お知らせ

「宇宙」87号

   「宇宙」87号
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 表紙絵のカット・矢澤賢一、題字・欧陽詢

  主宰の句  島村正

    特別作品 「拈華微笑」

 九十は夢のとば口日記買ふ

 あかときの空くきやかに雪の富士

 天蓋に適ふ青空雪の富士

 列島に天つく天に雪の富士

 初夢に拈華微笑の誓子かな
 
   文章

犬も歩けば(41)矢澤賢一 より

 87号表紙を“薄墨桜”に決めた。・・バスで隣合わせた地元の老人が「よく静岡より来なさった。一本の桜がこれほど大勢の人を寄せつけるなんて」と息をはずませた。昭和23年、枯死寸前のこの桜を岐阜市の前田利行氏が若い桜の根継ぎによって甦らせた話や、宇野千代の小説が全国に広まったことによるためだ。神海一つ手前が、西国33番満願霊場、谷汲山華厳寺で・・・中略 森羅万象いたる所に霊魂が宿ると考える東洋人の思想は平和的だ。そこに佇めば癒されるというその場所は幾世紀に渡って人々が築きあげた精神がまた宿っている。桜が咲くその場所もそのひとつだ。      (蒔き絵師)
 「いのち」の凝視―「無窮の空」― 冨田正吉

 「ふしあわせという幸福」(14)西村滋
  二合庵便り(16)田島明志  

  俳句千夜一夜(19) 田島明志

 「事物の季語」(2) 結城桃子

  わからない(17)木下惠三

 『去来集』を読む(30) 二瓶洋子

 エッセイ 「花粉航海」(1)比良八荒

「花粉航海」(深夜叢書社・昭50・1)「こと寺山修司に関していえば、縁なしとはしない。それというのもかって「畦」の誌上にて・・」と始まった。つづきを楽しみに。

「宇宙」新年初句会  島村 正 選

特選   瑞煙をあぐる初富士神さぶる  篠原なつ子

      心にも磨く窓あり大旦     村岡幸枝

      底冷えを呈す虎の子渡しかな  八木裕子 

準特選  先駆けの雀と交はす御慶かな  長谷川妙子

      かきぞめの学童黙に徹したる  伊藤行枝

      朝まだき牛舎に交はす御慶かな 篠原なつ子

入選   乱舞するかもめ不動の雪の富士  加用富夫

      真新な畳の香みつ初座敷    前島裕子

      初夢に俳句の鬼のあらはるる  秋本惠美子

      裏白の共白髪なる和合かな   亀山直江

      父母の在す山懐の冬紅葉    関山はる枝・・
     宇宙」新年句会特選句選評より

矢澤賢一  選評 

  一行の行間を読む去年今年  島村正

行間は絵画が書にもあり余白である。余白や、行間には緊張もあれば豊潤もある。前後の行が難解であればあるほど答えには骨がおれる。 以前「犬も歩けば」で私の仕事の親方のことを書いた。私が安い立ち吞み酒屋に出入りするのに対し親方は、高級料理店やすし屋に連れていってくれた。と記したが「その場所には職人の無駄のない手順、器の柄、デザインの優秀を無言で教えてくれた」とは書かなかった。・・中略。さて昨年一年を振り返ると多難な一年であった。喜びより苦しみが先行した。・・考えている間に人生の1ページはくるりとめくられてしまう一瞬である。

     加用富夫 選評

   天地を統ぶ琴線の凧の糸  島村正

 掲出句によって私はお正月の頃よくやった凧揚げを思った。幼い友達と揚げた思い出。親となり子供と一緒に揚げた思い出等である。その思い出に残る人達が天国に行ってしまった。地上に残された私が居る。その天国と地上を結ぶ凧の糸がある。しかしこの句の凧の糸は象徴的なものであった、主眼は琴線である。飛躍して思えば天界へと旅立った人と私達は繋がっている。・・・

    特別作品

    「涅槃寺」小林邦子

 地をむ根のありにけり雪間草

 地獄絵図をんなの多き寒さかな

 小面も般若もをみな春立てり

   「大雪の蔵」 田中武彦

 石七つ七羽の鴨の日向ぼこ

 散り尽し勝者のごとく冬木立

 大雪の蔵に電気の紐長し

      
 「伴星集」の星辰  第86号より   八木裕子


新星抄 選後独言          島村 正

     
      

五月・皐月です

             
 

     穀雨 
  牡丹華 ぼたんはなさく

         立夏

  蛙始鳴 かえるはじめてなく

  蚯蚓出 きゅういんいづ

  竹筍出 ちくじゅんしょうず

  蚕起食桑 かいこおこってくわをくらう

  紅花栄  べにはなさかう           
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 旧街道つばめのために残しおく    鷹羽狩行

  電線に一番乗りのつばめかな     山田六甲

  つばめ反転きらきらひかるものが好き 津田このみ

  切れさうな硝子の湖面初つばめ    小澤克己

  軒低き倉敷格子つばくらめ      山田弘子

  つばくらめ有為の奥山越えて来し   柴田奈美

  つばくらめ龍太の門を出てきたり   大串章

  初つばめ歌舞練場に翻へり      山尾玉藻

  町空のつばくらめのみ新しや     中村草田男
  軒燕古書売りし日は海は行く     寺山修司
  つばくらめこんな山奥にも塾が    仲寒蝉
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      今月のお題は「案」です。
  5月7日にお題2句と雑詠5句を公開します。 
          
 

  
  
       

星雲第30号

          

 鳥井保和主宰 「星雲」30号を紹介します。

季節の一句 せせらぎの岩に躍りて水温む 鳥井保和 第二句集「吃水」より

 春、そう暖かい日でなくても、空気に触れる面が大きい程水は温む。平面にして静かなせせらぎが岩とぶつかる瞬間、そこに乱数的な凸凹が出来、関わる空間に存する空気、水の歪みの中に微々な温度差が生まれる。俳人の観察眼を仲立てとした静寂の理知とも言えよう。花尻 万博 (花尻氏は第二回攝津幸彦記念賞受賞)

 星戀集

  立冬の月くつきりと熊野灘   鳥井保和

  産着干す空の眩しき四温晴    〃

 流星集

 十二月八日ボタンを掛け違ひ  大倉義正

 相伝の御玉杓子や薺粥      〃

  極星集

  富士に雪海の貴婦人寄港せる(日本丸清水港入港) 竹正與

  箒目の渦整然と冬安吾  成千代子

  賀状書く毎年同じ添へ書で  山田佳郷

大空に月をとどめて汽笛冴ゆ  岩本たき代

山肌に法の字を見せ山眠る    小林邦子

       

   天星燦燦  鳥井保和選  一部
 跨りて全身で綯ふ神の注連    加藤行蕙
 奥の手があるがごとくに懐手   吉田捷子

獅子舞の足酔ひ痴れてゐたりけり  岡本 敬

 煌きて砂子のごとき冬銀河    松本淳子

十字切る雪の高野の異邦人    澤 禎宣

 初夢の亀大海を目指しけり    園部知宏

 白鳥の飛翔や吾に触るるかに   中川めぐ美

 山崩れせしまま山の眠りけり   木下恵三

 生きてゐることのめでたきお正月 小川望光子

 搗きたての餅のやうなる赤子かな 田島和子

        

 誓子の句碑巡り30(津山市・衆楽園)

  絲櫻水にも地にも枝を垂れ  誓子

    春の雪降れり峠は只今二℃   保和

 星座探訪29より 津川絵里子氏の星雲の俳句探訪 

 津川絵里子氏プロフィール句集「和音」により第30回俳人協会新人賞受賞、同年第53回角川俳句賞受賞。2013年「はじまりの樹」により、第1回星野立子賞、第4回田中裕明賞受賞。現在「南風」主宰(村上鞆彦と共宰)

 季節の作品「春」  津川絵里子

  貝寄風や柱まぶしく家の建つ

  切り口のざくざく増えて韮にほふ

  逃水に体内の水呼ばれをり

天星集   文豪の恋文を読む夏館    澤禎宣      

   月代や大河をわたる鷺の声  園部知宏

        村歌舞伎楽屋に届く茸飯  加用行恵    

        前山の影濃くありぬ落とし水  新井たか志
 落とし水の頃の季節感が、前山の影が濃いということに感じられる。影が濃いということは、空気も澄み天気が良いということでもある。前山の影に焦点を当てながら周りの景色が浮かび上がる。  

  昴星集  打ち水に跳ね返り来る日の匂ひ  平岡妙子    

星雲集  帆のごとく秋の日傘の遠ざかる 津本けい 

星雲・三賞

 第7回 昴星集  

  風となり光となりし飛花落花 土江祥元

  熊野灘漁る小舟十三夜    吉田捷子

 第7回 星雲新人賞

  深熊野の空へ膨るる百千鳥   前田長徳

昴星新同人

  百歳の天寿まつたう秋高し  池田邦子

  み熊野の山河育む緑雨かな  中村盛春

 読み物

「熊野を駆ける」熊野古道伝説紀行2 大上敬史

3榎本大明神、4上之宮址、5四天王寺西門、6熊野権現禮排石、7晴明神社

伝説の地を訪れた写真と地図で判りやすい。

  身体の俳句30「風呂のこと」 小川望光子

   桃咲いて五右衛門風呂の湯気濛々 川崎展宏

  おすすめの温泉は太地の「夏山(なつさ)温泉」と新宮市高田の「雲取温泉」とのこと・・ 

   他に リレーエッセイ  など

    あるきだす言葉たち  花尻万博

     「南紀」    朝日新聞127日夕刊より

       海苔拾ふ光にはつか禁霊区

       大太鼓白けて鯨煮られけり

      乱数も焚火の一つ枯木灘 


              

      

鳳12号

    鳳12号を紹介します。

春まけて   堀瞳子

     北窓を開き水平線ひらく

     春まけてはしばみの木に鳥色いろ

     金継ぎの紅志野茶碗花の幕

   水温む    高道章

     みひらきてちりめん雑魚の地に零る

     芦の角西より空の荒れ来たり

     地下鉄に鬢付け匂ふ浪花場所

   鴉の愚直    藤勢津子

     くるくると樽洗ひをる日永かな

     雀より鴉の愚直春の泥

     閑かさの内なる枝垂桜かな

 車座     浅井陽子

    韃靼の音に日暮るる送水会

    平等院御門の紫幕春の雪

    畦塗の鍬使ひ分く裏表

俳味箪笥箪笥からお気に入りの俳句を取りだし俳味を探る・・抜群の面白さ 

 手をついて歌申しあぐる蛙かな  山崎宗鑑   藤勢津子

 傷舐めて母は全能桃の花     茨木和生   堀瞳子

 うちあいて花こぼれけり藤の花  水落露石   高道章

 古希といふ春風にをる齢かな   富安風生   浅井陽子

古句交響 古い句とのアンサンブル・・

 春愁や草を歩けば草青く    青木月斗

  春愁や深呼吸して山仰ぐ     堀瞳子

  春の水掬ぶば色のなかりけり   高道章

  踏みしむる草の匂ひも春うれひ  藤勢津子

  風光る草の匂ひを膨らませ    浅井陽子      
四季を詠む 「木」より
風折れの桜は花を零さざる  高道章
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山元志津香句集「木綿の女」

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山元志津香第3句集「木綿の女」を紹介します。「ピアノの塵」(序・有馬朗人)、「極太モンブラン」(序・小澤克己)に続く第3句集。

  「八千草」俳句・連句会創刊主宰

 

 白南風や木綿の女になつてゆく

自然界からいただいた力を取り入れ、感謝の息をふっと吐くとき、と違ったの私の内奥の美が、体のある十七音に結晶してくると思いました。そこへ、ふと漏らされた姜琪東氏のひとこと「木綿は何回でも洗いが利くからね・・・」思わず迷っていた句集名が決定したという次第です。(「あとがき」より)

自選十句

 地のホック其ここ外し地虫出づ

 はつこひはうまごやしてふティアラから

しなやかな鬼女になりさう梅雨

山頭火になりきつてむしたたり

落ち蟬を反すや「(シエシエ)」と飛びゆけり

隼人瓜をとこも月に濡れたがる

尾花パラフィンに透く相聞詩

海晩秋禱りの棒切れ砂に

寒むや寒む言葉の崖はくちびるに 
 螺旋階段がんがん行くは寒九郎
    共鳴句 あれこれ 
 

夕ざくら琳派土佐派のどうでよし

 喪にあらぬ服が好き八重

 母の日へよちよち寄ってくる昔

 ちやほやとその一つ目のさくらんぼ

菊や(じょ)()の子と言はれきて

貝生まれしやうに死ぬるかな

無伴奏のバッハよ雪の夜の底

四次元へみな春を待つ譜面台

兆の上は京といふとか銀河澄む

まだ跳ばぬ夢たひらかや蝌蚪の水

ともすれば志功の天女となる昼寝

正論より邪論おもしろ猫じやらし

夏帽子虫の居どころ入れ替る

は無口にあらず白絣

租は田村麻呂かも知れぬ臥龍梅

諸葛菜いまだ滅びぬ名にゆれて

馬鹿貝はお利口なゆめ見くし

警報と飢ゑの少女期あかのまま

補陀落の風に耳寄す白露かな

つつしみて老ゆかん藤袴 

                 



 


 

四月・卯月です

              
    春分

  雷乃発声 かみなりすなわちこえをはっす

  玄鳥至  げんちょういたる

    清明 

  鴻雁北  こうがんきたす

  虹始見  にじはじめてあらわる

  葭始生  よしはじめてしょうず

    穀雨

  霜止出苗 しもやみなえいづ

  牡丹華  ぼたんはなさく
                    

    佐保姫の胸乳(むなち)(なり)に春の山   松瀬青々

 円かな春の山を見て、佐保姫の胸乳の形を感じ取ったのである。春を司る女神、佐保姫に、青々は吉祥天女を思い当てていたかも知れない。「向上の賦」と言う新体詩を書き、封乳―盛り上がった胸乳- という言葉を持っていた青々だから。     茨木和生編・著「松瀬青々」蝸牛・俳句文庫10より
 種蒔きぬ地におだやかな眼を冠せ  茨木和生      
 盆の箸つくる麻種蒔きにけり        〃

 きれぎれの雲がより来る接木して     〃

 鷹の子が鳴くよ話さず歩かうよ      〃

 峰々は奥まで晴れて山桜         〃
     海市・蜃気楼の句 
  蜃気楼は、大気中の温度差(=密度差)によって光が屈折を起こし、遠方の風景などが伸びたり反転した虚像が現れる現象。貝櫓、かいやぐら、空中楼閣・・逃げ水
 狐雨海市を見んと旅にあり          加藤三七子
 蜃気楼沖にも祭あるごとし        鷹羽狩行
 呑み込みし言葉の行方蜃気楼       曽根治子
 跡継ぎは海市に入りてそれつきり    柴田佐知子
 わが海市溢れすぎたる自壊かな      豊田都峰

海市かと今津の海を見続くる      松村富雄

              今月のお題は「思」です。
    4月7日に お題2句と雑詠5句を公開します。
  
         

「運河」句集祭 (天好園)

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3月21日、運河の句集祭が恒例の「俳句の宿・天好園」で行われました。

今年度は6冊の句集、句文集と評論の計8冊の出版をお祝いしました。

句集

  「桃の花」香江涼子

 春霞天上天下分かつごと

 青空のが大好き犬ふぐり

 スキップの子のうしろから春の風

 んぐんぐとおつぱいの子や日の盛

 はらはらとこぼれひらひらさくらかな

 「山河」小松美保子

 劇のキャラバンがる花菜畑

 家婦たりし日々懐かしき花貝母

 つい買うて畑には多き種袋

 花種蒔く光のめばえさうな土

 水に噎せ紙につまづき春深む

  「室生」 松田トシ

 田一枚養ふ山毛の目吹かな

 人麻呂を神を崇めて春田打つ

 命毛をすかして見たる芒種かな

 龍穴の水を引きをり苗代田

 時鳥神を柱とへけり

  「メメントモリ」「死を想へ」中野弘

 軒に注連田に帛を張る熊野

 睡りさめ睡りさめ熊野去る

 補陀落へ梛の病葉散る頃に

 メメントモリは「死を思へ」の意春愁

 閉づる力失せたるチュリップ散る

  「砂の輝き」杉田菜

 十も若く見らるる夏帽子

 実石榴やがすべてでありし頃

 おでん屋に一人で入る勇欲し

 結婚の話に及ぶさくらかな

 女ざかりきざかり晶子の忌

  「七野七種」山節子

 つらつらとつらなるいのちくわとのひも
 はやしけり京の七野の七種を

 お山から雨脚早し御田植

 懸想文ぎなたみしてゐたりけり

 鬼封じめたる春の雪
   
「藪山
里山地方の山きの日記と俳句」 佐保光俊句文集

 に水引ふれゐたり

 赤とんぼ向きふるとき光りけり

 山道を雉子立たせゆく二日かな

 大つらら樹液を含み濁りけり

 春の月子と自を買ひに行く
「熊野、魂の系譜」「歌びとたちに描かれた熊野」 谷口智行

(登場する人物)前登志夫、伊良子白、謝野謝野晶子、茂吉

釋迢空、スサノオ、梶井基次伊東雄、森敦、立原道造、

中村苑子、三島由紀夫、蕪村、萩原朔太中上健次

     
            

松井トシ句集「室生」

「運河」の天水集同人、松井トシさんの句集を紹介します。DSC_0288

 帯文
町村合併によって室生村は宇陀市に編入されたが、唯一の公共機関だったバスも廃止になった。近鉄大阪線室生口大野駅から歩くと一時間半の所にトシさんの棲む在所がある。猪、鹿の害に困っている地だが、トシさんはそこで野菜作りもしている。在所には中世からの連歌堂も残っている。句集「室生」はそんな地に惚れ込んで棲み続ける作家の句に満ちている。  茨木和生
      茨木和生抽出
  仕留めたる猪の毛山神に捧ぐ
  賑やかに来て靑々の墓洗ふ
  古事記の名そのままの字稲の花
  床下に寒施行して連歌堂
  船霊は母の髪の毛鰆船
  晩年は再びひとり冬来る
  上布着る齢をなりて解ること
  歌垣の野に摘み来る若菜かな

  松茸を競ひて御饌に在祭
  手拭に剣の一文字頬被

  お日さんの出て来る山を恵方とす
  十本の指重宝に粽結ふ
  
    春の句をいくつか紹介します。

  犬箱も這子も並べ雛祭

  紙雛の暮石の軸を雛の間

  祖母の着しべべと喜ぶ雛祭

  家に鍵掛けずに来たり蕨狩

      土塊を起せばふたつ蕗の薹     
      田一枚養ふ山毛欅の目吹かな

      人麻呂を神を崇めて春田打つ


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三月・弥生・やよい

           

  雨水

     草木萌動   そうもくきざしうごく  

  啓蟄

     蟄中啓戸   ちっちゅうこをひらく

     桃始笑     ももはじめてわらう

     菜虫化蝶   なむしかしてちょうとなる

     雀始巣     すずめはじめてすくう

     桜始開     さくらはじめてひらく
      今月のお題は「果」です

  果物、果実、果糖、果敢、果断、因果など・・果てないです。

「因果応報」人はよい行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがあるということ。もと仏教語。行為の善悪に応じて、その報いがあること。現在では悪いほうに用いられることが多い。「因」は因縁の意で、原因のこと。「果」は果報の意で、原因によって生じた結果や報いのこと。
果報は寝てまて、「果報」を正確に言うと「果」の方は、善いことをおこなったときによい結果が出るというように、因果が正しく廻ってくることですが、「報」の方は行為の結果がその原因どおりにならないようなむくいのことです。 いずれの結果がでるにしろ、「寝て待つより方法がないのだ‥‥」と開きなおった姿勢を教えているものです。

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  蕗の薹の 舌を逃げゆく にがさかな     高浜虚子

  蕗の薹 寒のむらさき 切りきざむ      橋本多佳子

  山峡を バスゆき去りぬ 蕗の薹       三好達治

  蕗の薹 食べる空気を 汚さずに        細見綾子

  蕗のたう 手まりの如く 揚がりたる      黒田杏子

 蕗の薹 焚火に焦げし 花開く        茨木和生

  水ぐるま ひかりやまずよ 蕗の薹       木下夕爾

 

        お題2句と雑詠5句を3月7日に公開します。


 

「宇宙」第86号

 「宇宙」86号
「宇宙」の発行所は静岡県駿河区である。島村正主宰の創刊のことばの一部「今、地方の時代であり、個性の時代。同人各位は、個々の個性を充分に発揮する場を『宇宙』と心得、『宇宙』を最大限(フル)に活用していただきたい」
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表紙絵のカット・矢澤賢一、題字・欧陽詢
「宇宙」アルバムでは、「ミュージカルお菓子放浪記」静岡上演の写真や、第
20回静岡市民俳句大会の写真など多数。
前回は 加用富夫 句集「大龍勢」の特集を紹介した。今回も楽しめるシリーズが圧巻!
「ふしあわせという幸福」(13)西村滋
犬も歩けば(40)矢澤賢一  
二合庵便り(15)田島明志  
俳句千夜一夜(18) 田島明志
公孫樹(16)木下惠三

    『去来集』を読む(29) 二瓶洋子 
 雪の富士」山口誓子

  駿府より山越しに見ゆ雪の富士
眼の前に聳つ快晴の雪の富士

  富士の雪肌理の細かな雪に見ゆ
主宰の句

  「有明の望の月」 島村正

何もかも設へてゐて無月なる

而して納得尽くの良夜かな

捨てがたき月有明の望の月

名月として十六夜の月を愛づ

月蝕はさて必見のミュージカル 

 観劇・お菓子放浪記(西村滋 原作)

 主星集より 一部

凩を来て弔問の襟正す        岡本虹村

御遷宮正殿址の天高し        梶野定義

 三猿をふところにして山眠る     亀山直江

 帆船に千の結び目天高し       杉山昌平

 カルストに欠片を落としうろこ雲   田島明志

 逆立ちの足が舟漕ぎ海鼠突く     富田兼雄

 いてふ散る空より生れて来しごとく  中塚久恵

 一面を栗が覆へる輪つぱ飯      二瓶洋子

 寒星を仰ぐ渋谷のど真ん中      馬場一扇

流れ星星にも身丈ありぬべし     八木裕子

蔓引けば蔓に落暉の烏瓜       八木斌月

案山子にもある軸足の土踏まず    矢澤賢一

こすもすの茎のひ弱し中也の忌   結木桃子

 大鷲に二つの握り拳かな       秋本惠美子



 特別作品

「雪蛍」 小林邦子

爽やかに見ゆ(まみゆ)白山下山佛

雪蛍ふはりと列の最後尾

綿虫のはつかの命囲ひけり

 「二足の草鞋」 篠原なつ子

きつかけは細やかな波青田波

水の街三島風鈴鳴りやまず

さはやかに二足の草鞋履きにけり

新連載季語の周辺「事物の季節」1   結木桃子

­―「春の季語となる事物」(1)―

 ”鞦韆・ふらんど・ふらここ・ぶらんこ・ゆさわ(は)り・半仙戯”

  鞦韆の語源は中国・唐代の宮中儀礼”鞦韆の戯れ”・・
皇帝の玄宗が、「羽化登仙」の感を味わえると言い「半仙戯」と名付けたと。

 ふらんどにすり違ひけりむら乙鳥(つばめ)  一茶

  鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし        三橋鷹女

  鞦韆に腰かけて読む手紙かな        星野立子

鞦韆に夜も蒼き空ありにけり         安住敦
   着物きてふらここを漕ぎゐたりけり   加藤三七子   

起源として、紀元前七世紀ごろの中国北方の遊牧民から・・古代ギリシャの祭り、インドの農耕儀礼として、女性がぶらんこに乗ったなど・・季語の背景がわかる。

特別作品「無窮の空」島村正

里山を搦 めとりたる葛の花

変哲もなきみんみんよ子規忌なる

穴まどひ七十にして惑ひけり

大綿に無窮の空のありにけり

一夜にて普天率土の雪の富士 

二月・如月・衣更着・きさらぎ

       2月   
     大寒   鶏始乳   にわとりはじめてにゅうす  1月30日~2月3日
     立春  黄鶯睍睆  こうおうけんかんす  2月9日~13日
          魚上氷   うおここりにのぼる 2月14日~17日
          土脈潤起  とみゃくうるおいおこる 2月18日~22日
          霞始靆    かすみはじめてたなびく 2月23日~27日
          草木萌動  そうもくきざしうごく  2月28日~3月3日

  何ごとも移りのみ行く世の中に
       花は昔の春にかはらず   
良寛

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春めくといふものに闇ありにけり 茨木和生

春めくと雲に舞ふ陽に旅つげり  飯田龍太

魂の一句を梅ケ枝に結ぶ     山田六甲

どこやらが冬どこやらが春の雲   後藤比奈夫

大試山の如くに控へたり     高浜  

村ぢゆうの畦あらはるる雪解かな  長谷川櫂  

鴨のしづこころを眺むしづこころ  上崎暮潮

下萌えて大地に詩のちにけり   竹下陶子   

岩あれば岩のりこえて下萌ゆる   鷹羽狩行

下萌や神の計とは不思議      畑廣太 

 今月のお題は「結」です。2月7日にお題2句と雑詠5句を公開します。
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   猫柳の芽と辛夷

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「薬師寺東塔水煙の天女」の拓本と水墨画

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拓本の「薬師寺東塔水煙の天女」は「運河」同人・西川徳蔵様の作品
水墨画の花篭は「遥照」同人・森脇八重様の作品
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「星雲」29号

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 鳥井保和主宰 「星雲」29号を紹介します。

季節の一句 はじかれて千々に乱れし恋歌留多  鳥井保和

            第二句集「吃水」より

 諸々の技法や思索を飛び越えたところに身を置き、ただ詩と向き合いたいと思う、そんな混じり気のない気質が生んだ句ではないだろうか。潔い。歌留多の冴えた渇き、「乱れし」と「恋」の字が視覚と情念の間に不安定に収まる。歌留多の句にして力感あふれた作品。 花尻 万博 (花尻氏は第二回攝津幸彦記念賞受賞)

星戀集

 杉の秀の高野仏都の霜月夜   鳥井保和

 海の門の白瀬逆巻く十三夜    〃

流星集

 敬老日嘘を上手に聞いてあげ  大倉義正

 蜜柑熟る紀文船出の碑の岬    〃

極星集

  胴太くうろこ密なるいわし雲    小林邦子

  稲光り亀裂の走る天の壁    竹正與

  橋脚へ来てとぐろ巻く秋出水  成千代子

  美丈夫の官兵衛が立つ菊人形  山田佳郷

普段着の衿を正して赤い羽根  岩本たき代

天星燦燦  鳥井保和選  一部

 軍配を高く軍師の菊人形  岡本 敬

 民宿の女将は漁師猪捌く  澤 禎宣

 秋澄むや巍巍堂々の紀州富士  園部知宏

 略歴な農ひとすぢや村歌舞伎  加藤行蕙

 白壁に影絵となれり風の盆   中川めぐ美

 フルートの細き指より秋の風  新井たか志

 新米の湯気高上がる竈釜    田島和子

 誓子の句碑巡り29(鳥羽ミキモト真珠島)

  眞珠島白葉牡丹も眞珠なり  誓子

    貝を手に浮上の海女に天高し   保和  

星座探訪28より 津川絵里子氏の星雲の俳句探訪 

 津川絵里子氏プロフィール;句集「和音」により第30回俳人協会新人賞受賞、同年第53回角川俳句賞受賞。2013年「はじまりの樹」により、第1回星野立子賞、第4回田中裕明賞受賞。現在「南風」主宰(村上鞆彦と共宰)

  季節の作品   「蓬莱」  津川絵里子

    甲子園春風町へ初電話

    蓬莱や赤子はわらふこと覚え

    餅花に集まるごとく相席す

    鳶・鴉・鷗を放つ寒さかな

    断面のやうな貌から梟鳴く

 天星集  青田風青田を越えてうすみどり  木下恵三

      あぢさゐや木戸の開く音下駄の音 中島利夫

      風鈴の時には風を突き放す    小林永以子

  風鈴はいつも風のままに鳴っている。この句は風鈴を「風を突き放す」と擬人化して詠んだところが面白い。風の言いなりになるばかりではないとばかりに、風鈴は大きな音を立てたのではないだろうか。

 昴星集  桜餅黙黙と食べ恋もなし      岸 穆

 星雲集  デニムシャツぱつと膨らみ青嵐    津本けい

             

 読み物では、大上敬史さんの「熊野を駆ける」熊野古道伝説紀行が始まった。伝説の地を訪れた写真と地図で判りやすい。新シリーズ! 

 身体の俳句29「触ること」 小川望光子

お医様のエッセイです。「医療とは触ることである」が、今では「画診」の時代!という触り(さわり)に「聴診器一本で済む時代は終りました」とのこと!納得しました。 
   星雲集鑑賞  坂本登(OPUS)     リレーエッセイ  など

2015年 謹賀新年

             2015年  
  
   新年あけましておめでとうございます
     
「木偶の会」の応援ありがとうございます。
       今年もよろしくお願いします。 

  元日の事皆非なるはじめかな  虚子

  正月の地べたを使ふ遊びかな  茨木和生

  元日の広げし絵図の中にをり   小澤克己

  元日や鶏のあとより牛の声    鷹羽狩行

  元日の苔のみどりが堂かこむ  阿部ひろし

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     今年初めてのお題は「頭」です。
   1月7日に お題二句と雑詠五句を公開します。
   

第21回 運河俳句賞 茨木和生選

                 
  
 運河俳句賞おめでとうございます。毎年12月「運河俳句賞」の発表があります。9月締切までに「20句」をそろえて応募するので、大変です。しかも毎月の20句を欠句しての応募は認められません。今回は茨木和生選のみを掲載します。
    茨木和生選
 第一位   真野の卯波      山近由美子
      渦潮をならず潮色変はれども
      崩れたる山肌あらは山桜
      濁りをれども湖に稚鮎汲む
      夕暮れの真野の卯波の荒れ来たり
      上陸は年に一度よ島祭

 
第2位    山河賛歌       檜尾とき魚
      蝮酒指す元気かと問ひたれば
      杣小屋の屋根は杉皮蛇の衣
      涼しさよ電気水道なき暮らし
      指笛の谺透きゆく良夜かな
      秋の虹山河讃へてゐるごとし

 第3位  雪だるま       たなかしらほ
     農小屋の半ば埋もるる深雪かな
     余呉百戸つなぐ小径の雪を掻く
     融雪の湯の出ぬここら余呉も奥
     寒雲の垂れをり賤ヶ岳の上
     吹雪けり呟きほどの日が差して

 第4位  皇居観桜      代田正雄
     ボディチエック受けて皇居の花人に
     列乱す人なく皇居花の道
     引き返すことは御法度花の道
     遠く来て皇居観桜日和かな
     道尽きて黒大門に花吹雪

第5位  三和の御田   山田悦子 
     降臨の祝詞のさなか夏鶯
     白シャツの豊年議員祓ひ受く
     麻緒結ふ青竹すがし水戸祭
     燻炭にそだつ早苗の濃き緑
     田の神の鳥居は丸太抜穂祭 
                       
     
   
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