フットボール・クレイジー
football crazy
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2011年01月31日 22:32
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【ブンデスリーガ第20節】フランクフルト×グラードバッハ
前節レヴァークーゼンに負け、最下位から脱け出せないグラードバッハ。今節はアウェイでフランクフルトと対戦。キックオフは日曜日の午後5時半、日本時間では月曜日の未明1時半ということで、翌日の仕事もあり残念ながら寝ている間に勝っていてくれることを祈りながら早々に就寝。
さて、グラードバッハはレヴェルスが胃腸炎から先発に復帰、これに伴ってノードファイトが一列上がってボランチに入り、マルクスがベンチ・スタートとなった。
前半はほぼフランクフルトのペース。敵のFWに再三チャンスを作られるがGKハイメロートの堅守もあって何とか失点は免れる。グラードバッハはハンケが前線で孤立、サポートがなく形を作れない。結局スコアレスのまま前半を終えた。
グラードバッハは後半からハンケを下げてマトモアを投入、後半開始早々にシュートを放つが敵GKにセーブされる。グラードバッハは積極的に前に出るようになり、動きの激しい試合に。しかし両チームとも最後のアイデアを欠き得点にはなかなか至らない。
62分には敵にシュートを決められるがオフサイドでノーゴール。69分にはイドリスーがシュートを放つが敵DFに防がれる。70分にはデ・カマルゴのヘディング・シュートがゴールラインぎりぎりで掻き出される。
終盤にはいるとグラードバッハは勝ち点3を取るためにリスクを取って前に出る。すると84分、イドリスーからのパスを受けたマトモアが左サイドを上がり、中央にクロス。これにデ・カマルゴが合わせ、敵GKの股を抜いてついに先制。グラードバッハは86分にデ・カマルゴ、88分にはロイスが追加点のチャンスを迎えるが決めきれず、1-0で試合終了となった。
これでグラードバッハは17位VfBと勝ち点で並んだ。次節はVfBとホームで対戦する。重要な一戦だ。
ミヒャエル・フロンツェク監督談話:
「これは我々にとって戦い続ける上で本当に重要な前進だ。フランクフルトが前半試合を支配し我々は上手く試合に入れなかったのはだれでも見れば分かるだろう。だから我々はハーフタイムにもっと勇気を持って攻撃に戦うべきだということを申し合わせた。1-0となったのはカウンターからだが、もっと早く可能だったとも言える。だが、仮に引き分けであってもおかしな結果という訳ではなかったということは言っておかねばならない。私はずっと確信していた。私はこのチームを毎日見ているし、彼らがどれだけハードに取り組んでいるかを知っている。今、守備的には安定しているが、まだまだ難しい課題をこなさなければならない」
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Borussia M'Gladbach
2011年01月30日 20:32
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天皇杯を考える(5) まとめ
天皇杯の運営について、いろいろと問題点をあげつらってきたが、最後にもう一度まとめておこう。
これまで挙げてきた問題点はだいたい以下のようなものだ。
・シーズンが終わって2週間も経ってから準々決勝、準決勝、決勝を1週間でやる年末の日程
・何の縁もない遠隔地での開催と会場の割り振りの偏り
・交通機関の確保などロジがまったく整備されていない試合運営
・ブロック指定というニセ指定席
・少なすぎるテレビ中継
これらはいずれも、Jリーグが発足する前のアマチュア時代の尻尾をひきずった過去の遺物であるように僕には思える。
JFAや都道府県サッカー協会がサッカー関係者の自発的な尽力で成り立っていることには頭の下がる思いだが、トップリーグをプロ化し、入場料を取って観客を呼び込む道を選んだ以上、こうしたクラブを中心的なコンテンツとして開催するオープン・カップも運営のプロ化を図り、足を運んでくれるサポーターがまた見に来たくなるような試合運営というものにもっと問題意識をもって取り組むべきだ。
寄せられた意見の中には天皇杯はもう要らないというものもあった。ナビスコカップ(リーグカップ)との役割の整理も必要だろう。僕は、あらゆるチームの頂点に立つ「サッカー日本一」を決めるためのオープンカップ自体はあってもいいと思うが、この大会の位置づけ、意味合いはきちんと見直して、サポも納得でき、地域のサッカー振興、地元経済にも資するような運営のやり方を真面目に考えなければならない。
決勝の元日開催や、都道府県協会がこれまで当たり前のように任されてきた試合の主管も考え直すべきだ。選手、クラブ、サポーター本位の大会になるよう、JFAは彼らの声に耳を傾け、知恵を絞る必要がある。サッカーがビジネス、商売になること自体を僕は否定しないし、むしろそれがサッカーという競技を発展させるひとつの方法であるとすら思うが、ビジネスにするのであれば、より魅力的なコンテンツを、より効率的に、よりフェアに売らなければならない。
天皇杯はそういう商売の基本、商道徳みたいなものがないがしろにされ、顧客であるサポもいい加減うんざりしている状態だと思う。リーグに11百万人も動員したいのなら、サッカーの底辺拡大を担う天皇杯だってゼロベースで見直すことが必要だと思う。
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Jリーグ
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天皇杯
2011年01月25日 00:19
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【ブンデスリーガ第19節】グラードバッハ×レヴァークーゼン
先週ニュルンベルクに勝って意気上がるグラードバッハ、今節はレヴァークーゼンをホームに迎えた。レヴァークーゼンといえば今季アウェイで6-3という大勝を収めたもののその後勝てなくなりバイアレーナの呪いと言われた因縁の相手。ここでもう一度叩きのめしてつまらない呪いは払拭したいところだ。
日曜日の夜11時半からのキックオフなので、最後までフォローするかは決めないまま、いつも通り
ブンデスリーガ公式サイト
のウェブ・ラジオと「
kicker
」紙のサイトのティッカーで経過を追った。
グラードバッハはレヴェルスが胃腸炎で欠場、このためダンテが久しぶりにCBに復帰し、ノードファイトが右SBに回った。ブラッドリー、アランゴ、マトモアはベンチ・スタート。アランゴはダメなのかな。
グラードバッハは守備的に試合に入り、序盤はレヴァークーゼンがボールを支配。グラードバッハのシュアな守備の前にレヴァークーゼンはこれを崩すアイデアもなく攻めあぐねる。一方、グラードバッハは速い攻守の切り換えからカウンターを狙うが、プレーに正確さを欠きこちらも形にならず。
24分、ロイスがミドルを狙うがクロスバーを直撃。直後にはハンケが反転してシュートを放つがGK正面。この攻撃にはアナウンサーも「グラードバッハがようやく目を覚ましました」と興奮。ここで1点取れてれば流れは違っていたと思う。
だが、37分、敵のFKが壁の上を超えて決まり0-1に。さらに前半終了間際にはクロスを頭で押し込まれ0-2に。失意で前半を終える。申し訳ないが僕はここで寝た。だってもう0時まわってるし次の日仕事だし。
後半、58分にはデ・カマルゴが傷んでマトモアと交替。敵と交錯した訳でもないということで心配だ。65分、シュトランツルがペナルティ・エリア右からシュート。これが決まり1点差に詰め寄る。なぜシュトランツルがそんなところにいたのかはナゾ。セットプレーの流れか…。
73分、グラードバッハのFKをノードファイトが蹴ったがここからカウンターを受け、ハイメロートと一対一になった敵DFにループを決められ再び2点差に。グラードバッハはマルクスに代えてヘアマンを、86分にはノイシュテターに代えてブラッドリーを投入、86分にはマトモアのシュートが再びバーを叩くなど見せ場は作ったが得点には至らず、結局1-3で完敗を喫した。
次週はフランクフルトと現地時間日曜日夕方5時半のキックオフ。日本時間だと夜1時半であり、翌日の仕事も考えればこれは結果のみチェックだな…。てか、何でアランゴ使わないんだ。
ミヒャエル・フロンツェク監督談話:
「我々としては非常に意気込みの強い試合だった。これまでのホームでの成績も分かっているし、だからこそこの試合はサポーターとともにどうしても勝ちたかった。チームのパフォーマンスには満足することもできるが、結果に関してはまたしてもダメだった。ポイントになったシーンは2回あって、ひとつは相手の2点目、もう一つは1-3となる直前、こちらに2-2にするチャンスがありながらその直後に3点目を取られてしまった時だ。こういうケースは我々にとっては初めてではないが、このパフォーマンスを続けて行けばホームで勝ち点3を取ることができるのはそう遠いことではないと確信している。これが最後の試合という訳ではなくまだ15試合ある。我々は他のクラブのことを気にするより、勝ち点を積み上げることに専念すべきだ」
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Borussia M'Gladbach
2011年01月23日 18:11
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天皇杯を考える(4) テレビ放送編
今回はテレビ放送について考えてみたい。これはNHKの問題でもあるが、放映権をどう売るかはJFAの責任であり、不可解な放送スケジュールはきちんと総括しておきたい。まずは2010年の放送を確認しておく。尚、この他にNHKの地方局で地元クラブの試合を中継している場合もあるようだ。
◆2010年の天皇杯の放送状況
まず、1回戦は一切放送なし。
2回戦はBS1で32試合中2試合の生中継。そしてダイジェストは試合があった翌日の夜9時からBS1で約50分。
3回戦は16試合のうち8試合が10月9日(土)、4試合が11日(月)に行われ、ナビスコカップの準々決勝を10日(日)に戦ったクラブの4試合が13日(水)に実施された。NHKの中継は4試合。このうち9日、11日開催の3試合が録画中継で、生中継は13日に開催された川崎×横浜FCの試合のみ。ダイジェストは11日(月)の午後9時から40分。放送はいずれもBS1。
4回戦は11月17日(水)に8試合が行われたが何と中継なし。ダイジェストは翌々日である19日(金)の未明1時からBS1で50分。
12月25日(土)実施の準々決勝はさすがに4試合すべてを中継。しかし試合時間が重なるため生中継は2試合のみで、残りの2試合は当日の午後6時と8時から、いずれもBS1でそれぞれ放送された。ダイジェストはまず日付が変わった26日(日)の未明0時50分から総合テレビで30分放送され、夜が明けて同じ26日(日)の夜8時からBS1で再放送、さらに29日(水)の朝10時からもBS1でもう一度再放送された。
準決勝は12月29日(水)。キックオフ時間の異なる2試合をいずれも総合テレビで生中継。さらに当日の夜10時と日付が変わった30日(木)の0時からBS1でそれぞれ再放送。ラジオ第一放送でも生中継されている。
元日の決勝は当然総合テレビとラジオ第一放送で生中継。
◆中継が少なすぎる
言いたいことはシンプルで、中継が少ない。あとダイジェストが遅い。これに尽きる。
現状のように何の縁もない遠隔地に当たり前のように飛ばされ、平日開催も少なくない状況では、すべてのサポが試合を見に行ける訳ではないのは自明。頼りはテレビ中継だけだが、2回戦は2試合、3回戦は4試合のみの中継、4回戦に至ってはなぜか中継なし。何なんだ、これは。Jリーグのクラブが出ていない1回戦も中継なし。
NHKにすれば公共の電波を天皇杯の試合で埋め尽くす訳に行かないということかもしれないが、それならスカパーがある。自局で放送する気のない試合はスカパーに放送権を売却するなり当日の放送だけを委託するなりして一試合でも多くサポに見せてやろうという気はないのか。放送権を抱え込んで放送しないのは視聴料を払っている我々への背信行為だ。
最初に書いたように、これはNHKだけの問題ではなくJFAの責任だ。JFAはせっかくの試合が少しでも多くのサポ、少しでも多くのサッカーファンや子供たちに届くように努力する責任があり、そのようにNHKと折衝するべきではないのか。
特に問題にしたいのは4回戦である。平日の夜開催なので仕事やら学校やらの関係でスタジアムまで足を運べないサポがたくさん出てくることは容易に想像できるのだから放送の必要性は高かった。にもかかわらず、聞けば地上波、BS合わせて6つもチャンネルを持っているらしいNHKが、録画ですら1試合も中継できない理由は何なんだ(アジア大会の影響らしい)。
◆ダイジェストの放送が遅すぎる
しかも4回戦はダイジェストすら放送は翌々日だ。8試合を編集するのに何日かかっているのだ。「Jリーグタイム」は当日最後の試合が終わった直後から放送できているのだから技術的な問題ではないはずだ。
他の日程でもダイジェストの放送は遅い。放送すらなかった1回戦は論外として、2回戦は翌日の夜9時から、3回戦では4試合については当日の夜だが、前々日に行われた8試合もまとめてのダイジェストされたため、これらの試合については翌々日の夜にようやく放送されたことになる。
準々決勝ではややマシになるものの、それでも放送は当日深夜というか翌日未明の0時50分から。普通の人はもう寝ている時間だ。次の日は日曜日なんだから我慢しろということか。中継に限界があるのなら、せめてダイジェストは当日夜のまともな時間に放送してもらえないのか。
◆試合そのものの中継を大事にして欲しい
不愉快なのは、ここまでサッカーファンをバカにした編成をしておきながら、「いよいよ準々決勝! 天皇杯サッカー優勝への道」という30分の特別番組を地上波で12月23日(木)の夕方5時30分から総合テレビで放送、さらに翌日の夜8時からBS1で放送していることだ。他にも元日のBS1では「元日名勝負選」と銘打って過去の決勝戦から3試合を丸ごと放送。こんな番組に使うカネと労力と放送時間があるのなら、現に行われている試合をひとつでも多く中継すべきではないのか。まったく腹が立つ。
他にも、準々決勝のように2試合分の放送日程を詰めて入れている場合、最初の試合が延長、PKになって押してしまうと、2試合目の放送開始がずれ込んで試合の途中からになったり、こうして時間が延びた試合を録画中継する場合、試合の一部を端折って放送することが行われたりする。
トーナメント戦なのだから延長は十分考えられることで、初めからこんな情けないことが起こらないよう放送を別チャンネルに割り振るとかしてきちんと最初から最後まで見られるようにするべきだ。高校生の野球大会なら通常番組を全部すっ飛ばして全試合を完全中継するのに、サッカーのこの融通の利かなさは納得し難い。
結局のところ、今、実際に行われている試合の価値が不当に低く扱われているということではないのか。つまらないアオリ番組より生の試合の中継を。そして中継するならキックオフから終了までを。そんなに極端なことを言っているつもりはない。
まとめると、以下のようになる。
◎NHKで放送しない試合はスカパーに放送を委託して全試合完全生放送すべきだ。
◎ダイジェストは試合当日の夜に速やかに放送すべきだ。
う~ん、実に明快だ。テレビ放送のあり方について、JFAはNHKとしっかり協議すべきだ。
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Jリーグ
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天皇杯
2011年01月22日 12:00
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天皇杯を考える(3) 試合運営編
第3回は試合の運営について考える。これもかなりストレスを強いられた。さすがに味スタや国立でやる時はそんなに感じないのだが、今回やられたのは正田醤油スタジアムと熊谷。都道府県協会の運営の限界を見た気がした。
◆公共交通機関でお越しくださいと言うのなら…
正田醤油スタでは北九州と対戦した。北九州は2回戦で正田醤油スタをホームとする草津に勝って3回戦に歩を進めており、群馬県サッカー協会としては、当然草津が勝つことを期待していたのにその当てが外れた格好になったのだろう。
で、行ってみた。駅からスタへのバスが少ない。僕は電車を降りてまっすぐに乗場に向かったので来たバスに乗れたが、すぐ後ろは既に長蛇の列になっていた。バスが来なくてキックオフに遅れた的な話はなかったのだろうか。
帰りのバスもすべての人がバスに乗れたのはかなり後になったと聞いた。僕はいつも試合が終わるとすぐに席を立って帰途に着くので、最初に待機していたバスに乗れたが、その後はバスが来なかったとか。係員の誘導に従って路線バスの停留所に移動したが、路線バスの運転手から一般の客が乗れなくなると言って乗車拒否されたという話も聞いた。
同じことは熊谷でも繰り返された。キックオフ1時間半前にJR熊谷駅に着いたが、既に駅前にはとぐろを巻くようなバス待ちの長い列。通りかかった地元の人に、「これ、何の行列ですか」と僕だけでも3回くらい訊かれた。モノを訊きやすそうな顔をしているのだろうか。キックオフまでにスタに着かなかったというツイートを見た気がする。
帰りはさらにひどかったらしい。僕は例によって待機していた最初のバスに乗れたが、その後は列を捌ききれず、人によっては2時間も行列をして待たされたという。この日、日が暮れてからの熊谷は盆地特有の底冷えで寒かった。あの気候で2時間も待たされた人たちには心底同情する。
だいたいバス待ち列が何人くらいいて、バスを何台で運用していて、バスがスタから駅まで行って戻ってくるのに何分かかるかなんてことはその気になれば簡単に分かるはず。バスの増発がすぐに無理でも、あと何分かかりますとかの案内くらいできるだろうし、そうすれば諦めて歩くという選択肢もある。
これはバス会社の問題ではない。試合を主管し、県外から観客を迎えるのは群馬県サッカー協会なり埼玉県サッカー協会の仕事で、交通機関を確保するのも彼らの責任だ。どちらのスタも、スタジアムにはなるべく公共交通機関でお越しくださいと誘導していたはずで、それならそれなりの公共交通機関を用意するのが当然だろう。あり得ない対応を立て続けにやられてかなりゲッソリきた。
◆席がない、売店もない…
正田醤油スタではスタジアム内外の運営もひどかった。
まずスタジアムに着いたが席がない。アウェイ自由席は狭いバックスタンドのみだが、僕が到着したキックオフ1時間前には既に満員。どう見てもスペースを確保できそうになかったのでやむなくいったんスタを出て当日券売場でSA席に振り替えてもらった。これに応じてもらえたのが唯一の救いだった。
その後も続々と人が詰めかけていたので、アウェイ自由席はきっと立錐の余地もない混雑になったことだと思う。この日、正田醤油スタではゴール裏の芝生席は開放しないことになっていたが、キックオフの30分前を過ぎた頃か、ようやく開放された。いったい前売の枚数の読みとか席詰めの誘導とかどうなってんだと思う。
売店もなかった。どこかにあったのかもしれないが見当たらなかった。事前にツイッターなどで情報を得ていた人は駅などで食料や飲料を調達していたし、真夏じゃないので脱水になるようなこともなかったが、これってホスピタリティとしてどうなの、と普通は思う。
正田醤油スタがゴール裏の芝生席を開放しなかったり、ロクに売店も営業させなかったのは、草津が3回戦に進めなかったことに対するスタジアム側の腹いせだという噂すらあった。そんなことがあろうとは思えないが、そういう噂がまことしやかに通ってしまうほど腹立たしい運営だったことは間違いない。
そこまでひどくはなくても、よく言えば素朴な、商売気のない素人運営は結構あちこちで見られるのではないだろうか。
◆運営はクラブかイベント会社に委託せよ
要は前橋も熊谷も交通機関の確保を含めロジができていないということだ。東京のサポが何人くらい来るかは前売や過去の試合の実績を見れば分かるだろう。交通機関やスタの内外でやらなければならないことはちょっとシミュレートすれば洗い出せる。そういうことに長けたイベント会社や代理店だっていくらもある。どういった規模の対応が必要なのか、きちんとした事前評価はあったのか。
それというのも、試合を主管するのが都道府県サッカー協会だからではないのか。高校生のボランティアがもぎりをしている微笑ましい光景はそれはそれでもいいが、数千人の観客が集まるイベントでは相応の態勢がないと容易に混乱が起こるし、それなりのやり方というものがある。十分なロジがなされないままたくさんの人が一箇所に集まることは危険ですらあるのだ。素人運営で対応できる範囲かどうかは事前に分かるはずだ。
試合運営は前回提言したホーム開催権を持つクラブに原則として委託するべきである。ホーム開催なのだから運営ノウハウも当然相応のものがあるだろう。運営能力に不安のあるアマチュアや学生がホーム開催権を持つときは、ホーム開催を返上するか、試合運営を受託せず都道府県サッカー協会がイベント会社などに別途委託すればいい。
サッカー協会は本来サッカーを愛する人たちで構成される非営利の団体であり、彼らに万全の運営を求めるのは筋違いだという意見もあるかもしれない。あるいはこの手作り感が天皇杯のいいところなのだと言う人もいるかもしれない。しかし、メディアで大々的に宣伝し、プロのクラブが参加して行われる日本最大のオープン大会の運営が、地元の小学生のサッカー大会に毛が生えた程度のものであっていい訳がない。
入場料を取って客を呼び込むのなら、運営もプロであるべきだし、それが他県から交通費や入場料を払って見に来てくれるサッカーファンへの最低限のホスピタリティだと思う。ビジネス的に言えば他県から大勢の人が集まるイベントは地元クラブやサッカー普及への取り組み、さらには地元の特産品や食べ物をアピールする絶好の機会のはずで、売店を出さないなんてやる気のない運営は考えられない。せっかく魅力的なコンテンツを持っているのにこれを町おこしに活用しないのは地元にとっても大きな損失だ。
あんな運営が繰り返されるなら、少なくとも僕は群馬県サッカー協会と埼玉県サッカー協会の主管する天皇杯の試合には金輪際行きたくない。
◆「ブロック指定」という自由席の怪
運営についてもうひとつ言っておきたいのは、SA席の価格設定というか席種設定の問題だ。天皇杯ではSS席、S席、SA席ともに指定席とされており、子供料金の設定がない。しかし、SA席は実際には「ブロック指定」と称して事実上エリアを区切った自由席として運用されていることがある。
味スタがそうで、バックスタンドの中央部分はSA席になっているため、ふだんこの辺で試合を見ている僕としては天皇杯でもSA席を買うことになるのだが、事実上自由席であるにもかかわらず、子供料金がないので、子供を連れて観戦に行くと自由席に比べてすごく高くついてしまうのである。
例えば、2回戦なら自由席は大人1,500円、小中学生800円。子供を二人連れて行けば3,100円である。ところがSA席になると、個別に席が確保されている指定席ではないにもかかわらず、ブロック指定という訳の分からない概念を持ち出されて大人も子供も一人2,000円、3人で6,000円。これでは気軽に子供を連れて行くこともできない。JFAは子供たちへのサッカーの普及をどう考えているのだろう。むしろ席が確保されている指定席にも子供料金を設けるべきだと思うがいかがか。
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Jリーグ
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天皇杯
2011年01月22日 00:46
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天皇杯を考える(2) 会場編
今回は会場の選定について考えてみよう。
まずはここ3年のFC東京の試合会場を確認しておく。カッコ内は対戦相手のクラブだ。
《2008年》
4回戦:味スタ(仙台)、5回戦:鳥取(新潟)、準々決勝:仙台(清水)、準決勝:静岡(柏)
《2009年》
2回戦:味スタ(讃岐)、3回戦:長崎(草津)、4回戦:丸亀(仙台)
《2010年》
2回戦:味スタ(駒大)、3回戦:前橋(北九州)、4回戦:味スタ(千葉)、準々決勝:熊谷(福岡)、準決勝:国立(鹿島)
◆どちらのチームも関係ない遠隔地での開催
見れば分かると思うが、ホーム・スタジアムを優先的に割り当ててもらえるらしい初戦と2010年の4回戦を除いては、東京とも対戦相手とも関係のない遠隔地のスタジアムでの開催である。
仙台と味スタで戦い、清水とユアスタ(仙台)で戦って、柏とエコパ(静岡)で対戦した2008年。
草津と長崎で、仙台と丸亀(香川県)で戦い、さながら「地方巡業」の観を呈した2009年。
北九州と正田醤油スタ(前橋)で、福岡と熊谷(埼玉県)でと、九州のクラブを相手に北関東(熊谷は北関東みたいなもんだろ)で2試合も戦った2010年。
僕は何も遠隔地で試合が開催されること自体を非難しているのではない。いや、遠隔地開催だと遠征するのが大変だから、ホームでやってもらえるに越したことはないのだが、それが相手クラブの地元であればまだ納得もできる。問題なのは、東京にも相手クラブにも何のゆかりもない遠隔地で試合が開催されることだ。
おかしいだろ、これ。何で東京と草津が対戦するために長崎まで行かなければならないのか。何で東京と仙台の試合のためにサポが大金を払って四国まで乗り込まなければならないのか。
もちろん、JFAにはJFAの都合があるのだろう。各都道府県協会への試合の割り振りとかそういう内部事情があるのだろう。だが、そんなことは「そっちの話」であって、入場料を払い、仕事を調整し、交通費をやりくりして遠くまで試合を見に行くサポーターには関係のないことのはずだ。対戦するどちらのクラブとも関係のないスタジアムでの試合開催は、決勝以外やめて欲しい。
◆会場の割り振りの不公平
もうひとつの問題はクラブ間のスタジアム割り振りの公平感の問題である。東京のここ3年の試合会場は既に見たとおりだが、参考までに鹿島アントラーズの試合会場を見ておこう。
《2008年》
4回戦:カシマ(国士舘大)、5回戦:カシマ(清水)
《2009年》
2回戦:カシマ(高崎)、3回戦:カシマ(福岡)、4回戦:カシマ(神戸)、準々決勝:カシマ(G大阪)、準決勝:国立(仙台)、決勝:国立(名古屋)
《2010年》
2回戦:カシマ(高崎)、3回戦:カシマ(熊本)、4回戦:カシマ(C大阪)、準々決勝:カシマ(名古屋)、準決勝:国立(東京)、決勝:国立(清水)
何だ、これ。
3年間、カシマと準決勝、決勝の国立のみ。鳥取、長崎、丸亀と大遠征を強いられてきた東京とはえらい違いである。「たまたま」で納得できるレベルではない。別に鹿島に恨みがある訳ではなく(ない訳でもないが)、このクラブ間の待遇の違いが大き過ぎるという話。これはいったいどう説明され得るのか。
天皇杯の会場がいったいどういう仕組みで決められているのか、もう僕にはさっぱり分からない…。
◆対戦チームに開催権を
試合会場は対戦するクラブの一方のホーム・スタジアムにするべきだ。そして、対戦クラブ間の所属カテゴリーが異なる場合は下位カテゴリーに属するクラブのホームを優先して使用し、同じカテゴリーに属する場合は前年順位が下位だったクラブのホームを優先して使用するということでいいのではないだろうか。
優先権を持つクラブがアマチュアや学生だったりしてそのクラブが所属する都道府県サッカー協会が開催を放棄したら他方クラブのホーム、それも返上するなら中立地でいいだろう。でも、優勝を狙うような有力クラブなら、準決勝までホーム・スタジアムの日程を仮押さえするんだろうし、そもそもJFAが、ある程度余裕を持って次の試合のスタジアムのブッキングができるように日程を調整すればいい(前回参照)。入替戦なんか実施の確定は直前でもちゃんとスタジアムの手配はできてたじゃないか。
次回は「試合運営」の問題を取り上げる。
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Jリーグ
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天皇杯
2011年01月21日 00:05
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天皇杯を考える(1) 日程編
天皇杯は日本で最も歴史のあるサッカー大会だ。当然FC東京も毎年参加して泣いたり笑ったりする訳だが、その運営には毎年正直うんざりさせられることが多すぎる。今回の第90回大会でもいろいろと思うところはあったが、シーズン中は試合の内容に集中し大会運営については敢えてあまり書かないようにしていた。
だが、元日の決勝も終わったことだし、次のシーズンが開幕するまでの間に、天皇杯に関して感じたことをきちんとまとめておきたい。
第1回の今日は、まず「日程」に関する問題を取り上げる。
◆1回戦の2日後にJ1と2回戦はさすがに気の毒だろ
さて、今回の天皇杯ではJ1のクラブも2回戦から参加した。東京の場合、その2回戦がまず9月5日(日)、3回戦は10月11日(祝)、4回戦は11月17日(水)と、ここまではリーグ戦の間を縫う形での開催だ。その後準々決勝がリーグ戦終了から3週間後の12月25日(土)、準決勝が中3日で29日(水)、決勝には進出できなかったが決勝戦はだれもが知っている通り準決勝から中2日で元日に行われた。
日程面の疑問の第一は、J1のクラブが免除された1回戦が、2回戦の2日前、9月3日(金)に行われたことだ。2日前に1回戦を戦ったアマチュアが中1日でJ1のクラブと、しかも相手クラブのホーム・スタジアムで戦うことを強いられるのは常識的に考えてフェアではないだろう。
J1のクラブを2回戦から参加させるのは下位カテゴリーのクラブとの対戦を増やして大会を盛り上げようという趣旨なのだと理解しているが、このマッチ・メイクはその趣旨とどう考えても矛盾している。まあ、それでもプロが苦戦したりするのが面白いのかもしれないが、こんなハンデ戦を余儀なくされるくらい他に日程の工夫のしようはなかったのかと思う。
◆リーグ戦終了後のナゾのブランクと準々決勝以降の過密日程
もう一つの問題は、準々決勝以降の日程である。リーグ戦は12月第一週には終わっている。外国人選手は故国に帰りたいし戦力外通告を受けた選手は次の就職先を探さなければならない。それなのに、そこから3週間もおいてクリスマスの週末に準々決勝、その後は中3日で年末の忙しい平日に準決勝、さらに中2日で元日に決勝となぜか急に日程が立て込む。
何回も週末をやり過ごしてから、急に思い出したように1週間に3試合も詰め込む意味が分からない。わざわざ御用納めで忙しい年末の平日の昼間に準決勝を押し込まなければならない必要性もまったく理解できない。この意図不明の日程のために上司や同僚にムリを言って12月29日に休みをもらった会社員がどれだけいるかJFAは分かっているのか。
12月の第一週末にリーグ戦が終わったのなら、第二週末に準々決勝、第三週末に準決勝をやっておけば無理なく決勝を迎えられる。いびつな日程につきあわされるサポの迷惑を真剣に考えて欲しい。みんな、学校やら会社やらお店やらのリアルな事情がある中で、周囲に迷惑をかけながら何とか必死に日程をやりくりして愛するクラブの応援のためにスタジアムに駆けつけているのだ。
シーズン中の日程の調整が難しいのは分からないでもないが、理想的には8月、9月くらいからポツポツと大会が始まり(その意味では4回戦までの日程は1回戦を除いて悪くない)、11月中に準決勝まで済ませておいて、リーグ戦が終わった次の週末に決勝をやって欲しい。里帰りとかの貴重な正月に試合をやるのもやめて欲しい。
正月までシーズンを引っ張ってしまうと、移籍などクラブの編成にも影響するし、今年のように年明けからアジアカップなんかが入っている年には(それもどうかと思うが)、代表選手にはオフがなくなってしまう。12月の中旬までには天皇杯も含めすべての日程が終了し、来季に向けて準備に入るのが穏当な考え方ではないか。
すぐにそれがムリでも、準々決勝と準決勝、準決勝と決勝の間は少なくともそれぞれ1週間は空けて欲しい。
◆インターバルが短すぎるためにチケットの死蔵が増える
あと、もう一つ、派生的な問題かもしれないが、準々決勝と準決勝、準決勝と決勝の間が極端に短いため、例えば見込みで決勝のチケットを買っていたのに準決勝で負けた今年のような場合、チケットを人に譲るのが極めて難しくなって使われないチケットの死蔵が増えるという問題もある。
準決勝終了後の国立では門前に市ができるくらいチケットを求める鹿サポと不要になったチケットを捌きたい東京サポが入り乱れて即売会の状況だったとも聞く。中2日、しかも学校も会社も休みに入る年末では、本当にチケットが必要な人を探して話をまとめ、受け渡しをするのも難しい。郵送では間に合わない。
結果として使われずにムダにされたチケットがたくさんあった一方、準決勝終了後にチケットを探しても売り切れでなくなく現地観戦を諦めたサポもたくさんいたはずだ。
日程のことを考えるだけでもこれだけ問題が出てくる。この後、「会場」「運営」「テレビ放送」についても問題点を洗い出して整理し、できればどうして欲しいかという対案も示して行きたいと思う。
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Jリーグ
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天皇杯
2011年01月16日 17:12
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【ブンデスリーガ第18節】ニュルンベルク×グラードバッハ
ブンデスリーガではウィンター・ブレイクも終わりシーズン後半が始まった。我がグラードバッハは前半17試合を消化した時点で2勝11敗4分で勝ち点10の最下位。これというのもCBのブラウアースとダンテがケガで離脱、その他にもケガ人が相次いで苦しい人繰りを強いられたことが主因で、試合内容自体は悪くないと僕は思っている。
これを受けてグラードバッハはブレイク中にアーセナルから20歳のノルウェイ人ハヴァード・ノードファイトとオーストリア代表経験のあるマーティン・シュトランツルをCBに獲得、さらにFWにはドイツ代表として12試合に出場経験のあるマイク・ハンケを補強し、シーズン後半の巻き返しに向けて態勢を整えた。
シーズン後半の初戦はアウェイでのニュルンベルク戦(ブンデスリーガではシーズン後半の日程はシーズン前半のホームとアウェイを単純に入れ替えたもの)。何とか勝ち点3を獲得して浮上のきっかけにしたいところ。例によって
ブンデスリーガ公式サイト
のウェブ・ラジオと「
kicker
」紙サイトのティッカーで試合経過をフォロー。
この日はGKがハイメロート、DFラインは右からレヴェルス、ノードファイト、シュトランツル、デムス、ダブル・ボランチにノイシュテターとマルクス、右SHにロイス、左SHにイドリスー、デ・カマルゴとハンケがツートップを組むという布陣。
序盤はどちらも自陣で守りを固めることを優先する慎重な立ち上がり。その中でホームのニュルンベルクが主導権を握ろうとするが、8分、ハンケからのクロスを受けたノイシュテターが敵GKの逆を突いて流し込みグラードバッハが先制。さらに11分にはロイスがシュートを放つがこれは惜しくも敵GKにセーブされる。
しかし試合の流れは徐々にニュルンベルクに傾く。33分、シュトランツルが敵FWをエリア内で引きずり倒すが笛は鳴らず。終了直前にもわずかにゴール上に外れるミドルを放たれるなど、押し込まれる状況でリードを保ったまま前半を終えた。
後半もニュルンベルクの攻撃をグラードバッハがしのぐ展開に。70分、イドリスーが自陣エリア内で敵を倒すがまたしても笛が鳴らず救われる。
78分にはグラードバッハのゴールにボールが入るが、その前に敵のファウルがあったとの判定かノーゴールに。ウェブ・ラジオのアナウンサーもすぐには状況がつかめなかったらしく、「ボールは確かにゴールに入っているのですが、どうなっているのでしょうか」と興奮。こちらは遠く離れた極東でそれを聴きながらやきもきしていた。
86分、敵FWがエリア内でレヴェルスと接触して大げさに転倒。これがファウルとなりニュルンベルクにPKが与えられた。シーズン後半もこのリードを守れない流れが続くのかとガックリきていたが、アナウンサーが「止めました、ハイメロートが止めました」と。思わず深夜に「よっしゃ」と叫んでしまった。
その後もグラードバッハは押し込まれつつ敵の猛攻をしのぎ、何とか1点のリードを守りきってシーズン後半幸先のいいスタートとなるアウェイでの勝利をもぎ取った。
この試合、特に後半はウェブ・ラジオを聴いていてもピンチの連続でハイメロートの活躍が光ったようだ。PKをセーブしたときにはアナウンサーも「ハイメロートをレギュラーにしたのが正しかったことが証明されました」と大ノリ。何にしても最後まで緊張を切らさず無失点に抑えたことは本当に大きかったし今後に向けて自信になる一勝かもしれない。
グラードバッハは次節ホームにレヴァークーゼンを迎える。
ミヒャエル・フロンツェク監督談話:
「チームはしっかり準備をしていい雰囲気でニュルンベルクに乗り込むことができた。70分までは非常に納得できるゲームをしていた。リードを広げるチャンスもあったと思う。しかし終盤には必要な落ち着きがなくなってしまい少々プレッシャーを感じてしまっていたようだ。ニュルンベルクが強力に攻撃し、ロング・ボールを前線に放り込んではそこからプレッシャーをかけてきた。しかし最後には幸運にも勝ちきることができた。長くかかったが勝ち点3を得ることができたのはもちろん喜ばしいことだ。このパフォーマンスをベースとして形を作って行ける」
グラードバッハのホームページには「目標に向けてみんなで共に:残留」と書かれていた。明快でいい。
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Borussia M'Gladbach
2011年01月11日 23:35
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【2010年】FC東京シーズン・レビュー(8) まとめ
2010年シーズンのつまずきは、初回「総評」で述べたようなメンタル面での問題点を取り敢えず別にすれば、ボランチの層の薄さによるチームの中核の喪失と、FW補強の不十分さに起因する得点力不足にあった。実際、失点41はリーグでも6位の好成績だが、得点36はリーグで4番目の少なさ。権田、今野、森重らを擁して守備は固めたが、得点できずに勝てなかったという今季の構造ははっきりしている。
もちろんそこには財政的な問題もあっただろう。だが、素人でも指摘できるような弱点を抱えたままシーズンに突入し、それが原因でチームは機能不全に陥った。
「こうして見ると、まずFWが手薄なのが一目瞭然だろう。あと、ボランチに関しても、『ボランチもできる』選手は何人かいるが梶山、米本のどちらかが欠けたときのことを考えると心許ない」
これが僕が去年の
レビュー
で書いたことである。まさか降格してしまうとはさすがに思ってもみなかったが…。
さて、来季に向けた戦力をまとめておこう。
GK [レギュラー]権田 [サブ]塩田 [バックアップ]常澤、廣永
CB [レギュラー]今野、森重 [サブ]平松、柳楽 [バックアップ]吉本、高橋
SB [レギュラー]徳永、椋原 [サブ]中村、阿部
DMF [レギュラー]梶山、米本 [サブ]ホベルト、大竹 [バックアップ]下田
OMF [レギュラー]石川、羽生 [サブ]鈴木、上里、谷澤(大竹) [バックアップ]田邉
FW [レギュラー]平山、ペドロ [サブ]セザー、高松 [バックアップ](鈴木)
ユーティリティとして複数ポジションをこなせる選手の存在も考えれば、概ねバランスの取れたいい編成ではないかと思う。戦力的に未知数なのはセザーくらいで、あとはそれなりに実績のある選手ばかり。若手をレンタルで修行に出し、クラブの方は即戦力の補強による手堅い布陣で一年での一部復帰を目指すという方針が明らかだ。
しかし、この陣容を二部の予算規模で維持することは難しい。これでダメだったら次はないという編成であり、まさに背水の陣。代表招集で選手が抜けることも考えられるが、それも考慮した上での補強だったはずだ。
来季の目標は何をおいてもまず一部復帰。多くのクラブは東京を相手に引いて守りを固めてくることが予想される。華麗で美しいサッカーで勝てる世界ではないだろう。マークされることが当たり前のリーグで、ひとつひとつの試合を確実に勝ちきる勝者のメンタリティが必要だ。
美しくなくていい。全勝でなくていい。3位で、それも得失点差で構わない。とにかく一部に復帰することがすべて。それくらいの気持ちでないと昇格はおぼつかない。このJ2での一年は、東京に欠けるものを見つけ、それを手にするためにくぐり抜けなければならない試練だと位置づけるべきだ。一年で一部への復帰を果たせば、我々はきっとどこにも負けないチームになっているはず。
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FC東京
2011年01月10日 12:30
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【2010年】FC東京シーズン・レビュー(7) FW編
FWの編成、起用も問題が多かった。
昨季、カボレがシーズン途中で中東に移籍したが、その後の補強は極めて心許なかった。新たに戦列に加わったのはユースからの昇格である重松とブラジルから期限付で獲得したリカルジーニョのみ。いずれも戦力としては未知数で、カボレの穴を埋められるとは思えなかった。
平山、赤嶺を軸に、リカルジーニョのフィットを待ち、あとは鈴木のFW起用、重松の育成というのが当初の構想だっただろう。だが、実際にシーズンが始まると赤嶺はほとんど先発起用されず、鈴木をFW起用して赤嶺はスーパーサブという使われ方が中心になった。
僕は赤嶺原理主義者なので見方に偏りがあるかもしれないが、敵を撹乱する機動力はともかく、少なくとも土壇場での決定力という意味では鈴木より赤嶺の方がFWとして高いのは明らか。赤嶺はコンスタントに出場機会を得れば結果を残せる選手でそのことは2009年シーズンに実証済みだ。なぜ赤嶺がこんなに冷遇されなければならないのか正直僕には理解できなかった。
結局赤嶺はリーグ戦先発わずか3試合、途中出場9試合で無得点にとどまり8月には仙台に期限付移籍することになった。8月といえばクラブが連戦で苦しい戦いをしていた時期で、この時期に主力の一角であるFWを残留のライバルであるクラブに、東京戦出場禁止の特約も付けず貸し出したのか理解不能。
結局、赤嶺は仙台でレギュラーに定着し4得点し残留の立て役者になった。オフには完全移籍。J1でしっかり頑張れと言う外ない。赤嶺に関しては起用、移籍ともクラブに憤りしか感じない。残念だ。
赤嶺とほぼ入れ替わる格好でシーズン途中に獲得したのが大黒だ。大黒はオフにも獲得の噂があったが実現せず、夏場の成績不振に対するテコ入れとしてようやく加入した。7得点と結果は残したし、前線からの守備を含めセンスを感じさせる質の高い動きを見せて、インタビューの発言などでもプロフェッショナルという言葉の意味を実感させてくれた。
惜しまれるのはチームの方が大黒の動きを十分に生かす組立をできなかったことだ。大黒のように常に裏を狙って動き出しのタイミングを窺っている選手を生かすには、パスを供給する側にも高い戦術眼と広い視野、正確なフィード能力やタイミングの読みが必要で、その上で大黒と息が合わなければならない。シーズン途中加入の急造ではそのコンビネーションの成熟を期待するのは難しく、大黒の活躍は偶発的なものにとどまったと言わざるを得ない。
椋原からのアーリー・クロスや梶山、大竹からのキラーなど、大黒と合わせられる可能性を感じる選手は何人かいたはずだが、大黒の使い方が中途半端。せっかく大金を投じて獲得したのに使いこなせずもったいなかった。大黒の使い方はもう少しチャレンジしてみても面白かったと思うが、移籍期限満了に伴う放出はやむなしか。羽生と並んでプロしてあるべき水準を示せるお手本のような存在で、半年とは言え東京で働いてくれたことには感謝したい。
さて、平山はついに東京の攻撃の柱として先発に定着。シーズンを通じて7得点は物足りないが、ポスト、キープ、みずからシュートとコンスタントに相応の働きを見せた。発言にも精神的な成長の跡が窺え、ようやくプロとして、給料をもらってサッカーをするということの意味、その責任が理解できてきたようだ。
ボールを持ったときの判断、ワンタッチで勝負するセンスや技量、視野の広さなどまだまだ課題は残されているが、天皇杯準決勝で終盤に見せた、鬼のような形相でこぼれ球を確保しに行く意識、迫力はこれまでの相太にはなかなか見られなかったもので、ちょっと感動した。来季は名実ともに東京のエースとして昇格を決定づける働きを期待したい。
リカルジーニョはFW登録だったが結果が出せず、左SHにコンバートされてようやく特長を発揮できた。とはいえ2得点の結果が当初の期待からは少なすぎるのは前回述べた通り。
重松は期待以上の実績を残したと言っていいだろう。リーグ戦先発は3試合にとどまったが、途中出場では16試合に起用され、3得点を挙げた。ユースから昇格1年目のFWとしてはまず合格点だろう。ムリ目の状況でも何とかゴールに向かって打開しようとするFWとしての強い意志はよく見えたし、それがチームを救ったこともあった。
しかし、プロの世界ではもちろん気持ちだけでメシが食える訳ではない。自前ユース組の期待株という看板を外して見たときにFWとしてどれだけ怖さがあるか、決定力があるかと言われればまだまだ発展途上で、オレはこれで点を取るという明確な特徴も今ひとつ見えてこない。その意味では武者修行に出すのは悪くない選択だと僕は思う。来季は福岡でポジションを獲得できるくらいの成長を遂げて欲しい。
前田は赤嶺と入れ替わる格好で大分から期限付で獲得した訳だが最後までフィットしなかった。相応のキープ力やプレー・センスはあるのだろうが、試合の中で自分の居場所が見つからない居心地の悪さを最後まで抱えていたように見えた。
疑問だったのは大熊監督の采配で、残留のかかった33節山形戦で、53分に大黒を下げ、前田を入れたときには目を疑った。リードした局面でキープ力に期待したのかもしれないが、結局機能しなかった。前田自身に含むところはないが、彼を獲得したのはクラブにとっても彼自身にとっても不幸なことだったのかもしれない。移籍期限満了による返却はやむなし。
このポジションでも来季に向けた補強は進んでいる。まず、ガンバ大阪からペドロジュニオールを期限付獲得。大阪では監督と衝突して海外に期限付移籍で出された選手だが、本来はおとなしい人だとの情報もあり、新潟でフィットしていたことも考えると、それほどリスキーな選手だとは思わない。実力は新潟での活躍で実証済み。既に日本で実績のある外国人の獲得は方法論としては悪くない。サイド・アタッカーとしての起用も取り沙汰されているが、いずれにしても得点源として期待したいところ。
さらに以前新潟に所属していたロベルトセザーも獲得。新潟では実績が残せず実力は未知数、かつグロインペインを抱えているとの話もあるようだが、まずはプレーを見てみないと。
そして移籍の最後に獲得したのが大分の高松だ。大分の看板選手であり、実績は申し分ない。故障が多いことは気になるが、バックアップとしては十分期待できる人材だ。歓迎したい。
総合すると、来季は平山、PJのツートップを軸に、高松、セザーがサブ、場合によっては鈴木のFW起用といった感じだろうか。敵が引いてくる試合が増えることが予想されるので、強引にこじ開ける戦いが必要になるが、相応の補強はできたのではないかと思う。
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FC東京
2011年01月09日 20:59
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【2010年】FC東京シーズン・レビュー(6) OMF編
攻撃的MFは東京ではおもに両翼を指す。このポジションでは右に石川、左に羽生が主軸で、鈴木、松下がサブ、大竹、田邉がバックアップという位置づけだったと思う。しかし、この構想はボランチ不足の余波を受けていきなり瓦解してしまう。
羽生がボランチで起用された結果、開幕時には松下を左SHで起用することになった。ここまではまだ想定の範囲内だったかもしれない。しかし、羽生が8月にケガで離脱するとその穴を埋めたのはリカルジーニョだった。
羽生が不在の時に松下がポジションを固めきれなかったのは痛かった。結果としてリカはトップより左SHというかサイド・アタッカーとして面白い働きをしたが、プレイス・キッカーとしても高い能力を誇る松下をうまく使いこなせなかった感は払拭できない。松下が羽生からポジションを奪い取るくらいの働きを見せて左SHに定着していれば、チームの骨格はもっとはっきりしていたと思う。結局松下はリーグ戦先発14試合、途中出場7試合にとどまり、12試合でベンチを温めた。
石川はほぼシーズンを通して働き、質の高いプレーで敵の脅威になり続けた。今や塩田、今野と並んでFC東京を代表する選手になった感もあり、東京の右サイドは石川という不動の地位を獲得したと言っていい。サイド・チェンジを受けてピタリとボールを止め、敵のSHやSBを軽々と抜き去ってクロスを入れたり、自ら切れ込んでゴール前に入ってくる動きに僕たちは何度も歓喜した。
今季惜しむべくは得点がなかったこと。リーグ戦初得点は9月の磐田戦で、シーズンを通しても2得点しかできなかった。プレー・スタイルや戦術も変わるので一概には言えないが、15得点を挙げ、シーズン終盤のケガがなければ得点王も狙えた昨季に比べると物足りない結果だったと言わざるを得ない。今季の得点不足を石川だけのせいにする訳には行かないが、本当の意味で石川がフィットしたのはシーズン終盤だったのかもしれない。
真っ先に残留を明言してくれたことは本当に嬉しかったし、それが他の選手の動向にも影響を与えたのではないだろうか。来季、J2でその華麗なプレーを見せつけて欲しい。
羽生はケガもあったしボランチで起用されることもあり、不完全燃焼感の残るシーズンだったのではないか。プレー・スタイルから消耗が激しく、途中交替も多かったが、だれかいてくれと思うポジションに縦横無尽に出現し、必要な働きをこなすという神業は健在。残留の確報はないが、羽生はひとつのスタンダード、基準を示せる選手であり、彼の攻撃能力を生かせるようなチーム作りを進めて欲しい。
リカは当初FWと想定されたが、思うように結果が出ず、左SHにコンバートされて生き生きとプレーできるようになった。守備の意識もしっかりしていたし、下がり目でボールを受けてから敵を翻弄するように次々と抜き去って前線に駆け上がって行くのには代え難い爽快感があった。起点として大きな働きをしたと思う。
しかし、上がった後に囲まれてボールを奪われることも多く、また自らフィニッシュに行ったときの精度も今ひとつ。意外感があって敵には十分嫌がられていたと思うが、助っ人外国人としてリーグ戦1得点は不十分と言わざるを得ない。キャラクターとしては憎めないし嫌いじゃないんだが、移籍期限満了での返却はやむを得ないかもと思う。
鈴木は昨季同様途中起用中心の出場(先発7試合、途中出場7試合)だったが、よくそれに応えた。裏に抜ける動きは見えないところで敵を消耗させ、大きな武器になった。もっとも、ボールを持ったときのプレーは時として不用意なこともあり、今季は結局ノーゴールと、FW登録としては寂しい数字。シーズン後半のケガからは復帰したが、今ひとつ存在感を示せなかったシーズンだった。来季は競争相手も増えそうで、奮起が期待される。
問題にしたいのは大竹の起用法だ。リーグ戦14試合出場はまずまずの数字かもしれないが、そのうち先発は4試合のみ。おもにサブとして起用され2得点。だが、気に入らないのは大竹がカップ戦を含め得点やアシストで結果を出しても、それが先発出場という形で報われなかったこと。ここまで彼を冷遇しなければならない理由は何なのか、僕には不明だ。
もちろん監督には監督の考えがあるのだろうが、サポにすれば大竹はFC東京の夢だ。もう少しコンスタントに試合に出して、いい時、悪い時を通じてピッチ内で課題を解決する力を付けさせなければ育成に失敗する。出た試合では水準の高いプレーを披露しており、守備もできるようになってきていると思う。
サイドより中央に置くべき選手で、トップ下かボランチでパス出し、自らも決定的な働きのできる希有な選手としてもっと大事にする必要がある。プロ・デビューから最初の山を乗り越えてひとつ脱皮した今こそ、クラブとして彼をどうするかしっかりビジョンを持たなければならない。腐らせてはならない人材だ。
田邉はカップ戦で何度か出場機会を得たもののリーグ戦出場はなかった。非凡なセンスは見せるが悪いときの梶山を見ているような軽いプレーも多く信頼性はまだまだ。天皇杯千葉戦で見せたパフォーマンスは素晴らしかった。ここが踏ん張りどころ、来季は勝負のシーズンだ。
来季はやはり右に石川、左に羽生を軸に考えることになるだろう。松下を仙台にレンタルしてしまったので、サブは鈴木、大竹の他、新たに札幌から獲得した上里、千葉から獲得した谷澤らを中心に構想することになるだろう。あるいはこれも新加入のペドロ・ジュニオールを左のサイド・アタッカーで使うという考えもあるようだ。田邉の成長も期待される。
僕としては大竹はボランチで考えたいし、羽生のモビリティは生かしたいと思っているが、組み合わせの可能性はいろいろある。このポジションもコマは揃っている。
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FC東京
2011年01月08日 21:12
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【2010年】FC東京シーズン・レビュー(5) DMF編
さて、問題のボランチである。
このポジションについて、僕は昨季のレビューにこう書いた。
「来季もボランチはこの二人(梶山、米本)を軸に考えることになるのかと思うが、そこで問題なのは彼らに続くバックアップ、あるいは彼らとレギュラーを争う第三勢力がないことである。実際、シーズン終盤、梶山を出場停止で欠いた試合では羽生をボランチに回さざるを得なかった」
「金沢の移籍、浅利の引退、下田の期限付移籍でこのポジションの層が薄いことは否めない」
「梶山が欠けたら攻守が急に不安定になるとということは避けなければならない。羽生、中村、徳永らの繰り回しで穴を埋めることは可能だが、ここは本職をきちんと揃えておくべきだと思う」
ああ、オレは何て的確なことを書いていたのだろう。果たして実際に起こったのはこの懸念通りのことだった。
結局このポジションには目立った補強はなされなかった。その上、梶山はオフに足にメスを入れ、あろうことか米本は開幕直前にケガをしてシーズン終盤まで離脱することになった。
やむなく徳永をボランチにコンバートした。もともと能力の高い選手なので何とかこのポジションをこなし、シーズン終盤には相応の安定感を見せるまでになったが、この使い回しはクラブのためにも徳永自身のためにも不幸だったと僕は思う。
徳永は代表に呼ばれる実力のある選手で、こんな形でその能力を便利使いするべきではなく、彼の実力が最も発揮できるポジションにきちんと定着させ、そこでフル稼働させなければならないはずだ。そしてボランチは彼にとってそうしたポジションではないように僕には見えた。彼にとっても悩みの多い一年だったのではないだろうか。極論すればこのコンバートが降格の遠因だったと言ってもいい。キャプテンとしての精神的成長は大きな収穫だが、フットボール的には納得し難い起用だったと言いたい。
梶山もチーム事情から復帰を急がされ、出ては休む繰り返しで、リーグ戦は19試合のみの先発にとどまった。パフォーマンスも昨季には遠く及ばず、軽いプレーからのボールロストは別にしても、コンディションが万全でないことを示唆するようなボール扱い、特に強いシュートを打てないのではないかと疑わざるを得ないプレーが散見された。彼の身体は本当に大丈夫なのか。だれしも痛みや古傷を抱えてムリしている世界かもしれないが、梶山の状態には強い危惧を抱かざるを得ない。
要のポジションがこのような状態だったので、チーム全体のパフォーマンスが安定せず精彩を欠いたのもの当然だろう。
結局、懸念した通り羽生をバランサーとしてボランチに置いたり、森重を起用したり、大竹や高橋を試したりとつぎはぎの用兵に終始した1年で、シーズン終盤にようやく米本が復帰するまで東京はボランチの問題に悩まされ続けた。起こるべくして起こったドタバタだった。端的に言って編成の失敗だったと思う。
米本は上述の通り開幕直前に大ケガ、シーズンを棒に振った。復帰したのは11月後半で、残留争いの中で驚くべきパフォーマンスを見せたが既に遅かった。彼にすれば自分が試合に出られない間に恩師である城福前監督を見送らなくてはならなかったことは痛恨だっただろう。プレッシャーの中でボールを持ったときにまだまだアワアワしてしまうこともあるが、東京の屋台骨を担うべき男であり、この悔しさは来季晴らして欲しい。
梶山、米本は残留し来季もこの二人を軸に考えるのだろうが、梶山は夏に海外移籍するという希望を公言しており、補強は急務。だが、今年はクラブもそれなりの動きを見せた。
最大の補強は横浜FCから獲得したホベルト。ボールへの激しい食いつきは定評があるし、モチベーターとしてチームを叱咤、鼓舞できる人材だ。まさに東京に今季欠けていたピースが埋まった訳で、今オフ最大の補強と言っていい。梶山、米本のバックアップのファースト・チョイスとして、また、あり得べき梶山の海外移籍の後の第一候補として、期待は大きい。
さらに僕としてこのポジションに推したいのは大竹だ。大竹は中央に置いてこそ光る。本当はトップ下あたりの攻撃的な位置が適任だが、視野の広い配球センス、機を見た攻め上がりはボランチでこそ機能するとも言え、実際ボランチで起用された数試合での活躍はそれを実証した。将来的に梶山の後継として丁寧に育てるべきだ。
水戸に貸し出していた下田の復帰も期待したい。水戸では守備的なポジションのユーティリティとして起用され、ケガもあったものの相応の試合経験は積んだはず。米本に先を越された感はあるものの、身につけたものを東京で示すべく、J2を知る者としてポジション争いにガッツリ参加して欲しい。
あと、札幌から移籍加入の上里もボランチでの起用が考えられる。とはいえ守備力(というか守備の意識)には疑問のあり得る選手であり、むしろサイド・アタッカーとして攻撃センスの発揮に期待すべきではないかと思う。
来季は今季の轍を踏まないようにしたい。というかここが固まらないと昇格もおぼつかない。コマは揃ったはずだ。
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FC東京
2011年01月07日 23:03
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【2010年】FC東京シーズン・レビュー(4) CB編
CBは今野と森重が基本だったが、ボランチが足りなくなって森重をコンバートしたり、森重がアレな感じで有給休暇を取ったりしたときには主にキムでカバーした。
このポジションのバックアッパーとしては平松もいたのだが、ケガでシーズンをほぼ棒に振ってしまった。高橋、平出は最低限の出場機会は得たものの、高橋はケガでシーズン後半出場できず。結局時によっては人が足らず徳永を臨時で使ったりもした。枚数も人材的にも足りていたはずなのに、ケガとチームの非常事態で苦しいやりくりを強いられた時期もあった。
今野はすっかりCBの柱に。もともとボール奪取力、危険察知能力はリーグでも有数であり安定した働きでチームのベースラインを守った。CBとしては小柄な方であり空中戦に一抹の不安もあるものの、森重との分業もあり、カバーリング能力、展開力は余人をもって代え難い。僕としては今野はあくまでボランチにおいて機を見た攻撃参加にも期待したいところだが、何だかもうCBの人になってしまった。日本を代表する選手の一人で代表にも定着したが、ビッグクラブからのオファーを蹴って残留してくれた。もはや東京の顔、言うことない。
今野のパートナーとして大分から移籍してきたのが森重だが、期待通りの能力を見せた。プレーに荒っぽい部分があり、退場2回、累積を含め出場停止4試合、PK献上も何度かありリスクの高い部分もあるが、アグレッシブな守備から攻撃の起点としても機能するスタイルは現代的なCBのお手本。高いプレイヤビリティでボランチもこなした。コンスタントに実力を発揮した。代表に呼ばれるべき選手であり森重の残留は嬉しい。来季もCBのレギュラーとしてプレー・スタイルのさらなる洗練を見たい。
この二人のいずれかが欠けたときのファースト・チョイスは本来平松だったはずだが、前述の通りシーズン序盤に負傷。シーズンを棒に振った。J2の戦い方を知る平松は貴重な戦力であり、来季は今野(場合によっては森重も)の代表招集の穴をしっかり埋めて欲しい。そしてまたエア乾杯をお願いしたい。
平松に代わって今野、森重不在時の穴を埋めたのはキムだった。SB編でも書いたが、チームに慣れるに連れて高い能力を見せつけ、SB起用も含めリーグ戦18試合で先発を果たした。移籍は返す返すも残念。まあ、韓国代表だからな~。
高橋はプロ契約初年度だったが、使われ始めた矢先にケガ、秋以降リハビリ生活になってしまった。不慣れ故のチョンボもあったがデビュー戦となった駒沢でのナビスコ新潟戦でのパフォーマンスは素晴らしかった。高いポテンシャルがあり、来季はポジション争いにしっかり参入することが期待される。
来季も今季同様、今野、森重を軸としながら、平松と高橋がバックアップするという態勢だと思うが、今野、森重が同時に代表に呼ばれる可能性もあるなど必然的にコマ不足となることが分かっている今季にあってはあと1、2人の補強は欲しいところ。
まずは岐阜からレンタルバックの吉本を復帰させたい。岐阜ではレギュラーとして試合経験も十分積んだ。次代のCBの柱として満を持しての復帰だ。
さらに、福岡から柳楽の獲得も噂されている。パフォーマンスに波があるとかメンタルが課題とか言われるが才能のある選手であることは間違いないだろう。吉本、柳楽が加わればCBの選手層はグッと厚みを増し、ポジション争いにも期待できる。
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FC東京
2011年01月06日 21:28
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【2010年】FC東京シーズン・レビュー(3) SB編
SBは開幕当初、徳永をボランチにコンバートしたこともあって右に椋原、左に長友という布陣でスタートした。しかし長友はシーズン途中での海外移籍が既定路線で、長友が抜けた後はキムや中村で補うことになり、徳永は結局ほとんどSBに復帰できないままシーズンを終えることになった。世界的なSB不足と言われる中にあって、全体としては優秀な人材で繰り回しのできたポジションだったと思う。
椋原は今季最も成長した選手の一人だろう。準レギュラーとして右SBに居場所を確保、出場時間も大きく増えた。対人の強さは以前から定評があったが、シーズン終盤には攻撃参加でも存在感を見せた。アーリークロスには非凡なセンスがあると思っていたが、SHを内側から追い抜いてゴール前に詰める動きなども見られるようになり、使える選手になったと思う。当たり前のクロスの精度をもう少し上げたいが、今後が楽しみだ。
長友はシーズン途中でイタリアに移籍したが、それまでは無尽蔵のスタミナと強い意志の力に裏づけられた果敢なプレーで低迷するクラブにカツを入れ続けた。激しい当たり、縦にぶち抜くスピード、何より戦う気持ちが素晴らしかった。移籍は残念だがワールド・クラスになり得る人材だし、いずれ海外での実績を手に東京に戻ってきて欲しい。
キムはCBが本職だが、左SBで起用されることも多かった。シーズン序盤こそなかなかチームに入れなかったが、次第に落ち着いた守備、正確なロング・フィード、キック力と、韓国代表に相応しい実力を見せた。いつの間にか欠かせない戦力になっていただけに、大宮への移籍は残念だが、実力に見合った活躍の場として一部を選ぶのはやむない面もある。移籍金を残してくれることも考えれば諦めざるを得ない人材か。大宮はいい買い物をした。
中村の左SBは時として危なっかしいところがあった。ひたむきな運動量、愚直な上下動は買うが、持ち上がった後のプレー選択がプア。クロスにはあまり可能性が感じられず、中に切り込んでもシュートに行くまでにボールを失うことの方が多かった。気持ちの見えるプレーをしてくれる好きな選手だが、SBをやるなら敵陣に入った後のプレーの質をもう一段高めて欲しい。
来季は長友、キムがいない中で徳永をSBに復帰させたい。右を椋原、左を徳永、バックアッパーのファースト・チョイスに中村で、2つのポジションを3人で競うような形が望ましいのではないだろうか。
だが、もちろんこれではケガ等を考えても心許ない。ここは横浜FCにレンタルしていた阿部(巧)の復帰が必要だろう。横浜FCでコンスタントに試合経験を積んでおり、J2の戦いを知るという意味でも貴重な人材。阿部が左のバックアップとして計算できれば、この4人でのポジション争いはレベルの高いものになる。
不安材料は代表による離脱で、徳永は代表招集を受ける可能性があるし、阿部、椋原はオリンピック予選に呼ばれるかもしれない。そうした時のことを考えると本職ではなくてもSBもこなせる選手が本当はあと1人か2人欲しいところだ。この辺は平松あたりに期待するのかな。加入が噂されてる柳楽はSBはできるのかな。今野あたりをSBに回してCBでカバーするのかな。でも今野も代表だよな…。
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FC東京
2011年01月05日 20:33
[posted by der_ball_ist_rund]
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【2010年】FC東京シーズン・レビュー(2) GK編
2010年の東京は権田を正GKに、塩田をサブにしてシーズンを戦った。権田は進境著しく、代表にも招集されて新しい東京の顔になりつつある。塩田もサブに甘んじざるを得なかったということだろう。
権田は正確なキックでチャンスを演出するとともに、一対一の勝負強さで何度も窮地を救った。頼れる正GKになったと思う。しかしその一方でセットプレーでのポジショニングや飛び出しの判断に甘さの見えることがあり、まだまだ成長の余地はあると言っていいだろう。真っ先に残留を明言した東京の宝であり大事に育てたい。
塩田はサブGKという難しいポジションで高いモラルを維持し続け、ピッチだけでなくベンチからもチームを鼓舞し続けた。生え抜きの塩田の強さは東京にはなくてはならないもの。試合に出たときには横からのクロスのキャッチングに圧倒的な強さを見せた。精神的支柱としても大事な存在で、J1からのオファーもあったといわれる中での残留は大きい。来季は権田が代表で抜けることも予想され、塩田がチームを支える機会も多くなるはずだ。
阿部はサードGKとして出場機会はなかったが、阿部がいるからこそ権田も塩田も心おきなくプレーすることができたはずだ。常にフィットを保ち続け、待機し続けた阿部の働きは高く評価しなければならない。ひとつしかポジションのないGKの宿命ではあるが、キャラクターも含め阿部のチームへの貢献は決して小さくない。湘南へ移籍したが対戦を楽しみにしたい。
来季は先にも書いたように権田の代表招集、離脱が予想される。そのため今季以上にサードGKの存在が重要になるが、ここに草津の正GK常澤を補強したのは的確だった。常澤のプレー自体はよく知らないが、J2での試合経験があるGKの存在がモノをいう局面はきっとあるのではないかと思う。
さらに廣永は岡山からレンタルバックで戻すべき。権田の代表招集と塩田か常澤のケガなどが重なると一気にGKは手薄になる。岡山でJ2の戦いを目の当たりにした廣永は手許に置くべきだ。
来季は正GKが権田、サブが塩田、サードが常澤、4枚目が廣永という4人態勢で臨むことになるだろう。これが機能すれば盤石で、最も議論の少ないポジションかもしれない。
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