2015年06月

7月のお題「再」の字

 

              再 

 再は、接頭語で名詞に付いて、ふたたび・もう一度の意味。

再開・再会・再三・一再など。

 45年前の528日、日光にある「裏見の滝」へ行った。再来か、再再来か。幸運にもこの日は荒川不動尊の祭日。何人もの修験僧と出会った。黙々と、足早に過ぎて行く。私はその後ろをゆっくりと歩いていく。道はある程度整備されているが、滝に近づくほど険しい。若葉の中に水量豊かな滝が姿を現す。この滝は、滝の水の後ろ側に入ることができる。(最近は、入れなくなっているかも)正面からも内側からも、様々な滝の様子を観察することができる。5月の光と、空気、本当に清々しく美しい。再度来たいと思う。そういえばこの道は、俳聖芭蕉も通った。

廿余丁山を登つて滝有。岩洞の頂より飛流して百尺、千岩の碧潭に落たり。岩窟に身をひそめ入て、滝の裏よりみれば、うらみの滝と申伝え侍る也 。(奥の細道より)

  しばらくは滝のこもるや夏の初   芭蕉

   ほととぎす見の滝の表裏    芭蕉

     urami01.jpg   鍋ヶ滝 ⇒ 裏見の滝の写真(画像) 写真ID:622477- 写真共有サイト:PHOTOHITO

季刊「鳳」13号

季刊「DSC_0861鳳」13号を紹介します。

百物語   藤勢津子

 昔も今も納涼に欠かせないもののひとつに怪談話がある。その一形式として「百物語」があるが、それは数人が集まって行灯に百本の灯心を入れて怪談を語り合い、一話終われば一つの灯を消し、語り終わり真っ暗になった時に妖怪が現れるといった遊びである。・中略・・・・・東寺は平安京鎮護のために桓武天皇が建てたのだが、かつての東寺周りの白壁の東南角にある白虎に違和感があった。東南には青竜或いは朱雀を置くものだから西の守護神の虎を置いたのは謎である。虎が猫に見えたので、その角を「猫の曲り」と言うようになった・・・・。(個人的に興味のある場所を紹介しました)


  作品

  「丑寅に」    高道章

蟻地獄板蓋宮の丑寅に

(おほぞら)をう

柿の花しじまの深き日差しにて

  「木漏れ日」  堀瞳子

雨禁獄十薬の花盛りなり

木漏れ日にすすむ黙読夏帽子

風に似てつばくらの子の水掠む

 「漂へり」  藤 勢津子

蟬声に音程ありて鳴き継げり

蜥蜴なり思案をしては走り出し

世に認められゐて海月漂へり

 「起し絵」  浅井陽子

虹消えて湾口白き船過る

富士山を越す起し絵の潮頭

木道の果の吊橋雲の峰

 俳味箪笥箪笥からお気に入りの俳句を取りだし俳味を探る・・抜群の面白さ 

  香水は「(ポアゾン)  恵    瞳子

  川ばかり闇はながれて蛍かな    千代女     藤勢津子

  生まれし蝶苔の青きに身を置けり  大川立花    高道章

  結納のものを見てまた水打ちに  関戸靖子     浅井陽子

     招待席

 「透く」 安倍真理子 (第54回角川俳句賞、白桃賞など)S35年生

 時薬など効かずともよし青嵐

 麦秋の真中二本の樹のそよぐ

 立ち上がり透き極まれり夏の波

 目をつむりなほ炎天の波倒る

 総身のさざなみなせり夏の暮     

  古句交響  古い句とのアンサンブル・・

  をんな来て別の淋しさ青簾   長谷川双魚

  頬紅を濃く(かぶ)団扇     

  粋筋の人と見受けり簾越し     勢津子

  蚊遣香待つともなしに燻らせて   瞳子

  気丈夫といふかなしさよ白扇子   陽子  

     文章

    いつもどこかで祭り  高道章    

    ある日ある時     藤勢津子

   俳句好風(13)    堀瞳子

    やがてかなしき   浅井陽子 

    探勝⑬  宇治田原町・大滝)  浅井陽子    

                


    

雪舟庭と南溟庭

山口市宮野下・臨済宗(東福寺派)常栄寺の雪舟庭は大内正弘が別邸として建てたもので、庭は雪舟に命じて築庭させたと云われています。
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南溟庭(なんめいてい)は常栄寺20世安田天山老師が古典造園の復元・修復や創作の大家 重森三玲に「雪舟より良い庭を作られては困る。恥をかくような下手な庭を作ってもらいたい。」と依頼。重森は固辞しましたが、「上手に下手な庭を作ってもらいたい」と重ねて依頼。昭和43年、重森72歳のとき築庭したものです。DSC_0824DSC_0823 

山頭火を訪ねて・其中庵

山口市小郷下郷矢足の其中庵(ごちゅうあん)を訪ねました。
其中庵;漂白の俳人山頭火が句友の国森樹明の誘いを受けて小郷に庵を構えることになった。ここでの7年間が、一番長い定住の時間だった。法華経「普門品(ふもんぼん)」にある「其中一人作是証言(ごちゅういちにんさぜんしょうごん)」という語から取らDSC_0793DSC_0800DSC_0808れている。
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寝牛の句碑
「はるかぜのはちのこひとつ」

浜通り155号  「東日本大震災特集(15)

  DSC_0849DSC_0848 

 浜通り155号 
 
東日本大震災特集(15)を紹介します。

 浜通り俳句協会
(結城良一代表)



写真は
「防波堤嵩上工事 小浜埠頭
 (H27.2.16)



花見山福島県俳句大会(H27年4月5日)

自画像の視線まつすぐ卒業す    古市文子 (大会準賞)

背負われぬランドセルまた春が来る 樋口 葉 (二本松市長賞)

フクシマを語れば口のかじかみぬ  仲田 昇 (福島テレビ賞)

   「牡丹焚火」  古市文子

   七尺の炉に積み上ぐる牡丹榾

   阿武隈の闇ひたひたと牡丹焚く

   牡丹焚火燠となるまで見届けし

   文章「須賀川の牡丹焚火に参加して・・古市文子」より一部

 須賀川の牡丹園で毎年「牡丹焚火」が行われている。・・講師は、「現代俳句協会特別賞」の照井翠先生、大震災で釜石の惨状を「龍宮」におさめて話題となられた高校の先生である。・・先生は、釜石を震災時より現在まで、順を追って説明されたので、目から耳から心にじりじりとしみてくるのである。

    喪へばうしなふほどに降る雪よ    照井翠

    双子なら同じ死顏桃の花        〃

    春の雪こんなに人が死んだのか     〃 

    毛布被り孤島となりて泣きにけり    〃

    なぜ生きるこれだけ神に叱られて    〃

 先生は「龍宮」のあとがきに、「これは夢なのか、この世に神はいないのか」と。・・

 現在の釜石の現状は、震災の風化、置き去りの被災地、人口の流出等将来への見通しが立たないことで深まる喪失感が漂っているとのこと。そんな釜石の現状に対する先生の苛立ちや祈りが句になって、読む人の心をとらえてはなさないのである。

    蜩や山の頂まで墓場        〃

   万緑の底で三年死んでゐる     〃

    分るのか二万の蟬の溺死なら    〃

    草茂るずつと絶望してゐろと    〃

    螢や握りしめゐて喪ふ手      〃

   話すから螢袋を耳にあてよ     〃

 講演の最後に「あの大震災の中、先生を支えたものは何か。」の問いに「あの辛い毎日を支えてくれたのは、やはり一番新心配してくれた両親でしょう。時間がたってからは俳句だと思います。」とおっしゃった。

 牡丹焚火をしたそばの欅大樹には梟が棲みついているとのこと、・・私達を見ていたのだろうか。須賀川での時間はいろいろな事をかんがえさせてくれた。俳句を通しての出会いや思い出が、私を元気にしてくれたことに感謝である。・・

       震災作品 

モニタリングポスト菜の花明りかな   結城良一

花見茣蓙無く町中が慎みぬ       青木燁子

除染水そのまま四年冬来る       伊藤雅昭

論点にならぬ福島冬ざるる       笠間 杏

四とせ目の3・11と先の闇      長岡 由

メルトダウンの夢にめざめし昼寝かな  中田 昇 

除染続く人間不信の枯すすき      花貫 寥 

汚染土と言へど我が家の春の土     古市文子

熊狩りもせねばと帰還困難地      柴田郁子    

           


 

MMKの俳句感想 6月

         

梅雨の季節です。

紫陽花は虹のパレット隠し持ち  泰子

今まさに紫陽花が七色に変わろうとするところです。紫陽花の別名は七変化ともいいます。 それに梅雨時は蛙や蛍の季節。

ほたる百呼吸をあはせて光りけり とき魚

私も鳴門市坂東のドイツ捕虜収容所跡近くの谷川へ蛍見に行きました。光る刻が来ると一斉に光ります。蛍もこの時期を逃してはならじと相手を見つけるのに必死なのでしょうね。

先達のゐて一斉に鳴く蛙 八重子

蟇の声湖面震はせゐたりけり 加代

蛙というのは、一匹が音頭をとるように鳴き出すと後は大合唱、面白い習性がありますね。私の家の傍の用水では夜通し鳴いて眠れないくらいです。山をも揺るがす勢いです。

谷口智行さん

中学生ほどの流れ子醤油煮す

蟹の子ら母の前掛け離れざる

 比喩の句を選びました。一句目、「中学生ほどの」大きさとは何センチくらいのものをいうのでしょうか。いずれにしても成長途中で命を絶たれたのです。中学生に喩えたことで、つい、中学生に関わる色々な事件のことなどまで思い浮かびます。余談ですが、流れ子、徳島ではトコブシと呼んで県南で沢山とれ、醤油煮の缶詰で売り出されています。似ていますが鮑の子ではありません。二句目、「母の前掛け」の暗喩が発見ですね。親離れしていない蟹の子、母親の腹に纏い付いている姿に注ぐ温かい眼差しを感じます。

檜尾とき魚さん

青嵐海豚追い込み漁にかな

 時事俳句ですね。特に、海豚の追い込みは紀伊半島の伝統漁だとか。水族館での海豚のショウはどうなるのかしらね。

    佐藤八重子さん

明易し貨車連結の鉄の爪

 早朝の貨車連結の作業を見ているのでしょう。ガツンと繋がれた音まで聞こえて来るようです。安易に「連結音」としないで「鉄の爪」に着目したのがいいですね。

反抗もこだわりも無き松の芯

 松の芯のどれも真っ直ぐ伸びた姿を「抵抗もこだわりも無き」と捉えたのですね。かくこそあれという作者の心を読み取ることの出来る句です

堀瞳子さん

ふくらみの毛むくじゃらなる袋角

 残念ながら私は袋角を見たことも触れたこともありません。この句から想像するばかりです。

連綿の一句したため白扇

 「連綿の」の次に省略されている言葉は何でしょう。これは「連綿体」、即ち、字を続けて書く書体で一句を書いたと解釈されますね。だが一方、連綿と恋の思いを書いて(歌でないからむつかしいかなあ)、その扇に花を載せて恋人に送る・・と想像したいなあ。

安藤加代さん

岩牡蠣の潮ふく波の間合かな

 観察眼から生まれた句ですね。俳句はこうあるべしと思います。岩場に打ち寄せる波、大きな岩牡蠣、波が引く合間に、タイミング良く潮をふく牡蠣、情景が如実に描かれていると思います。

坂東恭子さん

苔の花裏庭とんと用のなく

 苔の花に感動の句です。用がなければ見落としがちの裏庭、特に北側では見事な苔でしょう。

山池の堰切り奔る田植ゑ水

 田植えのために、山の溜め池の堰が開かれ、一気に水が駆け下る。大切な農業用水です。心躍る一瞬が描かれた勢いのある句ですね。

野中千秋さん

弥撒へ行くカサブランカを胸に抱き

 白百合は宗教画「受胎告知」に描かれ、純潔を表すと言われています。余談ですが、「受胎告知」の絵は、鳴門市の大塚国際美術館で陶板でみることが出来ます。カサブランカ(百合の改良種)は結婚式や葬儀の花束としても使われる豪華な花です。この句の場合は、純潔の真っ白なカサブランカを教会への供華として抱えているのでしょうね。

連携というやっかいなもの夏祭

 何事も地域で行う行事は連携がないと上手く運びません。でも、現代は価値観の多様化で地域の連携がなかなか難しい。実感の句です。

池端順子さん

浮舟の扇子や源氏ミュージアム

 今回は宇治での句ですね。「源氏物語」の「宇治十帖」の中の女性「浮舟」の絵が描かれている扇。浮舟がどんな女性であるかは「源氏物語の女性たち」(秋山虔)で知ることが出来ます。余談ですが、源氏物語現代語訳は谷崎、与謝野、田辺、瀬戸内らの作家のものがありますが、瀬戸内源氏が読み易くて好きです。

寺田屋へ連なる甍夏めけり

伏見の寺田屋と言えば坂本龍馬が襲撃された宿。龍馬が生きていればとつい思いますね。今「花燃ゆ」(NHK)で命を懸けて新しい時代に向かっていく人達を見ています。「夏めけり」に彼等の情熱を連想します。

中村敏之さん

薬剤師的能書めだか飼ふ

 めだかを飼うのに能書きなど必要ないと思うのですが、いざ飼い出すと色々手間がかかります。餌は何をどれ程与えるかなど、処方箋に従って丁寧に飼っているのでしょう。それを「薬剤師的能書き」というのが面白い発想ですね。

あの二人きっと新婚若楓

 こういう場面を目撃することありますね。幸せの絶頂ですもの、周囲のことなど何処吹く若葉風ですよね。

工藤泰子さん

刺蛾の紐連なり下がる夏木かな

 イラガは浅黄色で瑞々しい姿をしていますが・・思うだけでも痒くなります。これが繁殖すると葉を食い荒らします。イラガを吊して泰然としているように見える夏木も大変です。
             
 さて、今回は、MMKの住む徳島にも触れて感想を書きました。いよいよ夏本番になります。夏と言えば阿波踊りです。お元気で!!

                            
      

千秋の「MMKの俳句」鑑賞(6月)

             

四国の皆様、梅雨の状況はいかがですか。こちらは昨日(6/8)梅雨入りをしました。私は、肺炎球菌の予防接種をしました。なんでもなく済むのかと思いましたら、熱は出る、接種場所は赤く腫れる、喉が少し痛くなりました。もう免疫もなくなっているんですね。本当に年を取ると病気の話ばかりで申し訳ありません。明日の梅雨晴れ間を期待して、思ったことを書かせていただきます。

 三和様

 磨崖に足場の穴や時雨

 青時雨は、新日本大歳時記には載ってなく、山本健吉の歳時記に「青葉の頃、木々に降りたまった雨が、木の下を通りかかるとばさりと落ちることを言う。青葉時雨。」と出ていました。崖に彫られた磨崖仏の足元が、風雨にさらされて穴になっているところに青時雨が落ちている状況。夏の日差しがきらきら見えますね。

 掬いむ不老長寿の石

石清水の透明感が、不老長寿をもたらすようで好きな句です。

  黒き影操っており揚羽

 影を操るような大きい黒揚羽なのでしょう。句全体に動きを感じ、特に「操る」が、巧いと思いました。

 悠然とすりけていくサングラス

 街の中を歩いていると、サングラスをかけた男性が、巧みに通り抜けて行ったのでしょう。作者は、まあなんと見事に通り抜けていくことかと、感心したのでしょうか。「サングラス」にちょっぴり「悪」を感じさせるところが、面白いです。

 桜桃忌間欠泉のトカトントン

 擬態語をこんなに巧く使えるなんて本当に素晴らしいと思いました。太宰の破壊的な面まで見えるようです。間欠泉も太宰にぴったりと思いました。

 公美子様

 連敗をすヴォルティス梅雨晴れ間

 ヴォルティスは、徳島のサッカーチームなんですね。地方のチームはなかなか勝てません。梅雨晴れ間のスカッとした気持ちと、連敗を出した嬉しさ季語がぴったりと思います。

 白菊隊散りしだけ花火揚ぐ

 白菊隊は、徳島の特攻隊ですね。今憲法9条が話題になっていますが、戦争で人が亡くなることは辛いことです。その方たちに哀悼の意を込めて花火を揚げる。世界情勢の不安定な今だから忘れてはいけないことだと思います。

 夕の河に張りつくキビレ舟

 キビレは、魚なんですね。夕風が止まったそこに船が張り付いている、動き出すのを待って居るのでしょう。

 学生の慣れぬ装束葵懸け

 葵祭に参加している学生さんの様子を詠まれたのですね。少し恥じらいのある様子だったのでしょうか。伝統的な葵祭と、若者の取り合わせが上手いと思いました。

 鳳仙花喃語えしとまた電話

この俳句は、直ぐに情景が浮かびました。お孫さんの成長を伝えるお子様と明るく話されている作者。弾む会話に鳳仙花の花の動きだけでなく、実の動きさえ見えました。

 眉女様

  連敗を止める一振り雲の峰

 公美子様に続き、連敗がきました。こちらは剣の試合のようですが、雲の峰と、剣のひと振りの清々しさが見事に見えました。

 連日の夏日なんて何のその

 お元気なと、羨ましくなるような俳句で、力をいただきました。栃木の5月は、26日間晴でした。そして真夏日が続きました。これからも暑い日が続くと思います。この句の心意気で頑張ります。

 騙されることもか水中花

 水中花が騙される、違いますね。水中花の美しさに人が騙されるのでしょうか。しかもそれを一期一会と言っている。凄い発想ですね。

 果てしなき食物連鎖葉潮

 寄せては曳く波に食物連鎖を結びつけるこの感覚、すごいとしか言いようがありません。

 三竦みが保つ平和や半夏雨 
 本当は不安定なトライアングルですが、三竦みとなると危険な安定感になるのでしょう。半夏雨は、
梅雨も後半に入る頃で、大気が不安定になり、大雨が降る季節です。半夏雨とみごとに対峙しています。世界情勢を詠んでいるのでしょうか。

  竹皮をぎ弁は塩むすび

 おむすびと特に塩むすび、竹皮とぴったりだと思いました。そこで竹皮を脱ぐの季語、巧いですね。
          

東福寺・重森三玲の庭園

東福寺の重森三玲の庭園150605_1414~01150605_1411~01150605_1357~01150605_1420~01150605_1421~01150605_1346~01を見にいきました。枯山水と方丈庭園が有名です。

H27年6月「連」の俳句あれこれ

                
 

  檜尾とき魚

  なめくじと連立方程式苦手

  なつかしや蠅取紙と愚連隊

   野中千秋

   山を縫ふバスは新緑連ね来る

   連携といふやつかいなもの夏祭

   谷口智行

   薫風の那智連山にゆきわたる

   嘘ついて夏野の端に連れ出せる

  佐藤八重子

  夏潮や車吸込む連絡船

  明易し貨車連結の鉄の爪

      岩城眉女

      連敗を止める一振り雲の峰

      連日の真夏日なんて何のその

     坂東恭子

     六月来連日凄きこの暑さ

     緑陰に集ふ常連あけつぴろ

  松村公美子

  連敗を脱すヴォルティス梅雨晴れ間

  海霧や連絡橋の徐行指示

  池端順子

  田植ゑにも連携作業老夫婦

  寺田屋へ連なる甍夏めけり

      新居三和

      お花畑スイッチバックの連結車

      島人の思い連綿慰霊の日

  堀瞳子

  連理草食用と聞き畏まる

  連綿の一句したため白扇

    工藤泰子

    連ドラのヒロイン元気麦嵐

    万緑やベビーバギーの連絡帳

      安藤加代

      五月雨や連絡船の遠汽笛

      竹皮を脱ぐ俳句歴史の連綿と

中村敏之

連なりは不規則なものしゃぼん玉

連載をまとめ読みして梅雨に入る


                  


          

檜尾とき魚の句(H27年6月)

ヘリコプタ降りる茅花野

ほたる百呼吸(いき)をあはせて光りけり

雀らもをひそめる暑さかな

暮れ六つや老鶯いまだ鳴きやまず

嵐海豚追いみ漁にかな


谷口智行の句(H27年6月)

蛇泳ぐ水から上が首だよと

生ほどの流れ子油煮す

ひとすぢのうしほ岬にいたる

塩漬のイクラ天魚の餌としたる

蟹の子ら母の前掛け離れざる


佐藤八重子の句(H27年6月)

反抗もこだはりも無き松の芯

田水張る一村一谷水浸し

先達のゐて一に鳴く蛙

に洗ひ場のあり

薄綿に包まれをりぬ空豆よ


松村公美子の句(H27年6月)

白菊隊散りしだけ花火揚ぐ

白玉のもっちりつるん喉通る

の河に張りつくキビレ舟

生の慣れぬ装束葵懸け

鳳仙花喃語えしとまた電話


安藤加代の句(H27年6月)

蟇の湖面震はせゐたりけり

寺までの(きざはし)著莪の花あかり

岩牡蠣の潮ふく波の間合かな

石塀の長き生家や栗の花

夏蝶の己が影もちもつれをり


堀瞳子の句(H27年6月)

立藤草雨のさうな風のきて

ふくらみの毛むくじゃらなる袋角

きりきりと音立て夜の牡丹かな

よき片鱗ありて竹皮ぎにけり

ゆつくりと筆を使ふ若葉風


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dekunokai

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