フットボール・クレイジー
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2012年05月31日 00:28
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【ACLラウンド16】広州×FC東京
■2012年5月30日(水) 20:00(日本時間21:00)キックオフ
■広州天河体育中心
ACLのラウンド16。グループ2位通過となったためアウェイでの試合である。まあ、当然ながら自宅でBS朝日観戦になった。今回のACLではBS朝日は東京の試合をすべて生中継してくれており有り難い。仕事を切り上げ、風呂に入って晩ごはん食べて、10分ほど遅れての追っかけ再生観戦となった(ハーフタイムに追いついた)。
東京は高橋をCBに下げ、徳永を右SBに回した。ボランチは長谷川と米本のコンビ。前線では浦和戦に続いてルーカスを左SHに置き、ワントップに渡邉を起用。
試合は互いに前に出る中で拮抗した展開となる。週末の浦和戦を思い起こさせるような、自分たちのスタイルを出そうとする前向きな意志のぶつかり合いといった感じ。東京は臆せずにパスをつなぎ、サイドも使って攻撃を仕掛けようとするが、敵の守備は堅く、またリスクを取った縦パスがカットされることも多くてリズムをつかめない。
14分には左寄りで得たFKを森重からサインプレーでつなぎ最後はルーカスがミドルを放つが枠に飛ばなかった。序盤はそこそこ攻撃もつながっていたように思うが、パスミスを繰り返すうちに流れは広州に。徐々に押し込まれ受けに回る時間が長くなる。
すると31分、東京の左サイドで裏を取られ奥深くまで抉られる。ここから戻しのクロスが入ったところに押し込まれ失点、アウェイで重い先制点を許してしまう。このシーン、実況アナウンサーもツイッターでも「オフサイドではないか」と疑問を呈していたが、後で写真を見る限りラストパスを出した時点で敵FWは東京のDFよりは前に出ていたものの、明らかにボールより後ろにおりオフサイドではないと思う。
その後は広州がやや守備的になった気もしたが、東京は攻めきれず。逆にボールを失うとシンプルに前線につながれ、個人技に優れる前線の選手に厳しい局面を作られることもしばしば。結局0-1と1点のビハインドのまま前半を終えた。
後半開始早々、石川が鋭いミドルを放つが枠外。後半は時間の経過とともに東京がリスクを取って前がかりになる分チャンスは増えるが、カウンターで危ないシーンも出てくる。権田のセーブや敵の拙攻でしのぐが、2、3点は取られていてもおかしくなかった。
55分、パスの精度に問題のあった米本を下げ谷澤を投入。梶山がボランチに落ちてルーカスが中央に、左SHに谷澤が入る。後半も半ばを過ぎると徐々に敵の足が止まり始め、東京がボールを持つ時間が長くなる。何度かフィニッシュまで行くがいかんせん精度を欠き枠に飛ばないことも多い。
84分、石川に代えて河野を投入。この交替は遅きに失した感があった。直後、河野がドリブルで持ち上がり入れたクロスにルーカスが頭で合わせるがポストを直撃。入っていれば、というシーンだった。
85分、椋原に代えて林を投入。3バックになったとのことだが、実際どんな布陣になったのかもはや落ち着いて見極める余裕なし。
アディショナル・タイム、敵ゴール前で密集となり敵GKと敵DFが傷み試合が止まる。救急車が競技場に導入されるが、実況アナウンサーの「これは時間稼ぎの救急車でしょうか」に失笑。まあ、実際そうかもしれないけど。治療のあとようやく試合再開、ラストプレーとなった左からのCKには権田も上がり、河野のクロスに頭で合わせるが枠に飛ばず。
結局、東京は終盤押し込みながらもゴールが遠く、前半に許した1点に泣いてACL敗退が決まった。
東京としては優勝候補の呼び声高い強豪を相手に自分たちの戦い方を貫き、動き続けての敗戦であり、試合内容も戦う姿勢もまったく下を向く必要のない立派なものだったと思う。悔しくはあるが、顔を上げて帰ってきて欲しい。
とはいえ、一発勝負のラウンド16でスコアレスに終わり敗退したのは事実。失点シーンを責めるより、チャンスは作りながらも無得点に終わったことの方を反省すべきだろう。
ACLは天皇杯の優勝で得た、いわば昨季のプレミアム的なもの。この位置で負けたのは、ホーム開催権を取れなかったグループリーグ最終節も含め、我々の実力が所詮まだこんなものだということだ。何度も書くようだが僕たちはただの昇格クラブに過ぎず、今季はまだ何ひとつ成し遂げた訳でもない。無責任な夢を見るのは勝手だが、現実的に考えれば、実力相応の結果なのかもしれない。僕たちはこの悔しさを胸に、今季3位までに入って改めてこのステージに戻ってこなければならない。
リーグ戦は6月16日のアウェイ横浜戦まで中断に入る。この期間の使い方の巧拙が再開後の成績に大きく影響するだろう。高橋と権田は代表に呼ばれているが、この機会にチームとしての戦術の確認と深化をしっかりやって欲しい。
採点(
採点の見方
):
権田(2) クリティカルなシュートを再三セーブ。ヘディング入ってればな〜。
徳永(4) サイドで勇躍したが、守備ではマズい対応多かった。やりきらないと。
高橋(4) 守備そのものに破綻はなかったが、うかつなプレーも多かった。
森重(3.5) 正当な守備を再三ファウルと判定され気の毒。FKはもったいなかった。
椋原(3.5) 果敢に攻め上がりいいところでボールを受けた。
長谷川(3.5) いい戦術眼でパスを出し続けていたが前への突破力に欠けた。
米本(4) ボール奪取はいいが、その後の展開がまだまだプア。技術と経験が必要。
石川(4) ボールが足につかず。シュートは放ったが精度を欠いた。
梶山(3) 素晴らしいボール・コントロール。守備への貢献も。
ルーカス(3.5) 序盤はシュートの意識も高かった。よく動き続けてくれた。
渡邉(4) シュートが枠に飛ばず。献身的に前線に経ち続けたが。
===
谷澤(3.5) アジアの審判はまだ谷澤のヤバさが分かってないのかも。
河野(3) 果敢な攻撃姿勢で終盤の反攻を演出。もっと早く入れるべきだった。
林(-) 時間短し。アピールはできた。
それにしても権田のヘディング入ってれば大変な騒ぎになったのにな。
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FC東京
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ACL
2012年05月27日 00:57
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【Jリーグ第13節】FC東京×浦和
■2012年5月26日(土) 19:00キックオフ
■味の素スタジアム
ワールドカップ予選のためリーグ戦が3週間の中断に入る前の最後の試合。ここ数年苦手としている浦和を味スタに迎える。浦和には昨年の天皇杯で勝っているが、今年は監督が交代して復調しており、リーグ戦でも上位にいる侮れない相手であることは間違いない。東京の「現在地」を知るという意味でも試金石となる重要な試合だ。
日中は暑いくらいの晴天だったが午後からやや曇り、夕方には結構涼しい風が。新宿の京王百貨店で弁当を買って味スタに乗り込んだが、Tシャツの上にジャージを羽織って行ったのは正解だったようだ。浦和戦ということで混雑も予想されたため、ふだんよりちょっと早めに行ってみたがそれほどでもなかった。浦和の動員力も確実に落ちていると思う。まあ、昨年はギリギリまで残留争いをしていたくらいだから仕方ないのか。
さて、東京は前節鳥栖戦を踏まえ先発をいじってきた。MFは高橋と長谷川がボランチでコンビを組み、右に石川、中央に梶山、左にルーカス。ワントップには渡邉がリーグ戦で初めて先発した。
試合は序盤から互いにモチベーションの高いハイペースな展開に。このまま90分保つのかと心配になるくらいそれぞれが自分たちのスタイルで攻撃的に組み合う。浦和は引いてくるのかとも思ったが、東京と同様にラインを高く保ち、中盤での激しい主導権争いから奪ったボールを前線に素早く展開しようとする。似たスタイルのクラブ同士、殺るか殺られるかという緊迫した試合。
浦和はボールを失った後の帰陣が早く、東京は遅攻が中心になるが、焦れることなくサイドを使って崩そうとする。左サイドのルーカスから何度か絶妙なクロスが上がるが中央の渡邉には合わず。32分には梶山からボールを受けた石川が左サイドからシュートを放つがポストに嫌われる。このこぼれ球を高橋、椋原が続けて狙うがいずれも得点に至らず。
一方の浦和もボールを奪うと巧みにパスをつなぎながら前線に攻め上がる。何度か危ない形を作られるが、権田のセーブもあって難を逃れる。結局高いテンションで互いに攻め合ったままスコアレスで前半を終える。無得点ながらスタンドからは拍手。
東京は右SBに入ったチャンの裏のスペースを使われることが多く、またチャン自身もクロスの精度を欠き、また守備でも不用意な飛び込みなどもあって早々の交替かと思っていたが、監督の判断はそうでもなかったようだ。
後半に入っても試合は動かない。序盤は浦和にボールを持たれ守勢に回るが、東京も中盤での積極的なプレスからボールを拾い、いつの間にかまた拮抗したゲームに。浦和は順番に選手を替えてくるが、ポポヴィッチ監督は動く気配なし。時間帯によっては足が止まったかに見えたこともあったが、攻撃と守備を繰り返す見応えのある試合で、結果がどっちに転んでもおかしくないような伯仲した内容。だが、だからこそ勝ちたいと強く思っていた。
75分には敵のミドルがバーを叩くなどやや押し込まれる局面もあったが、権田の堅守もあって失点は許さず。85分、ようやく最初の交替。渡邉を下げて谷澤を投入。ルーカスがワントップに入ったように見えた。
テンションの高い試合だったが、それだけに互いの守備も集中しており、スコアレス・ドローも視野に入り始めた88分、敵MFにエリア内へのドリブル侵入を許し、受け渡されたボールを敵MFが流し込んで0-1に。痛い失点を喫してしまう。残り時間を考えても、正直、また敗戦後の情けない気分を胸に帰ることになるのかなとちょっと悲観的になったりした。
しかし、我々にできるのは結局のところ応援するクラブを信じて声援を送るだけだ。我々のチームもまた下を向いてはいなかった。
90分、チャンが退き林がイン。高橋がボランチ、徳永が右SBに入って、林はSH的な位置か。すると、91分、石川のCKに中央で森重が頭で合わせゴール。悲鳴混じりのスタンド。嬉しかった。1-1となり試合を振り出しに戻す。
アディショナル・タイムにも再度CKのチャンスがあり、コーナーに向かう石川がスタンドを煽るとスタンドの雰囲気はヤバいくらい盛り上がるが、森重のシュートはGKの正面を突き得点には至らない。
アディショナル・タイムには梶山を下げてケガから復帰の加賀を投入。高橋を一列前に出す布陣か。逆に浦和にもヘディング・シュートがポストに嫌われるシーンがあり、最後まで息もつけない戦いに。結局試合はそのまま1-1の引き分けとなり、勝ち点1ずつを分け合う結果となった。
浦和がきちんと前に出てくれたこともあって、互いに長所を出そうとする見応えのある試合になった。東京のようにポゼッションを指向するパスサッカーを戦略にしていると、往々にして引いて守られ、カウンター一発で失点するという「良さを消す」戦いを挑まれて苦戦を強いられることも多いが、この日は互いに似たスタイルを持つ両方のクラブが正面からぶつかり合い、一瞬たりとも気の抜けない好勝負だった。
我々の選手は臆することなく中盤で果敢にプレスを仕掛け、奪ったボールをしっかりとキープしながら幅のある攻撃で何度もチャンスを作った。浦和も厳しい攻撃を仕掛けてきたが、権田のセーブもあって最小失点にくい止めることができた。
勝てたらシビれる試合だったが、内容から見れば引き分けは妥当な結果だろう。僕も10年間SOCIOを続けているが、これまでに見た東京のゲームの中でも最も素晴らしい引き分けだった。東京のパフォーマンスがよかっただけでなく、浦和も高いモラルで最後まで戦ってくれたし、両方のクラブのサポーターの声援も互いに呼応し合っているようで試合を盛り上げた。
また、吉田主審のゲーム運営も見事で、これだけのシリアスなゲームなのに警告が両チームを通じチャンのひとつだけだったのも特筆すべきだ。非常に引き締まった好ゲームであり、Jリーグにおいてひとつの水準を示すことのできた試合。実際に試合を見た人はこれが大げさな表現でないことを理解してくれるだろう。カネを払って見るだけの価値のある試合だった。
東京は他のクラブより消化が1試合少ない中で暫定6位を維持。引き分けではあったが悪くないイメージで次に向かえるだろう。「現在地」を知る、という意味では及第点以上のものを見せたナイス・ゲームだった。
採点(
採点の見方
)
権田(2.5) スーパーセーブで何度もピンチを防ぐ。失点シーンはやむなしか。
チャン(4.5) 裏を使われた上、クロスの精度、不用意な飛び込みもいただけない。
徳永(3) やはり右サイドで使いたい。我慢強く守ったが攻め上がりが見たい。
森重(2.5) 浦和の攻撃は怖かったがラインを下げずに最小失点に抑えた。
椋原(3.5) 果敢な攻撃参加でチャンスを作った。シュートもあった。
高橋(3) バランサーとしてだけでなく縦に当てる意識も高かった。さすが代表。
長谷川(3) 広い視野と戦術眼で決定的な球出しが多かった。
石川(3) やはりクロスより切れ込みがいい。傷んだときはヒヤッとした。
梶山(3) 難しい状況でも飄々とボールをキープ。前線の要となった。
ルーカス(3) サイドからクロス、持ち込みと活躍。守備の貢献も大きかった。
渡邉(3.5) 前線でしっかりボールを引き出した。もっと自分で行っていい。
===
谷澤(-) 時間短し。
林(-) 裏へのいい飛び出しがあったがオフサイド。
加賀(-) 久しぶりのピッチ。本格的な復帰が待たれる。
東京は火曜日にACLのラウンド16を広州と戦ってから中断期間に入る。一発勝負であり、内容はともかくしっかり勝ちきらなければならない試合。勢いを削がず勝ち抜きたい。
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FC東京
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J1リーグ戦
2012年05月20日 21:02
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【Jリーグ第12節】FC東京×鳥栖
■2012年5月20日(日) 15:00キックオフ
■味の素スタジアム
リーグ戦2連勝中だが内容的には必ずしも手放しでは喜べない試合が続いている中で、ホームに鳥栖を迎える。鳥栖は昇格クラブだが堅い守りと規律のある戦いぶりでここまで4勝2敗5分と健闘しており苦戦が予想されるイヤな相手。天気予報では30度近くまで気温も上がるということだったが、味スタは実際には曇り空となり風もあって涼しい天気になった。
東京は週央の蔚山戦からメンバーを入れ替え。GKを塩田から権田に戻した他、トップ下には河野に代え梶山、ワントップには渡邉に代えルーカスが入った。
東京は例によってポゼッションから主導権を握ろうとするが、規律ある守備でしっかりとしたプレスをかけてくる鳥栖を相手になかなかペースをつかめない。開始早々の6分、敵CKからのこぼれ球が敵FWに渡りゴールを決められるがオフサイドに。その後も自陣深いところで奪われたボールからシュートを放たれるなど危ないシーンが何度かあった。
東京はしっかりと守備を固めてくる鳥栖を攻めあぐねる。得点の可能性を感じさせたのは12分、長谷川の落としを高橋がフリーでシュートしたプレー(枠に飛ばずゴールの前を横切る)と、23分、椋原が左サイドを上がりゴールライン近くから戻したボールを受けて梶山がシュートを放ったプレー(ポスト)くらい。それなりに動けてはいるがいい形でフィニッシュまで行けないいつもの重い展開。
すると、前半終了間際の42分、敵陣でボールを奪われるとそのままカウンターに。ボールホルダーにDFが引っ張られたところに、後ろから出てきたMFにボールを渡され、フリーでシュートを浴びて失点。シュートもよかったがパスミスから一気にカウンターで失点という何度も繰り返された形で痛い時間帯に先制を許してしまう。結局0-1とリードを許したままハーフタイムに。前半のシュート4本は寂しい。
後半に入っても流れは変わらず。すると54分、ポポヴィッチ監督が思いきった采配。谷澤、チャンに代えて渡邉、石川を投入。徳永を右SBにスライドして高橋をCBに下げ、長谷川がボランチに落ちて石川が右サイドにイン、ルーカスを左SHに回し渡邉がワントップに入る布陣に変更する。
これで東京は長谷川から縦に思いきったボールが入るようになり、少し動きが出てくる。しかし59分、再び敵陣で失ったボールを東京の左サイドから持ち上がられ、クロスを許す。権田が飛び出したがクリアすることができず、飛び込んだ敵FWに身体ごと押し込まれて0-2に。権田の判断ミスを責められても仕方のないシーンだった。
2点をリードした鳥栖は自陣に引いて守りを固める。ここからはほぼハーフコート・マッチの様相で、東京は68分、米本に代えて河野を投入。梶山がボランチに下がり、ルーカスがトップ下にスライド、河野は左SHに入る。
東京は鳥栖の堅い守りに手を焼きながらも、フレッシュな石川や河野の仕掛けを武器に敵を動かし、守備にギャップを作ろうと試みる。75分、石川が右サイドのスペースに出したパスに渡邉が反応、シュートを決めてようやく1点を返す。このシーン、現場で見た僕は完全にオフサイドだと思ったが、テレビでの検証ではそうでもなかったらしい。
1点を返したことで勢いに乗る東京はその後もほぼ一方的に攻撃。81分、左サイドでのスローインからファーに飛ばしたボールを徳永が折り返し、最後は渡邉が身体に当てて押し込み同点に。盛り上がるスタジアム。
こうなると東京は押せ押せ。逆に鳥栖はスタジアムの雰囲気にも飲まれたか、動きが止まり東京の攻撃を受け止めてクリアするのが精一杯になる。88分、右サイドからのFKを石川が蹴ると、敵DFがクリアしようとしたボールが渡邉の顔面に当たりそのままゴールへ。東京がついに3-2と逆転に成功した。
その後はリードを奪われて前に出るしかなくなった鳥栖の攻撃に対し5分のアディショナル・タイムをしのぎきり、東京が渡邉のハットトリックで価値ある勝利をつかんだ。
前半はしっかりとした守備をする相手に対してボールを支配してもなかなか最後のところをこじ開けられないといういつもの流れ。しかも奪われたボールを素早く前線に運ばれて失点という既視感ありありのシーンをまたも見せられ、新潟、札幌での勝利はやはり本物ではなかったかと落胆せざるを得なかった。
後半に入っても状況はなかなか改善せず、やらなくていい追加点までやってしまって、正直もう厳しいかとも思ったが、交替した選手がそれぞれ持ち場で特徴を発揮、引いた相手を崩すにはやはりこちらが人とボールを効果的に動かして相手の動きを誘い、ブロックにギャップを作り出すことが必要だと示してくれた。
渡邉のゴールは1点目を除いて決してファイン・シュートとは言えないが、ストライカーとしてはあの場所にいて押し込む準備ができているということが重要。渡邉は結構サイドで起点になったり、そこから裏を狙って縦に走ったり、得点シーン以外でも前線での攻撃にしっかりと絡んでいた。難しい起用のされ方をしているが、こうして得点を重ねることでストライカーとしての感覚は鋭敏になって行くはずだ。渡邉にはかつて赤嶺に与えていた「東京のキルステン」の称号を授与したい。
河野もよくアクセントをつけてくれた。ボールを持てば何か仕掛けることを考えるメンタリティは東京では貴重なもの。長い距離のドリブルはなかったが、サイドから切れ込むと見せてのパスなどアイデアは豊富で、敵を引きずり出してブロックを崩すという仕事にしっかりトライしていた。羽生とは違うやり方で相手をかき回せる貴重な戦力だ。
やはり引いた敵を崩すには、こちらの足を止めず、人もボールも流動することが必要。そのためには判断を速くし、プレーを正確にしなければならない。この面ではまだまだ改善の余地はある。今日の勝利は格別だが、こうした問題、課題が雲散霧消した訳ではないということは我々サポーターも厳しく認識しておく必要がある。
これで東京は暫定ながら6位をキープ。他の上位クラブより1試合少ないので、もしその試合に勝つことができたら2位だ。結果が出ているうちに内容の検証、整理をしっかりやっておいて欲しい。次節は浦和戦だが、今季は監督も替わって悪くない成績を残している。昨年の天皇杯とは異なるチームだと思った方がいいだろう。しっかり準備しないと足許をすくわれる。
採点(
採点の見方
):
権田(4) 2失点目は飛び出しに失敗。それ以外は無難な出来だったが。
チャン(4) 上がりすぎて完全に裏をやられるシーンも。大事に育てたい。
徳永(3) 後半、右SBにスライドしてから躍動。やはりサイドで使いたい。
森重(3.5) 1点目は寄せられずフリーでシュートを打たせてしまった。
椋原(3.5) いい攻め上がりもあったが裏を取られて後手を踏むシーンも。
高橋(4) 今日もうかつなボールロストあり。CBは無難にこなした。
米本(4) このところ配球に冴えを見せる。ポジショニングの意識もよかった。
長谷川(3.5) ボランチに回ってからの方が効果的にボールに触っていた。
梶山(3) なぜかボールを取られないあの間合いがようやく戻ってきたか。
谷澤(3.5) ボールにはよく絡んだがもう少し積極的に仕掛けていっていい。
ルーカス(4) ポストにも前線からの守備にも貢献。特典が欲しいところだ。
===
石川(3.5) サイドでボールを受け、仕掛けや突破で敵の脅威となった。
渡邉(2) とにかく押し込んだことがすべて。結果先行は悪くない。
河野(3) 常に前を向いて仕掛ける姿勢が素晴らしい。最初から見たい。
ああ、ホーム浦和戦は何としても勝ちたいぞ。
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FC東京
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J1リーグ戦
2012年05月18日 00:32
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【ACLグループリーグ第6節】蔚山×FC東京
■2012年5月16日(水) 19:30キックオフ
■蔚山文殊サッカー競技場
平日夜の韓国でのアウェイ戦の上、飲み会も重なってBSでの録画追っかけ観戦。家にたどり着き風呂に入ってテレビの前に陣取ったのは12時前であった。
東京は既にグループリーグ突破を決めているが、この試合に勝つか引き分ければグループ1位通過となり、ラウンド16のホーム開催権が得られる(そうなれば相手は柏)。負ければ2位通過で、広州まで出向かなくてはならなくなる。
東京はケガ人も多く、大胆なターンオーバー。GKに塩田、CBは森重、徳永のコンビだが太田が発熱で離脱したため椋原を左SBに回し、右SBにはチャンが起用された。また、ボランチは米本と高橋の組み合わせとなり、トップ下には河野が東京では公式戦初先発、右に長谷川、左に谷澤という布陣。ワントップは「ACL仕様」で渡邉が務める。
既にゲームから一日経ってしまっているので細かい経過は省略するが、結果を見ればボールを支配し主導権を握りながらも、前半終了近くにセットプレーからこぼれ球を押し込まれて失点、その前後を通じて何度かチャンスを作りながらも決めきれず、もともと引き分け上等であったが苦杯を喫したという試合。
東京はパスもつながり縦に当てる意識もあったように見えた。ゴール前でも勝負はできていたが、シュートが二度までもポストに嫌われる不運もあり、後半は割り切って守備を固める蔚山を前に徐々に足が止まってしまった。
失点は敵のFKから塩田のセーブ、敵のシュートミスでこぼれたボールを押し込まれたもの。失点シーン以外に決定的なピンチはほぼなく、セットプレーからのワンチャンスで決められた感があるが、こうしたことはどんな試合でもあり得ることであり、失点を悔やむよりは何度かチャンスを作りながら得点できなかったことの方をしっかり検証、反省すべき試合であったと思う。
梶山、ルーカスを温存、またケガで太田、羽生、石川らを欠いていたが、米本や初先発の河野が悪くない動きを見せ、内容的には悲観すべきものではなかった。また、終盤に公式戦初出場となったFWの林もまずまずのデビューを飾った。
とはいえ、正直、ある意味負けてもいい試合だった訳で、そうであればもう少し思いきって行って欲しかったと思わざるを得ない。決定機に決めきれないと往々にして流れを失い、残念な失点で負けることになるという見本のような試合で、東京は蔚山に次いでの2位通過となり、ラウンド16を広州で戦うこととなった。一発勝負でありここはACLとしては山場だ。
採点(
採点の見方
):
塩田(3.5) 厳しく試されるシーンなし。失点はやむなし。
チャン(4) 不慣れなポジションだが大きな破綻なくこなした。
徳永(3.5) 対人の強さを見せ危なげない守備。終盤は右SBに。
森重(3.5) 守備を統率、失点の場面以外は手堅く守りきった。
椋原(4) 愚直な上下動で攻撃にも絡んだがアイデアに欠けた。
米本(3) 尻上がりに調子を上げ、プレー選択の判断もよかった。
高橋(3.5) 米本とのバランスをよく考えた。ミドルも効いていた。
長谷川(3.5) サイドから攻撃に絡んだ。シュートは枠に行きたかった。
河野(3.5) 悪くない動きだったが特徴を出し切れず。早い交代は残念。
谷澤(3.5) 彼をよく知らない敵にとってはきっとイヤな選手だろう。
渡邉(4) 役割は果たしたが、前を向いての勝負が少なかった。
===
梶山(3) 彼が入ったことで流れは随分よくなったが決めきれず。
ルーカス(3) 献身的にボールを捌いたがやはり決めきれず。
林(-) 短い時間だったがしっかりと顔は見せられた。
ここから何を学ぶのか、正念場にさしかかっていることは確かで、週末の鳥栖戦は我々の覚悟のようなものが問われる一戦になると思う。
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FC東京
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ACL
2012年05月12日 16:59
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【Jリーグ第11節】札幌×FC東京
■2012年5月12日(土) 13:00キックオフ
■札幌ドーム
2節続けての遠隔地でのアウェイ戦。札幌は遠征範囲外ということで自宅スカパー観戦。東京は羽生に代えて石川が右SHで先発。羽生は足裏を傷めたとかでベンチ外となり、中村が今季初めてベンチ入りした。
試合は開始早々動く。1分、右サイドでボールを持った石川が長谷川とのワンツーで縦に抜けクロス。ニアの梶山がこのボールを右足に引っかけると、ボールはふわりとファーのネットに飛んで行きゴール。東京が早くも先制点を奪った。リプレイで見ないと何が起こったか分からないトリッキーで見事なゴールだった。これだから梶山はやめられない。
しかし、あまりに早い時間帯にリードを奪ってしまうとその後の戦い方が難しくなるのはよくあること。東京はリードを意識したか試合運びが慎重になってしまう。高い位置からボールにプレッシャーをかけるのはいいのだが、奪ったボールをつないでもなかなかフィニッシュまで行けず、下げてフィフティのボールを蹴ったり、敵陣でのパスが通らず奪われたり。
後ろでは森重、徳永のCBが効いている上、権田のセーブもあって最後のところは抑えているのだが、椋原の後ろを再三使われて正確なクロスを上げられるなど札幌の攻撃を受ける。中央には個人技に優れた敵FWもおり、前半はシュート数で札幌が東京を上回るなど、東京は素早い切替からの守備で試合をコントロールしながらも、追加点が入りそうには見えない時間帯が続く。
36分、石川が敵との接触で右足を傷め退場、そのまま渡邉と交代する。石川はいったんピッチに戻ろうとしたが右膝を押さえて断念。昨季から好調を維持してきただけにシリアスなケガでないことを祈るばかりだ。渡邉はワントップに入り、ルーカスが左SHに、谷澤が右SHに回る。結局、東京は我慢強く札幌の攻撃をいなしながら1-0とリードを保ったまま前半を終えた。前半のシュートは札幌の7本に対し東京は4本。
後半に入ると札幌が攻勢を強める。前線で起点を作られ、押し込まれるが、権田の再三の好セーブもあって得点を許さず。東京は防戦一方となり、ボールを奪ってもつなぎが雑になって形を作れない。散発的にシュートを放つものの追加点を奪えるような流れにはならず。札幌の攻撃をしのぎながら時間の経過を待つ。
終盤になると東京はやや引き始め、ボールを奪っても人数をかけて攻めるシーンは減ってくる。4-4-2にシフトした訳ではないと思うが、結果的に2ラインを残して渡邉と梶山だけで前線を見るシーンが多くなったような気がする。85分、谷澤に代えて米本を起用。前線からのボール・チェイスに期待するということか。
カウンターから何度かチャンスを作るが、スピードを持って攻めきれず、シュートはイージーなものに終わって追加点ならず。残り15分くらいで前がかりになった敵からカウンターでの追加点を挙げられれば随分楽に試合をクローズできるのだが、そこはまだこれからの課題なのだろう。
89分には渡邉に代えて重松が今季初出場。渡邉は途中出場の途中交替となった。東京は時間を使いながら試合を運び、結局開始1分の得点を守りきって1-0で札幌を下した。
最初に得点してしまったために戦い方の意思統一が難しかった試合。守勢に回りながらも敵にゴールを許さず、早い時間帯の先制点を守って勝ちきったと言えば聞こえはいいが、その割りには権田の腕一本で救われたヤバいピンチも多かったし、追加点を狙う攻撃も迫力とアイデアを欠き敵を崩しきれなかった。
1点のアドバンテージがあるのだから、もっとしっかりと前に仕掛けてよかったし、攻撃のパターンを試してよかった。ボールを取られないための保守的なパス回しは見られるが、敵を動かしギャップを作るための攻撃的なパス回しは今日も少なかった。全体に東京の方が意図のあるプレーをしていてチームとして目指す高みがあることを感じさせはしたが、敵をどうひっぺがしてどこからゴール前に入って行くかという具体的で個別的な戦略に関してはまだまだ場数を踏む必要があると思った。
梶山は引き続きよかった。ゴールはもちろんだが、それ以外のシーンでもうなってしまうようなキープからの絶妙な配球など能力の高さを見せつけ、東京の攻撃の要として実力を発揮した。一方、石川との交替で急遽投入された渡邉は、懸命にボールに絡んだが、チームとして要求される役割と、自分自身の得意な形とのギャップを消化しきれていない印象を受けた。もっとゴリゴリと自分のゴールを狙いに行っていいのではないか。
とはいえ、新潟、札幌と、課題は残しながらも2連勝できたことは結果的に大きい。これで東京は1試合あたりの勝ち点を1.8に伸ばした。他のクラブより試合消化が1試合少ないこともあり、この時点での順位は気にする必要はないと思うが、1試合あたりの勝ち点を2前後に保つことができれば優勝争いに絡むことができる。
東京は水曜日にACLグループリーグの蔚山戦、その後は2週続けてホームでのリーグ戦で鳥栖、浦和と戦う。蔚山戦はラウンド16のホーム開催権がかかった重要な試合であり、厳しい日程の中、勝ちながら課題をしっかり消化していくことが求められている。チームの勢いとしては価値のある勝利だったが、ここからの戦いが重要だ。
採点(
採点の見方
):
権田(2) 再三に亘る好セーブで札幌を完封。権田なくして今日の勝利なし。
椋原(4.5) 上がった後の裏のスペースを使われた。バランスに気をつけて。
徳永(3.5) 危なげのない守備でピンチをしのぎ完封に貢献。さすがに手堅い。
森重(3) 厳しい対応で敵FWの個人能力を抑えきった。今や東京の大黒柱に。
太田(4) うかつなボールロストもあったものの、攻撃参加に見るべきものあり。
高橋(4) 軽い横パスをさらわれるシーンあり。バランスは取った。
長谷川(3.5) 広い視野からセンスを感じさせるパス出しでチャンスを演出した。
石川(4) 攻撃にアクセントをつけていたがケガで途中交替。心配だ…。
梶山(3) ゴールは見事。それ以外にも独特の間合いでボールをコントロール。
谷澤(3.5) 献身的にボールに触り札幌の攻撃をいなすことに貢献。
ルーカス(3.5) しっかりボールを収めた。前線からの守備も効いていた。
===
渡邉(4) 早い交替だったがプレーに迷いがあり特徴を出すに至らず。
米本(-) 時間短し。
重松(-) 時間短し。もう少し見てみたい。
5月は3連勝。苦しみながらも結果が出ていることを大事にして行きたいところだな。
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FC東京
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J1リーグ戦
2012年05月07日 19:00
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【ブンデスリーガ第34節】マインツ×グラードバッハ
■2012年5月5日 15:30キックオフ
■Coface-Arena
今季最終戦はアウェイでマインツと。スカパーに顧みられることもない試合でやむなくネット動画を渉猟。ツイッターで教えてもらったアドレスで前半は快調に見られたが、後半は接続が切れPCの機嫌も損ねて再起動を重ねてるうちに終わった。
グラードバッハはブラウアースに代わってシュトランツルがCBに復帰、またボランチにはケガのノードファイトに代わってツィゲルツィ(読み方これでいいのか)が先発した。また、右SHにはヘアマンに代わってリングが先発、さらにケガのハンケに代わってデ・カマルゴがロイスとツートップを組んだ。
既に順位の決まったグラードバッハと、ヨーロッパリーグも降格も関係のないマインツとの最終戦ということで、試合は両クラブとも積極的に前に出るオープンな展開に。互いに攻撃を仕掛けるが正確さを欠き得点に至らない時間が続いた。次第にグラードバッハがリズムをつかみ、右サイドのリングからチャンスを作る。
31分、ツィゲルツィのパスを受けたデムスが中央に折り返すとロイスがこれを冷静に決めてグラードバッハが先制。39分には敵のゴールが決まったかに見えたが、ファウルがあったとの判定か取り消しとなり、1-0とグラードバッハがリードしたまま前半を終えた。で、ハーフタイムにウェブ動画の接続が切れてそれっきり戻ってこず…。
後半に入るとマインツは前がかりになって攻撃に出るが、逆にグラードバッハがそのスペースを使ってチャンスを作る。62分、ノイシュテターからのスルーパスを受けたロイスがこれを決めてこの日2点目。2-0とリードを広げる。67分にはリングが敵GKとの一対一を当ててしまうが、69分、ロイスからのパスを受けたデ・カマルゴがGKの股を抜いてゴール、3-0と試合をほぼ決定づける。
グラードバッハは73分、ツィゲルツィに代えてコルプを、74分にはリングに代えてヴェントを投入。さらに79分にはアランゴを下げてヘアマンを起用するなど試合をマネージし、結局3-0で今季最終戦に完勝した。
この結果、グラードバッハは17勝8敗9分で勝ち点60を獲得、4位でシーズンを終えた。昨季、入替戦で辛うじて残留を果たしたクラブが、チームとしての中心選手はそのままにこれだけの成績を残したのは、ここ10年以上ずっとこのクラブを応援している僕にとってもまったく予想外の健闘だった。
もちろん、昨季の失敗はCBのケガから苦しい用兵を強いられた結果であり、戦力や戦術としては悪くない状態なのだから、そこそこいい戦いをするだろうとは思っていたが、ここまでやるとは思ってなかった。ロイスを中心にアランゴ、ハンケ、ヘアマンらが前線で躍動するとともに、ダンテ、シュトランツル、ブラウアースのCBがシーズン24失点とリーグ2位の固い守備を見せたのも大きかった。
堅守速攻と形容されることも多かったが、決して引いて守って縦ポン一発のクソサッカーではなく、前線からの積極的な守備と素早い切替でボールを奪い取り、そこからワンタッチ、ツータッチで小気味よくボールを当てながら一気に押し上げる攻撃が持ち味だった。このスタイルは時として精度を欠きボールを失うリスクもあるものの、中盤にノイシュテターやノードファイト、前線にアランゴ、ロイスというタレントを得て、果敢にパスを通しながらダイナミックに機能した。
バイエルンにリーグ戦で2勝、シーズン終盤に層の薄さからやや失速したものの最後まで上位に踏みとどまり、チャンピオンズ・リーグ予備予選の出場権を獲得したのは素晴らしい成績。昨季から同じ選手で戦う中でファヴレ監督の戦術が浸透、規律と創意が絶妙のバランスでミックスされた完成度の高いサッカーを見せてくれた。高く評価したい。
来季に向けてはロイス、ノイシュテター、ダンテと主力の流出が避けられず、また欧州で戦うために選手層もこのままでは薄すぎる。それを考えると、今季、新たに獲得した選手が戦力的にほとんど上積みにならなかったのは不安材料。シーズン終盤にリング、ヴェントといった選手を起用し底上げを図っているがまだまだこれから。オフの補強と、新戦力を融合させた戦略の再構築が必要になる。クラブのやる気と監督の手腕を見せて欲しいところだ。
また、柏から加入した大津はこの日もベンチ入りせず、結局シーズンを通じほとんど出場機会を得られなかった。来季に向けてチームの中でしっかりと存在感を見せて欲しい。
ルツィアン・ファヴレ監督談話:
「今日の試合が先週の試合ほど重要ではないとしても、今日も勝ち点を伸ばしいいパフォーマンスを見せたいと思っていた。何にしても最後にいいパフォーマンスで終わることはいいことだし、我々はそれを成し遂げることができた。私から見れば我々の方が優勢だったと思う。幸運なことに1-0とリードすることができ、その後が楽になった。我々は素晴らしい働きをしたトルガ・ツィゲルツィのような若い選手を何人か起用した。アレクサンダー・リングも先発で起用したし、交替でユリアン・コルプも使った。大変いいことだと思う。今季は楽しいことのたくさんあった素晴らしいシーズンになった。我々は守備でも攻撃でも非常に、非常にいい試合をした。素晴らしいことだ。チャンピオンズ・リーグ予備予選については今はまだ何も言いたくない。それまでにはまだまだ時間がある。今日はシーズンが終わった日だし、素晴らしい試合をした」
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2012年05月06日 23:00
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【Jリーグ第10節】新潟×FC東京
■2012年5月6日(日) 19:00キックオフ
■東北電力ビッグスワンスタジアム
ゴールデンウィーク最終日。明日からの仕事を考えると夜7時に新潟はちょっとムリということでやむなく自宅BS観戦となった。
東京は徳永をCBにスライドし、右SBに椋原、左SBに太田という布陣。カウンターで裏を取られることへの対応か。徳永はできれば右SBで使いCBは本職の選手でカバーして欲しいところだが、この局面での選択肢としては理解できるし面白い。トップにはルーカスが先発した。
試合は例によって東京がボールを支配、新潟はブロックを作って守り、ボールを奪ってカウンターを狙う展開となる。長谷川、梶山がある程度機能し、両サイドも広く使ってボールの動きはかなりダイナミックになっているが、遅攻になると相変わらず足が止まってしまい、足許から足許へのパスが多くなって敵のブロックを崩せない。
11分には梶山のシュートが敵DFにブロックされ、ボールが谷澤の正面にこぼれる。谷澤が珍しくいい軌道でシュートを枠に飛ばしたが、敵GKのファイン・セーブに遭い得点ならず。その後はチャンスらしいチャンスもなく、ボールは支配するもののフィニッシュまで行けないもどかしい展開が続く。新潟の攻撃も迫力を欠くがポストをヒットされるなどピンチもあり、結局スコアレスで前半を終了する。
後半開始早々の51分、椋原がルーカスとのワンツーから縦に抜け出し、右サイドからクロス。これに梶山がニアで合わせゴール。前半は新潟DFを最後のところで崩しきれていなかった東京が美しいコンビネーションでいい時間帯に1-0と先制する。
62分、東京は羽生に代えて石川を投入。新潟は中二日での試合、東京もACLから中三日とあって、この辺りから中盤にスペースができ始める。先制した東京が流れをつかんで主導権を握るが、新潟も反撃を試み、出入りが激しくなってくる。
71分、右サイドで椋原がロングスロー。中央でルーカスがスルーするとボールはファーの谷澤の元に。敵DFが二人でブロックしようとしたが、DFに当たったクリアボールが裏にこぼれ、抜け出した格好の谷澤がこれを冷静に流し込んで2-0。これで試合の大勢は決した。
78分にはルーカスに代わり渡邉がイン。ホームの新潟は得点を狙いにくるが東京はしっかりとブロックを作って対応、ボールを持てばしっかりとパスをつないで敵に攻撃する時間を与えず。アディショナル・タイムには梶山に代えて米本を投入。何度かピンチもあったものの決定的なシュートは放たれず、精彩を欠く新潟相手に結局2-0で勝ちきった。
この試合、特に前半は守備ブロックをしっかりと構築してくる新潟を相手に攻めあぐね、シュートも8本にとどまるなど、これまでの課題が依然として解決していないことを窺わせた。しかし、長谷川、梶山が入ることで縦に当てる意識やサイドを使う意識は改善しており、攻撃のバラエティは増えつつあるように感じた。
試合展開としては、後半開始から流動的に仕掛け、この時間帯に先制点を挙げることができたのが大きかった。ゴールデン・ウィークの窮屈な日程の中で敵に疲れがあったことにも助けられたが、これで東京はグッと楽になった一方、チーム状態のよくない新潟はおそらくがっくり来たのではないだろうか。
2点めは敵のクリア崩れが裏にこぼれるラッキーな得点だったが、これを呼び込んだ椋原のロングスロー、ニアでつぶれたルーカス、ファーに詰めていた谷澤らが各々の仕事をきちんと果たした結果だったと評価するべきだろう。その後はバタつく新潟を相手に落ち着いて試合を運ぶことができた。
内容的には手放しで喜べるような試合でもなかったし、運に助けられた面もあるが、再びコマが揃い、流れから2得点してリーグ戦の連敗を3で止めたことの意味は大きい。ACLもあって日程が厳しい中では、結果を重ねる中で内容も充実させるしかないし、その意味ではブリスベン戦に続いて大事な転換点になり得る試合。この後も次の土曜日に札幌、次の週の水曜日には蔚山とアウェイが続くが、この勝ちを生かしチーム戦略を改めてしっかり浸透させて欲しい。
採点(
採点の見方
):
権田(3.5) ほぼ試されるシーンなし。手堅い守りで完封に貢献。
椋原(2.5) 2得点に絡む活躍。思い切りのいい攻撃参加で勝利を引き寄せた。
徳永(3) CBにコンバートされたがしっかり対人をケア、破綻はなかった。
森重(3) DFラインを統率、裏への気配りもできてピンチはあったものの完封。
太田(3.5) 攻め上がった時にはもっと勝負していい。守備に貢献。
高橋(3.5) 抜群のカバーリングでスペースを埋め敵の攻撃の芽を摘んだ。
長谷川(3.5) 攻撃のトリガーは意識したが仕掛けるシーンは少なかった。
羽生(3.5) フリーランで敵を撹乱。羽生先輩に期待するところは大きい。
梶山(2.5) 得点はもちろん、それ以外でも冴えを感じさせる動き。復調した。
谷澤(3) シュートが枠に飛んでいた。ゴールパフォーマンスは意味不明。
ルーカス(3) 前線で献身的に起点を作った。自身のゴールを獲らせてやりたい。
===
石川(3.5) スピードを生かした仕掛けもフィニッシュまで行けず。
渡邉(-) 時間短し。
米本(-) 時間短し。
これで5月は2連勝で、東京は日程の都合上他のクラブより1試合少ない状態で勝ち点15の8位に浮上。このいい流れを切らないためにも次節の札幌戦でしっかり勝ち点3を取ることがシーズン中盤に向けて極めて重要になってくる。大竹、平山のケガなど暗いニュースもあるが、ベンチは充実しており、課題をクリアしながら進むしかない。
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FC東京
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J1リーグ戦
2012年05月03日 01:27
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■
【ACLグループリーグ第5節】FC東京×ブリスベン
仕事の上がりが読めず、いずれにしても屋根のない国立のバックスタンドでスーツを着て見られる天気ではないということで、一応財布にチケットは忍ばせていたものの結局自宅BS追っかけ観戦となった。例によって情報遮断し、家に帰って風呂に入って晩ごはんを食べて10時半スタンバイ。ツイッターも見られないのは辛い。
リーグ戦では苦しんでいるもののACLでは好調な東京、勝てばグループリーグ勝ち抜けが決まる。左SBには太田に代えて椋原が先発。羽生が先発に復帰し石川がベンチスタートとなった。ワントップは渡邉。重松が今季初めてベンチ入りした。
激しい雨の中、試合は序盤から動く。4分、東京左サイドでFKを与え、これに中央で頭で合わされる。これはポストに当たって跳ね返ったが、これを同じFWに詰められ失点、0-1に。マークが確認できていなかったのか、ヘディング、押し込みともにフリーでやられてしまった。
多難な前途を思わせる失点だったが、直後の5分、右サイドに張った渡邉が中央にクロスを送ると梶山がシュート。これは敵DFに当たったがこぼれ球に後ろから駆け込んだ高橋がミドル。これが決まり東京がたちまち1-1に追いついた。抑えの効いたいいシュートだった。リードされたままの時間が長いと自滅するリスクもあっただけに、この得点は大きかったと思う。
ブリスベンの守備が大雑把で、リーグ戦のようにぎゅうぎゅう寄せてこられる感じではないため、東京は余裕を持ってパスをつなげる。出足よくボールを奪ってはボールを回しながら前に出るが、今日は長谷川あたりから縦のボールも効果的に入っているように見えた。
20分、長谷川が中央で苦労してキープしたボールを右サイドに開いていた渡邉に展開。渡邉からのクロスはファーに流れたがここに走り込んだ椋原がそのままシュートを放ち2-1と逆転に成功した。これもイージーに見えるがフカしてしまいがちな状況でよく抑えコースを狙った素晴らしいシュートだった。
その後も東京がボールを支配しつつ試合を進めるが、33分、再び東京の左サイドを使われた。ここから切り込まれシュートを許す。これは森重がブロックしたものの、こぼれ球を押し込まれて2-2の同点に。これも一瞬守備の集中が切れたようにも見えた。
だが、43分、徳永のパスを受けてエリアに切り込もうとした渡邉が倒されてPKを得る。映像ではファウルを受けたのはエリア外にも見え、微妙な判定だったとも思うが、いずれにせよ渡邉がこれを自ら確実に決め、3-2と勝ち越しに成功。時間帯からしてもここで勝ち越せたのは大きかった。そのまま前半を終了。
後半に入っても東京がボールを支配する展開。60分、谷澤からのスルーパスに、オフサイドラインをかいくぐって渡邉が反応、完全にDFラインの裏を取り、最後はGKとの一対一も落ち着いて流し込み4-2に。
しかし東京はこの辺りから足が止まって陣形をコンパクトに保てなくなる。ブリスベンに中盤を使われて押し込まれる時間が増えてくる。73分、渡邉に代えてルーカスを、79分には羽生に代えて米本を投入。前線からのボール・チェイスを求めるが東京はリードもあってかやや引き気味になる。
85分、梶山に代えて石川を投入。終盤はやや大味になり攻撃も雑になったものの、ブリスベンの攻撃も迫力を欠き、集中の難しいコンディションだったが結局は2点差を守りきって東京が勝利。勝ち点を11にまで伸ばし、グループリーグ突破を決めた。
土砂降りの厳しい状況の中、試合開始早々に曖昧なマークから失点、そのまま推移すれば自滅のリスクもあったが、すかさず同点に追いついたことで流れを引き寄せた。その後はパスを回しながら縦にボールを入れて流動的に攻撃することで敵の守備網を崩すという東京のコンセプトに沿った試合ができたと思う。特に清水戦で機能しなかった梶山が積極的にボールに絡み、長谷川とのコンビで縦方向のボールの動きをコントロールできたのが大きな収穫だった。
終盤は疲れも出たか足が止まり、ブリスベンの反撃を受けたが、森重、チャンを中心に何とか集中を保って後半を無失点に抑えた。失点はいずれも集中を欠いており、最後はちょっとバタバタしたし、結局シュートは9本とボールを支配した割にシュートまで行けるシーンが少なかったイメージ通り。そうした意味では課題はまだまだあり、手放しで喜べる内容でもなかったが、勝ちきることに大きな意味のある試合であり、価値のある勝利だったと思う。
とはいえ、敵が東京のスタイルを分析し、対策を立てて臨んでくるリーグ戦とは違い、オープンなサッカーをしてくれるACLで結果が出ているのはある程度理解のできる話。前線からしっかり守備をはめられると今日だって苦しかったが、敵の大らかなサッカーに救われた面は大きい。
ただ、こうして自分たちのやりたいサッカーをしっかり表現して勝った経験自体は意味のあるものだ。シーズン開幕当初にあった躍動感や清新なチャレンジャー精神のようなものがここしばらくのリーグ戦では感じられなかったが、激しい雨の中でこれだけの試合をこなし結果を出したことで、自分たちが何をするべきかが改めて確認できたのではないだろうか。リーグ戦ではケガ人、出場停止、監督の退席ともどかしい状況が続き失速気味だったが、この日の勝利で得たものをリーグ戦にどう還元できるかが大きなターニング・ポイントになるのは間違いのないところだ。
ベスト16の試合は1試合のみの一発勝負で、グループリーグ1位のクラブは他グループ2位のクラブと本拠地で試合をすることになる。このため、次節蔚山に勝って気持ちよく首位通過し、味スタでベスト16と行きたいところだ。
尚、ACLの
レギュレーション
によれば、グループリーグで2クラブが勝ち点で並んだ場合、当該クラブ同士の直接対戦における勝ち点、得失点差、総得点の順で順位を決め、それでも同じ場合に初めてグループリーグ全体での得失点差、総得点の勝負になる(23.f)ii.)。また、所謂アウェイ・ゴール・ルールは適用ない。今のところ東京と蔚山は勝ち点11で並び、得失点差では東京が上回っているので、東京は勝ちか引き分けで首位通過となる。そう言われると逆に戦い方が難しいな…。
採点(採点の見方):
権田(3.5) 試されるシーンはほとんどなし。失点は防ぎきれなかった。
徳永(3.5) 質のいい攻撃参加を何度か見せた。もっとも、球際でうかつなプレーも。
チャン(3.5) 自陣でのボールコントロールにはしっかり気をつけて欲しい。
森重(3) 守備の要として失点シーン以外に決定的なピンチを許さなかった。
椋原(3.5) 得点は見事だったが裏のスペースを再三使われた。
高橋(3.5) これくらいのプレスならボールを収められる。得点はよかった。
長谷川(3) 効果的なくさびをしっかり当てた。しっかり動いてボールも受けた。
羽生(3.5) 要所でボールに触ったが、フィニッシュには絡めず。
梶山(3) 今日はタメを作ることもできていた。復調の兆し。
谷澤(3.5) よく走ったが最後のところの精度を欠いた。
渡邉(2.5) すべての得点に絡む活躍。出場時間を与えれば結果を出す男。
===
ルーカス(-) 時間短し。
米本(-) 時間短し。
石川(-) 時間短し。
ACLユニがついに到着、ってグループリーグ終わっちゃってるし…。まあ、リーグ戦に着て行くしかないな。
リーグ戦はこの後、6日に新潟、12日に札幌と遠方のアウェイ戦が続き現地観戦できない。チームとしてもスケジュール的にはキツいと思うが、ACLの余勢を駆ってここでチーム・コンセプトをしっかり再確認したいところだ。
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