本:は行の作家

2011年03月05日

ヒクソン・グレイシー 無敗の法則<ヒクソン・グレーシー>-本:2011-15-

ヒクソン・グレイシー 無敗の法則
ヒクソン・グレイシー 無敗の法則
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# 出版社: ダイヤモンド社 (2010/9/25)
# ISBN-10: 4478011257

熱くてまっすぐで、それでいて論理的でクレバーで、読後に勇気とやる気をくれる内容だ。
柔術の本でもあり、ヒクソンの自伝でもあり、自己啓発本でもある。
世界のトップに君臨した人はやはり凄い。

思い起こせば1997年10月11日、東京ドームで行われた高田対ヒクソンが、私がみた総合格闘技の最初の試合だった。
PRIDE1と名付けられたこの大会。高田が何もできずにあっさりと負けたのがあまりにも印象的。
翌年のPRIDE4の再戦も見に行ったが、高田がまた返り討ち。
この後、船木との試合を最後にヒクソンは現役を引退してしまったので、まさしく伝説になった。

ああ、それにしてもPRIDE時代が懐かしい。
これだけの選手が集まって、総合格闘技界を一気に盛り上げていったのあのエネルギーはどこから湧いて出たのだろう。
桜庭とホイスの90分間の死闘に総毛立ちになって感動したことや、劣勢だったノゲイラがミルコを腕ひしぎ逆十字によって逆転で下した瞬間の東京ドームの熱狂が懐かしい。

あんな時代はもうこないのかもしれないが、UFCをBSで見れるぐらいにはなってほしいなあ。そんでもって、たまには日本で開催してくれればいいのだが。

関係ない話をかいてしまったが、いい本です。





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2011年02月11日

MY LIFE OUT SIDE THE RING〜わが人生の転落<ハルク・ホーガン>−本:2011-10−

MY LIFE OUT SIDE THE RING〜わが人生の転落
MY LIFE OUT SIDE THE RING〜わが人生の転落
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# 出版社: 双葉社 (2010/10/20)
# ISBN-10: 4575302600

幼少のころからごく最近の出来事まで、華やかな部分からドロドロの私生活までをかなり克明に書いている自伝。
少々、いや、かなり自己弁護的な部分も多く、そこには幻滅させられたというか面白くなかったが、田舎のプロレス団体からWWFへ日本へWCWへと活躍の場を移していくプロレス人生のくだりは生々しく、興味深かった。
プロレス興業が壮大なエンタメであることはもはや周知の事実になってしまったが、ビジネスとしてのプロレスをトップレスラーの立場から書いた本は初めてではないか。
武藤とか、高田あたりならこの手の本は面白く書けるんじゃないかなあ。高田だとハッスルの裏まで知っているだろうし。でも、書きすぎるといろいろとややこしい人たちが出てくるのだろうな、きっと。

ジェットコースターのような起伏の激しい人生ではあるが、あれほどのスーパースターでも、何度も挫折し実際にプロレスを辞めていた時期があったというのは驚き。
個人的にはIWGP決勝戦で猪木を失神KOした試合が一番記憶に残っているが、今から考えれば猪木の演出もわけわからん。
そうそう、日本についてはいいことばかり書いてあるが、記載が少なかったのが少し残念。

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2011年01月10日

特別な場所 パワースポット巡礼1993-2010<本間 日呂志>-本:2011-4-

特別な場所 パワースポット巡礼1993-2010
特別な場所 パワースポット巡礼1993-2010
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# 出版社: 武田ランダムハウスジャパン (2010/11/26)
# ISBN-10: 4270006188

図書館の新刊コーナーに置いてあったので思わず借りてしまった。
パワースポットって定義もよくわからんけど、数千年の歴史が詰まった場所の存在感は凄いもんがある。
なかなか行くチャンスもないので、写真集を見て楽しもう。

この写真集は2625円。
あまり写真集を見たり買ったりしないのでよくわからんが、出版不況に加えて景気自体がこれだけよくないのに、果たして売れているんだろうか・・・。

内容(「BOOK」データベースより)
一九九三年のメキシコから二〇一〇年の熊野まで、十七年にわたってパワースポットを撮り続けてきた写真家・本間日呂志の集大成。セドナ、グラストンベリー、クリスタルマウンテン、エアーズロック、マウナケア、熊野、出羽三山、屋久島、分杭峠、斎場御嶽、高千穂、霧島、出雲、戸隠、鞍馬…。世界中の「特別な場所」があなたに静かに語りかける。


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2010年10月30日

世界でいちばん長い写真<誉田哲也>-本:2010-49-

世界でいちばん長い写真
世界でいちばん長い写真
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出版社: 光文社 (2010/8/19)
ISBN-10: 4334927238

評価:88点

親友が転校してしまい、心が晴れないままに冴えない日々を送っている中学3年生が主人公。
祖父の経営するリサイクルセンターで、不思議なカメラを見つけたことから物語は一気に進んでいく。
小説を読みながら、この「世界でいちばん長い写真」についてどこかで記事を読んだなと思いだした。
いや、どこで読んだか未だ持ってわからないのだから思い出してはいないということか。
それはともかく、360度回転のカメラを回すというアイデア。これは実話なんだけど本当にユニーク。
デジカメでも最近はパノラマ機能がついてきているので、三脚にモーターをセットして回転している時間とシャッター開放時間を合わせてどうにかすれば、撮れそうな気もする。
んー、でもデジタルの理屈で言うと長い一枚にするのは難しいか。
パソコン画面に写らないだろうし、アナログだからなんとかできるんだろうなあ。

写真の話はともかく、主人公の爺さんや、従姉、写真部部長等のキャラが見事にたっていてカッコいい。
主人公の成長は少しのんびりとしており、こういった青春小説にありがちな劇的な展開こそないものの、逆にリアリティがあって爽やかだった。

今日は台風襲来。カメラを持って出かけられないのが残念だけれど、こんな爽やかな秋晴れのような小説を読むことができたのでOKということにしよう。

実際の写真(山本新一氏のサイト)はこちら


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2010年10月05日

カッコウの卵は誰のもの<東野圭吾>−本:2010-44−

カッコウの卵は誰のもの
カッコウの卵は誰のもの
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# 出版社: 光文社 (2010/1/20)
# ISBN-10: 4334926940

評価:83点

内容(「BOOK」データベースより)
親子の愛情に、揺さぶりがかけられる。覚悟を決めた父親は、試練にどう立ち向かうのか。父と娘、親子二代続けてのトップスキーヤー。娘の所属チームの研究者は、二人の遺伝子パターンを調べさせてほしいと考える。しかし、了承するわけにはいかない。父には、どうしても知られたくない秘密があった。娘が生まれた19年前からの忌まわしい秘密が。

*********************

東野圭吾の作品なのだから、普通に終わるわけがない。
父と娘の秘密の裏に隠されたさらなる秘密は二転三転。
決して変にミスリードさせず、素直にストーリーを追って読んでいるのに、最後にきちんとどんでん返しを用意して、読者を十分にうならせるところはさすがにベストセラー作家だ。

ただ、まとめ方はちょっと強引でご都合主義だったような気がしないでもない。
父と娘の絆にはホロリとさせられたから、まあこれでいいかな。

この本を予約したのは5月ごろ。手に入ったのは最近だ。
東野人気はまだまだ健在のようです。

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2010年09月04日

ころころろ<畠中恵>-本:2010-35-

ころころろ
ころころろ
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# 出版社: 新潮社 (2009/7/30)
# ISBN-10: 4104507105

評価:80点

内容(「BOOK」データベースより)
摩訶不思議な妖怪たちに守られながら、今日も元気に(?)寝込んでいる江戸有数の大店の若だんな・一太郎。ある朝起きると、目から光りが奪われていた!その理由は、空前絶後のとばっちり?長崎屋絶体絶命の危機に、若だんなが名推理。だけど光りの奪還には、暗雲が垂れこめて―。佐助は妻と暮らし始め、どうなる、若だんな?絶好調「しゃばけ」シリーズ第八弾。

********************************

「しゃばけ」シリーズも第8弾か。よく続いているなあ。

シリーズの物語が時系列に発刊されているわけでもないので、設定を知らずに読み始めても楽しめるというスタイルは変わっていない。今回は、5つの短編の2作目で若旦那の目が見えなくなり、その原因を探って最後まで話がつながっていく。
長めのおとぎ話を読んでいるようで(そういえば、最後の「物語の続き」はおとぎ話と神様のお話)楽しかった。

いつもは、妖たちの魅力で少々ごまかしているというか、ストーリー自体は強引で美しくないときもあるのだが、今回は、佐助の結婚生活の話といい、妖怪たちの見世物小屋の話といい、これまでにない展開で惹きつけられた。
もちろん、読み終わったときにほっこりする、著者の独特の暖かい雰囲気は健在です。


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2010年02月14日

ガール・ミーツ・ガール<誉田哲也>−本:2010-19−


ガール・ミーツ・ガール
ガール・ミーツ・ガール
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# 出版社: 光文社 (2009/4/21)
# ISBN-10: 4334926436

評価:82点

疾風ガールの続編。
柏木夏美がいよいよミュージシャンとしてデビュー。
前回は「才能あるものが成り上がる」的なラストだったのだが、今回は夏美が様々な出来事を通じて人間的に成長していく様子がしっかりと書かれており、読んでいて心地よい。展開のスピード感も今回のほうがあるくらいだ。
フロで読みはじめ、面白い小説はそのまま洗い場でも読み続けてしまうのはいつものとおり。やめられず、2時間程度で一気読みしてしまった。

まったくタイプが違うように見える「島崎ルイ」と夏美を組み合わせ。その水と油のような個性がジワジワと調和していく様子の描写は鮮やかだ。
タイプが違うと言えば、著者は「ジウ」シリーズも書いているのだよなあ。あの乾いた警察小説と、この爽やかな青春小説を同じ人間が書いているというのはなんとも信じがたいことだ。

武士道シリーズも面白いらしい。
とりあえずいろいろと読んでいきましょう。誉田哲也。ほぼ同世代だし。

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2010年02月06日

ジウ供欸抻訥F端豕渊栄隊 <誉田哲也>−本:2010-16−


ジウ〈2〉―警視庁特殊急襲部隊 (中公文庫)
ジウ〈2〉―警視庁特殊急襲部隊 (中公文庫)
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# 出版社: 中央公論新社 (2009/01)
# ISBN-10: 4122051061

評価:84点

前作の最後に、伊崎基子がジウに狙われることを暗示するようなシーンがあり、当然今回のメインはそこになるのだろうと思っていた。
ところが、東と門倉による誘拐犯の取調べの過程ででてくる「新世界秩序」というよくわからない話や、謎の人物のおどろおどろしい生い立ちが時点と視点を混ぜながら進んでいき、なかなかジウと伊崎がコンタクトしない。
だからといって面白くないかといえば、猛烈に面白いから困ったものだ。
モラルの欠片も節操もない展開は圧倒的で、そのダークさにはすがすがしささえ覚える。優しく人間的な門倉の言動のほうが、読んでいてイライラするくらいだ。

275ページになって、ようやくジウと伊崎がコンタクト。
夢枕獏の小説かと思うような格闘シーンが続くがそこは予想通りの結末。だがその後の展開には本当に驚いた。そうか、そうくるか。

情け容赦などどこにもない。
でも、読み終わって不思議と胸糞悪さや徒労感を覚えないのが不思議だ。
私も「新世界秩序」に毒されつつあるのかもしれない。
少々風呂敷を広げ過ぎている感じもするが、靴任匹里茲Δ砲泙箸瓩襪里楽しみ・・・。

内容(「BOOK」データベースより)
連続児童誘拐事件の黒幕・ジウを威信にかけて追う警視庁。実行犯の取り調べを続ける東警部補と門倉巡査は、“新世界秩序”という巨大な闇の存在に気づき、更なる事件の予兆に戦慄する。一方、特進を果たした伊崎巡査部長は特殊急襲部隊を離れ、所轄に異動したが、そこにも不気味な影が迫っていた。

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日本人の知らない日本語<蛇蔵&海野凪子>−本:2010-16−


日本人の知らない日本語


# 出版社: メディアファクトリー (2009/2/18)
# ISBN-10: 4840126739

評価:80点

面白い。

日本語って、こんなに難しかったのかと今更ながらに思い知らされた。
それにしても、かな文字(現在の50音)の成り立ちとか、「を」の位置づけとか、今まで40年以上生きてきて一回も聞いたことがない話だった。
日本に来て日本語を学ぶ外国人だからこそでてくる質問ばかりで、目の付けどころが非常に新鮮だ。

日本語の話だけではなく、日本と海外の風習の違いも初めて聞く話ばかりで新鮮。ほぼ漫画であっというまに読めてしまった。続編もあるようなのでまた図書館で予約しよう。

そういえば、私の勤める会社に同じ部署に上海出身の中国人の女性がいる。日本にきてもう数十年になるので日本語はほぼ完璧。その人が日本に来て驚いたのは日本では多くの動物が人間と共生しているということだそう。
ペットはもちろんだが、街中には野良猫が結構いるし、鳩もすずめもいる。「私たちは周りにいる動物は何でも捕まえて食べてしまうので、人間の周りで無防備にしている動物がとても不思議でした」と彼女は言っていた。
彼女の父親が来日したときには、マンションのベランダにやってくる鳩を捕まえて本当に料理してしまったとのこと。
「お父さん、日本ではそんなことはしてはいけないのよ」と必死で説明したそうです。

まあ、そういうことで文化の違いというのは面白い。
日本でも北から南で相当違っていて、だからケンミンショーとかいうテレビ番組もできるのでしょう。

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2010年01月30日

疾風ガール<誉田哲也>−本:2010-15−


疾風ガール
疾風ガール
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# 出版社: 新潮社 (2005/9/29)
# ISBN-10: 4104652024

評価:77点

単行本の表紙、胡坐をかいてギターを弾いている髪の長い少女、というとYUIを連想する。「タイヨウのうた」で彼女を初めて知ったけど、振り絞るような歌声がとても魅力的だった。といってもこの表紙のモデルは別の女性なんですね。裏表紙にはナカノモリアヤコと書かれているのであまりよく知らないがこちらの方ですね。
物語のモデルにもなったのかと思ったがそうではないよう。

ライブハウスでは人気のあるアマチュアバンド、ペルソナ・パラノイアのギタリスト、夏美の物語。
ペルソナのボーカル、薫にあこがれてバンドに入り、ギターを弾き始めた夏美だったが、その圧倒的な音楽的才能が誰をも魅了する。
小さな芸能プロダクションで働く祐司が彼女にほれ込み契約してもらおうとおっかけを始め、そのうちボーカルの薫が突然自殺して、自体は急展開。

夏美が小さな手がかりから薫の過去を知ろうと旅にでる。
そして、薫の過去、ペルソナの他のメンバーの過去、祐司の過去、そして夏美の過去。いろいろなことが次第に明らかになっていく(謎解きではないけれど)。
才能という言葉とは最も縁遠いであろうしがないサラリーマンには、才能をめぐる希望や絶望、葛藤はなかなかわからない。それでも才能あるもの、志を持つものだけがステップを上り詰めていく実にシビアな世界が、妥協なくきちんと書かれているのはよくわかる。
そんな音楽の世界で正しく上を目指していくことになる夏美がとても魅力的だ。おっさんの失ったものを全てもっているような感じだなあ。
点数がそんなに高くないのは、まだ物語が動き始めていないから。続編の「ガール・ミーツ・ガール」はもう借りてあるので楽しみ。夏美はどこまで突っ走ってくれるだろうか。

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2009年12月26日

ジウ機酬抻訥F端貳帆楮嵯検稷静津也>−(本:2009年読了)−


ジウ〈1〉―警視庁特殊犯捜査係 (中公文庫)
ジウ〈1〉―警視庁特殊犯捜査係 (中公文庫)
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# 出版社: 中央公論新社 (2008/12)
# ISBN-10: 4122050820

評価:90点

久しぶりに面白いハードボイルドを読んだ。
というかハードボイルド自体を読むのが久しぶりだ。
こういうのを読むと自然と肩に力が入り頭も冴えてきて、ところかまわず腕立て伏せとか腹筋とかしてしまう。うう、いいものだなあ。

普通のハードボイルドと違うのは(ハードボイルドに普通なんてあるのかどうか知らないが)、主人公が女性警察官。しかも二人。そして全く正反対の性格をしているということ。
よくまあこんな設定で自然にストーリーを作れるものだと感心する。
実際にこの二人は次々ととんでもない事件に巻き込まれていくのだが、そのスピード感が素晴らしく一気に読ませてくれる。
図書館から気鬚茲Δ笋借りたのだが、兇鉢靴呂い弔砲覆襪海箸笋蕁
それまで我慢できればいいが、文庫本だし買ってしまうかもしれない。

主人公の一人、門倉美咲はメソメソベタベタしながら、説得力で犯人に向かうタイプ。ハードボイルドの中にラブコメ雰囲気を撒き散らす場違いな女性なのだが、それでいて結構芯も強くてなかなかのもの。
もう一人、伊崎基子は男勝りの完全体育会系。というか異様な格闘マニア。死に場所を探してどこにでも飛び込んでいく、異常人格のような女性。
どっちも極端で、どっちともお知り合いにはなりたくないけど、読んでいるぶんには面白い。
ところで、ジウというのは小説で起こる事件の首謀者なのだが、この少年の姿がまだよく見えてこない。
これからの展開がどうなるのか。楽しみです。
グロイ描写も適度にでてくるけど、ヤンソギルのように乾ききった文体でもなく適度な湿り気をおびていて読みやすいとは思います。


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2009年10月24日

夜明けの街で<東野圭吾>−(本:2009年読了)−

夜明けの街で
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# 出版社: 角川書店 (2007/07)
# ISBN-10: 4048737880

評価:85点

主人公の渡部(妻子あり)が、派遣社員の秋葉と不倫関係になる。
だが、東野圭吾の小説なのだから、当然それだけでメインのストーリーになるのではなく、15年前の殺人事件の真相は何か、という大きな謎解き中心に物語は展開していく。
のはずなのだが、著者の書く不倫物語が妙に生々しく、というか臨場感に満ち溢れていてこちらのほうがドキドキものだ。
独身の秋葉のほうが冷静で、何かにつけて無理をしようとする渡部を軽く諌めては自宅に帰そうとする。
一方でそんな秋葉に急速にのめりこんでいく渡部。その危なっかしい前傾姿勢は、同性の私から見ても不安になるほどで、本の中の主人公に向かって「まて、早まるな!ばれるってば!」と何度心の中で叫んだことか。

秋葉が少女時代に起こった彼女の家での殺人事件と15年の時効問題。不倫のストーリーとうまく絡めて読者をミスリードしていくテクニックはいつもの巧さなんだがやはり感嘆させられる。
読み終わって考え直してみると、秋葉の言動と15年間の思いがきちんと結びついて整理されているのに驚くのだ。3月31日に向けて、完璧なスケジューリングで物事を運び、周囲の人間の心までもコントロールしたのだから凄い。いえ、小説だからできるのでしょうけど。

不倫恋愛小説としても一級品では?
怖いですね、女性は・・・。

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2009年06月06日

聖女の救済<東野圭吾>−(本:2009年47冊目)−

聖女の救済
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# 出版社: 文藝春秋 (2008/10/23)
# ISBN-10: 4163276106

評価:89点

馬鹿みたいに仕事が忙しいというのに、少しでも睡眠時間を確保しなければ明日がきついとわかっているのに、読み始めるとやめられず、夜中の2時過ぎまでかかって一気に読破。
読み終わった瞬間は妙にテンションが上がってしまい、しばらく寝付けないほどだった。だが時間を置いてゆっくりと内容を思い出し、こうやってブログに感想を書こうとすると、果たしてそれほど読み応えのある内容だったのかかなり微妙なところだ。
ただ、冒頭から最後まで読者の興味を引き続け、読み進むほどに先を急がせる内容であることは確か。さすが東野圭吾、としか言いようがない。

序盤で真柴義孝が殺される。
素直に展開を読めば犯人が彼の妻であることは最初から明らか。だが、鉄壁のアリバイがある。
このアリバイをとくために、延々と物語りは続いていくのだ。

何を書いてもネタバレになるので困ってしまうが、結局殺人に使われた直接的な方法は非常に単純で驚きもない。
今回のキモは、時間軸、ということか。
発想としてもありえない話ではないけれど、そのスパンの長さが非常に印象的だった。愛情と殺意を同居させ続けた妻の想いの凄さには恐れ入る。

湯川教授は相変わらず個性的で登場するたびに楽しませてくれるが、それよりも内海刑事の活躍がカッコイイ。
容疑者にほれてしまう草薙刑事の心の揺れにはイライラするが、それもまあ物語りにアクセントを加えていると思えば必要なパーツなのだろう。

また、シリーズで出るのだろうか。
どちらかというと、短編で切れのいい内容にしてくれたほうが個人的には好きだなあ。


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2009年05月30日

ガリレオの苦悩<東野圭吾>−(本:2009年46冊目)−

ガリレオの苦悩
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# 出版社: 文藝春秋 (2008/10/23)
# ISBN-10: 4163276203

評価:86点

さすがにうまい。
物理学者による謎解きという少々マニアックな内容が本格推理小説好きの(特に理系の人間の)心を微妙にくすぐり、一方で、人間臭いストーリー展開が人情部分を刺激する。それに加えて、湯川准教授のキャラがあまりにも魅力的でかっこいい。図書館で半年以上の順番待ちになるはずだ。
特に2つめの短編「操縦る(あやつる)」はよかった。
年老いて体も不自由になった元教授と、血のつながらない娘。
その愛情に、素直にウルっとくる内容だった。
一方で最後の「撹乱す(みだす)」は、同じ物理を研究してきた技術者が湯川を逆恨みして湯川に挑むかたちで殺人事件を起こす。
丁々発止のやり取り、というにはどこか「お坊ちゃまの勘違いな怒り」という感じでぬるいのだけれど、それがまた科学者同士の戦いという雰囲気に妙にマッチングしていたのだった。

ガリレオシリーズ「聖女の救済」もようやく図書館で順番が回ってきたようなので、明日受取に行かなければ。
楽しみじゃ。




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2009年05月02日

アイスクリン強し<畠中恵>−(本:2009年43冊目)−

アイスクリン強し
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# 単行本: 256ページ
# 出版社: 講談社 (2008/10/21)
# ISBN-10: 4062150069

評価:74点

Amazanに掲載されている本の内容紹介は以下のとおり。
「スイーツ文明開化は酸いも甘いも運んでくる 西洋菓子屋を起こした皆川真次郎が、愉快な仲間・元幕臣「若様組」の警官達と、日々起こる数々の騒動に大奮闘。スイーツに拠せて描く文明開化・明治の青春。 」

でた、「スイーツ」。
アラフォーのおっさんたちにとっては、とてもではないが口にするのがこっ恥ずかしい言葉、スイーツ。
日本人なら甘味と言え、とまで言うつもりはないが、少し前までは「デザート」だった。
田舎っぽく言うと「おやつ」か。
甘味も果物もケーキもデザートもおやつも、これら全てをひっくるめて一言でかわいらしく表現してしまった「スイーツ」は、確かに素晴らしい言葉なのかもしれない。
だが、おっさんにとってはどうも納得いかないんだよなあ。
みたらし団子は「おやつ」であってもスイーツではないし、ファミレスでついつい頼んでしまうチョコパフェだって、デザートであってスイーツではないのだ。
でも、確実にこの言葉は世の中に広がり、当たり前になりつつある。
若い女性が使っている、というだけでなく、甘味業界やデザート業界(そんな言い方をするのかどうかしらないが)にとってもスイーツという呼び方はしゃれた雰囲気があって便利だったのだろう。
ネットのサイトや新聞のチラシも雑誌も、いまやそのあたりのものは全部ひっくるめてスイーツだ。
仕方ないのかもしれないが、果たして本当にそれでいいのかはかなり疑問。私がさっき食べた食後のフルーツヨーグルトもスイーツなんだろうか。

随分と関係ない話を書いてしまったが、畠中恵の本書、主人公が明治中期の洋菓子職人という設定なので、始終甘いにおいが紙面から立ち上ってくるようだ。読んでいてバニラエッセンスやカカオのにおいにクラクラしてしまった。
江戸から明治に変わり、急激に変化する時代の中で、徐々に戦争に突き進んでいく不穏な雰囲気が随所に感じられたりするが、だからどうなんだというところはいまひとつ書ききれていない。
主役クラスのキャラを立てるので精一杯で、ストーリーが十分にはこなれていないような気がしてしまう。強引さ、というか粗が目につくのだ。
まあ、お菓子を作るシーンが見事なので、それだけでも十分に面白いし、これはこれでいいか。

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2009年01月15日

アンジェリーナ・ジョリー 彼女のカルテ<ブランドン・ハースト (著), 長澤あかね (翻訳) >−(本:2009年8冊目)−

アンジェリーナ・ジョリー 彼女のカルテ (P-Vine Books) (P‐Vine BOOks)
アンジェリーナ・ジョリー 彼女のカルテ (P-Vine Books) (P‐Vine BOOks)
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# 出版社: ブルース・インターアクションズ (2008/8/2)
# ISBN-10: 4860202899

評価:70点

派手な顔立ちとエキセントリックに思える言動。
でも、映画ではかっこいいアクションから精神病の患者まで迫力たっぷりに堂々とこなしていく、本物の女優。
私はそんなイメージを勝手にアンジェリーナ・ジョリーに持っていた。

よくも悪くも概ねそんな感じだということを、この本が説明してくれている。
養子のことは知っていたけれど、慈善活動をここまでやっているとは知らなかったし、多くのタトゥのことやバイセクシャル宣言についても知らなかった。
奔放な生き様は確かにかっこいいけど、真似をしたいとは全く思わないし、近くにこんな女性がいたら迷惑なことこの上ない。
スクリーンのうえのアンジーは何を演じてもかっこよくて好きだけど。

ところでこの本。
特別に彼女にインタビューしているわけでもなく、この本だけが知っているという話があるわけでもないようであり、彼女が様々な場所で語ったものを徹底的に集めて分析し、彼女の人生を再構築して見せてくれているという感じになっている。
その程度の本であるにも関わらず、図書館で予約してから3ヶ月待ち。
これもアンジーの人気の高さを表わしているのだろう、たぶん。

内容(「BOOK」データベースより)
ナイフ収集と自傷行為をくりかえした血とドラッグとアルコール漬けの十代から、SMとタトゥーへの耽溺、バイセクシャル宣言、『トゥームレイダー』のロケ地カンボジアでめざめた慈善活動、双子の妊娠まで!映画より壮絶な人生を生きる女優の「生命力」に圧倒される伝記決定版。

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2009年01月04日

ひゃくはち<早見和真>−(本:2009年4冊目)−

ひゃくはち
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# 出版社: 集英社 (2008/6/26)
# ISBN-10: 4087712338

評価:75点

神奈川の名門高校野球部に入部した主人公が、甲子園での優勝をかけて!ではなく、ベンチ入りをかけて!青春している小説。
4番やエースの繰り広げる野球小説ではなく、補欠の主人公がなんとかチームで生き残っていくために一生懸命な様子は、野球小説としては王道ではないかもしれないけれど、青春小説としては王道である。
しかも終盤まで明かされない野球部の過去の仲間達との確執。会話のなかでチラチラと見え隠れする事件を最後にドカンと持ってきて確実に盛り上げてくれる展開はセオリーどおりかもしれないが、うまいもんだ。

それにしても、こいつら遊びすぎじゃないのか。
野球少年だというのに、みんな揃ってタバコばっかり吸って、練習が休みの日には女の子と合コンを繰り返し、簡単にホテルにまで行ってしまう。
お前らさあ、もっとちゃんと野球やれよという思いとともに、どこにそんなに遊ぶ金があるのか不思議でならん。
全寮制の名門野球部に入れる時点で、金持ちのおぼっちゃまなのか?
まあでも、私が高校生だった20年前とは時代が違うから仕方ないのだろうと読み進めていたが、クライマックスの退部事件のところはどうなのだ。
あまりにレアケースだよなあ、それはさすがに。
タバコも不用意に吸いすぎだ。高野連にタレこまれたらそく出場停止なのに寮のガードも甘すぎる。

リアルな高校生を書こうと思って、逆に高校球児達の中では異端ともいえる存在に光りを当てすぎているような気がしたが、それでも主人公達のこういう日常に感情移入できれば、最後まで熱く読み通せることだろう。
だが、高校時代に実際にスポーツをしていたオッサン連中にはちょっときつい部分もあるんじゃないか。そういう連中(私も含めて)は、過度に過去を美化しているから自分達は必死で練習だけをしてきたつもりでいるもんだ。

といいつつも、2008年夏に映画化もされており、そこそこよくできた小説です。

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つくもがみ貸します<畠中恵>−(本:2009年2冊目)−

つくもがみ貸します
つくもがみ貸します
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# 出版社: 角川書店 (2007/09)
# ISBN-10: 4048737864

評価:82点

江戸、深川で古道具屋兼損料屋を商っている若いお紅と清次。
損料屋というのは、今で言うレンタル屋であって、鍋、櫛、掛け軸、根付までなんでも貸し出す店だ。
両親を亡くし、力を合わせて店を切り盛りしている仲の良い姉弟であるお紅と清次だが、実は血のつながりはなく、清次は密かにお紅に思いを寄せている。だがお紅には長い間思い続けている人もいたりしてなかなか設定も込み合っているのだ。
お紅の長年の思い人を加えて、3人の恋模様も進んでいくのだが、物語のポイントとなるのは、100年以上大切に取り扱われ、「つくもがみ」になった道具たちだ。
いろいろなところに貸し出されては情報を収集して帰ってきて、みんなで井戸端会議のようなものを繰り返す。
しゃばけシリーズとは違い「つくもがみ」達は人間とは口を利かない約束になっているので、「つくもがみ」達の話をもとに、お紅と清次が様々な事件を解決したりするという展開。
表紙の絵のとおり、個性的な「つくもがみ」達のキャラ設定が面白くて最高だ。
「つくもがみ」は、「付喪神」なのだが、とても神様とは思えないボケボケぶりが楽しい。
ラストはほっこりとしたハッピーエンドにしてくれたし、言うことはありません。
こちらはシリーズ化されているんだろうか。
畠中恵さんって、最近結構多作なので、何がなんだかよくわからなかったりする。それは私の情報処理能力の問題でもありますが・・・。

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2008年12月15日

ダイイング・アイ<東野圭吾>−(本:2008年162冊目)−

ダイイング・アイ
ダイイング・アイ
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# 出版社: 光文社 (2007/11/20)
# ISBN-10: 4334925812

評価:77点

少し早めに会社から帰って一気読み。
ページをめくるのがもどかしいほど先を読ませる展開は素晴らしい。
1ページ読み進むとともに膨らんでいく期待感と、それに応えながらさらに展開を進めていく巧さ。
サスペンスの場合、最後にあまりにオチを集約させすぎると、そこまでたどり着くまでに冗長になってしまったり、オチへの期待感が高まりすぎて結末に納得がいかなかったするのだが、東野圭吾はそのあたりをきっちり計算しているようで憎らしいほどだ。
記憶喪失ネタは、徐々に記憶が蘇ることで読者の謎解き魂を少しづつ満たしていくのだが、実は大きなオチは最後に仕掛けてあって、それが次第に膨らみながら先への興味をつないでいく。
まあ、それにしては最後のオチがあまりにサイコっぽくなってしまい、いまひとつだったのが残念。怖がらせようと思っているのかいないのか良くわからないが、主人公が感じているほどの背筋が凍るという怖さは全く感じなかった。

ただ、怨念を持って死にゆく人の瞳というのは確かに強烈なのかもしれない。そんなものを見たくはないなあ。
とりあえず、車の運転だけはこれから物凄く気をつけよう。

いろいろブログを読んでいると、かなり厳しめの論調が目に付く。
たぶん物語に「いい人」がほとんど出てこないことと、結末に救いがないことが原因なんだろう。
「小説宝石」の連載ということで、無意味にエロティックな描写も多いような気がするし・・・。

まあ、たまにはこういうのもありだとは思います、東野圭吾。

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2008年10月22日

アコギなのかリッパなのか<畠中恵>−(本:2008年138冊目)−

アコギなのかリッパなのか
アコギなのかリッパなのか

# 出版社: 実業之日本社 (2006/1/14)
# ISBN-10: 4408534870

内容(「BOOK」データベースより)
21歳の大学生・佐倉聖は腹違いの弟を養うため、元大物国会議員・大堂剛の事務所に事務員として勤めている。ここに持ち込まれるのは、大堂の弟子にあたる議員からの様々な問題。飼い猫の毛の色が変わる謎、後援会幹部が何者かに殴打された事件の始末、宗教団体へ入信の秘書が寄進した絵画の奪還…などの厄介ごとに関わった聖は、元不良の負けん気と機転の利く頭で、センセイ方顔負けの“解決”を成しとげてしまうのであった―。昔は不良だった事務員が、元大物代議士のもとに持ち込まれる陳情、難題、要望から、その裏にある日常の謎を解決する現代ミステリー。

評価:80点

ミステリーというには少々無理がある設定ばかりだし、謎解きもいまいち面白くない。特に「選挙事務所で間食事件」なんてあまりにも強引だしオチにも説得力が希薄だ。
それでも小説自体が面白いのは、政治家とその秘書とさらには事務員を登場人物にした(主人公がその事務員というのも面白い設定だ)ドタバタ喜劇っぽい展開の中に、政治家のやっていることがわりと生々しく興味深く書き込まれているからだろう。
エンタメ小説の世界なので、政治家を多少というかかなり美化しているところもあるように見える(清濁併せ呑む大物政治家、実は人情家という設定はある意味ステレオタイプ)。一方、そこで働く元不良で21歳の大学生兼事務員の聖は、頭の回転といい、政治化とのタメ口といいありえない人物。
この二人の掛け合い漫才を楽しんでいるうちに読み終えてしまったようなものだ。

しゃばけシリーズで、軽めの時代物を書く作家というイメージが強い著者であるが、こういう現代ものも結構うまい。
もっと政治家の日常生活に切り込んでいって、これをシリーズ化したらどうだろう。
売れると思うけど、取材させてくれる政治家がいないかなあ。

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2008年10月13日

ダナエ<藤原伊織>−(本:2008年136冊目)−

ダナエ
ダナエ


# 出版社: 文藝春秋 (2007/01)
# ISBN-10: 4163255907

評価:82点

中篇が3篇。
最初の「ダナエ」は起承転結をきちんとまとめて小説の様相を保っているが、その次の「まぼろしの虹」は、長編小説の一部を切り取ったような感じもあってまとまりのある終わり方とはとても呼べない。
最後の「水母」は、あのページ数であれだけの内容を押し込めるには器が足りなさ過ぎて消化不良の感が否めない。
それでも、どの作品も妙に色っぽいのは何故だろう。
その手のシーンなんてまったく出てこないのに、登場人物たちが妙に色気があってかっこよく、官能ハードボイルド、とでも言うような雰囲気だ。
少々ミステリテイストも混ぜ込んであるが、突然自分の肉親が現れるとかいうパターンは結構あるので、例えばダナエもそれほど驚くべき展開でもない。

3つの小説全てに言えるが、魅力は登場人物たちのセクシーな演技に尽きるということじゃないだろうか。
演技と言っても、それを言葉で書いているのは著者であり、おそらく病魔と闘っている時期に書いたりまとめたりしていた作品であろうから、そこには著者の死生観も十分に刷り込まれており、それが登場人物の演技に凄みを増しているのかもしれない。
なんにせよ、さすがの描写力だ。

この人のハードボイルド長編小説をまた読みたかったなあ・・・。

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2008年10月05日

ポジ・スパイラル<服部真澄>−(本:2008年134冊目)−

ポジ・スパイラル


# 出版社: 光文社 (2008/5/22)
# ISBN-10: 4334926061

評価:91点

環境問題とエンタメを見事に融合させた作品。
地球環境の問題になると、暗い話、絶望的な話しか聞いたことがないので、今回の小説のような前向きな話は読んでいて楽しく、血が沸き立つ。
恐竜が滅びたように、人類も地球上で繁栄したことのある愚かな生物のひとつにすぎなくなるのか、それとも地球環境と折り合って、今後も存続していくことができるのか、たぶん今は本当にその瀬戸際。

著者は海に目をつけた。
海は再生させることができるはず。
バイオ燃料を生み出す事だってできるはず。
「海洋製作担当大臣」なるポストを作って、利権にまみれた縦割行政の枠を超えた、壮大な環境回復のためのプランを、具体的にこの小説で打ち出している。
化学分野には疎い私なので、どこまでが実現可能性のある話なのかはわからないが、読んでいるうちになんとなくできるはずだと思ってしまう。
負のスパイラルはバブル崩壊後に嫌というほど味わってきた。
今はアメリカ発の金融危機がまたもこのスパイラル現象をおこしつつある。
地球環境においては、なんとしてもこれをポジ・スパイラルに変えねばならないのだ。
自分の孫や曾孫たちが住める星を残すためにも。

ポジ・スパイラルにつながっていく展開はかなり楽観的。
「菱」が果たしてそれほど役に立つ植物なのかも私にはわからない。
でも、議員も役人も企業もそして国民も、同じ方向へ、物事を良くするために進むべきときがあるはずだ。

小説はそんな堅苦しい話ばかりではなく、ロマンスや野心をちりばめた世俗的な雰囲気も保ちながら興味深く最後まで読ませてくれる。
そして、最後まである種の格調は保ち続けた。さすが服部真澄です。

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2008年09月28日

エクサバイト<服部真澄>−(本:2008年129冊目)−

エクサバイト

# 出版社: 角川書店 (2008/02)
# ISBN-10: 4048738224

評価:85点

最近カメラを始めて、写真を撮りまくっているが、昔から眼がカメラだっらいいのになあとよく思っていた。
まばたきした瞬間に写真をとることができて、後からほしい場面がどんどんプリントされる。
そうすれば駅で見かけるかわいい女の子だって簡単に記録に残るし、昨日何を食べたっけ?と悩むこともない。
美しい風景も、面白いアクシデントの最高のシャッターチャンスも、眼にすることさえできれば逃すことなく記録できる。
そうなったらいいなあと思っていたら、この小説ではそれが動画になって出てきたので驚いた。

2025年という設定。
眉間に埋め込まれた超小型カメラが、本人が見たもの全てを記憶していく。膨大な記憶容量を持ったカメラは、小さなディスクに人が一生に見る情報全てを記憶してしまうのだ。
そこから引き起こる様々な問題。
考えうる限りの問題を組み合わせて、物語は軽快に進んでいく。
個人情報保護の問題。会社などの機密保持の問題。データの操作や搾取。膨大なデータをもとにした世界史の構築という壮大なロマン。脳の記憶と機械の記憶の優劣、などなどなど。
ある程度想定できる展開ではあったが、それでもこういう近未来の話は読んでいてワクワクする。
どこまで本当に実現されるか、楽しみでならないのだ。
こういう技術がでてくるかもしれないと思うから、私は200歳まで生きたいなんて思ってしまう。
この小説の最後では、そういった若返りというか長寿の問題にまで少しだけ足を突っ込んでいたようだが、重いテーマなのに中途半端に書いてしまったのはマイナスだったような気もした。

まったくストーリーに触れていなかったことに今気づいた。
それではカドカワのサイトから引用して紹介を・・・。
ちなみにエクサバイトはテラバイトの100万倍。
まだまだそんなHDDがでることはないでしょう。
10年前はパソコンのHDDはせいぜい1ギガ。10年で約1000倍になった。そうすると100万倍にはやっぱり20年くらいはかかりそうだな。

(以下、カドカワのサイトからあらすじを引用)
2025年。記録媒体の小型化が飛躍的に進み、“ユニット”を身につける人々も増えてきている。“ユニット”とは超小型のカメラにメモリを搭載したツールで、それによって人間は一生のうちに見聞きするすべての情報を小さなディスクに収められてしまう、そんな時代になっていた。
ナカジは、時代の潮流に真っ先に乗り、飛ぶ鳥を落とす勢いの成功を収めている映像プロデューサー。美術評論家・鹿島と組んで製作した美術番組シリーズは、日本のみならず世界中で放映されるドル箱コンテンツだった。そんなナカジに『エクサバイト商會』のローレン・リナ・バーグ会長から事業提携話がもちかけられる。『エクサバイト商會』は、人々が装着していたユニットを死後に買い上げ、それらのデータを大量に集めて再構成することで、いわば動画の「世界史事典」の制作を目指すという。まさに「記録」を巡る壮大なビジネスだ。
だが、この世界的ビジネスが順調な滑り出しを見せた途端、ユニットの独占メーカーである米「グラフィコム」社から待ったがかかってしまう……。

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2008年09月26日

名残り火<藤原伊織>−(本:2008年128冊目)−

名残り火 (てのひらの闇 (2))

# 出版社: 文芸春秋 (2007/09)
# ISBN-10: 4163249605

評価:86点

内容(「MARC」データベースより)
堀江の無二の友人・柿島が殺された。その謎に満ちた死に疑問を持った堀江は調査に乗り出す。そこには流通業界に横たわる新たな闇があった! 著者の遺作となった長篇ミステリー。『別冊文芸春秋』連載に加筆修正し単行本化。

テロリストのパラソルを読んだのはどれくらい前のことだっただろうか。あの時の衝撃は今でも覚えているほどだ。
それほど私に鮮烈な印象を残した作家だった。
亡くなられてもう1年以上たって、ようやく遺稿であるというこの作品を読むことができた。
いつもながらに渾身の力を込めて書き上げたという感じがビシビシ伝わってくる。
ディティールひとつに決して手を抜いていない。
ストーリーにはさほど関係してこないであろうコンビニ業界の裏の仕組みなどについても実に丁寧に書かれていて、興味深く読ませてくれる。凄い作家だ。
逆に言えば、文章や展開にふざけた遊びがない分、伏線が若干わかりやすいということもあったのだが。
それも今となっては懐かしい藤原伊織テイストの文章だ。
しっかり楽しみ、ドキドキし、興奮させてもらった。

主人公の暴力シーンはひょっとしたら引いてしまう人もいるのかもしれないが、悲しみを持ってそんな自分を見つめているという主人公の真摯な姿勢がバイオレンスさをうまく緩和しているようだ。

愛すべきハードボイルドな男たちを書かせたら本当に凄い作家だった。
例えばヤンソギルの小説に出てくるハードボイルドな男たちは殺伐として怖いだけだが(それがまた魅力でもあるが)、藤原伊織の小説の男たちは、どこか悲しげで女性の母性本能をくすぐるようだ。

こんな男になりたいなと思ったりもするが、酒が飲めないようでは無理だな。バーに通えもしない。

ということで改めて合掌。

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2008年07月27日

流星の絆<東野圭吾>−(本:2008年96冊目)−

流星の絆

出版社: 講談社 (2008/3/5)
ISBN-10: 4062145901

評価:87点

どんなルートをたどって伝わったにせよ、世の中に広がった名物のハヤシライスの味。読んでいるうちに食べたくなってたまりませんでした。
事件の真相に対する興味より、美味しい洋食を食べたくなって腹がなった。

そんなところに食いついてはあかんだろう。

いきなり両親を殺された3人の兄弟、功一、泰輔、静奈。
自分たちの力だけど生きていかなければならない。
流星の絆で結ばれ、成人した3人が、詐欺のターゲットとして選んだ相手が、過去の両親の殺人事件とつながっていく様子は手に汗握る。

詐欺の手際は非常にスリリングで爽快。
ルパン系の軽やかさが強調される詐欺ではなく、暗い過去を背負った少々ウェットな詐欺であるところがなんとも東野流というか、現実味があって日本人好みに思えた。
すくなくとも私にはうまくはまった。
詐欺の相手が殺人事件の犯人と重なり、3人で協力して真相を解明していくところは一気に先を読ませる見事な展開。
途中からどうも3人の狙いが外れていることに読者が気づいてしまうことも著者の計算にはしっかりはいっているのだろう。
その分、真犯人へつながる伏線もうまく混ぜて、違和感なくストーリーを展開していく。
さすが東野圭吾だ。
静奈と行成の行く末は少々心配だけど。

いろいろあっても最後はまっとうに生きようよ。
そのほうがいいんだから。
そう思わせてくれる本だった。
少しは背筋を伸ばして、頑張ることにしよう。

で、明日の晩御飯はハヤシライスとメンチカツだ!


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2008年07月02日

通勤時間「超」活用術<久恒啓一>−(本:2008年90冊目)−

通勤時間「超」活用術―1年で500時間得する (知的生きかた文庫 ひ 17-1)

出版社: 三笠書房 (2008/02)
ISBN-10: 4837976980

評価:74点

サラリーマンが勉強できる時間なんて朝しかない。
だから通勤時間を使ってたっぷり勉強しなさいという本だ。
通勤時間を長く取るために、わざわざ会社から遠い場所に、始発電車に乗れる場所に、そして乗換えをしなくていいところに住み、朝早く起きて会社に行く。
まあ、それもありだろうな。

残業はしない。
残業をしないという緊張感を持つ。
残業せずに定時に変えるには周囲から信頼されるしかない。
早く帰るためには、誰よりも優れた仕事をするしかない。

この覚悟はサラリーマンにはなかなかできないものだ。
でも確かにそうなんだよなあ・・・。それぐらいの覚悟で仕事をして自分のレベルを上げていきたいものだ。

通勤時間「超」活用術といいながら、大して通勤時間の活用について書かれてはいない。
目からウロコの活用術があるわけでもない。
長い時間座ってすごせる通勤時間を作って勉強しなさい、仕事の準備をしなさいというくらい。
ノウハウ本と思って読んだら肩透かしにあうだろう。
それよりはサラリーマンが自己啓発するための心構えというか背中を押してくれるというような本だ。
40を超えた私でも読んでやる気が出たりするのだから、まあ、興味がある人はさらりと読んでみてもよいかもしれない。1時間あれば読みきれるし。

通勤時間を使ってなにかすることの利点は、「継続できる」ということかもしれない。
会社には毎日行くわけだから、その時間を使い続ければ着実に何かを身に着けることができるのは確かだ。
使い続けることができるかどうかだけど。

ダイエットは継続しない私であるが、通勤時間くらい何かを継続させたいなあ。
といっても私の通勤時間、電車に乗っているのは片道25分もないのだ。
座れないし。
ううむ。



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2008年05月05日

入門・現代ハリウッド映画講義<藤井仁子編>−(本:2008年65冊目)−

入門・現代ハリウッド映画講義


出版社: 人文書院 (2008/03)
ISBN-10: 4409100246

【出版社からのコメント】
ハリウッド映画の新たなる救出へ。1990年代以後、ハリウッド映画はその製作と受容形態において深甚なる変化を引き起こしている。はたして、それらの映画に対し従来の方法論のみで分析することは可能なのか。圧倒的量と速度で消費される作品群に真摯に向き合い、新たな研究手法の導入を試みるとともに、"映画"との遭遇が呼び起こす豊かな経験に寄り添う、気鋭研究者らによる最新の成果。

評価:78点

「映画」を論じる本はこれまでも多々発刊されているし、ネットの中ではあらゆるレベルの映画論が数え切れないほど存在している。
そんな中で、あくまでも硬派にアカデミックに映画を論じた本。
7つの論文は論旨明快でわかりやすく、しかしそれぞれ気品ある文章であり、楽しみ・納得しながら読むことができた。
特に「サイコ」を題材にしたリメイクの論文が結構興味深かった。

まあ、私も含めて感想文をブログ等に書き殴っている程度の一般大衆にしてみれば、ここまで真剣に映画を分析する必要もないし、そんな分析を読む必要もないのだけれど。
頑張ってくだせえ、学者様たち。

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2008年05月01日

ウォルト・ディズニーに学ぶ七転び八起き経営<パット・ウイリアムズ著、寺尾まち子訳>−(本:2008年63冊目)−

ウォルト・ディズニーに学ぶ七転び八起き経営

出版社: ネコパブリッシング (2006/08)
ISBN-10: 4777051684

評価:83点

今頃なんでディズニー?とも思ったのだが、図書館でなんとなく手に取ったこの本、結構面白かった。
「経営の本」というよりは、ウォルト・ディズニーの伝記をもとにした、「生き方の本」という感じに出来上がっている。
ウォルト・ディズニーの少年時代から、ミッキーマウスの誕生、映画の製作、ディズニーランドの開園などなど、波乱万丈の人生がわかりやすく書かれており、それぞれの章の最後に、彼の生き方から学ぶべきことが教訓になって記載されている。
この構成も、またそれぞれの教訓も悪くなかった。

なにより、一代でディズニー王国を築いたこのおっさんは本当に凄い。
自分は何がやりたいのか、何をやりたいのかを常に考え、様々なアイデアをスポンジのように吸収して成長し、夢に向って諦めずしつこく勇気を持って進んでいく。
常にポジティブで、夢のためにはお金を使うことを厭わない。
彼の姿勢はひたすらに前向きで明るく、彼の本を読んでいるでだけで元気が出てくるのだった。

たくさんの教訓があったので、どれを紹介しようか迷うくらいだが、ようは「諦めず知恵を絞って働け!」ということかな。
人生の残り時間を常に意識して生きろというのもよかった。
自分の子供達の世代のために、何をすべきかということ。
俺も残り何年かはわからん。
次世代のために生きるという考え方もいいもんかもしれないな。

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2008年03月26日

百万の手<畠中恵>−(本:2008年45冊目)−

百万の手 (ミステリ・フロンティア)

出版社: 東京創元社 (2004/4/22)
ISBN-10: 4488017029

評価:70点

ネタバレあります

父親を早くに亡くした母子家庭の一人息子が主人公。
いきなり母親のねちっこい過干渉の描写から物語が始まる。
ミステリだから、その過干渉にも理由があるわけだがそんなことは最初はわからない。

うああ、気持ち悪いっ!と思っているうちに親友が火事で家族ごと焼け死んでしまう。
おお、いきなり凄い展開だなと思うまもなく、手にしたその親友の携帯電話に親友が成仏せずに住み着く。
携帯電話を使って死人と会話しメールを打ち合う主人公。
どこまでぶっとんでいくのだろうかと思わせるSFミステリだが、このあたりの描写にさほど違和感を感じさせない著者の筆力はたいしたものだ。

火事は放火らしい。
誰が親友を一家まとめて殺そうとしたのか。
携帯の中の親友と二人?で事件の解決に望むうちに、親友の秘密の妹らしき人が判明し、さらには主人公の出自を巡って話は展開していく。
主人公が襲われ、母の婚約相手が現れ、クローンなどという妖しげなテーマに徐々に入り込み、最後には家族の力でラスボスを倒す。
なんだかRPGのようでもあった。

深遠なテーマを扱っていたわりには、踏み込みが甘くてありきたりの結論に終わってしまっているのが残念なところ。
「生まれてきたからには、人には一生懸命生きる権利がある。それが例えクローンだとしても」というのはある程度良識ある人ならば到達しそうなレベルだ。

途中から出てくる母の婚約相手(主人公の義父)は面白いキャラで読んでいて楽しかった。
ボスを倒すまでの2重、3重のトラップも、先を急いで読ませるにはちょうどいい感じ。

ただ、携帯の親友が途中で突然消えてしまったことには驚いた。
ついでに妹の和美ちゃんもどこに行ったのやら。
バンバン人が死んでいくし、登場人物を粗末に扱いすぎじゃないのか。
それこそ倫理観が欠如してはいないか。
クローンどころではないのだった。

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2008年03月17日

スピード出世する「10の習慣」―チャンスや人脈に恵まれるシンプル仕事術<浜口直太>−(本:2008年42冊目)−

スピード出世する「10の習慣」―チャンスや人脈に恵まれるシンプル仕事術

出版社: すばる舎 (2007/05)
ISBN-10: 488399631X

評価:80点

なんともストレートな題名で、恥ずかしくてとても電車のなかでは広げられない。
きっと内容もたいしたことはないだろうと思ったものの、発行年月がかなり最近だったこともあり、ちょっと目を通してみるかと思って図書館で借りてみた。

ところがこれが結構いい本だった。
出世のための本、というよりは社会人として仕事を進めていく際の基本的な考え方がよく整理されている。
10の習慣があげられており、ひとつの習慣が5個から10個のテーマにさらに細分化されている。
それぞれのテーマは見開き1ページでシンプルに説明がなされており、最後に一言でポイントの要約がついている。
しかも、全てが著者の経験に基づいているので親近感もたっぷりある。

ごちゃごちゃと自分の自慢話や、ちょっと真似のできそうにないスキルや、やたらに高尚な精神論ばかり紹介されているビジネス本と比較するととっつきやすくてよほど役に立ちそうだ。
出世うんぬんよりはまず新入社員が読むべき本だと思うが。
中間管理職の私が読んでいて、思わず相槌を打つ場面も多々あった。
そうなのだ、どこまで上司に報告してどこから自分で進めていくのかという判断は本当に難しい。
明日も朝イチでミスの報告をしなければ・・・。
怒られるなあ、うう、嫌だなあ・・・。


言い忘れましたが、30分もあれば読めます。

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2008年03月08日

常識はウソだらけ<日垣隆>−(本:2008年38冊目)−

常識はウソだらけ (WAC BUNKO 73)


出版社: ワック (2007/10)
ISBN-10: 4898315739

評価:75点

我々が当然そうだと思って思考停止していることの中に、どれだけ胡散臭いことが混じっているか、それをはっきりと示してくれる本。
多少言葉が足りない、というかデータ等が足りなくて信憑性にかける論理展開になっているものもあるけれど、学術論文ではなくて対談集だからそれはやむをえないところだろう。
視野を広く持ち、脳味噌をフル回転させて世の中で起こっていることをきちんと見ないと、騙され続けてしまうということを教えてくれる。

クジラのところは圧巻だったし、まさにそのとおりだと感じた。
欧米人にとっての優先順位のところは笑えた。そうなのだ、確かに。
「アングロサクソン民族は地球上の一番上に自分たちを置く、その次のランクにアングロサクソン以外の白人がくる、三番目には、アングロサクソン民族が自分達と同じ権利を認めなければいけないと考える動物達がくる(クジラやアフリカ象)」
有色人種はクジラ以下なのだから、お前達がクジラを食うなんてとんでもない。例え自然に死んだ象の牙であってもそれを使うなんてとんでもない。ということなのだ。
実際彼らの暴論は目にあまり、ついには暴力によって調査捕鯨も邪魔しようとしている。
シーなんじゃらとかいうボケどもはクジラに食われて死んでしまえ。

話がそれた。
クジラの話だけではなく、(現状のままでは)リサイクル自体に意味がないことや、定期健康診断の無意味さなども興味深く読めた。

いずれにせよ、盲信せずに物事を見るということは大切だ。


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2008年03月04日

困ったときの情報整理<東谷暁>−(本:2008年36冊目)−

困ったときの情報整理 (文春新書)


出版社: 文藝春秋 (2001/07)
ISBN-10: 4166601806

評価:72点

書かれたのは2001年。
ITバブルが崩壊しつつあるころ。
残念ながらちょっと古い。
ITの進歩が、我々の情報管理にどれだけの変化をもたらしつつあるか、もう一度著者に2008年度版を整理してもらいたいところだ。
特にグーグルやWikipediaの発生後の意見を聞いてみたい。

それはさておき、情報整理史の本ではないかと思うくらい、これまで語られてきた情報整理方法が網羅的に説明されていて面白い。
京大カードの時代や、KJ法の話、山根一眞「スーパー書斎の仕事術」に記載されている「山根式袋ファイル」の方法と、時間軸を主にした野口先生の「超整理術」。
こうやって時代が移りつつも、人々はややこしい情報整理をひたすらに続けるだけなのだろう。

多少専門的な言葉を使いすぎた感はあるが、読んでいると妙に納得する。
俺も明日からスケジュール組んでガンバロウッと。


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2008年03月01日

議論のレッスン<福澤一吉>−(本:2008年33冊目)−

議論のレッスン (生活人新書)

出版社: 日本放送出版協会 (2002/04)
ISBN-10: 4140880252

評価:70点

どこでこの本を薦められたのか思い出せないが、議論についての基礎的な知識を確認するにはいい本だった。
日常の仕事の中で、会議や打ち合わせをしていて話がかみ合わないことは非常に多い。
その多くは、「言葉の定義」の差によるものだと私は考えていたが、この本で著者が言うように、ルールのある議論がなされていないために、そもそも議論の体をなしていないことが多いというのも確かだろう。

主張とその根拠、それらを導くデータ。
そして根拠と主張をつなぐ論拠。
これから議論をするときや、資料を作成するときには、これらをしっかり考えることにしよう。
それによって不毛な時間が少しでもなくなり、日々の仕事が生産的になっていけば喜ばしいことだ。

といっても議論って不毛に終わることが多いのだ。
各部がそれぞれの担当役員や部長の意向を受けていることで、捻じ曲がった論戦ばかりいつも続くからだ。

サラリーマン社会で、教科書に載っているような議論が展開されるほうが難しいのかもしれない。
なんて言ってるからダメなんだな。それはわかってはいいるのだけれど。

巻末の参考図書を読んでいくことにしよう。

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2008年02月22日

上司につけるクスリ<本田有明>−(本2008年28冊目)−

上司につけるクスリ

出版社: サンマーク出版 (2005/6/17)
ISBN-10: 4763196502

評価:65点

どこかシャビイな感じの表紙が、サンマークらしくてなかなかよいかも。
中身はごくごくまとも。
決して間違ったことはいってないし、ところどころ非常にタメにもなる。
だけどあまりに当たり前すぎることばかりだ。
そうか、こんな当たり前のことができない上司に読んでもらうための本なんだ。
そうかそうか、当たり前のことだとわかっていても、その通りにできる上司は少ないということなのだ。

ま、いまのところは「上司」という立場にはなかなかなれそうもないのでまあいいか。
うじゃうじゃと人数ばかり多いバブル入社世代には、会社のポストはまわってこないのです。おそらく永遠に。

中身のご紹介はこんなところ
1章 上司がはまる落とし穴(「静かな職場」には、問題がいっぱい。「ホウレンソウ」が、じつは悲劇の始まり。 ほか)
2章 上司になっては、いけない人たち(「管理」の意味をはき違えている消化不良上司。問題があるのに「ない」と言い張る無自覚上司。 ほか)
3章 これができれば理想の上司(声に出さない部下のSOSを見抜け。部下からの「異議申し立て」は歓迎せよ。 ほか)
4章 困った部下につけるクスリ(実績もないのに理屈をこねまわす部下。返事はよいのに実行がともなわない部下。 ほか)



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2008年02月06日

生物と無生物のあいだ<福岡伸一>−(本:2008年18冊目)−

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)

出版社: 講談社 (2007/5/18)
ISBN-10: 4061498916

評価:85点

大学生の頃、教養課程で生物学の授業を受けたが、その時の教科書が「生命とは何か」という本だった。
昼間に授業をサボって河原に寝転びながらその本を読んだのだが、エピローグの文章に心震えたのを今でも覚えている。
「あなたが死んだ後、そこには何も残らない。死とは無になることである。しかし、あなたの遺伝子はあなたの子供に2分の1引き継がれる。あなたの孫には4分の1、あなたの曾孫には8分の1。そうやってあなたの命は生きつづける、それが生命なのだ」というような内容だった。
実際はもう少し学術的な言葉で書かれていたように思う。
この歳になれば「それはそうだ」となるが、20歳そこそこで初めて読んだときには、何か深い真理に出会ったように感激し、いつまでもひとり川面を見つめ続けたものだ。
あのときの私はきっと哲学的で深遠な微笑を浮かべていたにちがいない。(きっと違う)

そんなことを、この本のサブタイトルを見て思い出した。
この本の中盤は結構難しい。
DNAからたんぱく質の複製機能へと話は進み、専門用語が次々と容赦なくでてくる。
著者は、研究者の出世争いなど下世話な話を巧みに織り込みながら読者の興味をなんとかつなぎとめようとしているが、それもどこまで効果があったのかは疑問であり、理系に縁のなかった私は「なんとかついていけたような気がする」という程度の理解しかしていない。

だが、この本もラストがよかった。
無粋を承知で結論を書いてしまうが、これに尽きるのだ。
「生物には時間がある。その内部には常に不可逆的な時間の流れがあり、その流れに沿って折りたたまれ、一度、折りたたんだら二度と解くことのできないものとして生物はある。生命とはどのようなものかと問われれば、そう答えることができる。」
この結論が理解できなかった人にも、ストンと胸に落ちた人にも是非読んでもらいたい本だ。

「何故、人を殺してはいけないか」という問いの答えもここにあるじゃないか。





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2007年12月20日

ちんぷんかん<畠中恵>−(本:2007年157冊目)−

ちんぷんかん

出版社: 新潮社 (2007/06)
ISBN-10: 4104507075

評価:88点

しゃばけシリーズ第6弾。
図書館で借りて読んでいるので、シリーズのどれを読んだのか読んでないのかわからなくなってきた。
それでもそれぞれ完結する短編で構成されているので、問題なく楽しんで読める。

今回は、病弱な若旦那が火事の煙を吸い込んで三途の川までいってしまう物語もある。
三途の川なぞにいこうものなら普通は嘆き悲しむのではと思うのだが、さすが若旦那、飄々と賽の河原の鬼とも対峙し、ついにはこの世に戻ってきてしまう。
そうかと思えば、兄、松之助の縁談から巻き込まれた騒動では、陰陽師を相手に手に汗握るドタバタ騒動も繰り広げられる。
極めつけは最後の「はるがいくよ」。
桜の花とともに若旦那のもとに現れた「小紅」。
逝くものと残されるものの切ない思い。
生と死について、静かに、しかし印象的に語りかけてくる感動的な話だ。
ううむ、さすが畠中恵。
やるのう・・・。

2千年、3千年を生きる妖から見れば、数十年を生きる人間の寿命などあってないようなもの。
そうなのだ。
はかなく限りある時間だから、しっかり生きたいのだ。
月夜を見上げ、鳴家のように「きょんげー」と叫んでみたくなった。

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2007年11月23日

ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか<保木邦仁, 渡辺明>−(本:2007年141冊目)−

ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21 C 136)

出版社: 角川書店 (2007/08)
ISBN-10: 4047101079

評価:89点

会社の先輩が貸してくれた本。
例のダイエット本をお貸ししたら、これ面白かったよと、この本が付いてきた。
実際に面白かった。
最強将棋ソフト「ボナンザ」を開発した研究者の保木邦仁氏と、竜王・渡辺明氏が、交互にボナンザや将棋について書き、対談も行っている。
これまでの将棋ソフトと異なるアプローチでボナンザを開発した考え方や、その改良の過程は、純粋に文系である私が読んでも十分に理解できるように整理されていて興味深い。
渡辺氏が終章で書いている「基礎研究の重要性」も説得力のある内容だった。
また、プロ棋士としてボナンザの挑戦を受け、見事に勝利した渡辺氏の文章も面白い。
冷静にボナンザを分析・研究したうえで対局。
思わぬ接戦にはなったものの、渡辺氏にしてみればすべて想定の範囲内での戦いだったようだ。
対局を振りかえり、現在のボナンザの限界を書き、将棋ソフトと人間の今後の戦いを予想するだけでなく、プロ棋士が将棋をさすときにどのような考え方をしているのか、それが明快に書かれている。

ところで、保木邦仁氏は1975年生まれ、渡辺明氏は1984年生まれ。
これが私には一番の驚きだ。
落ち着いた論理的な文章や対談を読んでいて、彼らは同世代かそれ以上の人たちなんだろうとずっと感じていた。
ところが、保木氏が私より9歳、渡辺氏にいたっては18歳も下ではないか。
こういう凄い若者達をみてると、自分が無駄に歳を重ねてしまったのではないかと焦りさえしてしまう。
いやいや焦るというのは自分に驕りがあるからだろう。
年下からも学ぶべき点は学ぶ。そんな謙虚さを持たねばいかんのじゃ。

コンピューターがいつの日か将棋で人間に完全勝利する日がくるのかどうか、私にはよくわからないし、あまり興味もない。
ただ、やはり少し寂しい気がする。
学習するコンピューターの発展は、人間の不完全さを次々と明るみに出していくようなものだろうから。


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2007年11月17日

まんまこと<畠中恵>−(本:2007年139冊目)−

まんまこと

出版社: 文藝春秋 (2007/4/5)
ISBN-10: 416325840X

評価:80点

「しゃばけ」シリーズと同じく、江戸を舞台にした時代物。
ただし、こちらには妖怪の類は一切出てこない。
江戸人情ミステリーとして、これが新シリーズになるらしいが、そこそこ面白く続くんじゃないだろうか。
ただ、少々インパクト不足の感が否めないのは確か。
「しゃばけ」みたいに妖怪が出せれば少々強引で突飛なストーリー展開もできるのだが、こちらは普通の人間だけ。タイトルの「まんまこと」の意味が「ほんとうのこと」というだけあって、話はそれぞれミステリーで謎解きがストーリーの軸になっている。
この手の人情話って、既にたくさん書かれているだけに、違いをどうやってこれから出していくかなんだろうな。
宮部みゆきと同じ土俵で勝負していくのか?
浅田次郎もこの手の小説は得意なはず。
妖怪出したほうがやりやすいのではなどと要らぬ心配もしてしまったのだった。

主人公の麻之助は町名主の息子。幼い頃は生真面目で勤勉で立派な子供だったが、16のときからなぜか横道にそれていき、いまでは「お気楽」「悪たれ」というレッテルを貼られてのんびり過ごしている。この麻之助と、同じく町名主の息子の清十郎、同心見習いの吉五郎の三人が、奉行所が裁くほどでもない町人たちのいざこざを解決するために、重い腰を上げてあちらこちらを奔走する物語。

なんだかんだといいながら、結構な名捌きをみせる麻之助。
3人のチームワークは絶妙で、どんな難事件も見事に解決されていく。
笠松屋の娘のおなかのこの父親は誰なのか、お紺さんは小左衛門さんの娘なのか、おしんちゃんは「こりん様」なのかどうか。
鮮やかにそしてほのぼのと解決されていく事件を堪能できた。

それにしても、江戸というのは文化的に豊かな時代だったのだなあ。


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2007年11月04日

勉強について、私たちの考え方と方法<小山正彦、羽生善治>−(本:2007年129冊目)−

勉強について、私たちの考え方と方法

出版社: PHP研究所 (2007/9/4)
ISBN-13: 978-4569693521

評価:30点

小山某に全く興味はない。
船井総研の社長らしいが、船井総研にも全く興味はない。
たまたま「羽生」の名前が図書館で目についたのと、出版されたばかりの本だったので読んでみたのだ。

結論から言えば、たいしたことは何も書いていない。
企業の社長と将棋の名人の対談に対して、たいしたことは書いていない、なんて言っているようではお前はいつまでたってもダメだと逆に言われてしまいそうな気もするが、それでもやっぱりたいしたことは書いていない。
前半はそれぞれが自分の勉強についての考え方について別々に書いている。
そこで羽生が書いている様々な棋士の戦い方はかなり興味深かった。
棋士達の勉強方法というものも、日々進歩していくのだ。

あとは基本的にどうでもいい話ばかり。
「深く考えろ」といいながら、「まずは動くこと」と言ってみたり、なんとなく論理の流れにも一貫性がない。

などと偉そうに批判したが、この両名が私よりも多くの努力をして才能を開花させそれぞれの分野でトップになっていることは確かであって、私は彼らを批判できるような人間ではない。
批判できるとすれば、それはこのような安易な企画本を出して1300円で売るPHP研究所と、それを読んでしまう私自身だ。
ところでこの本は次の予約が入っているようで、図書館から早く返せと督促がきた。
誰やねん、わざわざこんな本を予約する奴は。

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2007年09月29日

長嶋イズム<深澤弘>−(本:2007年108冊目)−

長嶋茂雄 人生哲学94の言葉 長嶋イズム

出版社: マガジンハウス (2004/8/26)
ISBN-10: 4838714203

長嶋の立教大学時代を知らないのはもちろん、プロに入ってからの活躍もリアルタイムでは知らない。
だから長嶋茂雄にそんなに思い入れはないのだ。
私は自分でそう思っていた。野球を始めた小学校3年生のときに長嶋は引退してしまったのだから。

だが、長嶋の歴史をたどるようにして長嶋が発した言葉を紹介していくこの本を読んでいるうちに、思ったより長嶋の野球に長い間接していた自分に気づいた。
そうか、監督だけでも15年間!巨人を率いているのか。
いつのまにか、長嶋の立ち居振る舞いや言動に影響を受けていた部分は結構多いのだ。

著者の深澤氏は、長嶋に非常に近いところで苦楽をともにしたスポーツキャスター。実話をもとに、長嶋がどんな考えで数々の名言を吐いてきたかがよくわかる。
でもまあ、ほとんどは思いつきの天然発言のような気もするけど・・・。

最近、奥さまを亡くされているし、まだまだ脳梗塞からのリハビリ中。是非頑張って我々の前にまた出てきて欲しいものですが、でも、無理はしないでくださいませ。

本の中で興味深かったのは、関根潤三氏との関係や、天才が行っていた陰の努力、だな、やっぱり。
さて、俺もポジティブシンキングじゃ。

「人生は開拓である」

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