お知らせ

五十嵐藤重 句集「山揚げ」

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五十嵐藤重(とうじゅう)さんの第2句集「山揚げ」を紹介します。山揚げは野州烏山に450年以上も続く夏祭で、年明けにはユネスコ無形文化遺産に登録されるという、路上に上演される芝居のことだそうです。

帯文」 選句を終えて句集名は「山揚げ」以外に考えられないと思うようになった。というのは平畑静塔句集「漁歌」が上梓されたのは昭和五六年のことだが、その集の中にあった、

山揚げにまことの雲も道具立  静塔

紋白も出て山揚げの板につく  静塔

という昭和五十年作の二句に惹かれたことを思い出したからである。山揚げを地方季語として定着するようにもっともっと地に食い入って詠んでほしいと思ったからである。茨木和生(跋より)



自選一二句

虹立ちて卒寿の母の合掌す

静踏の生誕百年葡萄垂る

蜃気楼浮かび上がりしロシア船

新ワインゲルマン鬚の議論好き

ひらがなの母の便りと新走り

峯行の鉢巻締めしまま眠る

山里に一筋の煙芋煮会

野火の火の立ち上がりたる戊辰の碑

山揚げの蝦蟇の出どころ稲光

泣かぬ子をなほ差し上げて泣き相撲

囀に赤の広場の明けゆける

父の忌は終戦日なり風騒ぐ

山揚げの句

山揚げの山の裏より稲光    藤重

山揚げの山を崩して平とす    〃

早飯を食らふも得手と山揚げ衆  〃

峯雲に山揚げの山押し上ぐる   〃

若衆の跳ねて確かむ山車舞台   〃

共鳴句

誰よりも高く肩くま初詣

雪の壁押す除雪車の黒けぶり

満天の星に外せる神楽面

番犬の眼の前よぎる嫁が君

七福神巡りて雪に転びたる

どんど塚組む校庭のどまんなか

午祭金精様の注連吹つ飛び

着ぶくれの吾に鼻寄す麻薬犬

日向ぼこ古代ローマの浴場に

花粉症ベトナムに来て治りけり

一本の針金づくり兎罠

自在鉤一つ落として牡丹鍋

 プロフイール;福島生まれ、宇都宮市在住、S52年平畑静塔に師事、「天狼」「圭」「鉾」「白魚火」を経て「運河」入会。句集「棟木」(H23年)、第14回平畑静塔全国俳句大会静塔賞受賞。

 



一月・正月・太郎月・January

賀正2017平成29

一月正月太郎月January


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今年初めてのお題は「縁」です。
 本年も「木偶の会」をよろしくお願いいたします。

   17日にお題2句と雑詠5句を公開します。

 


 


兒玉充代 第一句集「沖雲」 (文學の森)

 
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兒玉充代 第一句集「沖雲」 (文學の森)

沖雲や飛魚(あご) 

表題を「沖雲」と決めたのは、沖への、遠きもの、遥かなるものへの憧れからではないかと思っている。

 俳人・兒玉南草の娘として、南草十七回忌を迎えるにあたって何よりの供養となる一本である。ここまでの充代さんの努力に南草さんも莞爾しておられるに違いない。茨木和生(「序」より)

プロフイール;福岡県北九州市生れ・平成22年「運河」入会、25年「運河賞」受賞、浮標集同人

  

自選10句

夕焼や遊び足りない子等の声

遠山の冬溜めてゐる雲の色

手枕に淡き夢あり初桜

花吹雪手を振れば影よろこびぬ

山暮れて空のこりたる半夏生

沖雲や飛魚(あご)の跳ぶ海まつたひら

馬の目は人を拒まず秋の風

涼風や稚の足指十つぶにて

ほうたるや川を距てて人住む灯

流れ星まこと短き詩なりけり

 

共鳴句

太古より今の円かさ冬の月

風よりも風のごとくに冬

父の忌やその日のごとく雪の降り

子供らに子供のはなし笹子鳴く

冬暖か一にはじまる九九の声

花八手日向跳ぶ子の声きらきら

一日の余白の時間毛糸編む

紙を漉く水の重さを掬ひあげ

冬山に山彦かへるすべもなし

父の忌の雪母の忌の雪女郎

あとがき

 俳句は言葉の芸術であり、心の文学でもあります。消え去ってゆく時間の一日一日の自分を十七文字に復活できればいいと思っております。これからは俳句を生活の軸として、平凡の中に非凡を発見し、心のひろがるような俳句を作っていきたいと思っております。

充代さんの御父上「地平」元主宰の兒玉南草先生の句集も合わせて紹介します。

兒玉南草 第七句集「山河」  収録作品より 岸原清行 抽出

落葉ふる音の遠くへ誘はるる

雪に雪降り鶴の遠こだま

なつかしき話となりし団扇かな

朱鳥なきあとの風吹く朴の花

蛇穴に入りしと樹々の小ごゑかな

ながき夜のうた垣明日へつなぐべし

かいつぶりころろと鳴けば雲が来る

冬山のこだまは鳥となりかへる

なんとこの贅沢な音落葉径

新しき年あたらしき世紀かな
    
  


句集「笑って五七五」 久松久子

 DSC_2056 笑って五七五  久松久子 

いざ見参!滑稽俳句集

滑稽こそが俳句の本質。滑稽と出会い婆の心に火が点いた。この十年、勢いに任せて作り溜めた四百句をご覧ください。滑稽俳句協会叢書として世に問うことが嬉しい。久松久子

プロフイール;

茨城県出身、馬酔木 燕巣入会 羽田岳水に師事、同人。百鳥入会 大串章に師事、百鳥同人。滑稽俳句協会会員 八木健に師事。第一句集「青葦」、第2句集「松の尾」第三句集「続松の尾」(文学の森)

 

自選十五句

コイン切れ仕掛け獅子舞そつぽ向く

やふいを衝かるる胸三寸

なめくぢら世の中舐めて塩振られ

節電に幽霊話聞かせけり

勿体ない勿体ないと黴させる

冷房の効き過ぎてゐる仏間かな

自然の風ほめそやされて扇風機

流しさうめん上目づかいに啜りけり

冷房の昆虫館に閉ぢ籠る

菊人形の夫婦の仲に水差して

毒茸の仏貌して羅漢山

六地蔵にスタツカートの赤とんぼ

虫の声夜明けのスキャットに終る

脱獄囚救急車呼ぶ寒さかな

寝違ひの首載せ歩く師走かな

  冬の句から

セーターの柄の縞馬肥り初む

一晩で町を消したる雪女

年の瀬やニュース転がす電光板

呼び鈴に蹤いて行きたる毛糸玉

猪鍋や山に獣を眠らせて

スケートショー見てゐて部屋で転びけり

裸木に飛びついてきたビラ一枚

屏風絵の虎の尾裏にまはしあり
      
   

第62回角川俳句賞  予選通過作品

第62回角川俳句賞  予選通過作品

  「森よ、」谷口智行

かつて火は鑚り出せしもの福沸

擲ちし炬火のごとくに雉走る

森まひるいうれいたけの向き向きに

峠灼く行路病者の霊寄りて

水飯に鯨の干物ふやけたる

卒塔婆の倒れつぐかに山の霧

色鳥や土中につづく巨樹の洞

地芝居に山の翁の来てゐたり

引き捨ててある大根にして立派

重畳と冥府つらねて雪の嶺々

        (高野ムツオ選)

「俳句」2016年十一月号より転載
 
     

第二十三回運河俳句賞

第二十三回運河俳句賞

茨木和生選

第一席 「墓標」 土屋隆一郎

バルカンの荒野を春の霰打つ

国境に難民の列春遅し

信仰の果てなる墓標春寒し

波高きドナウの岸辺春めけり

バルカンの国境超えて雪解川

第二席 「春の蝶」 山近由美子

左義長の組み方字ごとに違ふ

教会を通り抜け子ら磯遊

遅れ来る人待ちをれば春の蝶

三席 「精霊舟」 木下敦子

盆路を少し広めに刈りにけり

赤飯も添へて精霊舟流す

仏舟引く水脈なくて沈みけり

四席 「七五三」 中川悦子

角巻の少女来てゐる氷川さま

袴着や供花の榊も小ぶりなる

五席 「帰省子」 本郷をさむ

 山羊放し飼ひせる駅の草いきれ

五席・次席 「山桜」 高木幸子

 居合はせて志功の話山桜

谷口智行選

一席 「蟇」 木塚眞人

藻の花に雨の来てゐる日曜日

金亀子夜具の白さを転げくる

蟇とすぐ判る感触躓けり

味噌蔵に蛇の消えゆく野分かな

ゆつくりと大樹朽ちゆく処暑の雨

二席 「八千草」工藤泰子

きちきちの草叢の基地跳びだせり

古瓦積まれしまんま草の花

てつぺんに穂の付く木賊折りにけり

八千草に八百万の神おはします

青空へ継ぎ足してゆく蜘蛛の糸

三席 「浦神」上野山明子

岬宮の鈴にしほさび黄雀風

孝行のひとつと鰹釣ることを

他所者を見抜く女ら鯵捌く

木端ぐればかりが釣れてかんかん帽

グラマンの飛来せし浦風死せり
       
他の選者の方々の選は一句、重なった句の場合は別の句を挙げさせていただきました。。

藤勢津子選  実物の河童のミイラ夏期講座   木塚眞人

浅井陽子選  大堰を越えて伸びやか夏の川   木塚眞人

森井美知代選 魂棚の細き梯子を蟻登る     木下敦子

水野露草選  けふ植女なりをなご衆もをみなごも 池田緑人

田辺富子選  たんぽぽの囲むテレサの碑に祈る 土屋隆一郎

松村幸代選  浦々に神々多し椎の花      上野山明子

山内節子選  海に出る夏野を歩き続け来て    山近由美子

井上綾子選  木々芽ぐむ錆びたる戦車残る村  土屋隆一郎

大石久美選  内戦に死す若者の碑にミモザ   土屋隆一郎

           

十二月・師走・極月・December

 十二月師走・極月・ecember

12月の季語あれこれ十二月、霜月、短日、冬の日、冬の朝、冬の雲、冬霞、顔見世、冬の空、冬の鳥、冬の雁、梟、木兎、冬田、 水鳥、浮寝鳥、鴨、鴛鴦、鳰、初雪、初氷、寒さ、冷たし、息白し、冬木、冬木立、枯木、枯木立、枯柳、 枯山吹、枯桑、枯萩、枯芙蓉、枯茨、冬枯、霜枯、冬ざれ、枯草、枯蔓、枯蔦、枯葎、枯尾花、枯蘆、枯蓮、枯芝、枯菊、枯芭蕉、苗代茱萸の花、枇杷の花、臘八会、大根焚、漱石忌、風呂吹、雑炊、葱、根深汁、 冬菜、白菜、干菜、干菜汁、干菜湯、胡蘿蔔、蕪、蕪汁、納豆汁、粕汁、闇汁、のっぺい汁、寄鍋、鍋焼、 おでん、焼藷、湯豆腐、夜鷹蕎麦、蕎麦掻、蕎麦湯、葛湯、熱燗、玉子酒、生姜酒、事始、神楽、里神楽、冬の山、山眠る、冬野、枯野、熊、熊穴に入る、熊突、熊祭、狩、猟人、狩の宿、薬喰、山鯨、狼、狐、 狐罠、狸、狸罠、狸汁、兎、兎狩、鼬罠、笹鳴、鶲、鷦鷯、都鳥、千鳥、冬の海、鯨、捕鯨、鯨汁、河豚、 鮟鱇、鮟鱇鍋、鮪、鱈、鰤、鰤網、杜父魚、潤目鰯、塩鮭、乾鮭、海鼠、海鼠腸、牡蠣、牡蠣むく、牡蠣船、 牡蠣飯、味噌搗、根木打、冬の蝶、冬の蜂、冬籠、冬座敷、屏風、障子、炭、消炭、炭団、炭火、埋火、 炭斗、炭竈、炭焼、炭俵、炭売、焚火、榾、炉、囲炉裏、暖房、温突、ストーヴ、スチーム、炬燵、置炬燵、助炭、火鉢、火桶、手焙、行火、懐炉、温石、温婆、足温め、湯気立、湯ざめ、風邪、咳、嚔、水洟、吸入器、竈猫、綿、蒲団、背蒲団、肩蒲団、腰蒲団、負真綿、衾、毛布、夜著、綿入、紙衣、ちゃんちゃんこ、ねんねこ、厚司、胴著、毛衣、毛皮、皮羽織、重ね著、著ぶくれ、冬服、冬帽、頭巾、綿帽子、頬被、耳袋、マスク、襟巻、ショール、手袋、マッフ、股引、足袋、外套、コート、被布、懐手、日向ぼこり、毛糸編む、飯櫃入、藁仕事、楮蒸す、紙漉、藺植う、薪能、一茶忌、北風、空風、隙間風、鎌鼬、冬凪、霜、霜夜、 霜柱、霜除、敷松葉、雪囲、雪吊、薮巻、雁木、フレーム、冬の雨、霙、霧氷、雨氷、冬の水、水、水涸る、冬の川、池普請、狐火、火事、火の番、冬の夜、冬の月、冬至、柚湯、近松忌、大師講、蕪村忌、クリスマス、社会鍋、師走、極月、暦売、古暦、日記買ふ、日記果つ、 ボーナス、年用意、春支度、 春著縫ふ、年木樵、歯朶刈、注連作、年の市、羽子板市、飾売、門松立つ、注連飾る、煤払、煤籠、煤湯、 畳替、冬休、歳暮、年貢納、札納、 御用納、年忘れ、餅米洗う、餅搗、餅、餅筵、餅配、年の暮、節季、 年の内、行年、 大年、大晦日、掛乞、掃納、晦日蕎麦、年の夜、年越、年取、年守る、年籠、除夜、 除夜の鐘
クリスマスの俳句

グロリアインエクシェルシスデオクリスマス  稲畑廣太郎

アイビー館どこを向いてもクリスマス   稲畑康太郎

灯の海へ高度下げゆくクリスマス    鷹羽狩行

暗がりに耳もつ花瓶クリスマス     鷹羽狩行

『星空とメルヘン』祝すクリスマス    小澤克己

よき笑ひよきクリスマス乾杯す      小澤克己

神父また俳人にしてクリスマス      三村純也

クリスマス聖書は文語よかりけれ     三村純也

クリスマスケーキの薔薇は砂糖です   日野草城

東の星の光やクリスマス        日野草城
   2016年もいろいろありました。   

今年の流行語大賞は何になるでしょうか?
今月のお題は「超」です。
オリンピック選手の活躍!テニスの錦織君や卓球の水谷君のスーパープレイ「超絶」な試合!思い出しますね。
12月7日にお題「超」2句と雑詠5句を公開します。

 

       


季刊「鳳」18号

季刊 18号 
あるいは山を、あるいは海をありえるであろう、自己の魂を覓ぐべく、
ほうほう(鳳々)と声にして跋渉する。

 「どんなに変わってゆくか」

アトリエには未完成作品がいっぱいになった。おそらくは完成作品よりこれら未完成の方がどれほどか楽しい。いや楽しいというより関心がより大きいかもしれぬ。どんなに変わってゆくか。三岸節子 1987年11月12日の日記より(82歳)

明治、大正、昭和、平成と激動の時代を生き、情熱あふれる作品を発表し続けた三岸節子。没後発見された日記をもとに代表作品展「没後十年記念 三岸節子展 心の旅路―満開の桜のもとに」が平成二十一年に開催された。その時の図録に収められている作品「花」に節子の日記が添えられている。 多くの花の絵が残されているが、この」花」は九十四歳の絶筆の作品。節子の「花」は赤が多いのだが、黄色と白い花が画布から溢れそうに描かれている。ときどきこの図録を開き、絵から元気を貰い、日記からは気概を学ぶ。浅井陽子

 作品  「今日の月」浅井陽子(鑑賞・感想少し・・工藤泰子)

滲みよき紙を机に今日の月
滲みよき紙・・上五に物語の予感があります。今日の月!これですべてを包括する素敵な俳句です。  

ひかるもの水に零して雁渡る   

きらきらしているのは才能!ひかるもの!の意味は言わないから余情があふれる。私は涙だと思いました。

西行の墳が代なる桜茸      

奇跡の一句ではないでしょうか?

木は風をつつむかたちや小鳥来る  

自然賛歌ですね!つつむかたち・・すばらしいです!

巻き上げて山遠くなる秋簾    

これは宇治にお住まいだけのことは・・雅です~~~~

紫蘇の実や母の高さに物を干し  

母の高さ!この一見簡単そうな言葉にたくさんの意味があるのです。優しさ!英知!そこに俳句の意味を盛り込んだすごく好きな句です。

作品&エッセイ  

「大切な人」   浅川正(雲の峰) 

高校時代のクラブ活動(生物部)が俳句を作るグループへと発展!

 下賀茂神社から京都植物園をハイキング(10名)の一部

雨除けてなほ余りある青葉かな  悦子

いささ川の水音かしこき茂かな  ただし

「おしゃたか舟神事」 堀瞳子(運河)

明石の祭「おしゃたか舟神事」JR明石駅あら明石港に向かって10分ほど歩くと、材木町の岩屋神社に出る。明石城主の氏神でもあるこの神社は、光源氏のゆかりの神社としても知られる。・・「おしゃたか」は方言で、「おじゃったか」「おいでになったか」と言う意味である。明石の前浜六人衆が一族郎党を引き連れ淡路島に渡り、御遷座の神を船に乗せ明石海峡を渡ろうとしたが、潮が激しく明石浦に上陸出来ず、隣の松江海岸沖に一夜を過ごすことになった。この時ハマチなどの出世魚、精白した麦にはったい粉をまぶしたもの、やまもも、白酒を供えて無事に明石浦に付く事ができた。この明石最古の古事が「おしゃたか舟祭」の起源で夏の風物詩となっている。以下略俳句のみ

神を呼ぶ声が波間に舟まつり

海みゆる社の茅の輪潜りけり

菅抜の窮屈さうに浜名主

神の乗る舟は小さし浦祭・・・・他
 

句句燦燦(2) 「旬のもの」 浅井陽子

見る限り戻り鰹の潮色に   茨木和生

百貫目山と呼んだる菌山      和生

空に声放ち人呼ぶ菌山      和生

毒茸採りよと笑ひ過ぎゆけり   和生

句の背景や関わり合った人びととのエピソードなど・・読みどころ満載!

 旬とは魚や野菜、果物の最も旨い出盛りの時期で、物事を行うのに最も適した時期である。季語は旬の言葉であり、地球の温暖化が物の旬を狂わせる。収穫の秋、実りの秋、「旬のもの」で心身を養いたいと思う。

エッセイ四季桜と杉田久女」森山久代「運河・晨」

 豊田市小原地区・小原和紙の里・四季桜(冬桜、十月桜)の名所に杉田久女の屋敷跡を取材・・・久女の俳句とモデルになつた小説松本清張「菊枕」、田辺聖子「花衣ぬぐやまつわる・・」などにも触れて詳しく、興味深いエッセイだ。

俳枕(2) 鞍馬   浅井陽子

「俳枕」とは歌枕という周知の言葉を俳句に転用したもの。

鞍馬と言えば6月の「鞍馬の竹伐」や10月の「鞍馬の火祭」が知られている。

火祭や焔の中に鉾進む    虚子

火祭の戸毎に荒ぶ火に仕ふ  橋本多佳子

火祭の火の雄叫びとなりにけり   菖蒲あや

火祭やまだ暮れきれぬ杉木立  鈴木真砂女

 女性三人の解説がおもしろい!

日々是俳句      浅井陽子 

 日々の吟行や参加行事と俳句・・

9月11日 京都桂句会吟行、大原野周辺・・宮相撲

御朱印のつきたる回し神相撲

9月19日 宇多喜代子先生と茨木和生先生の受賞をお祝いする会を天好園の四阿で開催。前泊し木通や秋草を飾り設えたとのこと・・。(有難うございます)

四阿に祝辞途切れず新走り

10月10日 琵琶湖の葭簀を編む人を訪ね・・フナずしの熟れ具合に心を寄せる。

鮒鮨の小屋に人影上り月

 

 

11月・霜月・November

   11月霜月November  

十一月の季語のあれこれ

冬、文化の日、立冬、十一月、初冬、神無月、神の旅、神送、神渡、神の留守、初時雨、初霜、冬めく、炉開、口切、亥の子、御取越、達磨忌、十夜、酉の市、熊手、箕祭、茶の花、山茶花、柊の花、八手の花、芭蕉忌、鉢叩、冬安居、七五三、帯解、袴著、 髪置、新海苔棕櫚剥ぐ、蕎麦刈、麦蒔、大根、大根引、大根洗ふ、大根干す、切干、浅漬、沢庵漬く、茎漬、酢茎、蒟蒻掘る、蓮根掘る、泥鰌掘る、鷲、鷹、隼、鷹狩、 鷹匠、小春、冬日和、冬暖、冬耕、青写真、帰り花、冬紅葉、紅葉散る、落葉、銀杏落葉、柿落葉、枯葉、木の葉、木の葉髪、凩、時雨、冬構、北窓塞ぐ、目貼、風除、お火焚、勤労感謝の日、神農祭、報恩講、網代、柴漬、竹瓮、神迎、大綿

草紅葉

木道に十字路ありて草紅葉  鷹羽狩行

草紅葉少年虚子を幻に   山田弘子

草紅葉岩にやうやく日のぬくみ  宮津昭彦

尾瀬いっさい傾げてやまず草紅葉  山元志津香 

草紅葉気丈な母で通しけり    安住敦

蔦紅葉

蔦の葉はむかしめきたる紅葉かな   芭蕉

師の句碑の声か一縷の蔦紅葉  能村研三

甲子園球場怒濤蔦紅葉    稲畑廣太郎

雨筋の光りどほしや蔦紅葉   岡本眸

蔦紅葉岩のあわひに溢れ出づ 山田六甲 

櫨紅葉(はぜ)

櫨紅葉見てゐるうちに紅を増す   山口誓子

太陽の傾きそめし櫨紅葉    稲畑汀子

櫨紅葉華僑の屋根と色競ふ   品川鈴子

切り岸に日差しを返す櫨紅葉  堀博子

櫨のほか紅葉を急ぐこともなく  片山由美子 

  今月のお題は「遠」です。

11月7日にお題2句と雑詠5句を公開します。
      

たなか游 第二句集「ゆりの木の花」     

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「ゆりの木の花」たなか游

著者略歴;神奈川県在住

著書:詩・エッセイ集「流れのままに」、句集「Venus」、共著「あなたに贈る愛の花束」

「帯文」

 たなか游さんは純な眼差しの持ち主である。だからその眼の捉えた句の世界は澄んでいる。常乙女のような眼差しの捉えた新しさに句がかがやいている。游さんは加藤楸邨に学び、その門下だった石寛太さんに学び、そして私の主宰する「運河」に、今井聖さんの「街」に入会された。第二句集『ゆりの木の花』はこれからも純な眼差しを研ぎ澄まそうとする決意の一本である。  茨木和生

自選十二句

花さびた天領の水ゆたかなり

春の山ブラウニングの詩を諳じ

願文を写してをりぬ春の雪

楸邨の句碑へなだるる天の川

ひらがなの手紙八月十五日

コスモスの百本の揺れあたたかし

筆筒の螺鈿のひかり色鳥来

悴みて弁慶の笈重さうな

笹鳴た落款の位置決めかねて

牧野先生ゆりの木の花咲きました(博士お手植えの樹なれば)

福寿草芯にひかりを束ねけり

秋灯「巨石文明」と書いてをり

  

淡海(平成十二年~十四年)

海の色だんだんと濃し雛納

阿波の木偶そろひ祭の絶巓へ

祭果つ身八ッ口より阿波の風

天の川(平成十五年~十七年)

空海と同じふるさと桃の花

カラヤンの生家真紅の薔薇あふれ

小鳥来るアンリ・マチスの切絵かな

草の絮運ばれてゆく柩かな(弟逝く)

笹鳴(平成十八年~二十年)

玄室を出でにぎやかな春野かな

麦畑風の道筋見ゆるかな

シャガールと妻のベラ飛ぶ大花野

冬薔薇(平成二十一年~二十三年)

花吹雪牧野植物園の空

早春のハイドパークの桜かな(ロンドン)

朝ぐもり紺地金泥一切経

冬薔薇指の先まで血が通ひ

止め撥ねをきつちり伝へ年終ふる

風神図(平成二十四年~二十五年)

たんぽぽやハイジの村に塔ひとつ

八朔やおどけてゐたる風神図

どんぐりのことさら大き不破の関

福寿草(平成二十六年~二十七年)

子規の書の若々しさよ蕗の薹

骨抱きふるさとの山みどりなる

たましひの漂つてゐる青山河
 

「星雲」36号

鳥井保和主宰星雲36号を紹介します。

季節の一句 千体の水子地蔵に散紅葉 鳥井保和     第3句集「星天」より

 供養のための水子地蔵が千体あればどうだろう。物悲しいだろうか。「放心の極み」の様な鑑賞が似合うだろうか。私はきゃっきゃっと声を上げ、喜び走り回る子どもたちの姿を想像した。深く積もった紅葉がまるで敷きつめられた布団の様、走り回る子どもたちの足元をぽふっぽふっと包み込む。その全てが決して時間流れない幻想の世界。清浄とした詩心、観賞の幅は思うより広い。 

花尻 万博 (花尻氏は第二回攝津幸彦記念賞受賞)

天狼集

大渦の修羅の帯ゆく観潮船   鳥井保和

天も地も歪むまぼろし原爆忌    〃

極星集 

木の根径塞ぐ磐座苔の花    成千代子

ナイターの三万人の大合唱    山田佳郷

万緑や島を縁どる波真白    岩本たき代

古墳より草笛聞こゆ応へたり   小林邦子

むらさきの山より昏れし桐の花   竹正與

天星燦燦  鳥井保和選 

金髪の白衣の異人滝の行    澤禎宣

古代蓮背に古墳供華(くうげ)めく 中川めぐ美

白日傘太平洋を入れにけり   新井たか志

雪渓を天に懸けたり飛騨高嶺  前田長徳

行啓碑生絹の艶の落し文    加藤行惠

うつし世を照らして盆の月上る  吉田捷子

旭日旗掲げ出港昭和の日   土江祥元

折をりの風に彩とく花菖蒲   平岡妙子

梅漬くる婆代々の塩梅で    岡本 敬

老鶯や真田蟄居の地をめぐる   園部知宏

不動尊火焔に滝の飛沫かな   田島和子

白鷺の水色となる夕間暮れ   小林永以子

薫風や高野伽藍を開け放つ   中嶋利夫

明滅のやがて滅裂恋螢     木下恵三

掌に祇園太鼓の桴の肉刺(まめ)  小川望光子

        

誓子のオノマトペ    鳥井保和

① かりかりと蟷螂蜂の(かほ)を食む  誓子

② するすると岩をするすると地を蜥蜴 誓子

③ たらたらと緑に滴るいなびかり   誓子

④せいせりと薄氷杖のなすままに  誓子

⑤月光の中じゆんじゆんと時計鳴る 誓子

⑥鵙は尾をくるりくるりと吾が首途(かどで)  誓子

(伊勢湾台風の罹災を機に西宮市苦楽園に転居した時の作)

⑦新緑の茶の畝もぐもぐ丘を越す  誓子

各句の詠まれた背景が丁寧に考察されている・「俳壇」7月号より転載

特別作品

「天空の寸土」 成瀬千代子

天空の寸土に老婆田を植うる

果無しの山脈遥か夏霞

「今生の風」 正與

潮の香の南風吹き抜けし浜の路地

今生の風に戸惑ふ蓮の花

「空蝉のごとし」  吉田捷子

狩座を歩きて摘めり夏蕨

空蝉のごとし父母なき古里は

「水澄む」  大野良子

月掬ひひたすら盆を踊るなり

一村をダムに沈めて水澄めり

「日本晴」 天倉都

飛魚や鳴門海峡日本晴

職辞すと決めて見上げし夏の月  

星座探訪35より 冨田正吉氏の星雲の俳句探訪 

    季節の作品「冬」  冨田正吉

 日向より人現はるる冬泉 

 踏切に夜汽車を通す冬祭
天星集  畳屋の女将も来たる針供養   園部知宏

平素使っている針を休め、折れた古い針を供養する行事。和歌山市加太の淡島神社では2月8日である。畳屋の女将をもってきたので成功した。

     行く雁の湖より昏れし近江かな 吉田捷子
昴星集
  野仏の形に雪の降り積もる   内山恭子
星雲集  飼主も犬も着ぶくれ散歩かな  南壽子

 

 読み物

「熊野を駆ける」熊野古道伝説紀行8 大上敬史

熊野一の大鳥居  (海南市鳥井257、大鳥居伝承碑)

 住宅に埋もれた大鳥居址。東に向かってそびえていた鳥居は、熊野参詣者に輝く西方の海を望ませ、どのような影を落としていたのであろうか。(文中)

藤白の獅子舞  (海南市藤白448、藤白神社)

有間皇子の神社 (海南市藤白448、藤白神社内) 

藤白松  (海南市藤白353、有間皇子遺跡)

 有間皇子墓(写真);春になると椿の花が周囲を覆い、地元の人たちは「椿の地蔵さん」と呼ぶ。

藤代坂  (海南市藤白333、熊野古道南入る)

 

 身体の俳句36「オリンピックのこと」 小川望光子(医療センター医師)

愛ちゃんが泣いて笑つて夏終はる  木下蕙三

私にとってのオリンピックはなんといっても東京オリンピック。

円谷とヒートリー、女子バレー、柔道(ヘーシンクに負けた神永)、体操(山下とびとシライ2のあまりの差)、市川昆の映画(多くの記憶はこの映画から)・・・

秋風や楕円形なる競技場      植野康二

灼くる大腿ハードルを倒し倒し  今井聖

背泳の子の手が長し原爆忌    小川昇一

平均台さはやかに身をきらめかす  松永浮堂 

 

昴星燦燦     選後評  鳥井保和 

炎昼や鴉口あけ声もなし   古谷とく

ままごとの花のご飯にお菜かな 内山恭子

奥飛騨の夕星涼し朴葉焼     池田邦子 

 星雲集鑑賞  坂本登(OPUS

  季節の作品 「朝礼台」より

半島の端のふるさと天の川  坂本登

廃校の朝礼台の露けしや    〃     

  鑑賞

 あらたまの海風受けて露天の湯  南壽子

楤の芽の膨らむ明けの空円し   伊藤亨

踏青の園児光の子となりぬ    組口庄司 
列をなして郊外へ出かけてきた園児たちが目的の野原に着き、一斉に放たれる。自在に野を駆け回り、青草を踏んで遊ぶ子供たちはやがてまばゆい春の光と一体化してゆく。               

 

リレーエッセイなど

 

 

10月・神無月・October

10月神無月October

DSC_1733   「季語を生きる」茨木和生
        
「木の実・草の実」より

 少年のころ、我が家では、山と言っても標高100メートルにも満たない里山だが、そこを切り開いてつくった畑で、旬の野菜は自給自足できるようにしていた。土曜日の午後や休日が雨でなければ、母に連れられてその畑で草引きや畑打ちを手伝ったものである。その畑には、柿の木や棗の木や石榴の木が植えられていた。

 この石榴口とがらせてまだ割れず  加藤三七子

 よく熟れて来ると、石榴はひとりでに割れるが、「来週畑に来たときに食べれるようになあ」といいながら、畑仕事を終えて戻るときに、母はとがっている石榴の口に鎌を当てて、十文字の切れ目を入れていた。一週間たって畑に行くと、石榴は口をあけていて、朱色の実が光って満ちていた。小さな実の一つひとつに種が入っていて、甘すっぱい果汁は喉の渇きを癒すのに十分だった。

 畑の崖をなしているところには、おそらく自然生えのものだったと思うが、枸杞の実がよくなっていた。青い実がだんだんと橙色になり、赤くなってくると甘くなり、それを採っては食べていたことを思い出す。

 枸杞の実を喰みて小鳥となるおもひ  鍵和田

 私も小鳥のようにして枸杞の実を啄んでいたのかもしれない。

今ではこの畑はもちろんのこと、ここから上の里山だったところも宅地となって、かつての面影はまったくないが、そこは、私にとって木の実や草の実の宝庫だっただけでなく、自燃薯を掘ったり、茸を採ったりしたところだった。なかでも木に絡みついた蔓にぶらさがっている通草(あけび)は、そのまま山で食べることもしたが、よく学校に持って行ったものである。

 通草蔓ひっぱつてみて仰ぎけり   深見けん二

 見事に熟れて皮に裂け目が入り、白い実の見えている通草がいくつもなっているのであろう。手の届くところにある蔓を引っ張ってみたのだ。蔓を手繰り寄せることができなかったのだろうか。「仰ぎけり」に無念の思いが感じられる。私も幾度となく体験してきた。

 通草割れ空にかるがる吹かれけり   大串 章

 通草殻人採り捨てしものならず    茨木和生

 いったんはその通草をあきらめて帰り、割り挟をつけた長い竹竿を持ってきて採ろうとして通草を仰ぐと、通草の実はなくなっていて、口の開いた殻が風に吹かれていてがっかりしたこともあった。きっと鵯や椋鳥などが先取りをしていったのである。私が見たのは、地に落ちていた通草殻だった。きっと猿が食べたものだろうと思った。

 通草蔓ちぎる嘴細烏かな  阿波野青畝

 通草蔓猿に引かれて割れゐたり  同  

私の句の前の光景を、写生派の阿波野青畝がしっかりと捉えていることに感心する。

 あけびの実餅なり種のある餅なり  山口誓子

 誓子は通草を見るだけでなく、手にして触れ、その中の白い実を食べて、種をぷっと吐き出してもいる。そして、「餅なり種のある餅なり」と断定した。誓子の通草の句は生涯にこの一句だけだから、おそらくこのとき初めて口にしたのであろう。用心深い誓子だったと思うが、通草の実は誓子の好奇心を揺さぶったのだろう。「南生駒」という前書をつけているから、私が日々仰いでいる生駒山の通草を誓子は食べたのだ。通草の実の甘さは上品なものである。

 上品な味といえば、真っ赤に熟した、小さな一位の実も私の好きな木の実の一つである。

 手にのせて火だねのごとし一位の実  飴山 實

 マッチが簡単に手に入るようになり、ライターも普及したから、火種を知る人も少なくなったが、戦後しばらくの間は、マッチはもちろん硫黄を塗った付け木も手に入れることが困難だった。母が、火種を守ることに心を配っていたことを覚えている。一位の実のように、ほんとうに小さな炭の火種から、竈の火を育てていた。

 一位の実一粒口に入れてもらふ  右城暮石

 わが師も一位の実が好きで、一粒味わうのが何よりだと言って口を開けていた。棗(なつめ)の実も一粒、槇(まき)の実も一粒、柴栗は生でもあまいといって、弟子たちの手から口に貰っていた。梨も柿も好きだったわが師が、「えらいこと知ってるねぇ」と感心したのが、私の次の句である。

 父よりも祖父に親しみ柿ばくち  茨木和生

 山柿を二つに切り、その種の数で丁、半を決めるのが柿博打だ。「柿ばくち」という兼題が出て、賭け事の好きだった祖父を思い出して詠んだ句である。

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今月のお題は「久」です。

10月7日にお題2句と雑詠5句を公開します。


天好園の祝賀会


宇多喜代子先生の「日本芸術院賞」、茨木和生先生の「詩歌文学賞」の祝賀会が天好園でひらかれました。左には「草樹」、右には「運河のフラッグが掲げられカッコいいですね!
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小畑晴子 句集「蛍火」Hotarubi

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小畑晴子 句集「蛍火」  文學の森

  帯文

蛍火のシテの面をよぎりけり

晴子さんは、ことに師 阿波野青畝の教えを守って写生の道をひたすらに歩んできた作家である。句のよろしさは、これまで学んできたことを大切にしながら、絶えず前を向いて進んでいるところにある。なによりもことごとくの句が現場に足を運んで、そこでよく見つめ、よく見止めて詠まれている。茨木和生「序」より

  自選十句

薬草の百は揃へる花野かな

久女でもかな女でもなし毛糸編む

大鯉によろめく猊下放生会

輪の入りし手首足首泣相撲

蛍火のシテの面をよぎりけり

鳴く鹿のよもすがらなり歌仙巻く

流行も不易も一如翁の忌

鳴き過ぐる月の雁あり鳳凰堂

白魚の弾ける命掬ひけり
水やれば箱庭に川うまれけり

秋の句の中からいくつか紹介します。

石庭に月待つ膝を正しけり

茸狩星引き連れて戻りけり

雑茸をどさと入れたるまたぎ飯

薬掘る一縷の鬚根損はず

秋の滝ひびく空海座禅窟

寺を出てなほ寺のあり菊日和

クルス山仰げば鷹の渡りけり

花葛に狭められたる塩の道

船頭の艪を止めくるる良夜かな

蘇を買ひて飛鳥といへる新酒買ふ

一弁の長柄勺より菊の酒

舟でゆく花嫁にあふ白秋忌

葛の花ここより鯖街道に入る

稲の丈揃ひて稗の目立ちけり

木と存問石と存問翁の忌

一茎も畦をそれゐず曼珠沙華

斑鳩も平群も知りて稲雀

香を讃へ器をたたへ菊膾

敦盛の笛を正して菊師去る

草紅葉せり猪罠の中にまで

月の蝕進みつつあり鹿鳴けり

博士とは杣のことなり茸狩

郷四つあるかつらぎの柿日和

     

      

八千草(79号)より

  神の郷   山元志津香
歌仙一巻こんなところに蝌蚪の紐
蝌蚪游ぎゆたゆた杜の径ひかる
わが脈のちよつと不規則蝌蚪反転
蝌蚪ぞくぞく戸籍に父母も兄もなし
空き瓶が蝌蚪一匹の神の郷
蝌蚪のままは厭よ嫌よと尾をふつて
  ー作曲家にー
お玉杓子にシンフォニー聴く児は知命 
DSC_1498
珠玉の七句 
WEP91号(俳句通信)より転載


 
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