2009年09月09日

  


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街を歩いていると、歯科医師である職業病か他人の歯が気になる事があります。よく前歯の色やカタチが不自然な方を見かけます。本人も気になさっている場合が多いようですが、多くの方がなかなか治せないでいるようです。

今回紹介する40歳台のこの患者さん(女性)は、お子さんも大きくなり余裕が出てきたので、前歯のカタチと色合いの不調和を主訴に同部位の治療を希望し来院されました。

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ご覧頂いたとおり、上顎・左右側中切歯(11,21)、上顎・左右側側切歯(12,22)、上顎・左側犬歯(23)、右側第一小臼歯(銀色の冠が被っている歯:14)が治療の対象となりました。
このように、硬質レジン冠(硬質レジン前装冠)は、経年変化で色素が染み込み、表面も摩耗して表面の自然な凹凸が平にする減り、天然歯と違った妙な見かけになります。
実は、若い頃保険診療などで治療を受けて、劣化した見かけを気にするようになって治療師直しを希望する方が増えています。 見えない歯内療法や歯周病治療も適切に行える能力有る歯科医に受診する事は今更説明するに及ばないと思います(担当歯科医の選択が全てです)。


まず、前歯で一番目立ち、中心にある上顎・左右側中切歯(11,21)の二本の色とカタチが悪く治して欲しいと言うことでしたが、お話しするうちに、他の4本も直すこととなりました。

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臼歯部を中心に、保険適応の銀色のインレーで修復されています。これら充填物下には二次的う蝕も発見されましたが、まず今回は前歯部を中心にした審美障害部位を解決することになりました。

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右が来院時軽く表面をポリッシングした後の硬質レジン冠です。ここには画像記録がありませんが、初診時にはもっと硬質レジン前層冠に汚いステインが沈着していました。

硬質レジン前層冠というのは、金属冠の見えるところに歯質に似せた白いレジンという(一種のプラスチックのような)物質を盛って白く覆った冠のことです。

この冠は、表面が瀬戸物のセラモ・メタル・クラウンやキャスタブル・セラミック・クラウンに比べると比較的安価に治療できます。しかし、耐摩耗性が悪く、歯垢、色素沈着や変色がしやすく、決して自然観のある審美性を保持できる補綴物ではありません。

当院では、特にお若い患者さんの場合には硬質レジン前層冠での修復は、全くオススメしていません。その理由は、このケースを見て頂ければお解り頂けると思います。

再修復するにあたり、硬質レジン前層冠を除去しました(上図右写真)。

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歯内療法と併せて、歯周病の問題があったため、口腔内の全歯牙にスケーリングとルートプレーニング(徹底的歯石除去)を行いました(上図上左写真)。

そして、上顎前歯6本を対照に4ミリ以上のポケットを残した部分と生物学的幅系(以前の私のブログ参照)を侵した部位に、歯冠長伸展術など歯周外科手術で修正を施しました(縫合後の状態:上図上右写真)。

手術後6ヶ月ほど経過した最終印象前の状態です。正常な歯周組織の獲得が得られました(上図下左写真)。

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前医の支台形成(歯の削り方)や築造(土台)がいい加減であることが解ります。支台歯の築造(土台)が不適切なカタチのレジン*で作られていることも解ります。辺縁周囲に歯石やセメントのカスなどが堆積しています(上図左写真)。

*支台築造は、レジンで作る方がむしろ歯牙に負担無く良いケースも多いのですが、この場合は歯肉縁上に健全歯質を保存せず築造してあるため、適切な状況ではありませんでした。

支台築造は、歯肉に接するマージンから数ミリ健全歯質を保存して、その上に金属などで移行的に作られるべきモノです(上図右写真)。

術前の支台築造と私が行った築造を比較してください(上図参照・左右を比較)。

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もちろん、歯内療法も必要がある箇所はやり直しています(下のレントゲンが術後)。上のレントゲン写真のように、歯内療法をしないまま感染根管で放置されたところや、根管充填後、根尖病巣が残っている箇所を治しました(黒い影が消失か縮小しています)。

◎このように患者さんの見えない部分まで真面目に整えることが、予後の良い補綴には必須です。


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術前と完成後の状態を比較してください。

術前の中切歯は幅広の形態でした。この患者さんは面長の顔貌でしたから、前歯のカタチと顔のカタチとの不調和*がありましたが、完成後はこの点が改善されました。また、完成後のセラミック特有の自然観は十分に患者さんの主訴を解決しています。

*ヒトは、特に前歯のカタチと顔貌とは相似形である事が多く、調和を取るために、顔貌(のカタチ)を参考にすべきです。

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このように自然なカタチで修復を終えました。

歯周組織や外面的には解らない歯内療法的(歯の内部)健康まで得られました。

とかく、見かけの色やカタチだけを問題にすることが多いのですが、歯を取り巻くインフラまで健康を得る必要があります。こういった一面的でない治療価値を大切にして、審美性を獲得することが求められるのです。


◎当院では、このように見えない部分の治療を徹底して行います。

 このような正しい補綴処置をご希望の方は、是非ご相談ください。


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(10:58)

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