小児の睡眠時無呼吸症

2017年07月19日

睡眠学会に行ってきました

今年も睡眠学会に横浜へ行ってきました。

睡眠時無呼吸症候群(OSAS)関連では
・歯科の清水清恵先生がOSAS治療としてのMFT(口腔周囲筋のトレーニング)について発表されました。セッションのまとめとして、医科の先生から「OSASの治療法としてMFTを取り入れるべき」という旨の提言が出されました。
・ポスター発表では、口腔周囲筋に関する愛知医科大学の発表が優秀賞を受賞しました。
 〆蚤臉絨誼佑OSASの重症度が相関する
 加齢で舌圧値は減少する
 というのがおおまかな結論でした。
 舌のトレーニングをちゃんとやれば(相当やらないとダメだと思います)、OSASをある程度予防できるのかもしれません。
・大会議場でのセッションでは、米国スタンフォード大学では小児のOSAS治療として上顎急速拡大を行っているビデオが紹介されました。

来年はOSAS治療としてのCPAPの保険導入から20年なのだそうです。
CPAPが素晴らしい効果を持つことに異論はありませんが、根治療法ではありません。
CPAPで治療されている方のお子さん、お孫さんがOSASにならないようにする予防がこれからは大事で、予防には歯科の役割が大きいと思います。

DSC_1092

他には、マインドフル瞑想に関するポスター発表、小児の睡眠(総論)が面白かったです。

dentakahiro at 16:24|PermalinkComments(0)clip!

2014年11月20日

子供に食欲がないかくれた理由

乳幼児の睡眠時無呼吸症の大きな原因としてアデノイド・口蓋扁桃肥大があげられます。
これらがある子供の特徴は「やせ形・食欲がない」そうです。

先日、某病院の見学に行ってきましたが、手術(アデノイド切除や口蓋扁桃摘出)を受けたお子さんのお母さんたちは、みなさん口をそろえて「(手術後に)よく食べるようになった。体重が増えた」と嬉しそうにおっしゃっていました。

子供に食欲がなく、食べてくれない理由として、夜間の無呼吸や低呼吸も「ある」わけです。
特にいびきを慢性的にかく子は要注意です。





dentakahiro at 13:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2014年08月18日

睡眠呼吸フォーラムに参加してきました

7月24日に滋賀医科大学の睡眠学講座主催の「睡眠呼吸フォーラム」に参加してきました。
今回のテーマは小児の閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)でした。
講師は山梨大学小児科の杉山剛先生と獨協医科大学の中島逸男先生。
主に小児のAdenotonsillectomy(アデノイド・口蓋扁桃摘出術)についての講演でした。

Adenotonsillectomyは一般的には「へんとうせんを切る手術」と知られている手術です。
現状ではアデノイドや口蓋扁桃肥大があっても、オペではなく経過観察されることが多いのですが、近年小児OSAとの関わりから再注目されています。小児OSAに取り組まれている医師たちは、小児の成長への悪影響を最小限にするため、経過観察よりも低年齢でのオペを選択するように変わっていっているようです。

杉山先生の講演のまとめ
・未就学児でも、OSAがあると心臓への負担があり、Adenotonsillectomyを行うことで心臓への負担が軽減することが示唆された。
・乳児でアデノイド増殖、OSAがある場合もある。
・山梨大学医学部付属病院では、2歳あるいはそれ以下の年齢の小児のAdenotonsillectomyを行っている。
・小児OSAは、やせてひょろひょろの小児と、肥満の小児の両方にみられる。日本ではやせている小児の方が典型的。
・3〜6歳でAdenotonsillectomyを行うと、小児の行動が変わり、不注意や多動・衝動が改善する傾向がみられた(「話かけても聞いていない」「決められたことを守れない」「話しを最後まで聞かずに行動することが多い」などが改善)
・3〜6歳でAdenotonsillectomyを行った後、小児のたくましさやQOLが増す傾向がみられた。保護者への問診で84.6%の小児は「食欲が増しよく食べるようになった」。約50%の小児が「かぜをひきにくくなった」「急な発熱が減った」。
・全身麻酔での手術だが、3〜6歳のAdenotonsillectomyに対する保護者の満足度は非常に高い。

中島先生の講演のまとめ
・OSAが原因で多動になっている小児が、ADHDと診断されてしまっているケースがある。
・日本には、小児のフルPSG検査(入院での睡眠検査)ができる施設は20程度しかない。
・自宅での夜間のビデオ撮影は、小児OSAの診断に有効。
 (頭からおへそまで撮影。パジャマはめくる。スマートフォンの動画でよい)
・小児のOSAの診断に、必ずしもフルPSG検査は必須でない(簡易検査のみでよい)が、内視鏡検査は必須。
・小児のAdenotonsillectomyは後戻りする場合、再オペが必要となる場合がある。オペ後の長期フォローが必要。

杉山先生と講演後にメールで意見交換させていただきました。
先生は、「未就学児のOSA治療は、小児科、耳鼻科、歯科での連携で完成する」とのお考えでした。私もこの意見に賛成です。また杉山先生は、先日の小児歯科学会にも参加され、私の所属するスタディグループのポスター発表をチェックされていたそうです。嬉しいサプライズでした。
日本では、まだ小児のOSA治療に歯科はほとんど関わっていませんが、今後変わっていくのではないかと思われます。


IMG_3905 - コピー口をあけて、のどちんこの左右に見えるうめぼしみたいなふくらみが「口蓋扁桃」です。肥大して気道を狭くしています。アデノイド(口からは見えません)や扁桃肥大が重症だと、夜間に気道閉塞がおこりOSAになります。慢性的にいびきをかいているお子さんは要注意です。

dentakahiro at 07:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2014年07月27日

睡眠時無呼吸は小児期の顎発育の影響が大きい 

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の原因の一つは骨格です。
欧米人と比べて骨格が小さい日本人は、肥満がなくてもOSASを発症するケースが多いことがわかっています。

顎顔面で正常な呼吸に重要な骨は
‐絣楾 (主に左右方向の大きさ)
下顎骨 (主に前後方向の大きさ、前後的な位置)
です。

‐絣楾について

 正面から見た骨格的な鼻腔は、左右の上顎骨によって大きさが決まります。
上顎骨がドーナツで鼻腔がドーナツの穴だと考えてもらうとイメージしやすいかと思います。ドーナツが小さければドーナツの穴も小さくなります。上顎骨の発育が悪く、上顎骨が小さければ、骨格的な鼻腔は狭くなってしまいます。鼻中隔弯曲があればさらに条件は悪くなってしまいます(よりつまりやすくなってしまいます)。

 骨格的に鼻腔が狭ければ、粘膜の炎症(アレルギー性鼻炎など)で簡単に鼻腔が狭窄し、鼻に空気が通りにくくなってしまいます。その結果、口呼吸になってしまいます。口からの吸気が多いと、外部の細菌、ウィルス、ごみを吸引してしまい、口腔周囲の免疫組織に炎症がおきてしまいます。口蓋扁桃(へんとうせん)やアデノイドがふくれあがり、のど(咽頭部)で気道が狭窄あるいは閉塞してしまうことになります。

 口呼吸をして、口を開けていると、舌は奥にひっぱられます。そのため、舌がじゃまをして、のど(咽頭)で気道が狭くなってしまいます。

 また、上顎骨が下顎に対して小さい場合、下顎を前にもっていった位置ではうまく噛みあわすことができなくなります。上顎骨の未発達は、後述の下顎後退の一因でもあるわけです。 

下顎骨について

 顔を横から見た時の下顎の「小顎」は、下顎が後方に位置した状態のことです。
舌の位置も後方になるので、のど(咽頭)で気道が狭くなってしまいます。
前歯の噛み合わせでいうと「ディープバイト」と呼ばれるタイプか、「出っ歯」タイプが要注意です。
前歯の噛み合わせがディープバイトだと、前歯が邪魔していまい、下顎を前にもっていくことが困難になってしまいます。
奥歯がすり減ってしまうと、噛み合わせが低くなってしまうため、前歯のディープバイトはよりひどくなってしまいます。

どうすれば予防できるか?

 上顎骨の骨体部が成長するのは主に0〜6歳なので、この時期の食事が重要です。
1歳以降は
1)上顎骨を成長させるため、よく噛む。
2)下顎骨が後退しないようにするため、前歯で噛む(前歯で噛むときに、下顎は前方に出ます)。前歯で噛み切ったり、一口サイズにする。かぶりついたりする、というのが基本です。
現代食では1)も2)も足りない傾向にあります。
6歳の時点で顎の発育が足りなければ、矯正するべきだと考えます。

1)2)を達成するためには、哺乳(できれば母乳育児)と離乳食も大切です。
母乳を飲むときに、赤ちゃんは舌を上下に動かすことを学習します。
離乳食の時期に幼児は、口唇を使うことと舌を左右に動かすことを学習します。成長に伴い舌や頬の複雑な動きができるようになります。

1)2)がうまくできない場合は、哺乳や離乳食の食べ方に問題がある場合があるので、ご相談ください。


※樋口歯科の「子育て教室」で、詳しい説明をいたします。
 参加費は無料です。
 開催日時は原則として、毎月第三水曜日の11時30分〜です。
 ご興味のある方は、お気軽にご予約ください(TEL 072-752-6556)


dentakahiro at 00:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2014年07月06日

日本睡眠学会に行ってきました 

7月3日から4日まで徳島で開催された日本睡眠学会に行ってきました。
「歯医者でなぜ睡眠?」と思われる方が多いかと思いますが、歯科も閉塞性睡眠時無呼吸症(OSAS)の治療に関わっており、睡眠医療のメンバーの一人です。

現在OSASの主な治療法はCPAPという装置の使用です。寝るときにマスクをつけて、ポンプで空気を送り、空気圧で気道の閉塞を防ぐというものです。他に口腔内装置(OA)があり、これは下顎を強制的に前方に位置させて気道を拡げる装置です。OAを併用することでCPAP圧を減らすことができます。

ただし、効果があるといっても、これらの治療法は対処療法であり、装置に一生頼らなくてはなりませんし、CPAP圧の調整のため通院を続けなくてはなりません。

成人OSASの根治が期待できる治療法としては、全身麻酔科で上下顎骨の位置をを外科的に前方へ変更するmaxillomandibular advancementという手術ありますが、侵襲が大きいのが欠点です。

OSASは発症してしまうと一生大変なことになってしまい、現在のところ根治は難しい(orできない)病気です。そしてやっかいなことに、欧米人よりも骨格の小さいわたしたち日本人は、肥満が軽度(orやせていても)でもOSASになりやすい特徴があります。

肥満以外のOSASの根本的な原因とは何でしょうか?
私は成長期(子供の間)の顎顔面の発育不良 (理由については後でまた書きます。)

そして、その治療ができるのは、小児歯科と矯正歯科であると思います。
今回の学会に参加して、あらためてその思いを強くしました。


日本睡眠歯科学会徳島小

dentakahiro at 18:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!