引きこもりすぎて、日記の書き方がわからんくなった。
えっと、カメムシの成長記録とか書けばいいんだっけ?
えっと、カメムシの成長記録とか書けばいいんだっけ?
1がつ1にち はれ
テレビで おとしだまというものを しった。
お母さんに おとしだまを くれと言ったら、しぶしぶ かめむし をくれた。
はじめてなので うれしかった。
がんばって育てます。
それにしても、くさいと思った。
1がつ2にち はれ
かめむしは まだくさい。
いつになったら いいにおいに なるのだろうか。
おかあさんは、うそを言ったのだろうか。
ちゃんと育てれば、いいにおいに なる。
そう 言った。
ぼくは がんばる。
1がつ 3にち はれ
かめむしを さんぽに つれていった。
だけど においは まだくさい。
1がつ4にち くもり
かめむしに なまえを つけた。
げんざぶろう という なまえにした。
かぞくからは げんさん と呼ばれている。
したしみやすい やつだ。
1がつ5にち あめ
きょうは あめだったので、1日じゅう げんざぶろうと あそんだ。
手がくさくなったけど 少しなれてきた。
もしかしたら げんざぶろうの においが 少しあまくなった のかもしれない。
しょうらいが 楽しみだ。
1がつ6にち はれ
てれびの ニュースで ぼくくらいの子どもが
おとしだまについて聞かれていた。
そいつは 「500えん」 と こたえていた。
ぼくは 1っぴきしか もらっていない。
おかあさんに聞いたところ、「あなたは100えんよ」 と こたえた。
どうやらあいつは、5ひきもカメムシを もらったらしい。
でもぼくは げんさんだけで いいんだ。
1がつ7にち はれ
朝おきたら げんさんが いなかった。
おかあさんと おとおさんが 「げんさん!!」と言いながら さがしてくれた。
でもぼくには 分かっていた。
げんさんは もどってこないんだ。
きっと、ぼくがピーマンを のこしたから。
げんさんは おこったんだ。
ぼくはピーマンが 大きらいだけど、げんさんが 大すきだ。
だからぼくは ピーマンを食べる。
そうしたら げんさんは、かえってくる。
ともだち だから。
1がつ8にち あめ
げんさんは かえってこなかった。
なみだが とまらない。
とめかたが 分からない。
もう おとしだまなんて いらない。
1がつ9にち
1がつ10にち
1がつ11にち
1がつ12にち くもり
おかあさんが にっきを 書きなさい と言う。
書くことなんて なにも ない。
1がつ13にち はれ
きょうは はれました。
1がつ14にち くもり
きょうは くもりでした。
1がつ15にち はれ
きょうは はれました。
1がつ16にち はれ はれ はれ
きょうは はれ はれ はれました。
みちを 歩いていたら げんさんを 見つけた。
たんぽぽの うえで お昼ねしていた。
ねすぎだよ げんさん。
ぼく ずっとまってたのに。
ぼくは うれしくて うれしくて うれしかった。
においも くさかった。
これは、まちがいなく げんさん。
げんさん、おかえり。
1がつ17にち はれ
きょうも 1日じゅう げんさんと あそんだ。
けんじ君が あそびにきたけど、げんさんを いじめようとするから かえした。
けんじ君も ともだちだけど、げんさんは しんゆうだから。
1がつ18にち あめ
おかしいよ?
朝おきたら げんさんが うごかなくなっていた。
においも くさくなかった。
でこぴんしても うごかない。
いつもなら これでおきるのに。
げんさん しなないで。
またあそぼうよ。
げんさん おきて。
ぼく ピーマンも 食べれるよ。
さんすうも できるよ。
げんさん おきて。
くさくても いいから。
1がつ19にち はれ
ゆめの中に げんさんが 出てきた。
いろいろなことを おしえてもらった。
だから 朝おきて げんさんに あいさつした。
げんさんは もう 土の中にいる。
でも げんさんは ぼくに おはようって 言ってくれた。
げんさんが ぼくに おしえてくれた。
げんさんは 生きている。
げんさん という がいねんとなって ぼくの中に そんざいする。
ぼくの中に げんさん。
ぼくが生きるかぎり げんさんは しなない。
だからぼくは しねない。
つよくならないと いけない。
ぼくはもう 「泣きむし」じゃない。
ぼくは きょうから 「かめむし」だ。
ぼくの目から たしかに なみだの玉が 落ちた。

『落とし玉 げんさん』

しょせきか けってい
なにこれ。
テレビで おとしだまというものを しった。
お母さんに おとしだまを くれと言ったら、しぶしぶ かめむし をくれた。
はじめてなので うれしかった。
がんばって育てます。
それにしても、くさいと思った。
1がつ2にち はれ
かめむしは まだくさい。
いつになったら いいにおいに なるのだろうか。
おかあさんは、うそを言ったのだろうか。
ちゃんと育てれば、いいにおいに なる。
そう 言った。
ぼくは がんばる。
1がつ 3にち はれ
かめむしを さんぽに つれていった。
だけど においは まだくさい。
1がつ4にち くもり
かめむしに なまえを つけた。
げんざぶろう という なまえにした。
かぞくからは げんさん と呼ばれている。
したしみやすい やつだ。
1がつ5にち あめ
きょうは あめだったので、1日じゅう げんざぶろうと あそんだ。
手がくさくなったけど 少しなれてきた。
もしかしたら げんざぶろうの においが 少しあまくなった のかもしれない。
しょうらいが 楽しみだ。
1がつ6にち はれ
てれびの ニュースで ぼくくらいの子どもが
おとしだまについて聞かれていた。
そいつは 「500えん」 と こたえていた。
ぼくは 1っぴきしか もらっていない。
おかあさんに聞いたところ、「あなたは100えんよ」 と こたえた。
どうやらあいつは、5ひきもカメムシを もらったらしい。
でもぼくは げんさんだけで いいんだ。
1がつ7にち はれ
朝おきたら げんさんが いなかった。
おかあさんと おとおさんが 「げんさん!!」と言いながら さがしてくれた。
でもぼくには 分かっていた。
げんさんは もどってこないんだ。
きっと、ぼくがピーマンを のこしたから。
げんさんは おこったんだ。
ぼくはピーマンが 大きらいだけど、げんさんが 大すきだ。
だからぼくは ピーマンを食べる。
そうしたら げんさんは、かえってくる。
ともだち だから。
1がつ8にち あめ
げんさんは かえってこなかった。
なみだが とまらない。
とめかたが 分からない。
もう おとしだまなんて いらない。
1がつ9にち
1がつ10にち
1がつ11にち
1がつ12にち くもり
おかあさんが にっきを 書きなさい と言う。
書くことなんて なにも ない。
1がつ13にち はれ
きょうは はれました。
1がつ14にち くもり
きょうは くもりでした。
1がつ15にち はれ
きょうは はれました。
1がつ16にち はれ はれ はれ
きょうは はれ はれ はれました。
みちを 歩いていたら げんさんを 見つけた。
たんぽぽの うえで お昼ねしていた。
ねすぎだよ げんさん。
ぼく ずっとまってたのに。
ぼくは うれしくて うれしくて うれしかった。
においも くさかった。
これは、まちがいなく げんさん。
げんさん、おかえり。
1がつ17にち はれ
きょうも 1日じゅう げんさんと あそんだ。
けんじ君が あそびにきたけど、げんさんを いじめようとするから かえした。
けんじ君も ともだちだけど、げんさんは しんゆうだから。
1がつ18にち あめ
おかしいよ?
朝おきたら げんさんが うごかなくなっていた。
においも くさくなかった。
でこぴんしても うごかない。
いつもなら これでおきるのに。
げんさん しなないで。
またあそぼうよ。
げんさん おきて。
ぼく ピーマンも 食べれるよ。
さんすうも できるよ。
げんさん おきて。
くさくても いいから。
1がつ19にち はれ
ゆめの中に げんさんが 出てきた。
いろいろなことを おしえてもらった。
だから 朝おきて げんさんに あいさつした。
げんさんは もう 土の中にいる。
でも げんさんは ぼくに おはようって 言ってくれた。
げんさんが ぼくに おしえてくれた。
げんさんは 生きている。
げんさん という がいねんとなって ぼくの中に そんざいする。
ぼくの中に げんさん。
ぼくが生きるかぎり げんさんは しなない。
だからぼくは しねない。
つよくならないと いけない。
ぼくはもう 「泣きむし」じゃない。
ぼくは きょうから 「かめむし」だ。
ぼくの目から たしかに なみだの玉が 落ちた。
『落とし玉 げんさん』
しょせきか けってい
なにこれ。

よかった!感動した。