フットボール・クレイジー
football crazy
silverboy club
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2012年12月26日 13:56
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【2012年】FC東京シーズン・レビュー(7)FW編
FWはルーカスに尽きる。リーグ戦全34試合に出場(先発33試合)したのはルーカスだけ。10得点はもちろんチーム得点王だが、それだけでなくポストを受け、パスをつなぎ、キープする、敵ボールでは献身的に守備もした。まったく頭の下がる獅子奮迅の働きでルーカスなくして東京は成り立たなかった。
起点としてマークされたため、J2とは比べものにならない強いプレッシャーを受け、自由にさせてもらえないことも多かったが、それでも敵を背負いながらボールを収め、自らゴールを狙う他、味方を使うアシストも絶妙。前に東京にいたときよりも絶対に上手くなっていると思った。一度は引退したことで、改めてフットボールに向かうモチベーションがより明確になったのではないかと思う。来季も残留の方向ということだが、本当に東京の宝物。どこにも渡さない。背番号を9にして欲しい。
渡邉は苦しんだ。リーグ戦出場は27試合あるが、そのうち先発は8試合のみ。出場時間も900分あまりとサブに甘んじた。6得点と何とかつじつまは合わせたものの、ワントップとして要求されるポスト、ボールを受けて周囲を使うプレーがなかなか形にならず苦労した。もともと押し込み屋としてゴール前で待機するストライカー。多彩な動きや戦術的な判断が求められるポポヴィッチ監督のスタイルになじむのには時間がかかった。
しかし、シーズン終盤、雨の神戸戦では悪天候に吹っ切れたように積極的なプレーを披露、このチームの中で自分に求められることと自分ができることとの折り合いがつきつつあるように見える。川崎からのオファーを断り残留を決めたとの報道がなされているが、せっかく1年かけてようやく形になりかけているものを今放出する道理はない。残留は当然で、結果を出すのは来季だと思っている。「東京のキルステン」の称号を赤嶺から継いで頑張って欲しい。
エジミウソンの存在も忘れることはできない。7月の終わりにチームに加わると、リーグ戦10試合に出場、うち途中出場7試合と、サブとして2得点を挙げた。中東では試合から遠ざかっていたとのことで、加入当初はいかにも重量超過だったが、次第に身体も絞れてきたし、前線でのボールの受け方、追い方、シュートなどの動きにはさすがJリーグで結果を残してきた選手だけあると感じさせるものがあった。
惜しむらくは8月の広島戦で負傷し、1ヶ月の休養を余儀なくされたことフルにフィットすれば面白いと思っていただけに、シーズン終盤の重要な時期に離脱してしまったのは残念だった。既に退団が発表されているが、よく働いてくれたと思う。
問題は平山だ。昨季のケガからは復帰したものの、シーズン当初はサブとしての出場機会すらなく、ひたすらベンチを暖める日々が続いた。8節までの出場は3試合で10分程度。この間に渡邉は1試合の先発を含む5試合に出場し、計150分ほどをプレーしている。ポポヴィッチ監督は「ケガから復帰したばかりなのだから焦ることはない」と説明していたが、平山はこの時点で既に構想から実質的に外れていたと見るのが妥当だろう。
しかし、平山はその後負傷し、5月初めから9月いっぱいまで離脱を余儀なくされた。10月になり練習には復帰したものの、ベンチ入りもできず出場機会は最終節に9分得たのみ。僕としては放出を前提にしたお別れとしての出場なのではないかと思った。
海外から鳴り物入りで加入したが、得点は2010年の7点が最高。6年半の在籍で112試合出場(J2の1試合含む)20得点、34試合に引き直すと6点である。キャラ的には憎めないところもあり、印象深い試合もあってそれなりに成長もしたが、結局のところ期待したほどの働きはできていないのではないか。もっと早くにレンタルなりで厳しい環境を経験させ、ゴールヘの貪欲さとかセルフ・マネジメントみたいなものを自覚的に身につけさせるべきだった。
平山に関しては岡山を初めとしてJ2の複数のクラブからオファーがあるとの報道。後述の通りダヴィを獲得するのであれば平山の放出はやむなし。
林はわずかな時間ではあるがリーグ戦1試合、ACL2試合の出場機会を得た。まだ何とも言えないが出場した時の動きには光るものがあったように思う。来季の活躍を期待する。
甲府にレンタルした重松はケガでシーズンを棒に振った。来季は愛媛へのレンタルが決まっている。次に帰って来た時には即戦力でなければならない年齢。しっかり試合経験を積んで成長して欲しい。
エジミウソンを放出したことを考えれば、ワントップを張れる即戦力の補強は必要だと思っていたが、ここにきてダヴィ獲得の報道がなされている。まだ公式発表ではないが、もしダヴィが来るなら大きな戦力になることは間違いない。J2での実績がJ1でもそのまま通用する保証はないし、東京のスタイルに合うのかなど不安要因はあるものの、日本でのプレーも長くうまく生かす方法はあるはず。ルーカス、ネマとの組み合わせも面白い。公式発表を待ちたい。
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FC東京
2012年12月24日 20:41
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【2012年】FC東京シーズン・レビュー(6)OMF編
攻撃的MFは顔ぶれも華やかだが、その分、入れ替わりも激しかった。
まず、核になったのが、シーズン序盤にボランチからコンバートされた梶山だろう。東京の10番は4-2-3-1をメインとするポポヴィッチ体制の下で、トップ下としてその実力を発揮した。ワントップに入ることの多かったルーカスとのコンビで、縦のボールを受けはたく、あるいはキープして決定的なパスを出すなど、得点を演出するプレーを繰り出しまさに司令塔としてボランチのときとはまた異なった存在感を見せた。
しかし、ケガもあってリーグ戦出場は26試合(先発24試合)にとどまり、得点も2点と、役割期待に対してはやや不完全燃焼に終わった感を否めない。試合によってはまったく消えてしまうときもあり、また、リスクを取って決定的なプレーを狙う結果だとは思うが、軽いワンタッチプレーでチャンスをぶち壊すことも少なくなかった。
好不調の波は以前に比べれば格段に平準化し、10番としての貫禄も備わってきたし、いいときにはどうやってもボールを取られないぬるぬるした変態ぶりを遺憾なく見せつける。あとは、この最後のところの信頼感が備われば即代表だろう。東京にはなくてはならない選手なのだが、ギリシャのパナシナイコス・アテネへの半年間の期限付移籍が決定的との報道がある。
しかし、ギリシャは経済危機にあえいでおり給与の不払いもあるような国。古豪とはいえ仮にパナシナイコスで活躍したとしてもそれがインターナショナル・レベルでのステップ・アップにつながるのかも正直疑問だ。
それに、海外で成功するためにはフットボールの実力とともに、いや、それ以上にコミュニケーション能力、順応力が問われる。国内で実績を残しながら海外では出場機会も得られないまますごすご帰ってきた例を僕たちはいくつも見てきたはずだ。長友の順応力はなかなか真似できないが、日本という狭い島国で培われた自分の流儀を自分で相対化する能力がなければ海外での活躍は覚束ない。梶山にその能力があるのかは正直疑問だ。
だが、行く以上はしっかり結果を出し、パナシナイコスが買取オプションを行使するだけの活躍を見せて欲しい。お試しレンタルなら行かない方がマシ。出るからにはもう戻らない片道切符のつもりで頑張るしかない。そして、クラブも我々も、梶山が仮に半年後に戻ってきても居場所のないチームを作り上げなければならない。梶山が海外で失敗して半年後に戻ってくることを想定し、そのための場所を空けて待っているような余裕は我々にはない。活躍を祈りたい。
SHではまず石川の活躍を挙げるべきだろう。6月から7月にかけケガで離脱した時期もあったが、リーグ戦28試合(先発22試合)に出場は年齢も考えれば十分な活躍。昨季はスーパーサブとしての起用に甘んじたが、今季は主力として先発でチームに貢献した。
圧倒的なスピードでサイドを切り裂き、切れ込んでのシュートには、サポに夢を見させる破壊力がある。長いボールをぴたりと足許に収める技術も高い。クロスの精度がもうちょっと上がればもう言うことないが、とにかく今年も石川が健在だったことは東京サポとして大きな喜びだった。
得点は5点とやや物足りず、一発を狙いに行って枠を外すなどやや気負いの感じられる局面もないではなかったが、得点してくるくる回りながら喜びを爆発させる石川を見ていると、ちょっとくらいの気負いは許そうかという気にもなる。石川はFC東京サポーターの夢である。ポジション争いは激しいが、右サイドのスピードスターを来季も見たい。
次に挙げておくべきなのは谷澤か。おもに左SHとして21節柏戦まで、20試合(先発15試合)に出場した。特徴的なドリブル、ユニークなプレー選択など、谷澤にしかできない唯一無二のプレーを存分に発揮したが、シーズン半ばにして突如、古巣となる千葉に移籍してしまった。天性というか天然としか言いようのないサッカーセンスと出し惜しみしない運動量は攻撃の大きなアクセントになっていただけに残念だ。1年半の在籍だったが、東京のフットボールに「笑い」という新しい要素を導入した功績は大きかった。
羽生にとっては厳しいシーズンとなった。攻撃の要として順調に出場を重ねていたが、5月中旬に負傷すると8月まで離脱、9月に復帰したものの、なかなか本調子にならないまま出場と休養を繰り返した。リーグ戦出場13試合(先発10試合)は羽生にとってはもどかしい数字のはずだ。
絶妙の戦術眼でスベースを埋め、常に相手の嫌がる場所に出没するセンスと運動量はポゼッション・フットボールを日指す東京のある意味「原点」。オシム監督の薫陶を受けムービング・フットボールを体現する羽生は、ポポヴィッチ監督にとってもお手本として重要な存在だろう。
しかし、今季はケガに泣かされた。さまざまな古傷を抱えて満身創痍の状態であろうことは容易に想像できる。オフにはしっかりと身体をリベアして、ピッチを縦横に走り同る姿をもう一度見せて欲しい。羽生はまだまだ東京に必要な選手だ。
田邉は谷澤の移籍、羽生の負傷離脱などで出場機会を得た。咋季はJ2でほぼレギュラーに定着していたとはいえ、J1では未知数だっただけに、リーグ戦18試合出場(先発13試合)はまずまずの数字だ。自分なりのプレースタイルを持ち、積極的に仕掛けたりトリッキーなパスを出したりいい意味で規格外の動きをすることのできる選手。ギャラはチャラいがプレーに変化をつけられる貴重な存在であり、今季も確かな成長を感じさせた。
もっとも、好不調の波があり、試合の中でもプレーのムラが大きくて消えている時間も長い。その分、計算しづらく起用にリスキーな部分が残るのは弱み。だが、東京の次の何年かを確実に担うべき人材であり、この人もある程度我慢しながら試合の中で育てて行くしかないだろう。まだまだ線の細いところもあり、更なる成長、脱皮を期待している。
シーズン途中で加入したヴチチェヴィッチの存在も大きかった。8月に加入するとスーパーサブとしてリーグ戦の残り13試合にすべて途中出場。出場時間は300分強だったが、その間に6得点を挙げたのは驚異的。中央ヨーロッパのタフなプレー環境を生き抜いてきた男の、強い意志のこもったプレーは、常にゴールから逆算されており、結果を出すことへのこだわりが感じられる。アピールするということの本当の意味が分かっていると言ってもいい。
敢えてゴリゴリ行くことでボールを失うケースもあるが、強引なだけでなく周囲を使う戦術眼、パスセンスも十分で、ルーカスとの相性も悪くない。来季も残留が見込まれ、シーズンを通した活躍が期待される。唯一懸念するのは、シーズン途中からの加入で猛烈にアピールする必要のあった今季に比べ、最初からフルシーズンの契約を得ることになる来季に、今季と同じレベルのモチベーション、迫力を期待できるかどうか。僕の見るところ、リアリスティックかつプラグマティックな選手だと思われるだけに、エゴが先行する悪い面が出なければいいが。
このポジションでは河野、大竹にも期待したい。ともに今季はケガで十分な出場機会を得ることができなかったが、特徴のある若手のタレントであることは間違いなく、田邉とともに彼らの成長が東京の次の10年を決定づけると言ってもいい。河野は移籍1年目だが、強気なプレー選択と巧みなボールさばきで、入れば何かを起こせる選手。来季はプレーをじっくり見たい。
大竹は伸び悩んでいる印象が強い。負傷離脱の間に何を思うか、精神的に成長できるかがポイントだろう。非凡なセンスを持っており、プレースキッカーとしても高い能力があるが、それをプロのレベルでどう着地させて行くか、どう表現して行くかという方法論がまだ身についていないように思える。もう年齢的にも結果が求められる世代で、選手として正念場にさしかかっている。本当は彼も我慢して試合に出す中で成長を促すべき選手だと思うが、なかなかその場を与えられないのがもどかしい。来季は勝負だ。
長谷川も加えれば、このポジションは上記の通りレギュラー、中堅・若手と人材は揃っている。しかし、梶山が海外移籍した場合、核になる即戦力がもうひとり欲しい。大宮の東を獲得との報道もあるが、これは是非実現して欲しい補強。来季の目玉になる。移籍金なしで獲得できる名古屋の金崎も魅力的。僕自身としては羽生の奮起に期待したい。まずはクラブに残留することが先決。山梨から声がかかりそうで怖い。
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FC東京
2012年12月21日 21:24
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【2012年】FC東京シーズン・レビュー(5)DMF編
ディフェンシブMF、つまりはボランチだが、このポジションは人材に恵まれた。開幕当初は梶山と高橋のコンビでスタートしたが、前めで起用した長谷川と梶山のポジションを入れ替えてから長谷川と高橋のコンビで安定し、どちらかが欠けたり別のポジションにスライドするときには米本が入るという形でシーズンを通して戦いきった。
まず特筆するべきは高橋だ。昨季、J2で出場機会を得ると、長足の進歩でポジションを確保、今季は公式戦47試合中、出場停止と代表召集を除く42試合に先発とまさに大車輪の活躍。ついに代表にも招集され本物の国際Aマッチに出場までしてしまった。何しろ昨季の序盤は試合に出られず泣いてたのだ。すごいシンデレラ・ストーリーである。
もちろんパフォーマンスもそれに見合うものだった。冷静な判断と正確なボール・タッチで、中盤からゲームを組み立てた。視野の広い配球、タフな守備、華麗なテクニック、ミドルもあっておまけにイケメン。しゃべらせると話が理屈っぽくむやみに長いのだけが難点だが、高橋がここまで化けるとは正直僕も思っていなかった。パフォーマンスを落とした時期もあったが昨年より一段上のステージで大きく成長した。
長谷川は横浜から移籍して最初の年だったが、名前のインパクトに負けない際立った存在感を示した。リーグ戦は28試合に先発出場したのだが、この足りない6試合が問題だ。ケガでも調子を落とした訳でもない、出場停止なのである。ふだんはそこまで荒っぽいプレーをしているようにも見えないのだが、シーズンに退場3回はいただけない。反省して欲しい。
とはいえ、出場した試合では相応のパフォーマンスを見せた。ワンタッチで気の利いたプレーができ、するするとゴール前に入り込むのも得意。クレバーな選手であり、ポポ東京のキー・パーソンの一人である。シュート・センスもあって人事なところで大事な得点を決める。シーズン途中からボランチに定着したが、シーズン終盤にSHで使われたときにもいい動きを見せた。ボランチに固定せずに起用したい。
米本はリーグ戦28試合出場(先発20試合)。シーズン序盤は控えに甘んじることも多かったが、夏頃からポジションをつかみ、ボランチでボール・ハンターとしての本領を発揮した。もう、とにかく米本がコンスタントに試合に出ているだけで嬉しいじゃないか。ケガで2年を棒に振った米本だが、今季ようやく楽しそうにプレーする姿が見られた。
あの猟犬のようにボール・ホルダーを追いかけ食いつくスタイルは健在。加えて城福時代に鍛えられたと思われるルック・アップからのダイナミックな展開は、チームの中でも高い水準。正確さを欠いて失敗することも多いが、中盤から石川にピッチを斜めに横切るナイス・パスを通すシーンでは思わず涙が出てくる。ポジション争いは熾烈だが、この青年には東京で成長し続けて欲しい。山梨県の方から声がかかっても気にしないようにするべきだ。
梶山は今季は前めでの活躍が中心になったのでそちらで論評することにしよう。
来季を展望すれば、高橋、長谷川、米本と核になるコマは揃っている。しかし高橋には海外からのオファーの噂が絶えないし、米本を狙っているクラブも多そうだ。まずは町田に貸し出した幸野を戻し、そろそろ試合で使ってみるべきだ。間違いなく才能のある選手であり、ある程度我慢してでも試合に出しながら育てなければならない。
あとは橋本の成長を待つということか。大竹もケガから戻ればボランチ起用はあり得る。しかしできればこのポジションに計算できる中堅をひとり補強したい。特に、高橋、長谷川、米本の誰かが欠けるなら補強は必須である。
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FC東京
2012年12月20日 23:09
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【2012年】FC東京シーズン・レビュー(4)CB編
CBは今野の抜けた穴をどうするかという課題に取り組んだ1年だった。もちろん軸になったのは森重。公式戦47試合のうち、警告累積で出場停止となった1試合を除き46試合に先発フル出場。もはや東京になくてはならない大黒柱になった。
クレバーかつタフな守備とビルド・アップ能力を併せ持ち、現代型DFの見本のような選手。ぎりぎりの対人守備で窮地を救うシーンを何度も見た。今季は2得点にとどまったが、セットプレーも強みを見せる。また、以前は守備に荒さがあってカード・コレクターでもあったが、咋季のJ2経験以降プレー・スタイルは劇的に進歩した。しかもイケメン。MOT候補のひとりであることに間違いない。
もっとも、反省点がまったくない訳ではない。個人としてのパフォーマンスに文句はないものの、今野がいなくなったあと、ディフェンス・リーダーとしてラインをコントロールし、CBのパートナーはもとより、ボランチ、SB、GKまで含めたDF部隊を統率することができていたのかはやや疑問だ。森重にすべてを背負わせるのは酷かもしれないが、それをやるべき人は森重の他にいないことも確かだろう。
せっかく華麗なポゼッション・フットボールを繰り広げながら、ラインの乱れからオフサイド・トラップをかけ損ねて簡単に裏を取られ、呆気なく失点するのはもはや「原風景」になってしまった。リーグ戦44失点(1試合あたり1.3)は10点多すぎ。集中を欠いてのうかつな失点を重ねたことに対してはリーダーとして大きな責任があるはずだ。森重にはそこまでやって欲しいし、それだけの力はあると僕は信じている。ここを締めないと上位はない。
森重のパートナーになるCBは固定できなかった。ファースト・チョイスは加賀であったが、加賀も太田同様ケガに泣かされた。リーグ戦の出場は17試合(先発15試合)。4月にケガをして5月いっぱい離脱。復帰後はコンスタントに出場を続けたが9月に再び離脱し最後まで出場できなかった。
スピードを生かしての守備には安定感があるものの、もともとビルド・アップは得意でないと自ら言う通り、ボールを奪ってからの展開に難があって、シーズン前半にはつなげるボールをつい蹴ってしまったり大雑把なパスをカットされたりというシーンもあったが、その点は徐々に改善してきたと思う。あと、2試合に1回くらいするするとドリブルで持ち上がるのが面白い。一回あれでシュートを決めて欲しい。ケガさえなければレギュラーとしての地歩を岡められたのではないか。来季は森重、加賀のコンビを軸に考えたい。
加賀のケガで出場機会を得たのがチャンだ。リーグ戦14試合(先発12試合)出場と相応の成績を残した。シーズン序盤は「ズルズル下がる悪いクセがある」とポポヴィッチ監督に酷評されたが、次第に安定感が出てきた。
しかしチャンも大きなケガをして、7月から9月いっぱいの3箇月を棒に振ってしまう。彼が目標としてきたオリンピックにも出場できなかった。苦しいシーズンだったと思うが、シーズン終盤には復帰して活躍。将来に期待を持たせる結果を出した。ポジショニングにやや不安はあるが、臆せずボールに食いついて行く根性は評価できる。海外などからオファーもあるようだが、森重、加賀に続くコマとしては必要。残って欲しい。
ケガなどで人繰りが足りないときには徳永、高橋のCBでしのぐこともあった。高橋はもともとCBでありパフォーマンスも安定しているが、今となってはできることならボランチで使いたい。徳永も右SBが本職。他のポジションでの便利使いは極力したくない。
だが、そうすると森重、加賀、チャンの次を埋めるのはだれか。水戸に貸出中の吉本を復帰させるとすれば彼にとってもラスト・チャンスになるだろう。平松は残念だが今の時点では計算できない。丸山を使いながら成長を待つとしても、もう一枚はカードがないと苦しい。
仮にチャンを海外からのオファーに応えて放出するとすればCBの補強は必要だ。名前の出ている伊野波は実力的には適材だがいかんせんイメージが悪すぎだし僕としても避けたい。今野もG大阪とともにJ2に行く覚悟のようで買戻しはムリ筋だろうしだいたいファイナンスできない。中堅の即戦力を補強したい。岩下なんかはどうかな。
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FC東京
2012年12月15日 18:15
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【ブンデスリーガ第17節】バイエルン×グラードバッハ
■2012年12月14日(金) 20:30キックオフ
■Allianz-Arena
いよいよシーズン前半の最終戦。これこそスカパー中継するべきカードと思うが日本人選手が絡まないとやっぱダメなのな。休みの日とはいえ土曜日の朝4時半からカクカクのネット動画を見る気力もなく結果のみ確認。
グラードバッハはドミンゲスが警告累積で出場停止だが、バイエルン戦とあってかそれ以外にも選手を入れ替えてきた。CBにはブラウアースが入り、マルクスをアンカーとして4バックの前に置き、その前にヘアマン、ノードファイト、ツィガーツィ、アランゴを並べる布陣。ワントップにはハンケを起用し、4-1-4-1だったらしい。要は前を1枚削って実質5バックということか。デ・ヨングはこの試合もベンチ入りせず。
テア・シュテゲン
ヤンチュケ シュトランツル ブラウアース ヴェント
マルクス
ヘアマン ノードファイト ツィガーツィ アランゴ
ハンケ
試合はバイエルンが序盤から押し込む展開に。ボールを支配され立ち上がりから立て続けにチャンスを作られる。これをしのぐとグラードバッハもカウンターから攻撃を試みるが形にならず。だが、グラードバッハの守備も安定しており、テア・シュテゲンのセーブもあってゴールは許さない。
20分、カウンターからツィガーツィが放ったシュートを敵DFがエリア内で腕に当てグラードバッハがPKを得る。21分、これをマルクスが確実に決めグラードバッハが先制する。バイエルンは今季これが7失点目。PKとはいえバイエルンから先制し意気上がるグラードバッハ。
先制されたバイエルンは同点を狙い分厚い反撃を仕掛けてくる。ほとんど1分おきにシュートを浴び続けるがグラードバッハはゴールを割らせない。敵MFがボールを顔面に当て交代を余儀なくされるアクシデントもあり、グラードバッハが1点をリードしたまま前半を終えた。
後半もバイエルンは当然ながら得点を奪いに来る。しかしシュートはテア・シュテゲンのセーブと敵のシュート・ミスにも救われてゴールに入らない。グラードバッハはほぼ専守防衛、平和憲法的なゲームを強いられる。59分、マルクスのパスミスから自陣で敵にボールを奪われついにシュートを決められる。1-1の同点に。
その後もバイエルンが逆転を狙って攻撃的に試合を進める。グラードバッハはテア・シュテゲンの神がかり的なセーブで何とかゴールを守る。75分、ハンケに代えてデ・カマルゴ、76分、ツィガーツィに代えてシャカを投入。さらに79分にはヘアマンに代えてルップを起用し、試合をクローズしようとする。
その後もkickerによれば「一方通行の試合」が展開するものの、バイエルンのシュートはことごとくテア・シュテゲンがセーブ。結局最後までグラードバッハが最少失点でゴールを守りきり、アウェイで首位バイエルンから貴重な勝ち点1を奪った。
まだ土・日の試合が行われていないので暫定だがグラードバッハは6位に浮上、シーズン前半の17試合で勝ち点25を得た。1試合あたりの勝ち点は1.47ということで、最低目線である1.5には届かないものの、シーズン序盤にもたついたことを考えれば悪くないところまで盛り返したと言えるだろう。
特に11月以降は公式戦11試合を5勝1敗5分、ここ7試合は公式戦負けなしでその間の失点が3と堅守をベースに好調を保っている。勝てなかったとはいえバイエルンからアウェイで勝ち点を奪ってウィンター・ブレイクに入れるのはムードとしては悪くない。
ヨーロッパ・リーグも勝ち残っており、年明け以降もハードな戦いが待っているが、ようやくチームとしてつながりみたないものができてきたし、それなりのベースが構築できたと言っていい。ウィンター・ブレイクでは補強というよりはチーム戦術の浸透、熟成をしっかり図って欲しいと思う。特に、シャカ、デ・ヨングの位置づけをもう一度はっきりさせるべきだろう。
昨季がよかったので欲が出てしまうが、それだけのものは持っているし、リーグの中位が混戦となっているので上に行くチャンスは十分ある。
ルツィアン・ファヴレ監督談話:
「ミュンヘンで勝ち点1を取れたことは素晴らしいことだ。特にウィンター・ブレイクの直前にね。この引き分けにはまったく満足している。前半はいいプレスを掛けられていたし、バイエルンに攻撃らしい攻撃をさせていなかった。我々は4-3-3で戦っていたが、フォーメーションは流動的に変えていた。それがうまく行った。後半は自陣深くにこもりすぎた。我々はできることをすべてやったしすべてを試みたが、ボールを失うことが多すぎた。マーク・アンドレ(・テア・シュテゲン)のパフォーマンスは素晴らしかったが、私には驚くべきことではなかった。彼は強いGKだ。失点の後、我々はもちろん非常にがっかりしたが、だれがミスをしたかは関係のないこと。チームがその責任を負うのだから」
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Borussia M'Gladbach
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ブンデスリーガ
2012年12月13日 22:11
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【2012年】FC東京シーズン・レビュー(3)SB編
右SBは徳永の安定した活躍が光った。対人の強さは盤石で敵の左サイドからの攻撃をことごとく抑えた。バランスを見ながら絶妙のタイミングで攻撃参加し、縦に抜くか切れ込むかの判断も的確、石川とのコンビネーションも光った。J2だった咋季より得点は減ったが(3→1)、33節のG大阪戦での先制点は鮮やかだった。
オリンピックにオーバーエイジで招集されたのは予想外だったが、招集された価値を感じさせる働きだったし、徳永自身の成長のためにも意味のある参加だったと思う。マイペースのイメージが強いが、ここから更に先に進むための大きなモチベーションを、若者に混じって参加したオリンピックの経験から得たのではないだろうか。
シーズン中にはCBで起用されることもあったが無難にこなし、結局オリンピック招集での離脱を除けば出ずっぱりのリーグ戦31試合先発(公式戦47試合中41試合先発)。今季のMOT候補のひとりだ。
左SBは今年も難しい戦いを強いられた。目玉として清水から太田を獲得したのはよかったが、5月にケガで離脱。6月にはいったん復帰したものの45分プレーしただけで再び離脱を余儀なくされ、結局シーズン終盤、10月まで復帰できなかった。リーグ戦の出場は14試合(先発13試合)にとどまり、期待された左SBのてこ入れは中途半端に終わった。
10月復帰後のパフォーマンスを見れば、左サイド奥深くからのペナルティ・エリアヘの侵入など高い実力を見せており、シーズン通して活躍できていればという思いを禁じ得ない。来季は是非フルでプレーを見せて欲しい。
太田がケガで出られなかった分、その穴を埋めたのは椋原だった。リーグ戦19試合(先発15試合)に出場したのは立派。もともとは右SBが本職だが、作季、大熊監督の下で左SBもこなせることを 「発見」され、今季は左中心に出場機会を得た。
守備では相応のパフォーマンスを見せたが、攻撃参加した際のプレー選択の幅の狭さ、判断の遅さは引き続き気になった。中央が停滞していることが多く、活路を求めてサイドに展開するのだが、椋原のところでボールが止まってしまう。ワンタッチで気の利いたところに出せればチャンスになったのに、というシーンが何度もあった。
だが、次代の東京を担う生え抜きのタレントであることは間違いなく、試合経験を積む中でもう一段成長して欲しい。セレッソからオファーの報道もあるが、ホールドするべき選手だ。
中村も太田のケガや徳永のオリンピック招集での離脱で出場機会を得た。リーグ戦出場11試合(先発9試合)。気持ちのこもったプレーでチームを鼓舞したが、やはり攻撃でボールを持った後のプレー選択が微妙。ムリめに切れ込んで仕掛けボールを取られるシーンを何度見たことか。上がった裏のスペースを使われることも多く、クロスも今ひとつということになると、やはりサブとしての扱いに甘んじる他ない。サッカー選手としてはここが正念場だと思う。好きな選手だし根性で突破するならそれでもいいからブレイク・スルーを見せて欲しい。
新人の丸山もこのポジションでテストした。最初はポジショニングが覚束なくキョドってしまった感もあるが、思い切りのいい攻撃参加で特徴を見せた。本来はCBの選手だと思うが、SBも十分こなせるのではないかと思う。今後の成長に期待したい。
あと、チャンも使ってみたがSBはヤバかった。いろいろ引く手もあるようで来季いるかどうか分からないが、穏当にCBで起用するのが正しいだろう。
このポジションでは横浜FCに貸出中の阿部の去就が気になる。太田がフィットするなら椋原、中村、さらには丸山でサブも含めポジションは埋まってしまい、阿部の戻りどころは厳しくなる。できることなら椋原、阿部で左右を圃める布陣を将来的には見てみたいが、横浜FCで愛されちゃってる感もあるし、最悪完全移籍もあるかもしれないな…。
来季も右・徳永、左・太田を軸に、椋原、中村、丸山、阿部とコマは揃っているが、サブの底上げが課題。とはいえ、新たに選手を獲得するよりは、特に椋原の一段の成長を待ちたいところだ。補強を急ぐ必要のないポジションだと思う。仮に椋原が出て行くなら阿部はレンタルバック必須だが、椋原は残るのではないか。
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FC東京
2012年12月11日 22:15
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【2012年】FC東京シーズン・レビュー(2)GK編
今年は権田がシーズンを通してレギュラーを守り通した。権田はリーグ戦31試合に先発、塩田は権田がオリンピックで不在の3試合に先発、1試合で権田の負傷退場を受けて途中出場を果たした他、ACL、ナビスコ、天皇杯等で8試合に先発出場した。
権田はU23代表としてロンドンオリンピックに出場を果たしたばかりか、A代表にも常時招集されて活躍した。クラブでも権田のスーパーセーブに救われた試合は少なくない。時折不用意な飛び出しでボールに触れなかったり、ゴール前で余裕をかましすぎて敵に迫られたりすることもあったが、一対一の局面での冷静なポジショニングや抜群のリフレクション、確保したボールからのビルド・アップなど、高い能力を示した。
その権田が代表招集で不在の間、ゴールを守ったのが塩田だ。天皇杯の痛恨の失点はあったものの、出場した試合では相応の結果を残した。サイドから入ってくるボールヘの対応は権田よりも安定していると思う。セカンドGKという調整もモラルの維持も難しい立場で、声がかかればいつでも出て行ける状態を保つというのは、考えようによってはレギュラーよりよっぽど大変な仕事。その仕事をシーズン通してきっちりやりきったという意味では権田以上にしっかり評価したい。
権田が心おきなく代表に行けるのも、塩田がサブとして後をがっちり岡めてくれているからであり、塩田あってこその権田と言っても過言ではない。権田は来季も代表招集などでカップ戦を中心に不在になることが考えられ、塩田は引き続き東京には不可欠な存在。権田のコンディションやパフォーマンスによっては昨季のように塩田と併用でもいい。そういうレベルの競争を続けて欲しい。
常澤、廣永は残念ながら出場機会に恵まれなかった。常澤は公式戦4試合、廣永は6試合にベンチ入り。今季はACLがあって試合数が多くなることが予想された上、オリンピックで権田が一定期間クラブを離脱することも見込まれたため、GK4人の態勢で臨んだ訳だが、彼らはその存在自体によって役割を果たしてくれた。
GKは一度に一人しか出られないが、ひとたびケガ人が出ると急に人繰りが逼迫し、ケガが重なってだれもいなくなるリスクが飛躍的に増大するというマネジメントの難しいポジションである。常澤、廣永という、J2ながら試合経験のあるGKが2人控えていることはマネジメント上必要であった。欲を言えばカップ戦などでプレーを見てみたかったが…。
来季に向けて、このままGK4人態勢が維持できるのであれば議論は少ない。敢えて入れ替えの必要は感じないが、GKに困っているクラブから塩田にオファーがあってもおかしくない。常渾、廣永にはJ2のクラブとかからオファーがあったりするかもしれない。塩田は是が非でもブロックすべきだ。常渾、廣永のいずれかを放出せざるを得ないなら、育成のための若手を獲得してもいいかもしれない。
試合に出ていたのは権田であり塩田だが、決して彼らだけでシーズンを戦った訳ではないということはしっかり記憶しておきたい。
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FC東京
2012年12月10日 22:59
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【ブンデスリーガ第16節】グラードバッハ×マインツ
■2012年12月9日(日) 15:30キックオフ
■Stadion im Borussia-Park
ヨーロッパ・リーグのグループ・ステージ勝ち抜けを完勝(kickerには「ほとんど意味のない勝利」と書かれたが…)で締めくくり迎えた今年最後のホーム・ゲーム。シーズン前半をいい形で終えるためには是非とも勝ち点3を積み上げておきたいところ。
日本時間で日曜日の夜11時半キックオフだったので、前半はネット動画サイトを渡り歩きながら見たが、月曜日の仕事のことも考えてハーフタイムで諦めて寝た。
ファヴレ監督はチームを再びリーグ戦仕様に戻してきた。出ずっぱりはドミンゲスとヴェントのみ。デ・ヨングはベンチ入りせず。なぜだ?
テア・シュテゲン
ヤンチュケ シュトランツル ドミンゲス ヴェント
ルップ ノードファイト マルクス アランゴ
ヘアマン デ・カマルゴ
前半はカクカクする動画を見ていた訳だが、拮抗した試合に。マインツが前線からの積極的なプレッシングでボールを奪うと攻撃を仕掛けるがグラードバッハの集中した堅い守備に阻まれてゴールに迫ることができない。
一方、グラードバッハも素早くパスをつなぎながら前線に展開しようとするがアタッキング・サードでは敵の守備も分厚く余裕を持ってプレーできない分正確さを欠いてフィニッシュまで持ち込めない。
ボールだけが激しく行ったり来たりするがゴール前でのめぼしいチャンスはどちらも作れないまま時間が経過する。何度かのピンチもテア・シュテゲンの好セーブでしのぎ、結局大きな見せ場もなくスコアレスのまま前半を終えた。僕はここで寝た。
ファヴレ監督は精彩を欠いたデ・カマルゴを前半で諦めハンケを投入。後半はグラードバッハが攻撃的に仕掛ける。ノードファイトが立て続けにミドルを放つなどチャンスを作ると、58分、ノードファイトのフィードを右サイドで受けたヤンチュケが中央にクロスを入れるとハンケが右足でこれに合わせゴール。グラードバッハが1-0と先制する。
さらに63分、敵GKのクリアがアランゴに渡り、アランゴが44メートルのロング・シュートを決めて2-0に。これはちょっとハイライトで確認しなければならない。
マインツは前線にフレッシュな戦力を投入して反撃を試みるが、グラードバッハは78分、ルップに代えてツィガーツィを、84分にはヘアマンに代えてムラパを投入、2-0で試合をクローズした。くそ〜、夜更かししてカクカク動画でもいいから見とくんだったな〜。
グラードバッハはこれで公式戦6試合負けなし。直近8試合を4勝1敗3分とハイペースで駆け抜けており、ようやくチームとしてまとまってきたか。これで勝ち点を24に伸ばし、1試合あたりの勝ち点は1.5に。何とか悪くない形でシーズン前半を終えるメドがついた。
ダンテ、ノイシュテター、ロイスとセンターラインがごっそり抜けたが、アランゴのおかげで苦しい時期に何とか勝ち点を稼いでようやく今季のチームの核が固まってきたように思う。ここにデ・ヨングが戻り、ウィンター・ブレイクでシャカあたりがフィットしてコンスタントに力を出してくれればシーズン後半に希望が持てる。
次節はアウェイでのバイエルン戦。ドミンゲスが警告累積で出場停止となるが、ブラウアースの起用で問題ない。やはりCBが3枚揃っていていつでも代えが効くというのは本当に大きいな。ドミンゲスがなじんできたのが公式戦ここ6試合で2失点という守備の安定に寄与している。
何としても勝ちたいがテレビ中継がないぞ。
ルツィアン・ファヴレ監督談話:
「今日は後半が明暗を分けた。前半はよくなかったしマインツの方が上回っていた。ハーフタイムにいくつかの点を修正したが、そのおかげで幸運なことに勝つことができた。私からすれば最初のゴールの方が2点目よりも美しかった。コンビネーションがよかった。我々は次にはミュンヘンに出向かなければならないが、そこでも何かを持ち帰れると思っている。勝利することはどこであってもできる。バイエルンは相当投資もしているし、間違いなく優勝するのだろうが、そこからも奪うべき勝ち点は3ある訳で、そのために戦いたい」
なかなかカッコいいこと言う。
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ブンデスリーガ
2012年12月09日 01:35
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【2012年】FC東京シーズン・レビュー(1)総評
今年のシーズンも終わった。天皇杯を2回戦で敗退したため、リーグ戦最終節の終了とともにすべての公式戦を戦い終えた訳だ。今季の東京は47試合の公式戦を戦い19勝19敗9分、リーグ戦だけを取り上げると14勝14敗6分、勝ち点48での10位という成績に終わった。リーグ戦1試合あたりの勝ち点は1.41、得点47、失点44。
この成績をどう見るか。異論はあるかもしれないが、いつになく混戦になったリーグの中で、J2からの昇格初年に、決してリアクション・フットボールに堕することなく、自分たちのやり方を貫いて五分の成績を残したことは高く評価するべきだと僕は思う。もちろん、もっと上に行くチャンスもあったし、この成績、この順位で満足という訳ではない。しかし、かつて城福浩が言ったように「リーグ戦の順位はウソをつかない」。結果としてこの位置は我々の実力に見合ったものだ。
僕が思うのは、今季は目先の順位よりももっと大切なもののために戦ったシーズンだということだ。それはFC東京というクラブがどのようなビジョンの下でどのようなフットボールをするのか、そのスタイルを確立するということである。
東京はかつて2006年にガーロ監督を招聘してポゼッション・フットボールを志向したがシーズン途中で挫折し(僕はあれはサポの我慢が足りなかったのだと思っている)、2008年に城福浩を監督にして再び「ムービング・フットボール」に挑戦、同年、翌年と着実に力をつけ相応の成績も残したが、2010年に強化の失敗からまさかのJ2降格を喫して再び頓挫した苦い経験がある。
しかし、2011年、J2で大熊監督がコマ不足からやむなく採用した「つなぎ倒すフットボール」が成功して一年でJ1に復帰。そして今年、ポポヴィッチ監督を擁して「しっかりとボールを支配しパスをつなぐフットボール」「組織的で攻撃的で魅力的なフットボール」を標榜し、ガーロ以来のポゼッション・フットボールのDNAを東京のスタイルとして確立する戦いに挑んだのである。
実際には城福体制の主要選手を核に、当時から脈々と続く、最終ラインからパスをつなぎながらラインを押し上げ、くさびをトリガーにして一気にポジションを流動化、敵DFにギャップを作ってゴール前に入り込み、最終的に確率の高いシュートを流し込むという一連の方法論をより高いステージで自分たちのものにしようとしたのだ。
結果から言えば、その試みはまだまだ道半ばだ。意図通りのフットボールが機能する局面ももちろんあったが、ポゼッションだけが自己目的化して肝心のフィニッシュにつなげる動きが乏しいゲームも随分見せられた。また、こうしたポゼッション・フットボールが高い次元で機能するためには、どこかで一度スタイルを捨ててドリブルなりロング・フィードなりミドル・シュートなりといった破調を取り入れ、自らも敵も欺く必要があるが、そうした工夫、スタイルをいったん捨てる勇気やアイデアが決定的に不足していた。
だが、それにもかかわらず、一年を通して自分たちのスタイルをベースとして守り続け、壁に突き当たってもスタイルを変えることではなくスタイルをより高次に更新することで乗り越えようとチャレンジし続けたことは10位という成績以上の意味を持つ。今年はそうしたスタイルの基礎を構築するシーズンと位置づけるべきであり、その意味で僕は今年の東京の戦いを支持するし、ポポヴィッチ監督の続投は当然だと考えている。まだポポ東京は始まったばかりで、我々はひとつのチャレンジの途中にいるに過ぎないのだから。
シーズンを振り返れば、今年は守備の要であった今野を放出したものの、天皇杯優勝によるACL出場というプレミアムを得て、渡邉、長谷川、太田、加賀といった計算できる選手を積極的に補強、ルーカスを含め主力はほぼ残留して強化には成功したと言うべきだろう。そしてシーズン序盤はACLでグループ・ステージを突破、リーグ戦でも一時は5位まで順位を上げるなど悪くない戦いができていた。
しかし、初夏ごろからケガ人が増え、人繰りが厳しくなるとともに負けが込み、大事な試合で簡単に先制を許し勝ちきれない悪いパターンが繰り返されて順位を落としてしまった。ACLもラウンド16の一発勝負で北京に負け、準々決勝にコマを進めることができなかった。
シーズン序盤でそれなりの結果が出ていたのは東京のポゼッション・フットボールが予想以上の完成度で、対戦相手がそれに対応できなかった面が大きい。特にACLでは互いに持ち味を出して正面から組み合うことが多く、互いに手の内を知り長所を消しに来るリーグ戦の戦いよりも東京としてはやりやすかったのは確かだ。だが、リーグ戦では次第に最終ラインからのビルドアップやボランチからのくさび、それを受けるルーカスの動きなどに対策を打たれると、苦戦することが多くなって行った。
それでもシーズンを終えて勝ち点48という結果は、リーグのチーム数が18になりシーズンが34試合になった2005年以降、城福監督時代の2008年(55)、2009年(53)に次ぐ成績であり(J2で戦った2011年は当然除く)、J2からの昇格初年、監督交代初年ということを勘案すれば悪くない。苦境に陥りながらもポジションの入れ替えや若手の登用などでその都度何とか次へ進む意志を示してきたことで最低限の結果も確保できたというべきだろう。
ただひとつ気になるのは、昨季、J2を戦うことで手に入れたと思っていた「戦うメンタリティ」、大熊監督流に言えば「フットボールの本質」みたいなものが見えにくくなってしまったことだ。昨季の我々には、何が何でも一年でJ1に戻らねばならないという強いプレッシャーをはねのけ、ひとつひとつの試合を勝ちきる強い意志、ひとつひとつの勝利の意味に対する明確な認識があった。また、天皇杯ではJ2という自分たちの立ち位置に対する謙虚な自己認識と、その上に立った挑戦者としての戦う姿勢が明確だった。
今年は昇格クラブとして引き続きチャレンジャーの強みを持って戦えるはずだったのに、ふわふわと試合に入っては集中を欠くプレーから序盤にイージーな失点を重ねる試合が続出した。ディフェンディング・チャンピオンとして挑んだ天皇杯でもアマチュアを相手にみっともない2回戦負けを喫した。我々はいつからそんなに余裕のあるビッグ・クラブになったのか。今年の東京からは、時を経るに連れて、我々はただの昇格クラブであり、まだ何も成し遂げていないという厳しい自己評価が失われて行った。この点はしっかり反省する必要がある。
次回以降は各ポジションについて見て行くことにしよう。
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FC東京
2012年12月07日 22:18
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【UEL第6節】イスタンブール×グラードバッハ
■2012年12月6日(木) 19:00キックオフ
■Sukru Saracoglu
ヨーロッパ・リーグのグループ・ステージ最終節はフェネルバチェ・イスタンブールとアウェイでの一戦。状況によっては緊迫した試合になる可能性もあったが、グラードバッハもイスタンブールも前節でグループ・ステージ勝ち抜けを決めており、完全な消火試合になってしまった。
僕もこの試合があることはすっかり認識から抜け落ちており、昼頃、iPhoneのスケジュールを見て「あ、試合あったんだ」と結果を確認する始末。
そうした事情もあり、グラードバッハはドミンゲスとヴェント以外すべてのメンバーを週末のシャルケ戦から入れ替えてきた。イスタンブールに至っては直近のリーグ戦と同じ先発は一人だけだったらしいから、まあ、考えることは同じということだろう。とはいえ、Bチームとは思えないそこそこしっかりした顔ぶれである。コープは公式戦初先発らしい。
ハイメロート
コープ ブラウアース ドミンゲス ヴェント
フルゴタ リング シャカ ツィガーツィ
ハンケ ムラパ
試合はグラードバッハが積極的に前に出る展開で始まった。集中した守備からボールを奪うとしっかりポゼッションしながら敵ゴールを狙う。12分にハンケ、14分にツィガーツィがシュートを放つがGKにセーブされたり枠を外れたりして得点にならず。しかし、23分、右サイドからのクロスをファーで受けたツィガーツィがきれいに決めてグラードバッハが1-0と先制。
28分にはフルゴタが敵DFのファウルを受けて得たPKをハンケが落ち着いて決め2-0とリードを広げる。その後はイスタンブールがやや攻勢に出るがチャンスは散発にとどまり、グラードバッハが2点をリードしたまま前半を終える。
後半は拮抗した戦いか。互いにチャンスを作るが決められない。67分、ハンケに代え、ケガ明けのデ・ヨングを起用。ウィンター・ブレイクまでに戻ってきてくれて有難い。こういう試合でしっかりゲーム勘を取り戻して欲しいところだ。72分にはさらにツィガーツィに代えてヨウネスを投入。
この交代が当たり、79分、ヨウネスが左サイドを駆け上がってエリア内から中央にラストパスを送ると、フリーのデ・ヨングがこれを流し込んで3-0に。このあと、80分にはムラパに代えてツィンマーマン投入。ツィンマーマンもシュートを放つなどアピールしたがゴールはなく、結局3-0でグラードバッハが半ば練習試合となったヨーロッパ・リーグのグループ・ステージ最終節に完勝した。
この結果、グラードバッハは3勝1敗2分という堂々たる成績でグループ・ステージを突破、決勝トーナメントにコマを進めた。まあ、この日の勝利はごほうびみたいなものだとしても、この検討は評価に値するだろう。まだまだ先は長いが、お楽しみが先に続いたのは嬉しいことだ。この日先発したメンバーの底上げができればリーグ戦にもいい影響が出てくる。
次の試合は日曜日のマインツ戦。シーズン前半もあと2試合、特に次節は最後のホームゲームであり、その次がバイエルンとのアウェイ戦であることを考えても、何としても勝っておきたいところ。おそらくは途中出場することになるであろうデ・ヨングが結果を出してくれることを期待したい。
なぜかファヴレ監督のコメントが見当たらないのでマックス・エバール・スポーツ監督の談話を:
「この若いチームをしっかり賞賛してやらなければならない。このメンバーで試合をしたことは今まで一度もなかったが、にもかかわらずこのレベルでしっかりと内容に見合う結果を出して勝った。我々がどのようにプレーし、どのように戦ったかはあらゆる栄誉に値する。我々がどれだけ分厚い選手層を持ち、ふだん試合に出ていない選手たちでもこれだけのパフォーマンスを示すことができるということをだれもが今日目にしたはずだ」
いやいや、相手も二軍でしたけどね…。
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UEL
2012年12月03日 23:53
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【ブンデスリーガ第15節】シャルケ×グラードバッハ
■2012年12月1日(土) 15:30キックオフ
■Veltins-Arena
2試合続けての生中継。しかも土曜日の夜とあって久しぶりに見ることができた。やはりグラードバッハも日本人選手を獲るべきなんじゃないか。布陣は前節と変わらず。
テア・シュテゲン
ヤンチュケ シュトランツル ドミンゲス ヴェント
ルップ ノードファイト マルクス アランゴ
ヘアマン デ・カマルゴ
試合はとにかく序盤からシャルケがぎゅうぎゅうと押し込む展開。グラードバッハはクリアしては拾われて波状攻撃を浴びる繰り返しで一方的に守勢に回る。しかしこの局面を集中してしのぐと、徐々にシャルケの圧力もマイルドになり、グラードバッハはカウンターに活路を見出せるようになる。
シャルケは引き続きボールを支配するものの攻撃にアイデアを欠き、単調な組み立てでなかなかグラードバッハのゴールに迫れない。シュートも精度が低くテア・シュテゲンの好守もあって得点に至らない。シュトランツル、ドミンゲスの集中した守備も素晴らしい。
しかし一方ではグラードバッハはほぼ専守防衛でなかなかチャンスを作れない。シャルケの大雑把な攻撃からボールを奪って素早く展開するが、フィニッシュに至るまでにミスが出てボールを失うことが多い。結局スコアレスで前半を終えた。
後半に入ってもシャルケが試合を支配しながら決めきれない展開が続く。すると62分、敵のパスをカットしたマルクスが前線にフィードを送る。これを受けたデ・カマルゴが冷静に決めて1-0と先制。どうもこれがグラードバッハの最初のシュートだったようだ。試合を支配しながらチャンスを逃し続けると敵にワンチャンスを決められるという「不文律」。
リードされてシャルケは一層攻勢を強めるがグラードバッハの守備を崩すことができない。グラードバッハは78分ヘアマンに代えてムラパを、79分にはデ・カマルゴに代えてハンケを投入し、前線を刷新して試合をクローズしに行く。
それまではシャルケの拙攻もあり何とかしのいできたグラードバッハだったが、85分、左サイドから入れられたクロスにファーで合わされてしまい失点。1-1の同点にされてしまう。もったいない。いや、本当にもったいない失点だった。
グラードバッハはアウェイで勝ち点1を固めるべく89分、ルップに代えてブラウアースを投入。結局1-1の引き分けに終わった。
内容としては終始シャルケの攻撃を受け続けており、追いつかれはしたが引き分けの結果はむしろ我々にとって得るものが大きかった。先制した以上勝ちたかったが、妥当な結果に終わったのではないだろうか。
この試合ではほぼ自陣での守備戦を強いられ、アランゴ、ヘアマンというキー・プレイヤーにいい形でボールが出なかった。特筆すべきはシュトランツルの守備で、敵のチャンスをことごとくつぶし続けた。給料を上げてやって欲しい。
グラードバッハは勝ち点21の10位。ウィンター・ブレイクまで残り2試合、次節のマインツ戦には何とか勝ちたいところだ。
ルツィアン・ファヴレ監督談話:
「全体として見れば、何よりも我々が守備でしっかりとしたパフォーマンスを示したということだ。勝ち点1は妥当な結果で、アウフ・シャルケで1-1を成し遂げたのは悪くない。とはいえ引き分けには少しばかりがっかりもしている。というのも終盤、終了直前に追いつかれてしまったからだ。前半はもっとしっかり前を向いて戦うべきだった。まったくチャンスを作れなかったというのは攻撃面では物足りなさすぎる。リードを奪われてからはシャルケがより圧力を強めてきて、我々は簡単にボールを失いすぎた。だが、もう一度言うが、アウフ・シャルケで勝ち点1を取れたのはいいことだ」
簡単にボールを失いすぎた、って毎回言ってるな。
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ブンデスリーガ
2012年12月01日 23:08
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【Jリーグ第34節】FC東京×仙台
■2012年12月1日(土) 15:30キックオフ
■味の素スタジアム
昼ごろにはやや強い雨も降ったがそのあとは晴れ上がり日なたは暑いくらいの陽気に。もしかしたら仙台の優勝が決まる試合になるかもしれないということでアウェイ側を中心にチケットがいい売れ行きを示し、今季初めて当日券発売なしとなったが、前節で広島が優勝を決めてしまったことから仙台は2位が確定、この試合は消化試合になってしまった。
東京も優勝はもとよりACLも可能性がなくなり、一方で降格も関係がないという、まあ、リーグ的には注目度の最も低い消化試合になってしまった。とはいえ、今季は天皇杯も既に敗退しておりこのチームで戦う最後の試合。開幕をホームでやって最終節がアウェイになるパターンが続いていたが、ホームで名実ともにシーズン最終戦を迎えるというのは僕自身初めてだ。
晩秋の低い太陽を避けるためキャップをかぶり、ベンチコートでモコモコになって味スタへ。日が陰ると寒かったのでこの服装は正解だった。東京は前節、アウェイでのガンバ戦と同じ布陣。今季の締めくくりとして、今、できることを最大限見せて欲しい試合である。仙台にはアウェイで0-4とチンチンにやられており負けられない。
権田
徳永 チャン 森重 太田
高橋 米本
ルーカス 梶山 長谷川
渡邉
序盤は東京がモチベーション高く試合に入る。積極的にパスをつなぎながら敵陣に攻め上がり、7分、この試合のファースト・シュートとなる高橋のミドルは枠を外れたものの、その直後の8分、左サイドに開いた高橋が裏のスペースに上げたパスをルーカスが敵DFと競り合いながらも収め、敵GKを見ながらファーに流し込む技術の高いゴールで東京が先制。早い時間帯で1-0とリードを奪う。
先制を許した仙台は前がかりに攻撃を仕掛け、東京が受けに回る時間帯になる。東京は自陣での守備を余儀なくされ、しばらくはうまくチャンスを作れなかったが、17分、右サイドでボールを持ったルーカスが、梶山、長谷川とワンツーを繰り返しながらゴール前に切れ込み、コースが開いたところで冷静に蹴り込んで2-0に。パスワークからの崩しで理想的な得点。ビデオで繰り返し再生したい見事なゴールだった。
しかし試合はその後も仙台が積極的に仕掛ける流れが続く。東京はボールを奪えばしっかりパスをつないで攻撃を組み立てるが、仙台の方がボールをもつ時間が長かったように思う。35分、左サイドから入れられたクロスにニアで合わされ失点。2-1と1点差に詰め寄られる。敵ながらスピードのあるファイン・ゴールだった。
しかし東京は慌てることなく、その後は拮抗した展開になり交互に攻め合うが得点なく2-1で前半を折り返す。東京は前半のシュートが4本。仙台も手ごわく、決して試合そのものをしっかり支配できていた訳ではないが、チャンスを生かしてリードを奪ったまま前半を終えられたのは大きかった。
後半開始早々、散漫な守備から敵FWにゴール前に抜け出されるがシュート・ミスに助けられ事なきを得ると、49分、左CKにチャンが頭で合わせゴール。3-1とリードを再び2点に広げる。さらに56分、長谷川からのパスを受けた渡邉が裏に抜け出し、敵GKを巧みにかわして角度のないところから流し込み4-1に。この辺で試合の趨勢は決まった感があった。直後、渡邉に代えて石川を投入。ルーカスをワントップに上げる。
仙台は時間の経過とともに集中を欠いて行き、東京が完全にリズムをつかむ。69分、ルーカスを下げてヴチチェヴィッチを投入。よく分からなかったがそのままワントップに入ったか。76分、高橋のミドルは敵GKがセーブ。77分、石川のCKに森重が頭で合わせるが枠外に。東京が主導権を握って攻め続ける。81分、米本に代えて平山を投入。平山がワントップに入り、長谷川がボランチに落ちる。ヴチチェヴィッチが左SHに。
82分、平山から石川、梶山、ヴチチェヴィッチ、梶山とパスをつなぎ、最後は梶山の落としにヴチチェヴィッチが走り込んでドン。5-1と祭り状態に。さらにアディショナル・タイムには中央につっかけた石川が敵DFに絡まれたこぼれ球をヴチチェヴィッチが拾い、見事なターンで敵DFをかわし冷静に流し込んで6-1。その後、敵FWに中央突破を許し6-2とされたもののそのまま試合は終了。チーム新記録となるらしい6得点で2位仙台を完膚なきまでにたたきのめした。
着実に加点したものの、前半は必ずしも東京が試合をグリップしていた訳ではなかったが、仙台の拙攻にも助けられ、最少失点で前半を乗りきった。後半早々に2点を追加、ここで試合の流れが決まり、あとは前線にボールを展開する仙台に対して、チャンスは作られながらも集中して守り時間の経過を味方にした。最後の失点は残念だったが…。
数字的に見てもシュートは14-11、ポゼッションは48-52、CKは2-2と決して一方的な試合でなかったことが分かる。だが、実力のある相手に対し、ボールを奪えば素早くパスを繰り返しながら敵の守備を崩して得点を重ねたことは評価できるし、むしろそれがJ1での戦いだろう。縦、横にボールを当てては散らし、また当てては戻しながらボールを出し入れして流動的に押し上げて行く今日の攻撃は迫力があったし、今季目指してきたものの一端を表現できていたと思う。
なんといってもルーカスの八面六臂の活躍が大きいが、梶山、長谷川の気の利いたパスが重要なアクセントになっていた。また、米本、高橋が中盤を制圧できたのも勝因のひとつ。特に高橋は広い範囲を動き回って積極的に攻撃に絡み、ここ一番でいいパス出しができていた。さすが国際Aマッチの経験者は違う。
ヴチチェヴィッチの個人技も素晴らしかった。プレーがゴールという最終目的からきちんと逆算して導き出されていることがよく分かる。ひとつひとつのプレーで生活を支えてきた男のプレー選択の厳しさ、妥協のなさは今の東京に必要なもの。東京の攻撃を異化し、破調を取り入れるために重要な存在だ。
これで東京は今季のすべての公式戦を終えた。レビューは改めてやるつもりだが、シーズンを終えて14勝14敗6分、勝ち点48、得失点差+3の10位という結果をどう見るか。もちろん、中位を狙っていた訳でも中位でいいと思っていた訳でもないが、今季はJ2から昇格し、新監督の下で新しいサッカーに取り組んだ初年であることを考えれば、結果としてはまず受け入れることのできるものではないかと思う。
それよりも重要なのは、シーズンの初めに掲げた「C・O・Aフットボール」、コレクティブでオフェンシブでアトラクティブなフットボールをどこまで作り上げることができたかという内容の方だ。シーズン後半、ケガ人も続出して結果が出せず足踏みしたことはあったが、チーム自体には「ポポイズム」が確実に浸透しており、「東京のスタイル」が少しずつ形になりつつあるのを感じる。
結果に物足りなさは感じるものの、チーム作りは紆余はありつつも順調に進んでおり、この礎石の上に次の石を積むべきと僕は感じている。もちろん選手の入れ替わりはあるだろうが、主力を極力残留させ、ポポヴィッチ監督も当然留任でポポ東京2年目に臨んで欲しい。今年一年働いた選手、スタッフには本当にお疲れさまと言いたい。最終節が面白い試合で、ポジティブに終われたことが嬉しい。
採点(
採点の見方
):
権田(3.5) そういえば今日はあんまり目立ってなかったな〜、ゴンちゃん。
徳永(3) 対面の敵MFに仕事させず。今シーズンの充実を実感させる安定ぶり。
チャン(2.5) 遠慮のないプレーで存在感を見せた。得点は勝ちが高かった。
森重(2.5) 最後の失点はいただけないが局面では持ち前の強さを見せた。
太田(3) 前節に続き好調を維持。左サイドのクオリティが明らかにアップ。
米本(3) 果敢にボールを狩りに走り回り敵にウザがられた。ミドル惜しかった。
高橋(2) 中盤で圧倒的な存在感。左右にも流れ必要な場所でボールを捌いた。
ルーカス(1.5) 技術、精神力、そしてチームへの献身。今年のMOTは決まり。
梶山(2.5) 今日はいい梶山だった。ルーカス、長谷川との関係も良好。
長谷川(2.5) この人のセンスはやはり前目で生きる気がするね。
渡邉(3) 愚直に走り回った結果が得点に。残ってもらうべき戦力。
===
石川(3) 石川がボールを持つだけで相手は「勘弁して」と思ってるはず。
ヴチチェヴィッチ(2) ひとつひとつのプレーに意図がある。来季もいて欲しい。
平山(-) 時間短し。
シーズン・レビューは来週からスタートの予定。
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【ブンデスリーガ第10節】ライプツィヒ 0-0 グラードバッハ
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