瞳子の俳句逍遙⑳
「天塚」令和6年3月号
晩年の色とも紅き冬椿 宮谷昌代
思わずはっとなった一句。埋み火のような冬椿の紅い花びらは、晩年の心の有りようとも思える。思い浮かばなかった句。
難民を乗せるに小さき宝船 宮谷昌代
常にどこかで戦争が起こり、幼い子ども達が巻き込まれる…止むことの無い戦争。「宝船」に託して祈りを込められた。
「WEP俳句通信VOL.138」
森山久代 近詠7句 「鳰の海」より
日当りにゐて足元の寒さかな 森山久代
句会や吟行に労を惜しまず、全力を傾けて俳句を楽しまれている。素直な心情の詠みぶりに、いつも納得させられる。
冬麗の山なだらかに野に和して 森山久代
関西に住むと急峻な山は少ない。吟行に出かける度に山はなだらか……と言うイメージを持つ。冬麗では尚更。その中で「野に和して」と紡がれたことが、ひと味違った句になり、思いの伝わる句になった。