鳥井保和第4句集「「星戀」Hoshikoi

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鳥井保和句集「星戀」Hoshikoi(本阿弥書店を紹介します。 

著者略歴;俳誌「星雲」主宰・俳人協会会員・海南文化協会俳句部長・朝日新聞和歌山俳壇選者・和歌山俳句作家協会役員選者・春日神社「万葉の森歌垣俳句大会」選者。
句集「大峯」「吃水」「星天」、アンソロジー「句のある風景」など・

星戀の冴ゆる一等誓子星

帯文;今年6月に退職した今は、日本各地を排句行脚し、そして誓子の句碑巡りを生涯の目標として、これからも誓子の謦咳に接した最後の一人となるまで「天狼」の誓子の俳句精神を継いでゆきたく思っている。(「あとがき」より)

 自選12句

凍瀧の一本通す水柱

化粧塩ほろほろ鮎の丸齧り

夕星や闇を引き込む牛蛙

日脚伸ぶ一話おまけと紙芝居

神隠るごとくに霧の那智の瀧

これ以上一樹に椋鳥の収まらず

お迎への話ばかりの日向ぼこ

天井より何でも吊す海の家

敗荷の風をいなしてゐたりけり

月代や浦にますほの貝拾ふ

千変の雲の走れるお花畑

野仏に異国の銭や村祭
 

共鳴句

一切無音大寒の心字池

きさらぎの星戀の星誓子星

なんぢやもんぢやあんにやもんにやの花涼し

走り根の上に走り根木の実溜む(高千穂峡)

弓なりの熊野の灘の星月夜

初星の沖に伸びたる滑走路

人日の山河を円き月渡る

補陀落の沖に溢るる冬銀河

雪解くる湯気本山の檜皮葺

ことさらに還暦の日の梅真白

咲く前の漲る紅気花蕾

海見ゆる山河雲湧く田水沸く
穂孕みの風に胡弓や三味の音

鳶高みつつ秋晴の神島かな
木偶くわつと鬼女と化したるそぞろ寒
潮騒の島を遥かに鷹柱(神島・伊良湖岬を遥かに)

底ひより潮盛り上げて渦を巻く

一筋の水脈群青の青岬

立冬の月くつきりと熊野灘

山脈の黒々として冬満月

       

H29年12月のお題「紀」の俳句あれこれ

           

 山田紳介

鳥渡るジュラ紀の空を横切りて

しぐるるや世紀の恋のなれの果て

 谷口智行

アニミズムここにはじまる紀の小春

雪ばんばしるき樹勢の紀の森の

 佐藤八重子

紀の国の水産学部鮪飼ふ

小春日や紀州の殿は毬好き

 堀瞳子

紀の国の闇深ければ冬銀河

冬麗の記紀万葉の小路かな

 野中千秋

紀の国の外湯になぞるオリオン座

冬星の永久の光や記紀の里

 岩城眉女

神の留守漫画で辿る記紀のこと

木の葉髪存う二十一世紀

 池端順子

紀子様のコサージュ光る冬帽子

しはすなり紀貫之をひも解くも

 新居三和

世紀末の予言当たらず大くさめ

記紀になき卑弥呼の名前雪眼鏡

 安藤加代

白亜紀の幾重の地層冬ざるる

紀州蜜柑より温州蜜柑が好き

 坂東恭子

黒潮に育つ紀州の蜜柑かな

紀伊高野光明真言雪景色

 髙下眞知子

角界の風紀厳しき薄氷

艶々の紀州みかんの香気かな

 松村公美子

一世紀生きたる人の日向ぼこ

寒釣りの昼夜賑わう紀伊水道

 工藤泰子

寒鴉ジュラ紀の鳥の裔かとも

神代(かみよ)よりなる日本紀や冬北斗

      

 

 


谷口智行の句(H29年12月)

高畔(たかうね)の土塊ぽろと冬に入る

牢獄のやうな磐座冬の虻

星に見ゆ十一月の照葉樹

山影は鯨のかたち冬夕焼

ぐにやぐにやと路地めぐらせて漁村凍つ


佐藤八重子の句(H29年12月)

帰り花石垣の反り反りて見る

コンビニで急遽手袋買うことに

池に射す焔のごとき冬紅葉

寄せ鍋やパカと音して貝の口

大安や明日生くための日記買ふ

山田紳介の句(H29年12月)

目瞑りてゐればしきりに木の実落つ

遥かなる空より木の実降り来たる

話すこと無ければ木の実落つしきり

黄落の一葉ごとに違ふ音

落葉道落葉の上にまた落葉

松村公美子の句(H29年12月)

鯛焼きを縦割りにしてジャンケンポン

竦めたる肩こりこりと今朝の冬

室咲きの蘭を残して逝きしとか

七五三裾をはだけて駆け出す子

今年また伸びし裸木電飾す

堀瞳子の句(H29年12月)

小春日の湖上を飛べる気球かな

みづうみの波の大小山眠る

箸袋に暮石の句あり鴨の宿

湖へ戸ごとの小径百合鷗

氷魚漁の近し坪入れ始まりぬ

池端順子の句(H29年12月)

冬晴れや十年振りのクラス会

紅葉せる駅に落ち合ふ顔と顔

青春を手繰り寄せたる冬茜

小粒なれども地元産栗の飯

ハモらせるテナーソプラノ銀杏散る

岩城眉女の句(H29年12月)

忘れ花我が青春のトルストイ

裾除けは白い小菊の大師像

雪達磨未完成なる多義図形

湧き水の頬に優しき冬の朝

イガグリとおかっぱ寄りて青写真

坂東恭子の句(H29年12月)

開戦の悪夢のありし十二月

小半日差し込む冬日厨窓

客人も冬菜料理を喜べり

新しき藺草の畳撫でて昼

形振り(なりふり)もなく着ぶくれて街に出る

安藤加代の句(H29年12月)

嘴先に一粒ひかる実南天

拍手を打つ音軽し神の留守

羨道に羽毛散乱月冴ゆる

小春日や岬の鼻の白びかり

備中鍬使ひ蓮根を掘りゐたり

髙下眞知子の句(H29年12月)

こだはりの臼挽き蕎麦の白と黒

むら時雨喪中はがきの湿りけり    

冬の雲球児の声にかき消さる

柚子ピール苦味抑へし友の味

位置情報たよりにならぬ枯野原

新居三和の句(H29年12月)

冬深し一人で通る胎蔵界(於 善通寺)

描き溜めし画の裏打ちも年の暮れ

家中にたきしむ柚子の香ジャム作り

介護され殿さま気分と日向ぼこ

ひき渡すもの磨き上げ年の暮れ

野中千秋の句(H29年12月)

山国の湖影のふかし鴨の水尾

七彩の日矢を弾きし冬の滝

凍雲を離さぬ鴟尾や孔子廟

つぎつぎと風を見つけて枯葉散る

月皓皓干し芋さらす利根の村

工藤泰子の句(H29年12月)

竜田姫古墳の山の裾野まで

SLの眠れる山を突つ切れる

大年のピクトグラムや非常口

襟立てて歌劇の街へ迷ひ込む

冬うららジェンヌ歩きをしてをりぬ

 

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