2016年08月03日


私は千葉県開業時代からタービン類は全てオートクレーヴ滅菌したものを交換して使用しています。また滅菌済みディスポーザブル器具も予算が許す範囲で積極的に利用しています。

今回の記事も前回同様に、今までマスコミで扱われていなかった歯科界の盲点を指摘した点で非常に素晴らしい記事だと思います。この記事に関わる取材をされたジャーナリストの岩澤倫彦氏に改めてここで敬意を表します。

前回のブログ記事は私的に解説のボリュームを増やした文章がかなりの分量になったためブログ読者の方々から「分量が多いのでなかなか読み応えがありましたが読み終えるのに苦労しました」,「内容の消化不良になりそうです」などとの感想をいただきましたので、今回は週刊誌では触れていない切り口の歯内療法を中心に簡単なエッセンスをオフィスHP文章などピックアップして簡潔なブログにしておきました.




トップページ.jpg 週刊ポスト8/12号に掲載された記事





徹底した滅菌処理〜オートクレーブ滅菌滅菌・消毒は歯科医院では極く当たり前のことです。しかし消毒・滅菌を徹底するためには手間とコストがかかるため、各医院で徹底の度合いがかなり異なります。さらに健康保険算定の歯科治療が中心の日本の歯科臨床では容易に割愛されて、感染防御に関わる部分が無視されてしまうことは歯科治療全般と同様だろうと思います。



「エアータービン&バー・治療毎に滅菌したモノへの交換」

歯の切削に使うエアータービン類などは唾液や血液の付着します。またタービンでは回転をストップさせた時に内部に陰圧状態が発生して唾液や血液の吸引も懸念されるため患者さん毎に滅菌したモノへ交換しています*。
また、先端に付ける切削用のダイアモンドバー等も完全滅菌しております(これもいい加減な医院が多い)。

*当オフィスは千葉県での開業時代20年前からエアタービン(切削器具)&バーなどの滅菌による完全交換を実施しておりました。

当時から沢山のタービン類を用意していました。よく知人同業者にも珍しがられました。

しかし未だ患者ごとに滅菌済みタービンへの交換を行わない医療機関が大多数を占めます。この理由は多くのタービンを用意する初期投資や頻回の滅菌による器具の劣化に高い経費がかかるものと歯科医が認識しているからと考えられます。 


「リーマー・ファイルの滅菌消毒は医院の盲点」


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ファイルやリーマーと言われる歯内療法の小さなヤスリ状の器具

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リーマーやファイルのオートクレーブ滅菌されたモノが収まっているステンレス製ボックス。

滅菌性確保のため頻回に滅菌を施しスタンバイする必要があります。
一般的な街の歯科医院すなわち雑な歯科医院では滅菌消毒の手間とコストを惜しんでイイ加減に行われているようです。 

殆どの歯科医院では歯内療法治療中の高いレベルでの術野や器具の滅菌性の確保は成されていません。 
そもそもラバーダム防湿法すら使用していないので 当たり前でしょう。 


巷の歯科医院を見学するとその酷さに私は術中感染の大きな危険性を感じます。
また一方では患者さんに歯科医院での治療に感染を被る危険性があるという認識が殆どないことも街の低い認識の歯科医院へ通院して大変不幸な結果を招くと危惧しています。このように滅菌された器具を使用しないで行われている現状は患者の不認識が歯科医の不徹底を暗に放置させていると考える事も可能です。



歯内療法(歯の根の治療)に使用するファイルやリーマーといわれる細い針金のようなヤスリ状の細い器具(↑写真参照)は使い捨てではないため滅菌消毒を使用前に行う必要があります。また虫歯の汚染歯質・細菌や唾液・血液など付着するため完全滅菌が必須です。



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ラバーダム防湿法下での感染根管治療:このようにファイルに血液や浸出液が付着します。
よってリーマーやファイルの洗浄後 オートクレーブ滅菌が必須です。



これはほとんどの患者さんが認識していないことだと思いますが、驚くことに不完全な薬液消毒もしくはそれ以下の医院も現在でも過半数を占めている状態です。 

臨床家の間でよく、器具の劣化*が早く進み経費がかかるのでオートクレーブ滅菌をしないといった理由を耳にします。その度に感染リスクに対する認識の低さに驚きます。

*リーマーやファイルが劣化し金属疲労で術中に先端付近で折れて根管に刺さることがあります。破折したものが除去困難な時にはそのまま放置して結局後で根尖病巣を作っているケースに良く遭遇します。  
  実際,こういった状況を過剰に心配して都合の良い理屈で滅菌消毒の徹底をしていない歯科医院は過半数です。
  私の周囲でも歯内療法に興味を持った先生方でなければ、リーマーやファイルの完全滅菌をしている先生が希だというのが街の歯科医の酷い水準です。

ファイルを滅菌しないで使用する事は歯内療法の根管治療後の予後が悪いだけでなく、患者間の肝炎ウイルスなど感染症の伝搬も懸念され大変危険です。
 
オートクレブ滅菌をしない薬液消毒ではプログラミングされ標準化された滅菌ではないため不完全、高圧滅菌でなければでウイルスを駆逐する条件に満たない不完全な殺菌状態の可能性が高くなります。ですから極めて危険です。 




◎ここに書く実態は業界内からは伏せられて滅多に聞けないことですから本当の危険な実態を知って下さい。


認識が甘い医院では リーマーやファイルは滅菌しないでタッパウェアなどに入ったスポンジに無造作に刺されていることが多く、こういったポイントでもその歯科医院の滅菌・消毒のいい加減さや感染予防の認識の甘さが解ります。

皆さんの通っている医院は丈夫でしょうか?
   *滅菌・感染予防対策に関してはアナタのお通いの歯科医院へ直接お訪ね下さい。


当オフィスでは使い捨ての徹底はもちろん、治療ごとに口腔内へ使用する器具の滅菌・消毒したモノへの交換を励行しています。
使用後には専用の機械で洗浄・滅菌・消毒をガイドラインに則し徹底しています。これらを怠ると感染症の感染リスクが生じてしまうことはもちろん、特に歯内療法ではその予後に直接反映されます。もちろん高い滅菌性を確保しない治療では良好な予後は望めません。


「安全性に対する基本的事項に必要な投資しは惜しみません。」

当オフィスでは目先の採算性のみを優先する昨今の歯科界の傾向に疑問を持っています。
患者さんへの治療上の安全性に対する基本的事項に必要な投資しは惜しみません。
こういった対策も患者本位の考え方の基礎であり大前提でもあります。


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スタンダードプリコーションという概念:


今回とりわけ週刊誌上に書かれている事柄で重要だったと思う事はスタンダードプリコーションという概念の大切さに触れていた点です。

私の周囲でも肝炎患者を敬遠して歯科衛生士が嫌がったなどとして患者に訴えられた歯科医がいます。
その医院では他院より入念に歯周病治療する歯科医院だったので歯科衛生士がそういった観血的治療で自身に感染リスクが高すぎると騒いだようです。その患者さんは治療を受ける権利を拒否されたと感じ、また差別による精神的ダメージが大きかったと感じて法的決着をしようとしたらしいのです。

そもそも、街中の歯科医院では、実際に負っている疾患を隠したり詐病の患者も含めて全ての患者はある種の感染性リスクを持っているという前提の感染防御的体制で臨むことが極めて重要です。
これが現代歯科治療体制の基本だと私は思います。
標準的姿勢として一律に同一の水準で患者さん皆を差別的扱いしないことが人権意識の高い今様の適切な感染防御の姿勢と概念だと思います。


週刊誌文中にも極めて感染防御を徹底的に意識して視覚的にもそれを患者に見せて高額な自費治療で行っている歯科医院の話が掲載されていましたが,日本の歯科医療の感染防御に関わる安全レベルを向上させるためには、そういった特別な医療機関に倣うといった非現実的な事では全くなく明日から実践出来るスタンダードプレコーションを徹底する事が最も大切だと思います。身近な事柄を徹底して標準化することこそ是非日本の日常臨床には必要だと思います。

 今回は簡単にブログを締めくくります。



  麹町アベニューデンタルオフィス 院長戸村










































(16:10)

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