本:ら行の作家

2008年10月11日

日常の疑問を経済学で考える<ロバート H.フランク (著), 月沢 李歌子 (翻訳)>−(本:2008年135冊目)−

日常の疑問を経済学で考える
日常の疑問を経済学で考える


# 出版社: 日本経済新聞出版社 (2008/02)
# ISBN-10: 4532352983

評価:78点

面白い。
経済学うんぬんというよりは雑学に近い内容だが、限界効率の話や機会費用の話は、改めてそうだったなあと認識させられた。
消費行動について分析した話もなかなか興味深い。
もとは大学の授業における生徒のレポートだったものを著者が修正してまとめて一冊の本にしたものということだ。

航空機のチケットは購入時期によってどうして値段が違うのか。
ホテルの宿泊費用も予約時期によってどうして値段が違うのか。
(答えは本を読んで下さいませ)
安くなければ購入しない層に対しては安く売り、高くても購入する層には高く売る。
資本主義社会に生きているのだから当たり前のことなのだが、こうして説明されるまではよくわかっていなかった。
「ホテルのミニバーはどうしてあんなに高いのか」とか「ソフトドリンクの容器が円筒形なのに牛乳の容器が四角形なのはなぜなのか」など、読んでみるとなるほど納得目からなんやら、だ。

時々、それはちょっと強引ではと思う展開もあるがまあご愛嬌。
覚えておいて宴席で使うには多少固すぎる気もするが、経済学を齧ったことのある人は時々ニンマリできるし、そうでない人も十分に楽しめる内容だ。
こうやって日常の疑問を分析する癖でも身につけたいもんだ。

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2008年07月12日

論理で人をだます法<ロバート・A・グーラ (著), 山形 浩生 (翻訳) >−(本:2008年95冊目)−

論理で人をだます法

出版社: 朝日新聞社 (2006/2/7)
ISBN-10: 4022500840

評価:80点

なかなか面白かった。
訳者もあとがきで書いているが、これは決して「人をだますため」の本ではない。
日常の議論の中で陥りやすい誤った考え方や論理展開等を網羅的に説明し、自分が議論の中でごまかされたり言いくるめられたりしないための防衛策を身に着けるためのような本と言えばいいだろうか。

日本人は一般的に議論が苦手と言われていて、自分の身を振り返ってみてもできることなら面倒は避けて通ろうという気持ちになりがちだ。
会議で熱くなったりすると、「あの人はKYだから」とか言われかねない。

でも、実は要所で(裏で)様々な理論を用いたギチギチとしたせめぎあいが行われているのも日本のサラリーマン社会の特徴であって、そんな日本人サラリーマンにとっては、一度この本に目を通して、人がだまされやすい論理についてひととおり知っておくのはいいことに違いない。

三段論法の章は特に面白かったが、読んでいるうちによくわからなくなってきた。
数学の証明問題を解いている気分になったりもして。

これもあとがきで訳者が書いているが、熱い議論の末、勝ったとしても相手をたたきのめしてしまってはいいことはない。
確かにそうだよなあ。
ものの言い方には気をつけないと。
わが身を振り返り反省だ。
明日からは「思慮分別のある大人の会話ができる男」という路線でいってみるか。

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2006年09月06日

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン<リリー・フランキー>−(本:2006年85冊目)−

東京タワー扶桑社 (2005/6/28)
ASIN: 4594049664

評価:93点

(ネタバレあります)
たまらんね。
どこでもかしこでも絶賛の嵐だが、そりゃこれだけ愛情に溢れた本を読まされたら涙せずにはいられない。
ボロボロと泣きながら読み終えた後、早く大阪のオカンに電話しなくてはと焦ってしまった。
親不孝一直線だった私が、早く親孝行しないと!と思うほどなのだ。
簡単に親を刺したり、家に火をつけたりする子供たちに、まずはおまえこれを読め、と言ってやりたいものだ。きっと少年犯罪は減るぞ。

リリー・フランキーは私より3歳年上。
私の母親は昭和16年生まれだから今年65歳。ちょうどこの本では福岡から上京してリリー・フランキーと一緒に東京で暮らしていた年齢だ。
この4年後にリリーのオカンはこの世を去る。
私も、帰省するたびに年老いていく母親を見ているので、この自伝小説のひとつひとつのエピソードが身にしみた。叔父と祖父を立て続けに亡くした夏だったからかも知れない。

たくさんの人を家に招いていつもゴハンを作っていたリリーフランキーのオカン。
どれだけ息子が大人になろうとも、いつもその心配をしていたオカン。
月々3000円のオカネを共済に支払って自分の葬式代で息子に心配をかけまいとしていたオカン。
リリー・フランキーのオカンが決して特別なのでなくて、世の中にはこんなオカンがいっぱいいる。
でも、リリーほど老後のオカンときちんと向き合ってオカンの長年の愛情にきちんと応えた人はそういないだろう。
そして、そんなオカンと息子の愛情を、ユーモアたっぷりでありながらこれほど感動的に書いた小説もそうはないだろうと思う。

こんど帰省したときには、オカンに優しい言葉でもかけて肩でも揉んであげようか。
嫌々、突然そんなことしたら怪しまれるだけじゃ。
その前に照れくさくてとてもできない。
でも早くオカンに親孝行はせんとあかんな。俺にはまだ孝行できるオカンがいるのだから、それに感謝しなければ。


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2006年07月08日

陽だまりのブラジリアン<楽月慎>−(本:2006年63冊目)−

陽だまりのブラジリアン朝日新聞社 ; ISBN: 402250191X ; (2006/06)

題名がいい。
そして装丁がいい。
陽だまりのブラジリアン、そしてバナナ。
思わず手にとってしまうじゃないか。

ブラジリアンといえば、ニコラスペタスの「ブラジリアンキック」か、ノゲイラの「ブラジリアン柔術」ぐらいしか頭に浮かばないが、この本にでてくるブラジリアンとは「ブラジリアンカットのパンティ」なのだった。

「後ろも前もV字形になっていてフルバックより多少ハイカットなラインが、Tバックほど過激ではなく、それでいて大胆不敵な気分になれそうな、度が越えない節度あるプレイが楽しめそうなパンティ」

どんなんやねん。

主人公の「俺」は仕事の一筋の営業マンで、高卒ながら40歳で取締役営業本部長にまで上り詰めた男。
そして、自分の精神バランスを取るためにはまっていったのが、女性用下着をつけることだった。
妻の下着をつけて、それに目覚めてから、ネットで愛好者と知り合い新宿の女装バーや早朝の公園で自己を解放する主人公の言動は読んでいて面白いし、彼と係わり合いを持つことになる人たちの描写もうまくできている。
ありそうでなさそうな過去で色づけして、微妙なリアリティを保ちながら主人公の毎日は過ぎていく。
家族との葛藤、職場での様々な問題、変態的な趣味を隠すことの大変さ、ムチャクチャな展開に見えながらも何故か主人公に「真剣さ」が感じられるのがいいのだろうな。
読んでいるうちにサンバを踊りたくなってきた。ブラジリアンカットのパンティははきたくないけれど。

ただ、なんだかんだと詰め込みすぎて、表層的な感じがしないでもなく、それが少し残念かな。
特に、娘との関係などあんなに簡単に解決されては世の中のお父さんたちの立場がないし、実際にはもっと半狂乱になって娘の心配をするだろう。
ま、いいんだけどね。

著者は2005年この作品で朝日新人文学賞受賞。次回作が楽しみです。


ブログを書いているBGMはユーミンの「翳りゆく部屋」。
あ、泣きそう。
陽だまりのブラジリアン


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2004年08月21日

本を読んだ-日本のみなさんさようなら<リリー・フランキー>-

日本のみなさんさようなら出版社:文藝春秋
ISBN:4167660369
発行年月: 2002年 03月

評価:88点(100点満点)

1994年から1999年まで、「ぴあ」連載の「あっぱれB級シネマ」に連載されたコラムをまとめたもの。
邦画173作品が紹介されている。

リリー・フランキー、天才じゃ。
これだけおもろく鋭くそして変態チックなコラムを書きまくれるのは凄い。
ときには紹介している映画とマッタク関係のない内容でコラムを終えている。
これは映画を題材にして、時代背景や自身の郷愁や俳優の馬鹿さ加減を、赤裸々に書いているエッセイですな。
にやりと笑って、激しく同意できる内容が多い。
日本映画も捨てたもんじゃないなって思わせやがってリリーめ!レンタルしておもろなかったらしばく。
とりあえず、「がんばっていきまっしょい」の田中麗奈でも見ようかな。
最近めちゃくちゃ綺麗になったよなあ、田中麗奈。とんねるずの食わず嫌い王選手権にでるのを見て、ちょっと驚き感動しました。


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