お知らせ

「運河」創刊60周年750号記念祝賀会

DSC_0849「運河」創刊60周年750号記念祝賀会

H28年1月30日(土)

シェラトン都大阪 4F 浪速の間

 司会 浅井陽子・藤勢津子

主宰挨拶  茨木和生

語り・歌  バイヤーヤンジン

来賓祝辞 大峯あきら、辻田克己・尾池和夫 乾杯   藤田真一  

 祝宴  記念俳句大会受賞者表彰  など

閉会の辞   谷口智行

  入選作品

井上弘美 特選  子の影を月よりもらふ良夜かな  堀瞳子

岩城久治 特選  登登と山振振と鴨来る     浅井陽子

宇多喜代子 特選 立しさうで立たずにくづれ鷹柱  山尾カツヨ

大石悦子 特選  登登と山振振と鴨来る     浅井陽子

辻田克己 特選  カーテンに影が溌剌小鳥来る   林 周作

西村和子 特選  水無きが如くに澄みて神の川  山中悦子

山本洋子 特選  鷹渡るかはたれ星を従へて   福西泰子

茨木和生 特選  白鳥座能褒野の天に懸りたり  小林青波

  その他(入選は各選者20句)関係者のみ

天高く麒麟の耳の動きけり     池端順子

稲妻を拾へりラジオ深夜便     堀瞳子

楽しめり糸瓜の水を取ることも    工藤泰子

落鮎の鰭打ち合ひて流れけり    堀瞳子

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二月・きさらぎ

二月いんしゅん(殷春)、うめみづき(梅見月)、きさらぎ(如月・衣更月)、けんうづき(建卯月)、ちゅうしゅん(仲春)、なかのはる(仲の春・中の春)、はつはなつき(初花月)、ゆききえつき(雪消月)、ゆきげしづき(雪消月)、れいげつ(麗月・令月)、をぐさおひつき(小草生月)

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 半天は鳩に覆はれ節分会      鷹羽狩行

護摩焚いて黒炎立たす節分会    鷹羽狩行

節分の白兎の波がふくれきし     奥田節子
節分や性悪説に傾きて        二瓶洋子

東司まで下る難儀を節分會      中原道夫

わがこゑののこれる耳や福は内    飯田蛇笏

こだまする後山の雪に豆を撒く    飯田蛇笏

豆撒く声おこるわが家に灯ともせば  秋元不死男

須弥壇の三宝にあり年の豆     高浜虚子

節分の鬼役今日は免れて      稲畑廣太郎
灯の宮の春日明神年の豆      阿波野青畝

逃げやすき日を追ひ節分すぎの町  豊田都峰

鬼は外主なかなか帰宅せず     阿波野青畝
                          
 2月のお題は「前」です・
2月7日にお題2句と雑詠5句を公開します。

      


運河創刊60周年750号記念特集

DSC_0761「運河」は創刊60周年を迎えました。750号記念特集号を紹介します。

 「運河」についてー創刊の言葉   文・右城暮石

 会報誌として出発した「筐」も既に四十号に達した。会員の希望や新参加者の要望で、此の機会に「筐(かたみ)」を「運河」と改題して一進展を試みることになつた。

 「運河」は至極自由な集まりである。そして成るべき多くの集まりになることを希望する。質よりも量とは言わないが、量の中から質の生じることを思へば、余り性急に質ばかりに偏したことは言はない。先ず何よりも線香花火的には終り度くない。

 「運河」の作品は一口に言へば、各者各能であってよい。でたらめや負け惜しみで言ふのではない。出発早々から一色一列の作品を並べられる筈もないし、そう言ふ積りもない。只作品意欲だけは旺盛であり度い。少々俗つぽくても不死身の態度の中から、次第に本物が生まれて来ることを期待する。

 出発に当たって多少の抱負や希望もないわけではない。会員からの活発な意見もある。しかし今は多くは言はない。雑誌の上で言ふべきこと、遣るべきことをやらなければ、今何を言ってもはじまらないからである。

 誌名「運河」は思ひつきに過ぎない。たゞ四囲の濁りを入れて、水が豊かに平らかなのは見て悪い気持ちはしない。汪洋と言へば当たらないとしても、人工の痕を感じせしめない運河の風貌には、万人を容れるしたしさがある。常に自ら清(す)むを恃む気持ちがあるかないか。それは知らない。しかし何かを蔵する不逞さはたしかに感ぜられるのである。

 「運河」昭和三十一年四月号・通巻四十一号)

 創刊から三十年後の昭和六十年「運河創刊三十周年記念合同句集」が発行された際、当時編集長であった茨木主宰は〈あとがき〉にこう記された。「運河は流れつつ、水量をゆたかにし、もろもろの濁りを、澄みを集めて、何ともいえぬ水質の流れになっている」と・・(谷口)  

鳥井保和主宰「星雲33号」

鳥井保和主宰星雲33号を紹介します。

季節の一句 寒砂丘掬へば砂の温かし 鳥井保和 第1句集「大峯」より

 DSC_0732遠景と近景の妙、また温感の差、句評の落とし処を探れば幾つもの切り口が試される句であろう。大上段に構えた表現「~ば」の精度にも氏ならではの情感が走る。冷たい景色に反し掬った手には温かい砂、その砂に微かな潤いさえ感じ、その潤いが寂とした生死の不思議を呼び起こす。

     花尻 万博 (花尻氏は第二回攝津幸彦記念賞受賞)

星戀集
 仮の世のごとし一切霧高野 鳥井保和
雲一朶高天原の柿日和    〃 


極星集

   天高し園児の声のなほ高し    岩本たき代

   月光につながれてゐる砂丘かな   小林邦子

   秋光や出雲は神の都なる     竹正與

贈られし箸に亀の絵敬老日    成千代子

   花街はわづか三丁照紅葉    山田佳郷  

天星燦燦  鳥井保和選  一部

  塩梅は老舗の秘伝秋刀魚鮨   澤 禎宣

  神木と知らで刺しゐる鵙の贄   園部知宏

  浦祭海に斎竹渡御の道     松本淳子

  和紙よりもうすく流るる秋の雲    吉田捷子

秋霖や苔のにほひの水子仏     加藤行蕙

だんじりの団扇発止と遣り廻し   中川めぐ美

椋鳥の一羽の翔てば百の影    新井たか志

撫子や「飛鳥美人」のおちょぼ口   土江祥元

子蟷螂はや剣客でありにけり    岡本 敬

地獄谷噴煙染むる秋夕焼    田島和子

溝蕎麦を縫つて瀬音の光りをり   小林永以子

天高し紀州青洲志        中嶋利夫

血の池となる紅葉の心字池    木下恵三

秋天を窓に映して摩天楼     小川望光子

                 

誓子の句碑巡り33(関ヶ原・歴史民俗資料館前)

   秋雪積みて全白となる関ヶ原  誓子

     鵙猛る天下分け目の合戦地   保和

 特別作品

「秋の航」 正與

秋の航碧一色の駿河湾

一湾に富士の峙つ秋高し

洋上の天に迫リ出す秋の富士

     「天心の月」  平岡妙子

    天心に淡き三日月萩の風

    澄み渡る天心の月孤高なり

    まろびゆく落葉の重さ軽さかな

 

星座探訪32より 冨田正吉氏の星雲の俳句探訪 

 冨田正吉氏プロフィール;「朝」同人、俳句協会幹事。第一句集「父子」、H3年第2句集「泣虫山により第15回俳人協会新人賞受賞。H13年第三句集「卓球台」上梓。

   季節の作品
  「春」  冨田正吉 

 父と子の年の差をかし遠蛙

 飛ぶは飛ぶは泣虫山の杉の花

 引返すことなき風の光るなり

   星座探訪  一部

天星集  神と居る糺の森の木下闇      小林永以子  

 一時半二時半三時明易し      小川望光子

昴星集  特攻兵舎いま廃屋に梅雨の月    奥井志津

星雲集  清姫も渡りし河か鮎上る      組口庄司

     和歌山県の道成寺は安珍・清姫の伝説で有名。この伝説は能・舞踊・邦楽でとりあげられている。その伝説を踏まえた作品である。眼前の鮎の川からの場面展開が見事である。
 読み物

「熊野を駆ける」熊野古道伝説紀行5 大上敬史

白鳥の関・小町堂・川辺の六地蔵尊・布施屋・矢田峠・・など

 矢田峠和歌山市禰宜)和佐山の峰には、黄金千枚、朱三石を埋蔵し、村民飢渇のおりはその用に備えたと伝わる。・・近年、高積山の麓で黄金や小判ではないが、大量の古銭を見つけたという逸話も残る。・・
身体の俳句33「体育のこと」 小川望光子   体育は苦手でした。

 跳箱の突き手一瞬冬が来る    友岡子郷

 二十のテレビにスタートダッシュの黒人ばかり 金子兜太

 木枯しや家まで三千六百歩   小川望光子

昴星集燦燦   鳥井保和 

 水底の石にも影や秋澄めり      前田長徳

百の田の百の畦みち曼珠沙華      平岡妙子

飛騨の宿丸太刳り貫く大火鉢      服部久美  

夕焼の父の海あり沖縄忌        内山恭子  

星雲集鑑賞  坂本登(OPUS

 蜜柑咲き温室みかん売られをり   下村ツヤ子

 藤棚のむらさき重き夕べかな    大坂 弘

雨あとのすぐに繕ふ蜘蛛の糸    森本潤子  

第十一回日本詩歌句随筆評論・協会賞「俳句部門・奨励賞」

                      「紀の春」    花尻万博        三十句より

 冴え返る九絵は瞼を厚くして

 古道や夕湿りある草の餅 

 木の国や潮にたはむ蝶の角

 切れ切れに柳の中の夕日影

 失ひしもの探すかに貝揺れる

                

 リレーエッセイなど

2016年1月

      2016昭和28年1月
P1080879 加島祥三

求めない-

すると

 いま自分にあるものが

素晴らしく思えてくる

求めない-

すると

 ひとの心が分かりはじめる

 だって、利害損得でない目で見るから

 あらゆる生物は求めている。

 命全体で求めている。

 一茎の草でもね。でも、

 花を咲かせたあとは静かに

次の変化を待つ。

そんな草花を少しは見習いたいと、

そう思うのです。

ぼくが「求めない」というのは

求めないですむことは求めないってことなんだ。

すると

体のなかにある命が動きだす。

それは喜びにつながっている。

    

 今年初めてのお題は「立」です。
 本年も「木偶の会」をよろしくお願いいたします。

   17日にお題2句と雑詠五句を公開します。

第61回角川俳句賞候補作品「西ようず」②

       俳句」2015年11月号より転載 
 第61回角川俳句賞候補作品「西ようず」 谷口智行 
「西ようず」  ①の続き

白南風に船出す筵破りかな

かはせみの来て埴土の崖穿つ

松脂に捲かれ天牛絶命す

ふるみちの果神さびの滝かかる

瀬に漬けて鯵の干物をもどしけり

猿醤ねぶれる水中りの閨に

薔薇病んで即ち能火野人(のうくわやじん)かな

青海亀寄り来流竄の神のごと

無患子の山蜜切りて夏惜しむ

田の神を祀れる稲場より鶉

焼栗やちかきむかしの炭飢饉

落とし水流せる川にせいご)くる

健次忌の辻々に立つ青をんな

川施餓鬼藁の舟方燃えのこる

橙は死人の路銀精霊舟

乳いろの貝砂敷きつめ盆の墓

   

厠までほーいほーいと猪やらふ

盆魂の来てゐる家のお葬式

ぬかご採る百円傘を下に受け

芋茎なる縄暖簾かと触れたれば

牡鹿(をが)の角月の光をかへしけり

恋の牡鹿角の股数鳴くといふ

炉明りや草鞋の縁に四つの乳(ち)

鮎をあい粥をかいとて榾をつぐ

流れ藻を柑子蜜柑の肥とせる

冬に実をむすぶは哀し冬苺

修羅落し修羅に打ちたる水凍る

雨乞も日和申しも神楽歌

かもしかの糞の両端尖りをり

冬凪や正月餅を搗かぬ村

鮫の胃を割きて沖醤蝦汲み出せる

数へ日の軒に晒せる鹿の枝

黒枠のなかもよかれと年木積む

荒磯廻にひろふ流木年の暮


        

第61回角川俳句賞候補作品「西ようず」①

   「俳句」2015年11月号より転載 
 第61回角川俳句賞候補作品「西ようず」谷口智行

「西ようず」 50句より 

ふくらかにしなふ浦波初しののめ

払暁の寒九のうしほ汲み来たり

ぞんぶんにの芽喰うて角落とす

深更のちひさき地震にほろろ打つ

水の上の山桜とは反りかへる

海底は沈木の森西ようず

黒文字の花や狸の恋ざかり

鰹釣るこゑ山番の無線機に

きりぎしの道の曲りの緑雨かな

磯馴松磯馴姥目に薬降る

浦越しの風に海蘿を掻ける音

海びらき野良の神職きて祓ふ

端居して元筏師は海知らず

草笛も草鉄砲も悪達者

籠罠の浮子はキューピー頭蟹とる
       続く

       
 

第二十二回 運河俳句賞

         
第二十二回 
運河俳句賞 

     運河俳句賞の一部を紹介します
 茨木和生選

   第一席 「海蛸」   田中久幸

 流されて四年経し駅草いきれ

 夏草や瓦礫で建てし記念館

 復旧の駅に来て鳴く雉かな

 軽暖の嵩上げの土なほ足らず

 海蛸を糶る津波後三年育てきて

   第二席 「魂送」   上野山明子

 蟾蜍(ひきがえる)逃げるよ思ふより早く

 蝉の穴大火の後の翌年も

 落鮎や戦なけれど山河荒れ

 目印に青竹掲げ魂迎

 空家の庭がにぎやか地蔵盆とし

    第三席 「御田植」  鈴木玲子
 日の神を祀る別宮御田祭

 大団扇煽げと下知や御田祭

 降り立ちて簓(ささら)童子の田舞かな

 凛凛と歌ふ童子の田植唄

 田植唄歌ひ宮にと踊り込む
   第四席 「風の広場」  工藤泰子

 海色のシートを屋根に海の家

 水際まで歩いて行きし浮輪の子

 灯台の沖の平らか海桐の実

 猫じやらし風の広場といふ浜の

 風の色風の広場に見つけしと

  第5席 「初飛行」  たなか しらほ

ロンドン塔ロンドン橋も冬の霧

街道の白樺並木みな枯木

マロニエもアカシアもパリ落葉期

ユングフラフ電車にスキー客溢れ

城壁に掛かる日時計冬日燦

吉沢紀子 一席 「海蛸」   田中久幸

2)盆用意 御江恭子 
 3)竹誕日 本郷をさむ 
 4)太公望 畑道子 
 5)豊の秋 福田とも子

谷口智行 一席 「寒夕焼」 山尾カツヨ

 霧雨の空のまぶしく麻酔覚む

咳やつとをさまりぬぐふ涙かな

消灯の病舎を包む冬銀河

点滴の師走の刻をきざみをり

新生児室は総玻璃冬ぬくし

2) 鎮魂の歌  小林怒水

鎮魂の火か戦跡の蛍火は

揚花火無名戦士の墓照らす

寝ねがての宿坊に火蛾舞ひ止まず

芥なき川に合掌原爆忌

露けしや皇居に遺る防空壕

3)世界    土屋隆一郎 
 4)豊年    山崎英治 
 5)平野の蟇  前田景子

  選者特別賞

藤勢津子選    海蛸    田中久幸 

浅井陽子選    魂送    上野山明子 

矢野典子選    豊年    山崎英治

森井美知代選   豊の秋   福田とも子

水野露草選    御田祭   鈴木玲子

田辺富子選    平野の蟇  前田景子

山内節子選    献上鮎   河村美登里

高松早基子選   海蛸    田中久幸 

大和愉美子選   神の島   永田英子

堀瞳子選     片思ひ   香江涼子 
                



十二月・師走・極月・蝋月

 12月師走DECEMBER

 角川「俳句」12月号「今日の俳人」に掲載!

       「皃」 谷口智行

  橡の実の粃(しひな)浮きたる田溝かな

  錯綜のなか一線の烏瓜

  忍び射ちとて猟犬を連れゆかず

  虎河豚の皃料理屋のごみ溜の

  あかぎれの香油にほへる酢飯かな

  沈黙交易歳市のひとところ

  ゐのししの立剥ぎを見に来いといふ
俳句賞の中でも角川俳句賞は・・すごい!たくさんの応募句の中で、予選を通過するだけでも快挙です。応募するだけでも偉い!尊敬です!惜しくも入賞を逃した中には・・こんないい句が・・・とりあえず。。友人枠ということで、勝手に選ばせて頂きました。
  「今朝のバス」 嵯峨根鈴子 

  ミシン目に峠ありけり色鳥来

  神の手のさつと掠めしゆりかもめ

  今朝のバスサンタクロース貼りつけて

   てぶくろのわめく形やまた嵌める

  両乳房寄せて悴む帝国ホテル

  段通にかかと浮きをり風邪ごこち

   つつしんで狐が語るわたしの言語

  かんたんな夜がきてゐる白ふくろふ

      「猫鳴いて」 利普苑るな  

  しぐるるや紅き表紙の「遊女考」

   一弾に矢となる犬や兎狩

   枇杷咲くや砂に昨日の泥団子

   猫鳴いて初夢のこと有耶無耶に

  蝋梅や棘の鈍りし鉄条網

   狐鳴く集合写真中の吾

   寒椿彼の世いよいよ賑へる
       水仙やなべて海向く異人館     
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「ふらんど」 さわだかずや

  養花天葬列半ばよりまばら

  城やがて山となりけり笑ひけり

  足跡もなく花守は去りにけり

  春夕焼文藝上の死は早し

  もうすでに花に生まれてゐる頃か

  眠くなる前から眠し春の昼

  やい鬱め春あけぼのを知りをるか

  花ですから死んでしまつてよいさうです

  復職はしますが春の夢ですが

  鞦韆のめがけてきたる側頭部

  女見る目なしさくらは咲けばよし

  春昼は春の昼なり嗚呼死にたし

  眼鏡からビーム出したしご開帳

  虚子の忌の回転寿司の皿詰まる

  ふらんどのひとつは父のためにあり
  さわださんには京都の大会でお目にかかったことがあります。追悼の気持ちをこめて紹介しました。
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   今月のお題は「満」です。

12月7日にお題2句と雑詠5句を公開します。



11月・霜月

     霜月(しもつき) 
霜月について、平安末期の歌人・藤原清輔(ふじわらのきよすけ)は『奥儀抄(おうぎしょう)』で、「十一月(しもつき)、霜しきりに降るゆえに霜降月(しもふりつき)といふを誤(あやま)れり」と、多く霜が降る月が誤って霜月になったと記しています。11月の霜月説はこの藤原清輔の解釈がほぼ定説になっており、異説はあまりありませんが、陽光が弱まり、ものが「凋(しぼ)む月」、が霜月に転訛したとする説があります。月の別名としては、冬籠りをする前の雪を待つ「雪待月(ゆきまちづき)、雪を見る「雪見月(ゆきみづき)。10月に出雲に出向いた神々が帰るので「神帰月(かみきづき)」。収穫感謝と来年の豊作を願う里神楽が各地で催される「神楽月(かぐらづき)」(ネットより)。
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     流れ行く大根の葉のはやさかな    高浜虚子

     死にたれば人来て大根煮きはじむ  下村槐太

     屋上から大根の葉が墜ちてきた    金子兜太

     大根のぐいと立ちたる天気かな    原田 暹

     大根擂る欲望なんてあるにはある   永島理江子

     ぬぬつと大根ぬぬぬとニュータウン  今富節子

     東海道松の並木に懸大根     吉屋信子

     味噌たれてくる大根の厚みかな   辻 桃子

     干大根南無南無日向呆けしたる   中原道夫

     干大根しつかりせよと抱き起こす  中原道夫

     偵察衛星大根が煮くずれる     櫻木美保子

     新大久保の大根キムチ色の空   夏井いつき

     大根干す人を父かと思ひけり    大串章

     昼月のやがて薄らぐ懸け大根    嵯峨根鈴子

     段々に大根干せり濤の音     菅原庄山子

    今月のお題は「名」です。11月7日にお題2句と雑詠5句を公開します 

  旅人と我名(わがな)呼ばれん初時雨 芭蕉

                                            

       

「星雲」第32号

    

 鳥井保和主宰星雲3を紹介します。

  季節の一句 菊日和塵もとどめぬ坊の廊 鳥井保和            
 第2句集「吃水」より

 各地の寺院を巡り歩く程信心深くもないが、それでも人並みに何箇所かのお寺を訪ねたことはある。中には靴下を脱いで入館を許された所もあった。信仰の浅深の差はあれ、自身の体が映るほど美しく掃除された寺院の床には何度も驚かされた思いがある。句はその景色を詠んだもの。技巧の溺れが全く見えない直球の詠みっぷり。菊日和が一段と冴える。
 花尻 万博 (花尻氏は第二回攝津幸彦記念賞受賞)

  星戀集

    あをあをと山河八十八夜月   鳥井保和

    補陀落の沖に熊野の盆の月    〃

 極星集

   鐘楼に虻来て突く放哉忌      山田佳郷

石清水掬ふ十指の透きとほる    岩本たき代

   雲海の上雲のあり嶺のあり     小林邦子

   林立の桧山杉山月涼し       竹正與

風貌の正に神鹿袋角        成千代子

  

  天星燦燦  鳥井保和選  句は一部

  激つ瀬に苔生す岩の夕河鹿    澤 禎宣

  舌先の三寸真つ赤かき氷     吉田捷子

夏草や根来古刹に矢弾痕    土江祥元

大奥の栄華を今に牡丹園     園部知宏

  御田稚児足の先まで白粉刷き   中川めぐ美

雪渓や銀明水てふちから水     加藤行蕙

  夜這ひして百足虫強か叩かるる   岡本 敬

  相伝の枯山水の草を引く      木下恵三

  勲章は兄の命やしぐれ      新井たか志

魂の海を見てゐる特攻花     小林永以子

光るとき腹に力の螢かな      小川望光子

  隧道の鑿跡覆ふ苔の花      田島和子

  家中が軽くなりたる更衣      中嶋利夫

  宮の杜緑蔭教室隣り合ふ     松本淳子

 特別作品

「トルコの旅」 加藤行蕙

 オスマンの築きたる国朝焼けて

 どこからも見ゆる尖塔鳥わたる

 ラマダーンのモスクの天にいわし雲

     「夜光虫」  前田長徳

   一舟の水平線や雲の峰

 水脈曳いてたまゆらひかる夜光虫

   夏濤の巌の雄叫び海金剛

    

  誓子の句碑巡り32(高知県・若宮公園)

   秋の暮山脈いづこへか帰る  誓子

  永き日のなほ永かれと野に遊ぶ  波津女

    木漏れ日の水路に沿うて著莪の花   保和
星座探訪31より 津川絵里子氏の星雲の俳句探訪 

 津川絵里子氏プロフィール;句集「和音」により第30回俳人協会新人賞受賞、同年第53回角川俳句賞受賞。2013年「はじまりの樹」により、第1回星野立子賞、第4回田中裕明賞受賞。現在「南風」主宰(村上鞆彦と共宰)

  季節の作品「秋」  津川絵里子

    見えさうな金木犀の香なりけり

    かりそめの日のさしてゐる茸かな

    秋草に音楽祭の椅子を足す

   天星集   闘鶏のおのれ負けたること知らず  吉田捷子    

      蜃気楼村のバス停浮子のごと    中嶋利夫

    昴星集   一ト竿に洗濯物と大根干す     大野良子    

   星雲集   吐息ほど吹けば細かな石鹸玉    森本潤子
      

  読み物

     「熊野を駆ける」熊野古道伝説紀行4 大上敬史

 恋ざめの淵(和泉式部が顔を洗ったと伝わる)、信達一ノ瀬王子、琵琶懸、澤四郎善眞の石碑、堺橋など。   日本最後の仇討場と伝わる境橋。JR阪和線の東側に残る。写真は電車と撮影されている。

     身体の俳句32「癌」 小川望光子

   おい癌め酌みかはさうぜ秋の酒  江國 滋  

   冬木の枝しだいに細し終に無し  正木 浩一

   葉桜のまつただ中に生還す    石 寒太

 昴星集燦燦   鳥井保和 

   ポケットの中まで炎暑入りけり   平岡妙子

   天地の霊気轟く那智の滝      前田長徳

   万緑に産声大き男の子なり     服部久美

   桜鯛跳ねて値札をとばしけり    大野良子

   血天井あふぎて辞する炎天下    岡田麻里

   硝子器と匙のふれ合ふ夏料理    内山恭子

   柿若葉今が青春日々楽し      古谷とく

 星雲集鑑賞  坂本登(OPUS

    お地蔵の見守る無人みかん店  天倉都

    合格の絵馬の楷書や初天神   森本潤子

    手術待つ長き廊下の余寒かな  下村ツヤ子  

   リレーエッセイ  など

                


 

茨木和生句集「真鳥」

茨木和生句集 「真鳥」 (まとり)を紹介します。DSC_0249

 生きて元気でいられるから俳句が詠めるのだと日々感謝をしている。

七十歳も半ばを過ぎて、ますます自然をありがたいものと思うようになった。しかし、このところ自然は人間の手によって荒らされていることを嘆かないわけにはいかない。東日本大震災と福島原子力発電所の事故は言うまでもない。山に目をやれば、楢枯れ現象は留まるところがない。杉楢の植林も手入れのされない山が増え続け、山の竹林化のスピードは進むばかりである。

 日本の自然は本当に美しいのかと問いなおしてみたい思いでいっぱいである。せめてもの罪滅ぼしでもと思って、那智の滝水を守る、吉野の桜を守る募金活動の輪をもっと広げることに力を入れたいと思っている。自然を心底ありがたいと思って句を詠める日の来ることに微力を尽くしたい。こんな私の思いが、この句集に少しでも反映されていればうれしい。

 句集名の「真鳥」とは見事な鳥とおい意味で、多く鷲のことを言う。犬鷲の営巣地が近くの生駒市域にあって、私の住む平群にも飛来していると聞いて詠んだ巻尾の句からつけたまでである。・・後略・・   あとがきより

   

   自選10句

地震にて落ちし大岩日の盛

どぶろくはぐいぐいと呑め鎌祝

阿弖流為をここに呼びたき薬喰

春山に雲を見てゐて動かれず

蟻抓み損ね損ねて稚遊ぶ

教室の中も萌え岩草いきれ

大阪の日差穏やか青々忌

大袈裟に咲くものあらず山桜

蛇も迂闊われも迂闊や蛇を踏む

年の暮採餌に真鳥飛び来たり

     平成24年

名前なき仔猫をみいと呼べば来る

熟れのよき宇多喜代子が為成す
木の化石木の葉の化石冬あたたか

大峯に立つ屈強の雲の峰

日陰より日差もよけれ秋口は

  平成25年

ギヤマンに入れたるオールドパーの色

ふくらみて来たり桔梗の花袋

海出でてますぐの日差稲の花

花野広がる花嫁に花婿に(杉田菜穂さん御結婚)

日輪のことににこやか御遷宮

  平成26年

蝶飛んで運び行くなり祝婚歌(祝婚・教へ子工藤総君)

戦争を知りゐる樹々も山桜

みちのくの朝日やはらか青りんご

神語りして初秋の望を待つ

安騎生ゐずなりたる年の茸狩

                      
          

10月・神無月・かんな月

 星の綺麗な季節が来ました。スーパームーンも観れました。
 賢治忌やどこまでゆけど地球人  利普苑るな

秋の星の季語 秋北斗(あきほくと)、白鳥座(はくちょうざ)、ペガサス

星月夜、 ほしづきよ、 流星 、 流れ星(ながれぼし)、夜這星(よばいぼし)、

 星流る(ほしながる)、星飛ぶ(ほしとぶ)、 星走る(ほしはしる)

碇星、 いかりぼし、  カイオペア‥・・・

    碇星炎人影へとなびく         高橋将夫    

   カシオペア見つけたるより星流れ     稲畑汀子

   あれオリオンこれカシオペア星月夜    稲畑廣太郎

   星月夜宇宙の底に居て一人      大沢春草

   広辞苑端麗にして星月夜        鈴木光彦
  今月のお題は「向」です。
       10月7日にお題2句と雑詠5句を公開します。

    向うより誰か見てをる碇星       今木偉郎  
 

    オリオンへ向く大年の滑走路      奥坂まや

DSC_0156国立天文台・岡山天体物理観測所の大ドームと188センチ反射望遠鏡

建設中の京都大学新型天体望遠鏡(複数の鏡をコンピューターで制御)
天体クラブの望遠鏡(口径32センチ)お月見でデモしてくれました。(当日は月は出ませんでしたが・・)

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吉備野9月号(通巻271号)

 吉備野 平成27年9月号(通巻271号)

 赤木ふみを 主宰 の俳句誌「吉備野」を紹介します。

隔月発刊   創刊は昭和459月  発行所 岡山市北区東花尻

    師系  吉田冬葉ー高原一馬ー太田蘆青  

大須賀乙字の俳論を基本とし、生きている今の実感、季節感を大切に有季定型を守り楽しく集える会、地方発信を目指す。
                

 先師の一句

  キチキチと鳴かねば跳べぬばつたかな  高原一馬

  雲二つ動けばひとつ今朝の秋    太田蘆青

   主宰の句「海鵜」より       

羽搏きて風を呼び込む海鵜かな  赤木ふみを

のうぜんの絡み虚空を探りけり    〃 

      「台風」  大森哲也

    萩盛ん官兵衛指揮の沼堤

    台風の眼や牧水の親子歌碑

      「汗手貫」 浮田雁人

    閼伽桶に水汲む僧の汗手貫

    鬼灯の色づき初めし書院かな

 「桃源郷より

あの頃は皆痩せてゐし終戦日      曽根薫風

の株に影生る青田風       高木峯子

かき氷の山へ姉妹の匙ふたつ      内藤吐詩朗

暁天の色たらしこむ大賀蓮       佐藤宗生

すれ違ふ球児日焼の脚太し       難波政子

池の面に伸びる松ヶ枝蝉の声      横田多禾

息あはす子供代表ヒロシマ忌      武田佐自子

花火揚がりねぶたの街の動き出す     安藤加代

 「桃源郷」の秀句展望  土井視砂子

    夏草や伸び伸びとして過疎の村  太田如月  
 「黄薇の栞」の秀句展望 大森哲也 
    万緑の揺るがす指やゆるぎ岩  左居正恵 等     
「吉備野雑詠」は 赤木ふみを 選
        文章 

     「吉備国原」句碑と散歩(43)大森哲也 
   美作市久世の芭蕉句碑「初しぐれさるも小蓑をほしげなり」
      岡山歳時記(139)  正垣セツ子

             「鯉が窪」  西の尾瀬沼と形容される湿原
                 蜻蛉生る沢音清し鯉が窪   セツ子
「シミ(紙魚)を悪く言うな」松野富太郎さんのご高説から」 坪川山彦

坪川さんは作曲家 、ご高説!植物学の伝説的巨人牧野博士によると、植物の名称の間違いを俳人がいつまでも改めず固執している・・・と言うことらしいが・・耳が痛い!  
                
   
   特集­戦後70年­― 私の戦前・戦中・戦後(2)文章と俳句(タイトルのみ紹介)
 私達夫婦の岡山空襲の思い出

    生き延びた命惜しめよ終戦日   大野敞一

  山梔子の花

    揚花火戦争知らぬ母と子と   土井視砂子

  福山の空襲

    炎天下軍事訓練まつたなし   武田尚石

  私の戦中記

    瓦礫踏む足裏の熱し終戦日   武田佐自子

  青空階段教室

    春塵や城址の磴に坐す授業   大森哲也

  戦争末期の私の家

    八月や語部も減り古希しるす  三宅暁美

  戦争の思い出

    梅雨泥に伏して空襲避けにけり   虫明淑子

  走り書の手紙

    炎暑いま思ひ出たどる走り書    山本実子

  あの日の空 

    終戦日味噛みしむるにぎり飯    平澤敏子

                

島村正句集「一億」

     「宇宙」主宰 島村正 句集「一億」を紹介します。DSC_0354                                          

    装画  歌川広重  大はしあたけの夕立   
一億の蟹の念佛雲の峯       一に富士二に昇龍のいかのぼり

若水の声々神の声なるよ

寒星の布石刻々密になる
一村にして花堤花岬

草笛に星雲の志のよみがへる

ででむしに火急のときもありぬべし

巡回の農夫に青田青凝らす

ありありとあり灯の列の登山道         
いつときの天下も天下雲の峯
箱庭にしろがねの富士ありにけり
カーテンに風の集まる夜の秋         
平時にて平時にあらず原爆忌      
大夕立飛脚のごとき雨脚よ       
太陽に月にみちあり月涼

                                  

                        

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