お知らせ

「雲の峰」2018.5通巻323号

   「雲の峰」2018.5通巻323号

先師の一句90

花通(はなあけ)()蔵王(ざおう)こけしの()がやさし 皆川盤水 S43年作

蔵王の青根温泉所見。ここは名人といわれた佐藤菊治の工房があった。菊治のこけしは赤い色の線の美しいのが特色と聞いた。(自註現代俳句シリーズ「皆川盤水集」より)

主宰作品「煙出し」   朝妻 力

古希過ぎて漕ぐふらここや頬に風

つばくらや鴟尾構へたる煙出し

水脈深く砂利船戻る遅日かな

春深し城の虎口に石仏

花越しに琵琶湖を愛づる天守跡

副主宰作品「天与の資質」 浅川 正

雨溜めて明日は葉となる木の芽かな

かもめ千連れていかなご船走る

常葉集

雛の間に三張りの琴や玉骨碑  渡辺政子

暮れ残る島の匿路に黄水仙   小澤 巌

水筒の蓋に磁石や山笑ふ     酒井多加子

夫々に美しき名を得て白の梅  高野清風

照り降りの雨にほぐるる桜の芽 中川晴美

暮れかぬる辻に伊勢指す道標  吉村征子

照葉集 力選 

やまんばの森に小さき春灯   島津康弘

春雨やたたらの里の一里塚   杉浦正夫

ピノキオの門に入りゆく入園児   大庭みつゑ

人寄れば竜が水吐く麻耶詣   川野喜代子

常葉・照葉集選後所感  朝妻力

やまんばの森に小さき春灯  島津康弘

山姥伝説があったり、菌糸(山姥の休め木)の目立つ場所で、土地の人たちが「やまんばの森」と呼んでいる森でありましょう。通りかかって灯に気づいた作者、ここにも人が住んでいるのだ・・・と。そんな軽い驚きが窺えます。

鳥雲に入りて烏城の鬼瓦   長谷川通子

岡山城は壁が黒漆塗の下見板張りであることから烏城と呼ばれています。鬼瓦には多分五七の桐の紋があるのでしょう。豊臣家の家紋で、宇喜多秀家から拝領してと伝わります。歳々年々人同じからずと言われますが、その跡はしっかり残る・・季語が印象的です。

青葉集選後所感  朝妻力

松風や床にふくらむ白椿  大場フサ子

松風(しょうふう)は釜の湯の滾る音。茶を点てるのに最も適した音と言われます。・・点茶の一景を大胆に省略して描ききりました。

四拍子の音も春めく宇佐の宮  櫻井眞佐子

大分市宇佐市の宇佐神社。全国四万四千の八幡宮の総本社で・・弓削道鏡のご神託事件でしられます。この神社の一つの特徴が柏手を四つ打つこと。・・宇佐神宮・出雲大社・弥彦神社では、四拍手、伊勢神宮では八拍手・・・しきたりにとまどいながらも春めく旅を楽しむ作者。

若葉集選後所感  浅川正

春めくやクレーン伸ばす音さへも   児島昌子

春もたけなわとなる手前では、五感に触れるものがなにもかも春らしく思えます。決して心地よいとは言えないクレーンの音さえも春めいて聞こえるのは、作者の心のありようでしょう。
しぶとくてやさしきものに母子草   佐々木慶子 

母子草は何処にでも見られる生命力に富む草で、その花は地味ですが、その名共々、いかにも優しく感じられます。

             


 

「星雲」43号・創刊十周年記念特集

      

鳥井保和主宰星雲43号」・「創刊10周年特集」を紹介します。

月上げて春爛漫の紀の山河 鳥井保和 第4句集「星戀」より

 「さすがに京都や奈良には及ばないが・・」と前置きすれば、おおよそどこの都道府県でも名勝の一つや二つは並べられるものだ。故郷の美しさを誰かに話したいその気持、人なら誰でも。背中に紀伊山地、眼前に紀伊水道や枯木灘、そして頭上に月、地上に桜。役者が揃い過ぎな感もあるがそれも良いだろう、暦の上だけでない春がもうそこまで来ているのだから。花尻万博

「星雲」創刊十周年おめでとうございます。和歌山マリーナシティホテル「わかのうら」で盛大に開かれた祝賀会の様子が、カラーページで紹介されています。

祝賀会来賓「若竹」主宰・加古 宗也氏、「蒼海」主宰・堀本裕樹氏、「運河」主宰・茨木和生氏、文芸評論家・坂口昌弘氏、「かびれ」主宰・大竹多可志氏、「俳壇」編集長・安田まどか氏、乾杯「銀化」主宰・中原道夫氏、司会・山名安紀子さん

祝賀を盛り上げる「マグロ解体ショー」彩りをそえる「二胡アンサンブル」などが写真で紹介されています。会場風景やテーブルごとの写真もあり、大盛況の様子が伝わります。

天狼集

祝「星雲」創刊十周年二句

星雲の綺羅星冴ゆる志  鳥井保和

光陰の十年(ととせ)矢のごと日脚伸ぶ  〃

鳶舞うて浦曲に春の雲一朶  〃

極星集

さへづりや露座大仏の大き耳    小林邦子

寒垢離や湯気立ち上る青頭    澤禎宣

離陸機を遠に糸引く鳶凧     園部知宏

二月(ふじ)二十三日(さんのひ)殊に際立つ雪の富士  竹内正與

法螺太鼓赤子も泣かせ鬼やらひ   土江祥元

海光を弾く万蕾梅早し       成瀬千代子

現世の阿弥陀となりし日向ぼこ    前田長徳

天星燦燦    鳥井保和選 

お山焼風に煽られ風を追ふ 加藤行惠

苔むして古木の梅の霞むごと  吉田捷子

日向ぼこ正面にして富士仰ぐ  服部久美

月蝕の暈凍星の煌煌と  中川めぐ美

合格を告ぐ少年の淡き髭   天倉 都

母の背に似たる端山や夕朧   奥井志津

抓まれて為すがままなる枯蟷螂  田島和子

一山の鐘の尖るる北風かな    新井たか志

うれしくてたまらぬやうに地虫出づ  本田たけし

残雪の富士煌煌と高嶺晴   小林永以子

凛として百畳の間の梅一枝  中嶋利夫   

蓬餅緑の中のみどりなる    岡本 敬

球体に見ゆる月蝕寒満月   小川望光子

春塵や魯迅旧居の椅子机   木下恵三

誓子の句碑巡り43 伊予三島市・大段山ワシントン桜の園

この櫻見よと高嶺に花咲かす  誓子

 誓子の句碑巡り44 伊予三島市・井上力邸前庭

峡隔て高嶺と櫻咲く高嶺  誓子

 特別作品 

「鎮守の杜」  竹内正與

まさをなる空を透かせて滝紅葉

竜天に合格の報届きたる

水平線春満月を浮べたる

「女山伏」  森本潤子 

方丈を出でてしぐるる枯山水

雪霏々と女山伏印結ぶ

口元に菩薩の笑みや古雛

 星座探訪4号より 小林貴子氏の星雲の俳句探訪

プロフイール俳人協会会員「岳」編集長第58回現代俳句協会賞受賞

 季節の作品  「源五郎」より  

蓼科の雲稚かり源五郎   小林貴子

全身をみづかきとして萍は  〃

この世から三尺浮ける牡丹かな  〃

(天星集)冬の雨なでてつまんで骨別れ   小川望光子

(昴星集)灯明の絶えず弘法年の市     池田邦子

(星雲集)父母の家懐かしき隙間風     前田汐音

体の俳句43「爪のこと」  小川望光子(医療センター医師)

少年に桃色の爪螢の夜    山崎裕子

桜貝爪をよごして拾ひけり  藤田直子

・・爪は健康のバロメーター。爪の根元にある乳白色の部分は爪半月と言うそうで、大きな爪半月は健康の印。・ピンク色の爪で真っ黒な爪垢をつけていたあの頃に戻りたいのです。

昴星燦燦   選後評  鳥井保和

草萌や転がるやうに稚児歩む  森本潤子

木の芽、草の芽(ものの芽)が萌える公園に親子連れが遊んでいる。春の陽光のなか、よちよちと危うく歩く幼児の姿は、まるで転がるように、前のめりになって母親に向かってくる。・・春を待ちわびる喜びが感じられる。

若水を汲む満天の星の下   内山恭子

獣医より猫への賀状届きけり 古谷とく   

 星雲集鑑賞  加藤行惠

村中がまさに日色や富有柿    南壽子

縁側に庭師もてなす零余子飯   前田汐音

紅をさす巫女の華やぐ初神楽   竹本治男  他

     

 

「運河」5月号

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「運河」5月号を紹介します。今月から、主宰・発行人 茨木和生 / 副主宰・編集長 谷口智行 になりました。

 
師系の一句328


鯉幟折目のつきしまま靡く   誓子

「熊の爪痕」  茨木和生   35句より

大木の幹の乾きも冬ざるる

人通りをらざる落葉道歩く

猪の檻仕掛く市長の許可を得て

根雪とはならず二度目の雪解くる

アトリエに行く雪道を掻きをらず

橡の樹の熊の爪痕なまなまし

天窓のあるアトリエの雪の屋根

白息が見ゆる樹間の日差にも

病室に妻を残して初詣

青々百句書けと言はるる青々忌

「青嵐」  谷口智行  10句より

ほいこれと寒の俵子放りくるる

無音とは枡に白魚量ること

白魚売枡なまなかに目で量る

 天好園「句集祭」

土地の名は古史の来歴桃の花

春北風に馬酔木三椏散りをらず

先生も二度目の春の嵐とか

         


5月・皐月・さなえづき・May

五月皐月さなえづきMay

立夏、五月、初夏、卯月、卯浪、牡丹、更衣(ころもがえ)、袷、鴨川踊、 余花、葉桜、菖蒲葺く、端午、菖蒲、草合、武者人形、幟、吹流し、鯉幟、矢車、 粽、柏餅、菖蒲湯、 薬の日、薬玉、新茶、古茶、風呂、上族、繭、糸取、蚕蛾、袋角、松蝉、夏めく、薄暑、セル、母の日、 夏場所、夏炉、芭蕉巻葉、苗売、苗物、苗植う、茄子植う、根切虫、練供養、葵祭、祭、筑摩祭、安居、夏花、夏書き、西祭、若楓、新樹、新緑、若葉、柿若葉、椎若葉、樟若葉、常磐木落葉、松落葉、杉落葉、 夏蕨、筍、篠の子、筍飯、蕗、藜(あかぎ)、蚕豆(そらまめ)、豌豆(えんどう)、豆飯、浜豌豆、芍薬、都草、踊子草、駒繋、かくれ蓑、文字摺草、羊蹄の花(ぎしぎしのはな)、擬宝珠、げんのしょうこ、車前草の花(おおばこのはな)、罌粟の花(けしのはな)、雛罌粟(ひなげし)、罌粟坊主、罌粟掻、鉄線花、忍冬の花、韮の花、野蒜の花(のびるのはな)、棕櫚のはな(しゅろのはな)、桐の花、朴の花、泰山木の花、大山蓮華、手毬花、アカシアの花、金雀枝(えにしだ)、薔薇、茨の花、卯の花、卯の花腐し、袋掛、 海酸漿、蝦蛄、穴子、鱚、鯖、飛魚、烏賊、山女、綿蒔、菜種刈、麦、黒穂、麦笛、麦の秋、麦刈、麦扱、麦打、麦藁、麦藁籠、麦飯、穀象
      

五月来ぬ心ひらけし五月来ぬ 星野立子

五月来る翼のやうな袖欲しや 岡本眸

五月来る頭に乗せしベレー帽 桂信子

五月果つ手持無沙汰の波殺し 佐藤鬼房

五月波寄せ来て砂の浜揺れる 山口誓子

五月の浦々潮満ちにけん日へ呱々(ここ)と 中村草田男

五月の海へ手垂れ足垂れ誕生日  西東三鬼

水匂ふ五月の川の暮れて来し  茨木和生

草舐めて牛も五月を喜べり     〃


      

今月のお題は「五」です。
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7日にお題2句と雑詠5句を公開します。
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「山彦」河村正浩主宰・5月号/2018  

河村正浩主宰「山彦」を紹介します。隔月発行です。

発行所;山口県下松市花岡大黒町526-3

山麓集木霊集(同人作品Ⅰ)谺集(同人作品Ⅱ)山彦集(雑詠)花野集(セラピー)芽ばえ集(小学校)・作品鑑賞やエッセイ、エコー(多誌掲載より)など・・DSC_3512
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山麓集 「春の星」 河村正浩

月蝕の底ひのらりと大海鼠

春が来た亀は鳴かざり外来種

バレンタイン溶けてしまつたチョコレート

 二月二十日 金子兜太師 逝去二句

梅咲いて鮫まぼろしとなりて逝く

鞭声の粛にしたたる春の星

蛇穴を出づや凡夫に声かけて

穴を出で蟇夕闇を吐き出せり

師はひとり吾もひとりや井月忌

芽吹きたる山を綺羅なす水の音

霾や埴輪の眼窩北向きに

    



鳳」24号(2018年春)

 「鳳」24号 浅井陽子主宰を紹介します。

 師の句に学ぶ(4)

吉野よりここの一樹の山桜 和生 (平成26年作「真鳥」所収)

句の前に「右城暮石先生の山墓の道」の詞書がつく。暮石先生は平成五年に高知県の山中、本山町字古田暮石に帰郷され、地域の人々に俳句を教え、生れ育った大自然の中で、余生を過ごされた。そのご帰郷を記念し、本山町が、「右城暮石顕彰全国俳句大会」が毎年春に開催したが、二十五回目の今年が最終回となった。・・・「運河」の連中は大会に参加の折には、お墓にお参りすることが恒例となっている。林の中の墓地まで、暮石先生の生家や、姪御さんご夫婦と暮されたお宅、また散歩された道をゆっくりと歩く。いよいよ墓道となるところに、この立派な山桜がある。老木で武骨な姿は、土佐のいごっそうのようである。満開の時も散ってしまった時も、棚田を見下ろ道端に立ち、暮石先生に迎えていただいているような気がする。しかし、昨年二十九年に、お墓を里に移され、墓前まで車で行けるようになった。・・・・「右城暮石顕彰全国俳句大会」も無くなり、これまでのように毎年この山桜に合うこともないだろう。・・桜と言えば吉野山が有名で、文学に多くの詩歌が詠まれたが、暮石先生が愛でられたこの山中の一樹は、他とは違う思いで仰いでこられた。姿や形ではなく、特別な一樹なのである。実父のように慕い、尊敬されている暮石先生への気持ちがこの句になったのである。 浅井陽子

桐集(四) 浅井陽子

漣に朝日乗りくる薄氷

帆柱の上離れずに鳥の恋

岩棚に火を焚きしあと鳥雲に

かげろふの中より鳥の湧きにけり

鬣に草に潮風牧開き

 招待席

「千鳥追ふ」 平田冬か

俳誌「かつらぎ」副主宰・「晨」同人・俳人協会評議員俳人協会三重県支部長・近鉄文化サロン講師・よみうり文化センター講師

斎王の禊の磯に千鳥舞ふ

斎王の領巾振りし浜千鳥啼く

千鳥聞く業平松のかたはらに

特別作品

「誰かゐて」  高森ひき

初明り踊場のなき神の磴

枯木星風が炎をゆり起し

まつすぐに降る雪の奥誰かゐて

寒の椎茸が出ている榾を叩きながら山へと入る・・・。やがて谷にでる。幅1m長20mの摧壁がある谷はちょろちょろと水が流れ冷たく、水辺の石は鳥のお気に入りの石らしい。猪のぬた場でもあるので、小流れを誘いアカガエルの産卵場所を整える為に二十年近く通っている。例年二月二十日過ぎには産卵がはじまる。薮椿がぼちぼち咲く頃である。・・・寒天状のドーム型の卵は実にきらきらと輝き、水渋がかかっていてもその輝きは変わらない。アカガエルは産卵を終えて再び林へ帰り五月頃見ることができる。・・

「背骨の音」野中千秋

振り向きて背骨の音や春浅し

老い知るは傷みに似たり寒すみれ

身の奥に日のゆるゆると冬の旅

毎日同じ道を通勤していた時、春の訪れは空の変化から始まると思ったものでした。綿をちぎったような淡々とした、少し赤味がかった空でした。そんな空を見ていると、もうすぐ春が来る。桜の季節が来るなと思ったものです。・・「止まり木に隠れごころや西行忌  石田波郷」
鸞抄   陽子選

行き先は海春光のあふれだす 堀瞳子

勝ち独楽の傷をしづかに拭ひをり 野中千秋

大旦ずつしりと置く松の影    鹿島暁美

寒晴や波音つなぐ舫ひ船   安藤加代

寒晴の赤松林久女の忌   高森ひき

日記買ひ明日が見えて来るやうな  中畑隆男

いつの世を見し古手屋の立雛   福井 緑

桃色の肉球舐めて恋の猫   田和三生子

集落に昼餉の煙雪催    藤田駒代

山越ゆる風の荒さよ青き踏む  森山久代

送別の懐紙にのする梅の花  森脇八重

蘆の角気勢は赤き色に出づ  吉田喬

手のひらに開く薄紙豆雛   草地明子

巻く力失せてしまへり春キャベツ  井上宏子

万両の照り飛石へおよびけり   三垣 博

かがやきも瞬きもこの春北斗   工藤泰子

最強の寒波来るらし独り身に   前尾五月夫

日脚伸ぶ延長戦の草野球    野口城

老幹に苔を宿して梅の花    廣岡ともゑ

ごまめ噛む父に似たる歯よろこびて  武田和子

火を弾く音高まりて野火迫る   山近由美子

潜伏の河畔に雉子のほろろかな  森 敦子

たわいなき長き電話よ水温む   竹本まり子

校門の朝のあいさつ梅ふふむ   光永忠夫

俳句探勝4  堀瞳子

十二月賢者のことば人目惹く   岩城久治

水澄んでカザルスの弾く鳥の歌  中岡毅雄

初夢や行方不明の夢に遇ふ    山元志津香

ほつぺんの行方不明となりて後  ふけとしこ

重さなき色となりけり烏瓜    名村早智子

 掲句は、秋の終りに色が抜けおちてぶらさがっている烏瓜をみつけ「重さなき色」と表現した。実景に心象を加えることで句に厚みをもたらしている。

火鑽火を起こしてをればほととぎす  森井美知代

  (きり)()神事・・夏越の祓など大きな神事のある頃である。古代にタイムスリップしたような錯覚を覚え・・・

浮瀬亭跡の碑林の蝉時雨   髙松早基子

 (うかた)瀬亭(せてい)は摂津名所図鑑に載っている料亭・・大阪星光学園の敷地内い跡地が残っていて、「浮瀬」の石碑が立つ。跡地は「浮瀬俳跡蕉蕪園」として芭蕉句碑や蕪村句碑が立てられ・・この句の見どころは「碑林」としてこれらの句碑を称えた事であろう。・・孔子廟が有名・・林立する石碑をいう・・。蝉時雨が時空を超えて浮瀬へと誘う。

エッセイ 「シンシア」    貞許泰治

猫のシンシアとの出会いと別れが書かれた極上エッセイ・・

森山久代句集「大祓」鑑賞  浅井陽子

俳句は人生

留まればたちまち流れ水馬  久代

・・「たちまち」が作者の眼であり、水馬への慈しみが滲み出ている。写生句は細かく言い過ぎると、説明になってしまい、昇華することができないが、久代さんは既に骨法を会得されているのが見える。

白を濃き色と思へる破魔矢かな 久代

白牡丹天与の白と思ひけり    〃

「大祓」鑑賞  吉田 喬

母あればこその生家や松の内   久代

祭鮨なべて質素な母なれど    〃

俳句の句柄が色々ある中で、私は生活体験や心情の思いのこもった句が好きである。

「大祓」鑑賞  工藤泰子

春兆す六甲からも海からも  久代

漉舟は重し泥和紙なればなほ  〃

名塩の手すき和紙は泥を混ぜる製法である・・重さは、伝統の重さでも・・

鳳抄     浅井陽子選 一部

硯海に落とす一滴春の音    太田如月

書き損じの葉書が二枚寒の入    高下眞知子

山の端に光移れる枯野かな    マサト    

畔に沿ふ川面耀ひ春兆す     山下卓郎

ぽつねんと鯔待ち櫓冬の海    峰澤みどり

はだれ雪記憶さまよふ人とゐる    久戸瀬孝子

春一番拍手するかにタオル干す   笠原惠瑛

茎立や少年父の味方せる   村上裕泉

牡蠣筏ぬうてかもめの群れて飛ぶ  笠原窓月
 
   

「現代俳句精鋭選集17」より小松美保子の句   

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現代俳句精鋭選集17   東京四季出版

本書は現在ご活躍の優れた俳人のアンソロジーです。作品の仮名遣いは、各作家の意向に従いましたので、新仮名・旧仮名の両方があります。また作品の末尾に各作家の小論を設けました。

現代俳句精鋭選集17の中から小松美保子さんを紹介します。

小松美保子 岡山生れ。所属結社「運河」。昭和53年「馬酔木」「風雪」参加後同人。平成3年俳人協会会員。4年「運河」入会、現同人。句集「去年今年」「青山河」、「平成俳人大全書」近畿篇。大阪俳人クラブ会員。

その日と花と生きものと  小松美保子

一月;粥占の火勢か吉備津社の風か

 寄席を出て泊る赤坂梅早し

二月;闇の句の一幅を掛け春に入る

 白魚捕るみな半畳の薦囲ひ

三月;三月の八日忠犬ハチの忌よ

  放射線浴ぶ猫のこと花のこと

四月;義援金箱鳴りづめ花の造幣局

    昭和の日唱歌いづれも美文にて

五月;忍冬崖に排水ポンプ鳴り

    絵の如く造花の如く花器のばら

六月;老鶯やどこよりも里よからうと

    夏至の月蒸るる臨海工場地

七月;山風のあとさき栗の花にほふ

    大風の余波の白花さるすべり

八月;開戦に生れしこの世敗戦日

    秋風や足型に立つ乗車位置

九月;年寄るとゆつくり多忙秋彼岸

    空の日のさやけき齢一つ殖ゆ

十月;野路菊や開きて小さき画家の椅子

    ログハウス小げらが叩きどほしなる

十一月;犬走り雨夜は鹿の通るらし

    翁忌の石ころもなき御堂筋

十二月;枯菊の焔は千切れちぎれ燃ゆ

    着古して紬柔らか寒葵

 文章;創造について ー 小松美保子

H氏賞選考委員の一人の詩人に話を聞いたことがある。・・・詩とは何なのかという私の問いに、その方は象徴ですと答え、その象徴を表現するのが詩であると答えられた。・・・初めに書いた詩人は九十二歳まで七十余年、詩を書き続けていた従姉で、敬語なしに気楽にいろいろと教示してくれるのがありがたかった。常々、俳句も一行詩として創作ではなく、創造をと諭されていた。

かつての農の暮し、稲作の過程を知らずに、代田、早苗田、青田、田水沸くと詠む俳句の基本の揺らぎを、浅学の私でさえ今は感じている。・・・不変の価値をリアルに詠むことで、その時代を映す真実の作品になると思っている。演出は創作であろう。

むかし、トマトは酸っぱく、葱は強い香りがあり、牛蒡も椎茸も今ほど垢抜けはしていなかった。衣類も天然繊維で、皮膚かぶれなどもしない、安心の着心地だったことを思い出す。それらを知悉する者の一人として、絶滅に近づいている野の花や花、次々と減ってゆく小動物たち、個性的な人々を織り交ぜ、平成の世のこんにちはどんな世だったのかを記録として、この度の百二句とした。

その他の作品を一部・・ 

風船やわが頭蓋のいと薄く    有松洋子

北窓開く今朝はハードボイルド    井東 泉

年賀状の癖字や彼奴は変はらんわ  大野素郎

さくらさくらきつと貴方が先に逝く 木村珠江

天の川祓い切れざる邪気あまた   倉知紫野

セロリ食ふしやりしやりと俳句論  倉橋 廣

階段の下りが怖き十二月    瀬戸山水恵

水仙と同じ高さの心電図    日野百草

裸木となるそれがいいそれがいい   松永典子

農継がぬ子のシャツ着たる案山子かな  宮下艶子

「雲の峰」2018・4 通巻322号

    

月刊俳誌「雲の峰」朝妻力主宰 2018.4 通巻322号を紹介します

先師の一句89

藤の花連珠をなせり白河関 皆川盤水  43年作

春耕俳句会で東北に吟行旅行をした。白河の関は老樹の藤の花が満開で、おもおもしく道に垂れ咲いていた。深閑とした古関にところをえていた。(自註現代俳句シリーズ「皆川盤水集」より)

主宰作品「そだねえジャパン」   朝妻 力

金縷梅や峠に縷々と融雪剤

雑木いま芽吹きの色をちりばめぬ

春の炉や嬶座の壁に通ひ帳

春宵やそだねジャパン五度も見て

靴履いて脱いで六歳春の風

副主宰作品「水輪」 浅川 正

春寒し四角四面に墓並みて

沖島の路地を抜け来て風光る

ゆるゆると過去を紡ぎて亀鳴けり

常葉集

料峭や口碑を縷々と御朝拝  吉村征子

待春やゆるりと廻す摩尼車  渡辺政子

ここよりは鉄師の所領梅探る  小澤 巌

丘陵の風にこぎ合ふ半仙戯  酒井多加子

冴返る木喰仏(もくじきぶつ)  高野清風

水神に春なほ浅き丹生(にう)  中川晴美

照葉集 力選 (照葉集同人作品五〇音順送り)

鞦韆を漕ぐや千古の風まとひ  小林伊久子

倒木をこえてくぐれば春の山  島津康弘

平成の名残の赤き寒の月   杉浦正夫

犬ふぐり山路にひそと比翼塚  杉江茂義

金継ぎの茶碗に掬ふ春の水  祐森省造 

常葉・照葉集選後所感  朝妻力

料峭や口碑を縷々と御朝拝  吉村征子

料峭や裃凛と筋目衆     中川晴美

警蹕や三方に鍵冴返る    冨安トシ子

遺品なる武具に二月の風を入る 渡辺政子

春愁や討たれし皇子の武具褪せず 井村啓子

 御朝拝と言えば皇居における新年祝賀の儀が思われますが、ここにあげた5句は奈良川上村の金剛寺を中心におこなわれる神事。・・後南朝の裔である自天王は北朝と南朝から交互に天皇という約束を反故にされたうえ、赤松一党によって殺害され、神壐を奪われます。これを知った川上村の郷士が赤松一党を襲い、自天王の首と神壐を取りかえしたという事件・(1457年)。その後、霊をなぐさめる神事、御朝拝が続けられているとのこと。

青葉集 力選 冒頭8席力推薦、後、50音行順送り

寒月食あきら先輩偲びつつ(大峯あきら氏逝く) 河原まき

大の字に沿うて余寒の火切り道   浅川加代子

枯蘆と一艘の舟墨絵めく      武田風雲 

若葉集  正選

どことなく面立て違ふ目刺かな   村田かすが

放物線を描き描きて枝垂梅    松浦陽子

春草の土手がそのまま滑り台    草野直彦 

佐保光俊 句集「残雪」

   

佐保光俊 第二句集「残雪」を紹介します。

プロフイール;昭和34年、広島市生まれ。

「雉」「運河」「晨」同人。第1句集「銀漢」、「薮山・里山・中国地方の山歩きの日記と俳句1~7」

帯文;残雪や生木を切つて杖にして

縦走を終え、すっかり春らしくなった集落の外れで、残雪の山を見上げながら酌む酒は格別である。縦走の疲れと山の話に酔いは回り、夜は更けてゆく。(あとがきより)

自選10句;

鳥声を聞き分けてゐる弥生かな

大松のゆつくり揺れて春の山

よき声の鳥の来てゐる朝曇

花合歓の下より山へ道のあり

夏の雲形くづさず通りけり

青嵐鴉はげしく闘へる

白萩に近づいて来る人の声

けふよりの十一月の文机

うねりあるところは青く冬の海

一本の道の通へる冬菜畑

共鳴句;堀瞳子

大根干し峠に近き一軒家

切株の上も掃かれて冬館

田に出でて十人ほどのとんどかな

雪道を踏んで霊水汲みにけり

すいつちよに開け放ちたる山家かな

素直なる心で梨を剥きにけり

大木に大木の影あたたかし

白雲も黒雲も行く薬の日

川面へと下る蛍のありにけり

花樗夜明け前より雨となり

日おもてを花埋めつくし山法師

共鳴句;工藤泰子

残雪にくつきりとあるの影

残雪の小学校の学習林

残雪や人の出て来て薪を割る

残雪のほのかに白し鵺(ぬえ)は鳴き

雪残る大山に日のあたりけり

その山の上に生れて夏の雲

ほととぎす鳴いて大曲りの峠

龍淵に潜みてよりの星の数

間道の尼子道へと朴の散る

雪の上に火を熾しをり薬喰

青柿やすぐ坂となる島の道

木枯の分水嶺を歩きけり

山桜鉄穴流しの跡深し

雪よりもゆつくり山毛欅の花は散る

椋の群原爆ドームに降りにけり

 

吉備野 平成30年3月号(通巻286号)

吉備野 平成30年3月号(通巻286号)

 俳句誌「吉備野」赤木ふみを主宰を紹介します。

隔月発刊 創刊は昭和459月  発行所 岡山市北区東花尻

   師系 吉田冬葉ー高原一馬ー太田蘆青  

大須賀乙字の俳論を基本とし、生きている今の実感、季節感を大切に有季定型を守り楽しく集える会、地方発信を目指す。

 先師の一句

 地虫出づいのちあるものみな動く  高原一馬

 桜散り宵明星がかくれけり(芒角星師逝く)太田蘆青

主宰の句「四温晴」 赤木ふみを

男千木寒九の雨を弾きけり 

一願の香煙まぎる冬の霧   

縁切のとがる撫で石四温晴 

「寒」  大森哲也

三寒に続く四温やまた五寒

寒鴉塔に夕日の残りけり

「巻頭五句」 浮田雁人

鹿撃ちの腰に巻かれし皮衣

門前の猫のこまねく初大師

 「桃源郷」より

水取の導師も浴びる火の粉かな  佐藤宗生

春節を留学生と祝ひけり    曽根薫風

月蝕の一部始終を初三十日   難波政子

観音の御目を遠に寒日和    横田多禾

子ら去んで地に縄の輪や春隣   武田佐自子

実南天かげれば色の逃げにけり  土井視砂子

御影塔かこむぬた場や実南天   正垣セツ子

「黄薔の栞」より

霙るるや庭木の始動天の声  井上和子

天保の塔に潮の香春隣  左居正恵

雪道や綱渡りめく都会人  山本一穂

辞世句の彫の深さや寒締まる  竹本孝

 「桃源郷」の秀句展望  土井視砂子選

着ぶくれし手にゆさぶらる神の鈴   脇本妙

  「神の鈴」は、拝殿の中央に吊られた大きな鈴のこと。今冬は寒さ厳しく参拝者はみな着ぶくれた格好だ。鈴の下に垂れ下がる紐を人々が揺すって鳴らす。願い事を念じながら次々と続く人達。初詣での光景が目前に浮かんでくる。

「黄薇の栞」の秀句展望 大森哲也選 

随神の塗り替へらるや春隣  寺元翠

塗り替えられた左・右大臣の色彩が鮮やかに目に浮かびます。随神の表情や装束も蘇り、作者は驚きを感じました。平素の観察が行き届いた句で、「春隣」との取り合わせも絶妙です。

岡山歳時記(154)  寺元翠

 牛窓神社

この神社は岡山県の南東部、「日本のエーゲ海」と言われる牛窓町にあります。御祭神は神功皇后、応神天皇、他数柱の神々です。正面参道の石段は364段。多いと思われるかもしれませんが、ここの石段は段差が低く、5段ごとに踊り場があって、参拝者にとても優しいのです。参道なかばの展望台では紅の山茶花に囲まれ、瀬戸内海国立公園の島々を眺め、小豆島や淡路島を見ながら休憩ができました。・・手水舎は牛窓町伝説の牛鬼が水を吐き出しており、「正義の味方、牛鬼くんの力水」と掛かれています。・・・境内のテント内から手招きする神職がいたので入ると・・甘酒を汲んでくれ乾杯し、握手を交わしました・・・この人はNHKで全国放映された名物宮司さんだったのです。・・・

 センサーで灯る随神里しぐれ    みどり
  

 

瀧川義朗句集「大久野島」「続・大久野島」

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瀧川義朗さんの第一句集「大久野島」(
平成24年発行)と第二句集「続・大久野島」(平成29年発行)を合わせて紹介します。

第一句集「大久野島」角川書店

帯文;社会的人生に一区切りをつけ、俳句を志すとき、今まで気づかなかった自然の相が見えてくる。日常にあっても、生地や旅次にあっても。ただし、それらを確くととらえるには、好奇心の持続と純真な眼くばりとともに、俳句表現の鍛えが求められる。滝川さんは、不断にそれらに励んでこられた。この一集は、その努力の如実な成果である。友岡 子郷

自選十二句

食堂(じきだう)に百椀の湯気薺粥

若布刈り旧暦を読み出掛けたり

耕耘機紅葉マークを付けゐたり

入学の兄のランドセル背負ふ

悪女とは遠き存在鍋乙女

岩つばめ巣は毒ガスの島の壕

海開き神事半ばに泳ぎ出す

不都合なことは忘れて生身魂

望の潮朱の回廊に満ち来たる

海水で洗ひ蝗を炒りにけり

衆目を集む銀座の帰り花

聖夜劇イエス役なる肥満の児

共鳴句

金泥を写経に使ふ試筆かな

干草の山ちさくなり雪解風

宿題で作りし巣箱掛けに行く

子の名前付けたる桐の花咲けり

蛇除けの支度をすませ藺田に入る

セミナリヨ跡に鳴き合ふ行々子

空深きところより滝始まれり

敦煌の石窟群の星月夜

月明に至急回覧立ち読みす

曼珠沙華明日香棚田のどの畦も

居酒屋をはしごしてをり神の留守

湖に掛けし竹瓮(たつべ)の中覗く

手袋をとり磐座に触れゐたり

 

第二句集「続大久野島」角川書店

帯文;滝川さんの句にはいつも純な好奇心と晴明感がある。長年句会を共にしていると、その出句稿の中で、氏の句の個性はきわだっている。集題の「大久野島」は、このあとがきに記されているように、大戦時の暗い過去から脱して、今や平和の楽園。滝川さんの句は、その明暗の経過を身近に知る人の、胸奥から生じた個性であろうと、私には思われる。   友岡子郷

自選一二句

独楽遊びことに爺やが熱あげて

路線バス通過し山焼き始まれり

春一番琵琶湖底まで掻きまはす

色水を掛け合ふインド春祭

餌の鯣(するめ)離さず蝦蛄の釣られけり

デパートで求めし花に子蟷螂

幽霊の御軸の掛かる夏座敷

老い払ふごとき手振りを阿波踊

曼珠沙華銀座の歩道にも咲けり

松手入足場組みたる舟を出す

神主が幼に訓示七五三

社会鍋喜捨受くるたび喇叭吹く

共鳴句

半東は紅さす童初点前

新若布郷の瀬戸内より届く

金蠅の好める臭ひ座禅草

うららかや文字無き絵本読み聞かす

ままごとは一人二役子供の日

舞妓の手握り蛍火移しけり

雨上るまでの混雑登山小屋

ねこだまし効きて勝ちたる宮相撲

蓑虫やバンジージャンプしてをりぬ

ゲートルの翁先頭茸狩

長話終へて落葉を掃き直す

年越蕎麦国際線の機内にて

 


4月・卯月・April2018

4月卯月April
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四月.弥生. 晩春. 春暁. 春の日. 春光. 風光る. 麗か. 長閑. 春の空. 春昼. 春の虹. 日永. 遅日. 春夕焼. 春の暮. 春の宵. 春の夜. 朧月. 春の闇. 春燈. 四月馬鹿. 都踊. 東踊. 三鬼忌. 入学. 新社員. 清明. 遍路. . 山葵の花. 春菜. 春大根. 草餅. 蕨餅. 鶯餅. 桜餅. 桃の花. 梨の花. 杏の花. 李の花. 林檎の花. 桜桃の花. 三椏の花. 沈丁花. 辛夷. 木蓮. 連翹. 木瓜の花. 青木の花. 山椒の花. 杉の花. . 亀鳴く. 蝌蚪. . . 蝿生る. 春の蝿. 春の蚊. . 山桜. 花時. 花曇. 花冷. 花見. 花衣. 花守. 花疲. 八重桜. 遅桜. 落花. 花筏. 春の海

4月1日は西東三鬼の忌です。西東三鬼の句

水枕ガバリと寒い海がある     

うつくしき眼と会ふ次の雷待つ間 

おそるべき君等の乳房夏来る  

くらやみに蝌蚪の手足が生えつつあり

ひげを剃り百虫足を殺し外出す  

中年や遠くみのれる夜の桃  

今月のお題は「和」です。
4月7日にお題2句と雑詠5句を公開します。
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運河句集祭2018・3

DSC_3383DSC_3384DSC_3387東吉野の俳句の宿「天好園」で運河の句集祭がありました。あいにく平野風と呼ばれる高見山から吹き下ろす風で、大荒れの天候でしたが、句集の講評の後は、雉鍋をつつきながら親睦を深めました。

月刊俳誌「雲の峰」2918.3通巻321号

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月刊俳誌「雲の峰」2918.3通巻321号を紹介します。

先師の一句88

枝なかに夕べの雀初桜 皆川盤水 43年作

主宰作品「かけらも宝」   朝妻 力

雪めづるかにさりげなくくゆらしぬ

御居処より蝕まれゆく寒の月

聖俗を埴輪が境ふ春の野辺(今城塚古墳)

石棺のかけらも宝春めける

春北風や死ぬまでたぶん酒煙草

副主宰作品「雑煮」 浅川 正

老い二人無口に祝ふ雑煮かな

渾然と裸虫鱗虫冬眠す

人体に関節いくつ寒の入り

常葉集

鐘楼に山気ただよふ初昔   中川晴美

千年を湧きつぐ閼伽や初釣瓶  吉村征子

鐘楼も堂の穂長の瑞々し   渡辺政子

SLの過ぎて騒立つ枯芒    小澤 巌

相野家の門に柱に藁盒子   酒井多加子

餅搗の仕上げに合の手の一打  高野清風

輝葉集

語り合ふやうに羅漢や実南天  木村てる代

こそあどを使ひこなして年新た  小林伊久子

凍蝶やいつしか森の暮れかかる  島津康弘

命毛の走りうるはし筆始     杉浦正夫

歳かさね小くなりゆく注連飾   杉江茂義

落葉焚く一期一会の匂ひかな  祐森省造

青葉集

七草を無言で刻む朝厨   浅川悦子

銀鼠の雪雲疾きくぬがかな  櫻井眞砂子

若葉集

小寒や男の胸の固すぎて   新倉眞理

老犬に歩幅を合はす大旦   入江 緑

 俳誌紹介(123) 

「鳳」冬号  主宰  浅井陽子

やうやうに灯りに馴染み初暦 浅井陽子

枯野行く一人の影をひとり曳き   安藤加代

数へ日の日向日影の匂ひかな   堀瞳子

水底の光沈めて冬安吾     野中千秋

数珠玉に聞く風の音水の音    工藤泰子

縄張りの中に我が家も冬の鵙  田和三生子
  エッセイ・・など

堀瞳子氏の「俳句探訪」、貞許泰治氏の「句会初参加の思い出」

  

「星雲」42号

鳥井保和主宰星雲42号を紹介します。

季節の一句白息を交はし神馬と向き合へり鳥井保和第1句集「大峯」より

自ら吐く息と馬の吐く息が色を得て混ざる。そして、その場に半畳分程の霞掛かった不思議な空間を生み出す。向かい合った人と馬は言葉なく通じ合い、果て無い交信を続けるかの様。何か気の利いた事をいわなくてはならない、面白い着眼点を披露しなければならない、そんな点数の入る俳句がちやほやされる今、右の様な硬派な句があっても良いと思う。私だけだろうか。花尻万博

天狼集

光陰の悲喜こもごもの暦果つ  鳥井保和

六地蔵一仏づつに日脚伸ぶ   〃

第一句集「大峯」14 より (平成11年)

歳旦の潮しづもる荒岬

梅ひらく神慮に叶ふ一枝より

高きより樹下の落花に加はれり

「鎮魂の鐘鳴り響くー『星戀』鑑賞―」坂口昌弘 

星戀の冴ゆる一等誓子星   保和 

句集名「星戀」はいうまでもなく、作者鳥井保和の尊敬する師山口誓子と天文民俗学者野尻抱月の共著「星戀」に依拠している。誓子と抱月は星にまさしく戀をした人である。中略保和も潜在意識的だが、誓子星のシリウスを物理的な星としてではなく、むしろ誓子の命魂の象徴として詠んでいる。星に恋することであり、誓子を鎮魂することであろう。短詩型文芸評論家)  

極星集

乗初の愛車エンジン高鳴らし   山田佳郷

米どころどつさり雪を積む大地   小林邦子

碧眼の板前捌く鉄砲鍋     澤禎宣

巌頭の注連より白き寒垢離女    園部知宏

初日出づ金色の海真つ平    竹内正與

御降りの雪となりたる国境    土江祥元

一毫の枯葦原を縫ふ水路     成瀬千代子

干大根水平線へ吊しけり    前田長徳

天星燦燦    鳥井保和選 

しぐるるや人の死もまたあつけなし   小川望光子

少年の吉書に未來ありにけり   奥井志津

八重波の海へ祝詞や神迎    中川めぐ美

青空の透けて満開冬桜     吉田捷子

鉈彫の十二神将影冴ゆる    加藤行惠

こゆるぎの凪へ一閃初旭    小林永以子

初夢は挫けず生きろとふ御告げ  本田たけし

じみじみと余生語らふ温め酒  天倉 都

船よりの放水島の出初式    田島和子

渡り鳥一湾の天光りつつ    服部久美

神木に双手あづけし年始    新井たか志

日本の大地揺るがす第九かな   岡本 敬

号砲の雲となりゆく運動会    中嶋利夫

邯鄲の夢を見てゐる日向ぼこ   木下恵三

 誓子の句碑巡り42 堅田漁業協同組合前

真珠作業場絶對に静止の海  誓子 
   
第6回 天星賞受賞作品(10句より)

秋高し畦まで延ばす万国旗   土江祥元

百畳に百の蒲団や坊が宿     〃

月に触れみ空に触れて梅ひらく  前田長徳

満天の星を抱いて航涼し      〃

第10回 昴星賞受賞作品

引く波に月影とどく桜貝    奥井志津

昃るや花千本の蒼ざむる     〃

雪形に花形に貼る破れ障子   服部久美

夕涼や蜑の路地みな海に抜け    〃

第10回星雲新人賞受賞作品

こもごもの節目を想ふ桜かな  下村ツヤ子

青空を全開したる梅雨の明け  岡本千恵子

星座探訪41号より 小林貴子氏の星雲の俳句探訪

プロフイール;俳人協会会員「岳」編集長。現代俳句協会会員句集「海市」「北斗七星」「紅娘」他著書「もっと知りたい日本の季語」2003年第58回現代俳句協会賞受賞

 季節の作品  「春月」より  

桜満ち風景は手をつなぎ  小林貴子

春の月昇るに膂力用ゐけり   〃

彗星の委燃ゆる形にかたくりは  〃

(天星集)阿波踊童子も腰を低く据ゑ   中川めぐみ

(昴星集)逝く夏の砂の火照りや虚貝   内山恭子

(星雲集)名ところのワイン傾け月を愛づ 岡本千恵子 

読み物「熊野を駆ける」熊野古道伝説紀行14 大上敬史 

鹿ヶ瀬峠の石畳道 日高町原谷

愛子の淵     日高町高家王子社南

清姫塚(蛇塚)  御坊市藤田町:安珍清姫・道成寺の西

現在の田辺市中辺路町で生まれ育ったという清姫。その亡骸が弔われたという場所に、蛇塚が建っている。

 身体の俳句42「書き写すこと」  小川望光子(医療センター医師)

「クマグス」と園児呼び合う熊楠忌  樋口盛一

熊楠の描く猫丸しあたたかし    山中晴美

 ・・白浜の南方熊楠記念館・・熊楠の勉強法は書き写すことで、・・その当時の筆や大量の抜き書きの実物が展示されていました。・・

見開きのノートにまづは春と書く   土肥あき子

句集一冊を書き写してみようと・・星戀」の書き写しに挑戦しました。

昴星燦燦    選後評  鳥井保和

来し方を手繰り寄せつつ毛糸編む   南 壽子 

過去に編んだ毛糸を解き、再び編んでいるのであろう。その毛糸を手繰り寄せつつ編む。まるで来し方を手繰り寄せるように・・感慨も一入。

金婚の過ぎ来し方や花柊   前田汐音

峰々に後光のごとき初日の出 竹本治男   他

星雲集鑑賞  加藤行惠

氷菓なめ老女たること忘れけり   岡本千恵子

稲穂波天まで続く棚田かな    大橋定順

原野行く鉄路を飾る蝦夷黄菅   竹本治男  他
  
            

 


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