、伝説的な内容になっただろう。
ただひたすらに残念です。

マイケルファンでなくとも一見の価値はあるでしょう。

それにしても映画館では前から3列目。さすがに首が痛い・・・。

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2009年02月18日

燃えよ!ピンポン−(映画:2009年9本目)−

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監督:ロバート・ベン・ガラント
出演:ダン・フォグラー、クリストファー・ウォーケン、ジョージ・ロペス、マギー・Q、ジェームズ・ホン、トーマス・レノン

評価:77点

たまには、ぬるいぬるいコメディを見たいと思ってこんな映画を見てみた。
想像以上のぬるさだった。これはたまらん。
思わずニヤニヤしながら没頭して見入ってしまった。

少年時代に天才卓球少年だったランディは、ソウル5輪で屈辱的な敗戦を経験する。賭け卓球にはまっていた父親は殺され、ランディは場末のカジノで卓球曲芸をして生活するところまで落ちぶれていた。
そんなランディの前にFBIが現れ、父を殺した男を首領とする組織が開催する闇卓球大会に出場して潜入捜査をしてくれと頼む。

設定もムチャクチャだが、登場人物も当然ムチャクチャだ。
そうそう、マギーQが卓球師匠の姪っ子役ででてくるが、一人図抜けてプロポーションがいいだけに、そのアクションや卓球シーンは見入ってしまう。

大人になったランディを演じているのは小太りダン・フォグラー。
少年時代のランディがかわいらしいので、どう考えても大人になったダンに結びつかないところがまた凄い。
「卓球」というのはオバカストーリーをつなぐネタでしかなく、卓球であることが必須のストーリーでは全然ない。
というか卓球技で盛り上げるシーンもあまりなく、そこは残念だった。
王子サーブではないけれど、なにか凄い必殺技とそれを破る起死回生の技が見られたりすると面白かったのに。
物語はひたすらに細かい笑いをつなげながら最後までグダグダになって流れ込んでいく。
クリストファー・ウォーケンのオカマキャラも、吹き矢で敗戦選手を殺していく不必要に色っぽい姉ちゃんも、頭のネジの切れたドイツ選手もひどい。ひたすらに逃げ惑いキャーキャー騒ぐオカマ軍団の意味もわからないし、コオロギネタやシャム双生児ネタも放送コードギリギリだろう。
ということで笑いました。
ドッカンドッカンくる笑いもいいけれど、最初から最後まで凝ったバカっぷりにニヤニヤしながら見る映画もそれはそれで楽しいのです。

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2009年02月01日

マンマ・ミーア−(映画:2009年5本目)−

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監督:フィリダ・ロイド
出演:メリル・ストリープ、ピアース・ブロスナン、コリン・ファース、ステラン・スカルスガルド、ジュリー・ウォルターズ、クリスティーン・バランスキー、ドミニク・クーパー、アマンダ・セイフライド

評価:90点

小学校5年生と6年生のときに担任だった女性の先生がアバのファンだった。
私が12歳のときの29歳だったはずだから、あの先生もそろそろ還暦ではないか。え、この映画で主演のメリル・ストリープと同じ歳かあ、時の流れって凄いもんだなあ。
当時の私はピンクレディやキャンディーズを聞いて喜んでいたので、アバとか言われてもそれがなんなのか全くわからなかった。
だから1970年代に活躍したアバをリアルタイムではほとんど知らないのだが、この映画で流れてくる曲のほとんどを知っているのはどういうことだ。あの時代からずっとアバの曲はそのままの姿でどこかで流れ続けてきたということか。
懐かしいのに十分に新鮮で、思わず踊りたくなって顔がにこやかになってしまうアバミュージックってほんとに凄い。そう実感させられた。

もともとミュージカル映画が好きなので楽しみにしていたが、期待に十分に応えてくれる内容。
ストーリーはありきたりの自分探し物語に母と娘の結婚式前の切ない気持ちをうまくちりばめた程度で特筆すべきものは大してないのだが、メリル・ストリープと彼女の旧友2人の3人オバハンチームが見事にはじけて素晴らしい。
それに比べるとオッサン3人組はちょっとおとなしかった。
メリル・ストリープの相手役がピアース・ブロスナンなので途中から彼が歌う場面が何度も出てくるのだが、これはなんとも形容しがたく、ギリギリセーフレベル。

娘の結婚式が舞台だけれど、物語自体はオッサンとオバハンへの応援歌のようでもあって、エネルギーも十分にもらえた。ダンシング・クイーンのシーンは最高。
オッサン、オバハンにはゴチャゴチャ言ってる時間はもうないのだ。やるのだ。とにかく。

********all cinemaより、あらすじ***********
 ギリシャの美しいリゾート地、カロカイリ島。小さなホテルを営む母ドナと2人暮らしのソフィは、恋人スカイとの結婚式をいよいよ明日に控えていた。またそんな彼女には、“父親と結婚式のヴァージン・ロードを歩きたい”という密かな夢があった。しかし、母子家庭で育ったソフィは未だに父親が誰なのかを知らない。そこで母の昔の日記から、父親であろう3人の男性、建築家のサム、銀行マンのハリー、冒険家のビルを探り当て、ドナに内緒で結婚式の招待状を送ってしまっていた。やがて、道中鉢合わせた3人が揃って到着。ソフィは結婚式のサプライズのため、ドナの目が届かない場所に彼らを匿うことに。ところが、ドナが偶然3人を目撃してしまったことを機に、様々な問題が湧き起こっていく…。


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2008年04月26日

マイ・ブルーベリー・ナイツ−(映画:2008年35本目)−

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監督:ウォン・カーウァイ
出演:ノラ・ジョーンズ、ジュード・ロウ、デイヴィッド・ストラザーン、レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマン

評価:75点

公式サイト

(ネタバレあります)
夜のニューヨーク、弊店間際のカフェのガラス越しのいかにもお洒落な映像、バックに流れるノラ・ジョーンズ、さりげなくマスターをしている美男、ジュード・ロウ。
いやいや、たまりませんな。
私が女性だったらこういうシチュエーションでちょっと洒落た会話を楽しんでみたいものです。
「これはいつも売れ残るんだ」なんて言いながら出されたでっかいブルーベリーパイにかぶりつきながら。
そして口元に生クリームをつけたままテーブルに突っ伏して眠りこけ、ジュードロウにキスされるのです。
うああ、文字にしてみるとありえないほど漫画的な展開だな。
店で寝るなよ、だいたい。
マンハッタンでそんな無防備な存在が生き残れると言うのか、ノラ・ジョーンズよ。身ぐるみ剥がされるぞ。

ひとつの恋に破れた女性・ノラ・ジョーンズがジュードロウに出会い新しい恋に落ちるが、自分探しの旅を一年間続けた後に、彼の元に帰って来る。じつはそれだけの物語。
旅先でいくつかのアクシデントに出会ったり、ジュードに一方的に手紙を出し続けたりするくらい。
旅先で登場するのが、レイチェル・ワイズとナタリー・ポートマン。
この二人の美しさは凄いです。
強烈なオーラを放っていて、ノラ・ジョーンズがそこらの小娘に見えてしまう。
特にレイチェル・ワイズは少々陰のある役だっただけに帰って研ぎ澄まされた刃物のような凄みがありました。

ノラ・ジョーンズも、どこか間の抜けたとっつきやすい顔をしていて悪くないんだけど、やっぱりシンガーなんだよな。
そんなことを思いながら、最後の最後まで徹底的にお洒落な映像と音楽に浸っている間に終わってしまった。
内容はともかく雰囲気に浸る、という目的なら悪くない映画かも。

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2008年04月19日

魔法にかけられて−(映画:2008年34本目)−

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監督:ケヴィン・リマ
出演:エイミー・アダムス、パトリック・デンプシー、スーザン・サランドン、ジェームズ・マースデン、レイチェル・カヴィ
ナレーション:ジュリー・アンドリュース

評価:86点

公式サイト

(ネタバレあります)
少しシニカルで、でも基本的には前向きな夢がギッシリ詰まってて、いつものディズニーの楽しさもキープしている、高レベルの作品でした。

森の奥で王子様との出会いを夢見て動物達と暮らしているお姫様。
そこに現れるかっこいい王子。王子に地位を奪われることを恐れ、お姫様との出会いを妨害し続ける意地悪な継母女王。
これは、どこか懐かしいアニメーションによる御伽噺の世界の登場人物。
ところが継母女王がお姫様を、王子から遠ざけるために井戸の中に突き落とすと、この井戸が現代のマンハッタンに通じていて、タイムズスクエアのマンホールから突然お姫様が飛び出してきたのだった。

お姫様のジゼルもエドワード王子も、マンハッタンで御伽噺のキャラをそのまま発揮する。
突然歌いだす不自然さ、異様な佇まい、オーバーアクション。
「ここはどこ」「誰か助けて」と言いながら、クルクルまわる純粋で無垢なジゼルはどうみてもイってしまった変人。
マンハッタンには昔1年間住んでいたことがある。あの街はたいていの多様性は受容してしまうという恐ろしい場所だった。少々変な人が歩いていたり変なことをしていても、「いいんじゃないの」とすぐに受け入れる街だ。
そんなマンハッタンでもさすがにこの二人の異様さは郡を抜いて際立っていた。
御伽噺の世界の異常さ、それを自虐的に堂々と見せてしまうディズニーってある意味凄いものだ。ディズニーは御伽噺で食っている会社だというのに。

偶然ジゼルを自宅に招き入れることとなったロバート。ジゼルが原因で恋人に誤解されたり仕事でトラブルに巻き込まれたりし、その浮世離れした行動に辟易としていた彼だが、次第に彼女に惹かれていく。

落ち着きどころは極めてディズニー的。
したがって、その毒気を多少含んだ設定を楽しみながらみているうちに、なんともほっこリした気分でエンディングに突入できるのだ。
ボスキャラがあまりに弱かったこともご愛嬌というところだろう。
最後まで安心して楽しめた。

セントラルパークでミュージカルシーンは楽しかった。
ディズニーランドのショーのよう。
部屋を掃除しているゴキブリにはちょっとひいたけど、アメリカではあれはOKなんだろうか・・・。

「現実はそんなもんじゃない」と叫ぶ前に、あなたも夢に向ってすすんでみれば、ということで。

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2008年03月08日

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋−(映画:2008年21本目)−

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監督:ザック・ヘルム
出演:ダスティン・ホフマン、ナタリー・ポートマン、ジェイソン・ベイトマン、ザック・ミルズ、テッド・ラドジグ

評価:68点

公式サイト

んー、かわいらしい映画だったがどうにも理解が難しい。
それはきっと日々の暮らしの中で私が童心というものをどこかに置き忘れてきたからだろう。
ほんとうか?
ほんとうにそうなのか?

夢を持つことの大切さ
自分を信じることの大切さ
あなたのちからで世界は変わる

んん、どれもちょっと違うな。
コミカルでポップなファンタジー映画の中に、なにか中途半端でわかりにくいメッセージが込められているのですわりが悪い。
痒い背中に手が届かないような気分、何かを忘れて出かけてしまったような気分、そんな感じで映画がどんどん進んでいく。
そうか、そもそもマゴリアムおじさんが一体何者なのかも教えてくれないから???になってしまうのだ。

ダスティン・ホフマン演じるマゴリアムおじさんのキャラは魅力的。
というかダスティン・ホフマンって凄い役者だ。
とても変なおじさん役なのに、彼に画面を通じてにっこり笑いかけられるとそれだけで全てを許してしまいそうになる。
おもちゃ屋全体に魔法をかけているこのマゴリアムおじさん。
彼のおもちゃ屋で働くモリー(ナタリーポートマン)。
このおもちゃ屋に会計士として雇われたヘンリーと、友達ができないちょっと変わった少年のエリック。
4人のバランスの取れた演技は軽快な四重奏を聴いているようで心地よい。

だが、展開は結構退屈だ。
マゴリアムが何故おもちゃ屋を去っていくのかがよくわからなかったし、モリーの葛藤もいまひとつ伝わりにくかった。
それだけに最後の場面もカタルシスが薄い。
まあでもこんなもんんかな・・・。

マンハッタンのおもちゃ屋、「F・A・O SCHWARZS」を思い出した。
あそこもこの映画のおもちゃ屋のように、中にいるだけで楽しくなってくるような空間だったなあ・・・。


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2008年02月19日

ミス・ポター−(映画:2008年16本目)−

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監督:クリス・ヌーナン
出演:レニー・ゼルウィガー、ユアン・マクレガー、エミリー・ワトソン、ロイド・オーウェン、バーバラ・フリン、ビル・パターソン

評価:75点

公式サイト

むかしむかしそのむかし、私が中学生だった頃、好きな女の子がピーターラビットマニアだった。
ノートも筆箱もメモ帳も、なんでもピーターラビット。
小さくて白くてピアノがうまくて、英語がペラペラの帰国子女だった彼女には、ピーターラビットが見事なまでに似あっていた。
だから私もピーターラビットが大好きだ、と言いたいところだが、その恋は当然のように不調に終わったこともあり、私はピーターラビットとは全く無縁の青春を送ることになったのだった。
そりゃそうか。
ピーターラビットって女性に圧倒的な人気があるのに、男がこっぱずかしくてなかなか手に取れないキャラクターの代表的存在。
「ご当地キティちゃん」のストラップを携帯電話につけることはできても、ピーターラビットのノートは使えない。男とはそういうものなのだ。たぶん。

ということで、ピーターラビットの作者であるビアトリクス・ポターの物語。
1902年のイギリス。女性は結婚して子供をもうけ、男のそばで微笑んでいればいいという価値観の社会で、ひとりの上流階級の女性が、結婚もせず作家になって独り立ちしていく。
その強さは清清しいし、それでいてかわいらしい。
この辺は、レニーの演技力の見せ所だ。
かわいらしくてほっこりして、ひょっとしてバカなのかと一瞬思わせる雰囲気なのに、実は賢くて強くて、信念を貫くかっこいい女性。
こういう女性を演じると、レニーが一番かも。

レニーの前では、描いた絵が動いたりするちょっとファンタジーっぽいところもいい感じ。
衝突しながらもお互いを思いあう両親との関係や、ついにめぐり合った愛する人(ユアン・マクレガー)との切ない悲恋もよくかけている。
見せ場や盛り上がりには欠けるものの、淡々と、力強く、ポターの一生を映した佳作。
レニーの笑顔にほんわかとなって、見終わった後は幸せな優しい気持ちになれます。

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2008年01月27日

ママの遺したラヴソング−(映画:2008年9本目)−

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監督:シェイニー・ゲイブル
出演:スカーレット・ヨハンソン、ジョン・トラボルタ、ガブリエル・マクト、デボラ・カーラ・アンガー

評価:91点

公式サイト

元大学教授でありながら、過去の事件に捉われて酒に溺れ体を壊し精神的に不安定な日々を過ごす白髪の老人・ボビーをジョントラボルタが演じる。
幼い頃に歌手であった母の元を飛び出し、学校にも行かずトレーラーで荒んだ生活をしていた少女・パーシーをスカーレット・ヨハンソンが演じる。
この二人の演技は素晴らしいし、役者としてとてつもなく魅力的。
加えて舞台がジャズの街、ニューオリンズ。
自然は綺麗だし、ヨーロッパ調の建物が美しい街並みもたまらん。
音楽がまた最高だ。
もうこの時点でストーリーとか関係なく80点はつけたいくらい。

そして、ストーリーもシミジミとよかった。

ボビーの元には、かつて彼に師事していた作家のローソンが付き添っていた。
といっても本を書き上げることもできず、ボビーと一緒に酒に溺れている。
この3人が、パーシーの母、ロレインの死をきっかけに、一緒に過ごすことになった。
パーシーはことあるごとにボビーやローソンと衝突するが、次第に心を開き人間的に成長していく。
そしてボビーとローソンも人生のリスタートをきることができたのだった。

最後にはちょっとしたショッキングな展開が待っているが、これは予測できた展開。
(パーシーの父親の話が全く出てこない時点で、わかってしまっていたかも)
だから、家族の再生物語としては結構ありきたりなのだが、巧みな演技と風景と音楽が、そんな不満は一切感じさせなかった。

ボビーのセリフは、大学教授らしく小説や戯曲や詩からの引用がやたらと多い。
欧米の文学に疎い私は残念ながらこのあたりは楽しめなかったけど、知ってる人にとっては心に沁みるセリフなんていうのもあったのかもしれない。

この映画が作られたのは2004年。ハリケーン・カトリーナの被害にあう前のニュー・オリンズが舞台だ。
映画にでていたあのボロ家は、カトリーナで思いっきり浸水してしまうのかなあ、などと余計なことも思ってしまった。
なんにせよ、去年訪れた街だけに、私の思い入れも深い。
素敵な街だった。

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2008年01月26日

Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!−(映画:2008年8本目)−

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監督:スティーブ・ベンデラック
出演:ローワン・アトキンソン、エマ・ドゥ・コーヌ、マックス・ボルドリー、ウィレム・デフォー、カレル・ローデン

評価:65点

公式サイト

(ネタバレあります)
10年ぶりに映画になったビーン。
そうだよな、1996-7年ごろに日本でもちょっとしたブームになったことを思い出した。

そのときから、そんなに面白いとは思わなかったのだが、10年たって新作を見てみても相変わらずだったなあ。
シニカルな笑いとベタな笑いのコンビネーションは結構よかったが、彼の動きそのものに面白さを感じられないからどうしようもない。
意味のないクネクネしたダンスや顔芸は本当に面白いのか?
私が単に彼と相性が悪いだけなのか?

もうひとつ言えば、あまりに冗長で、前半は眠いことこのうえない。
この手の映画は畳み掛けるようなテンションを最初から最後まで保って、短時間で勝負すべきではないだろうか。
話を進めるためのグダグダした展開には辟易としてしまう。

ビーンがカンヌ映画祭の会場に忍び込んでからは面白い。
ドタバタがドタバタを呼び、これまで我慢していた思いが報われるくらいスッとした気持ちになれる。
スクリーンに大写しになったビーンやエマ・ドゥの映像がドキュメンタリー映画のように美しく映し出され、そうかこのシーンのためのココまでの苦しい道のりだったのかとわかるのだ。
ラストの爽快感が素晴らしいため、不思議と鑑賞後の満足感も高かったりする。
だけど、冷静に考えてみると、この映画が始まってから四分の三は、やっぱりもう見たくないのだった。


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2007年12月24日

舞妓Haaaan!!!−(映画:2007年143本目)−

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監督:水田伸生
脚本:宮藤官九郎
出演:阿部サダヲ、堤真一、柴咲コウ、小出早織、京野ことみ、酒井若菜、キムラ緑子、生瀬勝久、大倉孝二、山田孝之、北村一輝、真矢みき、吉行和子、伊東四朗、植木等

評価:94点

公式サイト

た、楽しい。
これぞエンターテイメント。
とにかくムチャクチャな展開なのだがドツボにはまって笑い転げてしまった。
なんといっても脚本が最高だ。
まさかの展開が次々と続き、何度椅子から転げ落ちそうになったことか。

キャラで秀逸だったのは、堤真一。
西宮出身らしく、ドスの聞いた関西弁での突っ込みは最高によかった。
「うるさいんじゃ、ボケぇ!」
はまりました。
それでいて、ちょっとシンミリした場面での演技もさすがにしっかり魅せてくれてそつがない。
うーん、素晴らしい。

高校の修学旅行で迷子になり、舞妓さんに出会ったことから熱狂的な舞妓ファンになった主人公の鬼塚(阿部サダヲ)。
即席めんの会社で働いていたが、念願の京都への転勤がかない、やっとお茶屋デビューを果たすことになる。
もちろん舞妓さんと遊ぶまでも簡単にはいかない。
だって「一見さんお断り」という、高い高い敷居が存在するからだ。
この「一見さんお断り」システムは、映画のラストできっちり効いてくる。
このあたりの展開もなかなか見事。

舞妓さん絡みのネタも大いに笑わせてもらったが、一番の見どころは、鬼塚と、彼がライバル視するプロ野球選手内藤(堤真一)との絡み。
鬼塚が野球選手になるところにもひっくり返ったが、俳優、格闘技ときてラーメン屋にいきつき、最後は政治家って、もうなんでもあり。
でも楽しい。

唯一残念なのは、柴咲コウの舞妓姿が決してかわいいとは言えなかったこと。そして阿部サダヲがたまーにうっとおしかったことくらいか。

そういえば、オクレ兄さんの姿を久しぶりに見たなあ。
生きててよかった。
植木等さんはこれが遺作。なんだか感慨深いものがあるぞ。

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2007年12月17日

モーテル−(映画:2007年141本目)−

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監督:ニームロッド・アンタル
出演:イーサン・エンブリー、ケイト・ベッキンセール、フランク・ホエーリー、ルーク・ウィルソン

評価:70点

公式サイト

ケイトベッキンセール。
好きな女優さんなのだが、なぜかいまひとつブレイクせず、結構地味な映画に出つづけている。
ううむ、どうしたらいいんだろう。
まずはミラ・ジョヴォビッチあたりのポジションを狙うということでアクション路線で行くか、それとも妖しげなお色気を振りまいてスカーレットヨハンソンあたりの位置を伺うか、それとも知性を売りにしてケイト・ブランシェットというのはどうだ。
どれもいまひとつベッキンセールにははまらないなあ。
このまま、この映画みたいなB級映画で女王として君臨してしまうのかもしれない。
それはそれでいいのかもしれないが。

ということで、夜中に車が故障してやむなく泊まったモーテルで、夫婦が突然襲われ、理不尽な恐怖にさらされるという話。
オカルトでもエイリアンでもなく、襲ってくる相手は人間(異常犯罪者)なので、落ち着いたサイコホラー映画と言えるだろう。

落ち着いた、などと書くと怖くないのかと思われるが、これがそこそこ怖い。
いや結構怖い。
暗闇で、徐々に逃げる方法を失っていくというオーソドックスな驚かせ方と追込み方で、観ているほうも肩に力が入ってくる。
それにしても、捻りがなかった。
このぐらいの脚本なら大学の映画同好会でも作りそうだぞ。
いや、そういう人たちのほうが捻った予想外のストーリを用意するかも。

ビデオを使って過去の凄惨な場面を映し出し、狩られる二人の恐怖感を煽ろうというのはよかったが、もっとえげつないことをするかと思ったのに、ほんとにナイフ持って突撃してくるだけなんだもんな。

まあでもたまには、こういう安心できるホラー映画って言うのもいいかもしれない、ということにしておきます。
ベッキンセール様に免じて。

ところで、ああいう状態になったらまずはビデオを壊しておくんじゃないのか。自分達の情報だけが相手に伝わっているってあまりに不利じゃないか。
ま、いいかどっちでも。




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2007年11月21日

蟲師−(映画:2007年131本目)−

蟲師1蟲師2
監督:大友克洋
出演:オダギリジョー、大森南朋、蒼井優、りりィ、李麗仙、稲田英幸、守山玲愛、江角マキコ

評価:75点

公式サイト

(ネタバレあります)
まったりと、癒されながらの2時間11分。
絶対に眠くなるだろうと思ったのだが、予想に反して独特の世界観にどっぷりはまってしまい、最後まで情緒を存分に味わいながらみることができた。
結局なんなんだ、というところはあるけれど、細かいところは突っ込まないようにしたほうがよいのだろう。
最後にヌイは死んでしまったのだろうか?
突然光ったのはなぜなのか、よくわからなかった。
よくわからなかったけど、まあいいか、と思わせる不思議な映画だ。

漆原友紀の人気コミックを、大友克洋監督が実写映画化したもの。
「蟲師」である主人公ギンコが「蟲」により引き起こされる様々な謎を解き明かしていく物語であるが、この「蟲」という存在や蟲師の役割など、漆原友紀が作り出した世界観らしい。
もののけ、のように見えるがなんとも独特で面白い。

コミックの存在はしらなかったが、かなり売れているし、アニメになってテレビで放送もされていたのだなあ。

映画では、漫画にあったエピソードなどを絡めながら、独自のストーリーを作っていたようだ。
ギンコの蟲師としての活躍と、少年時代に記憶を失って蟲師になるまでの話が交互に語られていく。

少年時代のギンコを世話していたヌイを演じていたのが江角マキコ。残念ながら江角マキコだけはミスキャストに思えてならない。ボロボロの老婆になってからなど一種異様な熱演なのだろうが、見ていて冷めてしまった。
普通に現代ドラマにでている彼女は嫌いではないのだが。
難しいもんだ。

それに比べると、蒼井優のなんと素晴らしいことか。
着物姿はこれ以上なく決まっている。苦しんでいる顔も、笑顔もなにもかもがかわいく美しく、文句のつけようがない。
菜箸のようなもので、逃げ出した文字を、「えぃっ」と捕まえて紙の上に仕舞っていくところもかわいかった。
オダギリジョーは結構好きな俳優なので、この二人のやりとりを見ているだけで十分に楽しめたなあ。

風景もなんだか懐かしさを感じるものばかりだった。
日本人の郷愁にいい感じで訴えかけているのだ。

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2007年10月28日

殯(もがり)の森−(映画:2007年123本目)−

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監督:河瀬直美
出演:うだしげき、尾野真千子、渡辺真起子、斉藤陽一郎、ますだかなこ

評価:66点

公式サイト

(ネタバレあります)
2007年度カンヌ国際映画祭グランプリ(審査員特別賞)を受賞した作品。
エンタメ性など全く期待していなかったが、ここまで必要最小限の情報で淡々と書き込まれていくとさすがに眠い。
研ぎ澄まされた生と死への想い、というものが感じ取れる部分は多々あったが、もう少し物語り全体に動きが欲しかった気がする。
お坊さんの説教をもう少し聴きたかった。
もしくは「しげき」に語らせるとか。

奈良県の山奥、旧家を改装したグループホームが舞台。
軽い認知症の患者達がそこで生活している。
介護福祉士として真千子がそこにやってきたが、彼女は子供を亡くしたことがきっかけで夫と別れることになり心を閉ざしていた。
一方、ホームには33年前に妻・真子を亡くしたしげきがいた。
身近な者の死を受けれいることのできない二人の絡みが映画のメインストーリーとなっていく。
だが、とにかく画面から伝わる情報が少なすぎる。
身近のものの死、といってもそれが具体的には語られないため、観ているものに訴えかける力が足りない。
33年前の真子の死も、真千子の息子の死も、そのつらさが伝わってこない。
いや、観る人によっては二人の演技からヒシヒシと伝わってくるのかもしれない。残念ながら鈍感な私の心はそれを感じ取ることができなかった。

二人はしげきのお墓参りにでかけた先で、それぞれ逝ってしまうものと最後の別れの儀式を行う。
しげきは、妻のお墓の中に自分の日記を埋め、妻に寄り添うように横たわる。
真千子は、オルゴールを、天に昇っていく息子に聞かせるように天に向かってかざす。
なんとも象徴的でいいシーンだった。
ただ、この場所にたどり着くまでの過程は最悪だった。無意味に泥だらけになり、泣き叫び、川に落ち、寒さに凍え・・・。
何をしてるんだか。

もう一点だけ。
しげきと真千子に最初から男と女を感じさせられて落ちついて見ることができなかった。
住職の説教で手を重ね合わせるときも、部屋で突き飛ばされたときもだ。
私の考えが世俗的過ぎていやらしいだけかもしれないが、父と娘のような純粋なものにどうしても見えなかったのだ。
いつ、しげきが真千子を妻と勘違いして襲ってしまわないか、ずっと心配だった。
しげきをもっとおじいさんにするか、真千子から色気をゼロにした配役にするか。
などと感じたのは私だけかなあ・・・。

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2007年07月12日

地下鉄(メトロ)に乗って−(映画:2007年76本目)−

メトロ1メトロ2
原作:浅田次郎
監督:篠原哲雄
出演:堤真一、岡本綾、常盤貴子、大沢たかお

評価:70点

公式サイト

(ネタバレあります)
この本の原作を読んだのは1996年か1997年。
今より10年以上前で、僕はいまより10歳若かった。あたりまえだが。
浅田次郎を読みはじめたばかりの頃だった。
たまたま読んだこの本に、あまりにも深い感動を受けたのを覚えている。
以来、一度も読み返したことがないというのに、ずっとその感動だけが心に残っていた。

これはじつはやっかいなことで、嫌な事実だけが忘れ去られてひたすらに美化されていく昔の恋の思い出に似ている。
人間は都合よく記憶を操作する生物ではあるのだが、こういう操作された記憶は、再びその本を読んだり、映画化されたりして事実が突然目の前に現れたときに、そのギャップを埋めきれないのだ。
えっ、あの子が憧れのマドンナだった白箸さん?
二重アゴじゃん。腹がダルダルじゃん。10年たったら人は変わるなあ。
自分のことは棚に上げてかってにそう思ったりする。
白箸さんもいい迷惑だ。
どこにいるんだろう白箸さん。
小学生のときは好きだったのに。

なんの話じゃ。

地下鉄を乗っているときに突然訪れるタイムスリップで、主人公は昔の父親に何度も会うことになる。
召集令状が来て満州へ出征することになった少年時代の父。
満州で、子供達を助けるために命を投げ出してソ連と戦っていた父。
戦後の闇市で生きるために必死だった父。
母を愛し、生まれてきた自分達を愛してくれていた父。

そんな父に会うまでは、主人公は兄を死に追い詰めた父をただ憎んでいたのだった。
しかし、会えるはずのない父に会うことで、主人公は死を迎えようとしている現在の父を赦すことになる。

物語は、この父子のストーリーと、もうひとつ主人公の愛人とその母親のストーリーが重なっている。
こちらは感動的かつ悲しいラストを迎える。
しかし、ううむ、こんな内容だったっけ?
映画を見てもさっぱり思い出せないのが情けない。
誰かが自分の命を投げ出して、階段から落ちていたことぐらいは思い出すんだけどなあ・・・。

はっきりと思い出せないのは僕の責任なのだが、とにかく当時の感動が鮮やかに蘇らなかったので点数はちょっと厳しめ。
映画そのものだけを見れば、まあ合格点だとは思うのだが、なんにせよ昔の思い出という亡霊と戦わねばならぬ分、しゃあないところです。


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2007年04月24日

マダムと奇人と殺人と−(映画:2007年51本目)−

マダム1マダム2
監督:ナディーヌ・モンフィス
出演:ミシェル・ブラン、ディティエ・ブルドン、ジョジアーヌ・バラスコ、ドミニク・ラヴァナン

評価:80点

公式サイト

2004年、フランス・ベルギー・ルクセンブルグの合作。
なんともいえない奇妙な風味をたっぷり味あわせていただきました。
まるでテレビのコントのような細かくも緩いネタの連発に加え、登場人物が一様に異様です。
唯一まともに見えるレオン警視も、どこかやっぱり変。

話は一応、「美大生連続殺人事件」をめぐるサスペンスもの。
全編ゆるゆるコメディかと思っていると、結構グロい描写を突然織り交ぜて観客の緊張感をうまくキープする。
このあたりの演出は何も考えていないように見えてきちんと計算されているのだろう。なかなか見事。
オカマのイルマが突然娘との再会を果たすシーンや、そのイルマの娘が最後に殺人犯に囚われるところなども同じで、起伏が全くないように見えて、微妙な振幅で観客の心を捉える映画になっているのでした。

個人的には、やっぱりデブ秘書のバカイヤリングが受けたなあ。
金魚って、ミルクって・・・。
懸賞応募が命の、警視の母親もこれまた凄まじい。
チープなセットとド派手な色彩、繰り広げられる変態模様。
完全にひとつの世界を作っている映画なのです。
はまってみるのも面白いかも。

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2007年03月06日

マリー・アントワネット−(映画:2007年30本目)−

マリー1マリー2
監督:ソフィア・コッポラ
出演:キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、アーシア・アルジェント、マリアンヌ・フェイスフル、リップ・トーン、スティーブン・クーガン、ジュディ・デイヴィス、ジェイミー・ドーナン

評価:70点

公式サイト

(ネタバレあります)
ああ、なんてこったい。
こんなにポップでキュートな王女が、キルスティンだなんて。
キルスティンだよキルスティン。
スパイダーマンで世紀のブサイク振りを全世界に撒き散らし、マッチポイントで強化されたブサイク光線をこれまた撒き散らした天下無敵のキルスティン。
いくらゴージャスな衣装に身をまとったって、ブサイク効果が逓減するとは思えないのじゃ。

ということで誰もが知っているマリー・アントワネットだが、歴史映画、王室映画というよりは、たまたま女王になってしまったひとりの女性が、孤独に悩みながらも青春をエンジョイする様子が楽しげに描かれている映画だ。
衣装やアクセサリーは実に豪華で、宮殿など内部のセットも荘厳なのは、これまでのこの手の映画と変わらない。
変わっているのは軽快な現代の音楽に乗せて、美しく楽しい映像をこれでもか見せ付けていることだ。
宮殿内の映像はアップテンポで楽しい。色とりどりのお菓子の映像や、数え切れない靴の映像なんて、好きな人にはたまらないんだろうな。
一方で、手入れの行き届いた庭や、畑の小道がたまらなく叙情的で美しい。
娘と二人で花を摘んでいるところなどを見ていると、これはいったい何の映画だったかわからなくなってしまうほどだ。

まあしかし内容はない。
衣装と料理とアクセサリーと建物と庭を楽しむ映画でしょう。
革命に対して抗うことなく運命を受け入れる様子は潔かったが、そのまえにもうちょっとなんとかできただろう。
とにかく、アントワネットは遊びすぎ。
あれでは斬首台やむなしではないのか。

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2007年01月21日

モンスター・ハウス−(映画:2007年9本目)−

モンスターハウス1モンスターハウス2







監督:ギル・ケナン
声の出演:ミッチェル・ムッソ、サム・ラーナー、スペンサー・ロック、スティーヴ・ブシェミ、キャスリーン・ターナー、マギー・ギレンホール、ジェイソン・リー

評価:78点

公式サイト

(ネタバレあります)
あれ、面白かった。
こんな子供向けのCGアニメで何を面白がってるんだと言われそうだが、結構ドキドキしたうえに、細かい設定と秀逸なCGで楽しんでしまった。
何がよかったんだろう・・・。

スティーブン・スピルバーグとロバート・ゼメキスのコンビが製作総指揮だと。ふうむなるほど。
ポーラエクスプレスで見せたモーションピクチャー技術をここでも使っているだと。ふうむなるほど。
しかし、映画に入り込めたのは「リアルさ」と「かわいさ」の間で絶妙のバランスをとっていた登場人物達のCGのおかげだろう。
ポーラーエクスプレスでは、リアルな人間の表情を目指すあまりにとにかく気持ち悪いCGになっていたが、今回のCGはその反省点を生かしたのか、あくまでも人形のようなアニメ顔が基本であって、それが人間のような生き生きとした表情を見せるという手法に徹していた。
主人公の子供達も警察官もみんな動かなければただの漫画だ。
ところが彼らの表情が実にリアルに変化する。
喜怒哀楽が自然に現れるのだ。
もちろん、モーションピクチャー仕込のスムースな動きも素晴らしい。

家が人を襲うという設定はいかにもB級ホラーっぽいが、そもそもその他の設定もかなりステレオタイプに作ってあって、それが笑える。もちろん狙っているんだろうけど。
太った白人警官と、痩せて馬鹿な黒人警官の組み合わせ。
これってドクタースランプじゃなかったか。
まさに放送コードギリギリ。
主人公達は、情けない色白主人公とちょっとデブないたずらっ子と秀才で美人の女の子。
なんてありがちな。
実はいい人だった爺さんや、主人公の両親の能天気さや、アジア系ベビーシッターの彼氏のバカッぷりもいい感じだ。20世紀のハリウッド映画の定番設定というところか。

ストーリーも家を動かしてドタバタした割には、切ない秘密が隠されていたりしてそこそこ感動的にラストをむかえさせるのだ。
さすがに黄金コンビだなあ。

お子様映画を楽しんでしまいました。

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2006年11月04日

間宮兄弟−(映画:2006年137本目)−

間宮1間宮2







監督:森田芳光
出演:佐々木蔵之介、塚地武雄、常盤貴子、沢尻エリカ、戸田菜穂、中島みゆき

評価:86点

公式サイト

(ネタバレあります)

中島みゆきオネエサマ。
あまりにびっくりしました。
そうですか、オールナイトニッポンで見せていた躁状態の弾けっぷりを画面でも解禁しましたか。これからは邦画界の至宝としてコメディエンヌぶりに磨きをかけてくださいませ。

30歳をすぎて結婚もせず、かといって女遊びに呆けているわけでもなく、日々マジメに暮らしているちょっとオタクっぽい男なんてこの世にはたくさんいるけれど、それが男の二人の兄弟で、一緒に仲良く生活をしているとなるとなかなか見当たらない。
間宮兄弟は、ビール会社のサラリーマンである兄と、小学校の公務員である弟が、マニア臭全開で繰り広げるボケボケコメディだ。

笑いました。
主役の二人が変なのは当たり前として、中島みゆきも常盤貴子も高島政宏もみんな変だ。
ほのぼのと変な彼らが織り成す日常は、ほのぼのとおかしく、ほのぼのと気持ち悪く、気づくと見ているこちらもほのぼのと変な笑みを浮かべながら画面に見入ってしまっている。
恐ろしい。見ているこちらまで変にさせるとは。

二人の恋愛は微妙に変な具合に進み、微妙にうまくいかない。
だけど、もうちょっとのように見えても、実はまったくダメなのだ。
あまりにも子供の二人は、計算も妥協もなにもなく、相手の気持ちもうまく読み取れない。
その辺りは厳しいくらいの現実が描かれている。なんとかそこだけは二人に希望を持たせるエンディングにして欲しかったなあ。減点があるとすればそこだけだ。

小さな笑い、小さな見どころは満載。
モノポリーの途中に裾をめくって色気で不正を働く常盤貴子、わけのわからない餃子ジャンケン、突然フランス語を話し出すエリカの妹のマゾ彼氏、馬鹿度200%の高島、コントと同じテンションじゃねえかと突っ込みたくなる塚地の演技(意外とうまい)、みゆきオネエサマ、ボールを後ろに投げたのはアドリブですか?
とりあえず、いい映画だった。
兄弟のお互いを思いやる気持ちがじっくりと伝わってきた。
いつまで一緒に暮らすのだろうか。

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2006年10月14日

マッチ・ポイント−(映画:2006年126本目)−

マッチポイント1マッチポイント2







監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ジョナサン・リース・マイヤーズ スカーレット・ヨハンソン マシュー・グード エミリー・モーティマー

評価:86点

公式サイト

(ネタバレあります)
脚本書いて監督もしているウッディアレンは70歳。頑張りますなあ。
ホームタウンのNYを離れて、今回はロンドンで撮影。
それでもアレン風味は満載です。どこか懐かしく、それでいて皮肉たっぷりの展開と細かな伏線の数々がなかなか素晴らしい。
R12だから、スカーレットヨハンソンがどれだけ脱ぐのかと期待していたのに、そこは大いに失望させられました。

元プロテニス・プレイヤーのアイルランド人青年クリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は会員制テニスクラブのコーチとして働き始める。英国の上流階級に憧れる彼は、やがて実業家の息子トムと親しくなり、その妹クロエと付き合い始める。ところがクリスはトムの婚約者であるノラ(スカーレット・ヨハンソン)と出会い、彼女に惹かれはじめたのだった。

クリスはクロエと結婚し、彼女の両親にも信頼されてイギリス上流階級の暮らしを始める。一方で、アメリカからやってきた女優志望のノラに強く惹かれ、やがてノラはクリスの愛人となる。
最初はノラを強引にくどいていたクリスだが、次第に自分にのめりこむノラをうとましくも思い始める。

孤独から次第にヒステリックになっていく愛人ノラ、いつまでも優柔不断で意志薄弱のクリス、子供さえ生まれれば幸せになれると思っている典型的お嬢様クロエ、そしてバカ丸出しのボンボントム。どいつもこいつもなんだかなあ、という登場人物ばかりで、愛憎劇は粘度を増してドロドロになりながら終盤に向かう。

そしてついにクリスの凶行。
散弾銃を持ち出した辺りからは、緊張感溢れるスリリングな展開に。

ネットに当たったボールが手前に落ちるか向こうに落ちるか、人生はそんな運で決まる。
犯行が発覚しなかったクリスは、はたして運が良かったのか悪かったのか・・・。

冒頭のテニスシーンが指輪のシーンにつながり、最後に綺麗なオチまであって、それでいてクリスは果たして幸福なのかという疑問も残り、いろんなところがアレン風でお洒落だ。

欧州だからジャズはやめて音楽でオペラで統一。これがなかなかよかった。
ヨハンソンは綺麗だったが、際立った魅力は感じない。どこかナオミ・キャンベルに似てない?
クロエを演じていたエミリー・モーティマーは、デミ・ムーアの線を細くしてちょっと崩した感じ。個人的にはスカーレット・ヨハンソンよりエミリーのほうが好きだったりします。

アレン爺はヨハンソンに惚れ込み、次回作もヨハンソンを起用するそうだ。
色ボケ爺になってゴシップで世間を賑わさなければいいけれど。

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2006年10月09日

もしも昨日が選べたら−(映画:2006年125本目)−

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監督:フランク・コラチ
出演:アダム・サンドラー、ケイト・ベッキンセール、クリストファー・ウォーケン、ヘンリー・ウィンクラー、ジュリー・ガウナー、デヴィッド・ハッセルホフ、ジョーン・アスティン

評価:86点

公式サイト

(ネタバレあります)
主役はもちろんアダム・サンドラーだけど、見に行く男性客の10割以上がきっとケイト・ベッキンセール目当てのはずだ。
アンダーワールドで魅せたエロカッコイイオネエサマの魅力が、ファミリーコメディでどんな風に炸裂するのか。もはや興味はそこにしかありません。
いえ、そんなに言い切るほどでもないのですが・・・。

果たしてベッキンセール、魅力炸裂でした。
アサムサンドラーの妻役として、2児の母として、笑い泣き怒るベッキンセール。
ああ、俺もポカホンタス姿のベッキンセールに待っていてもらいたい!

シモネタを散りばめたほのぼのファミリーコメディにSFテイストがまぶしてあるような物語。
仕事に熱中して家庭を顧みない建築士のマイケル(アダム・サンドラー)が、家中に溢れるリモコンに業を煮やしてホームセンターにユニバーサルリモコンを買いに行く。ホームセンターの裏側で、マイケルはなんとも怪しげなリモコンを手にして家に帰る。
それはテレビのボリュームを操作するだけでなく、人生の時間まで自在に動かせる魔法のリモコンだった。
口喧嘩の時間を早送りし、朝のシャワーの時間を早送りし、通勤渋滞のイライラを早送りしているうちはよかった。週末に家に持ち帰った仕事を早送りし、両親を招いての食事会を早送りしだす辺りから徐々におかしくなってくる。
約束された昇進を先延ばしされたマイケルは、時間を昇進まで一気に早送りする。ほんの数ヶ月、そう思った時間は一年後になっていた。
そして自動学習装置のついたこのリモコンは勝手に時間を早送りさせていく。
マイケルが次に気が付いたとき、彼は社長になっていた。
しかし、妻とは別れ、父は死んでしまっていた。
その次には娘の結婚式、そしてその次は自分の死期間近の病院。
家族に対して愛情を注げないままの一生にマイケルは深く後悔するが、時はすでに遅かったのだ。

って、最後に夢オチってどうなんだろう。

アダム・サンドラーが次第に老いていくだけでなく、太って痩せてという変化が見事で笑えた一方で、ちょっとづつシワを増やしていきながらもどこまでも美しいベッキンセールがよかった。

ホノボノコメディというにはシモネタが多すぎるのが少し気になったかな。
あんなリモコンがあったらもっとうまく使えるだろうにと思ってイライラしてしまうのは、俺の心に余裕がないせいか。
最後にベッキンセール様のお姿を。
click3

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2006年09月23日

マイアミ・バイス−(映画:2006年117本目)−

マイアミバイス1マイアミバイス2








監督:マイケル・マン
出演:コリン・ファレル、ジェイミー・フォックス、コン・リー、ナオミ・ハリス、エリザベス・ロドリゲス

評価:68点

公式サイト

(ネタバレあります)
観る前の予想を大きく裏切るウェットな展開。
乾いたマイアミの青空が、日本の夏のように蒸し暑く感じた。

マイアミの警察の特捜課(バイス)で働く刑事コンビ、ソニー・クロケット(コリン・ファレル)とリカルド・タブス(ジェイミー・フォックス)。彼らは刑事なのだが、ニセ犯罪者として潜入捜査を演じている。

ある任務の途中、刑事であることが組織にバレたという仲間からの電話がソニーのもとに入る。彼は家族を皆殺しにされた。警察の中に裏切者(通報者)がいたのだ。それを探るために、ソニーとリカルドは南米にある麻薬の元締めのところに潜入を試みる。

ストーリーはかなりわかりやすい。
わかりやすいはずなのに、なぜか展開が冗長で、次第に退屈になりイライラしてしまう。
理由は明らかで、アクション&サスペンス映画と、恋愛映画を強引にガッチャンコしてしまっているからだ。
序盤にリカルドのラブシーンが長々とでてくる。
わけがわからない。
二人の愛の絆を見せることで、終盤に彼女が傷ついた時のショックを倍増させるということかことか。
そしてソニーと敵の女性幹部との恋愛。これがまたダラダラと長い。女を取るか警察をとるかというジレンマを増幅させるためなのだろうが、ちょっとしつこいぞ。
任務中に二人で高速ボートにのってキューバまで行き、一日中乳繰り合うなんてなんじゃそれは。体中が弛緩してしまった。映画全体の緊張感だってぶち壊れだ。
内部の裏切者だって結局わからずじまいだし。

そうは言っても、映像の美しさやカッコよさは十分堪能できた。
最後の戦闘シーンは敵味方入り乱れた混乱度がリアルで、銃の音も戦争映画を見ているよう。臨場感は素晴らしかった。
コン・リーはハリウッド初登場(だよね)。
下手糞な英語の発音が初々しい。アメリカ人にどんな風にあの英語が聞こえているのかと思うとちょっと心配だけど、今後はバリバリとハリウッド映画で稼いでくだせえ。

そうそう、TVシリーズは見たことが全くないが、随分と雰囲気は違うようです。

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2006年09月14日

森のリトル・ギャング−(映画:2006年111本目)−

ギャング1ギャング2







監督:ティム・ジョンソン、キャリー・カークパトリック
声の出演:ブルース・ウィリス、ギャリー・シャンドリング、スティーヴ・カレル、ウィリアム・シャトナー、ニック・ノルティ

評価:75点

公式サイト

(ネタバレあります)
ターゲットは完全におこちゃまオンリー。
おっさんが見る映画ではありません。
でも普通に面白かったけどね。

おこちゃま相手にしては、フルCGで登場する動物たちがなんとも中途半端。CGは素晴らしくて、毛並みや針の一本一本までリアルに再現されているのだが、デフォルメが少なすぎて、動物にあまりかわいげがないのだ。
ぬいぐるみを登場させたかったのか、本物を登場させたかったのか、なんだかどっちつかずじゃないのか。
まあそれでも子供に受けていればいいのだが、アライグマのRJのぬいぐるみが飛ぶように売れている、なんていう話は聞かないようだ。

冬眠から覚めた動物たちが食料を探しに行こうとすると、森のほとんどは新興住宅地に変わり果てていた。
困り果てた動物たちの前に現れたアライグマのRJは、人間たちの食べ物を盗んで食べることを皆に教える。
初めてのポテトチップスの味は皆を魅了したが、人間のエリアに入ることは危険を冒すことでもあったのだ。
皆を止めるリーダーのカメ、とある事情から皆に食料を集めさせたいアライグマ。
動物の駆除に乗り出す人間たち。
あとはひたすらにドタバタが繰り返され、仲間っていいね、というエンディング。
死んだふりも針攻撃も笑えたけど、スカンクと犬の恋がなかなか楽しい。
スカンクのおならが臭くないなんて、嗅覚が鋭いはずの犬としてはどんなもんかいな。

それはそうとして、家まで壊されて逮捕されたヒステリーオバハンはちょっとかわいそうじゃないのか。
そんなことを思っているうちにあっという間の80分です。
最近見たアニメでは、カーズのほうがよかったけど、これはこれでまあいっか。



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2006年08月06日

メゾン・ド・ヒミコ−(映画:2006年102本目)−

メゾンドヒミコ1メゾンドヒミコ2







監督:犬童一心
出演:オダギリジョー、柴咲コウ、田中泯、西島秀俊、歌澤寅右衛門

評価:81点

(ネタバレあります)
世の中で嫌いなものは、ゲイと納豆とカボチャの煮付。
そんな俺だったのに、この映画を見ているといつの間にかゲイのおっさんたちを応援し始めていた。
映画ってなんて恐ろしいのだろう。

柴咲コウの働く会社に、オダギリジョーが迎えにくる。
彼は彼女と母親を捨て去っていったゲイの父親の恋人だった。
さらに、父親は末期がんで、自ら建てたゲイの老人ホームで床に伏せており、オダギリジョーは高額なバイト代を餌に彼女にホームに来るように依頼する。

物語の設定からしてぶっとんでいるが、オダギリジョーが画面に出ていると、なんだかそれが普通に思えてしまう。
それほど、「ゲイのオダギリジョー」という存在の持つオーラは凄い。
美しく妖しく純粋だ。
しかし、中学生を毒牙にかけるのはやりすぎじゃないのか?彼は本当の自分に目覚めたのか、それともオダギリジョーの魔法にかかってしまったのか。

ゲイのおじいさん?たちはみんな怪しく格好も強烈で、顔も仕草も放送コードギリギリ。ギリギリというか個人的には完全にアウトだった。それでも最初に書いたとおり、彼らの悩みを温かく繊細に描き出していく映像を見ているうちになぜか応援したくなってくるから不思議だ。
クラブで絡まれるシーンでは、酔っ払いのおっさんを殴りたくなる。
観客の感情が、主人公の柴崎コウの感情の推移とうまくリンクするという、演出のうまさには感心した。

あんな老人ホーム、あってもいいかもしれない。
でも、俺はゲイの人たちと手はつなげないだろうな。例えそれがオダギリジョーでも。
たぶん。
たぶんたぶん。
うーん、ちょっと自信ないかも。

そうそう、クラブのシーンは楽しかった。いいねえ「また会う日まで」と「星降る街角」。

メゾン・ド・ヒミコ 通常版


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2006年07月01日

M:i:III−(映画:今年89本目)−

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監督:J・J・エイブラムス  
主演:トム・クルーズ、ヴィング・レームズ、ケリー・ラッセル、ローレンス・フィッシュバーン、フィリップ・シーモア・ホフマン

評価:90点

公式サイト

(ネタバレあります)
「ラビットフット」とはいったいなんだったのか?
その謎はきっと「M:i:検廚婆世されることになるだろう!(嘘)

息詰まるアクションの連続で一気に2時間を押し切ってしまう力技の映画。
トム・クルーズの体を張った演技はなんとも見事でカッコイイ。
考えてみれば、トップ・ガンで一躍名を上げたのが20年近く前のこと。確かに多少からだの線が崩れていたり、疲れたおっさんの雰囲気を醸し出す瞬間があったりするものの、それでもとても43歳には見えないぞ。
なんでも今回の撮影で6本も肋骨を折ったらしい。
すげえ気合の入りようだ。
俺も肋骨折るくらいの気合で仕事しよう。

イーサン(トム・クルーズ)が敵に捕らえられ、しかも妻のジュリアも目の前で捉えられて殺されそうになっているという緊迫したシーンから映画が始まる。
そこから時間を撒き戻し、イーサンが捕まるところまで物語が進んでいく。
単純な仕掛けだけどうまい。
見ているものは、ジュリアが捕まることや、イーサン自身も捕まってしまうこと、そしてそのときには「ラビットフット」が両者(イーサンも敵も)ともに手にしていないことをわかったうえで映画の筋を追っていくために、進行に少しも安心できない。
安心できない、というよりは、「どんでん返しがありますよ」というご丁寧な伏線とでも言うべきだろうか。
おかげで黒幕までが早めにわかってしまうことが少々難といえば難かな。

見所のひとつはもちろんアクション。
ドイツ−イタリア−バチカン−上海を舞台にして、全てかっこよく手抜きがない。
ボタン一つで車も簡単に爆破させるし、どんなビルからでもどんどん飛び降りる。化粧用コンパクトに映し出した顔からは、あっというまにその顔そっくりのゴムマスクを作り出してしまう。あのマシーンは凄かったなあ。ちょっと笑えたけど。
橋の上でのアクションでは、小型戦闘機がミサイル打ち込んでくるから凄まじい。

もう一つの見どころは、トム・クルーズがかなり人間臭く描かれている演出だろう。
機械のような諜報員ではなく、飛行機の中で敵の挑発に乗ってついつい激昂してしまったり、妻を助けるために後先考えず危険なミッションに仲間を引き込んでいったり、妻が敵に捕まったときに流す涙も含めて、彼を一歩普通の人間側に引き込んで描いている。
それが良いか悪いかは別にして、見ていて親近感を感じたのは事実だ。

敵のボスはフィリップ・シーモア・ホフマン。
太ったデカプリオ、という声もあるが、整った顔のジャック・ニコルソン、とか、ジャック・ブラックの親戚あたり、という感じでもあったような・・・。
貫禄ありました。
モーフィアスは太りすぎです。メタボリック症候群に違いない。

娯楽性の追求という点では、ほぼ満点に近い出来栄え。
ある程度過剰な期待なら、十分それにこたえてくれる映画だ。その点は「ダ・ヴィンチ・なんやら」とは随分違うのだった。


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2006年05月23日

ミッションX−(映画:今年67本目)−

ミッションX1ミッションX2







監督:バート・フレインドリッチ
出演:クリステン・スチュワート、コービン・ブルー、ジェニファー・ビールス、サム・ロバーズ、ジョン・キャロル・リンチ

評価:60点(100点満点)

(ネタバレあります)
いくら暇つぶしといっても、これを選んで観るお前の感覚がわからない。
誰に説明をしてもそんなことを言われそうだ。
だって、超純粋なお子様向け銀行強盗アクションムービーだからなあ。

いえ、決して主演のクリステン・スチュワートがかわいくていいなあ、なんて思ったわけではありません(パニック・ルームに出ていた子役です)。
いえいえ、昔々フラッシュダンスで虜になったジェニファー・ビールスが出ているから見てみようかななんて思ったわけでもありません。
いえいえいえ、今日はかなり疲れていたのでなにも考えない映画がいいなと、そう思っただけなのです。いやほんま。ほんまにそれだけです。

昔の古傷が悪化して突如倒れた父親の手術に必要なお金は25万ドル。
それを工面するために、友人二人を引き込んで銀行強盗をする少女の物語。
忍び込む先は、母親がセキュリティシステムを担当した銀行なのです。

車オタクにコンピューターオタクというご都合主義的に揃った友人と、登山大好き少女の3人が銀行に侵入する様子はそれなりにドキドキする。
でもまあ、やはりお子様向け。
金庫のパスワードや、犬を手なずけるところ、ガスの兄貴の行動など、どれもこれも小学生でもわかるような伏線をきっちり張ったうえで、お約束のように進んでいきます。
謎解きもどんでん返しもなく「基本的なアクションコメディ小説の書き方」という題名で、小学生の国語の教科書に登場してもいいくらい。

そうはいっても、疲れているのに(ほんとに?)最後まで90分きっちり見てしまったわけですから、そこそこは面白いのでしょう。
もちろん、クリステン・スチュワートとジェニファー・ビールスが見たかったわけで、あ、いや、その。

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2006年03月15日

マリーアントワネットの首飾り−(映画:今年38本目)−

マリーアントワネット1マリーアントワネット2







監督:チャールズ・シャイア
出演:ヒラリー・スワンク 、サイモン・ベイカー 、エイドリアン・ブロディ 、ジョナサン・プライス 、ブライアン・コックス

評価:79点(100点満点)

この話、知ってるなと思ったら、漫画で読んだのだった。

ペテンに引きずり込まれる枢機卿ルイ・ド・ロアンは、漫画ではもっと醜く太った馬鹿面だったなあ。
そして、主役のジャンヌは、単なる意地悪で狡猾な女に描かれていた。
この映画に出てくるジャンヌ(ヒラリー・スワンク)は、名門の出でありながら両親を殺されて孤児として生きてきたという哀しい過去をもつ女性になっている。
お家再興のために、謀略を尽くしてフランス王朝を大混乱に陥れる、どちらかといえばヒロイン的な描かれ方。
一方で、王妃のマリーアントワネットが、さらりと悪役っぽく描かれていた。

なんにせよ、史実にほぼ忠実なつくりでもあるので、ストーリー上の驚きはほとんどない。
当時の支配者層を特に批判的に描いているわけでもなければ、民衆の怒りによってギロチン台に送られた王と王妃を悲劇的に描いているわけでもない。
なんとも淡々と、ただジャンヌの心情を追いながら物語りは進んでいく。
この辺りは少々物足りない。
そもそも、ヒラリースワンクに仰々しい中世の衣装は似合わないと思うがどうだろうか。

フランス革命のことは良く知らないが、ジャンヌがつかまって監獄に送られたのは1786年。
マリーアントワネットがギロチン刑となったのは1793年。
7年もあいているのに、この首飾り事件が革命を起こしたというように言われているのはなぜだろう。
そうか、フランス人権宣言が1789年。一応ここがフランス革命ということになるのか。
ほんとか。
まあいいや。

重厚なセットと豪華な衣装に加えて、退廃的な雰囲気が画面からうまく滲み出ていた。
なんだ、そのとってつけたような締めくくりは。

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2006年03月11日

ミュンヘン−(映画:今年33本目)−

ミュンヘン1ミュンヘン2









監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:エリック・バナ、ダニエル・クレイグ、キアラン・ハインズ、マチュー・カソヴィッツ、ハンス・ジシュラー、ジェフリー・ラッシュ、アイェレット・ゾラー、ギラ・アルマゴール、ミシェル・ロンズデール、マチュー・アマルリック

評価:79点(100点満点)

公式サイト

(以下ネタバレあり)

重たい映画だけど、日本人のどれだけがこの重さを理解できるだろうか。
私だって本質は決して理解できていない。
だって、宗教による土地の奪い合いから始まった殺し合い、なんてわかるわけないじゃないか。

天理教と立正佼成会の教祖様がともに東京都板橋区の見次公園の出生だったとしよう。(そんな話はありません、両宗教に関係のある方ゴメンナサイ。例えです、例え)
見次公園は両宗教の聖地になるわけだ。
そこで花見をするために、毎年ビニールシートを敷いての陣取り合戦に両者は命をかけたりするのだ。
天理教のビニールシートにこっそり穴を開けた立正佼成会の11人に報復するために、天理教の報復軍団はその倍の穴を開けに行く。
するとまたその報復があり、またまたその報復があり・・・。
穴開けにつかれた若者が暗い顔でつぶやく。
「俺たちのしていることは正しいのか、結局新しいビニールシートが購入されるだけではないか」
「いや違う、世界中のビニールシートがなくなるまで、穴を開け続ければいいのだ」

そんな感じの映画です。全然違うかもしれませんが・・・。

エリック・バナは渾身の演技を見せる。
暗殺チーム結成時はおぼっちゃま顔だったのに、時間がたつにつれ、苦悩に満ちた暗殺者の顔に変わっていく。
なんともいい俳優だ。

テロの無意味さを問うたものなのか。
イスラエルとパレスチナの永遠の問題をクローズアップしたものなのか。
国のために働きながら、その意味を考え悩み続けるエリック・バナの魂の問題に焦点をあてたものなのか。
ユダヤ人の血の意味はなんなのかを考えるものなのか。

いろんなことを考えながら、じっくりと見る映画なのでしょう。
でも、2時間44分はちと長い。
いい映画だったけど、インパクトがないし、社会派映画としてはメッセージ性が薄すぎる。
アカデミー賞無冠であったのもむべなるかな。
人種問題を扱ったクラッシュは見事作品賞を取ったのにね。

ええと、あらすじはどっかで探してください。続きを読む

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2006年01月28日

ミシェル・ヴァイヨン−映画を見たで(今年15本目)−

ミシェル・ヴァイヨン1ミシェル・ヴァイヨン2







脚本:リュック・ベッソン
出演:サガモール・ステヴナン、ピーター・ヤングブラッド・ヒルズ、ディアーヌ・クルージェ、フランソワ・ルヴァンタル、リサ・バルブシャ

評価:69点(100点満点)

公式サイト

自分の夫を殺されて、パンチ一発じゃ甘くないか。
それとも新しい恋が始まったからそれでいいということなのか。

ル・マンという実際のレースを題材にしているだけに、カーレースのシーンは臨場感たっぷりで素晴らしい。
といっても、我々がテレビで深夜に見るF1だって、車にカメラをつけて走っている実際の映像を見ることができるわけで、それと比較すればどうなのだろうか。
もちろん、映画の映像のほうが美しいし、リュック・ベンソンらしい芸術性も感じることができる。
現実にはありえない激しい車のぶつけ合いも見ることができるしね。
そういえば、雪上を疾走する車の映像もCMのような美しさだった。

ということで、走っている車をみている分には悪くない映画だとは思う。
しかし、あの脚本の酷さはなんだ。
たかがレースなのに、しかもオヤジが負け続けたというだけで卑怯な犯罪を重ねながら勝とうとする、チーム「リーダー」の女ボス。
ライフルで車を狙撃するわ、エースドライバーのオヤジは誘拐するわ、タイヤに細工するわ、それはもうめちゃくちゃ。
真面目に見ていると腹が立ってしょうがない。いくらなんでもそんな犯罪者をそのままにするなよ。
「ヴァイヨン」チームもわけわからんしなあ。
相手の女ボスに誘われてノコノコついていく馬鹿もいるし。

なんでも原作が漫画だということらしいから仕方ないか。
邦画でもここまで無茶な脚本は作らないと思うぞ。
リュック・ベンソンは車が走っている映像を綺麗にかっこよく撮れればそれでいいという人なんだろう。
寝る前に音を消してDVDを再生し、長いCM見ているつもりでそのまま寝てしまうっていうのにちょうどいいかも。
音を出すとエンジン音でうるさいので、映像だけの睡眠導入剤ってとこですかね。これは。

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2006年01月14日

真夜中の弥次さん喜多さん−映画を見たで(今年6本目)−

ヤジキタ1ヤジキタ2







監督:宮藤官九郎
出演:長瀬智也、中村七之助、小池栄子、阿部サダヲ、柄本佑、森下愛子、岩松了、板尾創路、竹内力、山口智充、清水ゆみ、ARATA、荒川良々、中村勘九郎、生瀬勝久

評価:82点(100点満点)

公式サイト

(ネタバレあります)
出張先で時間つぶしに入った漫画喫茶。
DVDでも見るかと思ったが、ほとんど見たやつばかりで、タマタマこれに手を伸ばした。
ネットで酷い書かれ方もしていたようだし、突っ込みどころを探しながら・・・と思っていたら、なぜだか結構面白かった。
ようやるわ、クドカン。
監督だけではない、出演者もようやるわ、ほんま。

いくら、しりあがり寿の原作自体がシュールでわけがわからないとはいえ、映画でそれを作ってしまうのはもの凄いエネルギーを要することだと思う。しかも2時間以上だから。
監督は常識を超えた非論理的思考で作品を撮り続けるのだし、出演者たちは、自分のしていることがなんなのか理解不能な状態で演技をしているはずである。
理解不能というのは言いすぎか。
意味づけができない行動とでも言うべきか。

ぐっさん、よかったなあ。
さすがに歌がうまい。
大量の荒川良々を見たときは倒れそうになったし(腹筋している良々は芸が細かくてよかった)。
竹内力はよくあんな馬鹿げた演技をしてくれたものだ。
中村勘九郎も同じ。コントにさえなっていないような役をよく引き受けたと感心してしまう。
小池栄子は無駄に力が入っていて、それがまた笑えてしまった。

ただ、前半の圧倒的なパワーが、後半に衰え、妙に哲学チックになってきたのは個人的に少々残念だ。
最後まで突っ走ればよかったのに。

そうそう、公式サイトに、「支援、文化庁」とあった。
ほんとうなのか。
いいのか、ヤク中のホモ映画なのに・・・。


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2005年12月04日

Mr.&Mrs.スミス−映画を見たで(今年161本目)−

スミス1スミス2








監督:ダグ・リーマン
出演:ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー、アダム・ブロディ、ケリー・ワシントン、ヴィンス・ヴォーン

評価:90点(100点満点)

公式サイト

ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー、スーパースター二人のかっこよさと、ありえない設定を楽しむ映画。
相変わらずごっつい唇のアンジェですが、色気はかなりアップしてます。

コロンビアで出会った二人は、結婚して5年目(6年目?)、倦怠期をむかえてどこかちぐはぐな生活が続いている。
そりゃそうだ。二人は別の組織に属する超一流の殺し屋という設定。
お互いにそれを隠して任務にあたり、結婚生活も続けているのだから無理も生じるというもの。
そして、ついにお互いの正体がばれることになる。
ターゲットがかぶってしまい、二人が現場で衝突したのだ。

そこからは激しい殺し合い。
夫婦喧嘩で殺しあうというのは、ローズ家の戦争でもあったが、こっちはもっと派手、とにかく派手。

ジャンル的にはアクションコメディになるのだろう。
笑える小ネタも随所にちりばめられていた。
設定自体がでっかい笑い話なんだから、どんなことが起きようがそこにリアルさを求めてはいけないのです。
いくらなんでも自宅にあんなにたくさんの武器を隠していたら見つかるよ、とか、「料理なんて作ったことはないわ、全部作ってもらっていたの」って、6年間ばれないのは無理だろうとか、いろんな突込みどころはありますが、そんなの気にして見てはいけない映画だと思う。
まあ、ここまで派手にエンタメに徹してくれれば、細部もそんなに気にはなりません。

食器棚?がボタンひとつでウィーンと動き、武器格納棚になるのはかっこよかった。
秘密の場所がそこら中にある家だったなあ。
まさに無敵の二人だったが、最後は死んでしまうのではないかと結構ハラハラさせられたぞ。

力の限りを尽くして闘った後には、本当の愛が芽生えるのです。
そう、桜庭とシウバがそうであるように。
違うな。すいません。
私生活でもくっついてしまった二人。お幸せに。

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2005年11月27日

ミリオンズ−映画を見たで(今年156本目)−

ミリオンズ1ミリオンズ2








監督:ダニー・ボイル
出演:アレックス・エテル、ルイス・オーウェン・マクギボン、ジェームズ・ネスビット

評価:78点(100点満点)

公式サイト

心の汚れた私には、非常に痛い映画だった。
ああ、そんなことしたら見つかる!早く隠せ!とばかり思っていたのだ。

いきなり空から大金が降ってきたらどうするだろう。
二人の少年(兄弟)たちは考えた。
兄はどうやって使うか、どうやって殖やすかを考えた。
弟はどうやって貧しい人たちに分け与えればいいかを考えた。

ユーロ統合直前のイギリス。
通貨が変わる前になんとかしなければならない。

当然、すんなりとことが運ぶわけはなく、様々な事件が起こるわけだが、決してドタバタコメディにはなっていない。
映像はあくまでスタイリッシュでスピード感があり、音楽も見事にマッチしていて心地よい。
そして、ダミアン役のアレックスのかわいいこと。
彼には何故か過去の聖人たちが見えるという設定も、かわいいから許してしまう。

だが、もうひとつ盛り上がりに欠けたまま終わってしまった。
現実と幻想を織り交ぜながら、お金だけが幸せではない、お金の大切さは人それぞれにとって違うのだとかいうことを言いたかったのかもしれないが、それにしては寄り道が多すぎる。
一つ一つのシーンはとても映画的で好きなのに、つなげてみるとなんだかよくわからず無駄が多く、突っ込みどころが多々あるのだ。
繰り返し出てきた聖書の話、聖人たちの訓話も日本人にはわからないことが多いからなあ。
ラスト、机の上に現金が投げ出されるシーンは、少年が起こした奇跡ということになるのだろうか。それも何か興ざめだ。

大体、お金燃やして大丈夫だったのか?
それが一番心配だな。

冒頭のシーンで、一面黄色の花畑を自転車で兄弟が疾走するシーンがたまらなくよかったなあ。
ちなみに、英ポンドがユーロに参加すると言う話はまだありません。
参加しても、「明日からポンド紙幣が無価値になる」っていうやり方は非現実的。これまでユーロへの参加を拒んできた英国国民への皮肉なのかな?

いきなり大金が空から降ってきたら・・・。
さて、どうしよう。


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2005年11月26日

モディリアーニ〜真実の愛〜−映画を見たで(今年154本目)−

モディ1モディ2







監督:ミック・デイヴィス
出演:アンディ・ガルシア、エルザ・ジルベルスタイン、オミッド・ジャリリ、エヴァ・ヘルツィゴヴァ、イポリット・ジラルド

評価:90点

公式サイト

男は、破滅的な人生にどこかであこがれているのだろう。
この映画の中の、アンディ・ガルシア演じるモディリアーニのあまりのかっこよさに痺れ死にしそうになった。

幼年期にかかった結核のせいか、肺が半分機能しておらず病弱なモディリアーニ。医者から、このまま煙草、薬、酒を続けているとすぐに死ぬぞと言われながら、どれもやめられず退廃的な生活を続けてしまう。
そんなグダグダの生活の中だからこそ、光る才能がかっこいいし、ジャンヌに対する愛も美しい。

生まれた子供を取り上げられ、ついに本気を出してコンペに臨むモディリアーニ。
全身からやる気モードを全開にして絵筆をもつシーンは、まさに格闘技のタイトルマッチ。

そうか、これは「明日のジョー」のパターンではないか。
溢れる才能を持ちながら、世の中に対して斜に構えて皮肉を言うばかりで本気になれないモディリーアニはジョーそのものだ。
そして、モディリアーニの対極として、成功の象徴として描かれているピカソが、ジョーに対する力石ではないか。
ああ、わかった。
だから私はこんなに熱くこの映画に見入ってしまったのだ。

コンペの絵が紹介されるシーン。
モディリアーニの書いたジャンヌの肖像画に蒼く輝く瞳が描かれている。
ピカソが思わず彼の絵を賞賛する。
それは魂を込めたダブルクロスカウンターが炸裂した瞬間だったのだろう。
少し涙腺が緩んだ。

ピカソとの確執はすべて創作のようだが、その他は史実に基づいた部分が多いようだ。
病弱ながら薬と酒におぼれて35歳で他界。
身重のジャンヌが彼の死を悲観して投身自殺をしたのも事実。

破滅に向かうガルシアの演技は最高。
さらに、当時のパリの雰囲気を満喫させてくれる(見たことはないけど)街並みやカフェのシーンはなんともたまらない。
街中を走る電車が、アンテナから火花を散らしている夜のシーンも美しかった。
何故か、ひとつひとつのシーンが印象に残るいい映画。
これも明日のジョー的構成の勝利なのか。
大事なときに深酒して暴漢に襲われて死ぬ。
最初は少し違和感を感じたが、それもまたありかもしれない。

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2005年11月19日

モーターサイクル・ダイアリーズ−映画を見たで(今年146本目)−

モーターサイクル1モーター3






製作総指揮:ロバート・レッドフォード
監督:ウォルター・サレス
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル 、ロドリゴ・デ・ラ・セルナ 、ミア・マエストロ 、メルセデス・モラーン 、ジャン・ピエール・ノエル

評価:92点(100点満点)

公式サイト

2時間の映画の中で、これほど劇的に主人公が変化したことがあっただろうか。
1952年。23歳の医学生エルネストと、30歳になるアルベルトが、南米大陸を自分の目で見るために、バイクにのって冒険に出る。
典型的な貧乏旅行。
最初はいい加減であまっちょろい顔をしていたエルネストの顔が次第に大人びてくる。
言葉にも行動にも深い精神的な成長がにじみ出てくる。
最後はもはや求道者のような佇まい。カッコイイ。
そうか、これは9ヶ月間1万2千キロの旅を通した青年の成長物語だったんだ―などと思っていたら最後にひっくり返った。

チェ・ゲバラの自伝だったのか。
少しは前もって知識を入れてから映画を見るべきだったかな。
若き日のチェ・ゲバラが医学生から革命家へと転進するきっかけとなったのが、友人とのこの南米大陸旅行だったのだ。
そう知ってからこの映画を思い出してみるとなるほど感慨深い。
住む場所を追い立てられる先住民。
銅山での共産主義者との出会い。
ハンセン病患者の療養所で「南米はひとつだ」と話したスピーチ。
喘息を患いながら、川を渡りきってハンセン病の人たちと抱き合うシーンは胸に染みる。

モノクロで挟まれる南米の貧しい人たちの生活。
ゲバラは彼らを自分の目で見ながら、自分の思想と強い志を作り上げていったんだろう。

自分はどんな真実をこの目で見てきただろうか。
真剣に自分と向き合い生きてきただろうか。
そんなことを思って、ちょっと切なくなったりもしたのだった。
これも青春ロードムービーのなせるワザなのだろう。


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2005年08月27日

映画を見たで(今年101本目)−マダガスカル−

マダガスカル1マダガスカル2







監督:エリック・ダーネル/トム・マクグラス
声の出演:ベン・スティラー、クリス・ロック、デイヴィット・シュウィンマー、ジェイダ・ピンケット・スミス、サシャ・バロン・コーエン、セドリック・ジ・エンタテイナー

評価:85点(100点満点)

マンハッタンのセントラル・パーク・ズーで暮らす、ライオンのアレックス、シマウマのマーティ、カバのグロリア、そしてキリンのメルマン。マーティーが自然に戻りたいと動物園を抜け出し、それを追った3匹も動物園を脱走。
動物園を抜け出すつもりはなかったのに、自然に返すべきだとの人間の誤解にあって、船でケニアに送り返される。
ところが途中で船から転落、マダガスカルに流れ着き、野生の暮らしを強いられる・・・というお話。

動物園で悠々と暮らしていた4匹が、大自然の中で悪戦苦闘する。さらに野生に目覚めたライオンとシマウマの友情はいったいどうなるのか、といったところがテーマでしょうか。
まあ、そんなもんテーマといえるほどのものではありませんな。お子様向けアニメなのだから辻褄もへったくれもなく、ストーリーはどうでもよろしゅうおますということです。真面目にいろいろ考えて突っ込むのは野暮でしょう。

機械を擬人化した「ロボッツ」と対を成すように、動物を擬人化したこの映画、中身は似たり寄ったりで、ぬるいストーリーに高度なCGアニメと楽しい音楽とダンスを組みあわせています。

楽しかったのはマンハッタンをバックに動物が走りまわる序盤と、スパイもどきのペンギンたち。
首筋への手刀一発で貨物船の船長を気絶させ、船を南極まで運行するペンギンたち。とぼけていながらクールでかっこいいよなあ。
細かなギャグやパロディを詰め込んで飽きさせないのはさすがです。
笑いながら最後まで見てしまいました。

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2005年08月06日

映画を見たで-マシニスト-

マシニスト1マシニスト2監督:ブラッド・アンダーソン 
出演:クリスチャン・ベイル、ジェニファー・ジェイソン・リー、アイタナ・サンチェス=ギヨン、ジョン・シャリアン、マイケル・アイアンサイド

評価:91点(100点満点)

365日眠っていない、ガリガリのガイコツ男の機械工が主人公。
主人公を演じるのはクリスチャン・ベイル。
そう、今、バッドマン・ビギンズで颯爽と空を飛び回っているあのクリスチャン・ベイルが、ひとつ前のこの作品では、30キロ減量して、もの凄い容姿で登場してます。
浮き出た肋骨、えぐれた腹、皮だけの腕、こけた頬とくぼんだ目、背中も背骨がゴツゴツと浮き出てます。
いくら仕事とはいえ、なんでここまでできるのだろう。
その想いが、彼の体から異様なオーラとなって湧き出ているようで、もうベイルを見ているだけで十分にホラー映画です。
いやはや凄いわ。レニー・ゼルヴィガーも彼と比べると子供だまし。

物語は、どっかにありそうなサイコ・サスペンス。
結末が途中で見えたという人も結構いるようですが、私はかなり最後まで謎のままだった。
それは最後にきっちりと説明をつけてくれるし、その説明で妄想と現実も明らかになる。
「なんだかわからないけど雰囲気だけはよかったね」という、よくあるサイコ・サスペンスではなく、
「丁寧に説明してくれたから、すっきりしたね」という感想がいえるものだった。

自分の犯した罪が、自らを幻想の世界に引きずり込むというのは誰でも経験すること。そうやって自己を正当化することで生きていこうとするのに、どこかに残った罪悪感が自己の存在を脅かす。
いかにも人間らしい展開で、よかったのではないか。

俺もたまには自らの罪を神に懺悔しないとダメだ。
そういえば最近不眠症で体重が激減してるような気がするもの(嘘)。

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2005年07月16日

映画を見たで-マラソン-

マラソン1マラソン2監督:チョン・ユンチョル
出演:チョ・スンウ、キム・ミスク、イ・キヨン

評価:97点(100点満点)

涙のカタルシス(by郷ひろみ)です。
ええおっさんが、気持ちよく泣かせてもらい、そして爽やかな気持ちにさせて貰いました。
まさに、心を浄化させてくれる映画です。

自閉症の青年が、フルマラソンを2時間57分で走りきったという事実をもとにして作られた映画だということ。
映画では、世の中と関わることのできない自閉症の青年の苦しみと成長、そしてマラソン完走のクライマックスが描かれているが、メインテーマは、どちらかというと自閉症の子供を持った母親の苦悩と成長、そして家族愛というものだった。

あの子より一日だけ長生きしたい、という母親の願いはわがままなのか?
あの子のためを思ってやってきたことは、母親のわがままなのか?
そんな難しい問いの中で母親の苦悩は続きます。

キム・ミスクという女優はテレビドラマ専門で映画にはほとんど出たことがなかったらしいが、迫真の演技は素晴らしかった。

自閉症の主人公チョウオンを演じるチョ・スンウの演技も凄い。喜怒哀楽を鮮やかに表現する母親とは対照的に、表情をほとんど変えることなく、全身を使って微妙なしぐさで感情を表現していく。
抑えた表情を最後まで続けてきて、ラストに見せる笑顔のなんと美しく愛らしいことか。

泣けたのは、マラソンで沿道で応援する人たちと手を触れあわし、心の交流が見られるシーン。
ううむ、よかった。

実に地味で真面目な映画だが、韓国では500万人という観客動員記録を作ったという。国内の映画賞も総なめにしているようだ。
こういう映画を作り、多くの人が見る国っていうのはいいもんだ。

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2005年06月18日

映画を見たで-マスク2-

MASK2aMASK2監督:ローレンス・グーターマン
主演:ジェイミー・ケネディ、アラン・カミング、トレイラー・ハワード、ボブ・ホスキンス

評価:79点(100点満点)

ジム・キャリーがこれでもかと暴れまくった前作と違い、今回はちょっとヌルめのホームコメディ。
それでも、テンポよく楽しませてくれて、90分はあっという間に過ぎてしまったのでまずまずでしょう。

ジェイミー・ケネディはうだつの上がらぬアニメーター志望の雑用係、彼がマスクをかぶって変身して活躍する場面はほんの少ししかありません。主役は、マスクをかぶったときのエッチでできたスーパーベイビーと子供が生まれてのけものになっている飼い犬なのです。
マスクをつけて変身した犬と、スーパー赤ん坊のドタバタ喜劇はなかなかおもろくて笑えました。漫画チックなCGも見事なできばえです。

まあ、でもおこちゃま向けです。最後に父と息子の感激エピソードでちょこっといい話になったりしていて、ワルノリ度合いはかなり低い。これも好き嫌いの分かれるところかもしれません。
個人的にはこれくらいのレベルが好きですが。これくらいといってもどれくらいなんでしょう。さあ。
エクソシストのパロディが出てきたり、細かいところにチョコチョコ技を見せてくれてるのはなかなかいい感じです。

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2005年06月11日

映画を見たで-ミリオンダラー・ベイビー-

ミリオンダラーベイビー1ミリオンダラー・ベイビー2監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン

評価:82点(100点満点)

ご存知2004年アカデミー賞で4部門受賞の話題作です。
作品賞、監督賞、主演女優賞(ヒラリースワンク)、助演男優賞(モーガン・フリーマン)は見事なもの。

いい映画でした。
ただ、あまりに期待感が高かったため、点数は抑え目です。
決して万人受けする映画でもないし、テーマは重たく、ストーリーも淡々と進んでいく。
ボクシングを取り上げているからありがちなサクセスストーリーと思ったら痛い目にあいますな。

娘に絶縁され、育て上げたボクサーには自分の下を去られてしまう哀愁漂う老トレーナー(フランキー)と、31歳になってチャンピオンになりたいとジムにやってきた女性ボクサー(マギー)の、出会いから少しずつ心を通わせていくやりとりは、まったく過不足なく完璧。
マギーはKOの山を築いていき、知名度もファイトマネーも上げていく、そして念願のタイトルマッチをラスベガスで行う。
この相手が憎たらしい反則オンパレード女で、マギーは反則パンチをラウンド終了後に後頭部にもらい、事故が起きてしまうのだ。

さて、こうしてタイトルマッチに負けてから、映画はまだ40分も残っていた。いったいここからどう展開させるのだろうと思っていたら、こんなにも暗く厳しく重たいラストにつなげてしまうとは・・・。

自分の人生を納得して懸命に生きたいと願うマギーの真摯さが胸を打つ。まっすぐなだけに、自分の家族とも相容れなかったことがまた悲しい。

ううむ、でも、アカデミー賞の作品賞にするほどのものなのか。
ヒラリースワンクの主演女優賞だけでよかったような気がするけどね。
そうそう、ヒラリースワンクはボクサー役ということで、見事に体を絞っている。腹筋はかっこいいし、背筋は目を見張る美しさだ。
俺もやらねば!ぐおおおおおおっ!

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2005年05月14日

映画を見たで-ミーン・ガールズ-

ミーンガールズ2ミーンガールズ1監督:マーク・ウォーターズ
出演:リンジー・ローハン、レイチェル・マクアダムス

評価:85点(100点満点)

アフリカで育って、家庭教育しか受けてこなかった女の子にリンジー・ローハン。「フォーチュン・クッキー」でも主役だったリンジーって、めちゃくちゃ美人というわけではないのに人を惹きつけるものがありまする。
リンジー・ローハンが通うことになるハイスクールで女王様として君臨しているのがレイチェル・マクアダムス。「君に読む物語」では一途なお嬢様役だったが、この映画ではクソッタレな意地悪高飛車女を好演しています。

さて、アフリカ育ちの純粋な女性が、女王様に意地悪をされてその復讐をやり遂げるハイスクールコメディ、というだけの話ではありません。主役のリンジーも、歪んだ世界にいつのまにかどっぷりと浸かってしまい、性格の悪い女に変身してしまうのです。
変身というのではないかな。
人間誰しも2面性を持っているわけで、特に、嫉妬・いじめ・過剰な自意識・陰口なんかが女子高校生の中で渦巻くのは当たり前のことなんでしょう。
そんなこんなで自業自得の感もありながら主人公は追い詰められてしまうのですが、最後にはちゃんと反省してなんとか丸く収まります。

テンポよく進むのと、主人公たちがかわいいので飽きずに最後まで見られますが、細かな深い感情の機微といったもんは女性じゃないとわからんのじゃないだろうか。
男って単純だからなあ。特に高校時代なんて馬鹿なだけだし。
「ああ、みんなかわいい、面白かった」という馬鹿男たちの評価に対して、「実は深いね」と女性が感想をもらす。そんな映画なんだろう。たぶん。知らんけど。



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